JP6755011B2 - カーボンナノチューブ標準黒体炉装置及び標準黒体炉装置用の空洞 - Google Patents

カーボンナノチューブ標準黒体炉装置及び標準黒体炉装置用の空洞 Download PDF

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Description

本発明は、非接触式温度計を校正するための比較炉として用いる高放射率で波長依存性のないカーボンナノチューブ標準黒体放射源装置に関し、特に、カーボンナノチューブ基板の空洞底部への取付け構造に関する。
サーモグラフィをはじめとした産業界でニーズの高い波長10μm付近の赤外放射温度計は100℃から1000℃程度の広い温度範囲において高精度な校正が求められている。一方でこの温度範囲において国家標準である放射温度計の波長は1.6μmや0.9μmであるため、これらの国家標準放射温度計で波長の異なる10μm帯の赤外放射温度計を高精度校正するための比較校正技術が必要となる。このように波長の異なる非接触式温度計を校正するための比較炉としては、炉内の空洞の実効放射率が限りなく1であることが必要不可欠である。空洞の放射率を限りなく1に近づけるには、空洞が均熱であること、空洞の固有放射率が高いことが必要となる。
一方で、垂直配向した高品質なカーボンナノチューブ(以下、カーボンナノチューブを「CNT」と略記することがある)の成膜技術が比較的容易に実施できるようになり、このCNTは紫外から遠赤外までの広い波長範囲で放射率が0.98程度と極めて高く、波長依存性がほとんどないことが知られている(非特許文献1参照)。
そこで、本発明者等は、垂直配向のCNTは広い波長範囲で放射率が0.98程度と極めて高く、波長依存性がほとんどないが、CNTをそのまま黒体として使用したのでは波長の異なる非接触温度計を校正する比較炉としては放射率や面内温度分布の点で不十分であることに鑑み、CNTと空洞(温度可変黒体炉)を組み合わせ、CNTの黒さを空洞でサポートし、放射率を限りなく1に近づけ、波長の異なる温度計を校正する比較炉を構成し性能評価をおこなった結果、空洞にCNT基板を配置するだけで異なる波長帯の放射温度計の比較校正が高精度に校正可能であり、空洞長さも従来技術の半分以下でも波長依存性がないことが判明し、既に、特許文献1として、炉内に設置した空洞と、前記炉内の温度を可変に調整して前記空洞の温度分布を均一化する温度制御手段を備えた温度標準用の黒体炉装置であって、前記空洞の底部にカーボンナノチューブの表面処理をした基板を配置したカーボンナノチューブ標準黒体炉装置を出願している。
特開2015−203589号公報
Kohei Mizuno他7名、"A black body absorber from verticallyaligned single-walled carbon nanotubes"、PNAS vol.106,no.15,p6044-6047(April,14,2009)
図5は、本発明者等が先に出願した特許文献1のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置を説明するための図であり、図5の右上図は、特許文献1の発明のCNTの表面処理をしたグラファイト基板および比較例としてのグラファイト基板のみを空洞底部に配置した状態を説明しており、左上図は、CNTの表面処理をしたグラファイト基板(左)とCNT無しのグラファイト基板のみ(右)とを示している。空洞底部(L=400mmの一番奥)にグラファイト基板のみを置いて輝度温度を異なる波長の放射温度計(1.6μmと5μmと10μm)で比較し、またグラファイト基板の代わりに、CNTの表面処理をしたグラファイト基板を置いて輝度温度を異なる波長の放射温度計(1.6μmと5μmと10μm)で比較したグラフは、横軸が放射温度計の波長を示し、縦軸が輝度温度(の温度差)を示す。グラファイト基板を底部に置いた結果が▲で、CNTの表面処理をしたグラファイト基板を底部に置いた結果が●であり、波長1.6μm、5μm、10μmの放射温度計では、いずれもグラファイト基板のときよりもCNTの表面処理をしたグラファイト基板を置いたときの方が、輝度温度がそれぞれ約0.1℃、0.4℃、0.8℃上昇している。このことから本発明のCNTの表面処理をしたグラファイト基板を入れた●の方が、輝度温度が大幅に上昇することがわかる。すなわち、CNTの表面処理をしたグラファイト基板を空洞底部に配置するだけで空洞の放射率が格段に上がったことが確認できる。
本発明者等が先に出願した特許文献1のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置によりCNT表面処理基板を空洞底部に配置するだけで驚くべき放射率性能の向上が達成されたが、しかしながら、特許文献1の装置では、空洞の開口は前方にしかないため、奥行きの深い空洞前方開口から空洞底部に基板を出し入れせざるを得ず、CNTの表面処理をした基板の表面は非常に脆いため基板の出し入れを基板の表面を損なうことなく行うことが非常に困難であった。
また、カーボンナノチューブは炭素からなるため、高温では燃焼する性質があり、使用温度範囲が300℃〜1000℃程度では、基板に表面処理をしたCNTが燃焼するため、放射率性能が次第に劣化するという問題があった。
さらに、基板に表面処理をしたCNTの燃焼による放射率の劣化は、輝度温度の低下をまねき、正しい温度値を知ることができなくなり、標準用の黒体炉としては致命的となるものであり、放射率の劣化を簡便に知る手段が必要であった。
上記従来技術の問題点を解決するために、本発明では、空洞底部を空洞筒部に着脱自在に構成して、空洞底部側から簡単にCNT表面処理基板を設置できるようにし、また、CNTの高温での燃焼をできるだけ防ぐために、空洞全体をガス雰囲気中で使用できるように構成し、さらに、放射率の劣化を知るために簡便な空洞放射率評価装置を設置した点に特徴を有するものである。
すなわち、本発明は、標準黒体炉装置用の空洞であって、該空洞の底部にはカーボンナノチューブ表面処理基板が配置され、前記空洞は空洞筒部と空洞底部が着脱自在に構成され、前記基板の配置を空洞底部側から行えるようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、標準黒体炉装置用の所定温度に温度制御された標準黒体炉であって、空洞を内部に載置するためのパージユニット1と、パージユニット1内に炉後方から希ガスを供給する希ガス供給装置を設けてパージユニット1内を希ガス雰囲気にするとともに、標準黒体炉前方開口部に設けたパージユニット2と、パージユニット2に希ガスを供給する希ガス供給装置を設け、パージユニット2の開口部内周に設けた筒状部材から開口に向けて希ガスを噴出してパージユニット2の開口からの大気の侵入を防止し、前記パージユニット1およびパージユニット2内の希ガス雰囲気を維持することを特徴とする。
また、本発明は、上記標準黒体炉装置用の標準黒体炉において、前記パージユニット1と前記パージユニット2は物理的に離して設け、両者を熱的に遮断したことを特徴とする。
また、本発明は、上記標準黒体炉装置用の空洞を、上記標準黒体炉装置用の標準黒体炉のパージユニット2内に載置したことを特徴とするカーボンナノチューブ標準黒体炉装置である。
また、本発明は、カーボンナノチューブ標準黒体炉装置において、上記光源と積分球とからなる放射率評価装置を取り外し可能に設置したことを特徴とする。
また、本発明は、空洞筒部後方に空洞底部を兼用する穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板が着脱自在に装着された標準黒体炉装置用の空洞と、
標準黒体炉装置用の所定温度に温度制御された標準黒体炉であって、
前記空洞を内部に設置するためのパージユニット(1)と、パージユニット(1)内に炉後方から希ガスを供給する希ガス供給装置を設けた標準黒体炉とからなり、
前記標準黒体炉のパージユニット(1)内に前記空洞を設置することにより、前記パージユニット(1)内に炉後方から供給された希ガスが前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の穴を通って空洞底部側から希ガス雰囲気にするよう構成されたことを特徴とするカーボンナノチューブ標準黒体炉装置である。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブ標準黒体炉装置において、前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の穴は、基板の中心付近を避けた周辺部に設けられている貫通穴であることを特徴とする。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブ標準黒体炉装置において、前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の穴は、基板に対して斜めに設けられている貫通穴であることを特徴とする。
また、本発明は、上記カーボンナノチューブ標準黒体炉装置において、前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の穴は、基板自体をポーラス材で構成することによるものであること特徴とする。
本発明の標準黒体炉装置用の空洞では、空洞底部を空洞筒部に着脱自在に構成して、空洞底部側から簡単にCNT表面処理基板を設置できるようにしたので、基板の設置および交換の操作性が向上する。
また、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉では、空洞を配置するための均熱管(パージユニット1)内に炉後方から希ガスを供給することにより、空洞内を希ガス雰囲気に保つことができ、空洞の炭素材料の燃焼を防ぐことができる。特に、空洞の底部にCNT処理基板を配置した空洞を配置する場合には、CNT処理基板のCNTの燃焼を防ぐことができ、放射率の低下を防止できる。さらに、パージユニット2を炉前方開口に設け、パージユニット2の開口部周囲に設けた焼結金属からなる筒状部材からガスを噴出して大気が空洞内に侵入するのを防止するので希ガス雰囲気を損なうことがなくCNTの燃焼をより効果的に防ぐことができる。なお、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉のパージユニット1には希ガスが供給されるため、パージユニット1内に載置する空洞は希ガス雰囲気におかれ、空洞に含まれる炭素材料の燃焼が防止できる。
さらに、パージユニット1と2とを物理的に離して設けたので、両者間が熱的に断熱され、空洞を高温で使用しても炉前面に露出するパージユニット2が高温にならずパージユニット2の冷却装置が不要となる。
また、上記本発明の標準黒体炉装置用の空洞を、上記本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉のパージユニット1内に載置したカーボンナノチューブ標準黒体炉装置では、空洞の底部にカーボンナノチューブの表面処理をした基板が配置されているので放射率が格段に向上し、パージユニット1および2により空洞内を希ガス雰囲気中とすることができるので、高温によるカーボンナノチューブの燃焼を防ぐことができ標準黒体炉装置としての性能の劣化を防ぐことができる。
また、本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置では、光源と積分球とからなる放射率評価装置を取り外し自在に設置したので、必要なときのみ、炉の前面に評価装置を取り付けて空洞放射率の低下を測定評価することができる。
さらに、空洞筒部後端に穴あきCNT表面処理基板を着脱自在に装着して空洞底部の機能を兼用させれば、前記穴を通って空洞の底部側から空洞内を希ガス雰囲気に保つようになるので希ガス供給量を大幅に低減できる。穴あきCNT表面処理基板の穴としては、基板に設けた貫通穴あるいは基板自体をポーラス材で構成することで達成できる。貫通穴の場合には基板に対して斜めに設けて黒体炉の正面からみて素通しとならないようにすることが好ましく、また貫通穴は基板中央部をさけて周辺部に設けることが好ましい。
図1は、本発明の標準黒体炉装置用の空洞であって、空洞筒部に空洞底部を着脱可能に構成し、空洞底部側からCNT表面処理をした基板を設置できるようにするための、一実施例を示した図である。 図2は、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉の特徴である、炉内に設置する空洞の内部をガス雰囲気中で使用するための均熱管(図3のパージユニット1参照)の一実施例を示した図である。 図3は、本発明の標準黒体炉装置用の空洞を、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉に載置した本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置の全体構成図を示した図である。 図4は、本発明の空洞放射率評価装置を説明した概略図である。 図5は、従来の特許文献1のCNT表面処理基板を空洞底部に配置した黒体炉装置の性能を示した図である。 図6は、本発明の変形例である実施例2の全体構成図を示した図である。 図7は、実施例2で用いる穴あきCNT表面処理基板を説明した図である。 図8は、実施例2の穴あきCNT基板の作製例を撮影した図である。
空洞前方開口からCNT表面処理基板を空洞底部に設置する際の困難性を解消するために、本発明の標準黒体炉装置用の空洞では、空洞筒部と空洞底部を着脱自在に構成することにより、CNT表面処理基板の設置およびCNT表面処理基板の交換を、空洞底部を空洞筒部から取り外して空洞底部側から容易に行えるようにした。
また、高温でのCNTの燃焼を防止するために、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉では、空洞を収納する均熱管(図2、あるいは図3パージユニット1参照)後部の細い管に接続されたガスラインから、均熱管内部に希ガスを導入することにより空洞内を希ガス雰囲気とし、CNT表面処理基板を配置した空洞をガス雰囲気中で使用できるようにした。なお、CNT表面処理基板を設置した空洞以外にも、空洞に炭素材料を含むものであれば、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉により、高温による空洞の炭素材料の燃焼を防止することができ放射率の劣化を防止できる。
上記本発明の標準黒体炉装置用の空洞と上記本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉を組み合わせて構成した本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置では、放射率の向上を実現でき、かつ向上した放射率性能の劣化を防止することができる。
さらに、CNT表面処理基板のCNTの劣化を評価するために従来は使用するたびに放射温度計で輝度温度をモニターしていたが、黒体炉のみをもつユーザーは、必ずしも放射温度計を持っていなく、また、放射温度計をあわせて持つことも困難であるため、本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置では、簡便に、炉の前面に、LED光源と可視用の安価な積分球とからなる放射率評価装置を取り外し自在に設置しておき、必要なときのみ、炉の前面に装置を取り付けて空洞放射率の低下を測定評価する。
さらに、穴あきCNT表面処理基板を用いて空洞底部を兼用させれば、パージユニット1内に炉後方から供給された希ガスは、穴あきCNT表面処理基板の穴を通って空洞内に入り空洞内を空洞底部側から希ガス雰囲気に保つので希ガス供給量の低減が図れる。穴は貫通孔あるいは基板自体をポーラスな材料で構成することによって達成できるが、貫通穴の場合には基板に対して斜めに設けて黒体炉の正面からみて素通しとならないようにすることが望ましく、また貫通穴は中心部付近を避けて設けることが望ましい。
(実施例1)
図1に、本発明の標準黒体炉装置用の空洞およびCNT表面処理基板を示した。本発明の空洞は、空洞筒部後端と空洞底部(固定治具)が着脱自在に構成されており、図1の例では、空洞筒部後端のねじ部と空洞底部(固定治具)のねじ部とで着脱自在に構成され、空洞後端内面の止め具と空洞底部の間にCNT表面処理基板を挟持して固定する。このように構成することにより、空洞の底部位置へのCNT表面処理基板の設置は、空洞底部を空洞筒部後端から取り外して空洞の底部側から行えるので、従来の空洞前方開口から基板を取り付け取り外しする場合に比較して格段に操作性が向上し、取り付け時のCNT表面処理面損傷等が防止できる。なお、空洞筒部、空洞底部、基板の材質は、熱膨張率が同じものである方が好ましく、例えば、いずれもグラファイト材で構成することにより熱膨張係数を一致できる。ただし、CNT基板材料はグラファイトに限る必要はなく、高融点材料であればよい。またCNT成膜方法はアーク法やレーザーアブレーション法などの蒸着法、炭化水素等を分解してCNTを製作する化学気相合成法などがあるが、ほかに耐熱温度の低い基板を用いたい場合には、CNTを他の無機耐熱基板に一旦成長させてからCNTを転写させる方法もある。
図1では、空洞筒部後端と空洞底部がねじで着脱自在に構成した例を示しているが、この例に限定されるものではなく、バヨネットや、クランプ、ボルトなどでも良い。また、図1では止め具と空洞底部とで狭着してCNT表面処理基板を固定した例を示したが、これに限定されるものではなく、止め具にCNT表面処理基板を直接ボルト固定するものでも良く、あるいは空洞底部にCNT表面処理基板を直接固定するものでもよい。要は、空洞底部を空洞後端に着脱自在に構成し、CNT表面処理基板の設置あるいは交換を空洞底部側から行えるようにしたものであればよい。
図2は、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉に用いる均熱管を示し、均熱管の中に図1に示した空洞を入れ(後述する図3参照)、均熱管後部の細い管からなる希ガス導入口から希ガス(アルゴン、窒素等)が均熱管に導入され、空洞内は希ガス雰囲気となる。このように構成することにより、空洞内が希ガス雰囲気に保たれ、高温でのCNT表面処理基板のCNTの燃焼が抑えられる。
図3は、均熱管を兼ねるパージユニット1を含む本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉に、カーボンナノチューブ空洞を載置した、本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置の全体概略図であり、図3中のカーボンナノチューブ空洞には図1に示した空洞筒部後端と空洞底部が着脱自在に構成され空洞底部側からCNT表面処理基板が空洞の底部に取り付けられた空洞が用いられる。黒体炉の外壁は側部外壁と前方外壁および後方外壁で構成され、側部外壁内の前方の断熱材と後方の断熱材でムライト管を炉の略中央部に支持し、前方の断熱材と後方の断熱材との中間部分には、ムライト管と空間が空くように断熱材が配置されており、中管部分の断熱材にはヒーターが設けられており、図示しない制御装置によりムライト管内を所定温度に保つように加熱制御される。図ではムライト管としたが、この材質はムライト系セラミックスに限定されるものではなく、高温に強く、熱膨張率が小さい高温材料であればよい。ムライト管内に均熱管を兼ねるパージユニット1を配置し、パージユニット1の後部には細い管が設けられ、当該細い管から希ガスが導入され、パージユニット1内に設けられたカーボンナノチューブ空洞内をガス雰囲気にすることができ、CNTの燃焼を防ぐことができる。ムライト管後方内部には断熱材が配されており、この断熱材と後方外壁でパージユニット1の後部の細い管が支持されている。ムライト管前方開口にはパージユニット2が設けられており、パージユニット2の前方開口部周囲には焼結金属からなる筒状部材が配置されている。焼結金属の筒状部材は内部に非常に細かい穴が多数あいており、筒状部材にガスを供給することで筒状部材内周面の細かい穴から炉の前方開口部に向けてガスを大量に流すとともに、パージユニット1にもガスを供給することで圧力を上げて、外部からの空気が空洞内に侵入しないように構成されている。また、パージユニット1とパージユニット2とは物理的に離されて取り付けられており、両者は熱的に遮断されていることから、パージユニット1が1000℃付近の高温で使用されても、パージユニット2の冷却は要さず、従来の炉前方開口部の冷却装置を省くことができる。
図4は、空洞放射率評価装置を設けた本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置を説明するための概略図である。カーボンナノチューブは名前の通り、カーボンから生成されるため、希ガス雰囲気を維持し極力燃焼を抑制しているものの完全に抑制することはできず、炉の中で徐々に燃焼し、放射率が低下していく。放射率の低下は、輝度温度の低下をまねき、正しい温度値を知ることができない。そこで、使用するたびに放射温度計で輝度温度をモニターし、カーボンナノチューブの劣化を評価する必要があるが、黒体炉のみをもつユーザーは、必ずしも放射温度計を持っていなく、また、放射温度計をあわせて持つことも困難である。そこで、本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置では、簡便に、炉に、LED光源と可視用の安価な積分球とからなる放射率評価装置を取り外し可能に設置し、必要なときのみ、炉の前面に装置を取り付けて、放射率評価を行えるようにしたものである。図ではLED光源としたが、LED以外の光源であってもよく、例えば、赤外の光源と、赤外用の積分球を用いても良い。空洞放射率を測定評価するには、図に示すように、空洞放射率評価装置を黒体炉前方開口に取り付け、LED光源でカーボンナノチューブ空洞の底部に配置したCNT表面処理基板を照射し、空洞からの反射光を積分球で受けて検出器で検出することで空洞放射率を測定評価し、放射率が所定値以下に低下していれば基板の交換の目安にしようとするものである。
(実施例2)
図6〜8は、上記実施例1の変形例である実施例2を示した図である。
上記実施例1では、空洞底部で空洞が閉じられているため、パージユニット1内に炉後方から供給された希ガスは、パージユニット1と空洞の間の空間を炉前方に回り込んで空洞前方開口から空洞内に入り空洞底部に配置されたCNT表面処理基板まで行き渡り空洞内が希ガス雰囲気に保たれるのであるが、このため希ガスの供給量が多くなり、さらに、パージユニット2への希ガスの供給も必要となるため多量の希ガス供給量が要求される。そこで、希ガス供給量を低減するため、実施例2では、空洞の底部を穴あきCNT表面処理基板で兼用させ、パージユニット1内に炉後方から供給された希ガスは、パージユニット1内に載置された空洞の穴あきCNT表面処理基板の穴を通って空洞内に入り空洞内を空洞底部側から希ガス雰囲気に保つ構成にすることにより、希ガス供給量低減を実現させ、さらに、パージユニット2の必要もないためより一層の希ガス消費量の低減が図れる。
実施例2の全体構成図を示した図6が、実施例1の図3と異なる点は、実施例2では空洞底部が空洞筒部後方に着脱自在に取り付けられたカーボンナノチューブの表面処理をした穴あき基板(以下「穴あきCNT基板」ということがある)で兼用して構成される点、及び、パージユニット2とパージユニット2に希ガスを供給する装置が省かれている点の2つであり、他の構成は実施例1と共通である。空洞筒部後方への穴あきCNT表面処理基板の着脱は、図6では基板抑えリングを用いた例を示しているが、他のねじやクランプ等の着脱自在な固定手段を用いてもよい。
図7は、穴あきCNT表面処理基板の穴を説明したものであり、穴は基板に対して斜めにあけた貫通穴で構成され、基板正面からみた際に、貫通穴を素通ししてその先が見えないようにする方が効率がよい。貫通穴を素通ししてその先が見えるようにあけると放射温度計で見たときに放射率が変わってしまうため、正面から見た際に穴があいていないような状態にすることが望ましいからである。また、貫通穴をあける位置はどこでもよいが、ただし、放射温度計は基板の中心付近を見るので、中心付近を避けて貫通穴をあけることが望ましい。図8は、実際に作製した穴あきCNT表面処理基板を撮影したものであり、中心付近を避けて貫通穴をあけている。
なお、空洞筒部、基板の材質は、熱膨張率が同じものである方が好ましく、例えば、いずれもグラファイト材で構成することにより熱膨張係数を一致させることができるがこれに限定されるものではない。
また、上記では穴あきCNT表面処理基板の穴を基板に斜めに設けた貫通穴で説明したが、貫通穴に代えて基板自体をポーラス材(多孔質材)で構成することによっても貫通穴と同様な効果が得られる。ポーラス材で基板を構成する場合には、斜めに貫通穴を空けるという高度な加工が不要となる。ポーラス材としては、例えばポーラスなグラファイト材などが挙げられるが、ポーラス材であれば採用することができる。
本実施例2では、以上説明したような構成であるため、空洞が内部に載置されたパージユニット1内に炉後方から供給された希ガスは、すぐに穴あきCNT表面処理基板(空洞底部の機能を兼ねる)の穴を通って空洞内に入り空洞内を空洞底部側から希ガス雰囲気に保つ構成であるため、実施例1に比べて少ない希ガス供給量ですみ、さらに、パージユニット2も省くことができるので実施例1では必要であったパージユニット2に供給していた希ガス供給量が不要となる。また、空洞筒部の後端に穴あきCNT表面処理基板を着脱自在に装着して空洞底部を兼用するので部品点数が少なくなるとともに、実施例1と同様に、従来の有底空洞の前側から基板を空洞底部に挿入配置する場合よりも操作性が良くCNT表面処理基板の損傷も防ぐことができる。
本発明の標準黒体炉装置用の空洞は、空洞筒部後端と空洞底部が着脱自在に構成されており、空洞の底部位置へのCNT表面処理基板の設置は、空洞底部を空洞筒部後端から取り外して空洞の底部側から行えるので操作性が良く、CNT表面処理基板の損傷も防ぐことができる。また、本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉は、空洞を載置するパージユニット1が希ガス雰囲気に維持されるので、炭素材料を含んだ空洞に対して、炭素材料の燃焼が防止でき放射率性能の劣化を防ぐことができる。
さらに、本発明の標準黒体炉装置用の空洞と本発明の標準黒体炉装置用の標準黒体炉とを組み合わせて本発明のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置を構成することにより、高性能な標準黒体炉を提供することができる。
さらに、空洞筒部後方に穴あきCNT表面処理基板を着脱自在に装着して空洞底部の機能を兼用させれば、希ガス供給量を大幅に低減できる。穴あきCNT表面処理基板の穴としては、基板に設けた貫通孔あるいは基板自体をポーラス材で構成することで簡便に達成できる。

Claims (4)

  1. 標準黒体炉装置用の空洞であって、該空洞の底部には、貫通穴を有するか又はポーラス材で構成された穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板が配置され、
    前記空洞は空洞筒部と空洞底部が着脱自在に構成され、前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の配置を空洞底部側から行えるようにしたことを特徴とする標準黒体炉装置用の空洞。
  2. 空洞筒部後方に空洞底部を兼用する穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板が着脱自在に装着された標準黒体炉装置用の空洞と、
    標準黒体炉装置用の所定温度に温度制御された標準黒体炉であって、
    前記空洞を内部に載置するためのパージユニット(1)と、パージユニット(1)内に炉後方から希ガスを供給する希ガス供給装置を設けた標準黒体炉とからなり、
    前記標準黒体炉のパージユニット(1)内に前記空洞を載置することにより、前記パージユニット(1)内に炉後方から供給された希ガスが前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の穴を通って空洞底部側から希ガス雰囲気にするよう構成され、 前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の穴が、貫通穴であるか、または、 前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板が、ポーラス材で構成された ことを特徴とするカーボンナノチューブ標準黒体炉装置。
  3. 前記貫通穴は、前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板の中心付近を避けた周辺部に設けられているとを特徴とする請求項2記載のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置。
  4. 前記貫通穴は、前記穴あきカーボンナノチューブ表面処理基板に対して斜めに設けられているとを特徴とする請求項2または3記載のカーボンナノチューブ標準黒体炉装置。
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