JP4035416B2 - 加熱炉 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱炉に係り、さらに詳しくは、例えば、放射温度計、熱電対等、2500℃以上の高温域で使用される温度計の精密校正に使用される加熱炉に関する。
【0002】
【背景技術】
温度計を校正するための温度目盛として、国際的な協定に基づく国際温度目盛(ITS−90)がある。このITS−90では、常温域以上ではいくつかの純金属の凝固点もしくは融点が温度の定義定点として採用され、その温度値およびそれらの間の補間方法を指定する形で定義されている。
【0003】
定点を用いて温度計を構成する方法としては、JIS C 1612「放射温度計の性能試験方法通則」に記述されているように、黒鉛るつぼ内に定点となる純金属を鋳込み、そのるつぼを温度可変な炉内におき、るつぼの温度を昇温・降温させたときのるつぼの温度変化を観察して行う方法が知られている。ここで、定点物質の液相と固相とが共存する状態では、潜熱により温度変化がなくなる時点があり(プラトー状態)、この時点を温度定点として観察し、その温度定点と校正したい温度計の温度とを比較、対照して温度計の校正を行っている。
【0004】
一方、現在の我が国における温度目盛の標準供給制度(トレーサビリティ)においては、放射温度計に用いる温度定点として、亜鉛;419.527℃、アルミニウム;660.323℃、銀;961.78℃、金;1064.18℃、銅;1084.62℃、を用い、放射温度計はこれらの定点で校正し、補間・補外することで、400〜2000℃の範囲で目盛をつけている。
以上の定点の中で、最も高い温度としては1084.62℃の銅点が挙げられ、高温域において実用性のある定点として利用されている。
【0005】
銅点以上の高温域では、るつぼ材料との反応による定点物質の汚染の問題等から純金属を用いて実用性のある定点を実現できないため、温度目盛りの不確かさは高温になるにしたがい急激に増大し、精度の大きな劣化を招いている。
例えば、2000℃における我が国のITS−90の設定の不確かさは約1℃に及び、同様に2000℃における国内トレーサビリティの供給精度は設定事業者レベルで約8℃に達し、精度が急激に劣化している。
【0006】
銅点以上の高温域における温度目盛の不確かさをより小さくするためには、補間・補外によらずに目盛を設定、維持、供給することが必要である。そこで、銅点を超える2000℃以上の高温域での温度定点を実現できる技術が望まれており、開発が進められている。
【0007】
その結果、金属―炭素共晶を定点物質とする新しい一連の高温定点が本発明の発明者の一人により考案され、実用的な定点として開発中である(特許2987459号公報)。この一連の高温定点のうち、Ir-C、Re-C、Os-Cはそれぞれ定点温度が2290℃,2474℃,2732℃である。さらに、より高温の定点として、金属炭化物―炭素共晶を定点物質とする一連の定点も本発明の発明者らにより開発中(特願2001―058447号)であり、これらはいずれも2000℃を越える温度域に定点温度を持つ。
【0008】
これらの高温定点を実用に供するためには、これら定点物質を鋳込んだ定点るつぼを加熱し、るつぼの温度を定点温度近辺で昇温・降温させるための炉が必要である。この炉の条件としては、
1)2000℃以上まで繰り返し昇温可能であること、
2)定点物質を汚染しないために、炉内雰囲気を清浄に保てること、
3)黒鉛製るつぼが燃焼しないように無酸素雰囲気であること、
4)溶融・凝固がるつぼ内で一様に進むように温度分布が良好なこと、
5)外部より被校正温度計にてるつぼ温度が測定可能なこと、
6)高精度な温度制御が可能なこと、などが挙げられる。
また、我が国の一次標準器から温度計校正事業者、さらには末端の温度計ユーザまで高温定点を介して温度目盛をトレーサブルな形で供給できるためには、
7)小型・安価で、電力・冷却水・使用ガスなどの量が小さいことが望ましい。
【0009】
高温で使用可能な炉として、例えば、1.黒鉛ヒータ(グラファイト)を用いる炉、2.タングステンメッシュを用いる炉、3.高周波誘導加熱炉を用いる炉、4.C/Cコンポジット材(炭素/炭素複合材)を用いる炉、の4種類が知られている。
【0010】
このうち、1.黒鉛ヒータ(グラファイト)を用いる炉では、グラファイトが熱衝撃に弱いため、耐久性を持たせなければならない。そこで、ヒータ厚みを厚くすることになり、例えば10mm以上のヒータ厚みが必要となる。その結果、電気抵抗が小さくなり、大電流が流れるため、設備が大型となり、また、価格も高価であるという問題がある。さらに、このタイプの環状炉では黒鉛炉芯管に直接通電加熱するのが通常であるが、炉芯管の両端が水冷銅電極と接触しているため、2000℃以上から常温まで急激な温度勾配が炉芯管に生じ、定点用の炉としては不適である。
【0011】
2.タングステンメッシュを用いる炉では、タングステン蒸気がるつぼ内の定点物質を汚染し、温度定点に再現性がなくなるという問題がある。
3.高周波誘導加熱炉を用いる炉では、誘導によりるつぼに電流を直接流し、加熱するが、るつぼ内金属に一様に電流を発生させることは困難であり、温度分布が生じるため定点用の炉には使用できない。また、誘導コイルに大電流を流すため、設備が大型となり、高価であるという問題もある。
【0012】
4.C/Cコンポジット材(炭素/炭素複合材)をヒータとして用いる炉として、特許2854864号公報記載のヒータを利用する炉が知られている。この炉では、次のような特徴がある。
(A) 従来のカーボン系ヒータに比べて機械的強度が高い。例えば、引張強度でカーボン系ヒータの約8倍、曲げ強度で約2.5倍である。
(B) 従って、耐熱衝撃性に優れており、C/Cコンポジットヒータは、グラファイトヒータの1/10の薄さ、約1mmで足りる。そのため、ヒータの電気抵抗を大きく作ることが可能で、少ない電流で加熱が可能であり、装置の小型化・低廉化が容易である。
(C) ヒータが板状であるため、ヒータ自身を軽量に作ることができ、ヒータ端末部(電極部分)を強固に作る必要がなくなる。このため、電極部分からの熱の逃げが小さく、ヒータの温度分布が一様になる。さらに、間接的に炉芯管を加熱することができるため、炉芯管の一様な温度分布が得られやすい。
(D) ヒータを含む炉内全てがC/Cコンポジット材等の黒鉛材で製作でき、金属蒸気等による汚染の心配がない。
なお、C/Cコンポジット材とは、炭素繊維を芯材とし、それを炭素で固めた炭素繊維と炭素複合材である。また、C/Cコンポジット材の製法としては、炭素繊維にフェノール系樹脂をバインダとして含浸させた後、熱処理を施し、これを数回繰り返すことで作られる。
【0013】
ところが、C/Cコンポジット材をヒータとする炉は以上のような条件を備えており、定点黒体炉として使用するのに適しているものの、2000℃以上で繰り返し使用することは困難である。
すなわち、C/Cコンポジット製ヒータを空気中で使用すると酸素と反応するため、無酸素状態、通常は真空中で使用する。この方法では2000℃までなら問題なく使用できるものの、2000℃以上の高温で使用すると、ヒータのC/Cコンポジット材を構成する黒鉛自身が徐々に昇華し、全体的に抵抗値が上がるため、いずれは焼き切れてしまうという問題が生じている。
【0014】
そこで、本発明の発明者は、さらに、上記問題を解決して2000℃以上の高温域で定点炉として繰り返し使用が可能となる加熱炉を開発、出願した(例えば、特許文献1参照)。
【0015】
【特許文献1】
特願2002―024746号(第6〜7頁、図1)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、アルゴンガス雰囲気中で高温に加熱すると、例えば、2350℃付近で放電現象が起きることが知られている。この放電現象は、アルゴンガスがイオン化するときに生じるもので、ガスを通して電流が流れる現象である。そのため、アルゴンガス雰囲気中では、それ以上の高温にすることができないという課題がある。
しかし、この課題は、前記特許文献1のように、素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することにより解決することができるようになった。すなわち、特許文献1の加熱炉では、面状発熱体による炉芯管の加熱は、炉芯管の内部では不活性ガスであるアルゴンガス、炉芯管の外部では、不活性ガスである窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスの雰囲気中で行われるようになっている。その結果、2350℃付近で生じる放電を防止することができ、真空中で行われる場合に生じる黒鉛自身の昇華により、繰り返し使用するうちに焼き切れてしまうということがなくなり、2000℃以上、例えば、2500℃にまで昇温することが可能となり、その高温域でもヒータの繰り返し使用が可能となっている。
【0017】
ところが、素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することにより、放電現象を抑えることは解決できたが、今度は、炉内が2300℃位の高温になったとき、窒素ガスが炉内のあらゆるグラファイトと反応し、それによる不具合が生じている。例えば、被加熱体を収容するグラファイト製のるつぼでは、2300℃位の高温になったとき、窒素ガスと反応する結果、繰り返し使用するとグラファイトが徐々に崩れ、ついには定点物質を収容することができなくなり、るつぼとしての役割を果たせなくなる。
また、窒素ガスがヒータ(C/Cコンポジット材)と反応すると、ヒータの寿命が短くなり、窒素ガスが断熱材(グラファイトフェルト)と反応すると、断熱材の断熱性能を維持できなくなる。さらに、炉内の部材はほとんどグラファイト製となっているため、それらの部材とグラファイトとの反応により、炉内の構造が維持できなくなる。
また、グラファイトが窒素ガスと反応すると有毒なシアンガスが発生し、加熱炉の外部に漏れた場合周囲に悪影響を及ぼすので、結局、2300℃位以下の高温までは、窒素ガスとアルゴンガスとの混合ガスを使用することができるが、それ以上の高温では使用することができなくなる。
一方で、2500℃以上の高温域での繰り返し温度定点を実現できる技術が要望されている。
【0018】
本発明の目的は、2500℃以上の高温域で繰り返し使用が可能となる加熱炉を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、胴部を有する炉本体と、この炉本体内に設けられるとともに内部に被加熱体が収納される炉芯管と、前記炉本体に設けられる不活性ガス導入手段と、前記炉芯管および被加熱体を不活性ガスの雰囲気中で加熱するC/Cコンポジット(炭素/炭素複合材)製の面状発熱体と、を備えて構成され、前記炉本体内部には、前記被加熱体、前記炉芯管および前記面状発熱体の熱を外部に逃がさない断熱部材が設けられ、この断熱部材は、前記面状発熱体を囲い、かつ、前記炉本体内径周面との間に所定の隙間を保って設けられ、この隙間内には断熱用のアルゴンガスが封入され、 前記不活性ガス導入手段は、前記炉芯管と前記断熱部材との間にヘリウムガスを導入するヘリウムガス導入部を備えたことを特徴とする加熱炉である。
【0020】
このような本発明によれば、炉芯管等の加熱が炉本体内で用いられるグラファイトと反応しない不活性ガスの雰囲気中で行われるので、真空中で行われる場合に生じる黒鉛自身の昇華により、繰り返し使用するうちに焼き切れてしまうということがなくなる。また、不活性ガスの雰囲気中で加熱するので、2350℃付近で生じる放電を防止することができ、それ以上の温度にまで昇温することが可能となる。さらに、不活性ガスがグラファイトと反応しないので、この加熱炉を、例えば定点校正用加熱炉として用い、炉芯管内にグラファイト製のるつぼを収納する場合でも、るつぼが崩れたり、有毒ガスが発生することがなく、その結果、2500℃以上の高温域でもヒータの繰り返し使用が可能となる。
【0021】
以上の本発明において、加熱炉は、被加熱体としての定点物質を使用する定点校正用加熱炉の他、高温の放射エネルギーを放つものがあって、任意の高温状態を維持することができ、その温度に対して例えば2つの温度計を比較するために用いる比較校正用加熱炉であってもよい。そして、この場合、被加熱体は、グラファイト製の空洞部により構成される。また、不活性ガス雰囲気中とは、例えば、アルゴン,ネオン,ヘリウム,クリプトン,キセノン,ラドンの雰囲気中であることが好ましい。さらに、面状発熱体の形状は、六角形等の多面体に形成されてもよく、あるいは円筒状であってもよい。
【0022】
のような本発明によれば、炉芯管および被加熱体の加熱がヘリウムガスの雰囲気中で行われるためグラファイトと反応せず有毒ガスを発生したりすることがなくなり、2500℃以上の高温域にまで昇温することが可能となる。その結果、例えば2500℃の高温に対応する温度計の校正が可能となる。
【0023】
しかも、本発明では、前記不活性ガスとしては、記炉芯管の外部ではヘリウムガスが使用されることを特徴とするものである。
【0024】
このような本発明によれば、炉芯管の内部では、他の物と反応しにくいアルゴンガスが使用されるので、炉芯管の内部の高温物体が金属であっても反応せず、従って、高温物体を最適の状態に維持することができる。また、炉芯管の外部ではヘリウムガスが使用されており、このヘリウムガスのイオン化ポテンシャル値が24.587eVであるのに対し、アルゴンガスのイオン化ポテンシャル値は15.759eVであり、ヘリウムガスの方がイオン化ポテンシャル値が高い(例えば、丸善株式会社発行 化学便覧 基礎編 改訂3版 II−576 表14・33参照)。そのため、放電を抑えることができるとともに、ヘリウムガスと定点物質を収納するグラファイト製のるつぼと反応することはなく、従って、るつぼが化学反応により崩れたり、有毒ガスを発生したりすることがなく、2500℃以上の高温域にまで昇温することが可能となる。その結果、例えば2500℃の高温に対応する温度計の校正が可能となる。
【0026】
このような本発明によれば、面状発熱体の熱を外部に逃がさない断熱部材の外側の、炉本体との間の隙間に断熱用のアルゴンガスが封入されているので、二重の断熱効果を得ることができ、所定の高温を維持することができる。
ここで、面状発熱体による炉芯管等の加熱は、炉芯管外側ではヘリウムガスの雰囲気中で行われているが、ヘリウムガスは、アルゴンガスに対して熱伝導率が、例えば3000℃のとき、ヘリウムガスが8.51W/m2kであるのに対して、アルゴンガスは、0.938W/m2kであり、約10倍の数値を示し、はるかに大きい(例えば、IFI/PLENUM刊行のTHERMOPHYSICAL PROPERTIES OF MATTER VOLUME3、において、例えば3000℃欄参照)。
従って、ヘリウムガス雰囲気中で加熱しても、熱が逃げ出し、断熱効果が得られない。しかし、本願請求項4の発明では、断熱部材の外側にヘリウムガスに比べて熱伝導率の小さなアルゴンガスを封入したので、断熱効果が得られ、所定の高温を維持することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1,2に示すように、本発明に係る加熱炉1は、横型で通電加熱電気炉タイプの温度計校正用定点黒体炉であり、各種温度計の温度を校正することができるようになっている。
そして、加熱炉1は、炉本体2と、この炉本体2に設けられる不活性ガス導入手段5およびガス置換用真空排気手段6と、温度を制御する温度制御装置8(図8参照)とを備えて構成されている。
【0028】
炉本体2は、胴部3と、その両端のフランジ10,11とを含み構成されている。胴部3は、外部胴30および内部胴31からなる二重構造とされている。
フランジ10の外側には、前記不活性ガス導入手段5を構成するガス導入部材13,14、温度計取付け手段75等が設けられている。また、フランジ11の外側には、ガス排出口であるとともに、ガスブロー入り口でもあるガス出入り口ノズル16を含み構成される空気侵入防止機構17、クランプ18、および蓋体を構成する覗き窓部19等が設けられている。
【0029】
胴部3の内部胴31の内部には、当該内部胴31の長手方向に沿い、かつ、内周に沿った均等位置に、丸棒で形成された所定長さの、例えば6本のガイド35が固定されている。これらのガイド35は、円筒状の外側断熱部材37と内側断熱部材42を取付・支持するものである。従って、外側断熱部材37の外周と内部胴31との間には、少なくともガイド35の直径の分の空隙Sが形成されていることになる。また、外側断熱部材37および内側断熱部材42は、両端面を第1断熱部33と第2断熱部45とにより挟み込まれている。
【0030】
すなわち、フランジ10側端面には第1断熱部33が設けられており、この第1断熱部33は、第1押えプレート36と第3押えプレート34とで、第1端部断熱部材39、第1内側端部断熱部材43を、グラファイト製のボルトとナットで挟み込んだ状態に形成されている。
同様に、フランジ11側端面には第2断熱部45が設けられており、この第2断熱部45は、第2押えプレート38、第2端部断熱部材40、第2内側端部断熱部材44、第4押えプレート41を含んで構成されている。
【0031】
これらの押えプレート36,38,34,41は、C/Cコンポジット材で形成されており、また、断熱部材37,39,40,42,43,44は、カーボンフェルトで形成されている。断熱部材37,42は前述のように円筒状に形成され、断熱部材39,43,40,44は円板状に形成され、押えプレート36,34,41,38は薄板で円板状に形成されている。
【0032】
第1押えプレート36の第1フランジ10側表面には、第1押えプレート36の外径とほぼ同じ外形寸法の円筒部材25の一端が取り付けられている。この円筒部材25の他端は、第1フランジ10の内部壁部に当接されている。その結果、第1断熱部33、第2断熱部45の外周と内部胴31との間に形成されている空隙S内にアルゴンガスが充満されているが、そのアルゴンガスが上記円筒部材25内に侵入することは不可能となっている。
【0033】
第1、第2内側端部断熱部材43,44および第3、第4押えプレート34,41の中心部にはそれぞれ穴があけられており、これらの穴に嵌め込まれて炉芯管46が設けられている。この炉芯管46は、第1、第2内側端部断熱材43,44内に設けられた第1炉芯部材47と、この第1炉芯部材47に連続するとともに、フランジ11側に延びた第2炉芯部材48とで構成されている。
【0034】
第1、第2炉心部材47,48とも、C/Cコンポジット材(炭素/炭素複合材)で形成されている。このうち、第1炉心部材47は、一端が第1端部断熱部材39の側面に当接されるとともに、他端が第2端部断熱部材40の外側の側面と同じ位置まで延びており、第2炉心部材48は、第1炉心部材47に連続し、途中、支持パイプ49内を貫通することで支持され、他端が前記第2フランジ部11の外フランジ11Bの中心近傍に設けられたリング部材50の途中まで延びている。
【0035】
このような炉心管46の第1炉心部材47の内部には、るつぼ52が収容されている。このるつぼ52は、グラファイト製とされ、その内部に被加熱体としての所定の定点物質が収納されている。この定点物質は、例えば、TiC−Cのような金属炭化物−炭素共晶で構成されており、2761℃で再現性のよい固相−液相間の相移転を示すため、これを温度計で観測することでこの温度での温度計の校正が可能である。
なお、るつぼ52は、図略の保持部材により炉心管46の内部所定位置に保持されている。
【0036】
炉芯管46の第1炉芯部材47の周囲には、当該第1炉芯部材47の外周と所定の隙間をあけて、図3にも示すような、面状発熱体であるC/Cコンポジット(炭素/炭素複合材)ヒータ55が設けられている。
ヒータ55は、薄板、例えば約1mmの6枚の面状部材55A〜55Fを組合せて形成されている。各面状部材55A〜55F同士はそれぞれ切り離して形成されているが、例えば第1内側端部断熱部材43側の一端部同士が、所定長さの接続部材56で接続されている。また、各面状部材55A〜55Fには接続部材56側の端部から第1炉芯部材47に沿って第2炉芯部材48側に延びる所定長さの切欠き部55Gが形成されている。
【0037】
各面状部材55A〜55Fのうち、例えば互いに相対位置に面状部材55Aの一端と面状部材55Dの一端とを、他の面状部材55B等より突出させ、これら面状部材55A、55Dの一端に電極58を設け、これらの電極58から電流を流すことにより各面状部材55A〜55Fを加熱し、これにより、第1炉芯部材47が加熱され、最後にるつぼ52が加熱されるようになっている。
【0038】
図4に示すように、ヒータ55は、面状部材55Aと55Dの突出した一端をフランジ10側に前記第1押えプレート36を越えて配置するとともに、その端部の電極58を、ボルト59でヒータ取付部材60に固定して取り付けられている。このヒータ取付部材60は、ボルト61により取付けプレート62に固定され、この取付けプレート62は、図1に示すように、フランジ10に設けられている絶縁碍子63を介して、電流導入端子64に固定されている。
【0039】
前記不活性ガス導入手段5は、図1に示すように、炉芯管46内にアルゴンガスを導入するアルゴンガス導入部65と、胴部3内にヘリウムガスを導入するヘリウムガス導入部66とを含み構成されている。
アルゴンガス導入部65は、炉芯管46内に収容される前記るつぼ52と反応性の高い金属が、炉芯管46内に存在しないように、炉芯管46内にアルゴンガスを注入し、炉芯管46内をアルゴンガス雰囲気にするために設けられ、図2に示すように、前記ガス導入部材14を備えている。このガス導入部材14はガス管67の側面に設けられ、このガス管67は、フランジ10に設けられている。
【0040】
ガス管67の炉芯管46側先端には別の配管68が接続されており、配管68の先端は、前記第1端部断熱部材39にあけられた孔に入り込んでいる。その結果、前述のように、第1端部断熱部材39の側面には炉芯管46が当接しているので、ガス導入部材14から導入されたアルゴンガスは、炉芯管46内に導入可能となっている。
そして、ここにおいて、前記ガス導入部材14、ガス管67および配管68を含んで前記アルゴンガス導入部65が構成されている。
【0041】
ヘリウムガス導入部66は、図5に詳細を示すように、一端がフランジ10の外部に設けられたガス導入部材13を備え、このガス導入部材13には配管69が接続されている。この配管69は、胴部3の中心線と平行に炉芯管46側に延び、第1端部断熱部材39および第1内側端部断熱材43を貫通して、先端が押えプレート70に当接されている。
押えプレート70には、ガス導入穴70Aがあけられており、これにより、ガス導入部材13から導入されたヘリウムガスは、炉芯管46の外周、つまり、ヒータ55の周囲に充満されるようになっており、その結果、炉芯管46の外部での加熱は、ヘリウムガス雰囲気中で行われることになる。
そして、前記ガス導入部材13、配管69等を含んで前記ヘリウムガス導入部66が構成されている。
【0042】
また、胴部3にはガス流入口71(図1参照)が設けられている。このガス流入口71からは、外側断熱部材37の外周と内部胴31との間に形成されている前記空隙Sに向けて断熱用としてアルゴンガスが流入されるようになっている。すなわち、前述のように、ヒータ55の周囲等には、ヘリウムガスが充満され、その雰囲気中でヒータ55の加熱が行われるが、ヘリウムガスの熱伝導率がアルゴンガスに比べて約10倍と、はるかに高く、そのままでは折角加熱した熱が逃げてしまうので、その高熱を逃がさないように、ヘリウムガスの外周をアルゴンガスで覆って断熱効果を高めるように構成されている。
【0043】
アルゴンガス導入部65のガス管67において配管68の反対側端部には、前記温度計取付け手段75が設けられている。温度計取付け手段75は、パイプ部材と一体化した外側フランジ部76と内側フランジ部77とを含み形成され、両フランジ部76,77の中心には貫通穴があけられている。両フランジ部76,77間には、石英ガラス78が挟み込まれ、また、外側フランジ部76のパイプ部材外側先端には、温度計取付け口76Aが設けられ、その取付け口76Aに、温度制御用の2色放射温度計83が取付けられるようになっている。そして、この2色放射温度計83による温度制御は、例えば、1000℃〜2500℃以上の範囲を可能となっている。
【0044】
図1,6に示すように、フランジ11の外側には蓋部材88が設けられ、蓋部材88の中心部には、前記リング部材50が挿入されている。また、蓋部材88の外部には、前記空気侵入防止機構17を構成する排気・ブロー機構が設けられている。
排気・ブロー機構17は、リング部材50との間に押えリング51を挟んで蓋部材88に固定されるフランジ部材90と、当該フランジ部材90に設けられる外筒部材91および内筒部材92と、内筒部材92に接続されたブロー部材93とを備えて構成されている。
【0045】
ブロー部材93は、例えば、金属粉末を圧縮成形し、溶融点以下の温度で焼固めた焼結金属で形成されている。また、外筒部材91には、図6に示すように、前記ガス出入り口ノズル16が設けられている。
ガス出入り口ノズル16には、第1のバルブ161と第2のバルブ162とが接続されている。第2のバルブ162は、そのバルブ162を開けることにより、覗き窓部19が取付けられた状態で運転されているとき、前記ガス導入部材14から導入されたアルゴンガス、ガス流入口71から導入されたアルゴンガス、およびガス導入部材13から導入されたヘリウムガスを大気中に排出できるようになっている。この際、ガス流入口71から導入されたアルゴンガスと、胴3内に充満しているヘリウムガスとは、フランジ11とリング部材50および押えリング51との隙間を通り、さらに、ブロー部材93を通って第2のバルブ162から放出される。
【0046】
これに対して、第1のバルブ161は、第2のバルブ162が開けられているときは閉じられており、覗き窓部19を取外したとき開けられるようになっている。このとき、第2のバルブ162は閉じられている。
第1のバルブ161が開けられているとき、そのバルブ161からブロー部材93に向けて窒素ガスが吹込まれるようになっている。吹き込まれた窒素ガスは、前述のように焼結金属で形成されたブロー部材93に染み込むように吸収された後、そこから均一にブロー部材93内部に流出されるとともに、出口Bから排出される。そのため、炉芯管46内には外部からの空気が侵入しない。
【0047】
第1のバルブ161から窒素ガスが吹込まれているとき、つまり、覗き窓部19が取外されているとき、ガス導入部材14から導入されたアルゴンガス、ガス流入口71から導入されたアルゴンガス、およびガス導入部材13から導入されたヘリウムガスは、第1のバルブ161から吹き込まれた窒素ガスとともに、出口Bから排出される。この際、ガス流入口71から導入されたアルゴンガスと、胴3内に充満しているヘリウムガスとは、フランジ11とリング部材50および押えリング51との隙間を通り出口Bから排出される。
以上のように、ガス出入り口ノズル16は、アルゴンガスおよびヘリウムガスの排出と、窒素ガスを流入させる2つの役割を果たしている。
【0048】
排気・ブロー機構17の外筒部材91の先端には、前記クランプ18が設けられている。クランプ18は、一端部を支点として径方向に2つ割可能となっており、排気・ブロー機構17の外筒部材91に対して覗き窓部19を容易に着脱できるようになっている。
【0049】
覗き窓部19は、るつぼ52内の定点物質のプラトー状態を観察するものであり、図1に示すように、間に石英ガラスで形成された覗き窓97を挟み込んだ外フランジ98と内フランジ99とを備えて構成され、内フランジ99には、筒部材101が設けられている。そして、前述のように、このような覗き窓部19は、クランプ18によってクランプ・アンクランプ可能とされ、昇温中であっても、排気・ブロー機構17に対して容易に着脱できることになる。
【0050】
以上のような構成となった加熱炉1の胴部3と、その胴部3内の不活性ガスと、その不活性ガスの導入部および排出部との関係が、模式的に図7に示されている。この図7から、炉心管46の内部にアルゴンガス(Ar)、炉心管46の外部にヘリウムガス(He)、前記空隙Sにアルゴンガス(Ar)がそれぞれ充満されていることがわかる。そして、炉心管46の外部のヘリウムガス(He)に対して、第1断熱部33、第2断熱部45、外側断熱部材37および内側断熱部材42の断熱部と、その外周のアルゴンガス(Ar)による断熱部との二重構造の断熱施工が行われていることがわかる。
【0051】
胴部3の側部には、図2に示すように、図略の真空装置とともに前記ガス置換用真空排気手段6を構成する真空排気口32が設けられている。この真空排気口32は、炉芯管46内にるつぼ52の出し入れを行った後、炉芯管46および胴部3内を不活性ガス雰囲気にするために、炉芯管46および胴部3内の空気を前記真空装置により抜き出すものである。
【0052】
また、胴部3の側部には、温度制御用の熱電対110が設けられている。この熱電対110は、胴部3の外部から第1炉心部材47に向けて水平に設けられ、先端が第1炉心部材47に接触している。
すなわち、胴部3の外部胴30から内部胴31にわたって取付けボス111が設けられ、この取付けボス111に、内部に熱電対本体112を収容した鞘管113が設けられている。本実施形態では、この熱電対110と前記2色放射温度計83とが、温度範囲に応じて使い分けされている。例えば、600℃〜1000℃までは熱電対110により制御され、それ以上、1000℃〜2500℃以上は、2色放射温度計83により制御されるようになっている。
【0053】
これらの熱電対110および2色放射温度計83は、図8に示すように、温度制御装置8により制御される。この温度制御装置8は、温度調節器121と、この温度調節器121に接続される電力調整器122および制御切換手段123とを備えている。制御切換手段123には、熱電対110および2色放射温度計83が接続され、また、電力調整器122には、電源124を介して前記ヒータ55が接続されている。
【0054】
温度調節器121には、予め所定の設定温度が格納されており、この設定温度と、熱電対110または2色放射温度計83からの検出温度とを比較して必要な調節出力を電力調整器122に送出するようになっている。そして、電力調整器122は、温度調節器121からの調節出力をヒータ55に送出するようになっている。従って、定点温度が熱電対110の測定範囲以内、例えば1000℃以内なら、制御切換手段123を切換えておいて、熱電対110で温度制御を行い、熱電対110の測定範囲を超える、例えば1000℃以上なら、制御切換手段123を切換えておいて、2色放射温度計83で温度制御を行うようになっている。
【0055】
次に、このような加熱炉1による放射温度計の校正方法を説明する。
まず、るつぼ52内に、金属/炭素共晶部材で構成された定点物質を収納し、そのるつぼ52を押し込んで、第1炉芯部材47内の所定位置に収納、保持する。るつぼ52の収納を行った後、ガス置換用真空排気手段6により、胴部3および炉芯管46内の空気を抜く。次いで、ガス導入部材14から、ガス管67および配管68を経由させて炉芯管46内にアルゴンガスを充満させるとともに、そのガスが、排気・ブロー機構17の第1のバルブ161を閉じ、第2のバルブ162を開けておいてガス出入り口ノズル16から大気に排出されるようにしておく。また、ガス導入部材13から、配管69を経由させてヒータ55の周囲に、ヘリウムガスを流入させる。次いで、ガス流入口71から外側断熱部材37と内部胴31との空隙Sにアルゴンガスを流入する。
【0056】
以上の状態で、校正したい放射温度計の定点温度となるように、定点温度が熱電対110の測定範囲以内、例えば1000℃なら、制御切換手段123を切換え、熱電対110で所定の定点温度を測定できるように、温度制御装置8の温度調節器121から電源124を介してヒータ55に電気を流して加熱し、るつぼ52内の定点物質を加熱する。
【0057】
るつぼ52内の定点物質が溶解し、プラトー状態を覗き窓97から観察することができたら、第1のバルブ161を開け、第2のバルブ162を閉じておいてガス出入り口ノズル16から、アルゴンガスを、ブロー部材93に向けて吹込み、ブロー部材93内部に均一に送り込むことにより、外部から炉心管46内への空気の侵入を防止させる。そして、クランプ18を解除して覗き窓部19を取り外し、次いで、校正したい放射温度計を所定の位置に設置し、るつぼ52内の定点物質から放射される定点温度の放射熱を捉え、その放射温度計の表示された温度が正確か否かを計測する。
【0058】
なお、図9には、以上のような構造の加熱炉1のヒータ55を用いて、前記TiC−Cを定点物質として封入したるつぼ52を加熱したときに、るつぼ52の温度を観測して得られる融解・凝固に伴うプラトーが示されている。そして、この図9から、2761℃まで昇温していることがわかる。
【0059】
このような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1) ヒータ55による炉芯管46等の加熱が、アルゴンとヘリウムガスとの雰囲気中で行われるので、炉芯管46内に収納されたるつぼ52がグラファイト製であっても、ヘリウムガスが、グラファイトと化学反応を起こさないので、容易に昇温することができ、2500℃以上の高温域を得ることができる。
(2) ヒータ55による炉芯管46等の加熱時に、ヘリウムガスが、グラファイトと化学反応を起こさないので、有毒ガスを発生することもなく、これにより、加熱炉の使用に際して、周囲に悪影響を及ぼすことがなくなる。
【0060】
(3) ヒータ55による炉芯管46等の加熱が、炉芯管46の外部ではヘリウムガスの雰囲気中で行われるが、外側断熱部材37と内部胴31の内径との空隙Sに断熱用のアルゴンガスが封入されているので、アルゴンガスに対して熱伝導率が大きなヘリウムガスを通して高熱が逃げるのを防止することができ、所定の高温を維持することができる。
(4) ヒータ55による炉芯管46等の加熱が、アルゴンとヘリウムガスとの雰囲気中で行われるので、真空中で行われる場合に生じるヒータ55を構成する黒鉛自身の昇華により、繰り返し使用するうちにヒータ55が焼き切れてしまうということがなくなる。その結果、2500℃以上の高温域で定点炉として繰り返し使用が可能となる。
【0061】
(5) ヒータ55による炉芯管46の加熱が、炉芯管46の内部では他の物と反応しにくいアルゴンガスの雰囲気で行われるので、るつぼ52内の定点物質を最適の状態に維持することができる。また、炉芯管46の外部ではヘリウムガスの雰囲気中で行われるので、所定温度以上の高温域に達すると生じる放電現象を抑えることができ、例えば2500℃以上の高温まで、容易に昇温することができる。従って、高温の放射温度計の校正が可能となる。
【0062】
(6) るつぼ52がグラファイト製とされ、炉芯管46およびヒータ55がC/Cコンポジット材(炭素/炭素複合材)製とされているので、グラファイトるつぼ、およびるつぼ内の金属の汚染源となる異物が炉内に存在せず、従って、汚染源のために凝固点の降下等の不具合が生ぜず、再現性のよい溶解・凝固プラトーの観測が可能となる。
【0063】
(7) C/Cコンポジット製とされたヒータ55の厚みは約1mmとされるとともに六面体に形成されているので、表面積を大きくとれ、薄くても効率よく加熱できる。また、所定長さの切欠き部55Gが形成され、断面積が小さくなっているとともに、ヒータ長さが数倍長くなった分、抵抗値が大きくなり小電流で加熱に必要なパワーを投入できるため、電源に使用するトランス等の電線や電極を細径化でき、装置全体の小型化を図れる。
【0064】
(8) 炉芯管46がC/Cコンポジット(炭素/炭素複合材)製となっており、熱が逃げやすい性質を有しているが、第1炉芯部材47と第2炉芯部材48とに分割されているので、熱の逃げを防止することができ、結果的にヒータ55に多大な負荷をかけなくてすむ。
(9) 放射温度計の校正時、覗き窓部19を取外せるので、覗き窓部19を取付けたまま校正する場合と比べ、窓の汚れにより生じる放射率の低下等の影響を受けず、高温の放射エネルギーに対して直接放射温度計の校正を行うことができる。その結果、精密な温度校正が可能となる。
【0065】
(10)排気・ブロー機構17の外筒部材91のガス出入り口ノズル16から窒素ガスを吹き込むことにより、この窒素ガスが、図6に示すように、焼結金属で形成されたブロー部材93に染み込むように吸収された後、そこから均一にブロー部材93内部に流出されるとともに、出口B側に排出される。そのため、覗き窓部19を取り外しても、外部から炉芯管46への空気の侵入を防止することができ、炉芯管46のアルゴンガス雰囲気を正常に維持することができる。
【0066】
(11)排気・ブロー機構17の外筒部材91に設けられたガス出入り口ノズル16は、覗き窓部19を取外さないとき、つまり、ヒータ55による炉芯管46の加熱時は、炉芯管46内のアルゴンガスを大気に排気できるので、覗き窓部19を取外すときのブローの役割と合わせて2つの役割を果たすことができ、これにより、省部材化を図ることができる。
【0067】
(12)加熱炉1の両端において、炉芯管46の延長線上の温度計取付手段75および覗き窓部19には、石英ガラス78,97が設けられているので、運転中、外部からの炉芯管46への空気の侵入を防止することができる。
(13)熱電対110と放射温度計83とを備え、温度範囲に応じてこれらを使い分けすることができ、熱電対110で制御できる温度の上限までを制御可能な熱電対を使用しなくてもよくなるので、熱電対110にかかる費用を低減することができるとともに、それぞれの温度範囲に応じた熱電対110と放射温度計83とを使用するので、正確な温度制御が可能となる。
【0068】
次に、図10に基づいて本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態では、炉芯管46を加熱するヒータを3分割したものである。
すなわち、本実施形態のヒータ155は、炉芯管46の長さ方向両端に配置された径の小さな第1、第2ヒータ156,157と、これらのヒータ156,157の間に設けられる第3ヒータ158とを備えて構成され、第3ヒータ158の両端部は、第1、第2ヒータ156,157の一方端部を覆うようになっており、これら各ヒータ156〜158は入れ子状に形成されている。
【0069】
各ヒータ156〜158は、互いが連結、固定されるとともに、第1ヒータ156が前記支持プレート36を介して、図1に示す構造とほぼ同じ構造でフランジ10に固定されている。また、ヒータ156〜158は、それぞれ、第1実施形態の図3と同じように、つまり、面状部材55A〜55Fで構成された構造とほぼ同じ構造となっている。
なお、本実施形態と前記第1実施形態とでは、ヒータ55とヒータ155とが異なるだけなので、図10においては、その部位の符号と主な部位の符号のみ付す。
【0070】
このような本実施形態によれば、前記第1実施形態の(1) 〜(13)と同様の効果の他、次のような効果がある。
(14)ヒータ155が長さ方向に、第1〜第3ヒータ156〜158の3つに分割されているので、それぞれを制御することで、分割されないヒータに比べて、より均一な温度分布を得ることができる。
【0071】
なお、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できるものであれば、次に示すような変形形態でもよいものである。
例えば、前記各実施形態の加熱炉を放射温度計の校正用に用いたが、これに限らず、本発明の加熱炉は、熱電対の校正を行う場合にも適用することができる。
この場合、温度計取付手段75には所定の熱電対を取り付けることができるようになっており、熱電対を温度計取付手段75の温度計取付口76Aに取り付けた後、前記と同様の手順により、その熱電対の校正を行う。
【0072】
また、前記各実施形態の加熱炉は、るつぼ52内に所定の定点物質が収納され、この定点物質の昇温、降温に対して、放射温度計を校正する定点校正用加熱炉として使用されるものであったが、これに限らない。例えば、定点物質を用いずに、任意の温度にコントロールされてその温度を維持している高温の物体に対して、2つの温度計で同じ部位を見て、それらの温度計同士を比較する比較校正用加熱炉として用いてもよい。そして、この場合、被加熱体は、グラファイト製の空洞部により構成される。
【0073】
また、前記第1実施形態のヒータ55は、6枚の面状部材55A〜55Fを組合せ、第2実施形態のヒータ155も同様の構成とされているが、面状部材は、6枚に限らず、例えば4枚、8枚等複数枚から形成してもよい。
また、前記第各実施形態のヒータ55,155は、6枚の面状部材55A〜55F等を組合せて形成されているが、これに限らず、図11に示すように、円筒形状の面状発熱体255としてもよい。この円筒形状の面状発熱体255には、炉芯管に沿った所定長さの切欠き部255Gが形成されている。また、面状発熱体255の隣り合う切欠き部255Gの間、かつ、相対位置には一端部から突出した突出部が形成され、この突出部が電極258と成されている。
このような実施形態によれば、面状発熱体255は一体構造となっているので、前記各実施形態のヒータ55,155に繋ぎ目があり、例えば2500℃の高温域で使用する場合に生じる、繋ぎ目が弱いという課題を解決することができる。
【0074】
また、前記各実施形態では、炉芯管46を、第1炉芯部材47と第2炉芯部材48との2分割としたが、分割数は限定されない。炉芯管の径や長さに応じて例えば3分割、4分割としてもよい。
また、前記第2実施形態では、ヒータ155を、第1〜第3面状ヒータ156〜158の3分割にして形成したが、これに限らず、例えば、2分割、4分割としてもよい。
さらに、前記変形形態の円筒形状の面状発熱体を、第2実施形態のように長さ方向に例えば3分割し、互いに入れ子状に組み合わせてもよい。
【0075】
また、前記各実施形態では、炉芯管46の内部ではアルゴンガスが使用され、炉芯管46の外部ではヘリウムガスが使用される構成であったが、これに限らない。炉芯管46等の加熱がるつぼの材料のグラファイトと反応しない不活性ガスの雰囲気中で行われればよいので、炉芯管46の内部および外部ともヘリウムガスの雰囲気中で行われるようにしてもよい。
【0076】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の加熱炉によれば、炉芯管等の加熱がるつぼの材料のグラファイトと反応しない不活性ガスの雰囲気中で行われるので、真空中で行われる場合に生じる黒鉛自身の昇華により、繰り返し使用するうちに焼き切れてしまうということがなくなる。また、不活性ガスの雰囲気中で加熱するので、2350℃付近で生じる放電を防止することができ、それ以上の温度にまで昇温することが可能となる。さらに、不活性ガスがグラファイトと反応しないので、るつぼが崩れたり、有毒ガスが発生することがなく、その結果、2500℃以上の高温域でもヒータの繰り返し使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施形態の加熱炉を示す全体縦断面図である。
【図2】図1におけるII矢視図である。
【図3】前記実施形態の面状発熱体を示す斜視図である。
【図4】前記実施形態の面状発熱体の取付け状態を示す縦断面図である。
【図5】図1におけるA部を示す詳細図である。
【図6】前記実施形態の要部を示す縦断面図である。
【図7】前記実施形態の不活性ガスの分布状態を示す模式図である。
【図8】前記実施形態の要部を示す構成図である。
【図9】前記実施形態の加熱炉により得られる温度状態を示す図である。
【図10】本発明に係る第2実施形態の加熱炉を示す全体縦断面図である。
【図11】本発明に係る変形形態の面状発熱体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 加熱炉
2 炉本体
5 不活性ガス導入手段
8 温度制御装置
17 空気侵入防止機構である排気・ブロー機構
46 炉芯管
52 グラファイト製のるつぼ
55,155 面状発熱体であるヒータ
65 アルゴンガス導入部
66 ヘリウムガス導入部
75 温度計取付手段
93 ブロー部材
110 熱電対

Claims (1)

  1. 胴部を有する炉本体と、
    この炉本体内に設けられるとともに内部に被加熱体が収納される炉芯管と、
    前記炉本体に設けられる不活性ガス導入手段と、
    前記炉芯管および被加熱体を不活性ガスの雰囲気中で加熱するC/Cコンポジット(炭素/炭素複合材)製の面状発熱体と、を備え、
    前記炉本体内部には、前記被加熱体、前記炉芯管および前記面状発熱体の熱を外部に逃がさない断熱部材が設けられ、この断熱部材は、前記面状発熱体を囲い、かつ、前記炉本体内径周面との間に所定の隙間を保って設けられ、この隙間内には断熱用のアルゴンガスが封入され、
    前記不活性ガス導入手段は、前記炉芯管と前記断熱部材との間にヘリウムガスを導入するヘリウムガス導入部を備えた
    ことを特徴とする加熱炉。
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