JP6754820B2 - 打撃/衝突による振動数の調整及び緩和 - Google Patents

打撃/衝突による振動数の調整及び緩和 Download PDF

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Description

本開示は、打撃及び衝突から保護するための構造体設計における新規の発想に関するものである。
本セクションでは本開示に関連する背景的情報を提供するが、それらは必ずしも先行技術というわけではない。本セクションでは本開示の概要を提供するが、その全範囲又はその特徴の全てを包括的に開示するものではない。
衝突事象の結果として複合材料を通って伝播するエネルギーを最適かつ繰り返し散逸させる複合材料の設計方針、及び、その設計における例示的な実施形態を提供する。
本教示の原理に従った設計方針では、複合材料を通って伝播する応力波の振動成分を調節するための1層又は複数層の弾性層、及び、その振動数のエネルギーを散逸させるための粘弾性層を用いる。本発明における現在の試験結果及びコンピュータ結果は、この設計が、効率的に圧力を緩和して、複合材料を通り伝播したエネルギーを散逸させることを示している。
本教示における一部の実施形態では、衝突荷重により複合材料を通って伝播する力(圧力)を緩和させると同時に、衝撃波を最適に低減させるように選択され構成された軽量の弾性構成部材及び粘弾性構成部材からなる複合材料構造体を提供するが、それは通常、MITIGATIUM(商標)設計と呼ばれている。このMITIGATIUM設計規程の開発につながった手法の革新的なところは、散逸性が高い材料単独では通常、衝突荷重に対して有用とはならないことを認識したことである。むしろ、対応する機械的特性を含む特定の関係に基づいて、散逸用の構成部材がその他の構成部材と対をなした層状の複合材料を用いることによってのみ、最適に繰り返し散逸させることができる。
本教示の原理に従えば、弾性構成部材及び粘弾性構成部材の特性、及び、層機構内におけるそれらの配置は、以下の3つの効果を達成するために最適に選択される。1)複合材料を通って伝播する圧力を減衰させること、2)複合層内部において応力波の振動成分を調節すること、またそれにより、3)衝撃波により付与されたエネルギーを、複合材料を通って伝播する際に効率的に散逸させること。MITIGATIUMの相乗性は、散逸用の構成部材をその他の構成部材(複数可)と対にすることにより高まる。その他の構成部材(複数可)は、弾性材料を通って伝播した応力波を散逸層の粘性応答により最も効率的に散逸させることが可能な振動数へと調整するように特に選択される。したがって、本革新は、このMITIGATIUMの実施に実際に選択する材料とはほとんど関係しない。しかしその代わり、調整のコンセプト、及び、任意の用途に求められる材料特性における特定の組み合わせを選択する方法と関係している。理論的には、MITIGATIUM設計規程を満たす弾性材料及び粘弾性材料の組み合わせの数には制限はない。しかしながら、異なる用途においては、必要に応じて設計を調整する必要がある。
更に、その応用範囲は、本明細書が提供する記載内容により明らかとなるであろう。この要約における記載内容及び特定の例は、例示目的のみを意図したものであり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
本明細書に記載する図面は、選択した実施形態及び全てではない実行可能な実施態様を例示する目的のみのためであり、本開示の範囲を制限することを意図するものではない。
本教示の原理に従い、単層調整層アセンブリ及び単層散逸層アセンブリの構成を有する、多層調整及び緩和機構を示す図である。 様々な粘弾性材料を用いた図1の多層調整及び緩和機構における、運動エネルギー(KE)の散逸結果を示すグラフである。 本教示の原理に従い、単層調整層アセンブリ及び多層散逸層アセンブリの構成を有する、多層調整及び緩和機構を示す図である。 様々な粘弾性材料を用いた図3の多層調整及び緩和機構における、運動エネルギー(KE)の散逸結果を示すグラフである。 圧子衝突シミュレーションのモデル形状を示す図である。 現行ヘルメット設計のモデル形状を示す図である。 本教示に従い、MITIGATIUMヘルメット設計のモデル形状を示す図である。 斜め衝突荷重における、時間に対する圧力履歴を示すグラフである。 現行ヘルメット設計及びMITIGATIUMヘルメット設計における、脳内部の最大圧力履歴を示すグラフである。 現行ヘルメット設計及びMITIGATIUMヘルメット設計における、脳内部の並進加速度履歴を示すグラフである。 現行ヘルメット設計及びMITIGATIUMヘルメット設計における、脳内部の回転加速度履歴を示すグラフである。 対応する参照番号は、図面におけるいくつかの図にわたって対応する部材を示す。
添付図面を参照しながら、例示的な実施形態をより詳細に説明する。
当業者が本開示を理解できるように、また当業者に本範囲が完全に伝わるように、例示的な実施形態を提供する。本開示の実施形態における完全な理解を提供するため、多くの具体的な詳細、例えば、特定の構成部材、デバイス、及び方法例について記載する。具体的な詳細を用いる必要がないこと、例示的な実施形態を多くの異なる形態で用いてもよいこと、また本開示の範囲を制限すると解釈されるべきではないということは、当業者には明白である。一部の例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び、周知の技術については、詳細には記載しない。
本明細書で用いる用語は、特定の例示的な実施形態を説明する目的のみのためであり、制限されることを意図するものではない。本明細書で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に明確に示さない限り、その複数形も同様に含むことを意図していてもよい。用語「含む/備える(comprises)」、「含む/備える(comprising)」、「含む(including)」、及び、「有する(having)」は包括的であるため、明示した特徴、整数、工程、操作、要素、及び/又は、構成部材の存在を規定するが、1つ又は複数のその他の特徴、整数、工程、操作、要素、構成部材、及び/又は、それらの群の存在又は追加を除外するものではない。本明細書に記載する方法工程、プロセス、及び操作は、実施順が明確に特定されていない限り、必ずしも記載又は示された特定の順でそれらの実施を行う必要があると解釈されるべきではない。また、更なる工程又は代わりの工程を用いてもよいと理解すべきである。
要素又は層が、別の要素又は層「上に」、「と結合する」、「と接合する」、又は「と対になる」と言及される場合、直接その他の要素又は層上に、と結合し、と接合し、又は、と対になっていてもよく、あるいは、介在要素又は層が存在していてもよい。それに対して、要素が、別の要素又は層「の上に直接」、「と直接結合する」、「と直接接合する」、又は「と直接対になる」と言及される場合、介在要素又は層は存在していなくてもよい。要素間の関係性を説明するために用いられるその他の単語(例えば、「との間」に対して「との間に直接」、「に隣接」に対して「に直接隣接」など)は、類似の様式で解釈されるべきである。本発明で用いる場合、用語「及び/又は」は、関連して列挙した要素の1つ又は複数のうち任意のもの、又は、全ての組み合わせを含む。
用語、「第1の」、「第2の」、「第3の」などは、本明細書において、様々な要素、構成部材、領域、層、及び/又は、部分を説明するために用いられてもよいが、これらの要素、構成部材、領域、層、及び/又は、部分は、これらの用語により制限されるべきではない。これらの用語は、一方の要素、構成部材、領域、層、又は、部分を、もう一方の領域、層、又は部分と区別するためだけに用いられてもよい。本明細書で用いる場合、「第1の」、「第2の」、及びその他の数を表す用語などの用語は、文脈上明確に示さない限り、順序又は順番を意味するものではない。したがって、以下に記載する「第1の」要素、構成部材、領域、層、又は、部分は、例示的な実施形態の教示を逸脱することなく、「第2の」要素、構成部材、領域、層、又は、部分と呼ぶことも可能である。
空間的に相対的な用語、例えば、「内側」、「外側」、「真下」、「下部」、「下側」、「上部」、「上側」などは、本明細書において、図面に示す1つの要素又は部材と、別の要素(複数可)又は部材(複数可)との関係性の記載を簡単に説明するために用いてもよい。空間的に相対的な用語は、図面に示した配向に加えて、用いる又は操作するデバイスの異なる配向を包含することを意味していてもよい。例えば、図面中のデバイスを上下反対にした場合、その他の要素又は部材の「下部」又は「真下」と記載された要素は、その他の要素又は部材の「上部」に配置されることになる。それゆえ、例として、用語「下部」は、上部及び下部の両方の配向を包含することができる。デバイスは別様に配向(90度回転、又はその他の配向)されていてもよく、また本明細書で用いる空間的に相対的な記述は適宜解釈される。
導入
冒頭において予期しているであろうが、本発明は、多岐にわたる用途にその有用性が見出される。その用途としては、例えば、車両の装甲、個人用の防護服、打撃保護材、衝突防御材、ベスト、ヘルメット、身体用ガード(胸部保護材、すね部保護材、臀部保護材、肋骨保護材、肘部保護材、膝部保護材、ランニングシューズを含む)、射撃訓練場の防護材、建築用保護材、用具及びデバイスの梱包材などが挙げられるが、これらに限定されない。本教示が、あらゆる打撃及び/又は衝突状況に適用可能であることを理解されたい。
本教示の原理に従い図面に示すように、打撃及び/又は衝突の緩和に、多層調整及び緩和機構10が提供される。一部の実施形態では、多層調整及び緩和機構10は、調整層アセンブリ12及び散逸層アセンブリ14を備える。一部の実施形態では、調整層アセンブリ12は、音響インピーダンスを有する1層又は複数層の個々の弾性層を備えることができる。同様に、散逸層アセンブリ14は、1層又は複数層の個々の粘弾性層を備えることができる。衝突の結果として応力波が生じるが、散逸層アセンブリ14に入射するその振動数は、調整層アセンブリ12の機械的特性及び物理的特性(例えば、音響インピーダンス)、及び、衝突事象そのものの形態及び性質によって決まる。
散逸層アセンブリ14は、応力波による振動数を散逸層アセンブリ14が減衰する範囲へと調整する調整層アセンブリ12と相補的となるように選択される。散逸層アセンブリ14が必要とする減衰振動数は用途別であり、それはつまり、減衰振動数が、衝突事象そのものに加え、衝突緩和構造体そのものの形状及びサイズによるということである。
一部の実施形態において、とりわけ図1及び図2を参照すると、多層調整及び緩和機構10は、単層調整層アセンブリ12及び単層散逸層アセンブリ14を備えることができる。この様式において、単層調整層アセンブリ12は、衝突の応力波による振動数を調整するために、単層散逸層アセンブリ14と連動するのに十分な弾性材料である。単層散逸層アセンブリ14は、結果として調整された応力波による振動数を緩和し、運動エネルギーを散逸させるように選択される粘弾性材料である。図2に示し本明細書に記載するとおり、粘弾性材料は、特定の調整振動数に基づいて選択される。例えば、粘弾性材料V1は、調整振動数の運動エネルギー(KE)の約77%を散逸させるのに十分であり、V2は、調整振動数の運動エネルギー(KE)の約95%を散逸させるのに十分であり、またV3は、調整振動数の運動エネルギー(KE)の約96%を散逸させるのに十分である。約10Jの運動エネルギーで図1の構造体に衝突させた圧子に対応させて、図2を作成した。この実施形態では、調整層アセンブリ12は薄い弾性材料であり、散逸層アセンブリ14はより厚い粘弾性材料である。この例において第2の層に入射する卓越振動数は、0.01〜100Hzの範囲(概算)である。
一部の実施形態において、とりわけ図3及び図4を参照すると、多層調整及び緩和機構10は、単層調整層アセンブリ12及び多層散逸層アセンブリ14を備えることができる。この様式において、単層調整層アセンブリ12は、衝突の応力波による振動数を調整するために、多層散逸層アセンブリ14と連動するのに十分な弾性材料である。多層散逸層アセンブリ14は、それぞれが結果として調整された応力波による振動数の一部を緩和し、運動エネルギーを散逸させるように選択される2つ以上の粘弾性材料を備えることができる。一部の実施形態では、多層散逸層アセンブリ14のいくつかの層を用いて、同一の振動数、異なる振動数、及び/又は、重複する振動数を散逸させることができる。例えば、単層調整層アセンブリ12は、応力波をある範囲の振動数へと調整するように作用することができ、散逸層アセンブリ14の第1の層は、振動数の第1の下位範囲を散逸させることができ、散逸層アセンブリ14の第2の層は、振動数の第2の下位範囲を散逸させることができる。第1及び第2の下位範囲は、異なっていてもよく、重複していてもよく、又は同一であってもよい。図4に示し本明細書に記載するとおり、多層散逸層アセンブリ14の粘弾性材料は、特定の調整振動数に基づいて選択される。例えば、粘弾性材料の複合材料V1は、調整振動数の運動エネルギー(KE)の約80%を散逸させるのに十分であり、粘弾性材料の複合材料V2は、調整振動数の運動エネルギー(KE)の約94%を散逸させるのに十分であり、また粘弾性材料の複合材料V3は、調整振動数の運動エネルギー(KE)の約95%を散逸させるのに十分である。
一部の実施形態では、多層調整及び緩和機構10は、多層調整層アセンブリ12及び単層散逸層アセンブリ14、あるいは、多層調整層アセンブリ12及び多層散逸層アセンブリ14を備えることができることもまた理解されたい。
一部の実施形態では、材料及び厚さを選択することにより、また多層構成の場合には、どのように層同士を接着させるか、層同士が接着しているかどうかを選択することにより、調整層アセンブリ12を調整してその性能及び音響インピーダンスを変化させてもよい。同様に、材料及び厚さを選択することにより、また多層構成の場合には、どのように層同士を接着させるか、層同士が接着しているかどうかを選択することにより、散逸層アセンブリ14を調整してその散逸性能を変化させてもよい。非限定的実施例として、一部の実施形態では、調整層アセンブリ12は、弾性材料、例えば、熱可塑性プラスチック(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレン)、金属、セラミックス、ポリマー(弾性の種類)、複合材料、及び、生物固体(例えば、骨、靱帯)などで製造することができる。更に、散逸層アセンブリ14は、粘弾性材料、例えば、ポリマーなどで製造することができる。しかしながら、ポリマーは弾性及び/又は粘弾性であり得ると理解されるべきである。任意の用途においてポリマーが弾性又は粘弾性であるかどうかは、想定される適用温度及び振動数による。言い換えれば、所定温度における任意のポリマーは、ある振動数においては弾性的に応答し、別の振動数においては粘弾性的に応答する。
調整層アセンブリ12は通常、用途におけるその他の機能的な必要条件、例えば、積層塗装における耐衝撃性、軍用装甲における弾丸貫通耐性、及び、スポーツ用ヘルメットの破損(facture)から頭蓋骨を保護することなどに基づいて選択される。この選択を行った後に、調整層アセンブリ12の音響インピーダンスを設定する(しかし、条件を満たすいくつかの材料がある場合もある)。更に、これら現行の機能的な必要条件に応じて、調整層アセンブリ12の厚さを決めてもよい。調整層アセンブリ12の機械的特性及び物理的特性が、調整設計における散逸層アセンブリ14へと伝播する振動数の1つを決定する。上記特性はまた、調整層アセンブリ12の質量をもたらし、散逸層アセンブリ14と共に、動的システム(質量−ばね、調整層アセンブリ12が質量、散逸層アセンブリ14がばね)において散逸層アセンブリ14へと伝播する別の振動数を決定する。散逸層アセンブリ14は、調整層アセンブリ12よりも低い音響インピーダンスを有し、調整をもたらして、伝播した力を緩和するように選択される。散逸層アセンブリ14の弾性特性がこのインピーダンスを決定するが、最適な調整には、層1のインピーダンスと比較して層2のインピーダンスが有意に低いことが必要となる。散逸層アセンブリ14は弾性部分を含んでいてもよく、その弾性部分は、固有振動数を有する質量−ばね動的システムにおいて、ばねの役割を果たす。あるいは、散逸層アセンブリ14は、調整振動数又は質量−ばね振動数のいずれか又はその両方を更に減衰させるための粘弾性部分を含んでいてもよい。散逸層アセンブリ14が部分的に弾性である場合、衝撃波を散逸させるために別の粘弾性層が必要となる。粘弾性散逸層アセンブリ14は弾性及び粘性の両方の性質を有しており、そのため、質量−ばねシステムとして、チューニング層アセンブリ12と共に同調しチューニング層アセンブリ12と共に振動する散逸層アセンブリ14について、上記した機能の全てを満たす。加えて、粘弾性散逸層アセンブリ14は、1つ又は複数の振動数を減衰させるように選択される。散逸層アセンブリ14が弾性である場合、別の層は、伝播した振動数を減衰させるように選択される。
例示のために、本発明では、フットボール用ヘルメットの設計と関連させて説明する。しかしながら、本明細書において以下に記載するが、その内容は、本発明を説明した実施形態のみに制限するとみなされるべきではない。
技術的手法
ヘッドヘルスの方針
頭部が衝突波又は打撃波などの衝撃力を受ける際、脳に損傷をもたらし得る事象には2つの要因が存在する。第1の要因は、直接伝播する力(頭部の加速度に直接的に対応する)である。第2の要因は、伝播する衝撃波(頭部における速度の絶対変化量(変化率ではない)に対応する)である。一般的には認識されていないが、長期にわたる衝撃波がもたらす損傷は最大力に依存している一方で、短期の衝撃波がもたらす損傷は衝撃波の規模に依存していることが、70年以上前から知られている。ヘルメットの設計で力を制限するためには、弾性インピーダンスミスマッチを利用して力を低減させることが可能であり、またエネルギー散逸を利用して衝撃波を低減させることも可能である。本発明における設計方針は、偶発的な様式ではなく意図的な様式で、その両方を明確に目指しているという点で独特である。
材料の説明
技術的手法は、弾性固体及び粘弾性固体を用いて、衝撃波を最適に緩和する複合材料を設計するための方針である。「ブラスト/インパクト フリークエンシー チューニング アンド ミティゲーション(Blast/Impact Frequency Tuning and Mitigation)」と題されている、PCT出願通し番号PCT/US2014/065658を更に参照されたい(参照として本明細書に援用する)。
スポーツ用(フットボール用)ヘルメットを設計の例として選択した。現行ヘルメットの設計には頭蓋骨骨折を防止するなどのその他機能があるため、本発明者は、本発明の実施において、現在使用されているものに類似した材料を選択した。フットボール用ヘルメットの外側シェルは多くの場合、ポリカーボネート(PC)などの熱可塑性プラスチックであるため、本発明者は、外側シェル層の選択を類似のポリマーに限定した。これら材料は、スポーツで見られる衝突荷重では塑性変形しない。それゆえ、これら材料は線形弾性固体として挙動する。弾性材料を通って伝播した力の緩和は、インピーダンスミスマッチ手法により容易に達成される。現行のヘルメットは、第1の高弾性インピーダンス層を第2の低弾性インピーダンス層と対にすることにより、この手法を効果的に利用している。本発明者は、現行のヘルメットにおける力の緩和特性を維持し、また本設計の核心である調整を提供するために、第2の層に、第1の層よりもはるかに低い弾性インピーダンスを有する弾性材料を選択した。本設計においては、ビニル発泡体がこの目的を果たす。弾性材料は、衝突に関連するエネルギーのいずれも散逸させない。それゆえ、弾性インピーダンスミスマッチを利用して衝突の力を低減させることに焦点を置いた方針では、衝撃波は緩和されない。別の言い方をすると、この方針は、衝突によるエネルギーを散逸させない。第3の粘弾性層又は散逸粘弾性層はエネルギーを散逸させることができるが、第3の層における散逸特性の最適な選択は、最初の2つの層の特性によって決まる。
本発明者は、第3の材料層(散逸)の選択を粘弾性材料に限定した。その理由としては、本設計においてヘルメットが衝突を受ける際に、常に同じエネルギー量を散逸可能でなければならないからである。塑性変形材料、及び、最初の衝突に対して、破損、剥離、ひび、及び/又は亀裂を生じる材料は、それに続く同等の強度を有する衝突エネルギーの散逸には有効ではない。線形粘弾性材料は、エネルギーを繰り返し散逸させることができる。しかしながら、1つの特定振動数のエネルギーを散逸させることが最も有効である。この限界振動数(fCRIT)は、その非緩和弾性率及び緩和弾性率と、その固有の緩和時間との関数である。衝突時において、固体材料へと伝播した応力波は広範囲のエネルギースペクトルを有しているため、単独で作用するこの同一の粘弾性材料は、衝突エネルギーの散逸には有効ではない。
粘弾性散逸を最適化する本発明の新規の解決策では、粘弾性材料に入射する応力波を、fCRITに合い、かつその振動数を効果的に減衰させる振動数へと調整する。MITIGATIUM複合材料における最初の1つ又は2つの層は、応力波を、それらの弾性特性、物理的特性、及び、幾何学的特性によって決まる振動数へと調節することに加え、応力波の規模を緩和させる。したがって、MITIGATIUM手法を用いることにより、伝播する力(又は圧力)の規模及び衝撃波の両方が低減する。快適な発泡体である第4の層は、本設計において任意選択的に用いられる。その理由としては、その発泡体が現行ヘルメットの設計において重要な機能を果たしているからである。発泡体は、着用者に快適性を提供することに加え、調整可能なフィット性をももたらす。
エネルギー散逸を裏付けるデータ
MITIGATIUM及び現行ヘルメット設計に対して衝突試験を実施し、MITIGATIUMが、現行ヘルメットよりも有意に小さな最大加速度を示すと結論付けた。衝突荷重及び応力波伝播に関する本発明のコンピュータモデルを実証するために、これらの試験結果をコンピュータ解析と比較した。更に、頭蓋骨/脳の装置にかぶせたMITIGATIUMヘルメット設計及び現行ヘルメット設計に対して、1次元及び2次元コンピュータ解析を実施したところ、MITIGATIUMはエネルギー散逸特性を示した。本発明の結果は、MITIGATIUMヘルメットが、頭蓋骨そして脳へと伝播した圧力及び衝撃波を低減させ、MITIGATIUMが更に、現行ヘルメット設計と比較して、脳内部における並進加速度及び回転加速度を低減させることを示している。
衝突の測定
MITIGATIUM試作品の試験サンプルを以下の要領で作製した。層1、PE(McMaster Carr)(2.4mm厚)、層2、ビニルニトリル(Grainger)(12.7mm厚)、層3、ポリウレタン(PU、McMaster Carr、実際には4.1mmのPU層を3層重ね合わせている)(14.3mm厚)、層4、柔軟で「快適な」発泡体(McMaster Carr)(12.7mm厚)。MITIGATIUM試験サンプルの全体寸法は、305mm x 305mm x 42mm[「MITIGATIUM、未接着」]であった。現行ヘルメットの設計に基づいた試験サンプルもまた作製した。それは、PC層(McMaster Carr)(3.2mm厚)、ビニル層(Grainger)(25.4mm厚)、及び柔軟な発泡体層(McMaster Carr)(12.7mm厚)で構成され、その全体寸法は、305mm x 305mm x 41mm[「現行、未接着」]であった。それぞれの試験サンプルタイプの複製セットを作製し、スプレー式接着剤(3M、Super 77)を用いて、これらの層を互いに接着させた[「MITIGATIUM、接着」及び「現行、接着」]。円筒状の鋼製圧子(2.8kg、直径7.5cm、長さ7.5cm、McMater Carr)を用いて、それぞれの試験サンプルに衝突させた。クイックリリースを用いて72cmの高さ(20J)から圧子を落下させ、圧子の時間に対する位置を、ハイスピードデジタルビデオカメラ(Optotrak Certus)を用いて400画像/秒の速度で撮影した。それぞれのサンプルタイプに対して、5回試験を実施した。
5点中心有限差分法を用いて時間に対する位置データの微分係数を計算し、時間に対する速度データを得た。時間に対する速度データの微分係数も同様に計算し、時間に対する加速度データを得た。それぞれのサンプルタイプについて圧子の最大加速度を測定し、その結果を表1に示した。MITIGATIUMサンプル及び現行サンプルの両方において、接着試験サンプルに衝突する際の圧子の最大加速度が、未接着試験サンプルにおける最大加速度を上回っていた。接着及び未接着の両方の場合において、2つの「現行」サンプルに衝突する際の圧子の最大加速度が、MITIGATIUMサンプルにおける最大加速度を上回っていた。したがって、圧子の最大加速度が最も小さかったのは、未接着MITIGATIUMサンプルに衝突させた場合であった。本明細書に記載のとおり、衝突時における頭部の加速度は、ヘルメットを介して頭蓋骨に伝播する最大力に正比例する。本発明において実施した衝突試験は、サンプルを介して伝播した力を直接示すものではないが、圧子の加速度は頭蓋骨の代用の役割を果たし、サンプルにおける力緩和応答の指標を提供する。したがって、これらの結果は、MITIGATIUMサンプルが現行ヘルメット設計よりも更に力を減衰させ、未接着層が接着層よりも更に力を減衰させることを示している。
圧子の衝突シミュレーション
試験に使用した試験サンプル及び圧子と同一の形状を用いて、試験における圧子衝突手順をコンピュータ上で再現した。層の機械的特性及び材料特性を表2に示す。シミュレーションでは、サンプルにおける全ての層が接着されていると仮定したが(摩擦接触特性を規定することを避けるため)、接着層は存在せず、第1の層における結合点が第2の層における結合点と結合している。それゆえ、本試験における接着剤層の機械的特性による影響については、これらコンピュータシミュレーションでは行っていない。市販の有限要素パッケージであるABAQUS Explicitをシミュレーションに用いた。コンピュータモデルによる形状を図5に示す。本試験に従い、2.8kgの圧子を72cmの高さから落下させた際の速度に相当する、3.7m/秒の初速を圧子に与えた。更に、79,000kg/m22の体積力(密度 x 重力)を圧子に加え、引力を考慮に入れた。これらの解析で測定した圧子の最大加速度は、MIGATIUM(接着)が550m/s2で、現行(接着)が700m/s2であった。コンピュータ結果は、表1に示す最大加速度における試験平均値の10%以内であった。これらの結果は試験測定値を再現しており、それはつまり、MITIGATIUMが現行ヘルメットの設計よりも更に力を減衰させたことを示している。これらコンピュータ結果により、力及び衝撃波の緩和特性を予測して損傷の予防的対応を行うための、伝播についての様々なヘルメット設計における衝突応答、本発明のMITIGATIUM実施形態における衝突応答、又は、現行ヘルメット設計に対する最適な実施形態における衝突応答についての調査を可能とするだけの合理的な確信が得られる。
弾性層及び粘弾性層を通る伝播の1次元解析
衝撃波が弾性材料層及び粘弾性材料層(現行のフットボール用ヘルメットに用いられる材料層など)を伝播する仕組みを解析し、衝突エネルギーを最適に散逸させることが可能な層を備えた新規のスポーツヘルメット用に、MITIGATIUMの設計を開発した。本発明の結果は、現行ヘルメット設計が、衝突によりヘルメット外面へと付与された過剰圧力と比較して、ヘルメット内側の頭蓋骨へと伝播した過剰圧力を一桁低減させるが、伝播した衝撃波には影響を及ぼさないことを示している。
新規のMITIGATIUM設計様式では、現行手法と比較して過剰圧力を更に一桁低減可能なだけではなく、脳に伝播する衝撃波を一桁低減させることも可能である。
これは、その他1層又は2層の層によってもたらされた調整と合うように選択された粘弾性層により達成される。線形粘弾性材料は、特定振動数のエネルギーを散逸させ、また繰り返し散逸させる。一体構造材料設計、液体充填設計、又はエアギャップ設計であろうとなかろうと、ヘルメットへの任意の衝突が、散逸される最適な振動数分布を有する応力波とはならないことを再度強調しておく必要がある。これら設計の全ては、粘弾性設計と同様、特定振動数において最適にエネルギーを散逸させる。したがって、最適な散逸設計コンセプトは、振動数の調整特性を含む必要がある。
単層又は多層の設計により、任意の衝突を特定の振動数へと調整させてから、粘弾性層により最適に散逸させることが可能となる。粘弾性層を単独で作用させても有効とはならない。本1次元解析では、調整用の構成部材を用いずに粘弾性材料を単独で用いた場合、衝突事象における衝撃波の90%を伝播することを示している。しかしながら、粘弾性材料を、応力波を粘弾性材料の限界減衰振動数へと調整する弾性材料と最適に対にした場合には、衝撃波の30%未満を伝播することになる。
一部の実施形態では、この最適なMITIGATIUM設計は高い調整振動数を含むことができ、高い調整振動数ゆえに、第3の散逸層の厚さを減少させることが可能となる。それゆえ、この最適なMITIGATIUMは、現行のフットボール用ヘルメットよりも薄くかつ軽量になる。粘弾性材料に求められる特性は、ポリウレタンに期待する範囲内に十分収まっている。
ヘルメットの衝突応答における2次元解析
衝突荷重の2次元有限要素解析を用いて、MITIGATIUMヘルメット設計を現行のスポーツ用ヘルメットと比較した。市販の有限要素パッケージであるABAQUS Explicitを再度シミュレーションに用いた。有限要素モデルに用いた形状を、図6A及び図6Bに示す。これらシミュレーションでは、頭部を、外周部及び内部領域からなる2要素系モデルとし、外周部を頭蓋骨に近い性質を有する材料、また内部領域を脳に近い性質を有する材料とした。現行のフットボール用ヘルメット設計に相当するモデルは、図6Aに示すように、ABSプラスチックの外層(4mm)、硬質発泡体の第2層(23mm)、及び、「快適な」発泡体の内層(9mm)を有している。図6BのMITIGATIUMヘルメットは、現行ヘルメットと同一の重量及び容積を有するように選択した。外側シェル層(4mm)はポリエチレン、第2層(20.5mm)はスチレン系の弾性発泡体、そして、第3層(2.5mm)はウレタン系の粘弾性材料である。このヘルメットにおいては、第4層は必須ではない。なぜなら、ヘルメット着用者にとって快適な発泡体は重要であり、それを含めて現行ヘルメットのサイズ及び重量に合わせているからである。実際に、MITIGATIUMヘルメットを、現行ヘルメットよりも極めて薄くかつ軽量に設計することができる。運動量移動を低減させる防護具の効果は質量に依存するため、等しい質量設計を選択することにより応答を標準化させる。ヘルメットモデルに対して、図6Cに示す、形状及び持続時間の斜め衝突圧力荷重を実施した。頭蓋骨に伝播した最大圧力及び衝撃波を測定した。脳の領域全体にわたる直線加速度及び回転加速度を検出し、最大値を比較のために記録した。結果を表3及び図7A〜図7Cに示す。表に示すとおり、外層の選択は、任意の衝突荷重によりヘルメットに付与される圧力、衝撃波、及び、衝突の持続時間に影響する。最後の2列では、2つのヘルメット設計において頭蓋骨へと伝播した圧力及び衝撃波を比較しているが、これらは、現行ヘルメット設計において伝播した値へと標準化させている。MITIGATIUMヘルメットは、1%未満の圧力を伝播し、また、現行ヘルメットが伝播した衝撃波の31%を伝播している。衝撃波伝播の完全な影響について考察しているのは、このタイプの形状(頭部とヘルメットとの間に相互作用がある)においてのみであることを理解することが重要である。塊状の硬質プレートへと伝播した衝撃波について考察するのではなく、最終的には、このタイプの形状で実証を行う必要がある。
図7A〜図7Cは、両方のヘルメット設計における、脳内部の最大圧力履歴、並進加速度履歴、及び、回転加速度履歴を示している。様々な量において別々の結合点で見られる最大値、及び、それぞれのヘルメットにおける別々の結合点で見られる最大値を記録したが、全てのケースにおいて、脳領域全体にわたって最大絶対値を精査し、それを比較のために記録した。MITIGATIUMヘルメットにおける最大圧力及び最大加速度の有意な低減が図中にはっきりと見られる。更に、現行の減衰しないヘルメットにおいて、単一の衝突荷重事象が複数の最大加速度事象をもたらしていることが、図7A〜図7Cから明らかである。
例示及び説明の目的のために、実施形態について上記の記載を提供してきた。網羅的であること、又は、本開示を制限することを意図するものではない。特定の実施形態における個別の要素又は特徴は通常、その特定の実施形態に限るものではないが、適用される場合、明確に示さない又は記載されない限りにおいて、交換可能であり、また、選択した実施形態においても使用することができる。同様のこともまた、様々な様式において変化し得る。このような変形形態は本開示からの逸脱とはみなされず、またこのような変更の全ては本開示の範囲内に含まれることを意味する。
本発明の具体例を以下に記載する。
(1)打撃又は衝突を緩和するための調整及び緩和機構であって、前記調整及び緩和機構は、
前記打撃又は衝突から生じた応力波を1つ又は複数の特定の調整振動数へと調整するように選択された音響インピーダンスを有する調整層アセンブリと、
前記1つ又は複数の特定の調整振動数の少なくとも1つと一致する限界減衰振動数を有する粘弾性材料でできた散逸層アセンブリと
を備え、前記散逸層アセンブリは前記第2の層に近接している、前記調整及び緩和機構。
(2)前記調整層アセンブリは2層以上の個別の層を備える、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(3)前記散逸層アセンブリは2層以上の個別の層を備える、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(4)前記散逸層アセンブリの前記2層以上の個別の層における第1の層は、前記特定の調整振動数における第1の振動数を散逸させるように構成され、前記散逸層アセンブリの前記2層以上の個別の層における第2の層は、前記特定の調整振動数における第2の振動数を散逸させるように構成され、前記第2の特定の調整振動数は前記第1の特定の調整振動数とは異なる、(3)に記載された調整及び緩和機構。
(5)前記散逸層アセンブリの前記2層以上の個別の層における第1の層は、前記特定の調整振動数における第1の振動数を散逸させるように構成され、前記散逸層アセンブリの前記2層以上の個別の層における第2の層は、前記特定の調整振動数における第2の振動数を散逸させるように構成され、前記第2の特定の調整振動数は前記第1の特定の調整振動数と同一である、(3)に記載された調整及び緩和機構。
(6)前記打撃又は衝突から生じた応力波を材料特性を利用して前記1つ又は複数の特定の調整振動数へと調整するように、前記調整層アセンブリの特性が選択される、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(7)前記材料特性は、厚さ、材料の種類、及び接着の種類からなる群から選択される、(6)に記載された調整及び緩和機構。
(8)前記調整層アセンブリは、前記1つ又は複数の特定の調整振動数を前記散逸層アセンブリへ伝播させるように選択され、それにより、前記1つ又は複数の特定の調整振動数は、前記散逸層アセンブリにおいて散逸されるようになっている、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(9)前記調整層アセンブリは、前記1つ又は複数の特定の調整振動数を前記散逸層アセンブリへと伝播させるように選択され、それにより、前記1つ又は複数の特定の調整振動数は、前記散逸層アセンブリにおいて粘弾性的に散逸されるようになっている、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(10)前記散逸層アセンブリは、前記1つ又は複数の特定の調整振動数における複数のサイクルを粘弾性的に散逸させるのに十分な材料でできている、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(11)前記散逸層アセンブリの厚さは、前記1つ又は複数の特定の調整振動数を有する応力波が前記散逸層アセンブリに伝播するに実質的に減衰するのに十分厚い、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(12)前記調整層アセンブリは前記調整層アセンブリに接合されている、(1)に記載された調整及び緩和機構。
(13)
前記調整層アセンブリは弾性材料でできている、(1)に記載された調整及び緩和機構。

Claims (11)

  1. 打撃又は衝突を緩和する方法であって、該方法は、
    前記打撃又は衝突から生じた応力波を1つ又は複数の特定の調整振動数へと調整するように弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップであって、該特定の調整振動数は、前記粘弾性散逸層の限界減衰振動数に一致し、前記弾性層および前記粘弾性散逸層の密度および厚さが、前記粘弾性散逸層の非緩和弾性率、緩和弾性率および限界振動数に適合するように、前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップと、
    前記粘弾性散逸層を前記弾性層に近接して配置するステップと
    を含む、方法。
  2. 前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップが、1つ又は複数の特定の調整振動数の複数のサイクルの運動エネルギーの少なくとも80%を粘弾性的に散逸させるように前記弾性層および粘弾性散逸層を選択する、請求項1に記載された方法。
  3. 前記弾性層は2層以上の個別の層を備える、請求項1に記載された方法。
  4. 前記粘弾性散逸層は2層以上の個別の層を備える、請求項1に記載された方法。
  5. 前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップが、前記粘弾性散逸層の2層以上の個別の層のうちの第1の層を、第1の特定の調整振動数を散逸させるように選択し、前記粘弾性散逸層の2層以上の個別の層のうちの第2の層を、前記第1の特定の調整振動数とは異なる第2の特定の調整振動数を散逸させるように選択する、請求項4に記載された方法。
  6. 前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップが、前記粘弾性散逸層の2層以上の個別の層のうちの第1の層を、第1の特定の調整振動数を散逸させるように選択し、前記粘弾性散逸層の2層以上の個別の層のうちの第2の層を、前記第1の特定の調整振動数と同一である第2の特定の調整振動数を散逸させるように選択する、請求項4に記載された方法。
  7. 前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップが、前記打撃又は衝突から生じた応力波を前記1つ又は複数の特定の調整振動数へと調整するように前記弾性層および粘弾性散逸層を選択し、前記1つ又は複数の特定の調整振動数は、材料特性を利用して前記粘弾性散逸層の限界減衰振動数に一致する、請求項1に記載された方法。
  8. 前記材料特性は、厚さ、材料の種類、及び接着の種類からなる群から選択される、請求項7に記載された方法。
  9. 前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップが、前記1つ又は複数の特定の調整振動数を前記粘弾性散逸層へ伝播させるように選択され、それにより、前記1つ又は複数の特定の調整振動数は、前記粘弾性散逸層において散逸されるように前記弾性層および粘弾性散逸層を選択する、請求項1に記載された方法。
  10. 前記弾性層および粘弾性散逸層を選択するステップが、前記粘弾性散逸層の厚さは、前記1つ又は複数の特定の調整振動数を有する応力波が前記粘弾性散逸層を伝播するに実質的に減衰するのに十分厚く、前記弾性層および粘弾性散逸層を選択する、請求項1に記載された方法。
  11. 前記粘弾性散逸層を前記弾性層に近接して配置するステップが、前記粘弾性散逸層を前記弾性層に接合するステップを含む、請求項1に記載された方法。

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