JP6752505B2 - ベーンポンプ - Google Patents
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Description
そのため、オイルポンプには流量調整弁が付設されており、オイルの吐出量が過剰になった場合に、流量調整弁により、吐出されたオイルの一部をオイルポンプの吐出側から吸入側に戻すようにしている。
ハウジング内に収容されたポンプ機構部が、
シャフトと一体に回転軸回りに回転するロータと、
前記ロータの外周から出没可能とされたベーンと、
前記ロータの外周を囲む内周面と前記ロータの外周との離間距離が、前記回転軸周りの周方向で変化すると共に、前記内周面が前記ベーンの摺動面とされたカムリングと、
前記回転軸方向における前記カムリングの両側に配置された一対のサイドプレートと、を有しており、
前記カムリングの内側の前記一対のサイドプレートの間の空間がポンプ室とされたベーンポンプにおいて、
前記カムリングを、前記回転軸回りに回転可能に設けると共に、
前記カムリングの前記回転軸回りの回転を制御する回転制御手段を設け、
前記回転制御手段は、
前記ハウジングにおける前記カムリングの外周を囲む周壁部に設けられたコイルと、
前記カムリングに設けられた磁石と、を前記回転軸の径方向で対向配置して構成したモータ機構であり、
前記回転制御手段は、前記カムリングが前記ロータの回転方向に対して、正回転と逆回転の2つの回転態様で回転すると共に、前記カムリングの回転数を変更することにより、前記ベーンポンプからのオイル吐出量を調整する構成のベーンポンプとした。
よって、カムリングの回転方向と回転数を調整することで、オイルの吐出量を調整できるので、油圧負荷に応じて吐出量を調整できることになる。
図1は、実施の形態にかかるカムリング7の回転制御手段(モータ機構13)を備えるベーンポンプ1を説明する概略図であって、ベーンポンプ1を回転軸Xに沿う面で切断した断面図である。
図2は、実施の形態にかかるベーンポンプ1を説明する概略図であって、(a)は、図1に示したベーンポンプ1を、図1におけるA−A断面で切断した図であり、(b)は、(a)におけるロータ5とベーン6とカムリング7とにより、カムリング7の内側に区画形成されるポンプ室Pxを説明する図である。
実施の形態にかかるベーンポンプ1では、ポンプ機構部3から排出されたオイルが、この吐出口211bを通って、ベーンポンプ1の外部に吐出されるようになっている。
ハウジング2を構成する収容部21とカバー部25は、周壁部212の端面212aにカバー部25を当接させた状態で、図示しないボルトにより互いに組み付けられており、これにより、内部の空間Sが封止されたハウジング2が形成されている。
実施の形態にかかるベーンポンプ1では、オイルパン(図示せず)から吸引されたオイルが、この吸入口25bを通ってポンプ機構部3に供給されるようになっている。
この状態においてシャフト4の一端部4aは、前記した底壁部211の貫通孔211aで、ブッシュB1を介して回転可能に支持されており、シャフト4のカバー部25を貫通している領域は、カバー部25の挿通孔25aでブッシュB2を介して回転可能に支持されている。
基部51の外周においてスリット52は、回転軸Xに沿って直線状に設けられていると共に、回転軸X周りの周方向に所定間隔で複数設けられている。
そのため、断面視において複数のスリット52は、回転軸X周りの周方向で放射状に配置されている(図2の(a)参照)。
断面視における内周面71aの形状は、回転軸Xからの内径r(図2の(b)参照)が回転軸X周りの周方向で変動する略楕円形状を成している。
ここで、ロータ5の外周とカムリング7の内周面71aとの間では、回転軸X周りの周方向で隣接するベーン6、6の間に、複数のポンプ室Pxが区画形成されている。そして、ベーンポンプ1では、前記した離間距離Rが回転軸X周りの周方向で周期的に増減しているために、各ポンプ室Pxの容積が、回転軸X周りの周方向で連続的に変化(増減)している。
そして、ポンプ室Px内に吸引されたオイルは、ロータ5の回転に伴うポンプ室Pxのその後の容積の減少により、ポンプ室Px内で圧縮されるようになっている。
これらサイドプレート8、9は、図示しない位置決めピンなどにより、回転軸X回りの回転が規制されており、これらサイドプレート8、9の間のカムリング7は、回転軸X回りに回転可能に設けられている。
そのため、回転軸X方向から見て、カムリング7では、回転軸周りの周方向に等間隔で磁石10が配置されている。
図3は、カムリング7の回転方向、およびエンジン回転数(ロータ5の回転数)と吐出量との関係を説明する図である。
図3の(a)は、カムリング7の回転方向が、ロータ5の回転方向(図中、矢印Rx参照)と同方向である場合(図中、矢印A参照)と、逆方向に回転する場合(図中、矢印B参照)とを説明する図であり、(b)は、エンジン回転数(ロータ5の回転数)と、カムリング7の回転方向および回転数に応じて変動するオイル吐出量を説明する図であり、(c)は、カムリング7が回転軸X回りに回転しない従来のベーンポンプの場合の、オイル吐出量とエンジン回転数との関係を説明する図である。
なお、図3の(b)では、カムリング7とロータ5の回転方向が同じである場合を(正回転)、逆である場合を(逆回転)としたうえで、カムリング7の正回転側の回転数を、符号「+」を付して示すと共に、逆回転側の回転数を、符号「−」を付して示している。
この場合のオイル吐出量は、下記式(1)で表すことができる。
オイル吐出量=Vth × Neng × η ・・(1)
ここで、Vthは、ポンプ固有吐出量であり、Nengは、エンジン回転数であり、ηは、容積効率である。
そのため、カムリング7を回転軸X回りに回転させると、カムリング7の回転方向と回転数に応じて、オイルの吐出量を増減させることができるので、必要吐出量に応じて、カムリング7の回転方向と回転数を調整することで、オイルの無駄な吐出を抑えることができるようになっている。
なお、実施の形態にかかるベーンポンプ1は、カムリング7を固定(=0回転)すると、従来のベーンポンプの場合と同様に、エンジン回転数に応じた吐出量を実現する。
例えば、カムリング7がロータ5と同じ方向に回転する(正回転)の場合(図3の(a)、矢印A、矢印Rx参照)には、ロータ5のカムリング7に対する相対回転数が低下するので、ベーンポンプ1からのオイルの吐出量が減少することになる。
具体的には、カムリング7の内周面71aを摺動するベーン6の内周面71aに対する移動速度が遅くなって、ポンプ室Px内でのオイルの圧縮、膨張の進行が遅くなるので、オイルの吐出量が少なくなる。
よって、図3の(b)に示すように、カムリング7が正回転する場合のオイルの吐出量は、エンジン回転数とカムリング7の回転数との差(エンジン回転数−カムリングの回転数)が小さくなるほど少なくなる。
[逆回転の場合]
一方、カムリング7がロータ5とは逆の方向に回転する(逆回転)の場合(図3の(a)、矢印B、矢印Rx参照)には、ロータ5のカムリングに対する相対回転数が高くなるので、ベーンポンプ1からのオイルの吐出量が増加することになる。
具体的には、カムリング7の内周面71aを摺動するベーン6の内周面71aに対する移動速度が早くなって、ポンプ室内でのオイルの圧縮、膨張の進行が早くなるので、オイルの吐出量が多くなる。
よって、図3の(b)に示すように、カムリング7が逆回転する場合のオイルの吐出量は、エンジン回転数とカムリング7の回転数との差(エンジン回転数と−カムリングの回転数)が大きくなるほど多くなる。
オイル吐出量=Vth × (Neng−Ncam) × η ・・(2)
ここで、Vthは、ポンプ固有吐出量であり、Nengは、エンジン回転数であり、Ncamは、カムリング回転数であり、ηは、容積効率である。
よって、燃費を優先した走行モードで車両が走行している場合の必要吐出量(油圧負荷)を、カムリング7の回転数と回転方向を調整することで実現することができ、オイル吐出量を油圧負荷に応じて変えることができる。
これにより、カムリング7が回転軸X回りに回転しない従来のオイルポンプのように、吐出量が過剰になって、過剰分の吐出量を発生させるために消費される回転エネルギーが損失となることを好適に防止できる。
よって、例えばアイドリングストップやコーストストップなどにより、エンジンが停止している場合であっても、ベーンポンプからのオイルの吐出を確保することができる。
(1)ハウジング2内に収容されたポンプ機構部3が、
シャフト4と一体に回転軸X回りに回転するロータ5と、
ロータ5の外周から出没可能とされたベーン6と、
ロータ5の外周を囲む内周面71aと、ロータ5の外周との離間距離Rが、回転軸X周りの周方向で変化すると共に、内周面71aがベーン6の摺動面とされたカムリング7と、
回転軸X方向におけるカムリング7の両側に配置された一対のサイドプレート8、9と、を有しており、
カムリング7の内側の一対のサイドプレート8、9の間にポンプ室Pxが形成されて、サイドプレート8に、オイルの吸入口25bに連通する第1連通路が設けられていると共に、サイドプレート9にオイルの吐出口211bに連通する第2連通路が設けられたベーンポンプ1において、
カムリング7を、回転軸X回りに回転可能に設けると共に、
カムリング7の回転軸X回りの回転を制御する回転制御手段を設けた構成とした。
また、カムリング7をロータ5の回転方向の反対方向に回転させる逆回転の場合には、と、カムリング7の内周面71aを摺動するベーン6は、内周面71aに対する移動速度が早くなる。その結果、ポンプ室内でのオイルの圧縮、膨張の進行が早くなるので、オイルの吐出量が多くなる。
よって、カムリングの回転方向と回転数を調整することで、オイルの吐出量を調整できるので、油圧負荷に応じて吐出量を調整できることになる。
ハウジング2のカムリング7の外周を囲む周壁部212に、回転軸X周りの周方向に所定間隔で設けた複数のコイル11(ステータコイル)と、
カムリング7において、回転軸X周りの周方向に所定間隔で設けた複数の磁石10と、を回転軸Xの径方向で対向配置して構成したモータ機構13であり、
図示しない制御手段により、コイル11に対する通電を制御することで、回転磁界を発生させて、コイル11の内径側のカムリング7の回転方向と、回転速度とを制御できるように構成した。
これにより、ロータ5の外周とカムリング7の内周面71aとの間に形成されたポンプ室Pxの各々を、オイルを満たした状態で保持することができる。
そうすると、エンジンの再始動によりロータ5が回転した時点において、各ポンプ室Pxには、エンジンが停止した時点のオイルがそのまま残されており、各ポンプ室Px内をオイルで満たし直す必要がないので、ロータ5の回転開始後速やかに、ベーンポンプ1からオイルが吐出されることになる。
そうすると、ロータ5の外周とカムリング7の内周面71aとの間に形成されたポンプ室Px内のオイルの一部が、ベーンポンプの外部に漏出してしまうので、エンジンの再始動によりロータ5が再び回転しても、ポンプ室Px内にオイルが満たし直されるまでの間、ベーンポンプからオイルが吐出されないことになる。
よって、上記のように構成することで、エンジンの再始動後に、ベーンポンプからオイルが吐出されるまでの時間を短くすることができるので、ベーンポンプの応答性が向上することになる。
この場合には、磁石10の磁力と付勢部材の付勢力とを用いて、ベーン6をカムリング7の内周面71aに当接させた状態で保持することができるので、ロータ5の外周とカムリング7の内周面71aとの間に形成されたポンプ室Pxの各々を、オイルを満たした状態でより確実に保持することができる。
前記した実施の形態では、回転制御手段を構成するモータ機構13により、カムリング7を回転軸X回りに回転させる場合を例示したが、他の構成の回転制御手段により、カムリング7を回転させるようにしても良い
図5は、ベーンポンプ1Aの断面を模式的に示す図であって、カムリング7の内側のポンプ室Px周りを説明する図である。
延出部162の外周には、シールリングSaが外嵌する凹溝163が回転軸X周りの周方向の全長に亘って設けられており、シールリングSaは、ハウジング2の周壁部212の内周212bに圧接している。
(5)回転制御手段を構成する回転伝達機構15により、カムリング7を回転軸X回りに回転させる構成とし、回転伝達機構15を、カムリング7の外周に固定されたリング状の回転伝達部材16と、モータMの回転駆動力が伝達されて、回転軸Xに平行な回転軸X1回りに回転するギヤ17と、から構成して、回転伝達部材16の外周の歯部161aと、ギヤ17の外周の歯部17aとを回転伝達可能に噛合させ、
図示しない制御手段により、モータMの回転方向(正回転、逆回転)と回転数とを変更して、ベーンポンプ1Aからのオイルの吐出量を調整する構成とした。
よって、エンジンの再始動後に、ベーンポンプからオイルが吐出されるまでの時間を短くすることができるので、ベーンポンプの応答性が向上することになる。
2 ハウジング
21 収容部
211 底壁部
211a 貫通孔
211b 吐出口
212 周壁部
212a 端面
212b 内周
25 カバー部
25a 挿通孔
25b 吸入口
3 ポンプ機構部
4 シャフト
4a 一端部
5 ロータ
51 基部
52 スリット
6 ベーン
7 カムリング
71a 内周面
73 収容穴
8、9 サイドプレート
81、91 貫通孔
82、92 凹溝
10 磁石
11 コイル
13 モータ機構
15 回転伝達機構
16 回転伝達部材
17 ギヤ
17a 歯部
161 嵌合部
161a 歯部
162 延出部
163 凹溝
B1〜B5ブッシュ
M モータ
Px ポンプ室
Px 油圧室
R 離間距離
R 矢印
S 空間
Sa シールリング
X、X1 回転軸
r 内径
Claims (3)
- ハウジング内に収容されたポンプ機構部が、
シャフトと一体に回転軸回りに回転するロータと、
前記ロータの外周から出没可能とされたベーンと、
前記ロータの外周を囲む内周面と前記ロータの外周との離間距離が、前記回転軸周りの周方向で変化すると共に、前記内周面が前記ベーンの摺動面とされたカムリングと、
前記回転軸方向における前記カムリングの両側に配置された一対のサイドプレートと、を有しており、
前記カムリングの内側の前記一対のサイドプレートの間の空間がポンプ室とされたベーンポンプにおいて、
前記カムリングを、前記回転軸回りに回転可能に設けると共に、
前記カムリングの前記回転軸回りの回転を制御する回転制御手段を設け、
前記回転制御手段は、
前記ハウジングにおける前記カムリングの外周を囲む周壁部に設けられたコイルと、
前記カムリングに設けられた磁石と、を前記回転軸の径方向で対向配置して構成したモータ機構であり、
前記回転制御手段は、前記カムリングが前記ロータの回転方向に対して、正回転と逆回転の2つの回転態様で回転すると共に、前記カムリングの回転数を変更することにより、前記ベーンポンプからのオイル吐出量を調整することを特徴とするベーンポンプ。 - 前記ベーンは、磁性体であることを特徴とする請求項1に記載のベーンポンプ。
- 前記ロータには、前記ベーンを収容可能なスリットが設けられており、前記スリット内には、前記ベーンを、前記ロータの外周から突出させる方向に付勢する付勢部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のベーンポンプ。
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