JP6750830B2 - 形質転換細胞の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、形質転換細胞の製造方法及びそれによって得られる形質転換細胞に関する。本発明によれば、簡便に形質転換細胞を製造することができる。
DNA組換え実験において、異なる宿主間においてDNAを移動させる技術として、形質転換、ファージを経由する形質導入、及び接合伝達などの方法がある。
例えば、形質転換法を用いる場合、異なる宿主間で複製が可能なシャトルプラスミドベクターを用いて、第1の宿主中で複製されたDNAをいったん回収し、そして精製してから用いる方法が汎用されている。しかしながら、この方法では、第1の宿主中のDNAを回収し、精製する工程が必須であるために、多数の操作と時間が必要である。更に、DNAのサイズが大きい場合には、DNAの回収及び精製が非常に困難になることが知られており、目的のDNAを完全に回収できないこともある。
DNAを第2の宿主に移動する場合に、第1の宿主からDNAを回収及び精製する必要がない手法としては、第1の宿主をプロトプラストにする方法がある。しかしながら、この方法では、プロトプラストにする操作が微妙な制御を必要とするため、誰にでも簡便に行える手法ではなく、一般的とは言えない(非特許文献1)。更に、2種の宿主を単純に混合するだけでDNAを移動させることのできる接合伝達を利用する方法(非特許文献2)も知られているが、宿主域が非常に限定されるために扱いづらく、接合伝達に関与する多数の遺伝子を厳密に制御する必要もあり、一般的に汎用される方法ではない。
特開2005−253462号公報
「バイオサイエンス・バイオテクノロジー・バイオケミストリー(Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry)」(日本)2001年、第65巻、p823−829 「マイクロバイオロジー・アンド・モリキュラー・バイオロジー・レビュー(Microbiology and Molecular Biology Reviews)」(米国)2003年、p277−301
本発明の目的は、異なる宿主間においてDNAを移動させることのできる簡便で、且つハイスループットな方法を提供することである。
本発明者は、異なる宿主間においてDNAを移動させることのできる簡便で、且つハイスループットな方法について、鋭意研究した結果、驚くべきことに、ベクターを含む枯草菌を溶菌させ、それに特定の酵素等を添加したベクター含有液を用い、酵母又は大腸菌を形質転換することによって、簡便に酵母形質転換細胞を得られることを見出した。
本発明は、こうした知見に基づくものである。
従って、本発明は、
[1](A)溶菌した枯草菌及びそれから放出されたベクターを含む溶菌液、並びに(B)ヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、ヌクレアーゼ、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される添加剤、を含むベクター含有液を用いて、酵母又は大腸菌を形質転換することを特徴とする、形質転換細胞の製造方法、
[2]前記ヌクレアーゼ阻害剤が、アウリントリカルボン酸、還元剤、ドデシル硫酸ナトリウム、バニジルヌクレオチド、過酸化水素、又は抗ヌクレアーゼ抗体である[1]に記載の形質転換細胞の製造方法、
[3]前記タンパク質変性剤がタンパク質分解酵素又は界面活性剤である、[1]又は[2]に記載の形質転換細胞の製造方法、
[4]前記ヌクレアーゼが、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、又はS1ヌクレアーゼである、[1]〜[3]のいずれかに記載の形質転換細胞の製造方法、
[5]前記形質転換が、ベクター含有液及び酵母または大腸菌コンピテントセルとの混合、又はベクター含有液及び酵母または大腸菌の混合液へのエレクトロポレーションによって行われる、[1]〜[4]のいずれかに記載の形質転換細胞の製造方法、
[6]前記溶菌が、枯草菌培養液の静置、ファージの感染、界面活性剤の添加、又はそれらの2つ以上の組み合わせによって行われる、[1]〜[5]のいずれかに記載の形質転換細胞の製造方法、
[7][1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法によって得られる形質転換細胞、及び
[8][1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法によって得られるライブラリー、
に関する。
なお、本発明者らは、第1の宿主としてプロファージ溶原化大腸菌を用い、第2の宿主であるBacillus属細菌又は高度好熱菌にベクターを移動させる方法を開発した(特許文献1)。しかしながら、本発明の方法と、特許文献1に記載の方法とは、構成が全く異なるものである。
本発明の形質転換細胞の製造方法によれば、枯草菌からベクターDNAの回収及び精製を行うことなしに、簡便に酵母又は大腸菌の形質転換細胞を得ることができる。また、本発明の形質転換細胞の製造方法によれば、ベクターDNAの回収及び精製を行わないため、ベクターDNA、特に大きなサイズのベクターDNAの回収及び精製における損失が無い。従って、大きなサイズのDNAを、効率的に酵母又は大腸菌に導入することができる。
更に、本発明の形質転換細胞の製造方法によれば、多数のサンプルを一度に扱うことが可能であり、例えば酵母ライブラリー又は大腸菌ライブラリーを効率的に作製することが可能である。
添加剤を加えていない比較例1及び添加剤を加えた実施例1〜5の形質転換された酵母のコロニー数を示したグラフである。 枯草菌を静置(0hr、2hr、及び24hr)することによって、枯草菌が溶菌することを示した写真である。 枯草菌を2時間(2hr)及び24時間(24hr)静置し、溶菌したベクター含有液を用いて、形質転換した酵母のコロニーを示した写真である。 エキソヌクレアーゼとして、エキソヌクレアーゼIII(実施例13)、ヌクレアーゼ阻害剤としてEDTA(実施例14)又はEGTA(実施例15)、タンパク質分解酵素として、ペプシン(実施例16)、パパイン(実施例17)、トリプシン(実施例18)、又はエラスターゼ(実施例19)を用いて酵母の形質転換を行ったコロニーの出現を示した写真である。 ヌクレアーゼ阻害剤としてTritonX−100を使用した場合の酵母のコロニー数の増加を示したグラフである。 エキソヌクレアーゼI(ExoI)及びTritonX−100を用いて酵母を形質転換した場合のコロニーの増加を示したグラフ及び写真である。 ヌクレアーゼ阻害剤として、Tween20を用いて、酵母の形質転換を行ったコロニー数の増加を示したグラフである。 培地としてLB培地、2xYT培地、Super broth、又はSOBを用い、界面活性剤としてTritonX−100を用いた場合の酵母のコロニー数の変化を示したグラフである。 プラスミドとして、pGETS302(15.5kbp)、18.2kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(33.7kbp)、29.2kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(44.7kbp)、及び50.1kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(65.6kbp)を用い、ExoI、ATA、及びプロテイナーゼKを用いた場合の、酵母の形質転換の結果を示したグラフである。 プラスミドとして、pGETS302(15.5kbp)、18.2kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(33.7kbp)、29.2kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(44.7kbp)、及び50.1kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(65.6kbp)を用い、TritonX−100を用いた場合の、酵母の形質転換の結果を示したグラフである。 形質転換される細胞として大腸菌を用いた場合の形質転換効率を示したグラフである。 形質転換される細胞として大腸菌を用いた場合のベクターの大きさを検討したグラフである。 形質転換される細胞として大腸菌を用いた場合の培地を検討したグラフである。
[1]形質転換細胞の製造方法
本発明の形質転換細胞の製造方法は、(A)溶菌した枯草菌及びそれから放出されたベクターを含む溶菌液、並びに(B)ヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、ヌクレアーゼ、又はそれらの2つ以上の組み合わせ、を含むベクター液を用いて、酵母又は大腸菌を形質転換することを特徴とする。すなわち、溶菌液、並びにヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、及びヌクレアーゼからなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含むベクター液を用いて酵母又は大腸菌を形質転換することを特徴とするものである。
本発明の形質転換細胞の製造方法は、酵母細胞又は大腸菌細胞の形質転換方法として用いることができる。
《枯草菌》
枯草菌(Bacillus subtilis:バシラス・サチリス)は、0.7−0.8x2−3μmの大きさの好気性のグラム陽性桿菌で、芽胞を形成する。本発明の形質転換細胞の製造方法に用いることのできる枯草菌は、ベクターDNAを含む限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば168株、RM125株、又はそれらの誘導株を挙げることができる。168株、RM125株、又はそれらの誘導株は、振とう培養後の静置によって溶菌するため、本発明において好ましく、用いることができる。
枯草菌の培養に用いる培地は、特に限定されないが、例えばLB培地、Super Broth、2xYT培地、SOB培地、Antibiotic medium 3培地、Spizizen’s minimal medium(枯草菌用最少培地)、Schaeffer’s sporulation medium(枯草菌用胞子形成培地)を用いることができる。
(溶菌液)
本発明に使用する溶菌液は、枯草菌から放出されたベクターを含む限りにおいて、限定されるものではない。
枯草菌を溶菌させる方法は、特に限定されるものではないが、振とう培養後の静置、ファージによる溶菌、界面活性剤による溶菌を挙げることができる。
静置による溶菌は、例えば前記168株、RM125株、又はそれら由来の誘導株等を振とう培養した後に静置することによって、自己溶菌するものである。静置の時間は、ベクターDNAが培地中に放出される限りにおいて特に限定されないが、下限は好ましくは10分以上であり、より好ましくは30分以上であり、更に好ましくは1時間であり、最も好ましくは2時間以上である。静置時間の上限は、ベクターDNAが減少しない限りにおいて限定されないが、好ましくは72時間以下であり、より好ましくは48時間以下であり、更に好ましくは36時間であり、最も好ましくは24時間以下である。
バクテリオファージを用いた溶菌は、例えばSP10ファージ、φ105ファージ、又はφ29ファージを枯草菌に感染させることによって行うことができる。例えば、SP10ファージは、SPβが欠損した枯草菌株(SPβ−)を溶菌することができる。
バクテリオファージのMOI(multiplicity of infection)は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜50.0であり、より好ましくは0.5〜10.0であり、更に好ましくは1.0〜5.0である。
界面活性剤による溶菌は、界面活性剤によって、枯草菌の細胞壁を破壊されることによって、溶菌するものである。溶菌に用いられる界面活性剤としては、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Triton X−100、Tween 20、又はN−lauroyl salcosineを挙げることができる。界面活性剤の濃度は、特に限定されるものではなく、それぞれの界面活性剤について、適宜最適な濃度を決定することができる。
溶菌液は、そのまま形質転換に用いても、本発明を実施することができるが、例えば、遠心分離により、枯草菌の細胞のデブリスを除いたものを用いてもよい。更に、バッファー又は希釈液などにより、希釈したものを溶菌液として用いることもできる。また、エタノール沈殿により、DNAを濃縮したものを用いてもよい。
《ベクター》
枯草菌に含まれるベクターは、特に限定されるものではなく、例えばプラスミドベクター、ファージミドベクター、又はコスミドベクターを挙げることができるが、好ましくはプラスミドベクターであり、最も好ましくは枯草菌と酵母とのシャトルプラスミドベクターである。
枯草菌と酵母とのシャトルプラスミドベクターとしては、例えばpGETS302、又はpGETS30Xを挙げることができる。
また、枯草菌と大腸菌のシャトルプラスミドベクターとしては、例えばpGETS302、又はpGETS30X、またはpGETSGFPまたはpGETS109などを挙げることができる。ベクターに含まれる核酸も、DNA組換え実験において、酵母又は大腸菌に導入される可能性のある核酸である限りにおいて、特に限定されるものではなく、様々な生物(動物、植物、又は微生物等)由来の核酸、又は合成された核酸を用いることができる。これらの核酸を含むベクターを用いて、酵母ライブラリー又は大腸菌ライブラリーを作製することもできる。
《添加剤》
前記溶菌液に添加される添加剤は、ヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、ヌクレアーゼ、又はそれらの2つ以上の組み合わせである。これらの添加剤を溶菌液に添加することにより、枯草菌からDNAを回収及び精製することなく、効率よく酵母又は大腸菌を形質転換することができる。ヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、及びヌクレアーゼの組み合わせとしては、ヌクレアーゼ阻害剤及びタンパク質変性剤の組み合わせ、ヌクレアーゼ阻害剤及びヌクレアーゼの組み合わせ、タンパク質変性剤及びヌクレアーゼの組み合わせ、及びヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、及びヌクレアーゼの組み合わせを挙げることができるが、特にはヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、及びヌクレアーゼの組み合わせが好ましい。
《ベクター含有液の調製》
ベクター含有液は、前記溶菌した枯草菌及びそれから放出されたベクターを含む溶菌液並びに添加剤を含む。溶菌液は以下のように調製することができる。
枯草菌を、例えばテトラサイクリンを含む培地で培養する。培養時間は、用いる枯草菌の増殖スピードに応じて適宜決定することができ、特に限定されるものではないが、好ましくは6時間〜72時間であり、より好ましくは8時間〜48時間であり、更に好ましくは10時間〜24時間であり、最も好ましくは12〜16時間である。より具体的には、一晩(例えば12時間)培養することにより、本発明の方法に用いる枯草菌を得ることができる。培養温度も限定されないが、35〜40℃で培養することが可能であり、好ましくは36〜40℃、より好ましくは37〜40℃、最も好ましくは37℃である。
静置によって枯草菌を溶菌させる場合は、培養された枯草菌をそのまま静置する。静置時間は、前記の通り限定されるものではないが、好ましくは10分〜72時間であり、より好ましくは30分〜48時間であり、更に好ましくは1〜36時間であり、最も好ましくは2〜24時間である。前記の静置時間であることにより、充分なDNAが放出され、且つDNAが破壊されることが少ない。
ファージによって、枯草菌を溶菌させる場合は、例えばSP10ファージを枯草菌に感染させ、33〜40℃で12〜36時間培養する。
界面活性剤によって、枯草菌を溶菌させる場合は、例えば界面活性剤を枯草菌の培養液に添加し、静置又は撹拌することによって溶菌させることができる。
例えば、168株、RM125株、又はそれらの誘導株は、静置によって溶菌するが、ファージの感染、又は界面活性剤の添加を組み合わせて、溶菌させてもよい。
すなわち、前記溶菌液は、(1)枯草菌を培養する工程(以下、培養工程1と称することがある)及び(2)枯草菌を溶菌させる工程(以下、溶菌工程2と称することがある)によって得ることができる。また、溶菌液に前記添加剤を添加することによって、ベクター含有液を得ることができる。なお、タンパク質変性剤を添加する場合は、更に(3)タンパク質変性剤により溶菌液を処理する工程(以下、溶菌液処理工程3と称することがある)を行い、ベクター含有液を得ることができる。
本発明に用いるベクター含有液は、前記溶菌液に添加剤を含ませることによって、調製することができる。添加剤の添加のタイミングは、それぞれの添加剤の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えば以下のタイミングで添加剤を添加することができる。
ヌクレアーゼの添加のタイミングは、限定されるものではないが、前記培養工程1の前から溶菌工程2に添加することが好ましい。
ヌクレアーゼ阻害剤の添加のタイミングは、限定されるものではないが、前記培養工程1の前から前記溶菌工程2の前(培養工程1終了後)に添加することができる。特に、ヌクレアーゼを添加しない場合において、培養工程1の前、又は培養工程1中に添加することができる。一方、ヌクレアーゼを添加する場合は、ヌクレアーゼを添加した後にヌクレアーゼ阻害剤を添加することが好ましく、特には溶菌工程2の前(培養工程1終了後)が好ましい。
タンパク質変性剤の添加のタイミングは、限定されるものではないが、前記溶菌工程2の前から溶液処理工程3において添加することが好ましい。ヌクレアーゼを添加しない場合は、タンパク質変性剤は前記溶菌工程2の前から溶液処理工程3のいずれのタイミングで添加してもよい。ヌクレアーゼ及びタンパク質変性剤を添加する場合、タンパク質変性剤により、ヌクレアーゼが失活することがある。従って、ヌクレアーゼ及びタンパク質変性剤を添加する場合は、ヌクレアーゼを添加して作用させた後に、タンパク質変性剤を添加して作用させるのが好ましい。
また、ヌクレアーゼ阻害剤及びタンパク質変性剤は、溶菌工程2の前に同時に添加することもできる。ヌクレアーゼ阻害剤としてアウリントリカルボン酸を用い、タンパク質変性剤としてプロテイナーゼKを用いた場合、溶菌工程2の前にアウリントリカルボン酸及びプロテイナーゼKを添加し、37℃で溶菌工程2及び溶菌液処理工程3を同時に行うこともできる。また、37℃で溶菌工程2を行い、次いでプロテイナーゼKの適温である65℃で溶菌液処理工程3を行うこともできる。
培養工程1は、枯草菌を培養する工程であるが、前記の通り、35〜40℃(好ましくは36〜40℃、より好ましくは37〜40℃、最も好ましくは37℃)で、6時間〜72時間(好ましくは8時間〜48時間、更に好ましくは10時間〜24時間であり、最も好ましくは12〜16時間)で培養することにより行うことができる。
前記溶菌工程2は、枯草菌を溶菌させる工程であるが、枯草菌培養液の静置、ファージの感染、界面活性剤の添加、又はそれらの2つ以上の組み合わせによって行うことができる。枯草菌培養液の静置は、5〜65℃(好ましくは10〜50℃、より好ましくは15〜37℃)で、10分〜72時間(より好ましくは30分〜48時間、更に好ましくは1〜36時間、最も好ましくは2〜24時間)静置することによって行うことができる。ファージの感染は、例えばSP10ファージを枯草菌にMOI0.1〜50.0(より好ましくは0.5〜10.0、更に好ましくは1.0〜5.0)で感染させ、33〜40℃で12〜36時間、置くことにより実施できる。更に、界面活性剤の添加は、界面活性剤を枯草菌の培養液に添加し、静置又は撹拌することによって実施することができる。
(ヌクレアーゼ)
本発明に用いるヌクレアーゼは、特に限定されるものではないが、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ又はS1ヌクレアーゼを挙げることができる。一方、非特異的に二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼ(例えば、DNaseI及び大腸菌エンドヌクレアーゼI)は、ベクターのDNAを分解することがあるため、好ましくない。従って、本発明に用いるヌクレアーゼとしては、非特異的二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼ以外のヌクレアーゼ(すなわち、ヌクレアーゼ(非特異的二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼを除く))が好ましい。ヌクレアーゼの添加量及び温度は、それぞれのヌクレアーゼに応じて、適宜決定することができる。すなわち、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。
従って、ヌクレアーゼの反応温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは30〜40℃であり、より好ましくは35〜38℃である。
ヌクレアーゼの添加量は、前記の通り、限定されるものではないが、例えばエキソヌクレアーゼIの添加量は、好ましくは0.1〜10Units/mLであり、より好ましくは0.5〜3Units/mLである。
前記溶菌液中には、枯草菌のゲノムDNAが存在している。これらの枯草菌のゲノムDNAは、本発明に用いるベクターの酵母または大腸菌細胞への導入を阻害していることが考えられる。ヌクレアーゼを溶菌液に添加することにより、ゲノムDNAの影響を抑制することができ、形質転換の効率が上昇すると考えられる。
(ヌクレアーゼ阻害剤)
本発明に用いるヌクレアーゼ阻害剤は、特に限定されるものではないが、アウリントリカルボン酸、界面活性剤、キレート剤、還元剤、ドデシル硫酸ナトリウム、バニジルヌクレオチド、過酸化水素、又は抗ヌクレアーゼ抗体を挙げることができる。ヌクレアーゼ阻害剤の添加量、及び温度は、それぞれのヌクレアーゼ阻害剤に応じて、適宜決定することができる。すなわち、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。
ヌクレアーゼ阻害剤の添加量は、前記の通り、限定されるものではないが、例えばアウリントリカルボン酸の添加量は、好ましくは0.03〜3mg/mLであり、より好ましくは0.1〜1mg/mLである。
前記溶菌液中には、枯草菌のヌクレアーゼが存在している。枯草菌のヌクレアーゼの中には、本発明に用いるベクターのDNAを分解するヌクレアーゼ(特には、非特異的二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼ)も存在している。ヌクレアーゼ阻害剤を溶菌液に添加することにより、枯草菌のヌクレアーゼ(特には、非特異的二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼ)の作用を抑制することができ、形質転換の効率が上昇すると考えられる。
前記界面活性剤は、特に限定されるものではないが、好ましくは非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤又は陽イオン性界面活性剤であり、より好ましくは非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが、Nonidet P40、Triton X−100、Triton X−114、Tween 20、Tween 40、Twenn 80、Brij35、又はBrij58を挙げることができる。両性界面活性剤としては、限定されるものではないが、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン(LSB)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(LPB)、コカミドプロピルベタイン(CPB)、カプリン酸プロピルベタイン(CAPB)、n−ドデシル−N,N−ジメチルグリシン(DDGly)、ラウリルアミノプロピオン酸(LAPA)、n−ドデシル−N,N−(ジメチルアンモニオ)ブチル酸(DDMAB)、n−ドデシル−N,N−(ジメチルアンモニオ)ウンデカン酸(DDMAU)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CHAPSO)を挙げることができる。
界面活性剤の濃度は、当業者によって、それぞれの界面活性剤ごとに適宜決定することができる。すなわち、それぞれの界面活性剤により、本発明の効果が得られる最適な濃度範囲は異なるが、当業者であれば、本明細書の記載から界面活性剤の濃度を検討することにより、本発明の効果が得られる界面活性剤の最適濃度を決定することは、過度の負担無く実施することができる。例えば、Triton X−100の最適濃度は限定されるものではないが、好ましくは0.01〜2重量%であり、より好ましくは0.05〜1.5重量%である。また、Tween20の最適濃度は、限定されるものではないが、好ましくは2〜50重量%であり、より好ましくは3〜40重量%であり、更に好ましくは10〜35重量%である。
更に、本発明において、界面活性剤は、ヌクレアーゼ阻害剤としての作用と、後述のタンパク質変性剤としての作用とを示すことができる。
前記キレート剤は、特に限定されるものではないが、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、シクロヘキサンジアミン四酢酸(CDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ジメルカプトプロパン・スルホン酸(DMPS)、ジメルカプトコハク酸(DMSA)、アミノトリメチレン・ホスホン酸(ArPA)、クエン酸、又は酢酸、およびその薬学的に許容可能な塩を挙げることができる。
(タンパク質変性剤)
本発明に用いるタンパク質変性剤は、枯草菌の溶菌液に含まれる形質転換を阻害するタンパク質の作用を抑制する限りにおいて、特に限定されるものではないが、例えばタンパク質分解酵素、又は界面活性剤を挙げることができる。
タンパク質分解酵素も、特に限定されるものではないが、セリンプロテアーゼ、アスパラギン酸プロテアーゼ、又はシステインプロテアーゼを挙げることができる。より具体的には、プロテイナーゼK(セリンプロテアーゼ)、ペプシン(アスパラギン酸プロテアーゼ)、ブロメライン、キモパパイン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、フィシン、パパイン(システインプロテアーゼ)、ペプチダーゼ、プロテイナーゼA、トリプシン(セリンプロテアーゼ)、微生物プロテアーゼ、エラスターゼ、サブチリシン、カスパーゼ、カルボキシペプチダーゼ、ジペプチジルペプチダーゼ、エンテロペプチダーゼ、ヒドロラーゼを挙げることができる。タンパク質分解酵素の添加量、及び温度は、それぞれのタンパク質分解酵素に応じて、適宜決定することができる。すなわち、本発明の効果が得られる限りにおいて、特に限定されるものではない。
タンパク質分解酵素の添加量は、前記の通り、限定されるものではないが、例えばプロテイナーゼKの添加量は、好ましくは0.05〜500Units/mLであり、より好ましくは2〜10Units/mLである。プロテイナーゼKの反応温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは30〜65℃であり、より好ましくは45〜65℃であり、最も好ましくは、50〜65℃である。
界面活性剤も、特に限定されるものではないが、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、CHAPS、Nonidet P−4、TrironX−100、又はTween20を挙げることができる。界面活性剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤又は陽イオン性界面活性剤であり、より好ましくは非イオン性界面活性剤又は両性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤としては、限定されるものではないが、Nonidet P40、Triton X−100、Triton X−114、Tween 20、Tween 40、Twenn 80、Brij35、又はBrij58を挙げることができる。両性界面活性剤としては、限定されるものではないが、ラウリン酸アミドプロピルヒドロキシスルホベタイン(LSB)、ラウリン酸アミドプロピルベタイン(LPB)、コカミドプロピルベタイン(CPB)、カプリン酸プロピルベタイン(CAPB)、n−ドデシル−N,N−ジメチルグリシン(DDGly)、ラウリルアミノプロピオン酸(LAPA)、n−ドデシル−N,N−(ジメチルアンモニオ)ブチル酸(DDMAB)、n−ドデシル−N,N−(ジメチルアンモニオ)ウンデカン酸(DDMAU)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホン酸(CHAPS)、3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸(CHAPSO)を挙げることができる。界面活性剤の添加量及び温度は、それぞれの界面活性剤に応じて、適宜決定することができる。
《酵母》
酵母としては、本発明の技術分野において通常用いられている酵母を、制限なく用いることができる。すなわち、酵母細胞中にベクターDNAを導入できる限りにおいて、限定されるものではない。例えば、ベクターDNAの導入法として、エレクトロポレーションを用いる場合、電圧、印加時間、及パルスの回数等の条件を検討することによって、酵母の種類に制限されることなく、ベクターDNAを導入することが可能である。従って、酵母の種類は限定されるものではないが、例えば、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae:サッカロマイセス・セレビシエ)、分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe:シゾサッカロマイセス・ポンベ)、カンジダ酵母(Candida albicans:カンジダ・アルビカンス)、アルカン資化酵母(Yarrowia lipolytica:ヤロウィア・リポリティカ)、メタノール資化酵母(Hansenula polymorpha:ハンセヌラ・ポリモルファ)、キラー酵母(Kluyveromyces lactis:クルイベロミセス・ラクティス)又はメタノール資化性酵母(Pichia pastoris:ピキア・パストリス)を挙げることができる。出芽酵母としては、例えばYPH499株、YPH500株、W303−1A株、BY4741株、BY4742株、YPH501株、SFY52株、又はW303−1B株、又はこれらの株由来の誘導株を用いることができる。
《大腸菌》
大腸菌としては、本発明の技術分野において通常用いられている大腸菌を、制限なく用いることができる。すなわち、大腸菌の細胞中にベクターDNAを導入できる限りにおいて、限定されるものではない。従って、大腸菌の種類は限定されるものではないが、例えば、DH5α、DH10B、JM109、JA221、DH1、TOP10、又はXL1-Blueを挙げることができる。
《形質転換》
前記酵母細胞を形質転換する方法としては、化学的形質転換法及びエレクトロポレーション法を用いることができる。
本明細書において、酵母の化学的形質転換法は、酢酸リチウム存在下で酵母細胞を形質転換する酢酸リチウム法、浸透圧調整剤(ソルビトールやマンニトールなど)の存在下で、酵母細胞の細胞壁を、細胞壁溶解酵素を用いて取り除きスフェロプラスト(プロトプラスト)を作成し形質転換するプロトプラスト法(スフェロプラスト法)を含む。
例えば、酢酸リチウム法は、以下のように行うことができる。OSBバッファー(1MLiAC;0.2mL、50%PEG3400:0.8mL、4MDTT:25μL)に一晩培養した酵母を懸濁する。前記ベクター含有液を添加し、45分、43.5℃でインキュベーションし、全量を平板培地に播き、培養する。
また、プロトプラスト法(スフェロプロスト法)は、例えば以下のように行うことができる。1Mソルビトール存在下でZymolyase−20T(10mg/mL)などの適当な細胞壁溶解酵素を用いて酵母の細胞壁を除去(プロトプラスト(スフェロプラスト)化し、STC(1M ソルビトール、1mM Tris−HCl:pH7.5、1mM CaCl)に懸濁後、前記ベクター含有液を添加し、10分間室温で培養する。PEG溶液(20%PEG8000、1mM Tris−HCl:pH7.5、1mM CaCl)を静かに加え、室温で10分放置した後、遠心して上清を取り除き、SOS(1M ソルビトール、0.66mM CaCl、0.25% yeast extract、0.5% Bacto pepton)に穏やかに懸濁後、30℃で30分インキュベートし、全量を平板培地に播き、培養する。
本明細書において、化学的形質転換法に用いる酵母細胞をケミカルコンピテントセルと称することがある。
前記大腸菌を形質転換する方法としては、化学的形質転換法及びエレクトロポレーション法を用いることができる。
本明細書において、大腸菌の化学的形質転換法は、塩化カルシウムで処理した大腸菌(コンピテントセル)を用いて形質転換する塩化カルシウム法、塩化ルビジウムを用いて形質転換するハナハン法、またはポリエチレングリコール(PEG)などを用いて形質転換するミラー法を含む。
例えば、塩化カルシウム法は、以下のように行うことができる。LB培地で培養した大腸菌を集菌し、氷冷した塩化カルシウム溶液を加え懸濁する。更に遠心分離により大腸菌を集菌し、塩化カルシウム溶液に懸濁して、コンピテントセルを得る。コンピテントセルに前記ベクター含有液を添加し、4℃、30分氷冷する。42℃で45秒間熱処理し、すぐに2分間氷冷する。800μLのSOB培地を加え、37℃で1時間ほど培養する。それを選択培地に塗布して培養することによって、大腸菌の形質転換細胞を得ることができる。
前記酵母又は大腸菌のエレクトロポレーション法は、以下のように行うことができる。酵母又は大腸菌の懸濁液に前記ベクター含有液を適宜処理したものを添加し、電気パルスをかけることで酵母又は大腸菌の細胞膜に微小な穴を空け、ベクターDNAが酵母細胞又は大腸菌の内部に取り込まれることで、形質転換することができる。本明細書において、エレクトロポレーションに用いる酵母細胞又は大腸菌細胞をエレクトロコンピテントセルと称することがある。
本発明の形質転換細胞の製造方法によって、枯草菌から放出されたベクターDNAを含む酵母又は大腸菌の形質転換体を得ることができる。前記ベクターに含まれる核酸は、1種類でもよく、多種類の核酸が含まれていてもよい。多種類の核酸を含むベクターを含有する酵母の形質転換体は酵母ライブラリーとして用いることができる。また、大腸菌の形質転換体は、大腸菌ライブラリーとして用いることができる。本発明の製造方法によって得られた酵母形質転換細胞、又は大腸菌形質転換細胞は、クローン化されているDNAを遺伝子資源としてより安定的に保存することができる。例えば、多種類のDNAを含む微生物細胞より成るライブラリー等は、用いた細胞によっては維持管理が煩雑となる場合があるが、例えば、前記したような酵母ライブラリー又は大腸菌ライブラリーでは、構築後の維持・保存を非常に簡便かつ安定的に行うことができる。
[2]形質転換細胞
本発明の酵母形質転換細胞は、前記形質転換細胞の製造方法によって得られるものである。本発明の酵母形質転換細胞に含まれる「ベクター」、ベクターに含まれる「核酸」、及び「酵母」等は、前記「[1]形質転換細胞の製造方法」に記載のものを用いることができる。
また、本発明の酵母形質転換細胞は、酵母ライブラリーとして用いることができる。
本発明の大腸菌形質転換細胞は、前記形質転換細胞の製造方法によって得られるものである。本発明の大腸菌形質転換細胞に含まれる「ベクター」、ベクターに含まれる「核酸」、及び「大腸菌」等は、前記「[1]形質転換細胞の製造方法」に記載のものを用いることができる。
また、本発明の大腸菌形質転換細胞は、大腸菌ライブラリーとして用いることができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
《実施例1》
本実施例では、エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。枯草菌(Bacillus subtilis)は、ベクターpGETS302を含む枯草菌RM125株を用いた。酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、YPH499株を用い、リチウム陽イオン法に類似した方法でZYMO RESEARCH社のFrozen-EZ Yeast Transformation II Kitによってコンピテントセルを調製した。
テトラサイクリン(10μg/mL)を含むLB培地5mLに、エキソヌクレアーゼ(ExoI;Takara)5units(最終濃度1Units/mL)を添加した。このLB培地に、枯草菌を植菌し、37℃で一晩培養した。ヌクレアーゼ阻害剤(アウリントリカルボン酸(ATA);0.35mg/mL)を添加し、2時間静置することによって、枯草菌を溶菌させた。得られた溶菌液に、プロテイナーゼK(最終濃度4Units/mL)を添加し、65℃で1時間インキュベーションした。溶菌液200μL、酵母のコンピテントセル50μL、及びTF溶液500μL(ZYMO RESEARCH社のFrozen-EZ Yeast Transformation II KitのEZ 3 Solution)を混合し、30℃で45〜60分、振とうした。1.2%のSD Leu−(ロイシン要求性Minimal SD)アガーを加えプレートに播種し、酵母形質転換体を選択した。
30℃で2日から4日培養し、コロニー数を測定した。結果を図1に示す。
《実施例2》
本実施例では、エキソヌクレアーゼ、及びプロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。
ヌクレアーゼ阻害剤を添加しなかったことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。結果を図1に示す。
《実施例3》
本実施例では、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼを添加しなかったことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。結果を図1に示す。
《実施例4》
本実施例では、ヌクレアーゼ阻害剤を用いて、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼ及びプロテイナーゼKを添加しなかったことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。結果を図1に示す。
《実施例5》
本実施例では、プロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼ及びヌクレアーゼ阻害剤を添加しなかったことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。結果を図1に示す。
《比較例1》
本実施例では、エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを用いずに、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを添加しなかったことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。結果を図1に示す。
図1に示すように、エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及び/又はプロテイナーゼKを添加することにより、酵母の形質転換効率が顕著に上昇した。
《実施例6》
本実施例では、エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。実施例1〜5では、枯草菌を試験管で培養したが、実施例6〜10ではマルチウエル(イワキ社;MICROPLATE 12well)で培養した。枯草菌(Bacillus subtilis)は、ベクターpGETS302、又はpGETS30Xを含む枯草菌RM125株を用いた。酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、YPH499株を用い、リチウム陽イオン法に類似した方法でZYMO RESEARCH社のFrozen-EZ Yeast Transformation II Kitによってコンピテントセルを調製した。
テトラサイクリン(10μg/mL)を含むLB培地3mLを12ウエルのマルチウエル分注し、エキソヌクレアーゼ(ExoI;Takara)5unitsを添加(最終濃度1.67Units/mL)した。各ウエルに、枯草菌を植菌し、37℃で一晩培養した。ヌクレアーゼ阻害剤(ATA;0.35mg/mL)を添加し、2時間静置することによって、枯草菌を溶菌させた。得られた溶菌液に、プロテイナーゼK(最終濃度6.7Units/mL)を添加し、65℃で1時間インキュベーションした。溶菌液200μL、酵母のコンピテントセル50μL、及びTF溶液500μLを混合し、30℃で45〜60分、振とうした。1.2%のSD Leu−(ロイシン要求性Minimal SD)アガーを加えプレートに播種し、酵母形質転換体を選択した。
30℃で2日から4日日培養し、コロニー数を測定した。結果を表1に示す。
《実施例7》
本実施例では、エキソヌクレアーゼ、及びプロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。
ヌクレアーゼ阻害剤を添加しなかったことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。結果を表1に示す。
《実施例8》
本実施例では、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼを添加しなかったことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。結果を表1に示す。
《実施例9》
本実施例では、ヌクレアーゼ阻害剤を用いて、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼ及びプロテイナーゼKを添加しなかったことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。結果を表1に示す。
《実施例10》
本実施例では、プロテイナーゼKを用いて、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼ及びヌクレアーゼ阻害剤を添加しなかったことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。結果を表1に示す。
《比較例2》
本実施例では、エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを用いずに、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及びプロテイナーゼKを添加しなかったことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。結果を表1に示す。
表1に示すように、マルチウエル(イワキ社;MICROPLATE 12well)を用いるとコロニー数が増加した。また、実施例1〜5と同じように、エキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤、及び/又はプロテイナーゼKを添加することにより、酵母の形質転換効率が顕著に上昇した。
《実施例11》
本実施例では、枯草菌の培養後の静置を2時間又は24時間行い、酵母の形質転換を行った。
酵母の静置を2時間及び24時間としたことを除いては、実施例1の操作を繰り返した。結果を図2、図3に示す。
図2に示すように、2時間の静置で溶菌が進行し、24時間では更に溶菌が進行していることがわかった。得られたコロニー数は、図3に示すように2時間で100個、24時間で117個であった。溶菌の時間は、2時間で、ほぼ充分であると考えられる。また、24時間まで時間を延ばしても、溶菌液中のベクターは破壊されていないことがわかった。
《実施例12〜19及び比較例3》
本実施例では、エキソヌクレアーゼとして、エキソヌクレアーゼIII、ヌクレアーゼ阻害剤としてEDTA又はEGTA、タンパク質分解酵素として、ペプシン、パパイン、トリプシン、又はエラスターゼを用いて酵母の形質転換を行った。
実施例12は、基本的に実施例6と同様の方法で行った。枯草菌(Bacillus subtilis)は、ベクターpGETS302、又はpGETS30Xを含む枯草菌RM125株を用いた。酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、BYCRT−AUR株を用い、一般的な酢酸リチウム法によってコンピテントセルを調製した。
テトラサイクリン(10μg/mL)を含むLB培地3mLを12ウエルのマルチウエル分注し、エキソヌクレアーゼ(ExoI;Takara)5units(最終濃度1.67Units/mL)を添加した。各ウエルに、枯草菌を植菌し、37℃で一晩培養した。ヌクレアーゼ阻害剤(ATA;最終濃度0.35mg/mL)を添加し、2時間静置することによって、枯草菌を溶菌させた。得られた溶菌液に、プロテイナーゼK(最終濃度6.7Units/mL)を添加し、37℃で1時間インキュベーションした。溶菌液50μL、酵母のコンピテントセル100μL、及び酢酸リチウム、PEG3350溶液600μL、キャリアDNA10μLを混合し、30℃で30分、振とう後DMSOを70μL加え、42℃で15分振とうした。その後集菌して滅菌水600μLに溶かした後1.2%のSDLeu−(ロイシン要求性Minimal SD)アガーを加えプレートに播種し、酵母形質転換体を選択した。
実施例13は、ExoIの5unisに代えて、ExoIIIを5units(最終濃度1.67Units/mL)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
実施例14は、ATAの0.35mg/mLに代えて、EDTA1mM(最終濃度)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
実施例15は、ATAの0.35mg/mLに代えて、EGTA1mM(最終濃度)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
実施例16は、プロテイナーゼKに代えて、ペプシン(最終濃度6.7Units/mL)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
実施例17は、プロテイナーゼKに代えて、パパイン(最終濃度6.7Units/mL)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
実施例18は、プロテイナーゼKに代えて、トリプシン(最終濃度0.01%)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
実施例19は、プロテイナーゼKに代えて、エラスターゼ(最終濃度12.5U/mL)を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。
比較例3は、ExoI、ATA、及びプロテイナーゼKを添加せずに、実施例12の操作を繰り返した。
結果を図4及び表2に示す。
実施例12〜19のエキソヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ阻害剤及びタンパク質分解酵素を用いた形質転換により、これらを用いなかった比較例よりもコロニー数が増加した。
《実施例20》
本実施例では、ヌクレアーゼ阻害剤として界面活性剤(TritonX−100)のみを使用して、酵母の形質転換を行った。
エキソヌクレアーゼを使用しないこと、タンパク質分解酵素を使用しないこと、及びヌクレアーゼ阻害剤(ATA)に代えて、TritonX−100を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。TritonX−100の濃度は、0.25重量%、0.5重量%、1重量%で行った。図5に示すように、TritinX−100を用いることにより、コロニー数の増加が見られた。
《実施例21》
本実施例では、エキソヌクレアーゼとしてエキソヌクレアーゼI(ExoI)を使用し、ヌクレアーゼ阻害剤として界面活性剤(TritonX−100)を使用して、酵母の形質転換を行った。TritonX−100の濃度は1重量%を用いた。
タンパク質分解酵素を使用しないこと、及びヌクレアーゼ阻害剤(ATA)に代えて、TritonX−100を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。図6に、比較例3、実施例12、実施例20とのコロニー数の比較を示す。ExoI及びTritonX−100を用いることにより、実施例20と比較して、更に得られたコロニー数が増加した。
《実施例22》
本実施例では、界面活性剤として、Tween20を用いて、酵母の形質転換を行った。
TritonX−100を0.25〜1重量%用いることに代えて、Tween20を1〜30重量%用いたことを除いては、実施例20の操作を繰り返した。図7に示すように、Tween20を添加することにより、得られるコロニー数が増加した。
《実施例23》
本実施例では、界面活性剤として、NonidetP−40を用いて、酵母の形質転換を行った。
TritonX−100を用いることに代えて、NonidetP−40を1重量%用いたことを除いては、実施例20の操作を繰り返した。表3に示すように、NonidetP−40を添加することにより、得られるコロニー数が増加した。
《実施例24》
本実施例では、界面活性剤として、Twenn80を用いて、酵母の形質転換を行った。
TritonX−100を用いることに代えて、Twenn80を10重量%用いたことを除いては、実施例20の操作を繰り返した。表3に示すように、Twenn80を添加することにより、得られるコロニー数が増加した。
《実施例25》
本実施例では、界面活性剤として、両性界面活性剤であるCHAPSを用いて、酵母の形質転換を行った。
TritonX−100を用いることに代えて、CHAPSを1重量%用いたことを除いては、実施例20の操作を繰り返した。表3に示すように、CHAPSを添加することにより、得られるコロニー数が増加した。
《実施例26》
本実施例では、培地としてLB培地、2xYT培地、Super broth、又はSOBを用い、界面活性剤としてTritonX−100を用いて、酵母の形質転換を行った。
培地としてLB培地(100mLあたり、Tripton 1g、Yeast extract 0.5g、NaCl 0.5g)、2xYT培地(100mLあたり、Tripton 1.6g、Yeast extract 1g、NaCl 0.5g)、Super broth(100mLあたり、Tripton 3.2g、Yeast extract 2g、NaCl 0.5g)、又はSOB(100mLあたり、Tripton 2g、Yeast extract 0.5g、NaCl 0.05g)を用いたことを除いては、実施例20の操作を繰り返した。図8に示すように、Super brothを用いた方法が得られるコロニー数が多かった。なお、同じ培地を用いた場合は、TritonX−100を添加することにより、比較例よりもコロニー数は増加した。
《実施例27》
本実施例では、ベクターDNAの導入法として、エレクトロポレーションを用いて、酵母の形質転換を行った。
枯草菌(Bacillus subtilis)は、pGETS30Xを含む枯草菌RM125株を用いた。酵母(Saccharomyces cerevisiae)は、BYCRT−AUR株を用いた。
テトラサイクリン(10μg/mL)を含むLB培地3mLに、枯草菌を植菌し、37℃で一晩培養した。TritonX−100を1重量%添加し、2時間静置することによって、枯草菌を溶菌させた。得られた溶菌液をエタノール沈殿により脱塩処理した。
酵母のコンピテントセルは、100mLのYPDAに酵母を植菌して30℃で4時間培養した。氷上に15分静置し、遠心分離によって集菌した。25mLの氷冷滅菌水に懸濁し、更に遠心分離によって集菌した。得られた酵母を1Mソルビトールに懸濁し、遠心分離によって集菌した。同じ操作を3回繰り返し、コンピテントセルを得た。
エレクトロポレーションは、40μLのコンピテントセルに、5μLの溶菌液を添加しパルスを印加した。すぐに500μLの1Mソルビトールを加え、SD Leu−/1Mソルビトールのプレートに播種した。30℃で3〜5日培養し、コロニー数を測定した。
《比較例4》
本比較例では、TritonX−100を用いないことを除いては、実施例27の操作を繰り返した。
実施例27及び比較例4の結果を表4に示す。
《実施例28》
本実施例では、本発明の方法で用いるベクター(プラスミド)の大きさを検討した。プラスミドとして、pGETS302(15.5kbp)、18.2kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(33.7kbp)、29.2kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(44.7kbp)、及び50.1kbpのフラグメントが挿入されたpGETS30X(65.6kbp)を用いて、酵母を形質転換した。
前記pGETS302(15.5kbp)、pGETS30X(33.7kbp)、pGETS30X(44.7kbp)、及びpGETS30X(65.6kbp)を用いたことを除いては、実施例6の操作を繰り返した。図9に示すように、本発明の方法により、65.6kbpのプラスミドを用いて形質転換できることが分かった。
《実施例29》
本実施例では、TritonX1−100を用いて、導入できるベクター(プラスミド)の大きさを検討した。プラスミドとして、実施例28と同じプラスミドを用いた。
前記pGETS302(15.5kbp)、pGETS30X(33.7kbp)、pGETS30X(44.7kbp)、及びpGETS30X(65.6kbp)を用いたことを除いては、基本的に実施例20の操作を繰り返した。図10に示すように、TritonX−100を用いることにより、実施例28と比較しても、大きなプラスミドの形質転換効率が上昇した。
《実施例30》
本実施例では、形質転換される細胞として、大腸菌を用いた。
酵母に代えて、大腸菌(DH10B)を用いたこと、及びプラスミドの導入方法として塩化カルシウム法を用いたことを除いては、実施例12の操作を繰り返した。塩化カルシウム法は、以下のように行った。
LBまたはSOB培地で培養した大腸菌を集菌し、氷冷した塩化カルシウム溶液を加え懸濁する。更に遠心分離により大腸菌を集菌し、塩化カルシウム溶液に懸濁して、コンピテントセルを作成した。コンピテントセルに前記ベクター含有液を添加し、4℃、30分氷冷する。42℃で45秒間熱処理し、すぐに2分間氷冷する。800μLのSOB培地を加え、37℃で45分以上1時間程培養し、遠心して集菌後選択培地に塗布して培養することによって、大腸菌の形質転換細胞を得た。大腸菌のコンピテントセル200μLに対して、溶菌液を200μL、150μL、100μL、及び50μL用いた。図11に示すように、本発明の方法により大腸菌を形質転換することが可能であった。また、溶菌液が少ない方が、形質転換の効率が高かった。
《実施例31》
本実施例では、大腸菌を形質転換される細胞として用いた場合の導入できるベクター(プラスミド)の大きさを検討した。プラスミドとして、pGETS302(15.5kbp)、pGETS30X(33.7kbp)、pGETS30X(44.7kbp)を用いたことを除いては、実施例30の操作を繰り返した。図12に示すように、44.7kbpのプラスミドを大腸菌に導入することが可能であった。
《実施例32》
本実施例では、培地としてLB培地、及びSuper brothを用いて、大腸菌の形質転換を行った。
プラスミドとして、pGETS302(15.5kbp)、pGETS30X(33.7kbp)、pGETS30X(44.7kbp)を用いたこと、及び培地としてLB培地、及びSuper brothを用いたことを除いては、実施例30の操作を繰り返した。図13に示すように、Super brothを用いた方が形質転換の効率が高かった。
本発明の形質転換細胞の製造方法は、簡便かつ迅速に形質転換細胞を製造することができる。従って、DNA組換え実験の分野において、酵母または大腸菌の形質転換細胞、酵母または大腸菌のライブラリーを、複雑な操作を必要とせずに、簡便に作製することが可能である。
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

Claims (12)

  1. (A)溶菌した枯草菌及びそれから放出されたベクターを含む溶菌液、並びに
    (B)ヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、ヌクレアーゼ(非特異的二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼを除く)、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される添加剤、
    を含むベクター含有液を用いて、酵母又は大腸菌を形質転換することを特徴とする、形質転換細胞の製造方法。
  2. 前記ヌクレアーゼ阻害剤が、アウリントリカルボン酸、界面活性剤、キレート剤、還元剤、バニジルヌクレオチド、過酸化水素、又は抗ヌクレアーゼ抗体である請求項1に記載の形質転換細胞の製造方法。
  3. 前記タンパク質変性剤がタンパク質分解酵素又は界面活性剤である、請求項1又は2に記載の形質転換細胞の製造方法。
  4. 前記ヌクレアーゼが、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、又はS1ヌクレアーゼである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の形質転換細胞の製造方法。
  5. 前記形質転換が、ベクター含有液及び酵母または大腸菌コンピテントセルとの混合、又はベクター含有液及び酵母または大腸菌の混合液へのエレクトロポレーションによって行われる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の形質転換細胞の製造方法。
  6. 前記溶菌が、枯草菌培養液の静置、ファージの感染、界面活性剤の添加、又はそれらの2つ以上の組み合わせによって行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の形質転換細胞の製造方法。
  7. (A)溶菌した枯草菌及びそれから放出されたベクターを含む溶菌液、並びに
    (B)ヌクレアーゼ阻害剤、タンパク質変性剤、ヌクレアーゼ(非特異的二本鎖DNAを切断するエンドヌクレアーゼを除く)、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される添加剤、
    を含むベクター含有液を用いて、酵母又は大腸菌を形質転換することを特徴とする、ライブラリーの製造方法。
  8. 前記ヌクレアーゼ阻害剤が、アウリントリカルボン酸、界面活性剤、キレート剤、還元剤、バニジルヌクレオチド、過酸化水素、又は抗ヌクレアーゼ抗体である請求項に記載のライブラリーの製造方法。
  9. 前記タンパク質変性剤がタンパク質分解酵素又は界面活性剤である、請求項又はに記載のライブラリーの製造方法。
  10. 前記ヌクレアーゼが、エキソヌクレアーゼI、エキソヌクレアーゼIII、マングビーンヌクレアーゼ、又はS1ヌクレアーゼである、請求項7〜9のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  11. 前記形質転換が、ベクター含有液及び酵母または大腸菌コンピテントセルとの混合、又はベクター含有液及び酵母または大腸菌の混合液へのエレクトロポレーションによって行われる、請求項7〜10のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
  12. 前記溶菌が、枯草菌培養液の静置、ファージの感染、界面活性剤の添加、又はそれらの2つ以上の組み合わせによって行われる、請求項7〜11のいずれか一項に記載のライブラリーの製造方法。
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