JP6750652B2 - イオントラップ - Google Patents

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Description

本発明は、イオントラップ、好ましくは飛行時間型質量分析器と共に使用するリニアイオントラップに関する。
リニアイオントラップ飛行時間(「LIT−TOF」)型質量分析装置は、イオンを分析するための既知のデバイスである。
典型的には、LIT−TOF型装置では、イオンは、リニアイオントラップ(「LIT」)に捕捉され、冷却され、その後、引き出し電圧の印加によって引き出される。引き出し電圧は、飛行時間(「TOF」)型分析器に向かってイオンを加速させる。TOF型分析器は、LITに先に捕捉されたイオンの質量分析を行うことができる。
発明者らは、LIT−TOF型装置のLIT内のバッファガスの圧力が高すぎる場合に、LITからの引き出し中にバッファガス原子/分子からイオンが散乱することにより装置の性能が損なわれ得ることを観察している。さらに、LIT内の圧力が高いと、TOF型分析器内の圧力が損なわれ、かつ/またはTOF型分析器の追加の排気が必要となることがある。LIT内の高い圧力は、イオンの断片化の他、TOF分解能、透過およびピーク形状の低下も生じ得る。更に、高い圧力は、引き出し電圧がLITからイオンを引き出すために印加された際に電気破壊をもたらし得るため、印加可能な引き出し電圧の大きさが制限される。これにより、達成可能な最大分解能が低下する。
一方、LIT内の圧力が低減されると、イオンがバックグラウンドガスとの熱平衡に達する時間は長くなり、その結果、その後にLITからイオンバンチ(一群のイオン)を引き出す時間間隔をそれに応じて長くしなければならない。言い換えれば、スキャン速度は遅くなり、これにより、質量分析装置の性能の低下、特にダイナミックレンジ、質量精度、感度、および、例えば検体の分子組成が時間的に急速に変化した場合等に、ダイナミックな事象に追従する能力が低下する。
特許文献1は、イオン源によって供給される試料イオンを受け取るための分割リニアイオントラップを記載している。捕捉電圧が、分割デバイス全体に印加されて、最初に2つ以上の隣接するセグメントのグループ全体でイオンを捕捉し、その後、このセグメントのグループ全体より短い分割デバイスの部分領域にイオンを捕捉する。この捕捉電圧は、デバイスの長さ方向に一様な捕捉場を提供するのにも有効となり得る。このイオントラップは、複数の電極を含む。特許文献1により教示されたイオン捕捉方法では、分割リニア四重極イオントラップを使用する。
図1は、特許文献1の原理を実装するリニアイオントラップ101の単純化した図と、そのリニアイオントラップ101の電極に印加されるDC電圧プロファイル100の図である。
この実施例では、図1に示すリニアイオントラップ101は、7つのセグメントを有し、これらはすべて、半径方向に同じ寸法を有する。共通のRF電圧および個別のDCの供給部が、各セグメントに接続される。各セグメントに印加されるDC電圧プロファイル100は、中心セグメントにイオンを捕捉するために印加される。イオントラップには、均一の圧力のバッファガスが充填される。ある範囲のm/z値を有する一群のイオン(イオンバンチ)は、t=0(不図示)で、左から、すなわちセグメント1の中に導入される。その後、イオンは、すべてのセグメント内へ流れる。3ms後、イオンバンチが広がり、参照符号111によって示すように中心の5つの電極にわたって延びる。7msまでに、イオンは一部のエネルギーを失い、イオンバンチのイオンは、参照符号112によって示すように中心(標的)セグメントに集まっている。10msには、イオンバンチのイオンの大部分は、参照符号113によって示すように、標的セグメントに集まる。ある時間が経過すると、すべてのイオンは、トラップを充填するバッファガスと熱平衡に達しているであろう。これにより、高効率でリニアイオントラップにイオンを捕捉することができる。この発明は、標的セグメントの圧力が、単一セグメントトラップによりイオンを高効率で捕捉するのに使用され得るより低い圧力にある必要がある場合に、特に有用である。例えば5つのセグメントを使用することによって長い領域を形成することにより、単一セグメントトラップと比べて5分の1に標的トラップ内の圧力を下げることができる。より低い圧力で効率的なイオン捕捉を達成するために、より多数のセグメントが使用され得る。
発明者らは、特許文献1に記載されたような捕捉方法を用いて構築されたLIT−TOF型装置が、良好なTOF分解能を達成するために必要な特性を備えたイオン雲を調製するのに有効であることを発見した。
しかしながら、発明者らが観察した、特許文献1の捕捉方法に関する1つの問題は、安全な動作圧力でイオンを捕捉し冷却するには、比較的大きいLIT−TOFを使用し、比較的長い時間が必要なことである。
詳しく説明すると次のようなことである。LIT−TOF型装置の目的では、標的引き出しトラップにおける圧力は1×10−4mbar程度に低ければ十分であることが、本発明者らによって発見されており、比較的短い飛行経路のTOF内に引き出す場合に、より低い圧力で動作することの実質的な利点を本発明者らが見出さなかった(しかし他のタイプの分析器については利点があり得る)ことに注目した。特許文献1の捕捉方法を実装した場合、本発明者らは、セグメントがr=2.5mmの内接半径および8rの長さを有すると想定すると、1×10−4mbarの動作圧力で効率的な捕捉を達成するためには最大20個のセグメントを用いなければならないと推定している。よって、2.5mmの典型的なrでは、LIT−TOFの全長は400mmである。これは、相当な長さであり、装置のデザインを不便かつ高価にする。さらに、イオンが冷却される時間は比較的長いことが分かっており、そのため、比較的遅いスキャン速度しか使えない。一般的に、図1に示す方法を使用すると、必要な標的圧力が低いほど冷却時間が長くなり、これらは線形関係をたどる。注意しなければならないのは、冷却プロセスが完了する前にイオンを引き出すと、本発明者らによると、TOF型分析器の分解能および透過性能に損失が生じると予測される。
特許文献2は代替的な方法を教示している。ここでは、いわゆる「ダイナミックトラップ」の方法によってリニアトラップにイオンを捕捉し、その後衝突冷却を行う。
図2は、特許文献2の原理を実装するリニアイオントラップ202の単純化した図である。
特許文献2の方法は、TOF分析に適切なイオンのパルスを調製する単純な方法を提供する(例えば、第6欄51〜53行を参照)。図2を参照すると、イオンは、外部源201から、バッファガス圧力を有するリニアイオントラップ202にパルス状に供給される。外部イオン源は、例えば、イオン210を充填された多重極であってよい。イオン210は、図2(a)で参照符号205によって示すDC電圧プロファイルで示すように、多重極201に印加されるよりも高いDC電圧である、開口203に印加されるDC電圧により、最初はリニアイオントラップ202に入ることができない。いくらか時間が経過した後、開口203に印加される電圧は、図2(b)で参照符号206によって示すDC電圧プロファイルで示すように、多重極201に印加される電圧より低くされる。多重極201内のイオンの一部は、リニアイオントラップ202に入る。イオンは、202に入り、202に印加される電圧より高いままである電圧が開口204に印加されることによって生じる電気ポテンシャルにより、開口204で反射される。イオンが開口203を通って戻る時間の前に、図2(c)で参照符号207によって示すDC電圧プロファイルで示すように、203に印加される電圧が上昇し、イオンが逃げるのを防ぐ。これにより、イオンは、リニアイオントラップ202に捕捉され、開口203と開口204との間で前後に反射される。さらなる時間の経過後、イオンは、202内部に収容されたバッファガスと衝突する。イオントラップ202内部のバッファガスの圧力によって、捕捉されたイオンがバッファガスとの熱平衡に達するのに必要な時間の長さが決まる。圧力が低いほど、イオンがそれらのエネルギーを失いバッファガスとの熱平衡に達するのに長い時間が必要となる。
特許文献2は、特許文献1を参照して前述したものと同様の問題を有するが、これらは、さらに深刻で、質量弁別のさらなる問題がある。具体的には、イオンを冷却し、その後、リニアイオントラップ202内部に捕捉するには比較的長い期間が必要である(特許文献1に関する限り)。より低いm/z値を有するイオンが、より高いm/zを有するものより速度が速く、そのため、より高いm/zを有するものよりも速く開口204に入り開口204から反射されるという事実によって、質量弁別が起こる。よって、このように効率的に捕捉され得るm/zが最高のイオンとm/zが最低のイオンとの比は、リニアイオントラップ202の長さと、イオンがリニアイオントラップ202に入射可能なエネルギーとによって定められる。実際の状況では、図2に示す装置のこの長さとエネルギーとの組み合わせは、この比を恐らく最大3に制限すると思われる。例えば、捕捉されるm/zが最低のイオンが、m/z50である場合、捕捉され得るm/zが最高のイオンは、m/z150であろう。捕捉され得る範囲は、低い電圧が開口203に印加される時間を変更することによって変更され得るが、リニアイオントラップ202を充填するたびに捕捉されるイオンの質量範囲は、リニアイオントラップによって捕捉され得る質量範囲の最大値(例えば、10倍以上の質量範囲が達成可能となり得る)よりかなり低い。
前記事項を考慮し、発明者らは、標的セグメントに存在するガス圧力が典型的には5×10−4mbar未満、より好ましくは2×10−4mbar未満としつつ、イオンを効率的に捕捉すると共に、リニアイオントラップ内部に収容されるバッファガスと熱平衡になるようイオンを急速に冷却することができる、イオントラップ、好ましくはリニアイオントラップを考案することが望ましいと考える。
本発明は、前述の事項に鑑みて考案されたものである。
米国特許出願公開第2010/072362号明細書 米国特許第6545268号明細書 米国特許第9082602号明細書
発明の第1の態様は以下を提供し得る。
イオントラップであって:
軸に沿って連続的に位置づけられた複数のセグメントを有する分割電極構造体であって、該分割電極構造体の各セグメントは、軸の周りに配置された複数の電極を含む、分割電極構造体と、
各セグメントに属する少なくともいくつかの電極が、セグメント内部にイオンを半径方向に閉じ込めるための閉じ込め電場を提供するように少なくとも1つのAC電圧波形を供給される半径方向閉じ込めモードで動作するように構成された第1の電圧供給部と、
前記複数のセグメントに属する電極のうちの少なくともいくつかが、前記複数のセグメントのうちの標的セグメントに向けてイオンを押しやりその中にイオンを捕捉するために軸方向に変化するプロファイルを有する捕捉電場を提供するように異なるDC電圧を供給される捕捉モードで動作するように構成された第2の電圧供給部と、
イオン源からイオンを受け取るように構成された第1のチャンバであって、前記複数のセグメント中の第1のサブセットが第1のチャンバ内部に位置する、第1のチャンバと、
前記第1のチャンバからイオンを受け取るように構成された第2のチャンバであって、前記複数のセグメント中の第2のサブセットが第2のチャンバ内部に位置し、前記標的セグメントは、複数のセグメント中の該第2のサブセットのうちの1つである、第2のチャンバと、
前記第2のチャンバに前記第1のチャンバより低いガス圧力を提供するように前記第2のチャンバからガスを排気するように構成されたガスポンプと、
前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に位置するガス流制限セクションであって、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバにイオンを通すことを可能にすると共に前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへのガス流を制限するように構成され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に壁を含み、少なくとも1つの開口が前記壁に形成されて前記第1のチャンバから前記第2のチャンバにイオンを通すことを可能にすると共にガスが前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに流れることを制限し、前記ガス流制限セクションの前記壁における前記少なくとも1つの開口は、前記複数のセグメントの一部である1つまたは複数のガス流制限セグメントを収容し、該1つまたは複数のガス流制限セグメントは前記第1のチャンバ内に全体が位置するセグメントの内接半径よりも小さい内接半径を有する、ガス流制限セクションと
を有する、イオントラップ。
このように、イオンは、比較的高い圧力環境(第1のチャンバ)内のセグメントの第1のサブセットによって熱平衡にされ(「熱化され」)、好ましくは冷却されつつ、比較的低い圧力環境(第2のチャンバ)の標的セグメントに向かって動く。例えば、これによって、イオンをその後、比較的低い圧力環境内の標的セグメントから引き出すことができ、それによって、比較的高い圧力環境からイオンを引き出すことに関する典型的な問題を回避する。
軸は線形軸であってよく、この場合、イオントラップはリニアイオントラップと呼ぶことができる。しかしながら、軸は場合によっては湾曲し得る。
ガス流制限セクションは、第1のチャンバと第2のチャンバとの間に壁を含み得、少なくとも1つの開口(好ましくは単一の開口)が壁に形成されて、イオンを第1のチャンバから第2のチャンバに通すと共に、ガスが第1のチャンバから第2のチャンバに流れるのを制限する。
ガス流制限セクションの壁の少なくとも1つの開口は、前記複数のセグメントのうちの1つまたは複数のセグメントを収容し得る。このように、イオンは、ガス流制限セクションの開口を通過する際に半径方向に閉じ込められ得る。
ガス流制限セクションの壁の開口によって収容された1つまたは複数のセグメントは、簡潔のために、1つまたは複数の「ガス流制限セグメント」と呼ぶことができる。
その/各ガス流制限セグメントは、好ましくは、第1または第2のチャンバ内に全体が位置するセグメントの内接半径より小さい内接半径を有する(ガス流制限セグメントは第1または第2のチャンバ内に部分的に位置し得ることに注意する。例えば、図3(a)を参照のこと)。
(多重極イオンガイドではよくあるように)イオントラップの軸の周りに配置された電極がイオントラップの軸から等しく離間しているイオントラップのセグメントについて、用語「内接半径」(rと呼ぶことができる)は、イオントラップの軸に垂直であり、セグメントの電極内部に収容され、かつセグメントのいかなる電極とも交差せずにセグメントの対向する電極に触れるようなサイズである円の半径として定められ得る。
イオントラップの軸の周りに配置された電極がイオントラップの軸から等しく離間していないイオントラップのセグメントについて(例えば、電極が、軸に垂直な第2の方向よりも、軸に垂直な第1の方向にさらにイオントラップの軸から離間していることによるものであり、例えば第1および第2の方向は互いに垂直であってよいので)、用語「内接半径」(rと呼ぶことができる)は、軸からセグメント内の各電極までの最短距離の幾何平均(すなわち、軸からセグメントの各電極までの測定可能な最短距離から計算される幾何平均)として定められ得る。
第1のチャンバは、イオン源からイオンを受け取るように構成されたイオン入口を含み得る。
第1のチャンバは、第1のチャンバのガス供給部からガス(好ましくは不活性ガス)を受け取るように構成されたガス入口を含み得る。あるいは、第1のチャンバは、例えばイオン入口を介して、イオン源からガスを受け取るように構成され得る。
第2のチャンバは、ガスポンプが第2のチャンバからガスを排気することができるよう、ガスポンプに接続されるように構成されたポンプ入口を有し得る。第2のチャンバは、第2のチャンバのガス供給部からガス(好ましくは不活性ガス)を受け取るように構成されたガス入口を有し得る。あるいは(またはさらに)、第2のチャンバは、例えばガス流制限セグメントを介して、第1のチャンバからガスを受け取るように構成され得る。
イオントラップは、(例えば、1つもしくは複数のガスポンプおよび/または1つもしくは複数のガス供給部を適切に設定することによって)イオントラップが使用されているときに、第1のチャンバ内に所定の第1の圧力を、第2のチャンバ内に所定の第2の圧力を提供するように構成され得る。
当業者は認識するであろうが、第1のチャンバおよび第2のチャンバ内の圧力は、典型的には場所ごとにわずかに変化し、そのため、イオントラップは、イオントラップが使用されているときに、第1のチャンバ内の所定の場所に所定の第1の圧力を、第2のチャンバ内の所定の場所に所定の第2の圧力を、提供するように構成され得る。
第1のおよび/または第2のチャンバ内の所定の場所の圧力は、圧力計を用いて測定され得る。しかしながら、第1のおよび/または第2のチャンバ内の所定の場所の圧力は、標準のガスコンダクタンス計算を使用して推測され得る。例えば、第2のチャンバ内の所定の場所の圧力は、圧力計を使用して測定され得、第1のチャンバ内の所定の場所の圧力は、標準のガスコンダクタンス計算を使用して推測される。市販のソフトウェアが、例えば、図7に示す圧力を得るのに使用されたように、計算を実行するのに利用可能である。そのようなソフトウェアの例は、COMSOL Multiphysics(登録商標)である。
第1のチャンバ内の所定の場所および/または第2のチャンバ内の所定の場所は、好ましくは軸上にある。第1のチャンバ内の所定の場所は、第1のチャンバ内に位置するセグメント、例えば(以下で定めるような)事前捕捉セグメント内部の軸上であってよい。第2のチャンバ内の所定の場所は、第2のチャンバ内に位置するセグメント、例えば標的セグメント内部の軸上であってよい。COMSOL Multiphysics(登録商標)などのソフトウェアは、事前捕捉セグメントまたは標的セグメントなどの、イオンが捕捉される領域内で圧力勾配が大きすぎないことを確実にするのに使用され得る。
完全性のため、ガスポンプを使用して、またガス流制限セクションおよびイオントラップの他の要素を適切に設計することによって第1および第2のチャンバ内で所望の所定の圧力を達成することは、十分に当業者の能力の範囲内であろうことに注目する。
例えば、第1の圧力は、ガス流制限セクション、第1のチャンバのガス供給部(存在する場合)、第1のチャンバ内のガス入口(存在する場合)、および第1のチャンバ内のイオン入口(存在する場合)を適切に構成することによって、達成され得る。
例えば、第2の圧力は、ガスポンプ、ガス流制限セクション、第2のチャンバのガス供給部(存在する場合)、および第2のチャンバ内のガス入口(存在する場合)を適切に構成することによって、達成され得る。
好ましくは、第1の圧力は、第2の圧力より10倍以上(または100倍以上)大きく、すなわち、第1のチャンバと第2のチャンバとの間に大きな圧力低下がある。
好ましくは、第1の圧力は、1×10−3mbar以上、より好ましくは5×10−3mbar以上である。第1の圧力は、1×10−1mbar以下、より好ましくは5×10−2mbar以下であってよい。
好ましくは、第2の圧力は、1×10−3mbar未満、より好ましくは5×10−4mbar未満であり、より好ましくは2×10−4mbar未満である。第2の圧力は、1×10−5mbar以上であってよい。
第1のチャンバは、(例えば、イオン源および/または第1のチャンバのガス供給部から)アルゴンなどの不活性ガスを受け取るように構成され得る。第2のチャンバは、(例えば、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバのガス供給部から)アルゴンなどの不活性ガスを受け取るように構成され得る。
第1のチャンバは、(例えば、イオン源および/または第1のチャンバのガス供給部から)例えば冷却装置の動作を通じて室温未満に冷却されたガスを受け取るように構成され得る。第2のチャンバは、(例えば、第1のチャンバおよび/または第2のチャンバのガス供給部から)例えば冷却装置の動作を通じて室温未満に冷却されているガスを受け取るように構成され得る。第1および/または第2のチャンバが受け取ったガスの冷却は高い性能を提供するはずであるが、複雑さおよびコストを増大させ、第1および第2のチャンバが受け取ったガスが冷却されなくても本発明を用いて性能の改善を達成し得ることを、発明者らは発見している。
好ましくは、セグメントのうちのいくつか(好ましくはすべて)の、長さ(L)/内接半径(r))比(L/r))は1〜10である。すべてのセグメントが同じ(L/r)を有する必要はない。長さは、(セグメントの電極が周囲に配置される)軸に沿って測定され得る。
ガス流制限セグメント内のセグメント以外のセグメントの内接半径rは、0.5mm〜10mmの範囲であってよい。
ガス流制限セグメント内のセグメントの内接半径rは、0.25mm〜5mmの範囲であってよい(好ましくは、その他のセグメントのうちの1つの内接半径の半分または半分未満であるが、他の比も可能である)。
少なくとも1つの(好ましくは各)セグメントの複数の電極は、軸の方向に延び、かつ多重極イオンガイドを形成するように配置されている、いくつかの細長い電極を含み得る。多重極イオンガイドを形成するように配置された細長い電極は、ロッド、例えば双曲線ロッドの形態をとることができる。当業者に認識されるように、他のロッド形態が可能である。
第1の電圧供給部は、各セグメント内で多重極イオンガイドを形成するように配置された細長い電極が閉じ込め場を提供するように少なくとも1つのAC電圧波形を供給する、半径方向閉じ込めモードで動作するように構成され得る。少なくとも1つのAC電圧波形は、RF電圧波形であってよい。イオンを半径方向に閉じ込める電場を提供するために多重極イオンガイドの細長い電極に少なくとも1つのAC電圧波形を供給する技術は、周知である。典型的には、これらの技術は、同じAC電圧波形を異なる位相で多重極イオンガイドの異なる電極に供給することを伴う。
ガス流制限セグメントの複数の電極は、軸の方向に延び、かつ多重極イオンガイドを形成するように配置されている、いくつかの細長い電極を含み得る。ガス流制限セグメントの隣り合う対の細長い電極間の空間は、軸の方向に延びる細長い電気絶縁部材で埋められ得、例えば、このため、細長い電極および細長い絶縁部材は、ガスがガス流制限セグメントから半径方向外側に流れるのを制限するように軸の周りで周方向に延びる管を形成する。細長い絶縁部材は、ガス流制限セグメントの電極を互いに電気絶縁するのに役立ち得る。ガス流制限セグメントは、ガス流制限セグメントから半径方向外側へのガス流を制限するために電極(および、存在する場合には絶縁部材)を囲む電気絶縁管またはシェルを含み得る。
好ましくは、第2のチャンバの標的セグメントと第1のチャンバの最後のセグメントとの間の距離は、標的セグメントの内接半径をr0tとして、40r0t以下、より好ましくは20r0t以下、より好ましくは12r0t以下、より好ましくは9r0t以下、より好ましくは6r0t以下であり、この距離は、例えば標的セグメントの中心から第1のチャンバの最後のセグメントの中心まで、軸に沿って測定される。このように、イオンは、第1のチャンバの最後のセグメントから標的セグメントへと、エネルギー変化を最小限にして、移送し得る。第1のチャンバの最後のセグメントは、第1のチャンバ内に全体が位置する第2のチャンバに最も近いセグメントとして定義され得る(例えば、全体ではなく部分的に第1のチャンバ内部に位置した、ガス流制限セクション内に位置するセグメントがあり得ることに注意する。例えば、図3を参照)。第1のチャンバの最後のセグメントは、以下で言及する事前捕捉セグメントであってよい。
第1の電圧供給部は、半径方向閉じ込めモードで標的セグメントの電極に供給されたAC電圧波形が、イオンを標的セグメントから引き出すように中止または停止される引き出しモードで動作するように構成され得る。引き出しモードでは、標的セグメント以外のセグメントの電極に供給されるAC電圧波形は、半径方向閉じ込めモードの場合と同じように継続し得る。
イオントラップは、引き出しモードで動作するように構成された第3の電圧供給部を含み得、引き出しモードでは、標的セグメント内に位置するイオンをイオントラップから、例えば質量分析器に向かって引き出すために、好ましくは第1の電圧供給部がその引き出しモードで動作している間に、1つまたは複数の引き出し電圧が標的セグメントの1つまたは複数の電極および/あるいは1つまたは複数の引き出し電極に供給される。
疑義を無くすために述べておくと、第1の電圧供給部、第2の電圧供給部、および第3の電圧供給部は、別個のユニットであるか、または互いと一体的であってよい。第1、第2、および第3の電圧供給部のいずれかは、いくつかの個別の供給部を含み得る。
やはり疑義を無くすために述べておくと、各セグメントの同じ電極が、第1および第2の電圧供給部それぞれによって、ACおよびDC電圧を供給され得る。あるいは、第1の電圧供給部は、各セグメントの第1のサブセットの電極にAC電圧を供給するように構成され得、第2の電圧供給部は、各セグメントの第2のサブセットの電極にDC電圧を供給するように構成され得る。
第2の電圧供給部は、捕捉モードで動作するよう構成され得、それによって、対の第1のセグメントの少なくとも1つの電極に印加されたDC電圧と対の第2のセグメントの少なくとも1つの電極に印加されたDC電圧との間に小さいDCオフセットがあるような、少なくともいくつかの対の隣接するセグメントが存在する。この文脈での小さいDCオフセットとは、好ましくは2V以下、より好ましくは1V以下、より好ましくは0.5V以下、より好ましくは0.25V以下であり、0.05V以上であってよい。
このように、すなわち、捕捉モードにおいて少なくともいくつかの対の隣接するセグメント間に小さいDCオフセットを有することによって、捕捉電場は、イオンがかなりの運動エネルギーを得ることなくイオンを標的セグメントに向けて押しやることができる(増加した運動エネルギーは、イオンが熱平衡に戻るのにさらなる時間を必要とし得る)。いくつかの対の隣接するセグメントが、例えば、イオントラップの下流端部から出るのを防ぐポテンシャル障壁を提供するため、捕捉モードにおいて大きいDCオフセットを有し得ることに注意する。
第2の電圧供給部は、熱化モードで動作するように構成され得、熱化モードでは、セグメントに属する電極のうちの少なくともいくつかが、第2のチャンバ内部に位置する標的セグメントにイオンを捕捉すると共にさらなるイオンが標的セグメントに入るのを防ぐため軸方向に変化するプロファイルを有する熱化電場を提供するように異なるDC電圧を供給され、例えばそれらのイオンが標的セグメントから引き出される前に、例えばガス粒子との衝突を通じて標的セグメントに捕捉されるイオンの熱化を可能にする。
このように、イオンが捕捉電場によって標的セグメント内に移動する際にイオンが得たエネルギーは、例えばそれらのイオンが標的セグメントから引き出される前に、熱化され/冷却されてなくなり得る。
標的セグメントに捕捉されたイオンは、好ましくはガス粒子との衝突によって冷却され、この場合、熱化モードは「冷却モード」と呼ぶことができ、熱化電場は、「冷却電場」と呼ぶことができる(熱化/冷却は一般的に、以下で説明するように、電場自体によってではなく、ガス粒子との衝突によって行われ、「冷却」および「熱化」は、「電場」を説明するのに使用される場合、単に本明細書に記載する他の電場から電場を区別するラベルとして使用されることに注意する)。
第2の電圧供給部は、事前捕捉モードで動作するように構成され得、事前捕捉モードでは、セグメントに属する電極のうちの少なくともいくつかが、例えばイオンが捕捉電場によって第2のチャンバに位置する標的セグメントに向かって押しやられその中に捕捉される前に、第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントに向かってイオンを押しやりその中に捕捉するために軸方向に変化するプロファイルを有する事前捕捉電場を提供するように、異なるDC電圧を供給される。
好ましくは5個以下のセグメントが事前捕捉セグメントと標的セグメントとの間に、より好ましくは4個以下のセグメントが事前捕捉セグメントと標的セグメントとの間に、より好ましくは3個以下のセグメントが事前捕捉セグメントと標的セグメントとの間に、より好ましくは2個以下のセグメントが事前捕捉セグメントと標的セグメントとの間に、より好ましくは1個のセグメントが事前捕捉セグメントと標的セグメントとの間にある。これは、エネルギーの変化を最小限にした、事前捕捉セグメントから標的セグメントへのイオンの移送を可能にするのに役立つ。
このように、イオンは、第2のチャンバに位置する標的セグメントに向けて押しやられその中に捕捉される前に、第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントに「事前捕捉され」得る。
第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントは、好ましくは第1のチャンバの最後のセグメントであり、第1のチャンバの最後のセグメントは、第1のチャンバ内に全体が位置する、第2のチャンバに最も近いセグメントとして定義され得る(例えば、全体ではなく部分的に第1のチャンバ内部に位置した、ガス流制限セクション内に位置するセグメントがあり得ることに注意する。例えば、図3を参照)。言い換えれば、事前捕捉セグメントは、好ましくは第2のチャンバに最も近い第1のチャンバのセグメントである。
(捕捉モードで生成された)捕捉電場は、ポテンシャル障壁を含み得、ポテンシャル障壁は、事前捕捉セグメントの上流にあり(すなわち、事前捕捉セグメントよりイオン源に近く)、第2の電圧供給部が捕捉モードで動作しているときに、事前捕捉セグメントにまだ捕捉されていないイオン源からのイオンが、標的セグメント内へと動くのを防ぐ。例えば、図13で参照符号1360によって示すDC電圧プロファイルにおいて示されているポテンシャル障壁1360aを参照。
第2の電圧供給部は、事前捕捉モードで動作するよう構成され得、それによって、対の第1のセグメントの少なくとも1つの電極に印加されたDC電圧と、対の第2のセグメントの少なくとも1つの電極に印加されたDC電圧との間に小さいDCオフセットがある、少なくともいくつかの対の隣接するセグメントが存在する。この文脈での小さいDCオフセットは、好ましくは2V以下、より好ましくは1V以下であり、0.05V以上であってよい。
このように、すなわち、事前捕捉モードにおいて少なくともいくつかの対の隣接するセグメント間に小さいDCオフセットを有することによって、(熱化されてなくなる必要があり、冷却時間が長くなり、スキャン速度を下げる)かなりの運動エネルギーをイオンが得ることなくイオンを事前捕捉セグメントに向けて押しやることができる。いくつかの対の隣接するセグメントが、例えば、イオンが第1のチャンバから第2のチャンバに入るのを防ぐポテンシャル障壁を提供するため、事前捕捉モードにおいて大きいDCオフセットを有し得ることに注意する。
他の実施形態では、より大きいDCオフセットが事前捕捉モードにおいて隣接するセグメント間にあってよく、これは、例えば、圧力が事前捕捉セグメントにおいて十分に高い場合に、事前捕捉セグメントにおける熱化が、事前捕捉セグメントに入るイオンにかなりの運動エネルギーを与えるのを避ける必要なしに適切に速くなり得るためである。したがって、小さいDCオフセットを隣接するセグメント間に有することは、(事前捕捉モードよりも)捕捉モードで有用となると考えられ、これは、捕捉モードでは、運動エネルギーを得るイオンが、第2のチャンバ内の比較的低い圧力により、熱化するのにより時間がかかり得るためである。
第2の電圧供給部は、事前熱化モードで動作するように構成され得、事前熱化モードでは、セグメントに属する電極のうちの少なくともいくつかが、第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントにイオンを捕捉すると共に、さらなるイオンが事前捕捉セグメントに入るのを防ぐため軸方向に変化するプロファイルを有する事前熱化電場を提供するように異なるDC電圧を供給され、例えばイオンが捕捉電場によって第2のチャンバに位置する標的セグメントに向かって押しやられその中に捕捉される前に、例えばガス粒子との衝突を通じて事前捕捉セグメントに捕捉されたイオンの熱化を可能にする。事前熱化電場の軸方向に変化するプロファイルは、ポテンシャル障壁を含み得、これは、さらなるイオンが事前捕捉セグメントに入るのを防ぐ。事前捕捉セグメントに入ることができないさらなるイオンは、失われる必要はないが、例えば、ポテンシャル障壁の前で、上流のセグメントに保管または捕捉され得ることに注意する。
事前捕捉セグメントに捕捉されたイオンは、好ましくはガス粒子との衝突によって冷却され、この場合、事前熱化モードは「事前冷却モード」と呼ぶことができ、事前熱化電場は、「事前冷却電場」と呼ぶことができる(熱化/冷却は、電場自体によってではなく、ガス粒子との衝突によって行われることに注意する)。
第2の電圧供給部は、熱化モードと同時に事前捕捉モードで動作するように構成され得、これは、「事前捕捉」電場および「熱化」電場の両方として機能し、それによって、「事前捕捉」が「熱化」と同時に行われることを可能にするDC電圧プロファイルが定義され得るためである。例えば、図13で参照符号1361によって示すDC電圧プロファイルを参照されたい。
第2の電圧供給部は、熱化モードと同時に事前熱化モードで動作するように構成され得、これは、「事前熱化」電場および「熱化」電場の両方として機能し、これにより「事前熱化」が「熱化」と同時に行われることを可能にするDC電圧プロファイルが定義され得るためである。例えば、図13で参照符号1341によって示すDC電圧プロファイルを参照されたい。
疑義を無くすために述べておくと、「捕捉」、「事前捕捉」、「熱化」、「冷却」、「事前熱化」または「事前冷却」などの形容詞が電場に関連して使用される場合、形容詞の使用は、単に、電場を、その電場を本明細書に記載する他の電場から区別することを可能にするラベルにより説明するためのものである。
イオントラップは、好ましくは引き出しサイクルを繰り返し実行するように構成され、引き出しサイクルは、
第2の電圧供給部が第1の所定の期間にわたり捕捉モードで動作して、イオンを標的セグメントに向かって動かしその中にイオンを捕捉すること、
第1および第3の電圧供給部がそれらの引き出しモードで動作して、イオンを標的セグメントからイオントラップの外に、例えば質量分析器に向かって引き出すこと
を含む。
疑義を無くすために述べておくと、標的セグメントからのイオンの引き出しは、第2の電圧供給部が捕捉モードで動作している間に、または、引き出しサイクルの何らかの他の部分中に、開始/実行され得る。
引き出しサイクルは、好ましくは、
第2の電圧供給部が第2の所定の期間にわたり事前捕捉モードで動作すること、および/または
第2の電圧供給部が第3の所定の期間にわたり熱化モードで動作すること
を含む。
より好ましくは、引き出しサイクルは、
第2の電圧供給部が第2の所定の期間にわたり事前捕捉モードで動作すること、および
第2の電圧供給部が第3の所定の期間にわたり熱化モードで動作すること
を含む。
引き出しサイクルは、
第2の電圧供給部が第4の所定の期間にわたり事前熱化モードで動作すること
をさらに含み得る。
疑義を無くすために述べておくと、第1、第2、第3および第4の期間(存在する場合)は連続して生じる必要はないが、互いに重複してよく、また、任意の順序で実行され得る。
例えば、前述したように、事前捕捉モードおよび事前熱化モードは、熱化モードと同時に実行され得る(しかし、好ましくは、互いと同時ではない)。したがって、第2および/または第4の所定の期間は、第3の所定の期間と重複してよい(好ましくは、その中に完全におさまってよい)。
第1の期間は、例えば、0.1ms〜100ms、またはこれより長くてよい。
第1の期間は、例えば、0.25ms〜10msであってよい。
第2の期間は、例えば、0.1ms〜100ms、またはこれより長くてよい。
第2の期間は、例えば、0.25ms〜10msであってよい。
第3の期間は、例えば、0.5ms〜10ms、またはこれより長くてよい。
第3の期間は、1ms〜3msであってよい。
第4の期間は、例えば、0.5ms〜10ms、またはこれより長くてよい。
第4の期間は、1ms〜3msであってよい。
イオン処理デバイスは、少なくとも1つの引出電圧が供給されたときに第2のチャンバに位置する標的セグメントからイオンを引き出すように構成された引き出し電極を含み得る。
第2の態様では、本発明は、
イオン源と、
本発明の第1の態様によるイオントラップであって、イオントラップの第1のチャンバは、イオン源からイオンを受け取るように構成されている、イオントラップと、
イオントラップの標的セグメントから引き出されたイオンを分析するための質量分析器と
を有する質量分析装置、を提供する。
イオン源は、イオントラップの第1のチャンバによって受け取られる連続したイオンの流れを提供するように構成され得る。イオン源は、例えば、衝突チャンバ、プレフィルタ、マスフィルタ、イオン移動度フィルタ、微分移動度フィルタ、多重極デバイス、イオンファンネル、または他の適切なイオン処理装置を含み得る。
質量分析器は、例えば、飛行時間型質量分析器、質量分離器、質量選択モードで動作するリニアイオントラップ(「LIT」)、静電型イオントラップ、またはフーリエ変換質量分析装置であってよい。
質量分析器が飛行時間型質量分析器であり、イオントラップがリニアイオントラップである場合、装置は、リニアイオントラップ飛行時間型質量分析装置(「LIT−TOF」)と呼ぶことができる。
イオントラップおよび/または質量分析装置は、本明細書に記載するように動作するようにイオントラップおよび/または質量分析装置を制御するように構成された制御部を含み得る。
第3の態様では、本発明は、本発明の第1の態様によるイオントラップまたは本発明の第2の態様による質量分析装置を動作させる方法を提供する。
この方法は、本発明の任意の上記態様に関連して説明した装置の特徴を実装するか、または別様にこれに対応する方法ステップを含み得る。
本発明はまた、説明した態様および好ましい特徴部の任意の組み合わせを、このような組み合わせが明らかに容認できないかまたは明白に回避される場合を除いて含む。
これらの提案の実施例を、添付図面を参照して以下で論じる。
特許文献1の原理を実装するリニアイオントラップの単純化した図である。 特許文献2の原理を実装するリニアイオントラップの単純化した図である。 本発明による例としてのリニアイオントラップを示す。 図3(a)のリニアイオントラップの細長い電極を断面で示す。 図3(a)のリニアイオントラップの細長い電極を断面で示す。 図3(a)のリニアイオントラップのガス流制限セグメントを断面で示す。 図3のリニアイオントラップにおける標的セグメントとして使用される例としての標的セグメントを示す。 本発明による別の例としてのリニアイオントラップ501を示す。 本発明による別の例としてのリニアイオントラップ601を示す。 本発明による例としての質量分析装置、および対応する軸方向圧力プロファイルを示す。 実験研究1および2からの結果を得るのに使用される異なる動作モードで質量分析装置のセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧の例示と共に、図7の質量分析装置を示す。 実験研究1からの結果を示す。 実験研究1からの結果を示す。 実験研究1からの結果を示す。 実験研究2からの結果を示す。 実験研究2からの結果を示す。 実験研究3からの結果を得るのに使用される、異なる動作モードで質量分析装置のセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧の例示と共に、図7の質量分析装置を示す。 実験研究3からの結果を示す。 実験研究3からの結果を示す。 冷却ステップと同時に事前捕捉および事前冷却を実行するのに使用され得る一連の代替的DC電圧プロファイルを例示する。
発明者らは、イオンがセグメント間の非常に低いポテンシャルオフセットを用いてリニアイオントラップのセグメント間で移送される場合、これらは、移送プロセス中にそれほど大きなエネルギーを取り戻す必要がないことに気づいた。その結果、イオンは、低い平均エネルギーで低圧領域に入ることができ、よって、これらは、従来の方法より実質的に効率よく捕捉され、より迅速に熱エネルギーに対して再冷却され得る。シミュレーションが最初に行われ、その後、プロトタイプの装置が構築された。
リニアイオントラップセグメント間でのイオンの素早い移送を容易にするため、発明者らは、リニアイオントラップセグメントの長さを短く、典型的には8r未満、好ましくは6rおよび最も好ましくは4rに維持することが好ましいことを発見し、ここでrはセグメントの内接半径である。これにより、それほど大きな運動エネルギーを与えることなくイオンを1つのセグメントから別のセグメントへと迅速に移送することができる。よって、イオンは、小さいDCオフセット、典型的には1V未満、好ましくは0.5V未満、好ましくは0.25V未満を印加することによって、セグメント間で動くことができる。
本明細書に記載する実施例では、分割リニアイオントラップを説明する。分割リニアイオントラップの少なくとも1つのセグメントは、高圧の第1のチャンバに位置し、標的セグメントを含む少なくとも1つのセグメントは、低圧の第2のチャンバに位置する。高圧の第1のチャンバは、低圧の第2のチャンバの「上流」に位置すると考えることができ、また、イオン源からイオンを受け取るためのイオン入口端部を有し得る。低圧および高圧のチャンバは、それらの間に位置するガス流制限セクションを有して、それらの間のガスの流れを制限することができる。ガス流制限セクションは、本明細書ではコンダクタンス制限セクションと呼ぶこともできる。これは、好ましくは、低圧のチャンバと高圧のチャンバとの間で所望の圧力差を達成するような、適切に小さい流体コンダクタンスを有するためである。周知の特性である流体コンダクタンスの概観は、以下の添付書類で見ることができる。
ガス流制限セクションは、分割リニアイオントラップのその他のセグメントと比べて低減されたrを有する、少なくとも1つのイオントラップセグメントを含み得る。ガス流制限セクションは、好ましくは低圧チャンバと高圧チャンバとの間で所望の圧力差を確立するのに有効である。ガス流制限セクションは、高圧領域から低圧領域へと通過するガスがガス流制限セクションを通過しなければならなくなるように、チャンバ壁内部に形成され得る。ガス流制限セクションは、電極および絶縁支持構造体が一緒に管へと形成され、ガス流制限セクションが第1のチャンバと第2のチャンバとの間の唯一の流体連通手段となるように形成され得る。高圧の第1のチャンバは、好ましくは、ガスの一定の供給を有し、好ましくは、低圧の第2のチャンバは、ポンプ、好ましくはターボ分子ポンプに接続され得る。
第1のチャンバの最後のセグメント(例えば、事前捕捉セグメント)と低圧の第2のチャンバの標的セグメントとの間の距離(およびセグメント数)を最小化して、イオンのより速い移送を可能にし、イオンに加えられたエネルギーを最小に維持することが、さらに有利となり得る。
高圧の第1のチャンバ内の高い圧力は、短い冷却時間でイオンを効率よく捕捉し冷却するように設定され得る。
ここで、冷却時間は、イオンが熱エネルギーまたはほぼ熱エネルギーを獲得する時間を指すことができる。熱エネルギーは、具体的には、イオンがバッファガスとの間で実質的に熱平衡に到達/確立し、それによって両者が共通の温度を共有することを意味する。より具体的には、イオン群またはイオンバンチは全体として、約3KT/2の二乗平均平方根(RMS)のエネルギーを有する。ここでTは、バッファガス温度であり、Kはボルツマン定数である。室温では、KTは、0.025eVの値を有する。
本明細書で例示するようなイオントラップでは、低圧の第2のチャンバにおける冷却時間は、数ミリ秒から1ミリ秒の数分の1までの範囲、典型的にはイオンの質量および衝突断面、ならびにガス圧力に応じて20ms〜0.25msの範囲であってよい。
本明細書に開示する1つの動作モードでは、イオンは、高圧の第1のチャンバ、ガス流制限セクションを通り、低圧領域において標的セグメントに直接捕捉され得る。この動作モードでは、第1のチャンバ内の圧力は、高圧の第1のチャンバを通る輸送中にイオンを冷却し、それらを実質的に冷却された状態に保つよう、好ましくは十分に高い。
本明細書に開示する別の動作モードでは、イオンは、高圧の第1のチャンバの事前捕捉セグメントに事前捕捉され、冷却され、その後、小さいポテンシャルDCオフセットを加えることによって高圧の第1のチャンバから低圧の第2のチャンバに輸送され(高圧の第1のチャンバからコンダクタンス制限セクションを通じてイオンを押しやり)、その後、低圧の第2のチャンバの標的セグメント内部に再捕捉され得る。イオンはその後、TOF型分析器へと引き出される前に第2のチャンバ内で迅速に再冷却され得る。
組み合わせると、小さいDCオフセットの使用と、分割リニアイオントラップ内部で低圧の第2のチャンバに近接した高圧の第1のチャンバの存在とは、高効率と急速冷却時間との組み合わせにより低圧イオントラップにおいてイオンの効率的な捕捉を可能にする。ここで、P=イオンが捕捉および引き出される領域の圧力、t=冷却時間として、1/(P・t)の値は、先行技術のデバイスで可能な値よりも小さい。デバイスはまた、小型に作ることができ、先行技術のデバイスよりも少ないセグメントで構成することができる。
図3(a)は、本発明による例としてのリニアイオントラップ301を示す。
リニアイオントラップ301は、線形軸350に沿って連続的に位置づけられた複数のセグメント(この実施例では8個のセグメント)を有する分割電極構造体を有しており、分割電極構造体の各セグメントは、軸の周りに配置された複数の電極を含む。したがって、イオントラップ301は、分割リニアイオントラップと呼ぶことができる。
第1のチャンバ303は、第1のサブセット302のセグメント(この実施例では5個のセグメント)を含む。第2のチャンバ324は、第2のサブセット312のセグメント(この実施例では2個のセグメント)を含む。
第2のチャンバ324からガスを排気するためのガスポンプ(不図示)は、第2のチャンバ324を第1のチャンバ303より低い圧力にするように使用され得る。ガス供給部(不図示)は、例えば第2のチャンバ324で所望の圧力を達成するように(これは、ガスポンプ単独で達成することが、より困難となり得る)バッファガスを第2のチャンバ324に供給するために設けられ得る。
第1のチャンバ303は、チャンバ壁306によって部分的に画定される。第2のチャンバ324は、チャンバ壁307によって部分的に画定される。
この実施例では、リニアイオントラップ301の各セグメントは、4つの細長い電極を含む。これらは、軸350の方向に延び、四重極イオンガイドを形成するように配置される。細長い電極は、好ましくは、断面を見ると双曲線表面を有するが、図3(b)に示すような丸い断面320または図3(c)に示すような正方形の断面322を有することもできるロッドである。他の電極形状が可能であり、当技術分野で既知である。
第1のサブセット302および第2のサブセット312のセグメントのr(内接半径)は、例えば2.5mmであってよい(標的質量範囲などに応じて、より小さい値およびより大きい値が使用され得る)。
第2のチャンバ324の第2のサブセット312のセグメントは、複数のセグメントのうち標的セグメント304を含む。
分割イオントラップ301は、第1のチャンバ303と第2のチャンバ324との間に位置するガス流制限セクション305も有する。
この実施例では、ガス流制限セクション305は、第1のチャンバ303と第2のチャンバ324との間に位置する壁327を含み、単一の開口が壁327に形成されて、イオンが第1のチャンバ303から第2のチャンバ324に通過するのを可能にすると共に、第1のチャンバ303から第2のチャンバ324へのガス流を制限する。
この実施例では、ガス流制限セクション305の壁327の開口は、複数のセグメントのうちのセグメント370を収容する。このセグメントは、簡略化のため、本明細書ではガス流制限セグメント370と呼ぶ。
図3(a)に描くように、ガス流制限セグメント370は、その他のセグメントの内接半径rより小さい内接半径、この場合、第1のサブセット302および第2のサブセット312のセグメントのrの半分の内接半径を有する。
ガス流制限セグメント370は、図3(d)に断面で示されており、軸350の方向に延び、かつ四重極イオンガイドを形成するように配置された4個の電極372、373、374、375から形成されている。この実施例では、電極372〜375は、断面で見たときに双曲線表面を有し、ガス流制限セグメント370が使用中であるときに電極間の空間376内に双曲線の電気ポテンシャルを定める。
ガス流制限セグメント370の隣接する対の電極372〜375間の空間は、軸350の方向に延びる絶縁ロッド378によって埋められ、そのため、ガス流制限セグメント370の細長い電極372〜375および絶縁ロッド378は、ガス流制限セグメント370から半径方向外側へのガス流を制限するために軸350の周りで周方向に延びる管を形成する。電極372〜375および絶縁ロッド378は、絶縁管379によってさらに囲まれて、ガス流制限セグメント370の内部から半径方向外側へのガス流をさらに制限する。
このように、ガス流制限セクションは、第1のチャンバ303から第2のチャンバ324へのガス流を制限することができる。ガス流制限セクションによってもたらされるガス流制限の程度は、以下の添付書類でさらに詳細に論じるガスコンダクタンスを用いてパラメータ化され得る。
バッファガスを第1のチャンバ303に供給するガス供給部(不図示)は、第1のチャンバ303のバッファガス入口(不図示)を通じて第1のチャンバ303内に圧力を確立するのに使用され得る。
第1のチャンバ303は、イオン入口308を有し得、これを通じて、イオンがイオン源(不図示)から導入される。この入口308は、オプションとして、(例えば、別個のバッファガス入口を有する代わりに)部分308にガスを導入するのに使用され得る。
図3(d)に示すガス流制限セグメント370では、絶縁ロッド378および絶縁管379は、組み合わせて、空間376内に正確なポテンシャルを作り出すように電極372〜375を正確に設置するのに役立つ。分割リニアイオントラップ301の他のセグメントは、同様の方法を用いて、または当業者に既知の方法を用いて形成され得る。その他のセグメントに半径方向のガス流を制限させることには特に利点はないと思われるので、絶縁ロッドは、その他のセグメントから省略され得る(実際、ロッドの内部とガスポンプ/ガス供給部との間に良好なガスコンダクタンスを有することが望ましい場合には、絶縁ロッドは、他のセグメントには不都合となり得る。
使用中、ガス流制限セクション305は、第1のチャンバ303に供給するためのバッファガス供給源、第2のチャンバ324に供給するためのバッファガス供給源、および第2のチャンバ324からガスを排気するためのガスポンプと組み合わせて、第1のチャンバ303と第2のチャンバ324との間で所望の圧力差を達成するのに使用され得る。所望の圧力差は、第2のチャンバ324からガスを排気するためのガスポンプをただ注意深く制御することで達成され得ることに注意するべきである。
高圧領域から低圧領域に移動するガス分子は、ガス流制限セクション305のガス流制限セグメント370を通過する。ガス流制限セグメント370が壁327に形成された開口によって収容されているので、第1のチャンバ303と第2のチャンバ324との間のガスコンダクタンスが著しく減少する。
第1のチャンバ303に位置するセグメントの第1のサブセット302は、第1のチャンバ303が第2のチャンバ324より圧力が高いため、第2のチャンバ324に位置するセグメントの第2のサブセット312との関連で上流にあるとみなされ得る。
第1の電圧供給部(不図示)は、半径方向閉じ込めモードで動作するように構成され得る。半径方向閉じ込めモードでは、各セグメントに属する電極に、セグメント内部にイオンを半径方向に閉じ込めるための閉じ込め電場を提供するようなAC電圧波形が供給される。
前述したように、この実施例では、各セグメントの4つの電極が多重極イオンガイドの一種である四重極イオンガイドを形成するように配置されている。当技術分野で既知のとおり、多重極イオンガイド内部にイオンを半径方向に閉じ込めるための閉じ込め電場は、同じAC(典型的にはRF)電圧波形を異なる位相で多重極イオンガイドの電極に適用することによって得ることができ、AC電圧波形の第1の位相が、奇数番号の電極に適用され、AC電圧波形の第2の位相(180°だけ位相シフトしている)が偶数番号の電極に適用され、電極は、イオントラップの軸(その周りに多重極イオンガイドの電極が配置される)を一回りして昇順で番号が付けられたものである。
よって、第1の電圧供給部の半径方向閉じ込めモードでは、分割イオントラップのすべてのセグメントに、半径方向にイオンを閉じ込めるのに効果的なAC(典型的にはRF)電圧が印加され得る。RF電圧波形を用いて半径方向の閉じ込めを達成する技術は、当技術分野で周知であり、そのため、ここではさらに詳細に説明する必要はない。しかし、ガス流制限セグメント370の電極に印加されるAC電圧波形は、そのセグメントが第1のサブセット302および第2のサブセット312のセグメントと比べて小さなrを有する場合に適切にスケーリングする必要があり得ることに注意する。
この実施例では、第2の電圧供給部(不図示)は以下で動作するように構成される。
●イオンが第2のチャンバに位置する標的セグメント304に向けて押しやられその中に捕捉される前に、第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメント326に向けてイオンを押しやりその中に捕捉するために、軸方向に変化するプロファイルを有する事前捕捉電場を提供するように、セグメントに属する少なくともいくつかの電極が異なるDC電圧を供給される事前捕捉モード。
●複数のセグメントのうちの標的セグメント304に向けてイオンを押しやりその中に捕捉するために、軸方向に変化するプロファイルを有する捕捉電場を提供するように、セグメントに属する少なくともいくつかの電極がDC電圧を供給される捕捉モード。
図3(a)に示すように、全体が第1のチャンバ303に位置するセグメントのうち、事前捕捉セグメント326はガス流制限セクション305に最も近い。
事前捕捉モードのDC電圧、すなわち事前捕捉モードでセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧は、図3(a)で参照符号340によって示されている。
捕捉モードのDC電圧、すなわち捕捉モードでセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧は、図3(a)で参照符号360によって示されている。
第2の電圧供給部は引き出しサイクルを繰り返し実行するように構成され得、引き出しサイクルにおいて、第2の電圧供給部は、
所定の期間にわたり事前捕捉モードで動作し、
別の所定の期間にわたり捕捉モードで動作する。
疑義を無くすために述べておくと、第1および第2の電圧供給部は、独立した構成要素であってよく、または、一体的な電圧供給部の一部であってもよい。
第2の電圧供給部が事前捕捉モードで動作すると、イオンは、実質的に連続して上流のデバイスからイオン入口308に入って、第1のチャンバ303内部の比較的高い圧力のガスによって熱化され、好ましくは冷却されると共に、参照符号340で示す事前捕捉モードのDC電圧によってイオン入力308から事前捕捉セグメント326に向かって移動され得る。参照符号340で示す事前捕捉モードのDC電圧は、事前捕捉セグメント326にイオンを捕捉するようにさらに作用する。ここで、第2の電圧供給部が捕捉モードに切り替えられるまで、イオンはさらに熱化、および好ましくは冷却される。
参照符号340で示す事前捕捉モードのDC電圧は、好ましくは、第1のチャンバ303の分割イオントラップの少なくともいくつかの隣接するセグメントに印加されるDC電圧間に小さいポテンシャルオフセットのみがあるように定められ、イオンが第1のチャンバ303のセグメント間を通過することにより事前捕捉セグメントに向けて動く際にイオンが大きなエネルギーを得ないことを確実にする。
参照符号360で示す捕捉モードのDC電圧は、イオンを標的セグメント304に向けて動かしイオンを標的セグメント304に閉じ込めるように作用する。
ここで、参照符号340で示す事前捕捉モードのDC電圧は、好ましくは、標的セグメント304の両側にポテンシャル障壁があるように定められ、それによって、事前捕捉モードは、標的セグメントに捕捉されたイオンがガス粒子との衝突によって熱化され、好ましくは冷却され得る、熱化モードと同時に実行されることに注意する。このように、前のサイクル中に標的セグメント内に移動した1つのイオン群は、新たなイオン群が事前捕捉セグメント326で「事前捕捉」されている間に、標的セグメントにおいて熱化され/冷却され、その後標的セグメントから引き出され得る。
代替的な実施形態(不図示)では、第2の電圧供給部は、捕捉モードでのみ動作するように構成され得、例えば、それによって、イオンは、参照符号360で示す捕捉モードのDC電圧を用いて標的セグメント304内に連続して蓄積する。このような実施形態では、イオンは標的セグメント304から周期的に引き出され得る。しかしながら、第2の電圧供給部を電圧プロファイル間、例えば、参照符号340、360で示すプロファイル間で交互に使用することは、事前捕捉(および事前熱化、以下を参照)が標的セグメント304におけるイオンの熱化/引き出し中に実行され得るので、一般的に好ましい。
図4は、図3のイオントラップ301において標的セグメントとして使用される、例としての標的セグメント400を示す。
例としての標的セグメント400は、標的セグメント400に位置するイオンをイオントラップ301から、例えば、TOF型分析器などの質量分析器内に引き出すように構成されている。
図4に示すように、標的セグメント400は4つの双曲線電極410、402、404および406を有する。
4つの電極のうち1つの電極410は、引き出し電極として構成され、その内部に形成されたスリット開口部414を有する。
第1の電圧供給部が前述した半径方向閉じ込めモードで動作すると、2つのAC電圧波形のうちの第1のものが、電極406および402に印加され、2つのAC電圧波形のうち第2のもの(極性が反対のもの、すなわち180°だけ位相シフトしたもの)が電極404および410に印加され得る。
第1の電圧供給部は、引き出しモードで動作するように構成され得る。引き出しモードでは、引き出しセグメント304、400の電極に印加されるAC電圧波形が、所定の位相で休止され(または別様に停止され)、標的セグメント304、400からイオンを引き出すことを可能にする。引き出しモードでは、引き出しセグメント304、400以外の各セグメントに属する電極には、好ましくは、イオンをそれらのセグメント内部に半径方向に閉じ込めるための閉じ込め電場を提供するように、AC電圧波形が供給され続ける。
第3の電圧供給部(第1および/もしくは第2の電圧供給部の一部であるか、またはそれとは別個であってよい)が、1つまたは複数の引き出し電圧を標的セグメントの電極および/または1つまたは複数の(追加の)引き出し電極に印加して、スリット開口部414を通じてイオンを引き出すように構成され得る。例えば、特許文献1の図10を参照すると、例としての引き出しスキームが記載されている。当業者は代替的なスキームを容易に予測し得る。
引き出し電圧の極性が一般的に分析中のイオンの極性によって決まることに注意する。
(前述のとおり、互いに別個であるか、または一体的なユニットの一部であってよい)第1、第2および第3の電圧供給部は、好ましくは、共通の制御部によって制御される。
図4には、引き出しレンズ要素412の形態の引き出し電極も示されており、これは、イオンをより高いエネルギーへと加速させ、また、引き出されたイオンビームを集束させるのを助けるように存在し得る。さらなるレンズ要素の形態のさらなる引き出し電極も存在し得る。電極要素410、402、404および406は、ねじによって、例えば、電極402、404、406、410それぞれのねじ穴408によって、絶縁リングまたはシェル401に固定され得る。高い精度は、この構築方法および他の構築方法を用いて達成され得る。
標的セグメントから引き出されたイオンは以下により質量分析される。
1)共鳴射出スキャン(resonance ejection scan)
2)TOF型分析器
3)静電型分析器
これらの方法はすべて、短時間でイオンを捕捉および冷却することから利点を得る。
図5は、本発明による別の例としてのリニアイオントラップ501を示す。
図3に示すものに対応する図5の特徴部は、可能な場合に同様の参照符号が付されている。
図3のイオントラップ301と同様に、図5のイオントラップ501は、セグメントの第1のサブセット502を含む第1のチャンバ503と、セグメントの第2のサブセット512を含む第2のチャンバ524と、壁527に収容されたガス流制限セグメント570を含むガス流制限セクション505と、を有する。
この実施例では、第1のチャンバ503は、分子流条件下で流れるガスを収容するのに効果的な第1の管506によって部分的に画定され、ガス流制限セグメント570は、第1の管506の端部にある壁に収容される。
第2のチャンバ524は、第1の管506を収容する第2の管507によって画定される。ポンプ(不図示、好ましくはターボ分子ポンプ)が、第2のチャンバ524からガスを排気するように設けられる。
ガス供給部が、第1のチャンバ503内部に所定の圧力を確立するために設けられ得る。この圧力は約1×10−2mbarであってよい。追加のガス供給部が、第2のチャンバ524内部に所定の圧力を確立するために設けられ得る(ただし、これは、理論上では単にポンプで達成され得る)。高い圧力勾配が、ガス流制限セクション505にわたり維持され得る。
図3に示すイオントラップ301に対する図5に示す例としてのイオントラップ501の利点は、チャンバ503が追加のポンプを有する必要がないことである。これは、この実施例では、チャンバ503で達成され得る最低圧力(ベース圧力)が、隣接するチャンバ524および先行するチャンバ(存在する場合、不図示)の圧力によって定められるためである。しかしながら、圧力は、追加のガス供給部の使用によりこのベース圧力より高くなり得る。一般的に、第1のチャンバ503が上昇した圧力で保持され、その結果、圧力に対するより低い制限が問題ではなくなり、追加のポンプを節約することにより費用の面で優位性を与え得ることがしばしば望ましい。
図6は、本発明による別の例としてのリニアイオントラップ601を示す。
図5に示すものに対応する図6の特徴部は、可能な場合に同様の参照符号が付されている。
図6の例としてのイオントラップ601では、第1のチャンバに位置するセグメントの第1のサブセット502は3つのセグメントを有し、ガス流制限セクションは2つのガス流制限セグメント(rが低減されている)を含み、第2のチャンバに位置するセグメントの第2のサブセット612は3つのセグメントを有し、そのうち真ん中のセグメントは、図4を参照して説明したものと同様であってよい、標的セグメント604である。引き出し電極620も図示され、これは、標的セグメント604から引き出されたイオンをTOF質量型分析器680に向けて集束させるのに使用され得るが、他の質量分析器も等しく使用され得る。
図6には、イオントラップ601にイオンを連続して提供するように構成されたイオン源690も示されている。
イオントラップ601、TOF型分析器680、およびイオン源690は共に、質量分析装置600を提供する。
他の実施形態では、すべての電極は四重極の形態に配置された平坦な電極であってよい。
本明細書で論じる例としてのイオントラップは、イオンを捕捉し急速に冷却することが必要な場合にいかなる適用にも使用され得る。イオントラップは、例えば特許文献3に記載されるものなどのTOF型分析器と共に使用され得る。
実施例/好ましいパラメータ/条件
例としてのイオントラップのパラメータのいくつかの好ましい範囲を列挙する。これらの数字は、発明者らが最も経験を有している、バッファガスとして使用されているアルゴンガスについてのものである。しかしながら、本発明は、他のバッファガス、例えば、ヘリウムもしくは窒素ガス、または他の不活性ガスに応用することもできる。好ましい圧力範囲は、異なるガスおよび異なる形状寸法では異なっていてよい。
第1のチャンバ303の圧力:典型的な圧力範囲は5×10−2〜5×10−3mbarであろう。
第2のチャンバ324の圧力:典型的な圧力範囲は1×10−3〜1×10−5mbarであろう。
デバイスの性能は、ガス供給部が冷却される場合に改善され得るが、発明者らは、ガス供給部を冷却する必要なしに十分な冷却効果が得られることを発見した。
動作され得る最高圧力は、粘性のガス流の開始によって定められる。
少なくともいくつかの隣接するセグメント間のDCオフセット:好ましくは0.05ボルト〜2ボルト。
セグメントの長さ/内接半径(L/r):1〜10(すべてのセグメントが同じL/rを有する必要はない)
ガス流制限セグメント以外のセグメントの内接半径 r:0.5mm〜10mmの範囲であってよい。
ガス流制限セグメントの内接半径r:0.25mm〜5mm(好ましくはその他のセグメントの内接半径の半分または半分未満であるが、他の比も可能である)
前記に列挙したパラメータは相互に関連付けられ、そのため、最適値は対象とするアプリケーションに応じていくらか変化し得る。
好適な値は、ガス流制限セグメント以外のセグメントではr=2.5mm、ガス流制限セクションではr=1.25mmであってよい。各セグメントでL/r=4である。高圧の領域の圧力は2×10−2mbar、標的セグメントの圧力は2×10−4mbarである。
変形例
図6を参照して前述した例としてのイオントラップ601では、説明した質量分析器は単一のTOF型質量分析器680である。しかしながら、本発明は、他のタイプの質量分析器、実際、任意のタイプのTOF型分析器にも適用可能であり、特に、分解能の高い飛行時間型質量分析器に適用可能である。静電型分析器にも適用可能である。
イオントラップは例えば他のタイプの質量分析器、例えば質量分離器と共に使用され得るので、質量分析装置は必須要件ではないことに注意する。
また、ガス流制限セグメントが第1および第2のチャンバ内の他のセグメントと同じrを有することが可能であろう。これは、例えば、すべてのセグメントをr=1.25mmで作ると共に、第1のチャンバと第2のチャンバとの間のガスコンダクタンスが、(例えば、ガス流制限セグメントを十分に長くすることによって)第1のチャンバと第2のチャンバとの間に所望の圧力差をもたらすように十分に低いことを確実にすることにより、達成され得る。このオプションは、他の理由から大きいrを有するセグメントを備えたデバイスを作ることが望ましい場合に、困難となり得る。
実験研究
図7は、本発明による例としての質量分析装置700(「LIT−TOF」である)を示す。
図6に示すものに対応する図7の特徴部は、可能な場合に同様の参照符号が付されている。
実験データは図7の質量分析装置700を用いて得た。
イオン源790は、イオンを分割リニアイオントラップ701に供給する衝突セルである。すべての部分が不図示の単一の真空チャンバに収容されている。
図7のプロット752は、軸750に沿った圧力分布を示す(バッファガス分子の統計データを追跡および計算するためのモンテカルロシミュレーション方法を用いて計算されるようなもの:このようなシミュレーションは周知である)。圧力は、ガス供給部によって衝突セル790において設定され得る。バッファガスは、衝突セル790から開口758を通ってセグメントの第1のサブセット702を有する第1のチャンバ内へ入り得る。
ガス流制限セクション705の低い流体コンダクタンスにより、セグメントの第1のサブセット702を有する第1のチャンバとセグメントの第2のサブセット712を有する第2のチャンバとの間で圧力を大きく低減し得る。衝突セル790、開口758、セグメントの第1のサブセット702、およびコンダクタンス制限部705は、第1のチャンバを画定するガスタイト管(不図示であるが、図5に示す管506に対応する)内部に装着される。セグメントの第2のサブセット712は、第2のチャンバを画定する真空チャンバへと開口しており、すなわち、それによって、セグメントの第2のサブセット712とチャンバとの間のガスコンダクタンスが高くなり、これは、セグメントの第2のサブセット712内部の圧力が、セグメントの第1のサブセット702内部の圧力とは実質的に無関係であることを意味する。真空チャンバは、第1のチャンバおよび第2のチャンバ内部に圧力を確立するためにターボ分子ポンプおよび制御可能なガス供給部を有する。制御可能なガス供給部は、第2のチャンバで所望の圧力を得るのを容易にすることに役立ち得るが、いくつかの実施形態では省略され得る(例えば、所望の圧力が、ターボ分子ポンプを適切に設定することにより達成され得るため)。
衝突セルへのガス供給部および真空チャンバ用のガス供給部の両方にアルゴンガスを使用した。図7には、イオンミラー782およびイオン検出器784も示されている。標的セグメント704、引き出しレンズ電極720、イオンミラー782およびイオン検出器784は共に、704内部に捕捉されたイオンの質量スペクトルを記録することができるTOF型質量分析器780を形成する。
この実施例では、第1のチャンバは、第1のチャンバのガス圧力が開口758によって制御可能であるため、それ自体のガス供給部を有していないが、他の実施形態では、第1のチャンバは、それ自体のガス供給部を備えていてよい。
標的セグメント704、引き出しレンズ電極720、イオンミラー782およびイオン検出器784の特性は、達成され得る質量分解能に影響し得る。しかしここでは、引き出しの際における704内のイオンのイオン温度に関心を持っている。
実験研究1
図8は、実験研究1および2からの結果を得るのに使用される異なる動作モードで質量分析装置700のセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧の例示と共に、図7の質量分析装置700を示す。
事前捕捉モードのDC電圧、すなわち事前捕捉モードでセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧は、図8で参照符号840によって示されている。
捕捉モードのDC電圧、すなわち捕捉モードでセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧は、図8で参照符号860によって示されている。
実験研究1では、衝突セル750にガスを導入しななかったが、標的セグメント704を収容する第2のチャンバにはガスを導入した。この動作モードは、標的イオントラップが効果的に6個のセグメントを有するD1の先行技術を再現したものである。
標的セグメント704は7×10−4mbarの圧力に設定した(アルゴン)。
実験研究1では、最初に、参照符号860で示すDC電圧をセグメントに印加した。これらのDC電圧が衝突セル750から現れるイオンを標的セグメント704に直接移動させ、その後それらのイオンを標的セグメント704に閉じ込めるのに使用されることが分かる。
この実験では、イオンは、参照符号860で示すDC電圧を用いて10msの一定の時間にわたり捕捉され、参照符号840で示すDC電圧は、セグメントに印加されて、任意のさらなるイオンがガス流制限セグメント705および標的セグメント704に入るのを阻止し、これにより、標的セグメント704内部のイオンが冷却された。
イオンが冷却され得る時間は0.5〜20msで変化した。利用可能なイオン電流のパーセンテージとして表される強度およびピーク分解能をそれぞれ図9(b)および図9(c)に示す。
より長い冷却時間で得られたTOFスペクトルを示す図9(a)に示す。データは、15msを下回る冷却時間でTOF分解能の急激な減少を示している。捕捉効率は全体にわたって低い。よって、先行技術の動作モードは、低い捕捉効率および最大66Hz以下のスキャン速度に制限される。
実験研究2
実験研究2では、衝突セル850に入ることのできたガスは、セグメントの第1のサブセット702を有する第1のチャンバに適切な圧力プロファイルを提供した。コンダクタンス制限セグメント705は、高圧の勾配、したがって、セグメントの第1のサブセット702を有する第1のチャンバと第2のチャンバの標的セグメント704との間に少なくとも3桁の大きさの大きい圧力差をもたらした。この実験では、追加のアルゴンガスを、標的セグメント704を収容する第2のチャンバに供給して、そこに2×10−4mbarの圧力を確立した。セグメントの第1のサブセット702を有する第1のチャンバの圧力は、1×10−2mbarの辺りであった。
実験研究2では、衝突セル750から現れるイオンは、図8に参照符号860で示すDC電圧を用いて標的セグメント704に直接移送した。「捕捉」ステップと呼ばれ得るこの時間中、参照符号860で示すDC電圧は、イオンを標的セグメント704内部に捕捉するのに役立つ。したがって、参照符号860で示すDC電圧が印加される時間は、「捕捉時間」と呼ぶことができる。
イオンが標的セグメント704に蓄積する「捕捉」時間の後、参照符号840で示すDC電圧が印加された。これらのDC電圧は、さらなるイオンが標的セグメント704に入るのを防ぐのに有効であったと同時に、標的セグメント704内部に既に捕捉されたそれらのイオンを、ガスとの熱平衡へと進ませた。参照符号840で示すDC電圧が印加される時間は、「冷却」時間と呼ぶことができる。最終段階は、イオンミラーに向かって直交方向におけるイオンの引き出しであった。この段階で、試料イオンの質量スペクトルを得た。
実験研究2では、「捕捉」時間は0.4msであり、「冷却」時間は、0.5ms〜15msで、小刻みに変化した。「捕捉時間」と「冷却時間」との合計は、以下では「サイクル時間」と呼ぶ。「サイクル時間」は、連続してスペクトルを取得する間の最小時間を表す。「サイクル時間」の逆数は、以下では「スキャン速度」と呼ぶ。
「冷却」時間を変化させて、図10に表すデータを得た。
図10(a)は、サイクル時間に対してプロットされた捕捉効率を示し、図10(b)は、サイクル時間に対する質量分解能を示す。
図10に示す実験研究2の結果は、図9に示すような実験研究1によって示す先行技術の性能と比べて、本発明の性能の向上を示す。これらの実験の分解能は、イオンが標的セグメント704からTOF型分析器内へ引き出されるときの標的セグメント704におけるイオン雲の温度の尺度である。捕捉効率の依存性は、イオンが標的セグメント704に入る際のイオン温度の尺度である。冷却に関する捕捉効率の依存性は、イオンが標的セグメント704からTOF型分析器内へ引き出されるときのイオン雲の軸方向または半径方向のサイズの尺度である。
この動作モードで、イオンは、イオンガイドの高圧領域を通って移送される。
標的セグメント704を有する第2のチャンバの圧力は、実験研究1の対応する圧力よりも3.5倍低かった。より低い圧力で動作すると、前述したような利点が得られる。同時に、捕捉効率は、2%から50%に改善され、最小サイクル時間は15ms(66Hz)から5ms(200Hz)へと減少した。これは、先行技術のデバイスと比べて大幅な改善を表す。
実験研究3
実験研究3は図11を参照して説明する。
図11は、実験研究3からの結果を得るのに使用される異なる動作モードで質量分析装置700のセグメントにそれぞれ印加されるDC電圧の例示と共に、図7の質量分析装置700を示す。
この実験研究では、衝突セル750から現れるイオンが最初に、図11に参照符号1140で示すDC電圧を用いて、セグメントの第1のサブセット702の事前捕捉セグメント726に移送される、「事前捕捉」ステップを除き、すべての条件が実験研究2と同一であった。図11に参照符号1140で示すDC電圧が印加される時間は、「事前捕捉」時間と呼ぶことができる。
その後、図11に参照符号1141で示すDC電圧を印加した。DCプロファイル1021が印加された時間は「事前冷却」時間と呼ぶことができる。
次に、イオンは、図11に参照符号1160で示すDC電圧を印加することによって、セグメントの第1のサブセット702から標的セグメント704に移送した。参照符号1160で示すDC電圧が印加される時間は、「捕捉」時間と呼ぶことができる。
次に、参照符号1161で示すDC電圧を印加して、標的セグメント704内でイオンが冷却する時間を与えた(これは、イオンが標的セグメント704内へ移送されている間にいくらかの運動エネルギーを得ているためである)。参照符号1161で示すDC電圧が印加された時間は、「冷却」時間と呼ぶことができる。
「冷却」時間の終わりに、イオンは、引き出し電圧の印加により、標的セグメント704からTOF型分析器に向けて、直交方向に引き出された。
この実験では、「事前捕捉」時間は0.5msに設定され、「事前冷却」時間は2msに設定され、「捕捉」時間は2msに設定され、「冷却」時間は0.5ms〜15msで変化した。結果として得られたデータを図12に示す。
図12では、図12に示すような「サイクル時間」は、「冷却時間」+「捕捉時間」として定義されることに注意する。図13を参照して以下で論じるように、事前捕捉ステップと事前冷却ステップが冷却ステップと同時に実行され得るので、これは、「事前捕捉時間」+「事前冷却時間」が「冷却時間」より短いままである場合に、理論的に達成可能な最良の「サイクル時間」である。
図12(a)は、サイクル時間に対してプロットされた捕捉効率を示し、図12(b)は、サイクル時間に対してプロットされた質量分解能を示す。これらのデータは、事前捕捉モードで動作することにより性能を実質的に損なうことなく、サイクル時間をさらに低減することが可能であることを示す。3msのサイクル時間(333Hzのスキャン速度)では、質量分解能は22kで維持され得、捕捉効率は、333Hzのスキャン速度で80%の最大値から65%への小さな減少のみを示す。
図13は、冷却ステップと同時に事前捕捉および事前冷却を実行するのに使用され得る一連の代替的DC電圧プロファイルを例示する。
図13では、参照符号1361で示すDC電圧は、前述した「事前捕捉」ステップと「冷却」ステップとを同時に行うためのものである。
図13では、参照符号1341で示すDC電圧は、前述した「事前冷却」ステップと「冷却」ステップとを同時に行うためのものである。
図13では、参照符号1360で示すDC電圧は、前述した捕捉ステップを行うためのものである。参照符号1360で示すDC電圧はまた、「事前捕捉された」イオンのみが標的セグメント内に移送するように「事前捕捉」セグメントの上流にポテンシャル障壁1360aを提供することに注意する。
「事前冷却」ステップ(参照符号1341で示すDC電圧)は、いくつかの実施形態では省略され得る、すなわち、DC電圧は、参照符号1361で示すプロファイルから参照符号1360で示すプロファイルへと切り替わる。
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、用語「含む(comprises)」および「含む(comprising)」、「含む((including)」ならびにそれらの変形は、特定の特徴部、ステップ、または整数が含まれることを意味する。これらの用語は、他の特徴部、ステップ、または整数が存在する可能性を排除すると解釈されるものではない。
必要に応じて、特定の形態で、あるいは開示された機能、または開示された結果を得るための方法もしくはプロセスを実行するための手段の観点から表された、前述した説明に、または以下の特許請求の範囲に、または添付図面に開示された特徴部は、別々に、またはそのような特徴部の任意の組み合わせで、多様な形態で本発明を実現するのに利用され得る。
本発明は、前述した例示的な実施形態と共に説明してきたが、多くの等価な改変および変形例が、本開示を読めば当業者には明らかであろう。したがって、前述した本発明の例示的な実施形態は、例示的なものであり、限定するものではないと考えられる。説明した実施形態に対するさまざまな変更が、本発明の趣旨および範囲を逸脱せずに行われ得る。
疑義を無くすために述べておくと、本明細書に記載するあらゆる理論上の説明は、読者の理解の改善を目的として提供したものである。発明者らは、これらの理論上の説明のいずれによっても拘束されることを望むものではない。
上記で参照した参考文献はすべて、参照により本明細書に組み込まれる。
添付書類−流体コンダクタンスの説明
分子流様式(molecular flow regime)と呼ばれる、バックグラウンドガス分子の平均自由行程がシステムの寸法ほどである(またはそれより長い)圧力様式は、荷電粒子デバイスでしばしば使用される。このような圧力で、ガス流特性は、単純な理論を用いて決定され得る。2つの隣接する圧力エリア間の圧力差は、2つの領域間の流体コンダクタンスCの関係として定義され得る。流体コンダクタンスは、単位時間当たりの体積で、一般的にはm−1またはLs−1で表される2つの領域間の排気速度の尺度である。流体コンダクタンスが大きいほど、2つの体積間の流れが大きくなる。2つの体積間でより大きい圧力差を維持するために(2つの領域のうち1つへ、例えばパイプからガス源への正味のガス流がいくらかあることを前提として)、流体コンダクタンスはより小さくしなければならない。2つの体積間の圧力差を低減するために、流体コンダクタンスはより大きくし、他はすべて等しくしなければならない。したがって、より大きい圧力差を維持するために、流体コンダクタンスが低減された領域が必要である。
流体コンダクタンスは、関係する流体がガスである場合、ガスコンダクタンスと呼ぶことができる。
理論(「A Users Guide to Vacuum Technology, Third Edition, J. F. O′Hanlon, Wiley, New York」32〜34頁を参照)から、分子流様式の第1近似を目的として、プレートにおけるオリフィスのコンダクタンスCholeは以下により得られることが周知である。
Figure 0006750652
式中、vはガスの平均速度であり、Aは、穴の面積であり、rholeは、穴の半径である。したがって、プレートの開口について、コンダクタンスは、穴の面積または半径を変えることによって変化され得る。長く丸い管では、この流体コンダクタンスCtubeは以下となる。
Figure 0006750652
式中、vはガスの平均速度であり、dtubeは管の直径であり、rtubeは管の半径であり、lは管の長さである。
第1近似を目的として、図3に示すガス流制限セクション305は、管に近づけられ得る(より良い近似が可能であるが、この近似は、動作原理を説明する目的に役立つ。読者は、所望であれば、例えば、コンピュータシミュレーションを通じて、構造のガス流特性のより正確な説明へとこの理論を拡大し得る)。ガス流制限セクション305のコンダクタンスをプレートの丸いオリフィスのコンダクタンスと等しくすることが望ましい場合、CholeおよびCtubeは、互いに等しく設定され得、基準を満たす管の(直径および長さの)形状寸法の範囲をもたらす。
図3に示すガス流制限セクション305の長さを長くすると、より大きい直径の「管」が可能になると共に、同じコンダクタンスが維持される、すなわち電極どうしの分離が増大され得、したがって、所望の圧力差が、第1のチャンバ303と第2のチャンバ324との間で維持され得ることも、容易に分かる。流体コンダクタンスが、長さとは単に反比例し、直径の3乗に対応するため、特に大きい直径のものはすぐに実用不可能となり、それは、管の大きい直径を相殺すると共に同じガスコンダクタンスを保持するために非常に長い管が必要となるためであることに注意する。

Claims (18)

  1. イオントラップであって、
    軸に沿って連続的に位置づけられた複数のセグメントを有する分割電極構造体であって、前記分割電極構造体の各セグメントは、前記軸の周りに配置された複数の電極を含む、分割電極構造体と、
    各セグメントに属する少なくともいくつかの電極が、前記セグメント内部にイオンを半径方向に閉じ込めるための閉じ込め電場を提供するように少なくとも1つのAC電圧波形を供給される半径方向閉じ込めモードで動作するように構成された第1の電圧供給部と、
    前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記複数のセグメントのうちの標的セグメントに向けてイオンを押しやりその中にイオンを捕捉するために軸方向に変化するプロファイルを有する捕捉電場を提供するように異なるDC電圧を供給される捕捉モードで動作するように構成された第2の電圧供給部と、
    イオン源からイオンを受け取るように構成された第1のチャンバであって、前記セグメントの第1のサブセットが前記第1のチャンバ内部に位置する、第1のチャンバと、
    前記第1のチャンバからイオンを受け取るように構成された第2のチャンバであって、前記セグメントの第2のサブセットが前記第2のチャンバ内部に位置し、前記標的セグメントは、前記セグメントの第2のサブセットのうちの1つである、第2のチャンバと、
    前記第2のチャンバに前記第1のチャンバより低いガス圧力を提供するように前記第2のチャンバからガスを排気するように構成されたガスポンプと、
    前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に位置するガス流制限セクションであって、前記第1のチャンバから前記第2のチャンバにイオンを通すことを可能にすると共に前記第1のチャンバから前記第2のチャンバへのガス流を制限するように構成され、前記第1のチャンバと前記第2のチャンバとの間に壁を含み、少なくとも1つの開口が前記壁に形成されて前記第1のチャンバから前記第2のチャンバにイオンを通すことを可能にすると共にガスが前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに流れることを制限し、前記ガス流制限セクションの前記壁における前記少なくとも1つの開口は、前記複数のセグメントの一部である1つまたは複数のガス流制限セグメントを収容し、該1つまたは複数のガス流制限セグメントは前記第1のチャンバ内に全体が位置するセグメントの内接半径よりも小さい内接半径を有する、ガス流制限セクションと、
    を有する、イオントラップ。
  2. 前記第2のチャンバの前記標的セグメントと前記第1のチャンバの最後のセグメントとの間の距離は、12r0t以下であり、r0tは前記標的セグメントの内接半径であり、前記距離は、前記標的セグメントの中心から前記第1のチャンバの前記最後のセグメントの中心まで、前記軸に沿って測定される、請求項1に記載のイオントラップ。
  3. 前記イオントラップは、前記イオントラップが使用中であるときに、前記第1のチャンバの所定の場所で所定の第1の圧力を、前記第2のチャンバの所定の場所で所定の第2の圧力を、提供するように構成され、前記第1の圧力は、前記第2の圧力の10倍以上大きい、請求項1又は2に記載のイオントラップ。
  4. 前記イオントラップは、前記イオントラップが使用中であるときに、前記第1のチャンバの所定の場所で所定の第1の圧力を、前記第2のチャンバの所定の場所で所定の第2の圧力を、提供するように構成され、前記第1の圧力は、5×10−3mbar〜5×10−2mbarであり、前記第2の圧力は、1×10−5mbar〜5×10−4mbarである、請求項1から3のいずれか1項に記載のイオントラップ。
  5. 各セグメントの前記複数の電極は、前記軸の方向に延び、かつ多重極イオンガイドを形成するように配置された、いくつかの細長い電極を含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のイオントラップ。
  6. 少なくともいくつかの対の隣接するセグメントが存在し、該対の第1のセグメントの少なくとも1つの電極に印加されるDC電圧と前記対の第2のセグメントの少なくとも1つの電極に印加されるDC電圧との間に2V以下の小さいDCオフセットがあるような、前記捕捉モードで動作するよう前記第2の電圧供給部が構成される、請求項1から5のいずれか1項に記載のイオントラップ。
  7. 前記第2の電圧供給部は、熱化モードで動作するように構成され、前記熱化モードでは、前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記第2のチャンバ内部に位置する前記標的セグメントにイオンを捕捉すると共にさらなるイオンが前記標的セグメントに入るのを防ぐために軸方向に変化するプロファイルを有する熱化電場を提供するように異なるDC電圧を供給される、請求項1から6のいずれか1項に記載のイオントラップ。
  8. 前記第2の電圧供給部は、事前捕捉モードで動作するように構成され、前記事前捕捉モードでは、前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントに向けてイオンを押しやりその中に捕捉するために軸方向に変化するプロファイルを有する事前捕捉電場を提供するように異なるDC電圧を供給され、前記事前捕捉セグメントは前記第1のチャンバ内に全体が位置する他のセグメントよりも前記第2チャンバに近い、請求項1から6のいずれか1項に記載のイオントラップ。
  9. 前記第2の電圧供給部は、事前熱化モードで動作するように構成され、前記事前熱化モードでは、前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記第1のチャンバ内部に位置する前記事前捕捉セグメントにイオンを捕捉すると共に、さらなるイオンが前記事前捕捉セグメントに入るのを防いで、ガス粒子との衝突を通じて前記事前捕捉セグメントに捕捉された前記イオンの熱化を可能にするために軸方向に変化するプロファイルを有する事前熱化電場を提供するように異なるDC電圧を供給される、請求項8に記載のイオントラップ。
  10. 前記第2の電圧供給部は、さらに、事前捕捉モードで動作するように構成され、前記事前捕捉モードでは、前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントに向けてイオンを押しやりその中に捕捉するために軸方向に変化するプロファイルを有する事前捕捉電場を提供するように異なるDC電圧を供給され、前記事前捕捉セグメントは前記第1のチャンバ内に全体が位置する他のセグメントよりも前記第2チャンバに近く、
    前記第2の電圧供給部は、さらに、事前熱化モードで動作するように構成され、前記事前熱化モードでは、前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記第1のチャンバ内部に位置する前記事前捕捉セグメントにイオンを捕捉すると共に、さらなるイオンが前記事前捕捉セグメントに入るのを防いで、ガス粒子との衝突を通じて前記事前捕捉セグメントに捕捉された前記イオンの熱化を可能にするために軸方向に変化するプロファイルを有する事前熱化電場を提供するように異なるDC電圧を供給され、
    前記第2の電圧供給部は、前記熱化モードと同時に前記事前捕捉モードおよび/または前記事前熱化モードで動作するように構成されている、請求項7に記載のイオントラップ。
  11. 前記イオントラップは、引き出しモードで動作するように構成された第3の電圧供給部を含み、前記引き出しモードでは、1つまたは複数の引き出し電圧が、前記標的セグメントの1つもしくは複数の電極および/または1つもしくは複数の引き出し電極に供給される、請求項1から10のいずれか1項に記載のイオントラップ。
  12. 前記第1の電圧供給部は、引き出しモードで動作するように構成され、前記引き出しモードでは、前記半径方向閉じ込めモードにおいて前記標的セグメントの電極に供給されるAC電圧波形が、イオンを前記標的セグメントから引き出させるように休止または停止され、前記イオントラップは、引き出しサイクルを繰り返し実行するように構成され、前記引き出しサイクルは、
    前記第2の電圧供給部が第1の所定の期間にわたり前記捕捉モードで動作して、イオンを前記標的セグメントに向かって動かしその中にイオンを捕捉すること、
    前記第1および第3の電圧供給部がそれらの引き出しモードで動作して、イオンを前記標的セグメントから前記イオントラップの外に引き出すこと
    を含む、請求項11に記載のイオントラップ。
  13. 質量分析装置であって、
    イオン源と、
    請求項1から12のいずれか1項に記載のイオントラップであって、前記イオントラップの前記第1のチャンバは、前記イオン源からイオンを受け取るように構成されている、イオントラップと、
    前記イオントラップの前記標的セグメントから引き出されたイオンを分析するための質量分析器と
    を有する、質量分析装置。
  14. 前記イオン源は、前記イオントラップの前記第1のチャンバによって受け取られるように連続したイオンの流れを提供するように構成されている、請求項13に記載の質量分析装置。
  15. 前記事前捕捉セグメントに供給されるDC電圧が、前記第1チャンバ内に位置する前記セグメントの前記第1のサブセットの他のセグメントに供給されるDC電圧よりも低い、請求項8に記載のイオントラップ。
  16. 前記1つまたは複数のガス流制限セグメントが軸方向に延びる複数の電極を含む、請求項15に記載のイオントラップ。
  17. 前記第2の電圧供給部は、事前捕捉モードで動作するように構成され、前記事前捕捉モードでは、前記セグメントに属する前記電極のうちの少なくともいくつかが、前記第1のチャンバ内部に位置する事前捕捉セグメントに向けてイオンを押しやりその中に捕捉するために軸方向に変化するプロファイルを有する事前捕捉電場を提供するように異なるDC電圧を供給され、
    前記事前捕捉セグメントは前記第1のチャンバ内に全体が位置する他のセグメントよりも前記第2チャンバに近く、
    前記事前捕捉セグメントに供給されるDC電圧が、前記第1チャンバ内に位置する前記セグメントの前記第1のサブセットの他のセグメントに供給されるDC電圧よりも低い、請求項13に記載の質量分析装置。
  18. 前記1つまたは複数のガス流制限セグメントが軸方向に延びる複数の電極を含む、請求項17に記載の質量分析装置。
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