JP6749138B2 - 点滴検出器 - Google Patents

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Description

本発明は、点滴筒内を落下する液滴を検知可能とする点滴検出器、その制御方法、及び当該点滴検出器を含む輸液ポンプに関する。
輸液ポンプは、薬液等を患者に正確に持続供給できる装置として、医療分野で広く使用されている。輸液ポンプに装着され、患者に接続される輸液セットは、滅菌されたディスポーザブル品であり、輸液セットは、およその流量を目視確認するための点滴筒を備えている。
輸液ポンプは、標準又はオプショナルで、点滴筒内を落下する液滴を検知できる滴落検知器を備えている。輸液ポンプは、滴落検知器に輸液セットの点滴筒を装着し、点滴筒内を落下する滴を検知することにより流量を監視可能としている。輸液セットには、20滴と60滴の2種類がある。20滴の点滴筒は1mLを20滴に分けて滴下し、60滴の点滴筒は1mLを60滴に分けて滴下する。
例えば、特許文献1に開示の滴落検知器は、図10に示すように発光素子101から受光素子102へ向かう光軸110が液滴111によって遮蔽された場合に、図11に示されるように、受光素子102の出力電圧の変化量ΔVを検出することにより、点滴筒10
0内を落下する液滴を検知している。
特開2014−204897号公報
しかし、輸液ポンプを屋内で使用し、図12に示すように、滴落検知器の外部から入射する光(以下「外光」と略称する場合もある。)として室内灯103からの可視光線が受光素子102にまで到達した場合には、受光素子102は、発光素子101からの光と室内灯103からの可視光線(外光)の両方を受光する。その為、図13に示されるように、受光素子102の出力電圧は、図11に示された値よりも高い値へ変動するので、滴落検知器への外光の影響を無視して、所定の出力電圧変化量ΔV(図11参照)を閾値とし
、液滴の有無を判定する方法では、液滴を検知できない場合がある。
本発明は、液滴の検出精度が向上した点滴検出器、及びこれを用いた輸液ポンプ、並びに点滴検出器の制御方法を提供する。
本発明の点滴検出器は、輸液ポンプを構成する輸液ポンプ本体へ、点滴筒内を落下する液滴の検出信号を出力するための点滴検出器であって、
前記点滴筒の外部の一側に配置された複数の発光素子を含む発光部と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置された複数の受光素子を含む受光部と、
複数の前記発光素子を順次発光させ、複数の発光素子の個々の発光の前に、全ての発光素子が消灯した消灯期間をおく、という1連のステップを1スキャンとして繰り返し行う、滴落制御部と、
前記液滴の検出の判定を行う、データ処理部と、を含み、
前記発光部と前記受光部は、各発光素子と対応する1個以上の受光素子間の光軸のいずれもが、前記液滴の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されており、
前記データ処理部は、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、前記液滴未検出と判定し、
前記総出力電圧変化量は、各消灯期間経過直後に発光予定の発光素子と対応する受光素子の当該消灯期間中における出力電圧の合計と、前記消灯期間経過直後に発光した前記発光素子と対応する前記受光素子が前記発光素子の光を受光した時の出力電圧の合計との差である。
本発明の点滴検出器の制御方法は、本発明の点滴検出器の制御方法であって、
前記滴落制御部により、前記複数の発光素子を順次発光させ、複数の発光素子の個々の発光の前に、全ての発光素子が消灯している消灯期間をおき、
前記データ処理部にて、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、液滴未検出と判定する。
本発明の輸液ポンプは、
本発明の点滴検出器と輸液ポンプ本体とを含み、
前記輸液ポンプ本体は、
前記液滴の前記検知信号が入力される設定入力部・制御部を含む。
本発明によれば、液滴の検出精度が向上した点滴検出器、及びこれを用いた輸液ポンプ、並びに点滴検出器の制御方法を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る点滴検出器を含む輸液ポンプの構成概略図。 図2は、図1に示した点滴検出器の発光部と受光部とを説明する模式図。 図3Aは、図2に示した受光素子4e〜4gが外光のみを受光する受光ステップを、図3Bは、受光素子4e〜4gが、外光及び発光素子3aから受光する受光ステップを説明する模式図。 図4Aは、図2に示した受光素子4c〜4gが外光のみを受光する受光ステップを、図4Bは、受光素子4c〜4gが、外光及び発光素子3bから受光する受光ステップを説明する模式図。 図5Aは、図2に示した受光素子4b〜4fが外光のみを受光する受光ステップを、図5Bは、受光素子4b〜4fが、外光及び発光素子3cから受光する受光ステップを説明する模式図。 図6Aは、図2に示した受光素子4a〜4eが外光のみを受光する受光ステップを、図6Bは、受光素子4a〜4eが、外光及び発光素子3dから受光する受光ステップを説明する模式図。 図7Aは、図2に示した受光素子4a〜4cが外光のみを受光する受光ステップを、図7Bは、受光素子4a〜4cが、外光及び発光素子3eから受光する受光ステップを説明する模式図。 図8は、図3〜図7に示した各光軸L1〜L21、l1〜l21と受光素子の出力電圧との関係を説明するグラフ。 図9は、図3〜図7に示した各光軸L1〜L21、l1〜l21と受光素子の出力電圧変化量との関係を説明するグラフ。 図10は、従来の点滴検出器の一例を説明する模式図。 図11は、図10に示した点滴検出器により測定される出力電圧を示したグラフ。 図12は、従来の点滴検出器の一例を説明する模式図。 図13は、図12に示した点滴検出器により測定される出力電圧を示したグラフ。 図14は、点滴検出器の一参考例を説明する模式図。 図15は、図14に示した点滴検出器により測定される出力電圧を示したグラフ。 図16は、図14に示した点滴検出器により測定される出力電圧変化量を示したグラフ。 図17は、点滴検出器の他の参考例を説明する模式図。 図18A〜18Cは、図17に示した点滴検出器を構成する受光素子が、各々、対応する発光素子から受光する受光ステップを説明する模式図。 図19A〜19Bは、図17に示した点滴検出器を構成する受光素子が、各々、対応する発光素子から受光する受光ステップを説明する模式図。 図20は、図18〜図19に示した各光軸L1〜L21と受光素子の出力電圧との関係を説明するグラフ。 図21A〜21Cは、図17に示した点滴検出器を構成する受光素子が、各々、対応する発光素子から受光する受光ステップを説明する模式図。 図22A〜22Cは、図17に示した点滴検出器を構成する受光素子が、各々、対応する発光素子から受光する受光ステップを説明する模式図。 図23は、図21A〜図22Cに示した各光軸L1〜L21と受光素子の出力電圧との関係を説明するグラフ。 図24は、図21A〜図22Cに示した各光軸L1〜L21と受光素子の出力電圧との関係を説明するグラフ。 図25は、図21A〜図22Cに示した各光軸L1〜L21と受光素子の出力電圧変化量との関係を説明するグラフ。
図14に示されるように、点滴筒100において、光軸が液滴111によって遮弊される位置に配置された発光素子101aに加えて光軸が液滴111によって遮弊されない位置に発光素子101bを配置し、受光素子102a、102bにより、発光素子101a、101bからの光と外光の両方を各々受光し、図15及び図16に示すように、受光素子102bの出力電圧と受光素子102aの出力電圧の差分をとることにより、外光(室内灯103からの可視光線)の受光に起因する上述の出力電圧の変動の影響を低減しながら液滴を検知することができると考えられる。
また、外光の受光に起因する出力電圧の変動の影響を低減する別の方法として、下記方法が考えられる。以下、当該方法を、例えば、発光素子と受光素子を各々複数備えた滴落検知器を例に挙げて詳細に説明する。
図17において、点滴筒200を挟むように、5つの発光素子201a〜201eと7つの受光素子202a〜202gが配置されている。発光素子201a〜201eと受光素子202a〜202gは、発光素子から発光され受光素子にて受光されうる光軸L1〜L21(図18A〜図19B参照)のいずれもが、液滴211の落下方向と直交する単一の水平面内に収まるように配置されている。
滴落検知器内の滴落制御部からの制御信号により、図18A〜図19Bに示すように、5個の発光素子201a〜201eを順次発光させ、1回のスキャンで、5個の発光素子201a〜201eの全てによる発光及び当該発光素子から出射した光軸の受光素子202a〜202gによる受光を行う。このスキャン動作を周期的に行う。スキャン動作は、液滴が前記水平面を通過し始めてから通過し終わるまでの間に1回以上行われる。光軸が液滴を通過すると、屈折や遮光により、受光素子から得られる出力電圧は低下する。
図20に示されるように、1回目スキャンでは、液滴は未検出であり、2回目スキャンでは、光軸L8〜L14を受光した受光素子の出力電圧が、それ以外の光軸L1〜L7、L15〜L21を受光した受光素子のそれよりも低い。滴落検知器のデータ処理部は、1回のスキャンで降下した出力電圧(出力電圧変化量)の総和が所定の閾値以上であると、液滴が存在すると判定し、所定の閾値より小さいと、液滴は存在しないと判定する。尚、図20には、後述する図24における各受光素子の出力電圧との対比のため、外光による影響を受けていない場合の各受光素子の出力電圧を示している。
上述のとおり、受光素子が外光を受光した場合、受光素子の出力電圧が、受光素子が外光を受光しない場合よりも高くなる。そのため、図21Aに示すように、スキャン動作の最初に、蛍光灯等の外光のみを受光素子が受光した場合の出力電圧を、外光出力電圧として得る。その後、図21B〜図22Cに示されるように、発光素子201a〜201eを順次発光させて、光軸L1〜L21を受光した受光素子の出力電圧を得る。
そして、図23に示すように、受光素子の出力電圧から、外光による出力電圧の上昇分(外光出力電圧)を減算する補正を行うことより、出力電力変化量の総和を精度よく検出できると考えられる。尚、図21B〜図22Cにおいて、図の簡略化のため、受光素子が受光しうる外光の光軸は省略している。また、図23において、スキャン(1)〜(3)は、外光による影響がある場合とない場合との対比のために並べて表示されており、(1)〜(3)は、スキャンの順序を意味するものではない。スキャン(1)及び(2)は、外光を受光しない条件下において測定した、液滴の非検出時と検出時の受光素子の出力電圧を示しており、スキャン(2)及び(3)は、液滴の検出時において、外光を受光しない場合と外光を受光した場合の受光素子の出力電圧を示している。尚、図8、図9、図24及び図25中のスキャン(1)〜(3)も図23のそれと同趣旨である。
外光出力電圧の減算により補正された出力電圧変化量の総和(スキャン1回あたりの出力電圧変化量の総和)が、スキャン(2)の出力電圧変化量の総和に近いほど、液滴検出の精度が高いことを意味する。出力電圧変化量は、受光素子が外光を受光せず、且つ、発光素子から出射された光軸が液滴により遮弊されない場合(スキャン(1))の出力電圧を基準としている。
しかし、上記の通り出力電圧の補正を行っても、液滴の検出精度は十分ではない。
本発明者らは、鋭意検討の結果、出力電圧の補正を行っても液滴の検出精度が十分でない理由が、主たる外光である室内灯が商用電源を使用して発光している場合に、受光素子が受ける外光の強さが、50Hzもしくは60Hzの周期で経時変動していることにあると見出した。
詳述すると、外光の強さは、所定の波形で経時変動するため、図24に示すように、外光の受光に起因する出力電圧の上昇の程度が、経時的に変化する。受光素子が外光を受光せず、且つ、発光素子から出射された光軸が液滴により遮弊されない場合の出力電圧を基準値とし、当該基準値より小さい出力電圧における出力電圧降下量(出力電圧変化量)を検出する場合、例えば、液滴による遮弊によって低くなった出力電圧の値が、上記基準値よりも大きいと、図23と同様の方法で、外光による出力電圧の上昇分(外光出力電圧)を受光素子の出力電圧から減算する補正を行っても、出力電圧変化量を正確に検出できない。当該出力電圧変化量を正確に検出できないと、図25に示されるように、出力電圧変化量の総和の値が所定の閾値よりも小さくなり、液滴の検出精度が低下する。
そこで、本発明者らは、各発光素子を発光させる直前に、全ての発光素子が消灯した消灯期間をもうけることとした。そして、データ処理部において、消灯期間経過直後に発光することとなっている発光素子Xに対応する受光素子Yの当該消灯期間中の出力電圧Bを外光出力電圧として検出及び記憶し、当該消灯期間経過直後に発光した発光素子Xからの光と外光の両方を受光した受光素子Yの出力電圧Aを混合光出力電圧として検出及び記憶し、1スキャンにおける総出力電圧変化量(「出力電圧変化量の総和」と言う場合もある。)を、液滴検出の判定に用いることとした。前記総出力電圧変化量は、混合光出力電圧の合計と外光出力電圧の合計との差である。これにより、スキャンの最中に外光の強さが変動しても、当該変動に応じた外光出力電圧の減算の精度が向上し、より正確に1スキャンにおける出力電圧変化量の総和を検出でき、結果として、液滴の検出精度を向上することができる。
尚、本発明において、各受光素子の混合光出力電圧から対応する外光出力電圧を減算して、各受光素子の出力電圧の補正値を得てから、当該補正値の総和を総出力電圧変化量として得てもよいし、複数の受光素子の混合光出力電圧の合計及び複数の受光素子の外光出力電圧の合計を各々得てから、前者から後者を減算して、総出力電圧変化量を得てもよい。
次に、本発明の一実施形態に係る点滴検出器、及びその制御方法、並びに、当該点滴検出器を含む輸液ポンプ等について、図1〜図9を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る点滴検出器2、及び点滴検出器2と輸液ポンプ本体12とを含む輸液ポンプ1の構成概略図である。輸液バック11には、点滴筒8を介して可撓性チューブ10が接続されている。可撓性チューブ10内の輸液は、チューブ押圧部17によって可撓性チューブ10が下方にしごかれることにより、下方に送られ、輸液セットが接続された患者に送られる。
点滴検出器1は、点滴筒8を挟んで対向するように配置された、発光部3と受光部4とを含む。発光部3は、点滴筒8の外部の一側に配置され、受光部4は、点滴筒8の外部の前記一側の反対側に配置されている。
図2に示されるように、発光部3及び受光部4は、各々、複数の発光素子3a〜3eと複数の受光素子4a〜4gを含む。発光素子3a〜3eと受光素子4a〜4gは、発光素子と対応する受光素子間の光軸のいずれもが、液滴9(図1参照)の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されている。
発光素子3a〜3eは、例えば、近赤外線を発するLED、半導体レーザー等が挙げられる。受光素子4a〜4gは、例えば、受光した光を電気信号(出力電圧)に変換するフォトダイオード又はフォトトランジスタからなる。
図2では、発光素子の数と受光素子の数が異なっているが、同じでもよい。また、図2では、発光素子の数が5個、受光素子の数が7個であるが、本発明の点滴検出器1において、発光素子の数は、液滴の検出範囲を広げる観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上であり、経済性の観点から、7個以下である。受光素子の数は、発光素子の数以上であればよいが、液滴の検出範囲を広げる観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上であり、経済性の観点から、7個以下である。
発光素子3a〜3eの発光は、滴落制御部5からの制御信号により制御される。具体的には、まず、図3Aに示されるように、いずれの発光素子3a〜3eも発光させない状態で、外光(例えば、商用電源を使用した室内灯の光)のみを受光素子4e〜4gで受光する、外光キャンセル用受光を行う。図3Aにおいて、外光のうち、受光素子4e〜4gが受光する外光は、光軸l3,l7,l12で表わしている。次いで、図3Bに示されるように、外光下で、発光素子3aを発光させて、受光素子4e,4f,4gにより、外光l3,l7,l12(図示せず)及び光軸L3,L7,L12を受光する、混合受光を行う。
尚、図4A、図5A、図6A、図7Aは、外光キャンセル用受光の様子を示しており、図3B、図4B、図5B、図6B、図7Bは、混合受光の様子を示している。図3B、図4B、図5B、図6B、図7Bにおいて、外光の光軸は、図の簡略化のため省略している。
次いで、図4A〜図7Bに示されるように、外光キャンセル用受光と混合受光をこの順で交互に行う。1回のスキャンで、図3A〜図7Bの一連の受光ステップを行い、このスキャン動作が一定周期で行なわれるように、滴落制御部5にて、発光素子3a〜3eの発光のタイミングが制御される。スキャン動作は、液滴が前記水平面を通過し始めてから通過し終わるまでの間に1回以上行われる。光軸が液滴を通過すると、屈折や遮光により、受光素子から得られる出力電圧は低下する。
発光素子3a〜3eから発光された光は、点滴筒8の外壁及び液滴9により減衰されながら受光素子4a〜4gに到達する。受光部4は、受光した光量に比例した光検出信号(出力電圧のアナログ値)を、データ処理部7に送信する。出力電圧のアナログ値は、データ処理部7にてデジタル値に変換される。
図8は、光軸l1〜l21、L1〜L21を受光した各受光素子の出力電圧のデジタル値を示している。図8のスキャン(3)において、外光の光軸l8を受光した受光素子4b(図6A参照)の出力電圧を、発光素子3dから出射された光軸L8及び外光の光軸l8(図示せず)を受光した受光素子4b(図6B参照)の出力電圧から減算している。図8に示されるように、この出力電圧の補正を、発光素子の発光毎に行っている。
このように、本実施形態では、発光素子3a〜3eを順次発光させる直前に、各々、全ての発光素子が消灯した消灯期間をもうけ、データ処理部7にて、当該消灯期間経過直後に発光することとなっている発光素子Xに対応する受光素子Yの消灯期間中における出力電圧Bを外光出力電圧として検出及び記憶し、当該外光出力電圧を、発光素子Xからの光と外光の両方を受光した受光素子Yの出力電圧Aから減算している。そのため、スキャン動作中に外光の強さが変動した場合にも、当該変動に応じた外光出力電圧の減算の精度が向上するため、より正確に出力電圧変化量の総和を検出できる。結果として、本発明では、液滴の検出精度を向上することができる。
データ処理部7では、前記デジタル値にて、各受光素子の出力電圧の検出及び記録、各受光素子の出力電圧変化量の総和に基づく前記液滴の存在の判定を行い、その結果を、設定入力部・制御部13へ伝達する。データ処理部7は、1回のスキャンで降下した出力電圧の総和(出力電圧変化量の総和)が所定の閾値以上であると、液滴が存在すると判定し、設定入力部・制御部13へ液滴検出信号を出力する。1回のスキャンで降下した出力電圧の総和(出力電圧変化量の総和)が、所定の閾値より小さいと、データ処理部7は、液滴は存在しないと判定する。前記閾値としては、例えば、外光による影響がない環境下で測定された出力電圧変化量の総和の例えば70%〜80%のいずれかの値を設定できる。
設定入力部・制御部13では、データ処理部7から入力された液滴検出信号の回数をカウントし、予め設定入力部・制御部13に設定された、1液滴あたりの液体の量から、液滴数を流量に換算する。設定入力部・制御部13は、換算した流量が、設定入力部・制御部13に予め設定された流量に対する正常範囲内であるかを判定する。換算された流量が、正常範囲内である場合は、それまでの動作を継続し、正常範囲外である場合は、設定入力部・制御部13からモータ駆動部15へ停止信号が入力されるとともに、設定入力・制御部13は、警報発生部14に警報発報信号を出力する。停止信号が入力されたモータ駆動部15は、モータ16及びチューブ押圧部17の動作を停止し、警報発報信号が入力された警報発生部14は、警報を発報する。
本開示は、さらに以下の一又は複数の実施形態に関する。下記の通り、本願は、点滴検出器を用いた液滴検出方法、及び受光素子の出力電圧の補正方法も開示する。当該出力電圧の補正方法により得られた各受光素子の出力電圧の補正値は、前述の総出力電圧変化量に基づく液滴検出の判定方法以外の、他の液滴検出の判定方法に供することができる。
[1] 輸液ポンプを構成する輸液ポンプ本体へ、点滴筒内を落下する液滴の検出信号を出力するための点滴検出器であって、
前記点滴筒の外部の一側に配置された複数の発光素子を含む発光部と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置された複数の受光素子を含む受光部と、
複数の前記発光素子を順次発光させ、各発光素子の発光の前に、全ての発光素子が消灯した消灯期間をおく、という1連のステップを1スキャンとして繰り返し行う、滴落制御部と、
前記液滴の検出の判定を行う、データ処理部と、を含み、
前記発光部と前記受光部は、各発光素子と対応する1個以上の受光素子間の光軸のいずれもが、前記液滴の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されており、
前記データ処理部は、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、前記液滴未検出と判定し、
前記総出力電圧変化量は、各消灯期間経過直後に発光予定の発光素子と対応する受光素子の当該消灯期間中における出力電圧の合計と、前記消灯期間経過直後に発光した前記発光素子と対応する前記受光素子が前記発光素子の光を受光した時の出力電圧の合計との差である、点滴検出器。
[2] 前記データ処理部は、
各消灯期間経過直後に発光予定の発光素子と対応する受光素子の当該消灯期間中における出力電圧を、前記消灯期間経過直後に発光した前記発光素子と対応する前記受光素子が前記発光素子の光を受光した時の出力電圧から減算して、各受光素子の出力電圧の補正値を得、各受光素子の出力電圧の前記補正値の総和を前記総出力電圧変化量として得る、前記[1]に記載の点滴検出器。
[3] 前記[1]又は[2]に記載の点滴検出器の制御方法であって、
前記滴落制御部により、前記複数の発光素子を順次発光させ、各発光素子の発光の前に、全ての発光素子が消灯している消灯期間をおき、
前記データ処理部にて、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、液滴未検出と判定する、点滴検出器の制御方法。
[4] 前記[1]又は[2]に記載の点滴検出器と輸液ポンプ本体とを含み、
前記輸液ポンプ本体は、
前記液滴の前記検知信号が入力される設定入力部・制御部を含む、輸液ポンプ。
[5] 前記輸液ポンプ本体は、
前記設定入力部・制御部から警報発報信号が入力される警報発生部と、
前記設定入力部・制御部から入力される、停止信号又は回転信号に応じて、モータの回転を制御する、モータ駆動部を含み、
前記設定入力部・制御部は、
入力された検知信号のカウント数を流量に換算し、換算された流量が設定入力部・制御部に予め入力された流量設定の正常範囲を外れた場合には、前記警報発生部に警報発報信号を出力し、前記モータ駆動部へ停止信号を出力する、前記[4]に記載の輸液ポンプ。
[6] 前記[1]又は[2]に記載の点滴検出器を用いた液滴検出方法であって、
前記滴落制御部により、前記複数の発光素子を順次発光させ、各発光素子の発光の前に、全ての発光素子が消灯している消灯期間をおき、前記データ処理部にて、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、液滴未検出と判定する、液滴検出方法。
[7] 点滴筒の外部の一側に配置された複数の発光素子を含む発光部と、
前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置された複数の受光素子を含む受光部と、
各受光素子の出力電圧を検出及び記録する、データ処理部と、を含む、前記点滴筒内を落下する液滴の検出信号を輸液ポンプを構成する輸液ポンプ本体へ出力するための点滴検出器の、前記受光素子の出力電圧の補正方法であって、
前記点滴検出器は、
複数の前記発光素子を順次発光させ、各発光素子の発光の前に、全ての発光素子が消灯した消灯期間をおく、という1連のステップを1スキャンとして繰り返し行う、滴落制御部を含み、
前記発光部と前記受光部は、各発光素子と対応する1個以上の受光素子間の光軸のいずれもが、前記液滴の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されており、
前記データ処理部は、
各消灯期間経過直後に発光予定の発光素子と対応する受光素子の当該消灯期間中における出力電圧を、前記消灯期間経過直後に発光した前記発光素子と対応する前記受光素子が前記発光素子の光を受光した時の出力電圧から減算して、各受光素子の出力電圧の補正値を得る、出力電圧の補正方法。
本発明は、医療分野、特に輸液療法において利用することができる。中でも、投与量の管理を厳格に行う必要がある輸液療法に好ましく利用できる。
1 輸液ポンプ
2 点滴検出器
3 発光部
3a〜3e 発光素子
4 受光部
4a〜4g 受光素子
5 滴落制御部
7 データ処理部
8 点滴筒
9 液滴
10 送液チューブ
11 輸液バッグ
12 輸液ポンプ本体
13 設定入力部・制御部
14 警報発生部
15 モータ駆動部
16 モータ
17 チューブ押圧部

Claims (5)

  1. 輸液ポンプを構成する輸液ポンプ本体へ、点滴筒内を落下する液滴の検出信号を出力するための点滴検出器であって、
    前記点滴筒の外部の一側に配置された複数の発光素子を含む発光部と、
    前記点滴筒の外部の前記一側の反対側に配置された複数の受光素子を含む受光部と、
    複数の前記発光素子を順次発光させ、複数の発光素子の個々の発光の前に、全ての発光素子が消灯した消灯期間をおく、という1連のステップを1スキャンとして繰り返し行う、滴落制御部と、
    前記液滴の検出の判定を行う、データ処理部と、を含み、
    前記発光部と前記受光部は、各発光素子と対応する1個以上の受光素子間の光軸のいずれもが、前記液滴の落下方向と直交する単一水平面内に収まるように配置されており、
    前記データ処理部は、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、前記液滴未検出と判定し、
    前記総出力電圧変化量は、各消灯期間経過直後に発光予定の発光素子と対応する受光素子の当該消灯期間中における出力電圧の合計と、前記消灯期間経過直後に発光した前記発光素子と対応する前記受光素子が前記発光素子の光を受光した時の出力電圧の合計との差である、点滴検出器。
  2. 前記データ処理部は、
    各消灯期間経過直後に発光予定の発光素子と対応する受光素子の当該消灯期間中における出力電圧を、前記消灯期間経過直後に発光した前記発光素子と対応する前記受光素子が前記発光素子の光を受光した時の出力電圧から減算して、各受光素子の出力電圧の補正値を得、各受光素子の出力電圧の前記補正値の総和を前記総出力電圧変化量として得る、請求項1に記載の点滴検出器。
  3. 請求項1又は2に記載の点滴検出器の制御方法であって、
    前記滴落制御部により、前記複数の発光素子を順次発光させ、複数の発光素子の個々の発光の前に、全ての発光素子が消灯している消灯期間をおき、
    前記データ処理部にて、前記1スキャン毎に総出力電圧変化量を得、前記総出力電圧変化量が所定の閾値以上である場合は、液滴検出と判定して、前記輸液ポンプ本体へ前記液滴の検出信号を出力し、前記総出力電圧変化量が、前記所定の閾値より小さい場合は、液滴未検出と判定する、点滴検出器の制御方法。
  4. 請求項1又は2に記載の点滴検出器と輸液ポンプ本体とを含み、
    前記輸液ポンプ本体は、
    前記液滴の前記検知信号が入力される設定入力部・制御部を含む、輸液ポンプ。
  5. 前記輸液ポンプ本体は、
    前記設定入力部・制御部から警報発報信号が入力される警報発生部と、
    前記設定入力部・制御部から入力される、停止信号又は回転信号に応じて、モータの回転を制御する、モータ駆動部を含み、
    前記設定入力部・制御部は、
    入力された検知信号のカウント数を流量に換算し、換算された流量が設定入力部・制御部に予め入力された流量設定の正常範囲を外れた場合には、前記警報発生部に警報発報信号を出力し、前記モータ駆動部へ停止信号を出力する、請求項4に記載の輸液ポンプ。
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