本発明は、ウェスト弾性部材を備えた使い捨ておむつの製造方法に関するものであり、詳細には、使い捨ておむつに設けられたウェスト弾性部材の本数を検知する検査工程を有する使い捨ておむつの製造方法に関するものである。
使い捨ておむつには、意匠性を高めるために、バックシートに図形やイラストなどの模様が施されたものが知られている。本発明の使い捨ておむつも、バックシートに図形やイラストなどの模様が施されたものであり、具体的には、使い捨ておむつの少なくともウェスト弾性部材が設けられた領域に模様が施されている。しかし、このように使い捨ておむつに模様が施される場合、模様の存在によってウェスト弾性部材を識別することが困難となるため、使い捨ておむつの製造の際にウェスト弾性部材の本数を正確に数えることが難しくなる。特に、使い捨ておむつの製造ラインでは、使い捨ておむつが高速に搬送されるため、そのような問題が起こりやすくなる。仮におむつの製造の際に、ウェスト弾性部材が適切な本数設置されずに製品として出荷された場合、着用者の腰周りの密着性が低下したりして、尿等の漏れが起こりやすくなることが懸念される。本発明の使い捨ておむつの製造方法は、上記のようにウェスト弾性部材が設けられた領域に模様が施された使い捨ておむつであっても、ウェスト弾性部材の本数を正確に数えることを容易にするものである。
本発明に係る使い捨ておむつの構成について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。図1は使い捨ておむつをトップシート側から見た平面図を表し、図2は図1に示した使い捨ておむつをバックシート側から見た平面図を表し、図3は図1に示した使い捨ておむつのIII−III断面図を表し、図4は図1に示した使い捨ておむつのIV−IV断面図を表す。図5は、図2に示した使い捨ておむつのバックシートの構成例を表し、バックシートに施された模様の一例を表し、図6はその拡大図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが長手方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。なお図1および図2では、図面の上側がおむつの前側に相当し、図面の下側がおむつの後側に相当する。
使い捨ておむつ1は、長手方向yと幅方向xとを有し、液透過性のトップシート2と、液不透過性のバックシート3と、これらの間に配された吸収性コア4とを有する。トップシート2は、使い捨ておむつを着用した際に着用者側に位置するシートである。バックシート3は、使い捨ておむつを着用した際に着用者とは反対側、すなわち外側に位置するシートである。着用者から排泄された尿等は、トップシート2を透過して吸収性コア4により収容される。バックシート3は、排泄物が外部へ漏れるのを防いでいる。
長手方向yとは、使い捨ておむつを着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、使い捨ておむつと同一面上にあり長手方向yと直交する方向を意味し、使い捨ておむつを着用した際の着用者の左右方向に相当する。また本発明において、使い捨ておむつの肌面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、使い捨ておむつの外面側とは、使い捨ておむつを着用した際の着用者とは反対に向く側を意味する。
トップシート2としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート2として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
バックシート3としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。バックシートは2以上のシートの積層体から構成されていてもよく、例えば、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。この場合、積層体を構成する少なくとも1つのシートが液不透過性であればよい。図面に示した使い捨ておむつでは、バックシート3がプラスチックフィルム3Aと不織布3Bとの積層体から構成されている(図2〜図4を参照)。本発明において、液不透過性には撥水性の意味も含まれる。
吸収性コア4は、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コア4としては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コア4は、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や液透過性不織布等の被覆シートで覆われてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収性コア4は、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
シート状吸収体は、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。この場合もまた、シート状吸収体が嵩張らず薄型に形成される。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収性コア4の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コア4の形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。なお、吸収性コアが着用者の大腿部に挟まれて幅方向に圧迫されても歪みにくくする点から、吸収性コアは略砂時計形に形成されていることが好ましい。
使い捨ておむつ1には、長手方向yの後側部の左右側端部に、止着部材15が取り付けられていることが好ましい。止着部材15は基材シートに留め具(例えば、フック・ループ・ファスナーや粘着剤)が設けられて構成されている。一方、使い捨ておむつ1の長手方向yの前側部の外面側には、止着対応部16が設けられることが好ましい。使い捨ておむつ1は、止着部材15の留め具を止着対応部16に接合することで、装着することができる。なお、前側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。また、前側部と後側部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分を股部と称する。
トップシート2の幅方向xの両側には、長手方向yに延在する液不透過性のサイドシート5が接合されることが好ましい(図1および図3を参照)。サイドシート5は、バックシート3に使用可能な材料から構成すればよく、例えば、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等から構成される。サイドシート5は、トップシート2とトップ接合部8で接合され、トップ接合部8よりも幅方向xの内方側がトップシート2から起立可能に形成され、トップ接合部8よりも幅方向xの外方側がバックシート3に積層されている。サイドシート5の幅方向xの内方側が起立することにより立ち上がりフラップ6が形成され、これにより尿等の幅方向xの横漏れを防止することができる。なお、サイドシート5の幅方向xの内方側がトップシート2から起立可能に形成されるために、サイドシート5には、トップ接合部8よりも幅方向xの内方側に長手方向yに延びる起立用弾性部材7が設けられることが好ましい。
立ち上がりフラップ6(すなわちサイドシート5の幅方向xの内方側)は長手方向yの端部の内面がトップシート2上に接合されてもよく、これにより尿等の長手方向yの外方への漏れが防止される。
上記説明した各シートとして不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
使い捨ておむつ1の幅方向xの両側には、長手方向yに延びる脚用弾性部材9が設けられることが好ましい。脚用弾性部材9を設けることにより、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。脚用弾性部材9は、長手方向yに直線状に延びるように設けられることが好ましい。
脚用弾性部材9は、少なくとも一部が吸収性コア4よりも幅方向xの外方に設けられればよい。吸収性コア4が略砂時計形に形成される場合は、脚用弾性部材9は、長手方向yの両端部が吸収性コア4と重なり、その間の中間部が吸収性コア4と重ならないように設けられてもよい。このように脚用弾性部材9を設けることにより、着用者の脚周りに好適にギャザーが形成されるとともに、吸収性コア4が長手方向yの断面において湾曲して形成されやすくなり、吸収性コア4の着用者の股間へのフィット性が高まる。
使い捨ておむつ1には、幅方向xに延びるウェスト弾性部材10が設けられている。ウェスト弾性部材10を設けることにより、着用者の胴周りに沿ったウェストギャザーが形成され、腹部側や背中側からの尿等の漏れが防止される。ウェスト弾性部材10はできるだけ幅方向xに平行に延びるように設けられることが好ましいが、製造上多少のずれは許容され、例えば幅方向xに対して±15°以内(好ましくは±10°以内であり、より好ましくは±5°以内)の範囲も幅方向xに含まれるものとする。ウェスト弾性部材10はトップシート2とバックシート3の間に配され、一部がサイドシート5とバックシート3の間に配されていてもよい。
ウェスト弾性部材10としては、ポリウレタン糸、ポリウレタンフィルム、天然ゴム等の通常の使い捨ておむつに用いられる弾性伸縮材料を用いることができる。ウェスト弾性部材10は、伸張状態で、ホットメルト接着剤等の接着剤で取り付けられることが好ましい。例えば、繊度40〜1,240dtexのポリウレタン糸を、倍率1.1〜5.0倍に伸張して配設し、固定する。接合手段としては、好ましくは、ゴム系のホットメルト接着剤が用いられる。なお、前記倍率は、非伸張状態を1.0倍とする。本発明で用いられる他の様々な弾性部材についても同様である。
ウェスト弾性部材10は使い捨ておむつ1の長手方向yの端部に設けられ、好ましくは、吸収性コア4の長手方向yの端縁よりも外方に設けられる。ウェスト弾性部材10は、吸収性コア4と重ならないように設けられることが好ましい。
本発明では、使い捨ておむつ1のウェスト弾性部材10が設けられた領域をウェスト伸縮領域14と規定する(図5および図6を参照)。ウェスト弾性部材10は基本的に長手方向yに並んで複数本設けられ、長手方向yに対しては、長手方向yの最も内方に設けられたウェスト弾性部材10から長手方向yの最も外方に設けられたウェスト弾性部材10に至る範囲を、幅方向xに対しては、ウェスト弾性部材10の幅方向の一方側の最も外方の地点から幅方向の他方側の最も外方の地点に至る範囲を、ウェスト伸縮領域14と規定する。ウェスト伸縮領域14は、吸収性コア4の長手方向yの端縁よりも外方に形成されることが好ましい。すなわち、ウェスト伸縮領域14は使い捨ておむつ1の長手方向yの端縁と吸収性コア4の長手方向yの端縁の間に形成されることが好ましい。
ウェスト弾性部材10およびウェスト伸縮領域14は、使い捨ておむつ1の長手方向yの一方側または両側に設けられ、好ましくは、使い捨ておむつ1の長手方向yの両側に設けられる。使い捨ておむつ1の長手方向yの一方側と他方側は、使い捨ておむつ1を長手方向yに2等分したときの一方側と他方側を意味する。
各ウェスト伸縮領域14に設けられるウェスト弾性部材10の数は、2本以上が好ましく、3本以上がより好ましく、4本以上がさらに好ましく、また10本以下が好ましく、8本以下がより好ましく、6本以下がさらに好ましい。ウェスト弾性部材10の配設ピッチは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、3mm以上がさらに好ましく、また20mm以下が好ましく、15mm以下がより好ましく、12mm以下がさらに好ましい。このようにウェスト弾性部材10を設けることにより、着用者の胴周りへの当たりをソフトにしつつ、フィット性を高めやすくなる。
ウェスト伸縮領域14の幅方向xの長さは、例えば吸収性コア4の幅方向xの長さの50%以上が好ましく、60%以上がより好ましく、70%以上がさらに好ましく、また200%以下が好ましく、160%以下がより好ましく、120%以下がさらに好ましい。なお、使い捨ておむつやその構成部材の長さやピッチは、各弾性部材を伸張状態にして、あるいは各弾性部材を細かく切断して伸縮状態を解除した状態にして、使い捨ておむつを広げた状態で測定する。
ウェスト弾性部材10は、弾性体ユニット13として設けられることが好ましい。弾性体ユニット13は、ウェスト弾性部材10の幅方向xの一方側が第1保持シート11に固定され、他方側が第2保持シート12に固定されて構成される。これにより、使い捨ておむつの製造の際、ウェスト弾性部材10を使い捨ておむつ1に取り付けることが容易になる。なお、ウェスト弾性部材10の幅方向xの一方側と他方側の間の中間部は第1保持シート11と第2保持シート12のいずれにも固定されない。
第1保持シート11と第2保持シート12は、例えば、不織布やプラスチックフィルム等のシート部材から構成される。第1保持シート11と第2保持シート12は、ウェスト弾性部材10のトップシート2側のみに設けられてもよく、バックシート3側のみに設けられてもよく、トップシート2側とバックシート3側の両方に設けられてもよい。好ましくは、図4に示すように、第1保持シート11と第2保持シート12は、ウェスト弾性部材10の端部を、トップシート2側とバックシート3側の両方から挟み込むように設けられる。第1保持シート11と第2保持シート12は、幅方向xの長さがそれぞれ、10mm以上60mm以下となるように設けられることが好ましい。
弾性体ユニット13は、少なくとも第1保持シート11と第2保持シート12が、トップシート2、バックシート3、およびサイドシート5の少なくとも1つに固定され、これにより、ウェスト弾性部材10を簡便に使い捨ておむつ1に取り付けることができる。第1保持シート11と第2保持シート12は、接着剤によりいずれかのシートに固定されていることが好ましく、さらにウェスト弾性部材10もトップシート2やバックシート3に固定されることが好ましい。
使い捨ておむつ1のバックシート3には、ウェスト伸縮領域14に少なくとも、模様(デザイン)が施されている(図5および図6を参照)。模様には、図形、イラスト、柄(パターン)、文字などが含まれる。模様の色は特に限定されず、無彩色であっても、有彩色であっても、これらの組み合わせであってもよい。模様は印刷によってバックシート3に形成されればよく、使い捨ておむつ1の外面側から視認可能に形成されていればよい。バックシート3が2以上のシートの積層体から構成される場合は、バックシート3を構成する少なくも1つのシートに模様が施されていればよい。図面に示した使い捨ておむつでは、バックシート3がプラスチックフィルム3Aと不織布3Bとの積層体から構成され、プラスチックフィルム3Aに模様が施され、当該模様がその外側に設けられた不織布3Bを通して視認可能となっている。
上記のようにバックシート3のウェスト伸縮領域14に模様が施される場合、模様の存在によってウェスト弾性部材10の識別が難しくなる。特に本発明では、後述するように、ウェスト伸縮領域14に光を照射して、その透過光を受光することにより、ウェスト弾性部材10の本数を検知することから、ウェスト伸縮領域14に模様が施されていると、模様の濃淡や色の変化とウェスト弾性部材10の存在/非存在との区別がつかずに、ウェスト弾性部材10の本数を正確に数えることが難しくなる。
そこで本発明では、バックシート3のウェスト伸縮領域14に特定無地領域17を設けている。特定無地領域17は、無地部がウェスト伸縮領域14を長手方向yに全長にわたって横切るように連続的に延びるように形成されており、このように特定無地領域17を設けることにより、ウェスト伸縮領域14に設けられたウェスト弾性部材10の本数を検知しやすくなる。すなわち、特定無地領域17では、単一色から構成された無地部がウェスト伸縮領域14を長手方向yに全長にわたって横切るように連続的に延びているため、特定無地領域17に光を照射した際に、模様の濃淡や色の変化の影響を受けることなく、ウェスト弾性部材10の存在/非存在を容易に判別することができる。またその際に、使い捨ておむつ1を長手方向yに搬送しながら特定無地領域17に光を照射することにより、光の照射源や透過光の受光装置を固定したままでも、ウェスト弾性部材10の本数を検知することが可能となる。
無地部は、バックシート3のウェスト伸縮領域14に施された模様の一部を構成するものであっても、そうでなくてもよい。無地部は、所定の領域が一様に着色されたり、あるいは何も着色されないことにより形成される。無地部の色は特に限定されず、有彩色であっても無彩色であってもよく、またバックシート3の地の色であってもよい。
無地部の少なくとも一部は、特定無地領域17を形成する。特定無地領域17は、少なくともウェスト伸縮領域14で、使い捨ておむつの外面側から視認可能に形成されていることが好ましく、より好ましくは、その全体が、使い捨ておむつの外面側から視認可能に形成されている。
特定無地領域17の色は特に限定されないが、特定無地領域17は光の透過率が高い方がウェスト弾性部材10の検知が容易になることから、明るい色であることが好ましい。具体的には、L*a*b*表色系による明度L*が80より大きいことが好ましく、85以上がより好ましく、90以上がさらに好ましい。特定無地領域17は薄い色であることも好ましく、L*a*b*表色系による彩度C*が30未満であることが好ましく、20未満がより好ましく、15以下がより好ましく、10以下が特に好ましい。
特定無地領域17は白色であることが特に好ましい。このように特定無地領域17を形成することにより、ウェスト弾性部材10の本数をより正確に検知しやすくなる。白色の特定無地領域17は、特定無地領域17が白色インクで着色されることによって形成されてもよく、バックシート3の地の色が白色の場合は、特定無地領域17が着色されないことによって白色に形成されてもよいが、特に後者のように白色の特定無地領域17が形成されることが好ましい。
一方、バックシート3の模様は有彩色で着色されていることが好ましい。バックシート3の模様が有彩色で着色されることにより、使い捨ておむつを外面側から見たときの意匠性を高めることができる。なお、バックシート3の模様は、有彩色と無彩色で着色されていてもよく、着色されない部分と組み合わされて模様が形成されていてもよい。
バックシート3の模様の少なくとも一部が有彩色で着色される場合、その色は、赤色、橙色、黄色、黄緑色、緑色、青色、紫色など特に限定されないが、例えば模様が図形や柄(パターン)の場合などは、バックシート3の模様は黄緑色〜紫色で着色されていることが好ましい。これをL*a*b*表色系で表すと、色相角度hが90°以上330°以下の色で着色されていることが好ましい。色相角度hはより好ましくは120°以上であり、また315°以下がより好ましく、300°以下がさらに好ましい。このときの彩度C*は、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましい。明度L*は特に限定されないが、例えば20以上が好ましく、30以上がより好ましく、40以上がさらに好ましく、また80以下が好ましく、75以下がより好ましく、70以下がさらに好ましい。
上記に説明した色相角度hは、L*a*b*表色系のa*とb*の値から、次式により求めることができる:h=tan-1[(b*)/(a*)]。彩度C*は、L*a*b*表色系のa*とb*の値から、次式により求めることができる:C*=[(a*)2+(b*)2]1/2。L*a*b*表色系による色表示(L*、a*、b*)は、例えば、コニカミノルタ社製の蛍光分光濃度計FD−7により測定することができる。上記に説明した色彩に関する各パラメータは、バックシートの外面側から測定したときの値を用いる。
特定無地領域17は、ウェスト伸縮領域14の20%以下の面積を占めることが好ましく、15%以下の面積を占めることがより好ましく、10%以下の面積を占めることがさらに好ましい。このように特定無地領域17を設けることにより、使い捨ておむつを外面側から見たときの意匠性を高めることができる。特定無地領域17のウェスト伸縮領域14に占める面積の割合の下限値は特に限定されないが、例えば1%以上が好ましく、2%以上がより好ましく、3%以上がさらに好ましい。
特定無地領域17の各幅は、例えば2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましい。このように特定無地領域17を設けることにより、特定無地領域17に光を照射してウェスト弾性部材10の本数を数える際、ウェスト弾性部材10の本数を正確に数えやすくなる。一方、使い捨ておむつを外面側から見たときの意匠性を高める点から、特定無地領域17の各幅は30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。
特定無地領域17は、バックシート3の幅方向xの一方側と他方側にそれぞれ形成されていることが好ましい。この場合、バックシート3の幅方向xの一方側と他方側に形成された特定無地領域17のそれぞれに光を照射することにより、ウェスト弾性部材10が使い捨ておむつ1の幅方向xの所定範囲に意図した本数設けられているか、検知することができる。また、ウェスト弾性部材10が幅方向xに延びるようにきちんと設けられているか、検知することもできる。この場合、バックシート3の幅方向xの一方側と他方側にそれぞれ形成された特定無地領域17(後述する検査工程で検知対象となる特定無地領域)は、幅方向xに5cm以上離間して設けられることが好ましく、8cm以上がより好ましく、10cm以上がさらに好ましい。
ウェスト伸縮領域14が使い捨ておむつ1の長手方向yの両側に形成され、バックシート3の長手方向yの両側のウェスト伸縮領域14に模様が施されている場合は、特定無地領域17はバックシート3を長手方向yに全長にわたって延びるように形成されていることが好ましい。すなわち、特定無地領域17は、無地部がバックシート3を長手方向yに全長にわたって延びて形成されていることが好ましい。この場合、無地部は、長手方向yの両側に設けられた特定無地領域17を長手方向yに横切って、バックシート3の長手方向yの全体にわたって、長手方向yに連続的に延びるように形成されることとなる。このように特定無地領域17が形成されていれば、使い捨ておむつの製造の際、製造ライン上で特定無地領域17に光を照射することにより、長手方向yの両側に設けられたウェスト弾性部材10の本数を数えることが容易に行える。
特定無地領域17がバックシート3を長手方向yに全長にわたって延びるように形成される場合、特定無地領域17は吸収性コア4と重なって延びるように設けられることも好ましい。この場合、特定無地領域17に光を照射してその透過光を受光することにより、吸収性コア4の設置位置の良否を検知することができる。例えば、吸収性コア4の長手方向yの位置の良否や、幅方向xの位置の良否を検知することができる。この場合、特定無地領域17は、吸収性コア4の長手方向yの一方側の端縁と他方側の端縁を横切るように設けられることが好ましい。
バックシート3の長手方向yの両側のウェスト伸縮領域14に模様が施されている場合は、バックシート3には、両側のウェスト伸縮領域14の間の領域にも模様が施されていることが好ましい。長手方向yの両側のウェスト伸縮領域14の間の領域にも模様が施されていれば、バックシート3のより広い範囲に模様が施されることとなるため、使い捨ておむつを外面側から見たときの意匠性を高めることができる。バックシート3は、例えば長手方向yに16等分したときに、16等分したどの領域にも模様が施されている(すなわち16等分したどの領域を切り取って見ても模様が施されている)ことが好ましい。
バックシート3の模様は、使い捨ておむつ1の幅方向xに対しては、ウェスト伸縮領域14の幅方向xの全体(ただし特定無地領域17を除く)にわたって施されていることが好ましい。また、吸収性コア4の幅方向xの全体(ただし特定無地領域17を除く)にわたって施されていることがより好ましい。より好ましくは、バックシート3の模様は、ウェスト伸縮領域14に対して幅方向xの外方の部分にも施され、また吸収性コア4に対しても幅方向xの外方の部分にも施されている。
バックシート3の外面側に止着対応部16が設けられる場合は、止着対応部16は透明または半透明のシート部材から構成されていることが好ましい。このように止着対応部16が構成されていれば、特定無地領域17に光を照射することにより、ウェスト弾性部材10の本数や吸収性コア4の設置位置を正確に検知しやすくなる。また、使い捨ておむつを外面側から見たときの意匠性を高めることができる。なお、止着対応部16がウェスト伸縮領域14と重ならないように設けられたり、止着対応部16が吸収性コア4の長手方向yの両端縁より内方のみに設けられる場合は、止着対応部16は必ずしも透明または不透明のシート部材から構成されなくてもよく、不透明のシート部材から構成されていてもよい。
本発明の製造方法では、上記のように形成された使い捨ておむつ1を長手方向yに搬送しながら、特定無地領域17に光を透過させ、その透過光を受光することにより、ウェスト伸縮領域14に設けられたウェスト弾性部材10の本数を検知する(検査工程)。検知対象となる特定無地領域17は、上記に説明したように構成されている。検査工程では、上記のように形成された特定無地領域17に光を透過させて、その透過光を受光する。光の照射装置は、使い捨ておむつの肌面側と外面側の一方側に設けられ、受光装置はその他方側に設けられ、検査工程では、照射装置と受光装置の間を使い捨ておむつを搬送させる。
検査工程では、使い捨ておむつ1に光を照射し、特定無地領域17を透過した光の強度を測定して、使い捨ておむつ1に設けられたウェスト弾性部材10の本数を数える。ウェスト弾性部材10が設けられた部分では透過光の強度が弱くなるため、透過光の強度の変化を測ることにより、ウェスト弾性部材10の存在を検知することができる。この際、特定無地領域17の透過光を測定することにより、バックシート3の模様による透過光の強度変化の影響を抑えることができるため、ウェスト弾性部材10の本数を正確に数えることができる。また、使い捨ておむつ1の広い範囲に光を照射せずに、使い捨ておむつ1の幅方向xに対して特定無地領域17のみに光を照射すれば、ウェスト弾性部材10の本数を数えることができるため、光の照射装置や受光装置をコンパクトにすることができる。
照射する光としては可視光や赤外光を用いることができる。受光装置は、フォトダイオード等の受光素子を用いたり、撮像素子を用いることができ、後者の場合は、画像処理を組み合わせてウェスト弾性部材の本数を検知することができる。
検査工程の後段には、ウェスト弾性部材の本数の検知結果を、知覚手段を用いて知覚情報として発する工程を設けることが好ましい。知覚手段としては、液晶モニター、電光表示装置、LED、ランプ等の視覚手段や、ブザー、音楽等の聴覚手段等が挙げられる。知覚手段からは、ウェスト弾性部材が所定の本数設けられていた場合とそうでない場合とで、異なる知覚情報が発せられるようにすればよい。異なる知覚情報には、知覚情報が発せられない場合も含まれる。なお、当該工程は必須ではなく、例えば検査工程の結果に基づき、ウェスト弾性部材が所定の本数設けられていなかった場合に、知覚情報を発することなく(知覚情報を変えることなく)自動的にその使い捨ておむつを不良品として排除してもよい。
検査工程の結果、使い捨ておむつの長手方向の端部にウェスト弾性部材が所定の本数設けられていなかった場合は、その使い捨ておむつを自動的に不良品として排除したり、あるいは人手によって不良品として排除すればよい。また、使い捨ておむつの製造設備の設定を調整して、使い捨ておむつにウェスト弾性部材が所定の本数設けられるように設定し直すことが好ましい。例えば、ウェスト弾性部材を弾性体ユニットして設ける場合は、バックシートに対して弾性体ユニットを配置する位置を調整すればよい。
検査工程に供する使い捨ておむつは、例えば次のように製造すればよい。すなわち、バックシートの連続体をおむつの長手方向に搬送する工程;前記バックシートの連続体に吸収性コアを間隔をあけて配置するとともに、隣接する前記吸収性コアの間にウェスト弾性部材の弾性体ユニットを配置する工程;前記バックシートの連続体の上に前記吸収性コアと前記弾性体ユニットを間に配してトップシートの連続体を重ね、おむつ連続体を得る工程;前記おむつ連続体を、隣接する前記吸収性コアの間でおむつの幅方向に延びる切断線で切断する工程を含む製造方法により、検査工程に供する使い捨ておむつを製造することができる。
吸収性コアと弾性体ユニットを配置する工程では、どちらを先にバックシートの連続体に配置してもよく、吸収性コアと弾性体ユニットを同時に配置してもよい。弾性体ユニットは、ウェスト弾性部材がおむつの幅方向に延びるように、バックシートの連続体に配置すればよい。
ウェスト弾性部材の弾性体ユニットは、隣接する吸収性コアの間に複数配置してもよいし、1つのみ配置してもよい。前者の場合、おむつ連続体を切断する工程で、複数の弾性体ユニットの間でおむつ連続体を切断することが好ましい。後者の場合、おむつ連続体を切断する工程で、弾性体ユニットが配置された箇所でおむつ連続体を切断することが好ましい(つまり、弾性体ユニットとともにおむつ連続体を切断することが好ましい)。このように弾性体ユニットを配置しておむつ連続体を切断することにより、ウェスト弾性部材を使い捨ておむつの長手方向の両側に配置することができる。
使い捨ておむつにサイドシートが設けられる場合は、トップシートの幅方向の両側にサイドシートが接合された連続体を、バックシートの連続体の上に、吸収性コアと弾性体ユニットを間に配して重ねればよい。
なおバックシートは、連続体として供給(搬送)する時点で、模様が施されたものを用いることが好ましい。模様は、バックシートのウェスト弾性部材が配置される部分(すなわちウェスト伸縮領域が形成される部分)に少なくとも施されていればよく、当該部分に模様とともに特定無地領域が形成されていればよい。特定無地領域は、好ましくは、バックシートの連続体の長手方向に連続的に延びるように設けられる。
以上、本発明の使い捨ておむつの製造方法について説明したが、本発明は、左右の側端部に止着部材が設けられ、当該止着部材により着用時にパンツ形状に形成するオープンタイプ(テープタイプ)の使い捨ておむつに限定されず、使用前からパンツ形状に形成されているパンツタイプの使い捨ておむつや、止着部材が設けられない使い捨ておむつの製造にも適用することができる。