JP6748326B1 - 太陽光発電機能を有する植栽構造体 - Google Patents
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Abstract
Description
また、屋上を有効に活用する手法として、屋上緑化も行われている(例えば、特許文献1)。屋上緑化を行うことにより、建物の断熱性の向上、景観の向上、地球温暖化対策、ヒートアイランド現象対策等の効果が期待できる。
太陽電池パネルと屋上緑化とを並べるのであれば、両者を簡単に併設可能である。しかし、それでは、屋上利用の利用効率を高めることにはならない。太陽電池パネルの下にも屋上緑化を行うことができれば、屋上利用の利用効率を飛躍的に高めることができる。
また、太陽電池パネルは、高温になると一般的に発電効率が低下することが知られている。屋上緑化の上に太陽電池パネルを設置した場合、屋上緑化によって日中の地表面温度の上昇が抑制され、その結果、太陽電池パネルの温度上昇が抑制されることにより太陽電池パネルの発電効率が向上することが期待される。
一方、屋上緑化においては、植物生育維持のために雨水等による水分供給が必要であるが、太陽電池パネルが屋上緑化の上部にある状態では雨水が太陽電池パネルに遮蔽され、太陽電池パネル下の植物に水が供給されない。
これを解決る手段としては、通常、植栽の表面上部に灌水パイプを敷設する手段が考えられるが、植栽の種類や草丈が低い場合、灌水パイプが植栽の表面に露出し、緑化としての美観を損ねる点が問題となる。
また、屋上緑化に水分を供給する別の方法としては、トレー状の水分保持部材を設けて、その底部から水分供給を行う手法も考えられている。しかし、太陽電池パネルの下にも屋上緑化を行う場合、太陽電池パネルの基礎部がトレー状の水分保持部材の上側、かつ、平面的な内側に配置されることとなる。そうすると、太陽電池パネルの基礎部を建物の屋上に直接設置できなくなるので、太陽電池パネルの堅牢な設置は困難であった。したがって、現実的には、太陽電池パネルの下で屋上緑化を行うことができなかった。また、太陽電池パネル設置後に屋上緑化を行う場合でも、太陽電池パネルによって緑化面への雨水供給が遮断されてしまう問題は解決されない。
図1は、本発明による植栽構造体1の実施形態を示す平面図(上面図)である。図1では、図を見やすくするため、充填材40、防根シート80、植栽土壌90、植栽91は省略してトレー状部材30が見える状態として示している。
図2は、植栽構造体1を図1中の矢印A−Aの位置で切断した断面図である。図2においては、図1において省略した部材についても示している。
なお、図1及び図2を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張したり、省略したりして示している。
また、以下の説明では、具体的な数値、形状、材料等を示して説明を行うが、これらは、適宜変更することができる。
本実施形態の太陽電池パネル11は、低位側の端部、すなわち南側の端部に樋等を設けていないので、太陽電池パネル11上に降った雨水は、低位側の端部からそのまま落下する。
本実施形態のトレー状部材30は、図1に示すようにトレー状部材31からトレー状部材39までの9個を並べて配置した。なお、これらトレー状部材31からトレー状部材39をまとめて指す場合に、トレー状部材30と呼ぶこととする。
先に述べたように、本実施形態の太陽電池パネル11は、低位側の端部、すなわち南側の端部に樋等を設けていないので、太陽電池パネル11上に降った雨水は、低位側の端部からそのまま落下する。よって、本実施形態では、太陽電池パネル11の傾斜における高さが低い側にある低位端部から水分が流下する位置に受水部60が配置されている。
また、受水部60は、太陽電池パネルの低位端部、すなわち、南側の端部の辺の略全長に渡って、複数のトレー状部材30と交差して設けられている。具体的には、受水部60は、トレー状部材31と、トレー状部材34と、トレー状部材35と、トレー状部材38と、トレー状部材39とに交差して設けられている。
受水部60は、例えば、底面が網状で上面が開口した略直方体形状の収容体の内部に砕石等を充填して構成することができる。また、充填材40と同様な部材を利用してもよい。
受水部60が受水した雨水は、受水部60と交差して配置されているトレー状部材31と、トレー状部材34と、トレー状部材35と、トレー状部材38と、トレー状部材39とに分配されて流れていく。
通常の降雨であれば、雨水は、トレー状部材30の内部に貯水される。しかし、豪雨時や長時間の降雨時には、トレー状部材30によって貯水可能な量を超える雨水が受水部60からトレー状部材30へ流れ込むので、トレー状部材30から溢れ出る(オーバーフロー)。この溢れ出た水は、外周流路71で受け止められて、外周壁部72の北側に設けられた排水口72aから排水される。
そこで、本実施形態では、トレー状部材31と、トレー状部材35と、トレー状部材39とに、堰部73を設けて、水位が低下した場合であっても、可能な限り広い範囲に水を貯水できるようにしている。
堰部73は、トレー状部材31と、トレー状部材35と、トレー状部材39との内部の貯水空間を複数(本実施形態では、2つ)に分割する。具体的には、堰部73は、トレー状部材31と、トレー状部材35と、トレー状部材39との勾配方向(南北方向)の略中央付近に設けられており、それぞれの底面から突出して勾配方向と直交する方向(東西方向)に延在して設けられている。この堰部73の突出高さは、各トレー状部材の外周部の高さよりも低く設定される。
なお、堰部73は、1つのトレー状部材30に対して1つとは限らず、2つ以上設けてもよい。また、本実施形態では堰部73を設けていない他のトレー状部材(32、33、34、36、37、38)にも堰部73を設けてもよい。
防根シート80は、基礎部13の周囲や、外周壁部72の内壁面については、これらに沿って立ち上げて敷設されることが望ましい。この部分の隙間を防根シート80によって埋めることにより、植栽91から充填材40等への根の侵入を防止できるからである。
受水部60が交差して設けられているトレー状部材31と、トレー状部材34と、トレー状部材35と、トレー状部材38と、トレー状部材39とには、受水部60から直接雨水が給水される。しかし、図4に示すように基礎部13が設けられていることから、トレー状部材38に給水されても、その水は、トレー状部材37、トレー状部材36へはそのままでは流れていくことができない。
そこで、本実施形態の植栽構造体1は、第2補給部材52を設けている。
図6は、図5中の範囲Dの拡大図である。なお、図6等において、第1補給部材51及び第2補給部材52を充填材40及び防根シート80から少し間隔をあけて示しているが、これは図を見やすくするためであり、実際には上方の植栽土壌90の重さによってこれらは密着している。
図1、及び、図5と図6とに示すように、トレー状部材30内の充填材40には、第1補給部材51及び第2補給部材52が取り付けられている。
第1補給部材51は、充填材40の下面側に延在する部位51aと上面側に延在する部位51bとが対向して配置され、さらに、部位51aと部位51bとを上下方向で接続する部位51cとを備えて略コの字形状に構成されている。
なお、いずれの図においても、第1補給部材51を逆コの字形状に図示しているが、断面の方向によっては、本来はコの字形状や逆コの字形状には見えない。本実施形態では、図6に示す向きの断面で、逆コの字形状に見えるようにすべての第1補給部材51の向きを揃えて配置している。したがって、第1補給部材51は、図2から図4の断面の向きでは、本来はコの字形状や逆コの字形状には見えないが、理解を容易にするために逆コの字形状にして示している。なお、第1補給部材51を配置する向きは、揃えずにランダムにしてもよい。
第2補給部材52は、上下方向に延在する部位52cを中心として、充填材40の下面側に延在する部位52aと上面側に延在する部位52bとが対向しない向きに振り分けられて配置されて略Z字形状(クランク形状)に構成されている。なお、観察する向きによっては、逆Z字形状に見えている。
図7に示すように、第1補給部材51は、複数の略直方体形状の塊に構成されている充填材40に半周巻き付けるような形態で取り付けられる。そして、第1補給部材51が取り付けられた充填材40は、他の充填材40とともにトレー状部材36(30)内に収められる。そして、その上に防根シート80が載せられる。
なお、第2補給部材52についても、同様に充填材40をトレー状部材30に充填(配置)するときに同様に配置される。
第1補給部材51は、部位51aがトレー状部材30の底面に沿って設けられていることから、図8のように水量が少なくなった場合であっても、毛細管現象によって揚水することができる。そして上方の部位52bに伝わった水分は、防根シート80を通って植栽土壌90へ供給される。なお、上方の部位52bに伝わった水分のうちの一部は、下方に落下してトレー状部材30内に戻る。
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
2 植栽基盤
11 太陽電池パネル
12 脚部
13 基礎部
20 保護層
30(31〜39) トレー状部材
40 充填材
51 第1補給部材
52 第2補給部材
60 受水部
71 外周流路
72 外周壁部
72a 排水口
73 堰部
74 給水管
80 防根シート
90 植栽土壌
91 植栽
Claims (5)
- 建物上部を有する建物と、
前記建物上部の上面に設けられる植栽基盤と、
前記建物上部の上面に設けられる基礎部と脚部とを有し、前記植栽基盤の少なくとも一部を覆う位置に所定の角度をもって傾斜して設置される太陽電池パネルと、
を備える、太陽光発電機能を有する植栽構造体であって、
前記植栽基盤は、
前記基礎部を取り囲んで配置され、内部に水分を保持する複数のトレー状部材と、
前記太陽電池パネル上の水分が流下する位置に設けられた受水部と、
前記受水部から水分が直接補給されない位置に配置された前記トレー状部材に対して隣接する他の前記トレー状部材から水分を補給する補給部材と、
を備え、
前記補給部材は、上下方向に延在する部位を中心として、前記トレー状部材の底面に沿った下方の部位と、隣接するトレー状部材の両方の上端に渡って設けられている上方の部位と、を備える、太陽光発電機能を有する植栽構造体。 - 請求項1に記載の太陽光発電機能を有する植栽構造体において、
前記トレー状部材は、上方から見た形状が略矩形形状であること、
を特徴とする太陽光発電機能を有する植栽構造体。 - 請求項1又は請求項2に記載の太陽光発電機能を有する植栽構造体において、
前記太陽電池パネルの傾斜における高さが低い側にある低位端部から水分が流下する位置に前記受水部が配置されていること、
を特徴とする太陽光発電機能を有する植栽構造体。 - 請求項3に記載の太陽光発電機能を有する植栽構造体において、
前記受水部は、前記太陽電池パネルの前記低位端部の辺の略全長に渡って、前記複数のトレー状部材と交差して設けられていること、
を特徴とする太陽光発電機能を有する植栽構造体。 - 請求項3又は請求項4に記載の太陽光発電機能を有する植栽構造体において、
前記建物上部の上面は、傾斜しており、
前記太陽電池パネルの前記低位端部の辺が、傾斜した前記建物上部の上面の高い位置の側に対向して設けられていること、
を特徴とする太陽光発電機能を有する植栽構造体。
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Cited By (1)
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WO2023188200A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | 鹿島建設株式会社 | 植栽ユニット |
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2020
- 2020-05-07 JP JP2020081734A patent/JP6748326B1/ja active Active
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WO2023188200A1 (ja) * | 2022-03-30 | 2023-10-05 | 鹿島建設株式会社 | 植栽ユニット |
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