以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る格納容器保全設備の構成図である。図1において、格納容器100は、原子力設備において、炉心である複数の燃料集合体を密閉状態で収容する原子炉圧力容器101を格納するものである。原子力設備では、原子炉圧力容器101にて加熱された高温・高圧の水の熱を利用して水蒸気(以下、単に蒸気と記載する)を発生させ、この蒸気で格納容器100の外部に設けられた蒸気タービンを駆動して発電に供する。格納容器100は、岩盤などの堅固な地盤上に立設され、鉄筋コンクリートなどにより堅牢に形成されていることで、内部に所定容量の凝縮性ガスである蒸気および空気、放射性希ガスなどの非凝縮性ガスを含むガスを所定圧力の範囲で封じ込めることが可能に構成されている。
本実施形態の格納容器保全設備50は、炉心が損傷して原子炉圧力容器101から溶融炉心が流出する過酷事象であるシビアアクシデント時において格納容器100の安全を確保するものである。格納容器保全設備50は、格納容器圧力検出部1と、フィルタユニット2と、排気配管3と、第一貯留部(希ガス貯留部)11と、第一冷却部12と、第一凝縮水送出部13と、第一貯留部水位検出部14と、第一貯留部圧力検出部15と、第二貯留部(凝縮水貯留部)21と、第二冷却部22と、第二凝縮水送出部23と、第二貯留部水位検出部24と、第二貯留部圧力検出部25と、排気部31と、を有する。
フィルタユニット2は、本実施形態において格納容器100の内部に設けられている。フィルタユニット2は、ガスに含まれる放射性よう素や粒子状の放射性物質を捕捉するフィルタがケーシングの内部に設けられている。このフィルタユニット2は、ケーシングの内部に格納容器100の内部のガスを通過させることで、フィルタによりガス中の放射性よう素や粒子状の放射性物質を除去する。ただし、キセノン(Xe)やクリプトン(Kr)のような放射性希ガス、蒸気や空気はフィルタで捕捉できないためケーシングを通過する。従って、フィルタユニット2は、放射性よう素や粒子状の放射性物質を捕捉して除去する一方で、凝縮性ガスである蒸気および空気、放射性希ガスなどの非凝縮性ガスを含むガスを通過させる。
排気配管3は、フィルタユニット2に接続され、端部が格納容器100の外部に引き出されて設けられている。排気配管3は、その途中に、格納容器100の内部において排気開閉弁3Aが設けられていると共に、格納容器100の外部に引き出された部分において排気開閉弁3Bが設けられている。排気開閉弁3A,3Bは、開動作により排気配管3を開放し、閉動作により排気配管3を閉塞する。また、排気開閉弁3A,3Bは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。従って、排気開閉弁3A,3Bが開動作して排気配管3が開放されることで、格納容器100の内部のガスはフィルタユニット2を経て格納容器100の外部に排出される。また、排気開閉弁3A,3Bのいずれかが閉動作して排気配管3が閉塞されることで、格納容器100の内部のガスは格納容器100の外部に排出されず留まる。排気開閉弁3A,3Bは、格納容器100を内部および外部から隔離する隔離弁として機能する。
第一貯留部11は、フィルタユニット2を通過したガスに含まれる放射性希ガスや空気などの非凝縮性ガスを貯留する。第一貯留部11は、第一貯留配管11Aと、第一貯留タンク(希ガス貯留タンク)11Bと、第一貯留開閉弁11Cと、を有している。
第一貯留配管11Aは、排気配管3が格納容器100の外部に引き出された端部に接続されている。第一貯留配管11Aの終端には、第一貯留タンク11Bの内部に配置されて、第一貯留タンク11B内にガスを導入するガス導入部(後述する)が設けられている。第一貯留タンク11Bは、容量が変化することのない密閉容器である。
第一貯留開閉弁11Cは、第一貯留配管11Aの途中に設けられ、開動作により第一貯留配管11Aを開放し、閉動作により第一貯留配管11Aを閉塞する。また、第一貯留開閉弁11Cは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、第一貯留開閉弁11Cは、自動弁ではなくてもよい。従って、第一貯留開閉弁11Cが開動作して第一貯留配管11Aが開放されることで、排気配管3を介して格納容器100の内部から排出されたガスが第一貯留タンク11Bに送られる。また、第一貯留開閉弁11Cが閉動作して第一貯留配管11Aが閉塞されることで、排気配管3を介して格納容器100の内部から排出されたガスは第一貯留タンク11Bには送られない。
第一冷却部12は、第一貯留タンク11B内に流入したガスを冷却して該ガスに含まれる蒸気(凝縮性ガス)を凝縮させるものである。第一冷却部12は、循環配管12Aと、熱交換器12Bと、冷却ポンプ12Cと、散水機(散水部)12Dと、第一冷却開閉弁12E,12Fと、を有している。
循環配管12Aは、一端が第一貯留タンク11Bの下部にて第一貯留タンク11Bの内部に接続され、他端が第一貯留タンク11Bの上部にて第一貯留タンク11Bの内部に接続されて、第一貯留タンク11Bを含みループ状に設けられている。
熱交換器12Bは、循環配管12Aの途中に設けられており、冷却水が供給されるケーシングの内部に循環配管12Aの途中に介在された伝熱管が設けられている。熱交換器12Bに供給される冷却水は、例えば、海水や湖水などがあり、図示しない冷却水供給ポンプにより供給されてケーシングの内部を経て海や湖に戻される。なお、熱交換器12Bと熱交換器12Bに供給される冷却水の間に中間冷却のための熱交換器を介在させてもよい。中間冷却のための熱交換器に供給される冷却水は例えば純水などがある。
冷却ポンプ12Cは、循環配管12Aの途中に設けられており、第一貯留タンク11Bの下部に貯留された流体を循環配管12Aにより熱交換器12Bを経由して第一貯留タンク11Bの上部に戻す。従って、第一貯留タンク11Bの下部に貯留された流体は、冷却ポンプ12Cにより循環配管12Aに送られて熱交換器12Bを経由して冷却され第一貯留タンク11Bの上部に戻される。
散水機12Dは、いわゆるシャワーであって、第一貯留タンク11Bの内部の上部に設けられて循環配管12Aの他端に接続されている。従って、冷却ポンプ12Cにより循環配管12Aに送られて第一貯留タンク11Bの上部に戻された流体は、散水機12Dにより第一貯留タンク11Bの下部に向けて散水される。上述したように、第一貯留タンク11Bには、ガス導入部を通じて、格納容器100の内部のガスに含まれる蒸気が送られる。従って、蒸気は、散水機12Dにより散水された流体により凝縮されて凝縮水となる。この凝縮水は、第一貯留タンク11Bの下部に溜められ、冷却ポンプ12Cにより循環配管12Aに送られて熱交換器12Bを経由して冷却され第一貯留タンク11Bの上部に戻される冷却用の流体となる。また、流入した蒸気が凝縮されることにより、第一貯留タンク11B内には、冷却によって凝縮されない非凝縮性ガスである放射性希ガスと空気とが貯留される。
第一冷却開閉弁12Eは、循環配管12Aにおいて熱交換器12Bよりも他端側(下流側;第一貯留タンク11Bの上部側)に設けられている。また、第一冷却開閉弁12Fは、循環配管12Aにおいて冷却ポンプ12Cよりも一端側(上流側;第一貯留タンク11Bの下部側)に設けられている。これら、第一冷却開閉弁12E,12Fは、開動作により循環配管12Aを開放し、閉動作により循環配管12Aを閉塞する。また、第一冷却開閉弁12E,12Fは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、第一冷却開閉弁12E,12Fは、自動弁ではなくてもよい。従って、第一冷却開閉弁12E,12Fが開動作して循環配管12Aが開放されることで、循環配管12Aを介して第一貯留タンク11Bの内部の凝縮水が循環されつつ熱交換器12Bにより冷却される。また、第一冷却開閉弁12E,12Fが閉動作して循環配管12Aが閉塞されることで、第一貯留タンク11Bの内部の凝縮水は循環や冷却されない。また、第一冷却開閉弁12Eは、熱交換器12Bと第一貯留タンク11Bの上部との間で循環配管12Aを開放または閉塞する。また、第一冷却開閉弁12Fは、第一貯留タンク11Bの下部と冷却ポンプ12Cとの間で循環配管12Aを開放または閉塞する。
第一凝縮水送出部13は、送出配管13Aと、送出ポンプ13Bと、送出開閉弁13C,13Dと、逆止弁13Eと、を有する。送出配管13Aは、一端が第一貯留タンク11Bの下部にて第一貯留タンク11Bの内部に接続され、他端が格納容器100の内部に至り設けられている。
送出ポンプ13Bは、送出配管13Aの途中に設けられており、第一貯留タンク11Bの下部に貯留された凝縮水を送出配管13Aにより格納容器100の内部に送り出す。送出開閉弁13Cは、送出配管13Aにおいて送出ポンプ13Bよりも一端側(第一貯留タンク11B側)に設けられている。また、送出開閉弁13Dは、送出配管13Aにおいて送出ポンプ13Bよりも他端側(格納容器100側)であって格納容器100の外部に並んで設けられている。これら、送出開閉弁13C,13Dは、開動作により送出配管13Aを開放し、閉動作により送出配管13Aを閉塞する。また、送出開閉弁13C,13Dは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、送出開閉弁13Cは、自動弁ではなくてもよい。従って、送出開閉弁13C,13Dが開動作して送出配管13Aが開放されることで、送出配管13Aを介して第一貯留タンク11Bの内部の凝縮水が格納容器100に送り出される。また、送出開閉弁13C,13Dのいずれか1つが閉動作して送出配管13Aが閉塞されることで、第一貯留タンク11Bの内部の凝縮水は格納容器100に送り出されない。送出開閉弁13Cは、第一貯留タンク11Bの下部と送出ポンプ13Bとの間で送出配管13Aを開放または閉塞する。また、送出開閉弁13Dは、送出ポンプ13Bと格納容器100との間で送出配管13Aを開放または閉塞する。送出開閉弁13Dは、最も格納容器100寄りに設けられて格納容器100を外部から隔離する隔離弁として機能する。
逆止弁13Eは、格納容器100の内部において送出配管13Aの他端に接続されている。逆止弁13Eは、送出配管13Aの他端から格納容器100の内部に送り出される凝縮水を格納容器100の内部に流出させるが、格納容器100の内部の流体を送出配管13Aの他端から格納容器100の外部に漏らさない。従って、逆止弁13Eは、格納容器100を内部から隔離する隔離弁として機能する。
第一貯留部水位検出部14は、第一貯留部11における第一貯留タンク11Bに貯留される凝縮水の水位を検出する。第一貯留部圧力検出部15は、第一貯留部11における第一貯留タンク11Bの内部の圧力を検出する。
第二貯留部21は、格納容器100に対して、第一貯留部11と並列に設けられ、第一貯留部11の第一貯留タンク11Bに放射性希ガスの全量が貯留された後に、格納容器100内のガスを受け入れ、このガスに含まれる蒸気を凝縮した凝縮水を貯留するものである。第二貯留部21は、第二貯留配管21Aと、第二貯留タンク(凝縮水貯留タンク)21Bと、第二貯留開閉弁21Cと、を有している。
第二貯留配管21Aは、排気配管3が格納容器100の外部に引き出された端部に対し、第一貯留部11における第一貯留配管11Aと並列に接続されている。すなわち、第二貯留配管21Aは、排気配管3が格納容器100の外部に引き出された端部に対し、第一貯留配管11Aと分岐して接続されている。
第二貯留タンク21Bは、第二貯留配管21Aの終端が接続されている。第二貯留配管21Aの終端には、第二貯留タンク21Bの内部に配置されて、第二貯留タンク21B内にガスを導入するガス導入部(後述する)が設けられている。第二貯留タンク21Bは、容量が変化することのない密閉容器である。
第二貯留開閉弁21Cは、第二貯留配管21Aの途中に設けられ、開動作により第二貯留配管21Aを開放し、閉動作により第二貯留配管21Aを閉塞する。また、第二貯留開閉弁21Cは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、第二貯留開閉弁21Cは、自動弁ではなくてもよい。従って、第二貯留開閉弁21Cが開動作して第二貯留配管21Aが開放されることで、排気配管3を介して格納容器100の内部から排出されたガスが第二貯留タンク21Bに送られる。また、第二貯留開閉弁21Cが閉動作して第二貯留配管21Aが閉塞されることで、排気配管3を介して格納容器100の内部から排出されたガスは第二貯留タンク21Bには送られない。
第二冷却部22は、第二貯留タンク21B内に流入したガスを冷却して該ガスに含まれる蒸気(凝縮性ガス)を凝縮させるものである。第二冷却部22は、循環配管22Aと、熱交換器22Bと、冷却ポンプ22Cと、散水機(散水部)22Dと、第二冷却開閉弁22E,22Fと、を有している。
循環配管22Aは、一端が第二貯留タンク21Bの下部にて第二貯留タンク21Bの内部に接続され、他端が第二貯留タンク21Bの上部にて第二貯留タンク21Bの内部に接続されて、第二貯留タンク21Bを含みループ状に設けられている。本実施形態において、循環配管22Aは、上述した第一冷却部12における循環配管12Aの一部を共有して構成されている。具体的に、循環配管22Aは、循環配管12Aにおいて熱交換器12Bと第一冷却開閉弁12Eとの間に一端が接続されて他端が第二貯留タンク21Bの上部にて第二貯留タンク21Bの内部に接続された冷却配管22Aaを有している。また、循環配管22Aは、一端が第二貯留タンク21Bの下部にて第二貯留タンク21Bの内部に接続されて他端が循環配管12Aにおいて冷却ポンプ12Cと第一冷却開閉弁12Fとの間に接続された冷却配管22Abを有している。すなわち、循環配管22Aは、冷却配管22Aa,22Abを有することで、第一冷却部12における循環配管12Aの一部と熱交換器12Bおよび冷却ポンプ12Cとを共有して構成されている。
熱交換器22Bは、循環配管22Aの途中に設けられており、冷却水が供給されるケーシングの内部に循環配管22Aの途中に介在された伝熱管が設けられている。熱交換器22Bに供給される冷却水は、例えば、海水や湖水などがあり、図示しない冷却水供給ポンプにより供給されてケーシングの内部を経て海や湖に戻される。この熱交換器22Bは、上述したように第一冷却部12における熱交換器12Bを共有して構成されている。なお、熱交換器22Bと熱交換器22Bに供給される冷却水の間に中間冷却のための熱交換器を介在させてもよい。中間冷却のための熱交換器に供給される冷却水は例えば純水などがある。
冷却ポンプ22Cは、循環配管22Aの途中に設けられており、第二貯留タンク21Bの下部に貯留された流体を循環配管22Aにより熱交換器22Bを経由して第二貯留タンク21Bの上部に戻す。従って、第二貯留タンク21Bの下部に貯留された流体は、冷却ポンプ22Cにより循環配管22Aに送られて熱交換器22Bを経由して冷却され第二貯留タンク21Bの上部に戻される。この冷却ポンプ22Cは、上述したように第一冷却部12における冷却ポンプ12Cを共有して構成されている。
散水機22Dは、いわゆるシャワーであって、第二貯留タンク21Bの内部の上部に設けられて循環配管22A(冷却配管22Aa)の他端に接続されている。従って、冷却ポンプ22Cにより循環配管22Aに送られて第二貯留タンク21Bの上部に戻された流体は、散水機22Dにより第二貯留タンク21Bの下部に向けて散水される。上述したように、第二貯留タンク21Bには、ガス導入部を通じて、格納容器100の内部のガスに含まれる蒸気が送られる。従って、蒸気は、散水機22Dにより散水された流体により凝縮されて凝縮水となる。この凝縮水は、第二貯留タンク21Bの下部に溜められ、冷却ポンプ22Cにより循環配管22Aに送られて熱交換器22Bを経由して冷却され第二貯留タンク21Bの上部に戻される冷却用の流体となる。
第二冷却開閉弁22Eは、循環配管22Aにおいて熱交換器22Bよりも他端側(下流側;第二貯留タンク21Bの上部側)となる冷却配管22Aaに設けられている。また、第二冷却開閉弁22Fは、循環配管22Aにおいて冷却ポンプ22Cよりも一端側(上流側;第二貯留タンク21Bの下部側)となる冷却配管22Abに設けられている。これら、第二冷却開閉弁22E,22Fは、開動作により循環配管22Aを開放し、閉動作により循環配管22Aを閉塞する。また、第二冷却開閉弁22E,22Fは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、第二冷却開閉弁22E,22Fは、自動弁ではなくてもよい。従って、第二冷却開閉弁22E,22Fが開動作して循環配管22Aが開放されることで、循環配管22Aを介して第二貯留タンク21Bの内部の凝縮水が循環されつつ熱交換器22Bにより冷却される。また、第二冷却開閉弁22E,22Fが閉動作して循環配管22Aが閉塞されることで、第二貯留タンク21Bの内部の凝縮水は循環や冷却されない。また、第二冷却開閉弁22Eは、熱交換器22Bと第二貯留タンク21Bの上部との間で循環配管22Aを開放または閉塞する。また、第二冷却開閉弁22Fは、第二貯留タンク21Bの下部と冷却ポンプ22Cとの間で循環配管22Aを開放または閉塞する。
第二凝縮水送出部23は、送出配管23Aと、送出ポンプ23Bと、送出開閉弁23C,23Dと、逆止弁23Eと、を有する。送出配管23Aは、一端が第二貯留タンク21Bの下部にて第二貯留タンク21Bの内部に接続され、他端が格納容器100の内部に至り設けられている。本実施形態において、送出配管23Aは、上述した第一凝縮水送出部13における送出配管13Aの一部を共有して構成されている。具体的に、送出配管23Aは、一端が第二貯留タンク21Bの下部にて第二貯留タンク21Bの内部に接続され、他端が送出配管13Aにおいて送出ポンプ13Bと送出開閉弁13Cとの間に接続された接続送出配管23Aaを有している。すなわち、送出配管23Aは、接続送出配管23Aaを有することで、第一凝縮水送出部13における送出配管13Aの一部と送出ポンプ13Bと送出開閉弁13Dと逆止弁13Eとを共有して構成されている。
送出ポンプ23Bは、送出配管23Aの途中に設けられており、第二貯留タンク21Bの下部に貯留された凝縮水を送出配管23Aにより格納容器100の内部に送り出す。この送出ポンプ23Bは、上述したように第一凝縮水送出部13における送出ポンプ13Bを共有して構成されている。
送出開閉弁23Cは、送出配管23Aにおいて送出ポンプ23Bよりも一端側(第二貯留タンク21B側)に設けられている。また、送出開閉弁23Dは、送出配管23Aにおいて送出ポンプ23Bよりも他端側(格納容器100側)であって格納容器100の外部に並んで設けられている。これら、送出開閉弁23C,23Dは、開動作により送出配管23Aを開放し、閉動作により送出配管23Aを閉塞する。また、送出開閉弁23C,23Dは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、送出開閉弁23Cは、自動弁ではなくてもよい。従って、送出開閉弁23C,23Dが開動作して送出配管23Aが開放されることで、送出配管23Aを介して第二貯留タンク21Bの内部の凝縮水が格納容器100に送り出される。また、送出開閉弁23C,23Dのいずれか1つが閉動作して送出配管23Aが閉塞されることで、第二貯留タンク21Bの内部の凝縮水は格納容器100に送り出されない。送出開閉弁23Cは、第二貯留タンク21Bの下部と送出ポンプ23Bとの間で送出配管23Aを開放または閉塞する。また、送出開閉弁23Dは、送出ポンプ23Bと格納容器100との間で送出配管23Aを開放または閉塞する。送出開閉弁23Dは、最も格納容器100寄りに設けられて格納容器100を外部から隔離する隔離弁として機能する。送出開閉弁23Dは、上述したように、第一凝縮水送出部13における送出開閉弁13Dを共有して構成されている。
逆止弁23Eは、格納容器100の内部において送出配管23Aの他端に接続されている。逆止弁23Eは、送出配管23Aの他端から格納容器100の内部に送り出される凝縮水を格納容器100の内部に流出させるが、格納容器100の内部の流体を送出配管23Aの他端から格納容器100の外部に漏らさない。従って、逆止弁23Eは、格納容器100を内部から隔離する隔離弁として機能する。逆止弁23Eは、上述したように、第一凝縮水送出部13における逆止弁13Eを共有して構成されている。
第二貯留部水位検出部24は、第二貯留部21における第二貯留タンク21Bに貯留される凝縮水の水位を検出する。第二貯留部圧力検出部25は、第二貯留部21における第二貯留タンク21Bの内部の圧力を検出する。
排気部31は、分岐排気配管31Aと、排気筒31Bと、分岐排気開閉弁31Cと、絞弁31Dと、放射線検出部31Eと、を有している。分岐排気配管31Aは、排気配管3の端部に分岐して設けられている。具体的に、分岐排気配管31Aは、排気配管3において、排気開閉弁3Bと、第一貯留部11の第一貯留配管11Aおよび第二貯留部21の第二貯留配管21Aが接続されている部分との間に分岐して設けられている。なお、分岐排気配管31Aは、第一貯留部11の第一貯留配管11Aにおいて、排気配管3に接続されている部分と、第一貯留開閉弁11Cとの間に分岐して設けられていてもよい。すなわち、分岐排気配管31Aは、少なくとも第一貯留部11の第一貯留タンク11Bに接続できるように設けられている。
排気筒31Bは、いわゆる煙突であり、分岐排気配管31Aの先端(終端)に設けられている。分岐排気開閉弁31Cは、分岐排気配管31Aの途中に設けられ、開動作により分岐排気配管31Aを開放し、閉動作により分岐排気配管31Aを閉塞する。また、分岐排気開閉弁31Cは、自動弁であり、開信号の入力により開動作する一方、閉信号の入力により閉動作する。また、分岐排気開閉弁31Cは、自動弁ではなくてもよい。従って、分岐排気開閉弁31Cが開動作して分岐排気配管31Aが開放されることで、分岐排気配管31Aを介して排気配管3側と排気筒31Bとが連通する。また、分岐排気開閉弁31Cが閉動作して分岐排気配管31Aが閉塞されることで、分岐排気配管31Aを介して排気配管3側と排気筒31Bとが連通しない。
絞弁31Dは、分岐排気配管31Aの途中に設けられた、例えば、オリフィスからなり、分岐排気配管31Aを通過する流体の流量を抑制する。絞弁31Dは、分岐排気配管31Aにおいて、排気配管3に接続されている部分と、分岐排気開閉弁31Cとの間に設けられている。なお、絞弁31Dは、分岐排気配管31Aにおいて、排気筒31Bと、分岐排気開閉弁31Cとの間に設けられていてもよい。放射線検出部31Eは、分岐排気配管31Aの途中に設けられ、分岐排気配管31Aを通過する流体の放射線量を検出する。放射線検出部31Eは、分岐排気配管31Aにおいて、排気筒31Bと、分岐排気開閉弁31Cとの間に設けられている。
図2は、本実施形態に係る格納容器保全設備の制御系のブロック図である。上述した構成の格納容器保全設備50は、制御部41により統括して制御される。制御部41は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサ、ROMやRAMのようなメモリおよびストレージを含む。制御部41は、図2に示すように、格納容器圧力検出部1、第一貯留部水位検出部14、第一貯留部圧力検出部15、第二貯留部水位検出部24、第二貯留部圧力検出部25、放射線検出部31Eからの検出の信号を入力することで、熱交換器12B,22Bの冷却水供給ポンプ、第一冷却開閉弁12E,12F、冷却ポンプ12C,22C、排気開閉弁3A,3B、第一貯留開閉弁11C、送出開閉弁13C、送出開閉弁13D,23D、送出ポンプ13B,23B、第二冷却開閉弁22E,22F、第二貯留開閉弁21C、送出開閉弁23C、分岐排気開閉弁31Cを駆動する信号を出力する。
以下、図3〜図9の本実施形態に係る格納容器保全設備の動作図を参照し、制御部41による格納容器保全設備50の動作手順を説明する。
事故前においては、図3に示すように、制御部41は、熱交換器12B,22Bの冷却水供給ポンプ、冷却ポンプ12C,22C、送出ポンプ13B,23Bを停止する信号を出力しており、かつ第一冷却開閉弁12E,12F、排気開閉弁3A,3B、第一貯留開閉弁11C、送出開閉弁13C、送出開閉弁13D,23D、第二冷却開閉弁22E,22F、第二貯留開閉弁21C、送出開閉弁23C、分岐排気開閉弁31Cを閉動作する閉信号を出力している。
原子炉の炉心が損傷するようなシビアアクシデントの事故が発生した場合、炉心損傷後は格納容器100の内部に冷却水を供給するような格納容器100を防護する複数の対策を講じる。しかし、複数の格納容器防護対策を実施しても事象進展を止められず、格納容器100の内部の圧力が設計の限界圧力近くに到達する。
従って、シビアアクシデントの事故時において、制御部41は、熱交換器12Bに冷却水を供給するため冷却水供給ポンプを駆動させる駆動信号を出力する。また、制御部41は、第一貯留タンク11Bの水を循環させるため第一冷却開閉弁12E,12Fを開動作させる開信号を出力する。また、制御部41は、冷却ポンプ12Cを駆動する駆動信号を出力する。すなわち、図4に示すように、第一冷却部12において、第一貯留タンク11Bを含むループ状の循環配管12Aに、第一貯留タンク11Bの下部に貯留された水が循環し、熱交換器12Bを経由して冷却されて第一貯留タンク11Bの上部に戻される。
その後、格納容器圧力検出部1により検出する格納容器100の内部の圧力が設計の限界圧力となった場合、制御部41は、排気開閉弁3A,3B、第一貯留開閉弁11Cを開動作させる開信号を出力する。すなわち、図5に示すように、フィルタユニット2を通過して放射性よう素や粒子状の放射性物質が除去された格納容器100の内部のガス(凝縮性ガスである蒸気、および、非凝縮性ガスである空気や放射性希ガスなどを含むガス)が第一貯留タンク11Bに送られる。そして、第一貯留タンク11Bの内部では、空気、放射性希ガスなどの非凝縮性ガスが貯留される一方、第一冷却部12により循環する水で蒸気が冷却されて凝縮された凝縮水として溜まる。
第一貯留タンク11Bに蒸気を受け入れている際、凝縮した水分でタンク水位が上昇する。よって、第一貯留部水位検出部14により検出する第一貯留タンク11Bに貯留される凝縮水の水位が所定水位を超えた場合、制御部41は、第一凝縮水送出部13の送出開閉弁13C,13Dを開動作させる開信号を出力する。また、制御部41は、第一凝縮水送出部13の送出ポンプ13Bを駆動させる信号を出力する。すなわち、図6に示すように、第一貯留タンク11Bに貯留される凝縮水が格納容器100に送り出される。また、第一貯留部水位検出部14により検出する第一貯留タンク11Bに貯留される凝縮水の水位が所定水位まで下がった場合、制御部41は、第一凝縮水送出部13の送出ポンプ13Bを停止させる信号を出力し、送出開閉弁13C,13Dを閉動作させる閉信号を出力する(図5に示す動作に戻る)。この動作を繰り返すことで、第一貯留タンク11Bに貯留される凝縮水の水位を所定水位に維持する。
第一貯留タンク11Bは、最初大気圧であるが、非凝縮性ガスを貯留するに伴い圧力が上昇する。よって、第一貯留部圧力検出部15により検出する第一貯留タンク11Bの内部の圧力が、格納容器圧力検出部1により検出する格納容器100の内部の圧力とほぼ同じになり、格納容器100の内部の圧力と第一貯留タンク11Bの内部の圧力とが均圧した場合、格納容器100で発生した放射性希ガスは、全量が第一貯留タンク11Bに送られて貯留されたものとみなす(比較的事故初期において放射性希ガスは格納容器100の内部に全量放出される)。この場合、制御部41は、第一貯留開閉弁11Cを閉動作させる閉信号を出力する。すなわち、格納容器100から第一貯留タンク11Bへのガスの送りを停止する。
格納容器100で発生した非凝縮性ガスの全量を第一貯留タンク11Bに送っても、凝縮性ガスである蒸気の発生により格納容器100の内部の圧力は限界圧力は超えないものの上昇する。よって、第一貯留開閉弁11Cを閉動作させる閉信号を出力して格納容器100から第一貯留タンク11Bへのガスの送りを停止した後、制御部41は、熱交換器22Bに冷却水を供給するため冷却水供給ポンプを駆動させる駆動信号を出力する(熱交換器22Bが熱交換器12Bを共有する場合は熱交換器12Bに駆動信号を出力しているため不要)。また、制御部41は、第一貯留タンク11Bの水の循環を停止させるため冷却ポンプ12Cを停止させる停止信号を出力し、第一冷却開閉弁12E,12Fを閉動作させる閉信号を出力する。また、制御部41は、第二貯留タンク21Bの水を循環させるため第二冷却開閉弁22E,22Fを開動作させる開信号を出力する。また、制御部41は、冷却ポンプ22Cを駆動する駆動信号を出力する(冷却ポンプ22Cが冷却ポンプ12Cを共有する場合は冷却ポンプ12Cに駆動信号を出力しているため不要)。また、制御部41は、第二貯留開閉弁21Cを開動作させる開信号を出力する。すなわち、図7に示すように、フィルタユニット2を通過して放射性よう素や粒子状の放射性物質が除去された格納容器100の内部のガス(凝縮性ガスである蒸気および非凝縮性ガスである空気を含むガス)が第二貯留タンク21Bに送られる。この場合、格納容器100で発生した放射性希ガスの全量が第一貯留タンク11Bに送られて貯留されているため、基本的に第二貯留タンク21Bに放射性希ガスは送られない。さらに、図7に示すように、第二冷却部22において、第二貯留タンク21Bを含むループ状の循環配管22Aに、第二貯留タンク21Bの下部に貯留された水が循環し、熱交換器22Bを経由して冷却されて第二貯留タンク21Bの上部に戻される。このため、第二貯留タンク21Bの内部では、空気が貯留される一方、第二冷却部22により循環する水で蒸気が冷却されて凝縮された凝縮水として溜まる。これにより、格納容器100の圧力を低減させる。
ここで、第一貯留開閉弁11Cは格納容器100から第一貯留タンク11Bへのガスの送りを開閉し、第二貯留開閉弁21Cは格納容器100から第二貯留タンク21Bへのガスの送りを開閉しており、これら第一貯留開閉弁11Cおよび第二貯留開閉弁21Cの開閉により格納容器100のガスの送りを第一貯留タンク11Bや第二貯留タンク21Bに切り換えることができる。従って、本実施形態の格納容器保全設備50では、第一貯留開閉弁11Cおよび第二貯留開閉弁21Cは、格納容器100のガスの送りを第一貯留タンク11Bや第二貯留タンク21Bに切り換える切換部として構成されている。
第二貯留タンク21Bに蒸気を受け入れている際、凝縮した水分でタンク水位が上昇する。よって、第二貯留部水位検出部24により検出する第二貯留タンク21Bに貯留される凝縮水の水位が所定水位を超えた場合、制御部41は、第二凝縮水送出部23の送出開閉弁23C,23Dを開動作させる開信号を出力する。また、制御部41は、第二凝縮水送出部23の送出ポンプ23Bを駆動させる信号を出力する。すなわち、図8に示すように、第二貯留タンク21Bに貯留される凝縮水が格納容器100に送り出される。また、第二貯留部水位検出部24により検出する第二貯留タンク21Bに貯留される凝縮水の水位が所定水位まで下がった場合、制御部41は、第二凝縮水送出部23の送出ポンプ23Bを停止させる信号を出力し、送出開閉弁23C,23Dを閉動作させる閉信号を出力する(図7に示す動作に戻る)。この動作を繰り返すことで、第二貯留タンク21Bに貯留される凝縮水の水位を所定水位に維持する。
第二貯留タンク21Bは、最初大気圧であるが、非凝縮性ガスである空気を貯留するに伴い圧力が上昇する。よって、制御部41は、第二貯留部圧力検出部25により検出する第二貯留タンク21Bの内部の圧力を管理する。そして、制御部41は、格納容器圧力検出部1により検出する格納容器100の内部の圧力の上昇が抑えられた場合、制御部41は、開動作中の全ての開閉弁を閉作動する閉信号を出力すると共に、稼働中の全てのポンプを停止させる信号を出力する(図3に示す状態に戻す)。
その後、第一貯留タンク11Bに貯留した放射性希ガスのうち、キセノンは半減期が短く、線量が高いので、1年以上減衰させ、無害化する。クリプトンはキセノンほど線量が高くないが、半減期が長いことから長期間、第一貯留タンク11Bに貯留した状態で減衰させる。クリプトンを数年程度減衰させた後、放射線量を監視しながら第一貯留タンク11Bに貯留したガスを管理放出する。この場合、制御部41は、図3に示す状態から、第一貯留開閉弁11Cおよび分岐排気開閉弁31Cを開動作する開信号を出力する。すなわち、図9に示すように、大気圧よりも内部が高い圧力の第一貯留タンク11Bに貯留されたガスが、第一貯留配管11Aから排気配管3の一部を経て分岐排気配管31Aに至り絞弁31Dにて流量を抑制されつつ排気筒31Bから大気に放出される。この場合、第一貯留配管11A(ガス導入部)の開口端がガス中に露出するように、第一貯留タンク11B内の水量が調整される。ただし、公衆被曝に影響しないように、放射線検出部31Eにより検出される放射線量が影響のない範囲でなければ、制御部41は、第一貯留開閉弁11Cおよび分岐排気開閉弁31Cを閉動作する閉信号を出力することで、図3に示す状態に戻しガスの放出を止める。
ところで、上述したように、格納容器保全設備50は、格納容器100と排気配管3(第一貯留配管11Aおよび第二貯留配管21A)とを介して並列に接続される第一貯留タンク11Bおよび第二貯留タンク21Bを備え、第一貯留タンク11Bに放射性希ガスを貯留している。さらに、第一貯留タンク11Bに放射性希ガスの全量が貯留された後は、格納容器100からのガスを第二貯留タンク21Bに送ることで格納容器100内の圧力上昇を抑制している。格納容器100から排出されるガスには、凝縮性ガスである蒸気が含まれているため、第一貯留タンク11Bおよび第二貯留タンク21Bでは、この蒸気を効率よく冷却して凝縮させることが要求される。
第一貯留タンク11Bおよび第二貯留タンク21B内において、例えば、上方からの散水によって、凝縮性ガスである蒸気を冷却して凝縮させる場合、高温の蒸気を含むガスがタンク内に集中して導入されると、タンク内に生じた温度差によりタンク内に偏流が発生する。このため、上方から散水したとしても、偏流によって散水が部分的に阻害され、蒸気を均等に冷却できずに冷却効率が低減することが想定される。次に、散水によって効率よく蒸気を凝縮できるタンクの内部構造について説明する。
図10は、本発明の実施形態に係る第一貯留タンク(希ガス貯留タンク)の内部構造を示す縦断面模式図である。図11は、第一貯留タンクの横断面模式図である。第一貯留タンク11Bは、図10に示すように、内部が中空の圧力容器であり、脚部51により設置面52に立設されている。上述したように、第一貯留タンク11Bの下部には、循環配管12Aの一端が接続され、この循環配管12Aの他端は第一貯留タンク11Bの上部に接続されてループ状の循環経路が形成される。循環配管12Aの途中には、上述した熱交換器12Bおよび冷却ポンプ12C(図1参照)が設けられ、第一貯留タンク11Bの下部に貯留された水(凝縮水)は、冷却ポンプ12Cにより循環配管12Aに送られて熱交換器12Bを経由して冷却され第一貯留タンク11Bの上部に戻される。
第一貯留タンク11Bの内部の上部には、循環配管12Aの他端に接続された散水機12Dが配置され、この散水機12Dを通じて、冷却ポンプ12Cで送られた水が第一貯留タンク11B内に散水される。本実施形態では、散水機12Dは、例えば、第一貯留タンク11Bの天井面11B1の全面を覆うように配置され、第一貯留タンク11B内の所定の水平面上に一様に散水されるように構成されている。
また、第一貯留タンク11Bの下部には、第一貯留タンク11B内に貯留された水を送出するため、上述した第一凝縮水送出部13の送出配管13Aが接続され、この送出配管13Aは、送出ポンプ13Bと送出開閉弁13C,13Dと逆止弁13E(いずれも図1参照)とを介して、格納容器100の内部に至っている。
第一貯留タンク11Bは、図10および図11に示すように、第一貯留タンク11B内の内部に配置されて、第一貯留タンク11B内にガスを導入するガス導入部60を備える。このガス導入部60は、第一貯留配管11Aに接続されたヘッダ管61と、このヘッダ管61に接続される導入管62と、この導入管62に接続され、第一貯留タンク11Bの内面11B3に沿って環状に形成された環状配管63と、この環状配管63を支持する複数の支持部材65と、を備える。
ヘッダ管61は、第一貯留配管11Aを通じて供給されたガスを一時的に貯留して圧力の変動を抑えるものである。導入管62は、第一貯留タンク11Bの側壁を貫通して、ヘッダ管61と環状配管63とを接続する。環状配管63は、図11に示すように、複数の多孔配管63Aを連結して多角形形状(本実施形態では八角形)を呈する環状に形成されている。この環状配管63は、図10に示すように、第一貯留タンク11Bに貯留された水(凝縮水)Wの水面WAよりも下方である液相67に配置され、環状配管63の各多孔配管63Aには、それぞれガスを凝縮水中に噴出するための複数の孔部64が所定間隔で形成されている。支持部材65は、一端が第一貯留タンク11Bの内面11B3に固着され、他端が第一貯留タンク11Bの中央部に向けて延在し、環状配管63に連結されて該環状配管63を支持する。
本構成では、ガス導入部60は、第一貯留タンク11Bに貯留された水Wの液相67に配置されているため、このガス導入部60を通じて第一貯留タンク11B内に導入されたガスは、水中に分散されることにより、該ガスに含まれる蒸気は凝縮水で冷却されて凝縮される。従って、ガス導入部を、第一貯留タンク11Bに貯留された水Wの水面WAよりも上方である気相に配置する構成と比べて、第一貯留タンク11Bにおけるガスの偏流を容易に抑制することができ、例えば、第一貯留タンク11Bの内面11B3に沿って環状に形成された環状配管63を備えた構成とすることができる。このため、環状配管63を、第一貯留タンク11Bの内面11B3に設けた支持部材65によって支持することができ、該環状配管63の支持構造の簡素化を実現できる。
また、本構成では、孔部64は、それぞれ多孔配管63Aに下方に向けて形成され、液相67内の所定の水平面66上に分散して配置される。この構成によれば、導入されたガスは、孔部64を通じて、凝縮水内に下方に向けて噴出されるため、該ガスを凝縮水内に確実に噴出させることができ、噴出されたガスに含まれる蒸気を冷却して凝縮させることができる。
ここで、導入されるガス(蒸気)は高温のため、凝縮水中にガスが導入されるに伴い、凝縮水の温度が上昇するため、凝縮水の水面WAから再び蒸気が発生することが想定される。本構成では、第一貯留タンク11Bの内部の上部には、散水機12Dが配置されているため、水面WAからほぼ一様に発生した蒸気を散水によって効率よく冷却して凝縮させることができる。
このように、ガス導入部60を、第一貯留タンク11Bに貯留された凝縮水の液相67に配置することにより、ガス導入部60の構成を簡素化するとともに、導入されたガスに含まれる蒸気(凝縮性ガス)を散水によって効率よく冷却して凝縮させることができる。一方、第一貯留タンク11Bには、放射性希ガスや空気などの非凝縮性ガスが貯留され、第一貯留タンク11Bの内部の圧力と格納容器100の内部の圧力とがほぼ均圧する状態までガス導入部60を通じてガスの導入が行われる。この場合、ガス導入部60を水(凝縮水)Wの水面WAよりも下方、すなわち液相67中に配置すると、孔部64の高さ位置と水面WA位置(水位)との高さに相当する静水頭分の圧力損失が生じ、その分、第一貯留タンク11Bの内部の圧力が低下する。従って、非凝縮性ガスを所望の圧力に充填するためには、その分、容量の大きな第一貯留タンク11Bを用いることが好ましい。
本構成では、ガス導入部60は、第一貯留タンク11Bにおける水Wの水面WAよりも下方の液相67に配置される。この構成では、水面WAの高さ位置が、孔部64(ガス導入部60)の高さ位置よりも上方の所定の高さ位置を下回ると、孔部64から噴出した蒸気が凝縮する前に、気相に排出されてしまい、この蒸気がタンク内での偏流の要因となりうる。このため、水面WAの高さ位置が、孔部64(ガス導入部60)の高さ位置よりも上方にある下限高さ位置(所定高さ位置)を下回った場合には、第一貯留タンク11Bに貯留される水Wの水位調整が必要である。本構成における下限高さ位置は、孔部64から噴出した蒸気を十分に凝縮できる程度の高さ位置である。
このため、本構成では、制御部(水位調整部)41は、第一貯留部水位検出部14(図1)が検出した第一貯留タンク11B内の水Wの水位が、ガス導入部60における環状配管63の孔部64よりも上方の所定の高さ位置を下回った場合に、第一凝縮水送出部13の送出開閉弁13C,13Dを閉鎖する、もしくは、送出ポンプ13Bの駆動周波数を低減させるなどにより、第一凝縮水送出部13を通じて、送出される水量を低減することで水Wの水位を調整する。これにより、第一貯留タンク11B内の水Wの水位は、ガス導入部60の孔部64よりも上方に維持されるため、ガスを水(凝縮水)W内に確実に噴出させることができ、噴出されたガスに含まれる蒸気を冷却して凝縮させることができる。
また、上述したように、第一貯留タンク11B内の水Wの水位が高くなればなるほど、孔部64の高さ位置と水面WA位置(水位)との高さに相当する静水頭分の圧力損失が生じ、その分、第一貯留タンク11Bの内部の圧力が低下する。このため、制御部41は、第一貯留タンク11B内の水Wの水位が、上記した下限高さ位置よりも上方に設定された上限高さ位置を上回った場合には、第一凝縮水送出部13の送出開閉弁13C,13Dを開放する、もしくは、送出ポンプ13Bの駆動周波数を増加させるなどにより、第一凝縮水送出部13を通じて、送出される水量を増加することで水Wの水位を調整する。これにより、第一貯留タンク11B内における所望のガスの充填圧力を維持することができる。
本実施形態では、ガス導入部60の構成の一例を示したものであり、適宜変更することができる。図12および図13は、変形例に係る第一貯留タンクの内部構造を示す横断面模式図である。図12の例では、ガス導入部160は、第一貯留配管11Aに接続されたヘッダ管61と、このヘッダ管61に接続される一対の導入管62,62と、この導入管62,62にそれぞれ接続され、第一貯留タンク11Bの内面11B3に沿って配置される曲状配管部163,163と、これら曲状配管部163,163を支持する複数の支持部材65と、を備える。上記した構成と同一の部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
曲状配管部163は、図12に示すように、不図示の孔部が所定間隔で形成された多孔配管63Aを連結し、多角形状の一部を構成している。この例では、複数の曲状配管部163をそれぞれ第一貯留タンク11Bの内面11B3に沿って配置することにより、曲状配管部163の構成が簡素化し、曲状配管部163の製作などを容易に実行することができる。この例では、2つの曲状配管部163,163を設けているが、3つ以上配置しても構わないのは勿論である。
また、図13の例では、ガス導入部260は、第一貯留配管11Aに接続されたヘッダ管61と、このヘッダ管61に接続される導入管62と、この導入管62に接続され、第一貯留タンク11Bの内面11B3に沿って配置される円環状の環状配管263と、この環状配管263を支持する複数の支持部材65と、を備える。上記した構成と同一の部材については、同一の符号を付して説明を省略する。
環状配管263は、例えば、一本の多孔配管を円環状に曲げ加工するとともに、その両端部を連結することにより形成される。この例では、環状配管263を円環状とすることにより、環状配管263内にガスをスムーズに流通させることができ、その分、ガスの圧力損失の低減を図ることができる。また、この例では、円環状の環状配管263を一本の多孔配管を曲げ加工することで形成したが、複数本の多孔配管を曲げつつ、連結してもよい。また、図13の例を図12に適用し、円弧状に曲げられた複数の曲状配管部を備える構成としてもよい。
また、上記した環状配管における孔部の位置、大きさ、数などは、孔部を通じて、第一貯留タンク11B内にガスが略均等に分散できる範囲で変更してもよい。また、本実施形態では、ガス導入部60,160,260を第一貯留タンク11Bに設けた構成を説明したが、このガス導入部60,160,260は、第二貯留タンク21Bにも設けられている。第二貯留タンク21Bの内部構造は、上述した第一貯留タンク11Bの内部構造と同等であるため、説明を省略する。ガス導入部60を第二貯留タンク21Bにおける水Wの水面WAよりも下方の液相67に配置することにより、ガス導入部60,160,260から導入されたガスは、複数の孔部64を通じて、水(凝縮水)W中に分散される。このため、導入されたガスに含まれる蒸気を効率よく冷却して凝縮させることができ、格納容器100の内部の圧力上昇を抑制することができる。
さて、上述した動作において、第一貯留タンク11Bへのガスの送りを停止する場合、格納容器100の内部の圧力と第一貯留タンク11Bの内部の圧力とが均圧したことを格納容器100で発生した放射性希ガスの全量が第一貯留タンク11Bに送られて貯留されたものとみなすとしている。このための構成について説明する。
図14は、本実施形態に係る格納容器保全設備における第一貯留部の容量を設定するための説明図である。図15は、本実施形態に係る格納容器保全設備における第一貯留部の容量を設定するためのグラフである。
放射性希ガスのキセノンやクリプトンは燃料ウランの核分裂に伴い発生するもので、燃料損傷してから比較的短時間の間に放射性希ガス全量が放出される。放射性希ガスは、格納容器100の内部の空気と格納容器100の内部で発生する蒸気に完全混合していると考えられ、空気、放射性希ガスなどの非凝縮性ガスは発生し続ける蒸気に随伴される形で第一貯留タンク11Bに貯留される。格納容器100の容量の全量の非凝縮性ガスが第一貯留タンク11Bに貯留されると、非凝縮性ガス中に分散していた放射性希ガスも一緒に第一貯留タンク11Bに貯留されるものとして第一貯留タンク11Bの容量を設計する。
第一貯留タンク11Bは、格納容器100の全容量の非凝縮性ガスを貯留するのに必要な容量に設計される。第一貯留タンク11Bに貯留する非凝縮性ガスの容積は、格納容器100の内部の圧力で圧縮されるが、この容積は事故前の温度(室温)、圧力(大気圧)、容積(格納容器100の容積と第一貯留タンク11Bの容積)と事故後の温度(飽和蒸気温度)、圧力(格納容器100の設計値圧力)、容積(第一貯留タンク11Bの容積)によりボイル・シャルルの法則(PV/T=一定)から要求が満たされる。具体的には、格納容器100の容量は定数なので、事故後の格納容器100の内部の圧力(設計値圧力)を設定すれば、必要な第一貯留タンク11Bの容量を求めることができる。
本実施形態の格納容器保全設備50では、図14に示すように、事故前の原子炉定常運転において、格納容器100は、内部の圧力P0は大気圧相当の0.1013MPa(a)、容量V0がV0m3(原子力設備によって異なる)、内部の温度T0をT0℃とする。この場合、第一貯留タンク11Bは、内部の圧力P1が大気圧相当の0.1013MPa(a)であり、容量V1がV1m3、内部の温度T1をT1℃とする。そして、シビアアクシデントの事故後において、格納容器100は、内部の圧力P’0を設計値としてP’0MPa(a)、容量V’0は変わらずV0m3、内部の温度T’0をT’0℃とする。この場合、第一貯留タンク11Bは、内部の圧力P’1をP’1MPa(a)、容量V’1を変わらずV1m3、内部の温度T’1をT’1℃とする。
このことから、事故前後でボイル・シャルルの法則より下記(1)式の関係となる。
(P0・V0/T0)+(P1・V1/T1)=P’1・V’1/T’1…(1)
(1)式の左式が事故前の格納容器100と第一貯留タンク11BのPV/Tを表し、右式が事故後の格納容器100の内部の非凝縮性ガスが第一貯留タンク11Bに移動した後のPV/Tを表す。なお、第一貯留タンク11Bの容量としては非凝縮性ガス以外に貯留する凝縮水量および水循環に必要な水量を上乗せする必要がある。
(1)式において、P0=P1、T0=T1、V1=V’1を代入すると(2)式となる。
V1=P0・V0・T’1/(P’1・T0−P0・T’1)…(2)
(2)式に上述した数値を代入すると、V1=0.1013×V0×(273+T’1)/(P’1×(273+T0)−0.1013×(273+T’1))となり、第一貯留タンク11Bの容量V1は、格納容器100の容量V0を代入し、初期の内部温度T0および貯留後の温度T’1を設定することで、事故後の第一貯留タンク11Bの圧力P’1によって決まる。第一貯留タンク11Bの圧力P’1と容量V1の関係は、図15に示すように設計すると、第一貯留タンク11Bの圧力P’1に応じた必要容量V1を求めることができる。このように第一貯留タンク11Bの容量V1を設計することで、第一貯留タンク11Bへのガスの送りを停止する場合、格納容器100の内部の圧力と第一貯留タンク11Bの内部の圧力とが均圧したことを格納容器100で発生した非凝縮性ガスの全量が第一貯留タンク11Bに送られて貯留されたものとみなすことができる。
なお、第一貯留タンク11Bは、上述のごとく求めた容量V1のものを1つ備えていてもよいが、容量V1をいくつかに分けて複数として、これを並列に接続してもよい。格納容器100から複数の第一貯留タンク11Bへのガスの供給は、複数の第一貯留タンク11Bに同時に行ってもよく、各第一貯留タンク11Bに順に行ってもよい。
このように、本実施形態の格納容器保全設備50は、炉心を収容する原子炉圧力容器101を気密状態で格納する格納容器100の内部のガスから放射性よう素や粒子状の放射性物質を除去するフィルタユニット2と、フィルタユニット2に接続されて格納容器100の外部に引き出されて設けられた排気配管3と、格納容器100の外部で排気配管3に接続され、フィルタユニット2を通過したガス中の放射性希ガスを貯留する第一貯留タンク11Bと、第一貯留タンク11Bの内部上方に配置され、該第一貯留タンク11Bの内部に散水してガス中の蒸気を凝縮させる散水機12Dと、第一貯留タンク11Bの内部に貯留された水Wの液相67に配置され、該第一貯留タンク11Bの内部にガスを分散させて導入するガス導入部60と、を備える。
この格納容器保全設備50によれば、フィルタユニット2により放射性よう素や粒子状の放射性物質が除去されたガスは、格納容器100から排気配管3を通して外部に送り出されて第一貯留タンク11Bに送られる。第一貯留タンク11Bでは、第一貯留タンク11Bの内部上方に配置され、該第一貯留タンク11Bの内部に散水してガス中の蒸気を凝縮させる散水機12Dと、第一貯留タンク11Bの内部に貯留された水Wの液相67に配置され、該第一貯留タンク11Bの内部にガスを分散させて導入するガス導入部60とが設けられているため、このガス導入部60から導入されたガスは、水(凝縮水)W中に分散されることにより、第一貯留タンク11Bでのガスの偏流を抑制し、該ガスに含まれる蒸気を水Wで冷却して凝縮できる。また、導入されるガス(蒸気)は高温のため、水中に導入されるに伴い、水Wの温度が上昇して水面WAから再び蒸気が発生する。この場合、蒸気は、水面から一様に発生するため、この蒸気を散水機12Dからの散水によって効率よく冷却して凝縮させることができる。従って、例えば、凝縮した水Wを第一貯留タンク11Bの外部に排出することで、第一貯留タンク11Bの内部に放射性希ガスを封じ込めることができる。
また、本実施形態によれば、ガス導入部60は、ガスが噴出する複数の孔部64が形成された多孔配管63Aを備え、この多孔配管63Aを第一貯留タンク11Bの内面11B3に沿って配置したため、この多孔配管63Aを第一貯留タンク11Bの内面11B3に設けた支持部材65で、該内面11B3に簡単に支持することができ、ガス導入部60の構成を簡素化できる。
また、本実施形態によれば、ガス導入部60は、多孔配管63Aを環状に形成して構成された環状配管63を備えるため、多孔配管63Aを曲げる、もしくは連結することで容易に環状配管63を形成することができる。このため、環状配管63を第一貯留タンク11Bの内面11B3に設けた支持部材65で、該内面11B3に簡単に支持することができ、ガス導入部60の構成を簡素化できる。
また、本実施形態によれば、孔部64は、第一貯留タンク11Bの内部の下方に向けて形成されているため、孔部64を通じてガスを第一貯留タンク11Bの内部に貯留された水W内に確実に噴出させることができ、噴出されたガスに含まれる蒸気を冷却して凝縮させることができる。
また、本実施形態の格納容器保全設備50は、第一貯留タンク11B内の凝縮水を格納容器100に送る第一凝縮水送出部13と、第一貯留タンク11Bにおける凝縮水の水位を検出する第一貯留部水位検出部14と、検出した凝縮水の水位が、ガス導入部60よりも上方の所定の高さ位置を下回った場合に、第一凝縮水送出部13の動作を制御して凝縮水の水位を調整する水位調整部としての制御部41と、を備えている。
これにより、第一貯留タンク11B内の水Wの水位は、ガス導入部60の孔部64よりも上方に維持されるため、ガスを水(凝縮水)内に確実に噴出させることができ、噴出されたガスに含まれる蒸気を冷却して凝縮させることができる。
また、本実施形態の格納容器保全設備50は、第一貯留タンク11Bと並列して格納容器100の外部で排気配管3に接続された第二貯留タンク21Bと、第二貯留タンク21Bの内部上方に配置され、該第二貯留タンク21Bの内部に散水してガス中の蒸気を凝縮させる散水機22Dと、第二貯留タンク21Bの内部に貯留された凝縮水の液相に配置され、該第二貯留タンク21Bの内部にガスを分散させて導入するガス導入部60とを備える。
この構成によれば、第一貯留タンク11Bの内部に放射性希ガスを封じ込めた後、第二貯留タンク21Bには、非凝縮性ガスである空気と凝縮性ガスである蒸気とを含むガスがガス導入部60を通じて導入される。このガスは、水(凝縮水)W中に分散されることにより、第二貯留タンク21Bでのガスの偏流を抑制し、該ガスに含まれる蒸気を水Wで冷却して凝縮できる。従って、格納容器100の内部の圧力上昇を抑制することができる。この結果、格納容器100の内部の放射性希ガスを格納容器100とは別の第一貯留タンク11Bに封じ込め、かつ格納容器100の内部の圧力を低下させることができる。