JP6747268B2 - 電圧コンバータ - Google Patents

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本明細書が開示する技術は、リアクトルを有する電圧コンバータに関する。
リアクトルを有する電圧コンバータとして、例えば、下記特許文献1に開示される昇圧コンバータ装置がある。この装置では、リアクトルに流れる電流を計測する電流センサを備えている。
特開2015−216758号公報
ところで、リアクトルのコイルの巻線は絶縁被覆で覆われている。表面の絶縁被覆が剥がれると、コイルの途中で電気的に短絡する場合がある。そのような短絡は、リアクトルの機能停止には至らないが、リアクトルのインダクタンス特性に変化を与える。そのため、電圧コンバータの昇圧機能や降圧機能が大きく損なわれる事態には至り難いものの、コイルの短絡はリアクトルの発熱量の増加に繋がり得ることから検出することが望ましい。しかし、コイルの途中で短絡が生じてもリアクトルに流れる電流にはその変化が現れ難いため、電流センサではこのような短絡を検知することは容易ではない。本明細書は、リアクトルの異常(コイル短絡)が生じていることを検知する技術を提供する。
本明細書が開示する電圧コンバータは、リアクトルに流れる電流を計測する電流センサ、低電圧側の電圧を計測する第1電圧センサ、高電圧側の電圧を計測する第2電圧センサ、及び、コントローラを備えている。コントローラは、第1電圧センサ及び第2電圧センサから夫々出力される電圧データに基づいて推定するリアクトルの推定電流値であって2個のスイッチング素子のスイッチング動作に伴い発生する電流リプルの推定振幅値を推定する。コントローラは、この推定振幅値と、電流センサから出力されるリアクトルの実測電流値であって2個のスイッチング素子のスイッチング動作に伴い発生する電流リプルの実測振幅値と、を比較する。そして、推定振幅値と実測振幅値の差が予め定められた所定範囲内にない場合には、コントローラはリアクトルに異常が生じていると判定する。これにより、コイルの短絡に起因するリアクトルの異常を早期に検知することが可能になるので、コイルの短絡によるリアクトルの異常な発熱を抑制することができる。
本明細書が開示する技術の詳細、及び、さらなる改良は、発明の実施の形態で説明する。
実施例の電圧コンバータを含む電力変換装置の回路図である。 リアクトルに流れるリアクトル電流の波形例を示す説明図である。 コントローラが実行する故障検出処理のフローチャート図である。 改変例1のコントローラが実行する各信号波形の例を示す説明図である。 改変例2のコントローラが実行する故障部位特定処理のフローチャート図である。
図面を参照して実施例の電圧コンバータを説明する。図1に、実施例の電圧コンバータ10を含む電力変換装置の回路図を示す。図2に、リアクトルに流れる電流波形の例を表す説明図を示す。
図1に示すように、実施例の電圧コンバータ10は、例えば、電気自動車に搭載される電力変換装置に用いられる。すなわち、電気自動車の電力変換装置は、主に、電圧コンバータ10、インバータ20、コントローラ50などを備えており、バッテリ3(例えばリチウム電池)から供給される直流電力を、走行用のモータ30(例えば三相交流モータ)に適した交流電力に変換してモータ30に供給し得るように構成されている。尚、電気自動車には、燃料電池車や、走行用のモータとエンジン(内燃機関)の両方に備えるハイブリッド車も含まれる。
電気自動車では、このような電力変換装置を搭載することによって、運転者がアクセルペダルを踏むとモータ30が回転して駆動輪を回し、また運転者がブレーキペダルを踏むとモータ30が発電して駆動輪を制動する。モータ30がトルクを出力して車両が走行することを力行と称し、またモータ30が発電機として発電することを回生と称する。回生により生成された電力(回生電力)は、バッテリ3の充電に使用される。モータ30は、発電機としても機能することから、モータジェネレータ(MG)とも称される。
電圧コンバータ10は、主に、2個のトランジスタ11a、11b、リアクトル12、コンデンサ13、14により構成されている。本実施例では、電圧コンバータ10は、これらに加えて、電流センサ15、16や電圧センサ17、18を備えている。トランジスタ11a及びトランジスタ11bは、高圧側プラス端子PHと高圧側マイナス端子NHの間に直列に接続されている。これらのトランジスタは、典型的には、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。
本実施例では、トランジスタ11aのコレクタが高圧側プラス端子PHに接続され、トランジスタ11bのエミッタが高圧側マイナス端子NHに接続されている。また、トランジスタ11aのエミッタとトランジスタ11bのコレクタが互いに接続されている。これら両トランジスタ11a、11bの接続部分を接続中点CPと称する。トランジスタ11aは接続中点CPに対して高電位側に位置し、トランジスタ11bは接続中点CPに対して低電位側に位置することから、トランジスタ11aは上アームと称され、またトランジスタ11bは下アームと称されることもある。
これらのトランジスタ11a、11bのゲートには、コントローラ50から配線される信号線が夫々接続されている。コントローラ50は、駆動信号Sa、Sbをトランジスタ11a、11bに供給し、それらトランジスタ11a、11bのスイッチング(オンオフ)を制御する。駆動信号Sa、Sbは、所定のデューティ比のPWM(Pulse Width Modulation)信号である。トランジスタ11a、11bには、ダイオードが逆並列に夫々接続されている。これらのダイオードは、電流がトランジスタ11a、11bを逆方向に流れるようにするために備えられており、環流ダイオードやフライホイールダイオードと称されることもある。
高圧側プラス端子PHと高圧側マイナス端子NHの間には、電流平滑用のコンデンサ14と電圧センサ18が接続されている。電圧センサ18の出力端子は、コントローラ50に接続されており、高圧側の両端子PH、NH間の電圧(高圧側電圧VH)を計測してコントローラ50に出力する。本実施例では、高圧側の両端子PH、NHは、インバータ20に接続されている。低圧側にも、このような端子PL、NLが設けられており、このうちの低圧側マイナス端子NLは、高圧側マイナス端子NHと直流的に同電位にある。
リアクトル12は、その一端が低圧側プラス端子PLに接続されており、他端がトランジスタ11a、11bの接続中点CPに接続されている。低圧側プラス端子PLには、バッテリ3のプラス端子がスイッチ4aを介して接続されている。バッテリ3のマイナス端子は、スイッチ4bを介して低圧側マイナス端子NLに接続されている。
後述するように、コントローラ50が、トランジスタ11a、11bを交互にオンオフすることにより、リアクトル12に流れるリアクトル電流は脈動する。このため、例えば、図2に示すようなリプル(三角波状の交流成分)がリアクトル電流の波形に現れる。本実施例では、リアクトル12の一端側(低圧側プラス端子PL側)に電流センサ16を接続し、リアクトル12を流れる電流の交流成分を電流センサ16により計測する。例えば、電流センサ16は、リアクトル12に流れる電流波形のリプル部分(以下、電流リプルと称する)の振幅値を計測する。電流リプルの振幅値とは、例えば、リプルを構成する三角波の最大値(山の頂部)IRmaxと最小値(谷の底部)IRminの差(Peak to Peak)である。最大値IRmaxは電流リプルの振幅の山の頂部に当たるタイミングTaで計測し、また最小値IRminは電流リプルの振幅の谷の底部に当たるタイミングTbで計測する。以下、電流センサ16により計測したリアクトル電流ILの電流リプルの実測振幅値をILrmと表現する場合がある。電流センサ16の出力端子は、コントローラ50に接続されている。
低圧側プラス端子PLと低圧側マイナス端子NLの間には、フィルタ用のコンデンサ13と電圧センサ17が接続されている。電圧センサ17の出力端子は、コントローラ50に接続されており、低圧側の両端子PL、NL間の電圧(低圧側電圧VL)を計測してコントローラ50に出力する。本実施例では、これらの両端子PL、NLは、スイッチ4a、4bを介して、バッテリ3に接続されている。スイッチ4a、4bの典型例は、システムメインリレーであり、そのオンオフ制御は、電気自動車のメインスイッチ(不図示)の入力に伴って、コントローラ50の上位コントローラに制御される。
低圧側プラス端子PLとリアクトル12の間には、電流センサ16のほかに電流センサ15も接続されている。この電流センサ15は、リアクトル12を流れる電流の直流成分、つまりバッテリ電流IBを計測する。電流センサ15の出力端子も、電流センサ16と同様にコントローラ50に接続されている。尚、図示されていないが、バッテリ3には、その出力電圧(バッテリ電圧VB)を計測する電圧センサが内蔵されており、この電圧センサの出力端子もコントローラ50に接続されている。
インバータ20は、バッテリ3から供給され電圧コンバータ10によって昇圧された直流電力をモータ30(三相交流モータ)に適した三相交流電力に変換する。変換された交流電力はモータ30に供給される。本実施例では、このインバータ20は、昇圧された直流電圧を交流電圧に変換するインバータ回路を主に備えており、モータ30のU、V、Wの各相に対応してスイッチング制御されるIGBTなどのスイッチング素子を備えている。本実施例では、インバータ20は、コントローラ50から出力される駆動信号によりスイッチング素子が制御されて、U、V、Wの各相に対応した三相交流電力を生成可能に構成されている。
コントローラ50は、マイクロコンピュータを中心にRAM、ROMあるいはEEPROMなどの半導体メモリや、入出力インタフェースなどを備えた制御装置である。コントローラ50は、電圧コンバータの昇圧動作や降圧動作を制御したり、インバータ20に対してはモータ30の出力トルクを制御したりする。また、後述するように、電圧コンバータ10の故障も検出する。そのため、入出力インタフェースには、電圧コンバータのトランジスタ11a、11b、電流センサ15、16、電圧センサ17、18、インバータ20や、モータ30の回転センサ(不図示)が接続されている。
コントローラ50は、ROMやEEPROMに記憶された制御プログラムなどをRAMに展開して処理を実行する。また、後述の故障検出処理のプログラムもコントローラ50のROMやEEPROMなどに記憶されている。尚、コントローラ50は、CANやLINなどの車内ネットワークにも接続されており、運転者によるアクセルペダルの踏み込み量に基づくアクセル開度情報やブレーキペダルの踏み込み量に基づくブレーキ踏量情報などを車内ネットワークを介してリアルタイムに取得可能に構成されている。
このように構成される電圧コンバータ10は、コントローラ50がトランジスタ11a、11bを交互にオンオフする。トランジスタ11bのオン期間(トランジスタ11aのオフ期間)にバッテリ3からリアクトル12に電気エネルギが蓄積されると、その蓄積された電気エネルギが、その次のトランジスタ11aのオン期間(トランジスタ11bのオフ期間)にコンデンサ14側に流れる。コントローラ50がトランジスタ11a、11bのオンオフのタイミングを適切にPWM制御することにより、低圧側(低圧側プラス端子PL、マイナス端子NL側)から入力された電圧(バッテリ3の電圧)が昇圧されて高圧側(高圧側プラス端子PH、マイナス端子NH)に出力される。これにより、電圧コンバータ10は、バッテリ3からの入力電圧をモータ30の駆動に適した出力電圧に昇圧することが可能になる(昇圧機能)。
これとは逆に、トランジスタ11aのオン期間(トランジスタ11bのオフ期間)に高圧側のコンデンサ14からリアクトル12に電気エネルギが蓄積されると、その蓄積された電気エネルギが、その次のトランジスタ11bのオン期間(トランジスタ11aのオフ期間)にコンデンサ13側に流れる。コントローラ50がトランジスタ11a、11bのオンオフのタイミングを適切にPWM制御することにより、高圧側(高圧側プラス端子PH、マイナス端子NH)から入力された電圧が降圧されて低圧側(低圧側プラス端子PL、マイナス端子NL側)に出力される。これにより、電圧コンバータ10は、インバータ20からの入力電圧(回生電力の電圧)をバッテリ3の充電に適した出力電圧に降圧することが可能になる(降圧機能)。
ところで、電圧コンバータ10を構成するリアクトル12は、例えば、平角線をエッジワイズ巻きなどにしたコイル部品であり、その巻線は、典型的には絶縁被覆で覆われている。しかし、表面の絶縁被覆が剥がれると、コイルの途中で電気的に短絡する場合がある。このような短絡は、リアクトル12のインダクタンス特性に少しの変化を与えるに過ぎない。そのため、電圧コンバータ10の昇圧機能や降圧機能が大きく損なわれる事態には至り難いものの、コイルの短絡はリアクトル12の発熱量の増加に繋がり得ることから検知する必要がある。
そこで、本実施例では、図3の故障検出処理をコントローラ50が実行することにより、リアクトル12の短絡を検知可能にしている。図3に、コントローラ50が実行する故障検出処理のフローチャート図を示す。尚、この処理は、例えば、当該電気自動車のメインスイッチ(不図示)がオン状態にされた直後に実施される故障診断プログラムに組み込まれて所定周期毎に繰り返し実行される。
図3に示すように、故障検出処理では、まずステップS2により、電流センサ15、16、電圧センサ17、18などから各データを取得する処理が行われる。具体的には、電流センサ15からバッテリ電流IB(単位はA(アンペア))、電流センサ16からリアクトル電流IL(単位はA(アンペア))、電圧センサ17から低圧側電圧VL(単位はV(ボルト))、電圧センサ18から高圧側電圧VH(単位はV(ボルト))を取得する。電流センサ16のリアクトル電流ILには、電流リプルの実測振幅値ILrmが含まれる。また、トランジスタ11a、11bに出力中の駆動信号Sa、Sbの生成に関与したキャリア信号の周波数fc(単位はHz(ヘルツ))のデータも、コントローラ50に記憶されている情報から取得する。
ステップS3では、これらのデータから、電流リプルの振幅の推定値(推定振幅値)を算出する処理が行われる。すなわち、リアクトル12を流れるリアクトル電流ILの電流リプルの推定振幅値ILre(単位はA(アンペア))は、リアクトル12のインダクタンスをL(単位はH(ヘンリー))とすると、ILre=(VL/L)×(1−VL/VH)/fcにより、得られる。得られた電流リプルの推定振幅値ILreと電流センサ16から取得したリアクトル電流ILの電流リプルの実測振幅値ILrmとの差(振幅差)を次のステップS4により求める。
つまり、ステップS4では、電流リプルの実測振幅値ILrmと推定振幅値ILreの振幅差を算出する処理が行われる。この振幅差は、例えば、電流リプルの推定振幅値ILreから実測振幅値ILrmを減算した値の絶対値として算出される。そして、ステップS5により、この振幅差が所定範囲内にあるか否かの判定処理が行われる。この所定範囲は予め定められている。例えば、電流センサ16による計測誤差の範囲がこれに相当し、実験やコンピュータシミュレーションの結果に基づいて決定される。
ステップS5の判定処理により、振幅差が所定範囲内でないと判定した場合には(S5:NO)、続くステップS6により異常カウンタの累積値を加算(カウントアップ)する。この異常カウンタは、一定時間の経過を計時するためのものである。本実施例では、本故障検出処理を故障診断プログラムにより所定周期毎に繰り返し行うため、例えば、異常カウンタの累積値が所定値として「8」を超えたか否かを、ステップS8の判定処理により判定する。これにより、一定時間として、本故障検出処理の実行周期時間の9倍相当の時間を設定することが可能になる。
これに対して、ステップS5による判定処理により、振幅差が所定範囲内であると判定した場合には(S5:YES)、リアクトル12は正常である蓋然性が高い。そのため、ステップS7により異常カウンタの累積値をクリア(ゼロに)した後、本故障検出処理を終える。ステップS5による判定処理により振幅差が所定範囲内でないと判定された後であっても、一定時間の経過前に再実行されたステップS5により振幅差が所定範囲内であると判定されれば、ステップS7により異常カウンタの累積値がクリアされる。
ステップS8の判定処理により、異常カウンタの累積値が所定値を超えたと判定された場合には(S8:YES)、一定時間中、電流リプルの実測振幅値ILrmと推定振幅値ILreの振幅差が所定範囲内にない状態が継続していることになる。このような場合には、リアクトル12の短絡が原因で電圧コンバータ10が故障している蓋然性が高い。そのため、リアクトル12に異常が生じているものと判定し(S8:YES)、続くステップS9により、電圧コンバータ10の故障情報を外部に出力する処理が行われる。
具体的には、例えば、コントローラ50は、車内ネットワークで接続されている他のコントローラや上位コントローラに対して、故障が疑われるリアクトル12を特定する部品IDと故障内容(コイルの短絡)を表すコードを併せて送信する。これにより、例えば、上位コントローラからコントローラ50に対して、電圧コンバータ10の昇圧動作や降圧動作を中止(又は停止)する制御信号が送信されたり、また電力変換装置の故障情報、又は電力変換装置を構成する電圧コンバータ10の故障情報が当該電気自動車のインストルメントパネルに表示されたりする。
以上のとおり、本実施例の電圧コンバータ10では、リアクトル12に流れるリアクトル電流ILを計測する電流センサ16、低電圧側の電圧を計測する電圧センサ17、高電圧側の電圧を計測する電圧センサ18及びコントローラ50を備えている。コントローラ50は、電圧センサ17及び電圧センサ18から夫々出力される低圧側電圧VLと高圧側電圧VHに基づいて2個のトランジスタ11a、11bのスイッチング動作に伴い発生する電流リプルの推定振幅値ILreを算出する(S3)。コントローラ50は、この電流リプルの推定振幅値ILreと、電流センサ16から出力される電流リプルの実測振幅値ILrmと、を比較する(S5)。そして、推定振幅値ILreと実測振幅値ILrmの偏差(振幅差)が予め定められた所定範囲内にない場合には(S5:NO)、コントローラ50はリアクトル12に異常が生じていると判定する(S8:YES、S9)。これにより、コイルの短絡に起因するリアクトル12の異常を早期に検知することが可能になるので、コイルの短絡によるリアクトル12の異常な発熱を抑制することができる。
ところで、図2を参照して説明したように、リアクトル12のリアクトル電流ILに含まれる電流リプルの振幅値は、電流センサ16による計測をリアクトル電流ILの電流リプルの振幅の山の頂部に当たるタイミングTaと、電流リプルの振幅の谷の底部に当たるタイミングTbと、により行われる。しかしながら、電圧コンバータ10を構成する実際の回路では、上アーム(トランジスタ11a)と下アーム(トランジスタ11b)が同時期にオン状態になることで高圧側プラス端子PHと高圧側マイナス端子NHの間が電気的に短絡することを防止するデッドタイム(両アームの同時オフ状態期間)が設けられていたり、またトランジスタ11a、11bのゲートに駆動信号が入力されてからオン動作やオフ動作が完了するまでに要するスイッチング遅延時間など存在したりする。
このようなデッドタイムやスイッチング遅延時間が存在する場合には、リアクトル電流ILの電流リプルに位相の遅れが発生する。そのため、例えば、図2の紙面右側に示すタイミングTc、Tdのように、電流リプルの振幅の山の頂部や谷の底部からズレたタイミングで電流センサ16が電流を計測する可能性があり、電流センサ16により計測した電流値の精度低下を招き得る。
そこで、例えば、改変例1のコントローラ50では、図4に示すように、このようなデッドタイムやスイッチング遅延時間による電流リプルに位相の遅れを見込んだタイミングで電流センサ16による計測を行う。図4に、改変例1のコントローラ50が実行する各信号波形の例を表した説明図を示す。
図4に示す細実線の三角波形はキャリア信号である。また、細一点鎖線の直線状の波形は、キャリア信号に対する比較信号であり、両波形が交差したタイミングで、上アーム(トランジスタ11a)及び下アーム(トランジスタ11b)に対して駆動信号(オン信号又はオフ信号)が出力される(細実線の矩形波形)。この駆動信号に対する上アーム(トランジスタ11a)及び下アーム(トランジスタ11b)の動作状態は、太実線の矩形波形により表されている。上段に示す太実線の三角波形はリアクトル電流ILの電流リプルである。また、細二点鎖線の直線状の波形は、電流リプルの中心値を表したものである。
改変例1のコントローラ50は、当該電気自動車が力行中においては、下アーム(トランジスタ11b)のスイッチング動作に基づいて、デッドタイムやスイッチング遅延時間(見込み遅延時間)による電流リプルに位相の遅れを見込んだタイミングで電流センサ16による計測を行う。例えば、下アーム(トランジスタ11b)をオフ動作からオン動作にする駆動信号(指令値)をトランジスタ11bに出力してから見込み遅延時間dt1を経過した後のタイミングTb(Tb0、Tb1、Tb2)で電流センサ16による計測を行う。これにより、リアクトル電流ILの電流リプルの谷の底部を高精度に計測することが可能になる。また、例えば、下アーム(トランジスタ11b)をオン動作からオフ動作にする駆動信号(指令値)をトランジスタ11bに出力してから見込み遅延時間dt2を経過した後のタイミングTa(Ta1、Ta2)で電流センサ16による計測を行う。これにより、リアクトル電流ILの電流リプルの山の頂部を高精度に計測することが可能になる。
これに対して、図4には図示していないが、当該電気自動車が回生中においては、上アーム(トランジスタ11a)のスイッチング動作に基づいて、デッドタイムやスイッチング遅延時間(見込み遅延時間)による電流リプルに位相の遅れを見込んだタイミングで電流センサ16による計測を行う。例えば、上アーム(トランジスタ11a)をオフ動作からオン動作にする駆動信号(指令値)をトランジスタ11aに出力してから見込み遅延時間を経過した後のタイミングで電流センサ16による計測を行う。これにより、リアクトル電流ILの電流リプルの谷の底部を高精度に計測することが可能になる。また、例えば、上アーム(トランジスタ11a)をオン動作からオフ動作にする駆動信号(指令値)をトランジスタ11aに出力してから見込み遅延時間を経過した後のタイミングで電流センサ16による計測を行う。これにより、リアクトル電流ILの電流リプルの山の頂部を高精度に計測することが可能になる。
また、改変例1のコントローラ50では、キャリア信号の頂部や底部のタイミングTx、Tyにおいて、電流センサ16による計測を行うことにより、リアクトル電流ILの電流リプルの中心電流(平均電流値)を得ることが可能になる(図4に示す破線矩形内)。これにより、リアクトル電流ILの交流成分(電流リプル)を除去したリアクトル電流ILを計測することができる。この場合にも、デッドタイムやスイッチング遅延時間(見込み遅延時間)による電流リプルに位相の遅れを見込んだタイミングで電流センサ16による計測を行うことにより、高精度なリアクトル電流ILの電流リプルの中心電流(平均電流値)を得ることが可能になる。
電圧コンバータ10は、上述のように複数のセンサ(電流センサ15、16、電圧センサ17、18)を備えている。そのため、これらのセンサに故障が生じた場合には、故障したセンサの発見を容易にできることが望ましい。
そこで、改変例2のコントローラ50では、例えば、図5に示す故障部位の特定処理を、図3を参照して説明した故障検出処理のステップS5とステップS6との間に挿入して実行する。図5に、改変例2のコントローラ50が実行する故障部位の特定処理のフローチャート図を示す。
改変例2のコントローラ50は、図3に示すステップS5による否定判定(S5:NO)の後、図5に示す故障部位の特定処理を開始する。コントローラ50は、まず、ステップS11によって、電圧センサ17により計測した低圧側電圧VLと、バッテリ3の電圧センサ(不図示)により計測したバッテリ電圧VBとの電圧偏差(=VL−VB)を算出する処理を行う。次にコントローラ50は、ステップS12により、この電圧偏差が予め定められている所定範囲内にあるか否かの判定処理を行う。この所定範囲は、例えば、電圧センサ17による計測誤差の範囲や、バッテリ3から低圧側プラス端子PLに至るまで間に配線されたパワーケーブルの電気抵抗による電圧降下分などに基づいて決定される。
ステップS12の判定処理によって、この電圧偏差が所定範囲内にないと判定された場合には(S12:NO)、低圧側の電圧センサ17が故障している蓋然性が高い。そのため、コントローラ50は、ステップS14により、低圧側の電圧センサ17の故障情報を所定フラグなどにセットする処理を行い、本故障部位の特定処理を終える。これに対して、ステップS12の判定処理によって、この電圧偏差が所定範囲内にあると判定された場合には(S12:YES)、低圧側の電圧センサ17は正常である蓋然性が高い。そのため、コントローラ50は、次のステップS13により、昇圧又は降圧による電圧偏差を算出する処理を行う。
ステップS13の算出処理では、例えば、電圧センサ17により計測した低圧側電圧VLを電圧センサ18により計測した高圧側電圧VHで除算した(=VL/VH)結果からデューティ比を減算した値の絶対値(電圧偏差)を算出する。そして、コントローラ50は、次のステップS15により、この電圧偏差が予め定められている所定範囲内にあるか否かの判定処理を行う。この所定範囲は、例えば、電流センサ18による計測誤差の範囲がこれに相当し、実験やコンピュータシミュレーションの結果に基づいて決定される。
ステップS15の判定処理によって、この電圧偏差が所定範囲内にないと判定された場合には(S15:NO)、高圧側の電圧センサ18が故障している蓋然性が高い。そのため、コントローラ50は、ステップS17により、高圧側の電圧センサ18の故障情報を所定フラグなどにセットする処理を行い、本故障部位の特定処理を終える。これに対して、ステップS15の判定処理によって、この電圧偏差が所定範囲内にあると判定された場合には(S15:YES)、高圧側の電圧センサ18は正常である蓋然性が高い。そのため、コントローラ50は、次ステップS16により、キャリア指令値とキャリア周波数の周波数偏差を算出する処理を行う。
ステップS16の算出処理では、例えば、昇圧又は降圧用のキャリアの指令値を取得し、その指令値の周波数fcと実際のキャリア周波数fgの偏差(周波数偏差)を算出する。実際のキャリア周波数fgは、例えば、コントローラ50を構成するキャリア信号発生部から得られるキャリア信号の電圧値の変動周期などから算出する(fg=1/変動周期)。そして、次のステップS18により、この周波数偏差が予め定められている所定範囲内にあるか否かの判定処理が行われる。この所定範囲は、例えば、キャリア信号発生部の周波数許容偏差の範囲がこれに相当する。
ステップS18の判定処理によって、この周波数偏差が所定範囲内にないと判定された場合には(S18:NO)、コントローラ50のキャリア信号発生部が故障している蓋然性が高い。そのため、コントローラ50は、ステップS20により、キャリア信号発生部の故障情報を所定フラグなどにセットする処理を行い、本故障部位の特定処理を終える。これに対して、ステップS18の判定処理によって、この周波数偏差が所定範囲内にあると判定された場合には(S18:YES)、キャリア信号発生部は正常である蓋然性が高い。そのため、故障部位の可能性として残っているリアクトル12の故障の蓋然性が高いことから、コントローラ50は、次のステップS19により、リアクトル12の故障情報を所定フラグなどにセットする処理を行い、本故障部位の特定処理を終える。
図5に示す故障部位の切分け処理が終了すると、図3のステップS6に処理を移行する。すなわち、異常カウンタの累計値を加算する処理が行われる。改変例2のコントローラ50では、この異常カウンタが故障部位の種類(リアクトル12用の異常カウンタ、電圧センサ17用の異常カウンタ、電圧センサ18用の異常カウンタ、キャリア信号発生部用の異常カウンタ)だけ存在する。そのため、ステップS6、S7、S8の各処理においては、これらの異常カウンタの夫々について所定の処理が行われる。
実施例技術に関する留意点を述べる。トランジスタ11a、11bが2個のスイッチング素子の一例に相当する。電流センサ16が「リアクトルに流れる電流を計測する電流センサ」の一例に相当する。電圧センサ17が第1電圧センサの一例に相当する。電圧センサ18が第2電圧センサの一例に相当する。リアクトル電流ILが「リアクトルに流れる電流」の一例に相当する。高圧側マイナス端子NH及び低圧側マイナス端子NLが、負極端子の一例に相当する。高圧側プラス端子PHが高電圧側の正極端子の一例に相当する。低圧側プラス端子PLが低電圧側の正極端子の一例に相当する。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書又は図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書又は図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
3:バッテリ
4a、4b:スイッチ
10:電圧コンバータ
11a、11b:トランジスタ
12:リアクトル
13、14:コンデンサ
15、16:電流センサ
17、18:電圧センサ
20:インバータ
30:モータ
50:コントローラ
CP:接続中点
IL:リアクトル電流
ILre:電流リプルの推定振幅値
ILrm:電流リプルの実測振幅値
NH:高圧側マイナス端子
NL:低圧側マイナス端子
PH:高圧側プラス端子
PL:低圧側プラス端子
VH:高圧側電圧
VL:低圧側電圧

Claims (1)

  1. 高電圧側の正極端子と負極端子の間に直列接続されている2個のスイッチング素子と、
    前記2個のスイッチング素子の直列接続の接続中点と低電圧側の正極端子の間に接続されているリアクトルと、
    前記リアクトルに流れる電流を計測する電流センサと、
    前記低電圧側の電圧を計測する第1電圧センサと、
    前記高電圧側の電圧を計測する第2電圧センサと、
    コントローラと、を備えており、
    前記コントローラは、前記第1電圧センサ及び前記第2電圧センサから夫々出力される電圧データに基づいて推定する前記リアクトルの推定電流値であって前記2個のスイッチング素子のスイッチング動作に伴い発生する電流リプルの推定振幅値と、前記電流センサから出力される前記リアクトルの実測電流値であって前記2個のスイッチング素子のスイッチング動作に伴い発生する電流リプルの実測振幅値と、を比較し、前記推定振幅値と前記実測振幅値の差が予め定められた所定範囲内にない場合に前記リアクトルに異常が生じていると判定する、ことを特徴とする電圧コンバータ。
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