1.第1実施形態
1−1.部品装着機用ヘッド及びその周辺の構成
本実施形態に係る部品装着機用ヘッドの構成について、図1〜図6を参照して説明する。本実施形態の部品装着機用ヘッド10は、回路基板などの基板に対して部品を装着する部品装着機1に搭載される装着ヘッドである。部品装着機1は、図1に示す如く、基板搬送装置20と、部品供給装置30と、部品移載装置40と、を備えている。
基板搬送装置20は、基板2を搬送する装置である。基板搬送装置20は、一対のガイドレール21,22と、基板保持部23と、を有している。基板搬送装置20は、基板保持部23に載置され、間隔を空けて互いに平行に配置された一対のガイドレール21,22により搬送方向Xに案内される基板2を、コンベアベルトの輪転により搬送方向Xに向けて搬送する。基板2は、基板搬送装置20により所定の部品装着位置まで搬送されると、クランプ装置により位置決めされる。基板搬送装置20のガイドレール21,22や基板保持部23,クランプ装置は、基板2の種類やサイズ,形状等に応じて適宜交換可能であってよい。
部品供給装置30は、基板2に装着する部品を所定の供給位置Lまで供給する装置である。部品供給装置30は、パーツフィーダ31を有している。パーツフィーダ31は、部品装着機1の本体側に設けられたスロットに着脱可能かつ交換可能に保持される。パーツフィーダ31は、部品を複数個収容したキャリアテープが巻回されるリール32を着脱可能かつ回転可能に保持している。リール32は、部品の種類ごとに設けられている。パーツフィーダ31は、リール32に巻回されているキャリアテープを電動モータの回転により部品が所定の供給位置Lへ向けて走行させる。
部品移載装置40は、所定の供給位置Lまで供給された部品を、所定の部品装着位置に位置決めされている基板2に向けて移載する装置である。部品移載装置40は、上記の部品装着機用ヘッド10と、Y軸スライダ41と、X軸スライダ42と、を有している。
Y軸スライダ41は、Y軸サーボモータにより、基板2の搬送方向Xに直交する方向(以下、直交方向Yと称す。)に延びるガイドレールに沿って移動可能な装置である。X軸スライダ42は、Y軸スライダ41に搬送方向Xへ向けて移動可能に取り付けられている。X軸スライダ42は、Y軸スライダ41の直交方向Yへの移動に伴ってそのY軸スライダ41に一体でその直交方向Yへ位置移動されると共に、X軸サーボモータにより基板2の搬送方向Xへ位置移動される装置である。
部品装着機用ヘッド10は、X軸スライダ42に取り付けられている。部品装着機用ヘッド10は、ヘッド本体11を有している。ヘッド本体11は、所定の供給位置Lに到達した部品を吸着可能な吸着ノズルや把持可能な把持チャック(以下、ノズル等12と称す。)を保持している。尚、ヘッド本体11は、複数のノズル等12を同時に保持可能であってもよい。部品装着機用ヘッド10は、X軸スライダ42に対して着脱可能かつ交換可能である。部品装着機用ヘッド10は、対象部品の種類やサイズ,形状等に応じて適宜変更可能である。
部品装着機用ヘッド10は、X軸スライダ42に対して、搬送方向X及び直交方向Yの双方に直交する上下方向Zに位置移動可能である。部品装着機用ヘッド10のノズル等12は、部品供給装置30の所定の供給位置Lに到達した部品を負圧などを用いて吸着把持すると共に、その吸着把持した部品をその解除により、基板搬送装置20により所定の部品装着位置に位置決めされた基板2上に載置する。
部品装着機1は、その部品装着機1の本体側に取り付けられた制御装置50を備えている。制御装置50は、図2に示す如く、CPU(Central Processing Unit)51やROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などが設けられたコンピュータを主体に構成されている。制御装置50は、電源52から電力供給されることにより制御処理を実行することが可能である。
CPU51は、部品装着機1が設置される工場内などに設けられた管理サーバ3に通信接続されている。CPU51は、管理サーバ3からダウンロードした生産ジョブに従って基板2の生産を行う。具体的には、予め記憶している生産ジョブと使用装置や使用部品との関係に従って、使用すべき装置20,30,40のユニット(例えば、複数保持されたパーツフィーダ31のうちから使用すべきパーツフィーダ31や、部品装着機用ヘッド10に装着された複数のノズル等12のうちから使用すべきノズル等12)を選択し、そのユニットが装着された装着位置を特定し、そのユニットに対して作動指令を行う。
また、部品装着機用ヘッド10には、制御装置(以下、ヘッド制御装置と称す。)60が一体に取り付けられている。ヘッド制御装置60は、コンピュータを主体に構成されており、CPU(以下、ヘッド側CPUと称す。)61と、IO機器62と、RAM63と、ROM64と、電源電圧低下検知部65と、を有している。ヘッド制御装置60は、部品装着機1の本体側の電源52から電源線53を介して電力供給されることにより制御処理を実行することが可能である。尚、ヘッド制御装置60は、電源52からの電力供給により充電される補助バッテリやコンデンサを内蔵していてもよい。
ヘッド側CPU61は、部品装着機1の本体側のCPU51(以下、本機側CPU51と称す。)に通信線54を介して通信接続されている。本機側CPU51は、部品装着機用ヘッド10のIO機器62の作動制御をヘッド側CPU61を介して行う。本機側CPU51は、予め定められた所定周期で、通信線54を通じてヘッド側CPU61に対してIO機器62の作動を指令する。ヘッド側CPU61は、本機側CPU51からの作動指令に従ってIO機器62を作動させる。
また、ヘッド側CPU61は、IO機器62からの情報や各種のヘッドエラー情報を入手することができ、ヘッド本体11の状態変化時を含むタイミングでログ情報を生成することができる。ヘッド側CPU61は、予め定められた所定周期で、入手・生成した情報を通信線54を通じて本機側CPU51へ出力する。本機側CPU51は、ヘッド側CPU61が出力する情報を所定周期で取得する。本機側CPU51は、ヘッド側CPU61からの情報を取得すると、その情報に基づいた処理(例えば、部品装着機用ヘッド10の姿勢制御や管理サーバ3への情報アップなど)を実行する。
IO機器62は、ヘッド側CPU61に接続された、ヘッド本体11に設けられる入力機器及び出力機器の総称である。この入力機器は、各種のセンサやスイッチなどを含み、例えば、ヘッド本体11の姿勢位置に応じた信号を出力するセンサやヘッド制御装置60のCPU基板上の温度に応じた信号を出力するセンサなどである。この入力機器は、生成した信号を情報としてヘッド側CPU61へ向けて送信する。また、この出力機器は、吸着ノズルや把持チャックなどの部品保持部の昇降など、ヘッド本体11を作動させるために必要なソレノイドやモータなどである。この出力機器は、ヘッド側CPU61からの指令に従って作動する。
ヘッド側CPU61は、IO機器62から入手する情報や本機側CPU51との情報授受のための通信線54を介した情報などに基づいて、部品装着機用ヘッド10に生じているヘッドエラーを検出することが可能である。このヘッドエラーは、例えば、ヘッド側CPU61と本機側CPU51との間の通信異常や、IO機器62のセンサ異常や信号送受異常などである。通信異常及び信号授受異常は、信号が固着することや異常な変化を示す信号が含まれていることなどである。センサ異常は、センサの出力する信号が通常では生じ得ない値を示していることなどである。
また、本機側CPU51は、基板2の生産を行っている稼動中、各装置20,30,40のユニットのログ情報を取得し、その取得したログ情報を管理サーバ3へアップする。このログ情報とは、取得時刻又はアップ時刻に関連付けられた処理の履歴を示す情報であって、部品装着機1の機種名や作業機個体識別情報,その状態、並びに、装置20,30,40のユニット種類やユニット個体識別情報,ユニット稼動状態などを纏めたものである。特に、部品装着機用ヘッド10のユニット稼働状態とは、IO機器62に入出力される信号のIO情報、本機側CPU51からの作動指令に対する出力機器のコマンド実施状況(例えば、「実施前」、「実施中」、「実施後」など)、出力機器の作動スピード、CPU基板上の温度などを含んでよい。
本機側CPU51から管理サーバ3へのログ情報のアップタイミングは、部品装着機1の電源オン等でユニットが認識された時、部品装着機1の稼動中に装置20,30,40のユニットが自動交換された時、部品装着機1が自動運転を開始した時、部品装着機1が自動運転を終了した時、部品装着機1が基板2を一枚生産完了した時などであってよく、また、所定期間ごとであってもよい。
RAM63は、ヘッド側CPU61に接続されている。RAM63は、電源52及び補助バッテリなどの何れかから電力が供給されている期間だけ記憶データを保持することが可能な揮発性メモリである。RAM63には、ヘッド側CPU61のプログラム実行で生成される各種の情報が記憶される。RAM63は、上記のログ情報が記憶されるリングバッファ領域と、管理情報が記憶される管理領域と、を有している。
RAM63のリングバッファ領域は、リングバッファ状に構成されており、所定複数個の領域に区分けされている。リングバッファ領域は、所定複数個のログ情報を記憶できる程度の容量を有している。リングバッファ領域に記憶可能なログ情報の個数すなわちリングバッファ領域の容量は、本機側CPU51とヘッド側CPU61との通信周期である時間間隔内に入手する可能性のある最大数のログ情報を十分に記憶できるように設定されている。RAM63のリングバッファ領域へのログ情報の書き込みは、所定複数個に区分けされた領域のうち先頭の領域から最後尾の領域に向けて順に行われる。そして、最後尾の領域にログ情報が書き込まれた後、次のログ情報は、先頭の領域に上書きされる。
RAM63の管理領域には、リングバッファ領域での現在のデータ書き込み先(すなわち、ログ情報の書き込み先)の情報が管理情報として記憶される。ログ情報は、ヘッド側CPU61により順次生成され、RAM63のリングバッファ領域に順次書き込まれる。ヘッド側CPU61は、RAM63の管理領域にログ情報のリングバッファ領域での書き込み先を記憶させ又はその記憶更新を行うことで、生成したログ情報をリングバッファ領域の正しいアドレスに書き込む。
ROM64は、ヘッド側CPU61に接続されている。ROM64は、電力が供給されなくても記憶データを保持することが可能な不揮発性メモリである。ROM64には、後に詳述する所定のタイミングで、RAMのリングバッファ領域に記憶されているログ情報が転送されて書き込まれる。ROM64は、RAM63に記憶されているすべてのログ情報を記憶できる容量を有している。
電源電圧低下検知部65は、ヘッド側CPU61に接続されている。電源電圧低下検知部65は、電源52から電源線53を介してヘッド制御装置60に入力されるヘッド電源の電圧低下を検知する部位である。電源電圧低下検知部65は、そのヘッド電源電圧が所定値以下まで低下したことを検知した場合に、その電圧低下情報をヘッド側CPU61へ出力する。ヘッド側CPU61は、電源電圧低下検知部65からの電圧低下情報の有無に基づいてヘッド電源の電圧低下の有無を検出する。
1−2.部品装着機用ヘッドでのログ情報の処理
まず、ヘッド側CPU61は、電力供給されている間、予め定められた所定周期で本機側CPU51から送られるIO機器62の作動指令に従って、そのIO機器62の出力機器を作動させる処理を実行する。ヘッド側CPU61は、本機側CPU51からの作動指令の所定周期よりも短い周期で、その出力機器の作動についてIO機器62の入力機器からの情報を入手する。そして、ヘッド側CPU61は、出力機器の作動処理中、その入力情報に基づく現在値と目標値との偏差を演算してその偏差に応じた目標指令値を出力する。ヘッド側CPU61は、この一連の処理により生成されるログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させる。また、ヘッド側CPU61は、ヘッドエラー検出や電源電圧低下検知部65による電源電圧低下検出に伴って生成されるログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させることが可能である。
上記したRAM63のリングバッファ領域へのログ情報の記憶は、管理領域に記憶されている現在の書き込み先に生成したログ情報を記憶させるものである。この記憶処理が行われると、管理領域に記憶されているログ情報のリングバッファ領域での書き込み先の情報が次の領域へ更新される。
ヘッド側CPU61は、予め定められた所定周期で、RAM63に記憶されているログ情報を通信線54を通じて本機側CPU51へ出力する。このため、本機側CPU51は、ヘッド側CPU61から所定周期で部品装着機用ヘッド10のログ情報を取得することができ、ヘッド側CPU61との前回通信と今回通信との通信間に生じた部品装着機用ヘッド10のログ情報を取得することができる。従って、本機側CPU51は、ヘッド側CPU61との通信間に部品装着機用ヘッド10に発生した短時間での状態変化を取得することができる。本機側CPU51は、所定条件が満たされた場合(例えば、取得したログ情報が所定数以上に達した場合や前回アップから所定時間が経過した場合など)、取得した部品装着機用ヘッド10のログ情報を管理サーバ3へアップする。
次に、部品装着機用ヘッド10でのヘッドエラー発生時などでのログ情報の処理について、図3−図6を参照して説明する。
ヘッド側CPU61は、電源オン後、IO機器62から入手する情報や本機側CPU51との情報授受のための通信線54を介した情報などに基づいて、部品装着機用ヘッド10に通信異常やセンサ異常などのヘッドエラーが生じているか否かを判別する(図3に示すステップS100)。その結果、ヘッド側CPU61は、部品装着機用ヘッド10にヘッドエラーが生じていないと判別した場合、次に、電源電圧低下検知部65からの情報に基づいて、部品装着機用ヘッド10のヘッド電源電圧が所定値以下まで低下しているか否かを判別する(ステップS110)。その結果、ヘッド側CPU61は、部品装着機用ヘッド10に電源電圧の低下が生じていないと判別した場合、再度、上記ステップS100の処理を実行する。
ヘッド側CPU61は、ステップS100において部品装着機用ヘッド10にヘッドエラーが生じていると判別した場合、RAM63のリングバッファ領域に記憶されているすべてのログ情報を読み込んで、その読み込んだログ情報をROM64へ書き込んで記憶させる(ステップS120)。尚、この際、ヘッド側CPU61は、部品装着機用ヘッド10でのヘッドエラー発生時に入手した情報に基づくログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させたうえで、その後に、そのリングバッファ領域から読み込んだすべてのログ情報をROM64に書き込むこととしてもよい。或いは、そのヘッドエラー発生時に入手した情報に基づくログ情報を、RAM63のリングバッファ領域に記憶させることなく、リングバッファ領域から読み込んだログ情報と併せてROM64に書き込むこととしてもよい。
また、ヘッド側CPU61は、ステップS110において部品装着機用ヘッド10にヘッド電源の電圧低下が生じていると判別した場合、次に、上記ステップS100にて部品装着機用ヘッド10にヘッドエラーが生じていることが検出されていたか否かを判別する(ステップS130)。その結果、ヘッド側CPU61は、ヘッドエラー検出がなされていたと判別した場合は、何ら処理を進めることなく今回のルーチンを終了する。
一方、ヘッド側CPU61は、上記ステップS130においてヘッドエラー検出がなされていないと判別した場合、RAM63のリングバッファ領域に記憶されているすべてのログ情報を読み込んで、その読み込んだログ情報をROM64へ書き込んで記憶させる(ステップS140)。尚、この際、ヘッド側CPU61は、電源電圧低下時に入手した情報に基づくログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させたうえで、その後に、そのリングバッファ領域から読み込んだすべてのログ情報をROM64に書き込むこととしてもよい。或いは、その電源電圧低下時に入手した情報に基づくログ情報を、RAM63のリングバッファ領域に記憶させることなく、リングバッファ領域から読み込んだログ情報と併せてROM64に直接に書き込むこととしてもよい。
このように、部品装着機用ヘッド10においては、ヘッド側CPU61と本機側CPU51との通信異常やIO機器62のセンサ異常などのヘッドエラーが検出された場合に、RAM63に記憶されているログ情報がROM64に転送されて記憶される。RAM63は揮発性メモリであるので、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じると、そのRAM63に記憶していた情報は消去される。一方、ROM64は不揮発性メモリであるので、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じても、そのROM64に記憶している情報は消去されずに保持される。
このため、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と同じログ情報を、ヘッドエラー発生後の復旧後にROM64から取り出すことができるので、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じても、ヘッドエラー発生直前における部品装着機用ヘッド10の状態をそのヘッドエラー発生後に確認することができる。従って、部品装着機用ヘッド10によれば、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報を、ROM64へ書き込んだうえで、例えば通信線54を通じて本機側CPU51へ出力して部品装着機1の本体側に認識させることができると共に、そのヘッドエラー発生後の復旧後にそのログ情報を解析することができる。
また、部品装着機用ヘッド10においては、ヘッド電源の電圧低下が検出された場合に、RAM63に記憶されているログ情報がROM64に転送されて記憶される。ROM64は、RAM63とは異なり不揮発性メモリであるので、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じても、そのROM64に記憶している情報は消去されずに保持される。
このため、ヘッド電源電圧低下の検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と同じログ情報を、その電圧低下後の復旧後にROM64から取り出すことができるので、そのヘッド電源電圧低下後に電源オフ等が生じても、そのヘッド電源電圧低下直前における部品装着機用ヘッド10の状態をそのヘッド電源電圧低下後に確認することができる。従って、部品装着機用ヘッド10によれば、ヘッド電源電圧低下の検出時にRAM63に記憶されていたログ情報を、そのヘッド電源電圧低下後の復旧後に解析することができ、通信線54を通じて本機側CPU51へ出力することができる。
尚、ヘッド電源の電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送は、その転送前に、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送が行われていない場合にのみ実行されるものであり、そのヘッドエラー発生に伴う転送が行われていた場合は実行されない。すなわち、ヘッドエラー発生が先に検出されかつヘッド電源電圧低下がその後に検出された場合において、両検出がタイミング的に重複するときは、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送のみが実行される。
尚、上記したヘッドエラー検出とヘッド電源電圧低下検出とがタイミング的に重複するか否かの判別は、両検出時にRAM63に同じログ情報が記憶されているか否かに基づいて行われるものであってもよいし、また、ヘッド電源電圧低下がヘッドエラー発生に起因して生じたものであるか否かに基づいて或いは両検出の時間間隔が予め定めた所定時間未満であるか否かに基づいて行われるものであってもよい。
例えば図4に示す如く、ヘッドエラー検出時TaにRAM63に記憶されていたログ情報Aと、そのヘッドエラー発生後のヘッド電源電圧低下検出時TbにRAM63に記憶されていたログ情報Bと、に同じログ情報が含まれておらず、両ログ情報の重複がない場合、両検出の時間間隔が所定時間未満であれば、ヘッドエラー検出時TaにRAM63に記憶されていたログ情報AのみがROM64に転送されて記憶される。また、図5に示す如く、ヘッドエラー検出時TaにRAM63に記憶されていたログ情報Aと、そのヘッドエラー発生後のヘッド電源電圧低下検出時TbにRAM63に記憶されていたログ情報Bと、に同じログ情報が含まれており、両ログ情報の重複がある場合も、そのヘッドエラー検出時TaにRAM63に記憶されていたログ情報AのみがROM64に転送されて記憶される。そして、図6に示す如く、ヘッド電源電圧低下検出時TbにRAM63に記憶されていたログ情報BがROM64に転送されて記憶されるのは、そのヘッド電源電圧低下検出時Tbの前にヘッドエラーが検出されていない場合のみである。
この構成によれば、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、そのヘッドエラー発生後のヘッド電源電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、が重複して行われるのは回避される。このため、ヘッドエラー検出時のログ情報のRAM63からROM64への転送に要する時間が長期に亘るのを防止することができる。また、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、その後のヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、に同じログ情報が含まれているときに、両ログ情報の双方がROM64に書き込まれることは回避されるので、ROM64に同じログ情報が重複して記憶されるのを防止することができる。
また、この構成によれば、ROM64に記憶されるログ情報として、単独でヘッド電源の電圧低下が生じたことに伴うログ情報と、ヘッドエラー発生後にヘッド電源の電圧低下が生じたことに伴うログ情報と、が混在するのは回避される。このため、復旧後、ヘッド電源電圧低下に伴うログ情報をROM64から取り出した後、そのログ情報がヘッドエラー発生後に生じたものであるか否かの区別が不要であるので、そのログ情報の解析に手間がかかるのを防止することができ、ログ情報の解析効率を向上させることができる。
以上、説明したことから明らかなように、本実施形態の部品装着機用ヘッド10は、部品を保持するノズル等12が装着されるヘッド本体11と、部品装着機1に通信接続され、部品装着機1側からの指示に従ってヘッド本体11を作動させると共に、ヘッド本体11の状態を示すログ情報を所定周期で部品装着機1側へ出力するヘッド側CPU61を有するヘッド制御装置60と、ヘッド本体11の状態の変化時を少なくとも含むタイミングでログ情報を記憶するリングバッファ状のRAM63と、ログ情報を記憶可能なROM64と、を備える。ヘッド制御装置60のヘッド側CPU61は、ヘッドエラーを検出し、そのヘッドエラーが検出された場合に、RAM63に記憶されているログ情報をROM64に記憶させる。
この構成によれば、ヘッドエラーが生じた場合に、RAM63に記憶されている情報がROM64に転送されて記憶される。かかる構成においては、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じても、ROM64に記憶している情報は消去されずに保持される。このため、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と同じログ情報を、ヘッドエラー発生後の復旧後にROM64から取り出すことができるので、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じても、ヘッドエラー発生直前における部品装着機用ヘッド10の状態をそのヘッドエラー発生後に確認することができる。
部品装着機用ヘッド10において、ヘッド制御装置60は、更に、ヘッド本体11への電源電圧の低下を検出する電源電圧低下検知部65を有する。ヘッド側CPU61は、電源電圧低下検知部65によりヘッド電源電圧低下が検出された場合に、RAM63に記憶されているログ情報をROM64に記憶させる。
この構成によれば、ヘッド電源の電圧低下が生じた場合に、RAM63に記憶されているログ情報がROM64に転送されて記憶される。かかる構成においては、ヘッドエラー発生後に電源オフ等が生じても、ROM64に記憶している情報は消去されずに保持される。このため、ヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と同じログ情報を、その電圧低下後の復旧後にROM64から取り出すことができるので、そのヘッド電源電圧低下後に電源オフ等が生じても、そのヘッド電源電圧低下直前における部品装着機用ヘッド10の状態をそのヘッド電源電圧低下後に確認することができる。
部品装着機用ヘッド10において、ヘッド側CPU61は、ヘッドエラーの検出とヘッド電源電圧低下の検出とがタイミング的に重複する場合、ヘッドエラー検出がヘッド電源電圧低下検出よりも先に行われたとき、そのヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報をROM64に記憶させる。
この構成によれば、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、ヘッド電源電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、が重複するのを回避できるので、ヘッドエラー検出時のログ情報の転送に要する時間が長期に亘るのを防止することができる。また、ヘッドエラー検出時のログ情報とヘッド電源電圧低下検出時のログ情報とに同じログ情報が含まれているときに、両ログ情報の双方がROM64に書き込まれることは回避されるので、ROM64に同じログ情報が重複して記憶されるのを防止することができる。
1−3.第1実施形態の変形例
ところで、上記の第1実施形態においては、ヘッド側CPU61に、図3に示すルーチンを実行させることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。ヘッド側CPU61に、図3に示すルーチンに代えて図7に示すルーチンを実行させることとしてもよい。尚、図7に示すルーチンにおいて、図3に示すルーチン中と同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
すなわち、ヘッド側CPU61は、ステップS100において部品装着機用ヘッド10にヘッドエラーが生じていると判別した場合、RAM63のリングバッファ領域に記憶されているすべてのログ情報を読み込んで、その読み込んだログ情報をROM64へ書き込んで記憶させる(図7に示すステップS200)。尚、この際、ヘッド側CPU61は、部品装着機用ヘッド10でのヘッドエラー発生時に入手した情報に基づくログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させたうえで、その後に、そのリングバッファ領域から読み込んだすべてのログ情報をROM64に書き込むこととしてもよい。或いは、そのヘッドエラー発生時に入手した情報に基づくログ情報を、RAM63のリングバッファ領域に記憶させることなく、リングバッファ領域から読み込んだログ情報と併せてROM64に書き込むこととしてもよい。ヘッド側CPU61は、ステップS200においてRAM63内のログ情報をROM64へ書き込んだ後、今回のルーチンを終了する。
また、ヘッド側CPU61は、ステップS110において部品装着機用ヘッド10に電源電圧の低下が生じていると判別した場合、RAM63のリングバッファ領域に記憶されているすべてのログ情報を読み込んで、その読み込んだログ情報をROM64へ書き込んで記憶させる(ステップS210)。尚、この際、ヘッド側CPU61は、電源電圧低下時に入手した情報に基づくログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させたうえで、その後に、そのリングバッファ領域から読み込んだすべてのログ情報をROM64に書き込むこととしてもよい。或いは、その電源電圧低下時に入手した情報に基づくログ情報を、RAM63のリングバッファ領域に記憶させることなく、リングバッファ領域から読み込んだログ情報と併せてROM64に直接に書き込むこととしてもよい。ヘッド側CPU61は、ステップS210においてRAM63内のログ情報をROM64へ書き込んだ後、今回のルーチンを終了する。
このように、変形形態の部品装着機用ヘッド10においても、ヘッド側CPU61と本機側CPU51との通信異常やIO機器62のセンサ異常などのヘッドエラーが生じた場合、及び、ヘッド電源の電圧低下が生じた場合に、RAM63に記憶されているログ情報がROM64に転送されて記憶される。このため、ヘッドエラー検出時又はヘッド電源の電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と同じログ情報を、復旧後にROM64から取り出すことができるので、ヘッドエラー発生後又はヘッド電源電圧低下後に電源オフ等が生じても、ヘッドエラー発生直前又はヘッド電源電圧低下直前における部品装着機用ヘッド10の状態をそのヘッドエラー発生後やヘッド電源電圧低下後に確認することができる。
また、この変形形態においては、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送後(ステップS100の肯定判定に伴うステップS200の処理後)は、ステップS110の処理が実行されないので、ステップS210におけるヘッド電源電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送は行われない。すなわち、ヘッド電源電圧低下に伴うログ情報の転送(ステップS210の処理)は、ステップS100においてヘッドエラーが発生していないと判定された場合に限られる。
このため、上記の第1実施形態と同様に、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、そのヘッドエラー発生後のヘッド電源電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、が重複して行われるのを回避することができるので、ヘッドエラー検出時のログ情報のRAM63からROM64への転送に要する時間が長期に亘るのを防止することができる。ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、その後のヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、に同じログ情報が含まれているときに、両ログ情報の双方がROM64に書き込まれることは回避されるので、ROM64に同じログ情報が重複して記憶されるのを防止することができる。
また、ROM64に記憶されるログ情報として、単独でヘッド電源の電圧低下が生じたことに伴うログ情報と、ヘッドエラー発生後にヘッド電源の電圧低下が生じたことに伴うログ情報と、が混在するのを回避することができるので、復旧後、ヘッド電源電圧低下に伴うログ情報をROM64から取り出した後の解析に手間がかかるのを防止することができる。
2.第2実施形態
本実施形態に係る部品装着機用ヘッドの構成及び処理について、図8−図12を参照して説明する。本実施形態の部品装着機用ヘッド10は、第1実施形態の部品装着機用ヘッド10に対してヘッド制御装置60が有するROM64の構造が異なると共に、ヘッド側CPU61が図3に示すルーチンに代えて図8に示すルーチンを実行することにより実現される。尚、図8に示すルーチンにおいて、図3に示すルーチン中と同一の処理を実行するステップについては、同一の符号を付してその説明を省略又は簡略する。
本実施形態において、ROM64は、図9に示す如く、第1メモリ領域64aと、第2メモリ領域64bと、を有している。第1メモリ領域64aは、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報が記憶されるヘッドエラー用領域である。また、第2メモリ領域64bは、ヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報が記憶される電源電圧低下用領域である。以下、第1メモリ領域64aをヘッドエラー用領域64aと、第2メモリ領域64bを電源電圧低下用領域64bと、それぞれ称す。
ヘッド側CPU61は、ステップS100において部品装着機用ヘッド10にヘッドエラーが生じていると判別した場合、RAM63のリングバッファ領域に記憶されているすべてのログ情報を読み込んで、その読み込んだログ情報をROM64へ書き込んで記憶させる(ステップS120)。この際、ログ情報は、ROM64のヘッドエラー用領域64aに書き込まれる。
また、ヘッド側CPU61は、ステップS110において部品装着機用ヘッド10に電源電圧の低下が生じていると判別した場合、RAM63のリングバッファ領域に記憶されているすべてのログ情報を読み込んで、その読み込んだログ情報をROM64へ書き込んで記憶させる(図8に示すステップS300)。尚、この際、ヘッド側CPU61は、電源電圧低下時に入手した情報に基づくログ情報をRAM63のリングバッファ領域に記憶させたうえで、その後に、そのリングバッファ領域から読み込んだすべてのログ情報をROM64に書き込むこととしてもよい。或いは、その電源電圧低下時に入手した情報に基づくログ情報を、RAM63のリングバッファ領域に記憶させることなく、リングバッファ領域から読み込んだログ情報と併せてROM64に直接に書き込むこととしてもよい。また、この際、ログ情報は、ROM64の電源電圧低下用領域64bに書き込まれる。ヘッド側CPU61は、ステップS300においてRAM63内のログ情報をROM64へ書き込んだ後、今回のルーチンを終了する。
このように、本実施形態の部品装着機用ヘッド10においても、ヘッド側CPU61と本機側CPU51との通信異常やIO機器62のセンサ異常などのヘッドエラーが生じた場合、及び、ヘッド電源の電圧低下が生じた場合に、RAM63に記憶されているログ情報がROM64に転送されて記憶される。このため、ヘッドエラー検出時又はヘッド電源の電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と同じログ情報を、復旧後にROM64から取り出すことができるので、ヘッドエラー発生後又はヘッド電源電圧低下後に電源オフ等が生じても、ヘッドエラー発生直前又はヘッド電源電圧低下直前における部品装着機用ヘッド10の状態をそのヘッドエラー発生後やヘッド電源電圧低下後に確認することができる。
また、本実施形態においては、ヘッドエラー発生に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、ヘッド電源の電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送と、がそれぞれ独立して行われる。すなわち、ヘッド電源の電圧低下に伴うRAM63からROM64へのログ情報の転送は、その転送前に、ヘッドエラー発生に伴う転送が行われても実行される。
但し、それらのヘッドエラー発生に伴う転送とヘッド電源電圧低下に伴う転送とは、ROM64での格納領域を異にして行われる。すなわち、ヘッドエラー発生に伴う転送は、ROM64のヘッドエラー用領域64aに対して行われる。また、ヘッド電源電圧低下に伴う転送は、ROM64の電源電圧低下用領域64bに対して行われる。
例えば図10に示す如く、ヘッドエラー検出時TaにRAM63に記憶されていたログ情報Aと、そのヘッドエラー発生後のヘッド電源電圧低下検出時TbにRAM63に記憶されていたログ情報Bと、に同じログ情報が含まれておらず、両ログ情報の重複がない場合、ログ情報AがROM64のヘッドエラー用領域64aに転送されて記憶されると共に、ログ情報BがROM64の電源電圧低下用領域64bに転送されて記憶される。また、図11に示す如く、ヘッドエラー検出時TaにRAM63に記憶されていたログ情報Aと、そのヘッドエラー発生後のヘッド電源電圧低下検出時TbにRAM63に記憶されていたログ情報Bと、に同じログ情報が含まれており、両ログ情報の重複がある場合も、ログ情報AがROM64のヘッドエラー用領域64aに転送されて記憶されると共に、ログ情報BがROM64の電源電圧低下用領域64bに転送されて記憶される。そして、図12に示す如く、ヘッド電源電圧低下が時間Tbに単独で生じたときは、そのヘッド電源電圧低下検出時TbにRAM63に記憶されていたログ情報BがROM64の電源電圧低下用領域64bに転送されて記憶される。
この構成によれば、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、ヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、をROM64の別々の領域に記憶することができ、イベント種類ごとにログ情報を分けてROM64に記憶することができる。このため、ROM64からログ情報を取り出す際に、その取り出し目的に合致したログ情報のみを取り出すことができ、その取り出しを容易に行うことができるので、ログ情報を解析するうえでの効率を向上させることができる。
以上、説明したことから明らかなように、本実施形態の部品装着機用ヘッド10において、ROM64は、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されているログ情報が記憶されるヘッドエラー用領域64aと、ヘッドエラー用領域64aとは異なる、ヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されているログ情報が記憶される電源電圧低下用領域64bと、を有する。ヘッド側CPU61は、RAM63に記憶されているログ情報を、ヘッドエラー検出時はヘッドエラー用領域64aに記憶させ、ヘッド電源電圧低下検出時は電源電圧低下用領域64bに記憶させる。
この構成によれば、ヘッドエラー検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、ヘッド電源電圧低下検出時にRAM63に記憶されていたログ情報と、をROM64の別々の領域に記憶することができ、イベント種類ごとにログ情報を分けてROM64に記憶することができる。このため、ROM64からログ情報を取り出す際に、その取り出し目的に合致した種類のログ情報のみを取り出すことができ、その取り出しを容易に行うことができる。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。