JP6746449B2 - スピーカー用部品およびその製造方法、並びにスピーカー - Google Patents

スピーカー用部品およびその製造方法、並びにスピーカー Download PDF

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Description

本発明は、振動減衰率が高く、明瞭な音響を広範囲に伝えると共に、熱曲げ加工が可能なスピーカー用部品およびその製造方法、並びにスピーカーに関する。
従来、スピーカー用部品には木材や金属、繊維、樹脂等の材料が、形状の成形し易さや音響性能の観点から選択され、使用されている。また、スピーカー用部品は見た目上の意匠も重要である。しかしながら、使用される材料によっては、発生された音の振動が残音として長時間残り、これが次に発せられる音と重なって、明瞭な音を伝えにくいものもある。
特に、屋外において広い空間に音や人間の音声を伝える際、残音は障害となる。また、遊園地での迷子の連絡や、駅、ホーム、バスターミナル、空港でのダイヤの遅延や事故の情報を遠くまで的確に伝えることは非常に重要である。さらに、豪雨、洪水、鉄砲水、土砂災害、火山噴火、火砕流、泥流、豪雪、地滑り、雪崩、地震、津波、火災、原発事故、紛争、テロ等の災害情報を広範囲に伝える必要がある際に、残音の残るスピーカーでは災害情報を正確に伝えることができず、人命救助に繋がらないこともある。特に、電気やラジオ、テレビ放送、インターネットが寸断された際には、屋外のスピーカーが重要視されることが多々ある。
これに対して、特許文献1は、合成繊維の多孔質の中空糸を用いた吸音材からなるスピーカーキャビネットを提案する。しかしながら、特許文献1に開示された吸音材は、特定の周波数の音を制限するものであり、人間に心地よい音のみを特定の限られた場所に伝えることはできるものの、必要な情報を広範囲に伝えることには不向きである。
このように吸音性に特化した部材を用いた場合、本来伝えたい情報までも制限されることがある。また、音を遠くまで伝えるには多くの電気エネルギーが必要になり、かつ多くのスピーカーが必要となる。その結果、エネルギーのロスになることや、スピーカーが狭い地域で密集することで、音が重なり合ってかえって聞き取りにくくなるという問題がある。
また、特許文献2は、軽量でかつ高強度、高弾性の材料として高減衰能炭素繊維強化樹脂複合材料を提案する。しかしながら、このような熱硬化性の炭素繊維強化樹脂複合材料は後加工性に課題が多く、一旦熱的に賦形すると後加工することは難しく、熱を加えても変形しないため熱的な後加工が難しい。また、このような炭素繊維強化樹脂複合材料からなる成形体に多数の貫通孔をあけようとすると、割れの発生、バリの発生、或いは炭素繊維の粉塵による電気設備のショートの虞があるため、穿孔による加工は制限される。
さらに、特許文献3は、芳香族ポリアミドの粒子とマトリックス樹脂と炭素繊維からなる繊維強化樹脂構造物を提案する。しかしながら、特許文献3に開示された繊維強化樹脂構造物は、固有振動数が100Hz以上、かつ損失係数が0.025以下であるため、屋外のスピーカーに用いるには振動減衰性が不十分であった。
特許第3007886号公報 特開平7−144371号公報 特開2013−203788号公報
本発明はかかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、振動減衰効果が高く、広範囲に渡り音の良く通るスピーカー用部品およびその製造方法、並びにスピーカーを提供することにある。
上記目的を達成する本発明のスピーカー用部品は以下の構成を有する。
(1)熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料からなる熱可塑性炭素繊維樹脂基材から構成されると共に、前記複合材料の固有振動数が10Hz〜60Hz、かつ損失係数が
0.04以上であることを特徴とするスピーカー用部品。
(2)前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材が、前記炭素繊維を5重量%〜60重量%含有し、全炭素繊維中、繊維長が0.01mm〜0.5mmである炭素繊維の割合が60重量%以上であることを特徴とする上記(1)のスピーカー用部品。
(3)前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材が複数の貫通孔を有する多孔シートであり、該多孔シートの厚さが0.05mm〜10mmで、前記貫通孔の孔径が0.1mm〜100mm、前記複数の貫通孔の開口部面積の合計がシート全面に対して5%〜75%であり、スピーカーカバーであることを特徴とする上記(1)または(2)のスピーカー用部品。
(4)前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さが0.05mm〜2.0mmで、スピーカーコーンであることを特徴とする上記(1)または(2)のスピーカー用部品。
(5)前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さが0.1mm〜10.0mmである、スピーカー筐体であることを特徴とする上記(1)または(2)のスピーカー用部品。
また、本発明のスピーカー用部品を製造する方法は以下の構成を有する。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかのスピーカー用部品を製造する方法であって、溶融異形押出成形、溶融シート押出成形、射出成形、真空成形またはブロー成形により、前記複合材料から前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材を成形することを特徴とするスピーカー用部品の製造方法。
(7)前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材を冷却する際に、その片側の面を金属賦形面と接触させ、前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材における前記金属賦形面との非接触面にスプリングバックを生起させることを特徴とする上記(6)のスピーカー用部品の製造方法。
さらに、本発明のスピーカーは以下の構成を有する。
(8)上記(1)〜(5)のいずれかのスピーカー用部品からなるスピーカー。
本発明のスピーカー用部品によれば熱可塑性炭素繊維樹脂基材の振動減衰率が高いので残音が少なく明瞭な音であって、広範囲に渡り良く音を通すことができる。
本発明の多孔シートの実施形態の一例を示した斜視図である。 本発明のスピーカーコーンの実施形態の一例を示した斜視図である。 振動減衰性の測定に用いる装置の一例を概略的に示す説明図である。 振動減衰性の測定データの一例を示す説明図である。 図4の減衰振動波形の極大値をプロットした説明図である。 実施例1のスピーカーにおける振動減衰性の測定結果を示す説明図である。 比較例1のスピーカーにおける振動減衰性の測定結果を示す説明図である。
本発明のスピーカー用部品は熱可塑性炭素繊維樹脂基材で構成され、この熱可塑性炭素繊維樹脂基材は熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料、所謂炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物により形成される。
複合材料を構成する炭素繊維として、例えばポリアクリロニトリル系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維が挙げられるが、いずれの炭素繊維でも良い。炭素繊維の単繊維径は、特に制限されるものではないが、好ましくは5μm〜10μm、より好ましくは6μm〜8μmが良い。なお、炭素繊維強化熱可塑性樹脂組成物の調製に使用する炭素繊維は、長繊維(ロービング)、短繊維(チョップドストランド)のいずれでも良いが、好ましくは短繊維であると良い。
複合材料のマトリックスとなる熱可塑性樹脂として、ポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレン、ポリスチレン)、ポリアミド(例えばナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン610、芳香族ナイロン)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリスルフォキサイド、ポリテトラフルオロエチレン、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエーテル・エーテル・ケトン、ポリオキシメチレン等が挙げられる。また、これら熱可塑性樹脂の誘導体や変性体、これら熱可塑性樹脂の共重合体、さらにそれらの混合物でも良い。
熱可塑性樹脂としてはポリアミドが好ましく、ナイロン6、ナイロン66、それらの誘導体もしくは共重合体、またはこれらの少なくとも1つを含む混合物がより好ましく、ナイロン6、ナイロン66がさらに好ましい。
また、熱可塑性樹脂としてはポリオレフィンも好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの誘導体もしくは共重合体、またはこれらの少なくとも1つを含む混合物がより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンがさらに好ましい。さらに、アクロニトリルブタジエンスチレン共重合体、その誘導体もしくは共重合体、またはこれを含む混合物も好ましい。さらに、ポリフェニレンサルファイド、その誘導体もしくは共重合体、または上記のいずれかを含む混合物も好ましい。
熱可塑性樹脂は、互いに粘度の異なる第1の熱可塑性樹脂および第2の熱可塑性樹脂を少なくとも含むと良い。互いに粘度の異なる2以上の熱可塑性樹脂を含むことにより、溶融成形時にスプリングバックを起こすことができる。本発明では、熱可塑性樹脂の融点から20〜50℃の高い所定温度において、第2の熱可塑性樹脂の粘度が第1の熱可塑性樹脂の粘度の3〜70倍であることが好ましく、5〜50倍であることがより好ましく、10〜30倍であることがさらに好ましい。第1の熱可塑性樹脂および第2の熱可塑性樹脂は、分子量や共重合成分を相違させた同じ種類の熱可塑性樹脂であると良い。
上記スピーカー用部品では、粘度の高い樹脂と粘度の低い樹脂の一方が極端に多く含まれていると、スプリングバックが大き過ぎ、破れやシート自体強度が低下する。その一方で、粘度の高い樹脂が極端に多い場合、樹脂と炭素繊維との密着性が悪く、割れの原因になる。また、粘度の高い樹脂を用いての溶融混練は、樹脂温度が上がりすぎて、樹脂が分解してしまう。これは、炭素繊維とガラス繊維の双方で同じ傾向にあり、特に炭素繊維と高粘度の樹脂とを混合すると発熱が高く分解し易い。さらに、射出成形において、炭素繊維と樹脂とを混合したものを射出成形しても、流動性が低いため、薄物を作製することは難しい。
同時に、ガラス繊維と粘度の高い樹脂とを用いて、たとえ樹脂ができてもシート化する際にロール表面を傷つけて、シートを連続して作製することができない。また、流動性が低いため、射出成形しにくい。特に、薄物の射出成形においては困難である。粘度の低い樹脂とガラス繊維とを組合せて射出成形することは可能であるが、これも流動性の観点から薄物を作製することは難しい。よって、射出成形で製品を得ることもできるが、流動性に劣るため、1mm以上の厚手の板しかできず、連続的に生産することができず、かつウエルドによる割れも発生し易い。
上述したスピーカー用部品において、熱可塑性炭素繊維樹脂基材における粘度の異なる樹脂の比率は、重量で低粘度樹脂が高粘度樹脂に対して0.3〜5.0倍であることが好ましく、0.5〜2.0倍であることがより好ましい。
熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料100重量%中、炭素繊維が好ましくは5重量%〜60重量%、より好ましくは10重量%〜35重量%であると良い。炭素繊維の含有量をこのような範囲内にすることにより、熱可塑性炭素繊維樹脂基材の振動減衰特性を安定させることができる。
熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料は、その対数振動減衰率が0.07〜0.30である。複合材料の対数振動減衰率が0.07未満であると、スピーカー用部品の振動が長時間残り、音が重なって聞き取りにくくなる。また、対数振動減衰率が0.30を超えると、スピーカー用部品の振動が過度に抑えられてしまい、音が伝わりにくくなる。複合材料の対数振動減衰率は、0.08〜0.30の範囲が好ましく、0.10〜0.30の範囲がより好ましく、0.15〜0.30の範囲がさらに好ましい。
対数振動減衰率と損失係数の関係として、対数振動減衰率は損失係数に円周率πを掛けたものに等しい(対数振動減衰率=損失係数×π)。複合材料の対数振動減衰率が、同じ厚さの金属、例えばステンレスと比べて5倍である場合、この複合材料を用いたスピーカー用部品の振動はステンレス製のものと比べて1/5の時間に短縮される。すなわち、スピーカーからの残音が5倍早く消えるため、次に発せられる音が非常に明瞭に聞こえる。
一方、金属は同じ厚さの複合材料と比べて対数振動減衰率が小さいので、金属からなるスピーカー用部品の振動は比較的残り易い。そのため、金属からなるスピーカー用部品は長時間に渡って残音が残るので、スピーカーから発せられる音は聞きとりにくい上に遠くまで伝わらない。
また、本発明におけるスピーカー用部品は、熱可塑性樹脂と短繊維からなる炭素繊維とのマトリックスを含む複合材料からなる熱可塑性炭素繊維樹脂基材から構成されると共に、複合材料の固有振動数は、10Hz〜60Hz、好ましくは10Hz〜50Hzである。
複合材料の固有振動数が、同じ厚さの金属、例えばステンレスと比べて1/2である場合、この複合材料を用いたスピーカー用部品の振動の回数はステンレス製のものと比べて1/2になる。すなわち、スピーカーからの残音が早く消えるため、次に発せられる音が非常に明瞭に聞こえる。
一方、金属は同じ厚さの複合材料と比べて固有振動数が大きいので、金属からなるスピーカー用部品は高音の振動が比較的残り易い。そのため、金属からなるスピーカー用部品は高音の残音が残るので、スピーカーから発せられる音は聞きとりにくい上に遠くまで伝わらない。
さらに、本発明におけるスピーカー用部品において、複合材料の損失係数は0.025以上である。複合材料の損失係数は、0.03以上が好ましく、0.04以上がより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、0.06以上が最も好ましい。
複合材料の損失係数が、同じ厚さの金属、例えばステンレスと比べて5倍である場合、この複合材料を用いたスピーカー用部品の振動はステンレス製のものと比べて1/5の時間に短縮される。すなわち、スピーカーからの残音が早く消えるため、次に発せられる音が非常に明瞭に聞こえる。
一方、金属は同じ厚さの複合材料と比べて損失係数が小さいので、金属からなるスピーカー用部品の振動は比較的残り易い。そのため、金属からなるスピーカー用部品は残音が長時間残るので、スピーカーから発せられる音は聞きとりにくい上に遠くまで伝わらない。
本発明のスピーカー用部品は、上述した複合材料により形成された熱可塑性炭素繊維樹脂基材からなる。このスピーカー用部品は、振動を早期に抑えることができるので、残音が少なく、明瞭に音を遠くまで細かく伝えることが可能となる。よって、本発明のスピーカー用部品はハイレゾリューション用のスピーカー等に用いることが好適である。また、金属に比べて錆びに強くメンテナンス交換の間隔が長いため、長期間に渡って使用することができる。さらに、軽量であるので取り付けが容易であり、金属のような錆びも無いため、屋外高所からの落下の危険性を軽減することができる。
本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材は炭素繊維を含有するので、炭素繊維を含有しない樹脂製品と比べて静電気の発生を抑えることができる。そのため、冬場における静電気の発生によるトラブルも少ない。また、本発明の熱可塑性炭素繊維樹脂基材はパンチング加工時に破損し難く、加工性に優れている。さらに、熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、ベースが熱可塑性樹脂であるため塗装も容易であり、顔料や染料に関係なく塗布することができる。特に、含フッ素塗料を用いることで、耐水性能や耐汚性能を向上することができる。
本発明のスピーカー用部品はスピーカーカバーとして用いることができる。その場合、図1に示すように、熱可塑性炭素繊維樹脂基材1は複数の貫通孔3を有する多孔シート2であり、多孔シート2の厚さは0.05mm〜10.0mmで、貫通孔3の孔径は0.1mm〜100.0mm、複数の貫通孔3の開口部面積の合計はシート全面の面積に対して5%〜75%であることが好ましい。さらに、多孔シート2の厚さは0.1mm〜1.0mmで、貫通孔3の孔径が0.5mm〜5.0mm、複数の貫通孔3の開口部面積の合計はシート全面の面積に対して20%〜70%であることがより好ましい。さらに好ましくは、複数の貫通孔3の開口部面積の合計はシート全面の面積に対して30%〜60%である。
スピーカーカバーの貫通孔の孔径が、小さ過ぎると音を遮断する一方で、大き過ぎると外部からの物理的影響によりスピーカーコーン等が破壊される。また、スピーカーカバーの貫通孔の開口率(シートの総面積に対する貫通孔の開口部の総面積の比率)が、小さ過ぎると音が伝わりにくく、開口率が大き過ぎるとスピーカーカバーの強度を保つことができない。一方、貫通孔のピッチについても開口率と同様であり、ピッチが広過ぎると音が遮断され、ピッチが狭過ぎるとスピーカーカバーの強度が下がる傾向がある。
また、図2に示すように、上記スピーカー用部品はスピーカーコーン4として用いることができる。その場合、熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さは0.05mm〜2.0mmであることが好ましい。より好ましくは0.1mm〜0.5mmである。
スピーカーコーンとしてはできるだけ厚さが薄いものが好適である。厚さが薄いと音が伝わり易く、スピーカーコーンとしてある程度の強度を保つために、一定の厚さが必要である。
さらに、上記スピーカー用部品はスピーカー筐体として用いることもできる。その場合、熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さは0.1mm〜10.0mmであることが好ましい。より好ましくは0.3mm〜2.0mmである。
スピーカー筐体は、車両や高所への設置を考慮すると、移動し易さや軽さが求められる。同時に、極端に薄すぎると音が漏れやすくなるので、一定の厚さが必要である。
上述したスピーカー用部品において、熱可塑性炭素繊維樹脂基材は、炭素繊維を5重量%〜60重量%含有し、全炭素繊維中、繊維長が0.01mm〜0.5mmである炭素繊維の割合が60重量%以上であることが好ましい。より好ましくは、熱可塑性炭素繊維樹脂基材が、炭素繊維を10重量%〜40重量%含有し、全炭素繊維中、繊維長が0.1mm〜0.4mmである炭素繊維の割合が60重量%以上である。
上述した熱可塑性炭素繊維樹脂基材には短繊維の炭素繊維が所定の割合で含まれているので、スピーカー用部品として十分な硬さを保つことができる。また、所定範囲の繊維長の炭素繊維が含まれているので、シート状に加工することが容易になる。同時に、真空成形、熱プレスまたは熱曲げといった後加工を行うことも可能となる。
次に、上記スピーカー用部品の製造方法について、以下に説明する。
本発明におけるスピーカー用部品の製造方法は、上記スピーカー用部品を製造する方法であって、溶融異形押出成形、溶融シート押出成形、射出成形、真空成形またはブロー成形により、複合材料から熱可塑性炭素繊維樹脂基材を成形する。
特に、溶融シート押出により成形することが好ましい。この溶融シート押出により成形した場合、真空成形、熱プレス、熱曲げといった後加工を行うことが可能となる。また、金属と同等の強度を有すると共に、軽量で振動減衰率の高い熱可塑性炭素繊維樹脂基材を得ることができる。さらに、この熱可塑性炭素繊維樹脂基材からスピーカー用部品を成形することで、残音の少ない明瞭な音を伝えることができるスピーカー用部品を得ることができる。
上述したスピーカー用部品の製造方法において、熱可塑性炭素繊維樹脂基材を冷却する際に、その片側の面を金属賦形面と接触させ、熱可塑性炭素繊維樹脂基材における金属賦形面との非接触面にスプリングバックを生起させることが好ましい。これにより、スピーカー用部品の表面は均一な鏡面とならずに凹凸面が形成される。このように表面に凹凸があるスピーカー用部品は振動の抑制効果が高い。
特に、熱可塑性炭素繊維樹脂基材を冷却する際に、その片側の面を金属賦形面と接触させて急冷し、金属賦形面との非接触面においてスプリングバックが生起した状態で熱可塑性炭素繊維樹脂基材を固化させることがより好ましい。これにより、スピーカー用部品の表面にはより複雑な凹凸が形成され、さらにはアンダーカットが生じる。このように複雑な凹凸面を有すると共に、アンダーカットが生じたスピーカー用部品は振動の抑制効果が高い。
最後に、本発明のスピーカーについて説明する。本発明におけるスピーカーは、上記スピーカー用部品から構成されている。また、本発明のスピーカー用部品以外を一部に含んで構成することもできる。高い振動減衰性を有する上記スピーカー用部品を組み合わせて構成されているので、音が籠らずに遠くまで伝わる高音質のスピーカーを得ることができる。
次に、実施例について説明する。各実施例および比較例において、使用した材料および測定方法は以下の通りである。なお、以下の説明において、実施例3,4,5,6,8はそれぞれ参考例1,2,3,4,5と読み替えるものとする。
(1)使用した材料
(A)炭素繊維
A1:繊維径が7μmの炭素繊維である。
(B)第1の熱可塑性樹脂
B1:ナイロン6(融点225℃、275℃における粘度:80poise)
B2:ナイロン66(融点:255℃、305℃における粘度:250poise)
B3:PP(融点:170℃、220℃における粘度:70poise)
B4:ABS(ガラス転移点(軟化点):190℃、240℃における粘度:120poise)
B5:PPS(融点:285℃、335℃における粘度:260poise)
B6:PC(軟化点:146℃、290℃における粘度:125poise)
(C)第2の熱可塑性樹脂
C1:ナイロン6(融点:225℃、275℃における粘度:1,100poise)
C2:ナイロン66(融点:255℃、305℃における粘度:5,500poise)
C3:PP(融点:170℃、220℃における粘度:1,770poise)
C4:ABS(軟化点:190℃、240℃における粘度:2,520poise)
C5:PPS(融点:255℃、335℃における粘度:8,060poise)
C6:PC(軟化点:146℃、290℃における粘度:1,890poise)
(D)複合材料
D1:A1を25重量%、B1を50重量%、C1を25重量%含有する。
D2:A1を35重量%、B1を25重量%、C1を40重量%含有する。
D3:A1を20重量%、B2を65重量%、C2を15重量%含有する。
D4:A1を15重量%、B3を45重量%、C3を40重量%含有する。
D5:A1を40重量%、B4を20重量%、C4を40重量%含有する。
D6:A1を40重量%、B5を30重量%、C5を30重量%含有する。
D7:A1を30重量%、B6を30重量%、C6を40重量%含有する。
(E)金属
E1:ステンレス(SUS304)
(2)炭素繊維の繊維長の測定
炭素繊維の繊維長の測定には、マイクロフォーカスX線透過透視装置(島津製作所製のSMX−1000 PLUS)を用いた。
(3)振動減衰特性の測定
振動減衰特性は図3に示す試験方法により測定した。この方法はJIS G0602(1993年度)に基づくものである。具体的には、片端固定打撃加振法によるもので、測定条件を片持ち梁の突出し長さを100mmとし、加振位置を片持ち梁自由端側とし、加振方法をステップ弛緩加振として測定を行った。また、測定装置として、CCDレーザー変位計はキーエンス社製のLK−G30、FFTアナライザはエアブラウン社製のフォトンIIを用いた。さらに、試験片については、特許第5608818号公報の炭素繊維複合材料の製造方法により得られた厚さ1.0mmのシートを、厚さ1.0mm、幅20mm、長さ250mmのサイズに裁断して作製した。
(4)損失係数および対数振動減衰率の算出
損失係数は下記式(1)により算出した。また、得られた損失係数に円周率πを乗じて対数振動減衰率を算出した。
η=2×ln(tanθ)/√((2π)2+[ln(tanθ)]2) (1)
式中、ηは減衰振動率、θは図5に示すグラフの原点を通り各点を結ぶ直線の傾きである。なお、図5は図4の減衰振動波形の極大値をプロットしたグラフであり、さらに詳しくは、図4に示す減衰自由振動波形から応答変位の極大値X0、X1・・・を読み取り、横軸にXk+1、縦軸にXkとしたグラフ、すなわち、点(X2,X1)、(X3,X2)、(X4,X3)・・・をプロットしたグラフである。
(5)固有振動数の算出
固有振動数は下記式(2)により固有振動数を算出した。
0=1/2π×√(k/m) (2)
式中、f0は固有振動数[Hz]、kはバネ定数[N/m]、mは質量[kg]である。
(6)評価試験
健聴者20名をパネラーとして、屋外に設置した評価用のスピーカーから音を流し、スピーカーから10m離れた場所で聞き取られた音に対して評価試験を行った。スピーカーから発せられた音が、はっきり良く聞こえる場合は◎(優)、聞こえるが明瞭でない場合は○(良)、聞こえる時と聞こえない時がある場合は△(可)、ほとんど聞こえないまたは全く聞こえない場合は×(不可)とした。
使用したスピーカーはUSB音源マルチメディアスピーカー(サンワサプライ製 のMM−SPL10UBK)を用いて、スピーカーカバー、スピーカーコーン、スピーカー筐体の素材を代えて評価した。なお、音量は常に一定とした。
[実施例1]
上記複合材料D1を用いて、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.25mm、繊維長の標準偏差σは0.022mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.170、損失係数は0.054、固有振動数は48.1Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
上記シートを用いて、孔径が2mm、開口率が40%、ピッチが3mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製した。
評価用のスピーカーのカバーを上記パンチング材に代えて評価した。その結果、パネラー20人中20人が◎(優)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、錆びの発生は無く、貫通孔は埋まらなかった。さらに、図6に示すように、実施例1のスピーカーは、後述する比較例1に比べて早期に変位が減衰しており、振動が早期に抑制されている。
[比較例1]
上記金属E1を用いて、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートの縦横平均の対数振動減衰率は0.035、損失係数0.011、固有振動数は71.5Hzであった。
上記シートを用いて、孔径が2mm、開口率が40%、ピッチが3mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製した。
評価用のスピーカーのカバーをステンレス製の上記パンチング材に代えて評価した。その結果、パネラー20人中5人が△(可)であり、15人が×(不可)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、錆びが発生し、貫通孔は全体の70%以上が錆びで埋まっていた。さらに、図7に示すように、比較例1のスピーカーは、変位が減衰するのに時間がかかり、実施例1に比べて振動の抑制効果は低い。
[実施例2]
上記複合材料D2を用いて、厚さ0.3mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.31mm、繊維長の標準偏差σは0.026mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.258、損失係数は0.082、固有振動数は37.1Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
評価用のスピーカーのコーンを、上記シートを250℃で加熱し真空成形して得られたスピーカーコーンに代えて、スピーカーカバーを付けないで評価した。その結果、パネラー20人中20人が◎(優)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、スピーカーコーンを破れは発生しなかった。
[比較例2]
上記第1の熱可塑性樹脂B1にガラス繊維を35%含む樹脂を用いて、厚さ1.0mmのシートを射出成形で作製した。さらに、得られたシートを切削加工して0.3mmまで薄くした。最終的に得られたシートにおいて、縦横平均の対数振動減衰率は0.069、損失係数は0.022、固有振動数は193Hzであった。
上記射出成形で得たシートを用いて真空成形によりスピーカーコーンを得ようとしたが、柔らかく得ることができなかった。そこで、厚さ1.0mmのスピーカーコーンを射出成形で作製した。
評価用のスピーカーにおいて、そのスピーカーのコーンを上記射出成形で得たスピーカーコーンに代えて、スピーカーカバーを付けないで評価した。その結果、パネラー20人中、4人が△(可)であり、16人が×(不可)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、破れは発生しなかったが、小さな割れが発生した。なお、この小さな割れは射出成形時のウエルドによるものと考えられる。
[実施例3]
上記複合材料D3を用いて、厚さ0.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.45mm、繊維長の標準偏差σは0.033mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.091、損失係数は0.029、固有振動数は56.2Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
上記シートを用いて、孔径が1.5mm、開口率が70%、ピッチが2.25mmの角型千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製した。
評価用のスピーカーのカバーを上記パンチング材に代えて評価した。その結果、パネラー20人中20人が◎(優)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、錆びの発生は無く、貫通孔は埋まらなかった。
[比較例3]
上記第1の熱可塑性樹脂B2にガラス繊維を20%含む樹脂からなる厚さ1.0mmのシートを射出成形で作製した。さらに、得られたシートを切削加工して0.5mmまで薄くした。最終的に得られたシートにおいて、縦横平均の対数振動減衰率は0.041、損失係数は0.013、固有振動数は145Hzであった。
上記シートを用いて、孔径が1.5mm、開口率が70%、ピッチが2.25mmの角型千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製しようとしたが、割れ、破れが発生してパンチング材を得ることができなかった。
[実施例4]
上記複合材料D4を用いて、厚さ1.5mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.2mm、繊維長の標準偏差σは0.013mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.078、損失係数は0.025、固有振動数は39.9Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
上記シートを用いて、孔径が1.5mm、開口率が23%、ピッチが3.0mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製した。
評価用のスピーカーのカバーを上記パンチング材に代えて評価した。その結果、パネラー20人中20人が◎(優)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、錆びの発生は無く、貫通孔は埋まらなかった。
[比較例4]
上記第1の熱可塑性樹脂B3にガラス繊維を15%含む樹脂からなる厚さ1.5mmのシートを射出成形で作製した。得られたシートにおいて、縦横平均の対数振動減衰率は0.063、損失係数は0.020、固有振動数は138Hzであった。
上記シートを用いて、孔径が1.5mm、開口率が23%、ピッチが3.0mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製しようとしたが、割れ、破れが発生してパンチング材を得ることができなかった。
[実施例5]
上記複合材料D5を用いて、厚さ1.0mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.2mm、繊維長の標準偏差σは0.012mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.091、損失係数0.029、固有振動数は45.2Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
上記シートを用いて、孔径2.0mm、開口率が30%、ピッチ3.5mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製した。
評価用のスピーカーのカバーを上記熱可塑性炭素繊維樹脂基材のパンチング材に代えて評価した。その結果、パネラー20人中20人が◎(優)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、錆びの発生は無く、孔も埋まらなかった。
[比較例5]
上記第1の熱可塑性樹脂B4にガラス繊維を40%含む樹脂からなる厚さ1.5mmのシートを射出成形で作製した。得られたシートにおいて、縦横平均の対数振動減衰率は0.069、損失係数は0.022、固有振動数は192Hzであった。
上記シートを用いて、孔径2.0mm、開口率が30%、ピッチ3.5mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製しようとしたが、割れ、破れが発生してパンチング材を得ることができなかった。
[実施例6]
上記複合材料D6を用いて、厚さ0.8mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.2mm、繊維長の標準偏差σは0.009mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.085、損失係数0.027、固有振動数は27.4Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
上記シートを用いて、孔径が1.5mm、開口率が51%、ピッチが2.0mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製した。
評価用のスピーカーのカバーを上記パンチング材に代えて評価した。その結果、パネラー20人中、18人が◎(優)であり、2人が○(良)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、錆びの発生は無く、貫通孔は埋まらなかった。
[比較例6]
上記第1の熱可塑性樹脂B5にガラス繊維を40%含む樹脂からなる厚さ1.5mmのシートを射出成形で作製した。得られたシートにおいて、縦横平均の対数振動減衰率は0.060、損失係数は0.019、固有振動数は125Hzであった。
上記シートを用いて、孔径が1.5mm、開口率が51%、ピッチが2.0mmの60°千鳥で貫通孔を配置したパンチング材を作製しようとしたが、破れが発生してパンチング材を得ることができなかった。
[実施例7]
上記複合材料D7を用いて、厚さ2.0mmのシートを作製した。得られたシートにおいて、炭素繊維の平均繊維長は0.3mm、繊維長の標準偏差σは0.017mm、縦横平均の対数振動減衰率は0.129、損失係数は0.041、固有振動数は46.5Hzであった。また、炭素繊維の繊維長は正規分布に近い形で分布していた。
評価用のスピーカーの筐体W68×D130×H160mmの底面、両側面、天板を上記シートに代えて評価した。その結果、パネラー20人中、18人が◎(優)であり、2人が○(良)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、割れや変色はなかった。
[比較例7]
上記第1の熱可塑性樹脂B6にガラス繊維を30%含む樹脂からなる厚さ2.0mmのシートを射出成形で作製した。得られたシートにおいて、縦横平均の対数振動減衰率は0.015、損失係数は0.0047、固有振動数は176Hzであった。
評価用のスピーカーの筐体W68×D130×H160mmの底面、両側面、天板を上記シートに代えて評価した。その結果、パネラー20人中、10人が○(良)であり、8人が△(可)であり、2名が×(不可)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、割れはなかったが黄色く変色した。
[実施例8]
実施例6と同様にシートを作製した。
評価用のスピーカーのコーンを、上記シートを300℃に加熱し真空成形して得られたスピーカーコーンに代えて、実施例1に用いたスピーカーカバーを付けないで評価した。その結果、パネラー20人中、19人が◎(優)であり、1人が○(良)であった。また、海から100m付近の沿岸部において長期間使用した結果、スピーカーコーンに破れは発生しなかった。
[比較例8]
比較例6で得られたシートを用いて真空成形し、スピーカーコーンを得ようとしたが、柔らかく得ることができなかった。また、比較例2で射出成形により得られたシートを用いて真空成形し、スピーカーコーンを得ようとしたが、柔らかく得ることができなかった。
そこで、実施例1に用いた評価用のスピーカーにおいて、そのスピーカーコーンを比較例2で射出成形により得られたスピーカーコーンに代えて、スピーカーカバーを付けないで評価した。その結果、パネラー20人中、2人が○(良)であり、15人が△(可)であり、3名が×(不可)であった。
1 熱可塑性炭素繊維樹脂基材
2 多孔シート
3 貫通孔
4 スピーカーコーン

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂および炭素繊維を含む複合材料からなる熱可塑性炭素繊維樹脂基材から構成されると共に、前記複合材料の固有振動数が10Hz〜60Hz、かつ損失係数が0.04以上であることを特徴とするスピーカー用部品。
  2. 前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材が、前記炭素繊維を5重量%〜60重量%含有し、全炭素繊維中、繊維長が0.01mm〜0.5mmである炭素繊維の割合が60重量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のスピーカー用部品。
  3. 前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材が複数の貫通孔を有する多孔シートであり、該多孔シートの厚さが0.05mm〜10.0mmで、前記貫通孔の孔径が0.1mm〜100mm、前記複数の貫通孔の開口部面積の合計がシート全面に対して5%〜75%であり、スピーカーカバーであることを特徴とする請求項1または2に記載のスピーカー用部品。
  4. 前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さが0.05mm〜2.0mmで、スピーカーコーンであることを特徴とする請求項1または2に記載のスピーカー用部品。
  5. 前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材の厚さが0.1mm〜10.0mmである、スピーカー筐体であることを特徴とする請求項1または2に記載のスピーカー用部品。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載のスピーカー用部品を製造する方法であって、溶融異形押出成形、溶融シート押出成形、射出成形、真空成形またはブロー成形により、前記複合材料から前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材を成形することを特徴とするスピーカー用部品の製造方法。
  7. 前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材を冷却する際に、その片側の面を金属賦形面と接触させ、前記熱可塑性炭素繊維樹脂基材における前記金属賦形面との非接触面にスプリングバックを生起させることを特徴とする請求項に記載のスピーカー用部品の製造方法。
  8. 請求項1〜のいずれかに記載のスピーカー用部品からなるスピーカー。
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