JP6745520B2 - スペーサの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路(ウォータジャケット)に配置されて用いられるスペーサの製造方法関する。
前記内燃機関のウォータジャケットには、流通する冷却水の流れ(流量、流速等)を規制するためのスペーサが開口部から挿入されて配置される。このスペーサとしては、樹脂の射出成型体からなるものが多く用いられる。スペーサの形態としては、ウォータジャケットの全周に亘るよう形成された筒状スペーサや、ウォータジャケット内の適所に配置されるよう形成されるいわゆる部分スペーサなどが挙げられる。このようなスペーサを、樹脂の射出成型によって製造する際、成型品は離型後常温に徐々に冷却される。このとき、シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含むスペーサの場合、その形状的特性による熱収縮のアンバランスから、変形を生じることがある。そのため、前記徐冷の際に、前記変形を抑制する手段が講じられている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
特許文献1には、筒状スペーサの相対向する部分同士を連結する架橋部(ランナーを兼ねる場合も含む)を一体成型し、徐冷して形状保持させた後にこの架橋部を切除するスペーサの製造方法が記載されている。また、特許文献2には、筒状スペーサにおける相対向する接続部の上面(ウォータジャケットの開口部側に位置する面)間に架橋部位(ランナーの一部)を一体成型し、徐冷後この架橋部位を除去することが記載されている。さらに、特許文献3には、筒状スペーサの複数の円弧形状部分における外周面に相当する位置に、ゲート部を設け、この複数のゲート部に連なるランナーより樹脂を射出して成型し、ランナーを残したまま冷却し、その後ランナーをゲート部から切除するスペーサの製造方法が記載されている。
特開2005−105878号公報 特開2015−55178号公報 特開2015−222071号公報
ところで、特許文献1〜3に記載されたスペーサの製造方法においては、特定の位置にゲートやランナーが設定される。そのため、自由にランナーを設計することが難しく、ランナーの配置等に制約があることにより、例えば、ランナー部分が多くなり、材料歩留りが悪くなる。特に、特許文献3に記載された製造方法の場合、ランナー部分が多くなり、そのため、材料歩留りが一層悪くなる。
本発明は、前記に鑑みなされたもので、冷却時の変形を抑制しランナーの設計自由度を高めることができるスペーサの製造方法提供することを目的としている。
発明に係るスペーサの製造方法は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、を備え、前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体における前記気筒側位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制することを特徴とする。
本発明に係るスペーサの製造方法によれば、スペーサの原体を冷却する工程が、冶具の存在下で原体の変形を抑制しながらなされる。したがって、スペーサの原体が冷却されて硬化した後に、原体の変形を矯正する場合に比べて、歪の少ないスペーサが得られる。また、ランナーの設計上の制約が少なく、ランナーの設計自由度を高めることができ、変形の抑制用の架橋部及びこれに関係するランナーを有する場合に比べて材料歩留りを向上させることができる。さらに前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体における前記気筒側位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制するので、気筒側に変形する傾向にあるスペーサの原体に対して冶具によってこの変形を抑制することができる。
本発明に係るスペーサの製造方法は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、を備え、前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体を前記気筒側及びその反対側より挟む位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制することを特徴とする。
本発明に係るスペーサの製造方法によれば、スペーサの原体を冷却する工程が、冶具の存在下で原体の変形を抑制しながらなされる。したがって、スペーサの原体が冷却されて硬化した後に、原体の変形を矯正する場合に比べて、歪の少ないスペーサが得られる。また、ランナーの設計上の制約が少なく、ランナーの設計自由度を高めることができ、変形の抑制用の架橋部及びこれに関係するランナーを有する場合に比べて材料歩留りを向上させることができる。さらに前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体を前記気筒側及びその反対側より挟む位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制するので、気筒側とは反対側にも変形する傾向にあるスペーサの原体に対して冶具によってこの変形を抑制することができる。
本発明に係るスペーサの製造方法は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、を備え、前記成型型から前記原体を離型する過程で前記冶具を前記原体に嵌合し、その後、前記冶具と共に前記原体の離型を完結させることを特徴とする。
本発明に係るスペーサの製造方法によれば、スペーサの原体を冷却する工程が、冶具の存在下で原体の変形を抑制しながらなされる。したがって、スペーサの原体が冷却されて硬化した後に、原体の変形を矯正する場合に比べて、歪の少ないスペーサが得られる。また、ランナーの設計上の制約が少なく、ランナーの設計自由度を高めることができ、変形の抑制用の架橋部及びこれに関係するランナーを有する場合に比べて材料歩留りを向上させることができる。さらに前記成型型から前記原体を離型する過程で前記冶具を前記原体に嵌合し、その後、前記冶具と共に前記原体の離型を完結させるので、スペーサの原体が離型によって変形する前に冶具を嵌合させるため、得られたスペーサの寸法精度が向上し、また、嵌合時の擦り傷が少なくなる。
本発明に係るスペーサの製造方法は、内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、を備え、前記成型工程では、前記冶具を前記成型型の所定位置に配置した上で前記樹脂の射出を行うことを特徴とする。
本発明に係るスペーサの製造方法によれば、スペーサの原体を冷却する工程が、冶具の存在下で原体の変形を抑制しながらなされる。したがって、スペーサの原体が冷却されて硬化した後に、原体の変形を矯正する場合に比べて、歪の少ないスペーサが得られる。また、ランナーの設計上の制約が少なく、ランナーの設計自由度を高めることができ、変形の抑制用の架橋部及びこれに関係するランナーを有する場合に比べて材料歩留りを向上させることができる。さらに前記成型工程では、前記冶具を前記成型型の所定位置に配置した上で前記樹脂の射出を行うので、スペーサの原体は冶具と共にインサート成型されることになるから、離型及び冷却時における変形がより効果的に抑制される。
発明に係るスペーサの製造方法において、前記冷却工程では、前記原体における前記冷却水流路の深さ方向の底部側に相当する部位の変形を抑制するものとしても良い。
これによれば、得られたスペーサにおける冷却水流路の深さ方向の底部側に相当する部位の寸法精度が高くなるため、冷却水流路にスペーサを挿入する際、当該底部側の部位が挿入し易くなり、シリンダブロックに対するスペーサの組付け性が向上する。
本発明に係るスペーサの製造方法において、前記成型工程における樹脂の射出を、前記原体における前記気筒側に向く面に相当する部位以外の部位から行うものとしても良い。
これによれば、得られたスペーサにおける気筒側に向く面には、ゲートカット残りや、ゲートカット用の台座のような突部が存在しないので、冷却水流路の気筒側内壁面との隙間を小さくすることができ、冷却水の流れが効果的に制御される。
本発明に係るスペーサの製造方法よれば、冷却時の変形を抑制し、また、ランナーの設計自由度を高めることができる。
本発明に係るスペーサの一実施形態を示し、内燃機関におけるシリンダブロックのウォータジャケットに配置した状態を示す概略的平面図である。 同スペーサの図1におけるA−A線矢視部に対応する部分の拡大縦断面図であり、冶具を装着した状態を模式的に示す図である。 同スペーサの図1におけるB−B線矢視部に対応する部分の拡大縦断面図である。 (a)(b)(c)(d)は本発明に係るスペーサの製造方法の第一の実施形態を模式的に示す図であり、図1のC−C線矢視部に対応する部分の縦断面図である。 (a)(b)(c)(d)は本発明に係るスペーサの製造方法の第二の実施形態を模式的に示す図4と同様図である。 (a)(b)(c)は本発明に係るスペーサの製造方法の第三の実施形態を模式的に示す図4と同様図である。 (a)は図2におけるD−D線矢視部の断面図であり、(b)(c)(d)はその変形例を示す同様図である。 (a)は図7(a)の例のさらに別の変形例を示す同様図であり、(b)は(a)におけるE―E線矢視部の断面図であり、(c)はその変形例を示す同様図である。 (a)(b)(c)はスペーサ(原体)に対する冶具の配置関係の種々の例を模式的に示す平面図である。 (a)(b)(c)(d)は同配置関係の別の例の図9と同様図である。 (a)(b)(c)は同配置関係のさらに別の例の図9と同様図である。 (a)(b)(c)はスペーサ(原体)に対する冶具の配置関係の別の例であって、図1のA−A線矢視部に対応する部分を模式的に示す図である。
以下に本発明の実施の形態について、図1〜図12を参照して説明する。図1は、第二の発明に係るスペーサの一実施形態であって、当該スペーサを内燃機関におけるシリンダブロックのウォータジャケットに配置した状態を示している。図1に示すシリンダブロック2は、3気筒の自動車用エンジン(内燃機関)1を構成するものであり、3個のシリンダボア(気筒)3…が隣接状態で直列に連なるように設けられている。2a…は、シリンダヘッド(不図示)をシリンダブロック2に合体締結させるためのボルト(不図示)用挿通孔である。3個のシリンダボア3…の周囲には、オープンデッキタイプの溝形状のウォータジャケット(冷却水流路)4が一連に形成されている。シリンダブロック2には、このウォータジャケット4に通じる冷却水(不凍液も含む)導入口2bと冷却水排出口2cとが設けられている。冷却水排出口2cは、不図示のラジエータに配管接続され、ラジエータのアウトレット側は、ウォータポンプ(不図示)を介して冷却水導入口2bに配管接続される。これによって、ウォータジャケット4とラジエータとの間で冷却水が循環するように構成される。なお、シリンダヘッドにもウォータジャケット(不図示)が設けられる場合は、シリンダブロック2のウォータジャケット4と、シリンダヘッドのウォータジャケットとが連通するよう構成される。この場合は、シリンダブロック2には、前記冷却水排出口2cがなくても良く、シリンダヘッドに冷却水排出口が設けられ、これにラジエータに通じる配管が接続される。
ウォータジャケット4における隣接するシリンダボア3,3間の部分には、相対向するシリンダボア3,3間の部分と互いに接近して対をなすくびれ部4a…が形成されている。くびれ部4a…の溝幅は、ウォータジャケット4の他の円弧部4bの溝幅より大とされている。そして、ウォータジャケット4の両内壁面は、シリンダボア3側の内壁面4cと、シリンダボア3とは反対側の内壁面4dとにより構成される。本実施形態のスペーサ5は、図1に示すように、ウォータジャケット4内に、その開口部40から挿入されて配置可能な筒状の形状とされている。このような筒形状のスペーサ5は、平面形状が、各シリンダボア3の外形状に沿った円弧形状部分50と、隣接するシリンダボア3,3間部分であって、隣接する円弧形状部分50同士を接続する接続部51とから構成されている。接続部51は前記ウォータジャケット4のくびれ部4aに沿ったくびれ形状、換言すれば、平面視において、くびれ部4a側に突出するように湾曲した凸曲形状に形成されている。スペーサ5は、ウォータジャケット4にその開口部40から挿入されて配置され、ウォータジャケット4内を流通する冷却水の流れを制御するよう機能する。
本実施形態のスペーサ5は、2対の相対向する接続部51,51の一方(図1の紙面上側)の対向部に、冶具整合形状部52,52を有している。冶具整合形状部52,52は、図2にも示すとおり、接続部51,51におけるウォータジャケット4の深さ方向aの全体に亘り、その凸曲形状の対向部がカットされた形状の平面部からなる。図2は、対向する冶具整合形状部52,52間に、治具6が配置された状態を示しているが、これについては後記する。また、図3に示すとおり、接続部51,51の他方(図1の紙面下側)の各上端部(ウォータジャケット4の深さ方向aにおける開口部40側の端部)には、ゲートカット残り部53,53を有している。ゲートカット残り部53,53は、後記するように、スペーサ5の成型後にゲート部をカットした後に残る突部であり、図例では、ゲートカット時にニッパー等の工具を宛がうための台座53a,53a上に形成されている。
なお、冶具整合形状部52,52の形成位置は、相対向する接続部51,51の対向部に限られず、例えば、後記する各実施形態に示す位置であっても良い。また、ゲートカット残り部53の形成位置は、接続部51の上端部に限らず、シリンダボア3側に向く面(内側部)以外の部位であって、円弧形状部分50の上端部、円弧形状部分50及び接続部51の下端部、円弧形状部分50の外側部等が望ましい。なお、円弧形状部50の内側部や接続部51の内側部に設けることも可能であるが、この場合は、対向するようには設けずウォータジャケット4のシリンダボア3側の内壁部4cとの間の残り部53の突出量より大きい間隔が存在するよう設計されている部位に設けることが望ましい。
図4〜図6を参照して、第一の発明に係るスペーサの製造方法の実施形態について説明する。
図4(a)(b)(c)(d)は、本発明に係るスペーサの製造方法の第一の実施形態を示す。図4(a)は、成型型10に樹脂rを射出してスペーサ5の原体5A(図4(b)参照)を成型する成型工程を示す。成型型10は、上型(第1型)11と、箱形の下型(第2型)12とからなり、上型11の下面112には下型12の底部に及ぶ突部111が形成され、この突部111を有する上型11と箱形の下型12とにより、所定形状のスペーサ5(図1参照)に対応する形状のキャビティ13が形成される。上型11の適所(図例では、スペーサ5の上端部に対応する部位)にゲート部14が設けられ、不図示のランナーから当該ゲート部14を介してキャビティ13内に溶融状態の樹脂rが射出される。図4(b)は、成型型10から離型されたスペーサの原体5Aを示している。スペーサの原体5Aは、前記スペーサ5の形状に対応する円弧形状部分50及び接続部51を有した筒状体からなる。図4(c)は、前記原体5Aの相対向する接続部51間に治具6を嵌合により配置した状態で(治具6の存在下で)、当該原体5Aの変形を抑制しながら冷却する冷却工程を示している。この冷却工程では、治具6によって原体5Aが拘束されるから、冷却過程での変形が抑制されて歪み等が生じることなく硬化する。なお、治具6は、スペーサ5よりも剛性が高くなるように金属材から構成されている。図4(d)は、原体5Aが硬化後前記治具6を取り外す工程であって、治具6の図示を省略し、得られたスペーサ5のみを示している。
本実施形態のスペーサの製造方法では、原体5Aは成型型10からの離型後、治具6の存在下で冷却されるから、スペーサの原体が冷却されて硬化した後に、原体の変形を矯正する場合に比べて、歪の少ないスペーサ5が得られる。また、原体5Aの変形を抑制することを考慮してランナーを設計する必要がないため、ランナーの設計上の制約が少なく、ランナーの設計自由度を高めることができる。したがって、例えば、変形の抑制用の架橋部及びこれに関係するランナーを有する場合に比べてランナーの数や長さを低減することができ樹脂材料の歩留りを向上させることができる。また、相対向する接続部51,51間、即ち、原体5Aにおけるシリンダボア3側位置に治具6を配置した状態で冷却されるから、シリンダボア3側に変形する傾向にある原体5Aの変形が好適に抑制される。さらに、原体5Aには、ゲート部14がスペーサ5の上端部に対応する部位に設けられるから、得られたスペーサ5において、ゲートカット残りや、ゲートカット用の台座のような突部(不図示)が、シリンダボア3側に向く面には存在しない。したがって、当該スペーサ5が、図1に示すようなウォータジャケット4内に配置される場合、ウォータジャケット4の気筒側内壁面4cとの隙間を小さくすることができ、冷却水の流れ制御が効果的になされる。
図5(a)(b)(c)(d)は、本発明に係るスペーサの製造方法の第二の実施形態を示す。本実施形態は、スペーサの原体を成型型から離型する過程で治具を原体に嵌合し、その後離型を完結する点で第一の実施形態と異なる。
図5(a)は、第一の実施形態と同様に成型型10に樹脂rを射出してスペーサ5の原体5Aを成型する成型工程を示す。図5(b)は、成型型10のうち上型11を型開きし、下型12に残ったスペーサの原体5Aに治具6を嵌合した状態を示している。原体5Aに対する治具6の嵌合は、第一の実施形態と同様に原体5Aの相対向する接続部51,51間に治具6が配置されるようになされる。図5(c)は、下型12をさらに型開きして離型を完結させた上で、治具6が原体5Aに嵌合された状態で(治具6の存在下で)、当該原体5Aの変形を抑制しながら冷却する冷却工程を示している。図5(d)は、原体5Aが硬化後前記治具6を取り外す工程であって、治具6の図示を省略し、得られたスペーサ5のみを示している。
本実施形態のスペーサの製造方法では、原体5Aが成型型10から離型される過程で治具6が配置され、離型が完結後に、原体5Aが治具6の存在下(治具6が嵌合された状態)で冷却される。したがって、スペーサの原体5Aが離型によって変形する前に冶具を嵌合させるため、得られたスペーサ5の寸法精度が向上し、また、嵌合時の擦り傷が少なくなる。また、第一の実施形態と同様に、相対向する接続部51間、即ち、原体5Aにおけるシリンダボア3側位置に治具6を配置した状態で冷却されるから、シリンダボア3側に変形する傾向にある原体5Aの変形の抑制が好適になされる。
なお、本実施形態では、スペーサの原体5Aを下型12に残した状態で治具6を原体5Aに嵌合しているが、スペーサの原体5Aを下型12から離型させる途中で、治具6を原体5Aに嵌合するようにしても良い。その他の構成は第一の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その作用・効果の説明を割愛する。
図6(a)(b)(c)は、本発明に係るスペーサの製造方法の第三の実施形態を示す。本実施形態は、原体の成型工程において、冶具を成型型の所定位置に配置した上で樹脂の射出を行う点で第一及び第二の実施形態と異なる。
本実施形態の製造方法では、製造対象のスペーサ5の形状が、前記各実施形態におけるスペーサ5と異なり、したがって、キャビティ13の形状も異なる。即ち、スペーサ5は、その内側部の縦断面形状が、ウォータジャケット4の深さ方向aのほぼ中間部54を頂部としてシリンダボア3側に向く緩やかな山形形状をなす。なお、スペーサ5の縦断面形状とは、平面に直交するとともに円弧形状部分50の中心に沿ってスペーサ5を切断した場合に現れる形状である。
下型12は、この中間部54に及ぶ断面台形状の突部121を有し、この下型12における突部121の上に治具6が配置される。そして、治具6及び下型12の上に上型11が配置され、治具6を介在させた状態で突部121を有する下型12と平板状の上型11との間にキャビティ13が形成されるように構成されている。本実施形態における治具6は、スペーサ5の内側部における中間部54より上半部の形状に整合する形状とされる。
図6(a)は、第一の実施形態と同様に成型型10に樹脂rを射出してスペーサ5の原体5Aを成型する成型工程を示す。この場合、治具6をキャビティ13内の前記下型12の突部121上であって前記中間部54より上半部に対応する位置(所定位置)に配置した上で、上型11及び下型12を型締めし、ゲート部14から溶融樹脂rをキャビティ13に射出する。樹脂rの射出により、スペーサの原体5Aが治具6と共にインサート成型される。図6(b)は、治具6が所定位置に配置された状態で(治具6の存在下で)、当該原体5Aの変形を抑制しながら冷却する冷却工程を示している。図6(c)は、原体5Aが硬化後に前記治具6を取り外す工程であって、治具6の図示を省略し、得られたスペーサ5のみを示している。ここでの治具6の取外しを円滑に行うために、前記成型工程の前に、治具6におけるキャビティ13側の面(原体5Aに向く面)に離型剤を塗布しておくことが望ましい。
本実施形態のスペーサの製造方法では、原体5Aの成型前に治具6が成型型10の所定位置に配置され、原体5Aが治具6と共にインサート成型される。そして、原体5Aが成型型10から離型された後、原体5Aが治具6の存在下で冷却される。したがって、離型及び冷却時における原体5Aの変形がより効果的に抑制される。また、第一及び第二の実施形態と同様に、原体5Aにおけるシリンダボア3側位置に治具6を配置した状態で冷却されるから、シリンダボア3側に変形する傾向にある原体5Aの変形の抑制が好適になされる。特に、本実施形態では、原体5Aにおけるシリンダボア3側位置の上半部の全体に治具が配置されるから、上半部がシリンダボア3側に変形する傾向にある原体5Aの変形が好適に抑制される。また、治具6の一部がキャビティ13の一部を構成するから、治具6におけるキャビティ13を構成する部分の形状を凹凸のない形状にしておけば、外観の良好なスペーサ5が得られる。
その他の構成は第一の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その作用・効果の説明を割愛する。
次に、スペーサ5における治具整合形状部52の形状と治具6のスペーサ5に対する整合部の形状との関係の種々の例について、図2、図7及び図8を参照して説明する。これらの例は、スペーサ5の製造時において用いられる冶具6とスペーサの原体5Aとの形状的関係にも同様に適用される。
図2及び図7(a)は、スペーサ5の相対向する接続部51,51間に治具6を配置してスペーサ5のシリンダボア3側への変形を防止しようとする例を示している。このように、冶具6をスペーサ5の冶具整合形状部52に整合させた状態で、保管、梱包或いは搬送するようにすれば、これらの過程での変形が抑制される。この例の冶具整合形状部52,52は、前記したように、相対向する接続部51,51におけるウォータジャケット4の深さ方向aの全体に亘り、その凸曲形状の頂部がカットされた形状の平面部からなる。
そして、図7(a)にも示すように、治具6は、スペーサ5の上方から差し入れられ、両冶具整合形状部52,52間に整合した状態で配置されるよう、スペーサ5の長手方向に直交する幅方向bの両端部61,61が平面部からなる。図例の治具6の前記深さ方向aの大きさは、相対向する接続部51,51の深さ方向aの大きさの過半部以上とされている。また、治具6の上端部60は、スペーサ5における相対向する接続部51,51の両上端部510,510間に跨るような鍔状形状部60a,60aを有している。このような形状のスペーサ5と冶具6とを組み合わせる場合、面方向の位置決めが容易となる。
図7(b)(c)(d)は図7(a)に示す例の変形例であり、図7(b)に示す例では、冶具整合形状部52が、接続部51の凸曲形状部51aと、その中央部にスペーサ5の内側に突出するよう形成された凸部51bとにより構成される。治具6の前記幅方向bの端部61は、この冶具整合形状部52に係合するような凹曲形状部61a及びその中央部の凹部61bを含む形状とされる。このような形状のスペーサ5と冶具6とは、スペーサ5の凸曲形状部51aに治具6の凹曲形状部61aを係合させ、また、スペーサ5の凸部51bに治具6の凹部61bを係合させることによって組み合わされる。したがって、スペーサ5の変形が的確に抑制され、スペーサ5の寸法精度が高くなる。
図7(c)に示す例では、冶具整合形状部52が、接続部51の凸曲形状部51aと、その中央部にスペーサ5の外側に凹むよう形成された凹部51cとにより構成される。治具6の前記幅方向bの端部61は、この冶具整合形状部52に係合するような凹曲形状部61a及びその中央部の凸部61cを含む形状とされる。このような形状のスペーサ5と冶具6とは、スペーサ5の凸曲形状部51aに治具6の凹曲形状部61aを係合させ、また、スペーサ5の凹部51cに治具6の凸部61cを係合させることによって組み合わされる。したがって、スペーサ5の変形が的確に抑制されスペーサ5の寸法精度が高くなる。
図7(d)に示す例では、冶具整合形状部52が、接続部51の凸曲形状部51aと、その両側部にスペーサ5の内側に突出するよう形成された一対の凸部51d,51dとにより構成される。治具6の前記幅方向bの端部61は、この冶具整合形状部52に係合するような凹曲形状部61a及び一対の段差形状の凹部61d,61dを含む形状とされる。このような形状のスペーサ5と冶具6とは、スペーサ5の凸曲形状部51aに治具6の凹曲形状部61aを係合させ、また、スペーサ5の一対の凸部51d,51dに治具6の一対の凹部61d,61dをそれぞれ係合させることによって組み合わされる。したがって、スペーサ5の変形が的確に抑制され、スペーサ5の寸法精度が高くなる。
図8(a)(b)は、図7(a)に示す例のさらに別の変形例であり、図8(c)は、図8(a)(b)に示す例の変形例である。図8(a)(b)に示す例では、治具6の上端部60における鍔状形状部60aの下面に凸部60bが形成され、また、スペーサ5の接続部51における上端部510の上面に下向きに凹む凹部511が形成されている。スペーサ5におけるこの凹部511と、接続部51の凸曲部51aとにより、冶具整合形状部52が構成される。治具6の幅方向端部61はスペーサ5における凸曲部51aに整合する凹曲形状部61aとされている。このような形状のスペーサ5と冶具6とは、スペーサ5の凸曲形状部51aに治具6の凹曲形状部61aを係合させ、また、スペーサ5の凹部511に治具6の凸部60bを係合させることによって組み合わされる。したがって、スペーサ5の変形が的確に抑制され、スペーサ5の寸法精度が高くなる。
図8(c)に示す例では、図8(a)(b)に示す例とは、凹凸の係合関係が逆になっている。即ち、治具6の上端部60における鍔状形状部60aの下面には上向きに凹む凹部60cが形成され、また、スペーサ5の接続部51における上端部510の上面に凸部512が形成されている。スペーサ5におけるこの凸部512と、接続部51の凸曲部51aとにより、冶具整合形状部52が構成される。このような形状のスペーサ5と冶具6とは、スペーサ5の凸曲形状部51aに治具6の凹曲形状部61aを係合させ、また、スペーサ5の凸部512に治具6の凹部60cを係合させることによって組み合わされる。したがって、スペーサ5の変形が的確に抑制され、スペーサ5の寸法精度が高くなる。
次に、スペーサ5に対する治具6の平面視的な配置関係の種々の例を、図9〜図11を参照して説明する。これらの例は、スペーサ5の製造時において用いられる冶具6とスペーサの原体5Aとの配置関係にも同様に適用される。また、図1に示すような3気筒のシリンダブロック2のウォータジャケット4内に配置される筒状のスペーサ5を例に採って説明するが、ここで開示する基本的な技術思想はその他の気筒数のシリンダブロック用のスペーサにも適用される。以下において、スペーサ5におけるシリンダボア3の配列方向に沿った方向を長手方向と言い、その直交方向を幅方向と言う。
図9(a)(b)(c)は、いずれも治具6がスペーサ5のシリンダボア3側位置(内側位置)に配置される例を示している。
図9(a)に示す例では、相対向する接続部51,51間のそれぞれに配置される一対の冶具本体部6a,6aと、冶具本体部6a,6aを一体に繋ぐ繋ぎ部6bとによって平面視してH形の冶具6が構成されている。この例では、治具6がスペーサ5の内側位置に配置されるから、シリンダボア3側に変形する傾向にあるスペーサ5に対してこの変形が効果的に抑制される。また、一対の冶具本体6a,6aが繋ぎ部6bによって一体とされているので、治具6の形状が安定し、冶具本体6a,6aにより変形が的確に抑制される。
図9(b)に示す例では、相対向する接続部51,51間のそれぞれに配置される一対の冶具本体部6a,6aと、冶具本体部6a,6aを一体に繋ぐ繋ぎ部6bと、冶具本体部6a,6aから繋ぎ部6bに連続するように延びてスペーサ5の長手方向両端の内側位置に達する第二治具本体部6c,6cとによって冶具6が構成されている。この例では、治具6がスペーサ5のシリンダボア3側位置に配置され且つスペーサ5の内側位置の6箇所で当接するから、スペーサ5の幅方向に加えて長手方向のシリンダボア3側に変形する傾向にあるスペーサ5に対してこの変形がより効果的に抑制される。また、一対の冶具本体部6a,6a及び第二治具本体部6c,6cが繋ぎ部6bによって一体とされているので、治具6の形状が安定し、冶具本体部6a,6a及び第二治具本体部6c,6cにより変形がより的確に抑制される。
図9(c)に示す例では、スペーサ5の長さ方向中央部の相対向する円弧形状部分50,50間に治具6が配置されている。この例の場合、前記相対向する円弧形状部分50,50間の内側への撓みや変形を抑制するのに有効である。
図9(a)(b)(c)に示す各例は、スペーサ5の内側部への変形傾向の度合い等に応じて適宜選択採用される。
図10(a)(b)(c)(d)は、いずれも治具6がスペーサ5の気筒側とは反対側位置(外側位置)に配置される例を示している。
図10(a)に示す例では、スペーサ5の各接続部51…の外側位置に4個の冶具6…が配置されている。また、図10(b)に示す例では、スペーサ5における長手方向に隣接する接続部51,51の外側位置と、これに対向する接続部51,51間の円弧形状部分50の外側位置とに、3個の治具6…が配置されている。さらに、図10(c)に示す例では、スペーサ5における長手方向中央部において対向する円弧形状部分50,50の外側位置に2個の冶具6,6が配置されている。また、図10(d)に示す例では、図10(c)の例に加えて、スペーサ5における長手方向両端部の円弧形状部分50,50の外側位置に2個の冶具6,6が配置されている。これらの例では、いずれも治具6がスペーサ5の外側位置に配置されているから、外側に変形する傾向にあるスペーサ5に対してこの変形が効果的に抑制される。
図10(a)(b)(c)(d)に示す各例は、スペーサ5の外側部への変形傾向の度合い等に応じて適宜選択採用される。
図11(a)(b)(c)は、いずれも治具6がスペーサ5の内側位置及び外側位置の両方に配置される例を示している。
図11(a)に示す例では、スペーサ5の各相対向する接続部51,51間に2個の治具6,6が配置され、さらに、スペーサ5の長手方向両端部における円弧形状部分50,50の外側位置に2個の冶具6、6が配置されている。このように、スペーサ6の内側位置及び外側位置の両方に治具6が配置されていると、スペーサ5の多様な変形傾向にも対応でき、スペーサ5の変形の抑制が効果的になされる。図11(b)に示す例では、スペーサ5の各接続部51の外側位置に4個の冶具6…が配置され、さらに、スペーサ5における長手方向に隣接する接続部51,51間の円弧形状部分50,50間に1個の冶具6が配置されている。この場合も、スペーサ6の内側位置及び外側位置の両方に治具6が配置されているので、スペーサ5の多様な変形傾向にも対応でき、スペーサ5の変形が効果的に抑制される。図11(c)に示す例では、スペーサ5の各接続部51の外側位置に4個の冶具6…が配置され、さらに、スペーサ5の各相対向する接続部51,51間に2個の治具6,6が配置されている。この例の場合、スペーサ5のシリンダボア3側(内側位置)及びその反対側(外側位置)より挟む位置に治具6が配置された状態でスペーサ5の変形の抑制がなされるから、スペーサ5の多様な変形傾向に対応してより効果的に変形が抑制される。
図12(a)(b)(c)は、ウォータジャケット4の深さ方向aにおけるスペーサ5に対する治具6の配置関係の種々の例を示している。これらの例は、スペーサ5の製造時において用いられる冶具6とスペーサの原体5Aとの配置関係にも同様に適用される。
図12(a)に示す例では、スペーサ5における相対向する接続部51,51間の前記深さ方向aの上側(開口部側)部及び下側(底部側)部に2個の治具6,6を配置している。このように、スペーサ5の上側部及び下側部に治具6,6を配置することによって、上側部及び下側部の変形が抑制されて寸法精度が高くなる。特にスペーサ5の下側部の寸法精度が高くなることにより、ウォータジャケット4にスペーサ5を挿入する際、スペーサ5の下側部が挿入し易くなり、シリンダブロック2に対するスペーサ5の組付け性が向上する。
図12(b)に示す例では、スペーサ5における相対向する接続部51,51間の前記深さ方向aの全体に亘り1個の治具6を配置している。この場合、スペーサ5の前記深さ方向aの全体の変形が抑制されて寸法精度が高くなる。また、この例のスペーサ5は、相対向する接続部51,51間の幅寸法が、上側部から下側部に向け漸次大きくなっているので、前記深さ方向aの全体に及ぶ治具6であっても、スペーサ5からの取外しがし易いという利点がある。
図12(c)に示す例では、相対向する接続部51,51における内側部の縦断面形状が、シリンダボア3側に向く緩やかな山形形状をなす。そして、接続部51,51間の山形頂部51eより上側部及び下側部には、それぞれが当該山形頂部51eの近傍に及ぶ治具6,6を配置している。この場合も、スペーサ5の前記深さ方向aの全体の変形が抑制されて寸法精度が高くなる。なお、この例では、前記上側部及び下側部の一方に治具6を配置するようにしても良い。
図12(a)(b)(c)に示す例においては、スペーサ5の深さ方向aにおける任意の位置に治具6を配置することによって、スペーサ5の変形を抑制することができるため、架橋部によってスペーサの変形を抑制する場合に比べて寸法精度を高めることができる。なお、図12(a)(b)(c)では、相対向する接続部51,51間に治具6を配置する例を示しているが、スペーサ5の他の部位において図12(a)(b)(c)と同様の態様で治具6を配置することも可能である。
なお、スペーサ5をウォータジャケット4の全体形状に整合する筒形状としたが、例えば、シリンダボア3の外形状に沿うように形成され、ウォータジャケット4内の適所に部分的に配置されるいわゆる部分スペーサや、筒形状を長手方向に半割した半筒形状のスペーサであっても良い。そして、部分スペーサや半筒形状のスペーサの場合、その原体の変形を抑制する際には気筒側及びその反対側より挟むとともに少なくとも幅方向における原体の両端側に当接するように治具を配置すると良い。これにより、原体の気筒側及び反対側への変形が抑制される。また、上記各実施形態における冷却工程では、スペーサ5の原体5Aを所定時間放置して冷却する自然冷却を行っているが、これに限らず送風機等の所望の冷却手段によって冷却する強制冷却を行っても良い。また、本発明のスペーサ5が適用される内燃機関として、3気筒のエンジンを例示したが、これに限らず他の気筒数のエンジンにも適用可能である。さらに、本発明のスペーサは、クローズドデッキタイプのウォータジャケットを備えたエンジンにも適用可能である。さらにまた、本発明のスペーサは、直列エンジンに限らず、V型エンジン、水平対向エンジンにも適用可能である。前記実施形態における上側及び下側とは、重力が作用する方向を基準としたのではなく、ウォータジャケット4の深さ方向aを基準としたものである。前記実施形態における上側及び下側は、水平対向エンジンに適用される場合、ウォータジャケット4の開口部40側及び底部側と読み替えても良い。
1 エンジン(内燃機関)
2 シリンダブロック
3 シリンダボア(気筒)
4 ウォータジャケット(冷却水流路)
40 開口部
5 スペーサ
5A スペーサの原体
50 円弧形状部分
51a 凸曲部(治具整合形状部)
51b 凸部(治具整合形状部)
51c 凹部(治具整合形状部)
51d 凸部(治具整合形状部)
52 治具整合形状部
a ウォータジャケット(冷却水流路)の深さ方向
r 樹脂

Claims (6)

  1. 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、
    前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、
    成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、
    前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、
    を備え
    前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体における前記気筒側位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制することを特徴とするスペーサの製造方法。
  2. 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、
    前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、
    成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、
    前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、
    を備え、
    前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体を前記気筒側及びその反対側より挟む位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制することを特徴とするスペーサの製造方法。
  3. 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、
    前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、
    成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、
    前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、
    を備え、
    前記成型型から前記原体を離型する過程で前記冶具を前記原体に嵌合し、その後、前記冶具と共に前記原体の離型を完結させることを特徴とするスペーサの製造方法。
  4. 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、
    前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、
    成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、
    前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、
    前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、
    を備え、
    前記成型工程では、前記冶具を前記成型型の所定位置に配置した上で前記樹脂の射出を行うことを特徴とするスペーサの製造方法。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のスペーサの製造方法において、
    前記冷却工程では、前記原体における前記冷却水流路の深さ方向の底部側に相当する部位の変形を抑制することを特徴とするスペーサの製造方法。
  6. 請求項1〜請求項のいずれか一項に記載のスペーサの製造方法において、
    前記成型工程における樹脂の射出を、前記原体における前記気筒側に向く面に相当する部位以外の部位から行うことを特徴とするスペーサの製造方法。
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