JP2017203405A - スペーサの製造方法及びスペーサ - Google Patents
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Abstract
Description
これによれば、気筒側に変形する傾向にあるスペーサの原体に対して冶具によってこの変形を抑制することができる。
これによれば、気筒側とは反対側にも変形する傾向にあるスペーサの原体に対して冶具によってこの変形を抑制することができる。
これによれば、得られたスペーサにおける冷却水流路の深さ方向の底部側に相当する部位の寸法精度が高くなるため、冷却水流路にスペーサを挿入する際、当該底部側の部位が挿入し易くなり、シリンダブロックに対するスペーサの組付け性が向上する。
これによれば、スペーサの原体が離型によって変形する前に冶具を嵌合させるため、得られたスペーサの寸法精度が向上し、また、嵌合時の擦り傷が少なくなる。
これによれば、スペーサの原体は冶具と共にインサート成型されることになるから、離型及び冷却時における変形がより効果的に抑制される。
これによれば、得られたスペーサにおける気筒側に向く面には、ゲートカット残りや、ゲートカット用の台座のような突部が存在しないので、冷却水流路の気筒側内壁面との隙間を小さくすることができ、冷却水の流れが効果的に制御される。
これによれば、スペーサと冶具を組み合わせる場合、面方向の位置決めが容易となる。
これによれば、スペーサに冶具を組み合わせる場合、冶具をスペーサの凹部又は凸部に係合させるため、スペーサの変形が的確に抑制されスペーサの寸法精度が高くなる。
これによれば、スペーサにおける気筒側に向く面にはゲートカットした後の残りが存在しないので、冷却水流路の気筒側内壁面との隙間を小さくすることができ、冷却水の流れが効果的に制御される。
なお、冶具整合形状部52,52の形成位置は、相対向する接続部51,51の対向部に限られず、例えば、後記する各実施形態に示す位置であっても良い。また、ゲートカット残り部53の形成位置は、接続部51の上端部に限らず、シリンダボア3側に向く面(内側部)以外の部位であって、円弧形状部分50の上端部、円弧形状部分50及び接続部51の下端部、円弧形状部分50の外側部等が望ましい。なお、円弧形状部50の内側部や接続部51の内側部に設けることも可能であるが、この場合は、対向するようには設けずウォータジャケット4のシリンダボア3側の内壁部4cとの間の残り部53の突出量より大きい間隔が存在するよう設計されている部位に設けることが望ましい。
図4(a)(b)(c)(d)は、本発明に係るスペーサの製造方法の第一の実施形態を示す。図4(a)は、成型型10に樹脂rを射出してスペーサ5の原体5A(図4(b)参照)を成型する成型工程を示す。成型型10は、上型(第1型)11と、箱形の下型(第2型)12とからなり、上型11の下面112には下型12の底部に及ぶ突部111が形成され、この突部111を有する上型11と箱形の下型12とにより、所定形状のスペーサ5(図1参照)に対応する形状のキャビティ13が形成される。上型11の適所(図例では、スペーサ5の上端部に対応する部位)にゲート部14が設けられ、不図示のランナーから当該ゲート部14を介してキャビティ13内に溶融状態の樹脂rが射出される。図4(b)は、成型型10から離型されたスペーサの原体5Aを示している。スペーサの原体5Aは、前記スペーサ5の形状に対応する円弧形状部分50及び接続部51を有した筒状体からなる。図4(c)は、前記原体5Aの相対向する接続部51間に治具6を嵌合により配置した状態で(治具6の存在下で)、当該原体5Aの変形を抑制しながら冷却する冷却工程を示している。この冷却工程では、治具6によって原体5Aが拘束されるから、冷却過程での変形が抑制されて歪み等が生じることなく硬化する。なお、治具6は、スペーサ5よりも剛性が高くなるように金属材から構成されている。図4(d)は、原体5Aが硬化後前記治具6を取り外す工程であって、治具6の図示を省略し、得られたスペーサ5のみを示している。
図5(a)は、第一の実施形態と同様に成型型10に樹脂rを射出してスペーサ5の原体5Aを成型する成型工程を示す。図5(b)は、成型型10のうち上型11を型開きし、下型12に残ったスペーサの原体5Aに治具6を嵌合した状態を示している。原体5Aに対する治具6の嵌合は、第一の実施形態と同様に原体5Aの相対向する接続部51,51間に治具6が配置されるようになされる。図5(c)は、下型12をさらに型開きして離型を完結させた上で、治具6が原体5Aに嵌合された状態で(治具6の存在下で)、当該原体5Aの変形を抑制しながら冷却する冷却工程を示している。図5(d)は、原体5Aが硬化後前記治具6を取り外す工程であって、治具6の図示を省略し、得られたスペーサ5のみを示している。
なお、本実施形態では、スペーサの原体5Aを下型12に残した状態で治具6を原体5Aに嵌合しているが、スペーサの原体5Aを下型12から離型させる途中で、治具6を原体5Aに嵌合するようにしても良い。その他の構成は第一の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その作用・効果の説明を割愛する。
本実施形態の製造方法では、製造対象のスペーサ5の形状が、前記各実施形態におけるスペーサ5と異なり、したがって、キャビティ13の形状も異なる。即ち、スペーサ5は、その内側部の縦断面形状が、ウォータジャケット4の深さ方向aのほぼ中間部54を頂部としてシリンダボア3側に向く緩やかな山形形状をなす。なお、スペーサ5の縦断面形状とは、平面に直交するとともに円弧形状部分50の中心に沿ってスペーサ5を切断した場合に現れる形状である。
下型12は、この中間部54に及ぶ断面台形状の突部121を有し、この下型12における突部121の上に治具6が配置される。そして、治具6及び下型12の上に上型11が配置され、治具6を介在させた状態で突部121を有する下型12と平板状の上型11との間にキャビティ13が形成されるように構成されている。本実施形態における治具6は、スペーサ5の内側部における中間部54より上半部の形状に整合する形状とされる。
その他の構成は第一の実施形態と同様であるから、共通部分に同一の符号を付し、その作用・効果の説明を割愛する。
そして、図7(a)にも示すように、治具6は、スペーサ5の上方から差し入れられ、両冶具整合形状部52,52間に整合した状態で配置されるよう、スペーサ5の長手方向に直交する幅方向bの両端部61,61が平面部からなる。図例の治具6の前記深さ方向aの大きさは、相対向する接続部51,51の深さ方向aの大きさの過半部以上とされている。また、治具6の上端部60は、スペーサ5における相対向する接続部51,51の両上端部510,510間に跨るような鍔状形状部60a,60aを有している。このような形状のスペーサ5と冶具6とを組み合わせる場合、面方向の位置決めが容易となる。
図9(a)に示す例では、相対向する接続部51,51間のそれぞれに配置される一対の冶具本体部6a,6aと、冶具本体部6a,6aを一体に繋ぐ繋ぎ部6bとによって平面視してH形の冶具6が構成されている。この例では、治具6がスペーサ5の内側位置に配置されるから、シリンダボア3側に変形する傾向にあるスペーサ5に対してこの変形が効果的に抑制される。また、一対の冶具本体6a,6aが繋ぎ部6bによって一体とされているので、治具6の形状が安定し、冶具本体6a,6aにより変形が的確に抑制される。
図9(a)(b)(c)に示す各例は、スペーサ5の内側部への変形傾向の度合い等に応じて適宜選択採用される。
図10(a)に示す例では、スペーサ5の各接続部51…の外側位置に4個の冶具6…が配置されている。また、図10(b)に示す例では、スペーサ5における長手方向に隣接する接続部51,51の外側位置と、これに対向する接続部51,51間の円弧形状部分50の外側位置とに、3個の治具6…が配置されている。さらに、図10(c)に示す例では、スペーサ5における長手方向中央部において対向する円弧形状部分50,50の外側位置に2個の冶具6,6が配置されている。また、図10(d)に示す例では、図10(c)の例に加えて、スペーサ5における長手方向両端部の円弧形状部分50,50の外側位置に2個の冶具6,6が配置されている。これらの例では、いずれも治具6がスペーサ5の外側位置に配置されているから、外側に変形する傾向にあるスペーサ5に対してこの変形が効果的に抑制される。
図10(a)(b)(c)(d)に示す各例は、スペーサ5の外側部への変形傾向の度合い等に応じて適宜選択採用される。
図11(a)に示す例では、スペーサ5の各相対向する接続部51,51間に2個の治具6,6が配置され、さらに、スペーサ5の長手方向両端部における円弧形状部分50,50の外側位置に2個の冶具6、6が配置されている。このように、スペーサ6の内側位置及び外側位置の両方に治具6が配置されていると、スペーサ5の多様な変形傾向にも対応でき、スペーサ5の変形の抑制が効果的になされる。図11(b)に示す例では、スペーサ5の各接続部51の外側位置に4個の冶具6…が配置され、さらに、スペーサ5における長手方向に隣接する接続部51,51間の円弧形状部分50,50間に1個の冶具6が配置されている。この場合も、スペーサ6の内側位置及び外側位置の両方に治具6が配置されているので、スペーサ5の多様な変形傾向にも対応でき、スペーサ5の変形が効果的に抑制される。図11(c)に示す例では、スペーサ5の各接続部51の外側位置に4個の冶具6…が配置され、さらに、スペーサ5の各相対向する接続部51,51間に2個の治具6,6が配置されている。この例の場合、スペーサ5のシリンダボア3側(内側位置)及びその反対側(外側位置)より挟む位置に治具6が配置された状態でスペーサ5の変形の抑制がなされるから、スペーサ5の多様な変形傾向に対応してより効果的に変形が抑制される。
図12(a)に示す例では、スペーサ5における相対向する接続部51,51間の前記深さ方向aの上側(開口部側)部及び下側(底部側)部に2個の治具6,6を配置している。このように、スペーサ5の上側部及び下側部に治具6,6を配置することによって、上側部及び下側部の変形が抑制されて寸法精度が高くなる。特にスペーサ5の下側部の寸法精度が高くなることにより、ウォータジャケット4にスペーサ5を挿入する際、スペーサ5の下側部が挿入し易くなり、シリンダブロック2に対するスペーサ5の組付け性が向上する。
2 シリンダブロック
3 シリンダボア(気筒)
4 ウォータジャケット(冷却水流路)
40 開口部
5 スペーサ
5A スペーサの原体
50 円弧形状部分
51a 凸曲部(治具整合形状部)
51b 凸部(治具整合形状部)
51c 凹部(治具整合形状部)
51d 凸部(治具整合形状部)
52 治具整合形状部
a ウォータジャケット(冷却水流路)の深さ方向
r 樹脂
Claims (11)
- 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置されるスペーサの製造方法であって、
前記スペーサは、前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分を含み、
成型型に樹脂を射出して前記スペーサの原体を成型する成型工程と、
前記成型型から前記原体を離型した後、冶具の存在下で当該原体の変形を抑制しながら冷却する冷却工程と、
前記冷却工程の後に前記冶具を取り外す工程と、
を備えたことを特徴とするスペーサの製造方法。 - 請求項1に記載のスペーサの製造方法において、
前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体における前記気筒側位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制することを特徴とするスペーサの製造方法。 - 請求項1に記載のスペーサの製造方法において、
前記冷却工程では、前記冶具を、前記原体を前記気筒側及びその反対側より挟む位置に配置した状態で前記原体の変形を抑制することを特徴とするスペーサの製造方法。 - 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のスペーサの製造方法において、
前記冷却工程では、前記原体における前記冷却水流路の深さ方向の底部側に相当する部位の変形を抑制することを特徴とするスペーサの製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のペーサの製造方法において、
前記成型型から前記原体を離型する過程で前記冶具を前記原体に嵌合し、その後、前記冶具と共に前記原体の離型を完結させることを特徴とするスペーサの製造方法。 - 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のスペーサの製造方法において、
前記成型工程では、前記冶具を前記成型型の所定位置に配置した上で前記樹脂の射出を行うことを特徴とするスペーサの製造方法。 - 請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載のスペーサの製造方法において、
前記成型工程における樹脂の射出を、前記原体における前記気筒側に向く面に相当する部位以外の部位から行うことを特徴とするスペーサの製造方法。 - 内燃機関のシリンダブロックに設けられた冷却水流路にその開口部から挿入されて配置される樹脂の成型体からなるスペーサであって、
前記シリンダブロックの気筒の外形状に沿った円弧形状部分、及び、変形の抑制用の冶具が整合可能な冶具整合形状部を有していることを特徴とするスペーサ。 - 請求項8に記載のスペーサにおいて、
前記冶具整合形状部が、前記冶具が面接触可能な平面部からなることを特徴とするスペーサ。 - 請求項8又は請求項9に記載のスペーサにおいて、
前記冶具整合形状部が、前記冶具が係合可能な凹部又は凸部からなることを特徴とするスペーサ。 - 請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載のスペーサにおいて、
前記気筒側に向く面以外の部位にゲートカット残り部を有していることを特徴とするスペーサ。
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