以下、本発明の実施形態について説明する。
図1には、本実施形態に係る画像処理システム10の構成概略図が示されている。画像処理システム10は、ユーザ端末12及び画像処理装置14を含んで構成される。ユーザ端末12と画像処理装置14とは、インターネットあるいはLAN(Local Area Network)などから構成される通信回線16を介して通信可能に接続されている。なお、図1にはユーザ端末12が1つのみ示されているが、画像処理装置14は複数のユーザ端末12と接続可能である。
ユーザ端末12は、例えばパーソナルコンピュータなどであってもよいが、本実施形態では、ユーザ端末12として携帯端末(例えばタブレット端末)が用いられる。ユーザ端末12は、予約者としての予約ユーザが使用するものである。ユーザ端末12は、通常のコンピュータが有する、CPU(Central Processing Unit)などからなる制御部と、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)あるいはハードディスクなどからなる記憶部と、タッチパネル、マウス、あるいはキーボードなどからなる入力部と、液晶パネルなどからなる表示部と、ネットワークアダプタなどからなる通信部とを含んでいる。好適には、ユーザ端末12は、予約ユーザの位置を検出するためのセンサ、例えば、短距離通信機であるブルートゥース(登録商標)通信機、あるいはユーザ端末12の位置を検出する位置検出センサであるGPS(Global Positioning System)センサなどが設けられる。
ユーザ端末12は、遠隔から画像処理装置14を操作するためのリモートUI(User Interface)として利用される。具体的には、画像処理装置14はウェブサーバとしての機能を有しており、ユーザ端末12上で動作するウェブブラウザからHTTP(HyperText Transfer Protocol)によって画像処理装置14にアクセスすることができる。ユーザ端末12が画像処理装置14にアクセスすると、画像処理装置14からジョブ予約画面情報がユーザ端末12に送信され、これによりユーザ端末12の表示部にジョブ予約画面が表示される。予約ユーザは、ジョブ予約画面に従って処理要求としてのジョブに関する設定及び予約時間を入力する。入力された設定情報及び予約時間情報を含むジョブ予約情報がHTTPによってユーザ端末12から画像処理装置14に送信され、処理予約としてのジョブ予約が画像処理装置14に受け付けられる。これにより、画像処理装置14において当該予約ユーザの予約状態が形成される。その後、予約ユーザは、画像処理装置14の前まで行って、ユーザ端末12あるいは画像処理装置14の操作部(後述)により予約ジョブに係る処理の実行を指示すると、当該予約ジョブに係る処理が実行される。
画像処理装置14は、本実施形態では、プリント機能、コピー機能、スキャナ機能、及びファックス機能を備えた複合機である。なお、画像処理装置14としては、複合機に限られず、予約時間(少なくとも予約開始時刻)を設定した上で処理を予約することが可能である限りにおいて、他の装置(例えばプリンタなど)であってもよい。以下、画像処理装置14の各部について説明する。
通信部30は、例えばネットワークアダプタなどから構成される。通信部30は、通信回線16を介してユーザ端末12と通信するためのものである。通信部30は、ユーザ端末12に対して、上述のジョブ予約画面情報などを送信する。また、通信部30は、ユーザ端末12から上述のジョブ予約情報などを受信する。また、通信部30は、公衆回線にも接続可能であり、これにより画像処理装置14がファックス機能を発揮する。
認証部32は、画像処理装置14を利用するユーザを認証するための認証処理を行う。例えば、認証部32は、ユーザ端末12からアクセスを受けた際に、予約ユーザに対してユーザID及びパスワードの入力を要求し、入力されたユーザID及びパスワードに基づいて予約ユーザを認証する。これにより予約ユーザが画像処理装置14にログインする。あるいは、認証部32は、予約ユーザあるいは他の利用者としての後続ユーザ(予約状態が形成された状態で画像処理装置14に直接ジョブを入力するユーザ)が有するIDカードからユーザIDを読み取り、読み取ったユーザIDに基づいて、予約ユーザあるいは後続ユーザを認証する。認証処理は、後述の記憶部36あるいは画像処理装置14から通信可能に接続されたサーバ(不図示)に記憶されたユーザデータベースと認証部32が取得したデータとを照合することで行う。
操作部34は、例えばタッチパネルあるいはボタンなどを含んで構成される。操作部34は、予約ユーザあるいは後続ユーザからの画像処理装置14への指示(操作)を受け付けるものである。
記憶部36は、例えばROM、RAM、あるいはハードディスクなどから構成される。記憶部36には、画像処理装置14の各部を動作させるためのプログラムが記憶される。
また、記憶部36には、画像処理装置14において予約されたジョブ(予約ジョブ)のリストである予約リスト38が記憶される。図2に、本実施形態における予約リスト38の例が示されている。図2に示されるように、本実施形態では、予約リスト38はテーブル形式となっており、1つのレコードが1つの予約ジョブを表している。予約リスト38においては、予約ジョブを識別するための予約ID、当該予約ジョブを予約したユーザを識別するユーザID、当該予約ジョブの予約開始時刻、及び、当該予約ジョブの予約終了時刻が関連付けられて1つのレコードとして記憶される。予約開始時刻から予約終了時刻までの時間が予約時間である。好適には、各レコードにおいて、予約ジョブのジョブ内容(例えばプリント、コピー、スキャナ、及びファックス)が関連付けられていてもよい。さらに、各レコードにおいて、各予約ユーザによって適宜設定された予約ジョブのセキュリティレベルが関連付けられていてもよい。予約リスト38へのレコードの追加あるいは削除処理は、後述の予約管理部54により行われる。
好適には、さらに、記憶部36にはユーザ別処理完了時間情報40が記憶される。ユーザ別処理完了時間情報40は、画像処理装置14が実行可能な各処理内容毎に、各ユーザが当該処理内容に係る処理を完了させるのに要すると見込まれる時間である処理完了時間を示すものである。本実施形態では、ユーザ別処理完了時間情報40においては、画像処理装置14が有する機能(本実施形態ではプリント機能、コピー機能、スキャナ機能、及びファックス機能)毎に、各ユーザが当該機能を用いて画像処理装置14において処理を完了するのに要すると見込まれる処理完了時間が示されている。
図3に、本実施形態におけるユーザ別処理完了時間情報40の例が示されている。図3に示されるように、本実施形態では、ユーザ別処理完了時間情報40は、各行が画像処理装置14の各ユーザを表し、各列が画像処理装置14が有する各機能を表すマトリックステーブルとなっている。ユーザ別処理完了時間情報40に含まれるユーザは、画像処理装置14を利用し得るユーザであり、例えば上述のユーザデータベースに含まれるユーザであってよい。
図3に示されたユーザ別処理完了時間情報40によれば、いつも同じ程度の枚数を処理するという前提にたつと、例えば、平均的なユーザであるユーザAは、コピー機能を用いて処理を完了させるのに5分、スキャン機能を用いて処理を完了させるのに3分、プリント機能を用いて処理を完了させるのに2分、ファックス機能を用いて処理を完了させるのに5分要すると見込まれることが把握できる。また、画像処理装置14の扱いに慣れたユーザBは、各機能を用いた処理をユーザAよりも短い時間で完了できると見込まれ、逆に、画像処理装置14の扱いに不慣れなユーザCは、各機能を用いた処理においてユーザAよりも長い時間を要すると見込まれることが把握できる。また、ファックス機能を頻繁に利用するユーザDは、その他の機能についてはユーザAと同等であるが、ファックス機能を用いた処理については、ユーザAよりも短い時間で完了できると見込まれることが把握できる。このように、一人のユーザに着目した場合であっても利用する機能によって処理完了時間が異なり、また、同じ機能を利用する場合であってもユーザによって処理完了時間が異なる。
また、ユーザ別処理完了情報として、ユーザAはコピー100枚には8分、コピー10枚には1分、スキャン100枚には7分かかり、ユーザCは、コピー100枚には14分、コピー10枚には3分、スキャン100枚には8分といった、ユーザ毎の、より詳細な情報をもっていてもよい。
ユーザ別処理完了時間情報40は、画像処理装置14の管理者などによって予め作成されて記憶部36に記憶されてよいが、ユーザ別処理完了時間情報40の内容は、各ユーザが画像処理装置14に実行させた処理内容の履歴に基づいて、後述の制御部52によって動的に変更(更新)されてもよい。例えば、ユーザAがコピー機能を頻繁に利用したのであれば、ユーザAがコピー機能を用いて処理を完了させるのに要すると見込まれる時間を短縮させてもよい。あるいは、ユーザAが過去にプリント処理を要求した枚数などに基づいて、プリント機能を用いて処理を完了させるのに要すると見込まれる時間を設定してもよい。あるいは、後述の計時部44を用いてユーザAがコピー機能を用いて処理を終えるまでの時間を計測して、計測された時間に基づいてユーザAがコピー機能を用いて処理を完了させるのに要すると見込まれる時間を変更してもよい。
表示部42は、例えば液晶パネルなどから構成される。表示部42には、画像処理装置14に関する種々の情報が表示される。また、本実施形態においては、表示部42を構成する液晶パネルがタッチパネルとなっており、当該液晶パネルは表示部42のみならず操作部34としても機能する。表示部42に表示される画面の詳細については後述する。
計時部44は、例えばタイマICや水晶振動子、あるいはクロックモジュールなどを含んで構成される。計時部44は、現在時刻を計時して、それを示す現在時刻情報を制御部52に出力する。
好適には、予約者検出部としてのユーザ検出部46が画像処理装置14に設けられる。ユーザ検出部46は、画像処理装置14のユーザ、特に予約ユーザの画像処理装置14への接近を検出するものである。ユーザ検出部46としては、例えば、ブルートゥース通信機、あるいはGPSセンサを含んで構成される。ユーザ検出部46としてのブルートゥース通信機と、ユーザ端末12に設けられたブルートゥース通信機が通信可能となった場合に、画像処理装置14の近傍にユーザ端末12が存在することが検出できる。これにより予約ユーザが画像処理装置14に接近していることが擬制される。また、ユーザ検出部46としてのGPSセンサの検出位置と、ユーザ端末12に設けられたGPSセンサの検出位置とに基づいて、画像処理装置14の近傍にユーザ端末12が存在することが検出できる。あるいは、各エリアに出入りするためにIDカードを各エリアの出入り口近傍に設置されたカードリーダに読み取らせることが必要な建物に画像処理装置14が設置されるならば、画像処理装置14が設置されたエリアの出入り口近傍に設置されたカードリーダが読み取ったユーザIDをユーザ検出部46が取得可能としておき、当該カードリーダが予約ユーザのユーザIDを読み取ったことを検出した場合に予約ユーザが画像処理装置14に接近したと判定するようにしてもよい。
画像形成部48は、プリント機能を要求するプリントジョブにおいて指定された画像データをラスタデータに展開する処理を行うRIP処理部、及び、展開されたラスタデータや後述の画像読取部50が読み取った画像データを紙などの印刷媒体上に再現するプリント処理を実行する出力部などを含んで構成される。つまり、画像形成部48により、プリント機能あるいはコピー機能が実現される。
画像読取部50は、画像読み取り装置などから構成され、紙などの印刷媒体上の画像を読み取って画像データとして取得する。画像読取部50により、スキャン機能あるいはコピー機能が実現される。
制御部52は、マイクロコンピュータ、あるいはCPU(Central Processing Unit)などから構成され、記憶部36に記憶されたプログラムに従って、画像処理装置14の各部を制御する。また、制御部52は、当該プログラムにより、予約設定部としての予約管理部54、及び、表示制御部としても機能する処理制御部56としての機能も発揮する。以下、これらの機能について説明する。
予約管理部54は、ユーザ端末12から送信されたジョブ予約情報を受け付け、当該ジョブ予約情報に基づいて予約リスト38にレコードを追加する処理を行う。あるいは、予約管理部54は、予約ユーザが操作部34を用いて画像処理装置14を直接操作することで入力された予約ジョブを予約リスト38に追加する処理を行う。これにより、画像処理装置14において予約状態が形成(設定)される。さらに、予約管理部54は、当該予約ジョブに係る処理が完了すると、当該予約ジョブを示すレコードを予約リスト38から削除する処理を行う。予約リスト38からレコードが全て削除された場合、予約状態が解除される。
処理制御部56は、画像処理装置14において予約状態が形成された場合に、現在時刻から、予約リスト38に記憶された予約開始時刻のうち最も早い予約開始時刻(以下「最先予約開始時刻」と記載する)までの間(以下「残時間」と記載する)に完了可能な処理内容を特定し、特定した処理内容を後続ユーザに通知すべく表示部42に表示させる処理を行う。以下、処理制御部56の具体的な処理について説明する。
まず、処理制御部56は、最先予約開始時刻と計時部44が計時した現在時刻との差を残時間として算出する。例えば、図2に示すような予約リスト38が記憶されており、現在時刻が「14:56」である場合、最先予約開始時刻「15:00」と現在時刻「14:56」との差である4分が残時間として算出される。
次に、処理制御部56は、残時間で完了可能な処理内容である完了可能処理内容を特定する。完了可能処理内容の特定方法としては、画像処理装置14が実行可能な処理内容毎に、当該処理内容に係る処理を完了させるのに必要と見込まれる処理完了時間(これは画像形成部48及び画像読取部50の性能に基づいて決定されてよい)を示す処理完了時間情報を予め記憶部36に記憶させておき、処理完了時間と残時間との比較により、残時間内で処理が完了すると見込まれる処理内容を特定する。例えば、処理完了時間情報として、コピー機能を用いて処理を完了させるのに5分、スキャン機能を用いて処理を完了させるのに3分、プリント機能を用いて処理を完了させるのに2分、ファックス機能を用いて処理を完了させるのに5分要するという内容が予め記憶されている場合、残時間が4分だとすると、完了可能処理内容としてスキャン機能及びプリント機能が特定される。また、処理内容毎に、画像処理装置14の処理能力、つまり単位時間で処理可能な量(例えばプリント機能であれば1分間で出力可能な枚数)を記憶しておき、処理制御部56は、後続ユーザにより入力されたジョブ内容(例えばプリント枚数)と、単位時間で処理可能な量とに基づいて処理完了時間を演算するようにしてもよい。
上述のユーザ別処理完了時間情報40が記憶部36に記憶されている場合は、現在ログインしている後続ユーザと、残時間と、ユーザ別処理完了時間情報40とに基づいて、完了可能処理内容を特定するようにしてもよい。例えば、図3に示す内容のユーザ別処理完了時間情報40が記憶されている場合、現在ログインしているユーザがユーザAであって残時間が4分以上である場合は、コピー機能、スキャン機能、プリント機能、及びファックス機能のいずれを用いた処理が4分以内で完了可能と見込まれるから、完了可能処理内容としてこれらの機能全てが特定される。一方、現在ログインしているユーザがユーザAであって残時間が4分である場合は、スキャン機能及びプリント機能を用いた処理が4分以内で完了可能と見込まれるから、完了可能処理内容としてスキャン機能及びプリント機能のみが特定される。
完了可能処理内容としては、上述のような機能単位に限られず、さらに細かい内容を特定するようにしてもよい。詳しくは、予め記憶部36に記憶された、画像処理装置14の処理能力を示す情報に基づいて、完了可能処理内容を特定するようにしてもよい。例えば、カラーコピーの処理能力(速度)として1分間で60枚コピー可能であることが予め記憶部36に記憶されており、入力ジョブがカラーコピーを要求するジョブであり、残時間が4分である場合、コピー可能枚数として60×4=240枚が特定される。
また、例えば、ファックス機能の利用において、送信先を予め記憶された送信先から選択する場合よりも送信先番号を入力する場合の方がより時間がかかるのが一般的である。したがって、送信先選択によるファックス送信には1分、送信先入力によるファックス送信には4分要すると予め記憶させておくことで、例えば、残時間が3分である場合に後続ユーザによりファックス機能が選択された場合は、完了可能処理内容として送信先選択によるファックス送信のみが特定される。
完了可能処理内容が特定されると、処理制御部56は、完了可能処理内容を表示部42に表示させる。
また、処理制御部56は、画像処理装置14において予約状態が形成されている場合に後続ユーザからジョブが入力されるときに、後続ユーザから入力されるジョブに係る処理内容を完了可能処理内容に制限する処理を行う。例えば、上述のように、完了可能処理内容が特定されると、処理制御部56は、完了可能処理内容以外の処理を行うことを禁止する。具体的には、処理制御部56は、完了可能処理内容以外の処理を行うことを後続ユーザが画像処理装置14に指示できないようにする、あるいは、完了可能処理内容以外の処理を行うユーザからの指示を受け付けないようにする。
本実施形態では、画像処理装置14に処理を行わせる処理内容の選択(例えば利用する機能の選択)が、操作部34及び表示部42を構成する液晶パネル(タッチパネル)に表示されたボタンを後続ユーザがタッチすることで実行される場合がある。例えば、各機能に対応した複数のボタンを液晶パネルに表示させ、後続ユーザが所望のボタンをタッチすることで利用する機能を選択する。このような場合は、処理制御部56が、完了可能処理内容を選択するためのボタンのみを表示する(残時間で完了できない処理内容を選択するためのボタンを表示させない)ことで、完了可能処理内容の後続ユーザへの通知と、完了可能処理内容以外の処理の選択禁止が同時に実現される。
また、処理制御部56は、時間の経過に応じて、表示部42に表示された完了可能処理内容を変更するようにしてもよい。例えば、図3に示す内容のユーザ別処理完了時間情報40が記憶されている場合、現在ログインしているユーザがユーザAであって残時間が4分である場合は、表示部42にはスキャン機能選択ボタン及びプリント機能選択ボタンが表示される。この状態で1分が経過して残時間が3分を切ると、残時間ではスキャン機能による処理が完了できなくなるから、処理制御部56は、表示部42の表示内容を変更し、スキャン機能選択ボタンを消去する。これにより、後続ユーザは、スキャン機能による処理が残時間で処理できなくなったことが把握できる共に、スキャン機能の選択が不可となる。なお、スキャン機能選択ボタンを消去する数秒前に、スキャン機能が選択できなくなることの警告を表示するようにしてもよい。また、完了可能処理内容として残時間で完了可能な処理量(例えばコピー可能な枚数など)が表示されている場合などにおいても、処理制御部56は、時間の経過に応じて(残時間が減少するに応じて)、残時間で完了可能な処理量を順次変更して表示するようにしてもよい。
また、処理制御部56は、後続ユーザから入力されるジョブに係る処理内容を完了可能処理内容に制限した後において、ユーザ検出部46の検出結果に基づいて、当該制限を緩和するようにしてもよい。具体的には、ユーザ検出部46の検出結果により、最先予約開始時刻が設定された最先予約ジョブを予約した最先予約ユーザが、最先予約開始時刻までに画像処理装置14に到達しないと判定される場合に、処理内容の制限を緩和する。処理内容の制限の緩和とは、例えば、コピー処理をしている場合にコピー可能な枚数を制限された枚数から所定枚数増やす、あるいはスキャン処理をしている場合にスキャン可能な枚数を制限された枚数から所定枚数増やすといった処理である。これにより、後続ユーザは、最先予約開始時刻後においても処理を継続させることができる。なお、処理制御部56は、最先予約開始時刻までに画像処理装置14に到達しないと判定される場合に、後続ユーザに対して、処理内容の制限を緩和するか否かを確認した上で処理内容の制限を緩和するようにしてもよい。処理内容の制限を緩和するか否かの確認は、例えば、表示部42に「予約開始時刻になりましたが予約者が接近していません。予約者が来るまで継続して出力しますか?」とのメッセージ、並びに、「はい」ボタン及び「いいえ」ボタンを表示させる。
また、処理制御部56は、残時間において完了不可能な処理内容であっても、最先予約ジョブに係る処理と同時に実行可能な処理内容を表示部42に表示させる。それと共に、処理制御部56は、残時間において当該処理内容を処理することを許容する。例えば、図3に示す内容のユーザ別処理完了時間情報40が記憶されており、最先予約ジョブのジョブ内容がプリント処理であり、現在ログインしているユーザがユーザAであり、残時間が2分以上3分以下である場合は、本来であれば残時間2分以内で完了可能な処理であるプリント機能のみが表示部42に表示され、後続ユーザはプリント機能のみの処理が許容されるところである。しかしながら、最先予約ジョブのジョブ内容であるプリント処理は画像形成部48により実現され、スキャン処理は画像読取部50により実現され、またファックス処理は通信部30により実現される。つまり、プリント処理と、スキャン処理又はファックス処理とでは、画像処理装置14において用いられる処理部が異なることから、同時に実行可能である。したがって、上述の条件の場合、処理制御部56は、プリント機能のみならず、スキャン機能及びファックス機能をも表示部42に表示させ、後続ユーザには、プリント機能のみならず、スキャン機能及びファックス機能による処理が許容される。
なお、残時間で完了できないものの最先予約ジョブに係る処理と同時に実行可能な処理内容であっても、最先予約ジョブ及び後続ユーザが入力したジョブの少なくとも一方においてセキュリティ上他のジョブとの同時処理を許容していない場合は、処理制御部56は、そのような処理内容を表示部42に表示させず、また後続ユーザがそのような処理内容を画像処理装置14に実行させることを禁止する。例えば、上述の例において、最先予約ジョブのセキュリティレベルが高く設定されている場合(例えばセキュアプリント設定がされている場合)は、スキャン機能及びファックス機能については、最先予約ジョブと同時実行可能であるものの、表示部42に表示させず、後続ユーザにスキャン機能及びファックス機能による処理の実行を許容しない。
また、後続ユーザのジョブに係る処理内容が制限された結果、後続ユーザのジョブに係る処理の全てが残時間内に完了できなくなる場合がある。処理制御部56は、このような場合に、当該後続ユーザのジョブについて設定された設定情報(例えばプリント設定など)を記憶部36に一時記憶させるようにしてもよい。これにより、予約ユーザのジョブに関する処理が完了した後に、後続ユーザが当該ジョブを再開させる場合に、再度当該ジョブに関する設定を行う必要がなくなる。また、好適には、後続ユーザのジョブに係る処理の全てが残時間内に完了できなくなった場合に、予約管理部54が後続ユーザのジョブの残り分の処理を予約するようにしてもよい。
画像処理システム10の構成概要については以上の通りである。以下、図1を参照しつつ図4に示すフローチャートに従って、本実施形態における画像処理装置14の処理の詳細を説明する。なお、図4のフローチャートの開始時において、記憶部36には、図3に示す内容のユーザ別処理完了時間情報40が記憶されているとする。
ステップS10において、画像処理装置14は、予約ユーザから処理の予約を受け付ける。これにより、予約管理部54は、予約ジョブを示す情報を予約リスト38に記憶させる。本例では、予約ユーザであるユーザA及びユーザDからの予約を受け付けたとし、これにより予約リスト38に図2の内容が記憶されたとする。ここで、最先予約ユーザはユーザAであり、最先予約開始時刻は「15:00」となる。
ステップS12において、処理制御部56は、残時間を算出し、残時間が予め定められた所定時間以内であるか以下を判定する。本例では、当該所定時間は10分に設定される。
残時間が所定時間以下である場合、ステップS14において、処理制御部56は、最先予約開始時刻を表示部42に表示させる。ステップS14において表示部42に表示される画面の例が図5に示されている。なお、本例では最先予約開始時刻を表示しているが、それに代えてあるいは加えて残時間を表示するようにしてもよい。最先予約開始時刻が表示部42に表示されることで、画像処理装置14を利用しようとするユーザは、ログインに先立って、最先予約開始時刻あるいは残時間を把握することができる。
ステップS16において、認証部32は後続ユーザを認証する。本例では、後続ユーザとしてユーザBを認証したとする。
ステップS18において、処理制御部56は、ユーザB向けの機能選択画面を表示部42に表示させる。当該機能選択画面の例が図6に示されている。機能選択画面には、利用する機能をユーザBに選択させるための機能ボタンが含まれている。上述の通り、機能選択画面に表示される機能ボタンは、残時間で処理が完了可能な機能を選択するボタンのみが表示される。
現在時刻が「14:57」だとすると、処理制御部56は、最先予約開始時刻「15:00」と現在時刻「14:57」との差である3分を残時間として算出する。そして、処理制御部56は、残時間とユーザ別処理完了時間情報40(図3参照)に基づいて、ユーザBが残時間で処理を完了できる機能を特定する。ここでは、残時間3分で処理を完了できる機能として、スキャン機能及びプリント機能が特定する。そして、処理制御部56は、機能選択画面において、特定された機能に対応するスキャン機能選択ボタン及びプリント機能選択ボタンを表示させ、特定されなかった機能に対応するコピー機能選択ボタン及びファックス機能選択ボタンは表示させない。これにより、ユーザBは、スキャン機能及びプリント機能を用いた処理は残時間で完了可能であり、コピー機能及びファックス機能は残時間で完了不可能であることが把握できると共に、ユーザBによるコピー機能及びファックス機能の選択が禁止される。
また、機能選択画面には、設定のみボタンが表示される。設定のみボタンは、残時間において画像処理装置14に処理を行わせずに、ジョブの設定のみを行うときにタッチされるボタンである。
ステップS18において、ユーザBがボタン操作を行わずに1分強が経過して残時間が2分を切ると、処理制御部56は、残時間の変化に応じて機能選択画面の内容を変更する。ここでは、2分以下ではスキャン機能を用いた処理が完了できないと判定されるため、スキャン機能選択ボタンを消去する。
なお、機能選択画面においても、最先予約開始時刻が表示されている。また、ここでも、最先予約開始時刻に代えてあるいは加えて残時間を表示するようにしてもよい。これによりユーザBは常に最先予約開始時刻及び残時間を把握可能となっている。残時間を表示する場合、処理制御部56は、時間の経過に応じて、残時間を刻々と変化させるようにしてもよい。
ステップS20において、処理制御部56は、ユーザBがいずれかの機能を選択したか、あるいはジョブに関する設定のみを行うことを選択したか否かを判定する。具体的には、処理制御部56は、いずれかの機能選択ボタンがタッチされたか、あるいは設定のみボタンがタッチされたかを判定する。
機能選択画面においていずれかの機能選択ボタンがタッチされた場合、ステップS22に進む。ステップS22では、処理制御部56が表示部42にジョブ設定画面を表示させ、当該ジョブ設定画面において、ユーザBによって選択された機能に関する設定(ジョブ設定)が入力される。なお、ステップS22の処理の詳細は図8のフローチャートを用いて後述するが、ユーザBが入力するジョブの処理内容は、完了可能処理内容に制限される。
ステップS22においてジョブの設定が入力されると、ステップS24において、処理制御部56は入力された設定に従ってユーザBのジョブを実行する。ステップS24において実行される処理内容は、ユーザBのジョブに係る処理内容のうち、完了可能処理内容のみである。もちろん、ユーザBのジョブに係る処理内容の全てが残時間で完了可能であれば、ステップS24において当該ジョブに係る処理内容の全てが実行される。
ステップS26において、処理制御部56は、ユーザBのジョブに係る処理内容の全てが完了したか否かを判定する。完了した場合は図4のフローチャートの処理を終了し、完了していない場合はステップS30に進む。
ステップS20に戻り、機能選択画面において設定のみボタンがタッチされた場合、処理制御部56は、ステップS18で表示されなかった、コピー機能選択ボタン及びファックス機能選択ボタンを表示させる。これにより、ユーザBが、コピー機能及びファックス機能に関する設定も行うことが可能になる。設定のみボタンがタッチされた後でいずれかの機能選択ボタンがタッチされた場合はステップS28に進む。
ステップS28において、処理制御部56は、表示部42にジョブ設定画面を表示させる。ユーザBは、当該ジョブ設定画面において、後で(少なくとも最先予約ジョブに係る処理の完了後に)処理を実行させるジョブに関する設定を行う。
ステップS28において表示部42に表示される画面の例が図7に示されている。ジョブ設定画面においては、選択された機能に関する設定を入力するための入力欄あるいはボタンなどが表示される。また、ジョブ設定画面には、設定したジョブを予約するためのジョブ予約ボタン、及び、ジョブ設定を一時的に記憶部36に記憶させるための設定保存ボタンが表示される。なお、ジョブ設定画面においても、最先予約開始時刻(あるいは残時間)が表示される。また、当該ジョブ設定画面においてジョブの予約が可能であることから、当該ジョブの予約開始時刻の候補が表示される。
ステップS30において、処理制御部56は、ユーザBのジョブに係る処理内容のうちステップS24において処理できなかった残処理内容に係るジョブについて、あるいは、ステップS28においてジョブ設定が入力されたジョブについて、ユーザBから予約指示が入力されたか否かを判定する。ステップS28においてジョブ設定が入力された場合においては、処理制御部56は、ジョブ設定画面(図7参照)に表示されたジョブ予約ボタンがタッチされた場合に予約指示が入力されたと判断し、設定保存ボタンがタッチされた場合に予約指示が入力されなかったと判断する。ステップS24において処理できなかった残処理内容があった場合には、ステップS24における処理の実行後あるいは前に、図7のジョブ設定画面と同様に、ジョブ予約ボタン及び設定保存ボタンを表示部42に表示させ、ジョブ予約ボタンがタッチされた場合に予約指示が入力されたと判断し、設定保存ボタンがタッチされた場合に予約指示が入力されなかったと判断する。
ステップS30においてジョブ予約ボタンがタッチされた場合、ステップS32において、予約管理部54は、ステップS24において処理できなかった残処理内容に係るジョブ、あるいは、ステップS28においてジョブ設定が入力されたジョブに関する情報を予約リスト38に追加し、当該ジョブを予約する。
ステップS30において設定保存ボタンがタッチされた場合、ステップS34において、処理制御部56は、ステップS24において処理できなかった残処理内容に係るジョブのジョブ設定、あるいは、ステップS28において入力されたジョブ設定を記憶部36に記憶させる。当該ジョブ設定は、後にユーザBが画像処理装置14にログインし、当該ジョブを再開あるいは実行させる際に読み出される。
以下、図8のフローチャートに沿って、ステップS22の処理の詳細について説明する。なお、ここでは、ステップS20においてプリント機能選択ボタンがタッチされ、プリント処理を行う場合のステップS22の処理の詳細について説明する。
ステップS40において、処理制御部56は、画像処理装置14の処理能力(本例ではプリント処理であるため画像形成部48の処理能力)に基づいて、残時間で処理可能な枚数を算出する。例えば、カラープリントの処理速度として1分間で60枚出力可能であることが記憶部36に予め記憶されており、残時間が3分であるとすると、処理制御部56は、残時間で出力可能な枚数として60×3=180枚を算出する。
ステップS42において、処理制御部56は、プリント候補文書のうち、ステップS40で算出した出力可能枚数以内で出力可能な電子文書を表示部42に表示させる。ステップS40において表示部42に表示される画面の例が図9に示されている。本例では、画像処理装置14内(例えば親展ボックスと呼ばれる予め定められた格納領域内)に記憶された電子文書をプリント候補文書としている。例えば、画像処理装置14内において文書名S、文書名T、及び文書名Uという3つの電子文書が記憶されているとする。ここで、文書名Sが6ページで構成され、文書名Tが200ページで構成され、文書名Uが100ページで構成されるとすると、処理制御部56は通常プリントした場合において180枚以内で出力できる文書名S及び文書名Uのみを表示部42に表示させ、文書名Tは表示させない。これにより、ユーザBは、文書名S及び文書名Uは残時間で出力可能であり、文書名Tは残時間で出力完了不可能であることが把握できると共に、ユーザBによる文書名Tの出力指示が禁止される。なお、表示させる電子文書は、当該ジョブの設定(例えば両面印刷、N−UP印刷など)も考慮して決定するようにしてもよい。
ステップS44において、ユーザBにより、表示された電子文書の中からプリント対象文書が選択され、さらにプリント対象文書の出力部数が設定される。ここでは、文書名Sが選択され、出力部数として50部が設定されたとする。
ステップS46において、処理制御部56は、ステップS44で選択されたプリント対象文書及び出力部数が残時間で出力可能か否かを判定する。文書名Sは6ページで構成され、出力部数が50部に設定されているから、通常プリントの場合、出力枚数は6×50=300枚となり、残時間で出力可能な枚数である180枚を上回る。したがって、ここでは、処理制御部56は、残時間で出力不可能と判定し、ステップS48に進む。なお、ステップS46における判定においても、両面印刷やN−UP印刷などの印刷設定が考慮されてもよい。
ステップS48において、処理制御部56は、ステップS44でユーザBにより選択されたプリント対象文書について、残時間で出力可能な部数を算出する。具体的には、ステップS40で算出した残時間で出力可能な枚数と、ステップS33で指定されたプリント対象文書のページ数に基づいて、残時間で出力可能な部数を算出する。本例では、残時間で出力可能な枚数は180枚であり、プリント対象文書である文書名Sは6ページで構成されているから、180÷6=30部が、残時間で出力可能な部数として算出される。そして、処理制御部56は、算出した部数を表示部42に表示させると共に、ユーザBに対して出力部数の再度の入力を促す画面を表示させる。ステップS48において表示部42に表示される画面の例が図10に示されている。
ステップS50において、ユーザBが出力部数を再入力し、再度のステップS46において、再入力された出力部数が残時間で出力可能であると判定した場合、ステップS24(図4参照)に進み、画像処理装置14は、当該ジョブを実行する。
以上説明した本実施形態によれば、画像処理装置14において予約状態が形成されている場合、後続ユーザがジョブを入力するに先立って、残時間で完了可能な処理内容が表示部42に表示される。後続ユーザは、当該表示に基づいて、残時間で完了可能な処理のみを画像処理装置14に指示することができる。あるいは、後続ユーザは早期にジョブの全てを完了させたい場合は、当該表示に基づいて、ジョブを他の画像処理装置14に処理させるという選択を行うことができる。このようにして、最先予約開始時間までに後続ユーザの処理が継続することが防止される。
また、本実施形態によれば、画像処理装置14において予約状態が形成されている場合、残時間で完了不可能な処理内容を後続ユーザが画像処理装置14に実行させることが禁止される。これにより、最先予約開始時間までに後続ユーザの処理が継続することがより確実に防止される。
以上、本発明に係る実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。