JP6743475B2 - 剥離可能積層延伸シート - Google Patents
剥離可能積層延伸シート Download PDFInfo
- Publication number
- JP6743475B2 JP6743475B2 JP2016089997A JP2016089997A JP6743475B2 JP 6743475 B2 JP6743475 B2 JP 6743475B2 JP 2016089997 A JP2016089997 A JP 2016089997A JP 2016089997 A JP2016089997 A JP 2016089997A JP 6743475 B2 JP6743475 B2 JP 6743475B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- stretching
- sheet
- resin
- temperature
- intermediate layer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
- Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
Description
熱可塑性樹脂シートを縦延伸する際は、シートをガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、ロール間の速度差を利用して縦延伸するのが通常である。
また、熱可塑性樹脂シートを横延伸する際は、シートをガラス転移温度(Tg)以上に加熱し、クリップの拡尺によって横延伸するのが通常である。
(1)動的粘弾性測定法により、振動周波数1Hz、ひずみ0.1%において測定される貯蔵弾性率(E')が、100〜180℃の範囲内において10〜100MPaである。
(2)結晶化熱量ΔHcが15J/g以下である。
(1)’動的粘弾性測定法により、振動周波数1Hz、ひずみ0.1%において測定される貯蔵弾性率(E')が、100〜180℃の範囲内において1〜100MPaである。
(2)’結晶化熱量ΔHcが25J/g以下である。
また、本発明が提案する剥離可能積層延伸シートによれば、表裏層(Y)(Y)を剥離するだけで、上記熱可塑性樹脂延伸シートを容易に得ることができる。
本発明の実施形態の一例に係る熱可塑性樹脂延伸シートの製造方法(「本シート製造方法」と称する)は、熱可塑性樹脂組成物(A)からなる中間層(X)の表裏両側に、熱可塑性樹脂組成物(B)からなり、且つ所定の特徴を有する表裏層(Y)(Y)を積層して積層シート(「未延伸積層シート」と称する)とし(製膜・積層工程)、これら表裏層(Y)、中間層(X)及び表裏層(Y)を備えた未延伸積層シートを延伸して剥離可能積層延伸シート(「本剥離可能積層延伸シート」と称する)を作製し(延伸工程)、次に、本剥離可能積層延伸シートにおいて、表裏層(Y)(Y)を中間層(X)から剥離する(剥離工程)ことを特徴とする熱可塑性樹脂延伸シート(「本熱可塑性樹脂延伸シート」と称する)の製造方法である。
延伸して配向性を付与する熱可塑性樹脂シートを形成する熱可塑性樹脂組成物(A)の主成分樹脂である熱可塑性樹脂(「熱可塑性樹脂A」とも称する)としては、透明性や屈折率などの光学特性に優れているという観点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂及び環状オレフィン樹脂からなる群の中から選ばれる一種又は二種以上の樹脂を挙げることができる。
上記の中でも、ポリカーボネート樹脂は、寸法安定性、耐湿熱性に優れ、また、原料設計により、機械的強度や光学特性を高めることも可能であり、また、延伸することで高配向を付与することが可能である。
ポリカーボネート樹脂のガラス転移温度の測定方法は、後述の実施例の項に記載されるとおりである。
上記アクリル系樹脂としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)など、構成単位に(メタ)アクリル酸(エステル)単位を有する熱可塑性アクリル重合体であればよい。
また、上記アクリル系樹脂におけるアクリル重合体の含有割合は、80〜100重量%が好ましく、中でも85重量%以上であるのがより好ましい。
ここで、「(メタ)アクリル酸(エステル)単量体以外の単量体」としては、例えば、スチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、4−メチル−1−ペンテン、酢酸ビニル、メタリルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシメチル−1−ブテンなどのアリルアルコール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾールなどを挙げることができ、これらの単量体は1種のみでもよいし、2種以上を含むものでもよい。
スチレン単量体単位の含有量が5質量%未満であれば、延伸後も高いシート強度を維持することができる。また、スチレン単量体の含有割合が5質量%未満であれば、スチレン単量体が共重合した後に、環化反応を行う場合、環化が不十分とならず、シートの耐熱性や強度を維持することができる。更には、未環化の反応性基によって架橋反応などが起こるのを抑制することができ、成形加工性の低下や、シートの外観欠点の増加を抑えることができる。
当該芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、クロロスチレンなどを挙げることができる。
なお、アクリル系樹脂のガラス転移温度Tgの上限としては、成形加工性が乏しくなることから150℃以下であるのが好ましい。
アクリル系樹脂に紫外線吸収能を付与する方法としては、例えば、アクリル系樹脂を製造する時の単量体成分として紫外線吸収性単量体および/または紫外線安定性単量体を用いる方法や、紫外線吸収剤および/または紫外線安定剤を上記アクリル重合体に配合する方法を挙げることができる。
また、これらは、アクリル重合体を含む光学シートに支障がない限り、これらの方法を併用してもかまわない。
また、上記紫外線吸収機能を持続させるためには、紫外線吸収性単量体と紫外線安定性単量体を併用することや、紫外線吸収剤と紫外線安定剤を併用することが好ましい。
また、紫外線吸収性単量体および/または紫外線安定性単量体と合わせて、紫外線吸収剤および/または紫外線安定剤を併用することも好ましい。
アクリル系樹脂全単量体の共重合量が0.1質量%以上であれば、耐候性向上に寄与することができ、10質量%以下であれば、押出の安定性が損なわれることによって耐熱水性や耐溶剤性が低下するようなことを抑えることができ、ブリードトラブルや黄変の発生を防止することができる。
スチレン重合体としては、スチレン単量体に由来する構成単位(スチレン単位)を含む公知のスチレン重合体を使用できる。
当該スチレン単量体としては、特に限定されず、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−ヒドロキシメチルスチレン、α−ヒドロキシエチルスチレン、クロロスチレンなどを挙げることができる。
スチレン重合体のスチレン単位の含有量は10重量%以上が好ましく、より好ましくは30重量%以上である。
その他の添加剤としては、例えばリン系、イオウ系、ヒンダードフェノール系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;位相差上昇剤、位相差低減剤、位相差安定剤などの位相差調整剤、ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤などを挙げることができる。
アクリル系樹脂中のその他の添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
アクリル系樹のメルトフローレート(MFR)が0.3以上であれば、溶融混練および押出に際して粘度が高すぎて成形が難しくなることがなく、粘度を下げるために成形温度を上げて熱分解が進行するのを防ぐこともできる。他方、該MFRが10以下であれば、高い面積倍率で延伸することが可能となる。
上記環状オレフィン系樹脂としては、(i)環状オレフィンの開環(共)重合体を必要に応じ水素添加した重合体、(ii)環状オレフィンの付加(共)重合体、(iii)環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとのランダム共重合体、(iv)前記(i)〜(iii)を無水マレイン酸、マレイン酸、無水イタコン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸あるいはその無水物の変性剤で変性したグラフト共重合体等を例示することができる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度Tgが上記該範囲内であれば、表裏層(Y)(Y)を積層することで加工性が向上し、また、延伸シート自体の耐熱性も向上させることが出来るので好ましい。
なお、環状オレフィン系樹脂は、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭61−115916号公報、特開昭61−271308号公報、特開昭61−252407号公報等に記載されている公知の方法に準拠して製造することもできる。
中間層(X)のガラス転移温度TgXすなわち熱可塑性樹脂組成物(A)のガラス転移温度TgXは、100〜170℃であるのが好ましく、中でも110℃以上或いは160℃以下であるのがさらに好ましい。
中間層(X)のガラス転移温度TgXすなわち熱可塑性樹脂組成物(A)のガラス転移温度TgXが上記該範囲内であれば、表裏層(Y)(Y)を積層することで加工性が向上し、また、延伸シート自体の耐熱性も向上させることが出来るので好ましい。
表裏層(Y)が上記(1)及び下記(2)の特徴を有するための、表裏層(Y)を形成する熱可塑性樹脂組成物(B)の主成分樹脂である熱可塑性樹脂(「熱可塑性樹脂B」とも称する)として、例えばオレフィン系重合体、中でも例えばポリ4−メチル−1−ペンテン重合体などを挙げることができる。
上記ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体としては、4−メチルペンテン−1の単独重合体のほか、4−メチルペンテン−1と他のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。
ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体が、α−オレフィンとの共重合体の場合、当該α−オレフィン重合単位の含有量は20質量%以下であるのが好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。
当該MFRが前記範囲内であれば、成形加工時に押出機の背圧が高くなりすぎることが無く生産性に優れる。
なお、本明細書において「メルトフローレート(MFR)」は、JIS K 7210に準拠し、温度260℃、荷重2.16kgの条件下での測定値をさす。
上記石油樹脂類としては、例えば石油樹脂、テルペン樹脂、クマロンーインデン樹脂、ロジン系樹脂、及びそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる1種の樹脂又は2種類以上の樹脂(以下、これらを総称して「石油樹脂類」とも称する)を挙げることができる。
上記クマロン−インデン樹脂としては、タールの160〜180℃留分を精製し、炭素数8のクマロン及び炭素数9のインデンを主要なモノマーとして重合した熱可塑性合成樹脂等を挙げることができる。
上記ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂等を挙げることができる。
上記のような石油樹脂は、色調や熱安定性、相溶性といった面から水素添加誘導体を用いることが好ましい。
石油樹脂類(a2)の含有割合が上記範囲内より少ないと、上記貯蔵弾性率(E')が高まり、結晶化熱量ΔHcも大きくなり、例えばキャスト成形時にキャストへ密着しづらくなり押出製膜することが困難とり、延伸成形時にも成形性が悪化してしまう可能性がある。また、石油樹脂(a2)の添加量が上記範囲内より多すぎると、逆に上記貯蔵弾性率(E')が低下し、結晶化熱量ΔHcも小さくなるため、例えば表裏層(Y)の粘着力が向上して、延伸成形後に表裏層(Y)を中間層(X)から剥離するのが難しくなる可能性があるため、好ましくない。
上記熱可塑性樹脂組成物(A)と上記熱可塑性樹脂組成物(B)とを、それぞれ加熱溶融して中間層(X)の表裏両側に表裏層(Y)(Y)を積層して未延伸積層シートを積層する方法の一例について説明する。
また、設備構造および必要性に応じて、ベント口に減圧機を接続し、水分や分低分子量物質を除去してもよい。
この際、押出機とTダイとの間にはギアポンプなどの定流量設備や、フィルターなどの異物等の除去設備、サーモジナイザーなどを目的に応じて設置してもよい。
他方、キャストロールの上限温度は、好ましくは、熱可塑性樹脂組成物(A)からなる、中間層(X)のガラス転移温度TgXの−1℃すなわちTgX−1℃以下であるのが好ましい。キャストロールの温度がTgX−1℃よりも低温であれば、シート状物がキャストロールに粘着してしまって離型性が悪くなるのを防ぐことができる。
一般的には、キャストロールの温度(キャスト温度とも称する)は、80℃以下が好ましく、特に40℃以下が特に好適である。キャスト温度を40℃以下にすることによって、表裏層(Y)の結晶化熱量が小さくなり延伸成形性が増すため好ましい。
このようにして、中間層(X)の表裏両側に表裏層(Y)(Y)を積層してなる構成を備えたシート状物すなわち未延伸積層シートを作製することができる。
未延伸積層シートの厚さが30μm以上であれば、シートが薄すぎるために延伸時に破断を起こすのを防ぐことができ、未延伸積層シートの厚さが1000μm以下であれば、シートが剛直になり過ぎて延伸を行い難くなるのを防ぐことができるばかりか、延伸後のシートの厚みを薄くすることができる。
上記未延伸積層シートにおいて、上記熱可塑性樹脂Aを主成分樹脂として含有する中間層(X)の表裏両側に積層する表裏層(Y)は、下記(1)及び下記(2)の特徴を有することが好ましい。
下記(1)及び下記(2)の特徴を有する表裏層(Y)(Y)を上記中間層(X)に積層して延伸すれば、中間層(X)の単体シートを延伸するだけでは到達できない領域まで、破断させることなく延伸することができる。
(1)動的粘弾性測定法により、振動周波数1Hz、ひずみ0.1%において測定される貯蔵弾性率(E')が、100〜180℃の範囲内において10〜100MPaである。
(2)結晶化熱量ΔHcが15J/g以下である。
かかる観点から、表裏層(Y)の結晶化熱量ΔHcは15J/g以下であるのが好ましい。表裏層(Y)の結晶化熱量ΔHcを上記範囲に調整するには、例えば、表裏層(Y)を形成する樹脂組成物の種類及び組成を適宜選択しすればよい。但し、かかる手段に限定するものではない。
上記未延伸積層シートを延伸して本剥離可能積層延伸シートを作製する方法としては、公知の延伸方法を適宜採用すればよい。例えばロール延伸法、テンター延伸法、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法、斜め延伸法等を適宜採用することができる。
図1及び図2は、延伸区間となる一対の駆動ロールの速度差を利用して、縦延伸する方法の一例を図示したものである。
未延伸シートを延伸に適した温度に加熱するための予熱部、加熱された未延伸シートを縦方向(流れ方向、機械方向、MD、Machine Direction、P方向)に延伸するために上流側のロールに対して下流側のロールの周速を速くできる少なくとも1対以上の駆動ロールからなる延伸部が含まれる。
延伸部のロールは、シートの滑りを抑制するために、タッチロールを有していることが好ましい。
これにより、延伸前後の一対のロールにおいて、後ろのロールが前のロールよりも早い周速で回転させることで延伸が可能となる。
これにより、加熱設備の前後に設けられた1対のロールにおいて、加熱設備の後ろのロールが前のロールよりも速い周速で回転させることで延伸され、その速度比により縦延伸倍率が設定できる。この縦延伸方法においては、加熱設備前後のロールには温度調整機能が備わっていてもいなくてもよい。
なお、縦延伸時における延伸温度とは、縦延伸時のシートの温度若しくは延伸直前の金属ロールの表面温度を意味するものである。
ここでは、未延伸積層シート又は上記縦延伸された縦延伸シートをその幅方向に横延伸する方法の一例について説明する。
クリップ式テンターは、横延伸用のクリップ走行装置とオーブンとから構成される。
上記クリップ走行装置は縦延伸シートの両端部を一対のクリップで掴んで搬送すると同時に、グリップ走行装置のガイドレールが開いて2列のグリップ間の距離を広げることにより当該シートを延伸する。
上記オーブンは、流れ方向にいくつかのゾーンに区切られており、ゾーンごとに設定温度および熱風の風量を変えられることが望ましい。上流側から、予熱ゾーンを設けて縦延伸シートを延伸可能な温度にまで加熱し、延伸ゾーンで延伸し、延伸後に必要に応じて熱処理ゾーンを設けて熱処理し、オーブンから前記シートが出て常温に曝される前に徐冷ゾーンを設けられる。
なお、横延伸時における延伸温度とは、横延伸時のシートの温度、若しくは、延伸ゾーンにおける熱風の温度を意味するものである。
延伸面積倍率が2.1倍以上であれば、十分な配向を与える事ができ、12倍以下であれば、延伸破断の可能性を抑えることができる。
上記のように延伸して得られた本剥離可能積層延伸シートは、熱可塑性樹脂Aを主成分樹脂として含有する中間層(X)の表裏両側に、熱可塑性樹脂Bを主成分樹脂として含有し、且つ下記(1)’及び下記(2)’の特徴を有する表裏層(Y)(Y)を、剥離可能に積層してなる構成を備えた剥離可能積層延伸シートである。
(1)’動的粘弾性測定法により、振動周波数1Hz、ひずみ0.1%において測定される貯蔵弾性率(E')が、100〜180℃の範囲内において1〜100MPaである。
(2)’結晶化熱量ΔHcが25J/g以下である。
この際、表裏層(Y)/中間層(X)=0.8/1〜2/1であるとは、表裏層(Y)/中間層(X)の層厚み比が、0.8/1であるか、若しくは0.8/1よりも表裏層(Y)の厚み比が大きく、且つ、2/1であるか、若しくは2/1よりも表裏層(Y)(Y)の厚み比が小さいという意味である。
また、両側の表裏層(Y)(Y)は、上記範囲内に入っていれば、互いに異なる厚さであってもよい。
上述のように延伸して得た本剥離可能積層延伸シートは、中間層(X)の表裏両側に表裏層(Y)(Y)が、剥離可能に積層してなる構成を備えた延伸積層シートであるから、表裏層(Y)(Y)を剥離することで本熱可塑性樹脂延伸シートを製造することができる。
以上のようにして製造される本熱可塑性樹脂延伸シートの厚さは、例えば20μm〜90μmであるのが好ましく、中でも30μm以上或いは70μmであるのがより好ましい。中でも、本シート製造方法によれば、薄くしても配向性を高めることができるから、50μm以下とするのがさらに好ましい。
必要に応じて、中間層(X)の片面もしくは両面に対して、各種の機能性コーティング(塗布)層を備えていてもよい。
機能性コーティング層としては、例えば易接着層、帯電防止層、粘接着剤層、防眩(ノングレア)層、光触媒層などの防汚層、反射防止層、ハードコート層、紫外線遮蔽層、熱線遮蔽層、電磁波遮蔽層、ガスバリヤー層、アンチブロッキング層などである。
さらに、性能を阻害しない範囲であれば、中間層(X)を裁断乃至粉砕してペレット化したものを、熱可塑性樹脂組成物(B)の原料へ混合して、加熱溶融して表裏層(Y)として押出ことも出来る。
一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JISK6900)。例えば厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明において文言上両者を区別する必要がないので、本発明においては、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとし、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「好ましくはYより小さい」の意を包含する。
パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、JISK7121、JISK7122に準じて、測定サンプルを10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温し、1分間保持した後、10℃/分の降温速度で測定し、得られた結晶化曲線に基づき、結晶化樹脂の場合は結晶化ピーク温度(Tc)と結晶化熱量(ΔHc)、非晶性樹脂の場合はガラス転移温度(Tg)を測定した。結果は表1に示した。
JISK−7198A法に記載の動的粘弾性測定法により、アイティー計測制御(株)製動的粘弾性測定装置「DVA−200」を用い、シートの横方向(TD)について、振動周波数1Hz、歪み0.1%にて、昇温速度1℃/分で−50℃から200℃まで測定し、得られたデータから温度100〜180℃での貯蔵弾性率(E’)を求めた。結果は表1に示した。
王子計測機器株式会社製位相差測定装置「KOBRA−WR」を用いて、波長586.4nm時の面内複屈折Δnを求めた。結果は表1に示した。
幅15mm、長さ50mmの矩形試験片を切出し、25mm部分まで表裏層(Y)を剥離した後に、万能引張試験機にて剥離時の荷重を測定し、剥離強度を算出した。
そして、剥離強度が30N/15mm以下の場合は「○」、剥離強度が30N/15mmより大きい場合は「×」と評価して、評価結果を表1に示した。
両表面層を形成する樹脂組成物については、(a1)ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体(結晶化熱量:19.4J/g、結晶化ピーク温度:204.7℃、メルトフローレート(温度:260℃、荷重:5kg)21.0g/10分)と、(a2)水素添加石油樹脂(軟化温度125℃、荒川化学工業(株)製、アルコンP125)とを、(a1)/(a2)=80/20の質量比率にて溶融混練した。
他方、中間層を形成する樹脂組成物については、ポリカーボネート樹脂(ガラス転移点温度147℃、メルトフローレート(温度:300℃、荷重:1.2kg)14.0g/10分)を溶融混練し、これらの溶融混練樹脂を三層Tダイ260℃、キャスト温度30℃にてキャストロールによりキャスト成形して、3層からなる未延伸積層シートを得た。
次に、テンター法にて、延伸温度156℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.4倍で1軸延伸を実施し、剥離可能積層延伸シートを得た。
両表面層を形成する樹脂組成物については、(a1)ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体(結晶化熱量:19.4J/g、結晶化ピーク温度:204.7℃、メルトフローレート(温度:260℃、荷重:5kg)21.0g/10分)と、(a2)水素添加石油樹脂(軟化温度125℃、荒川化学工業(株)製、アルコンP125)とを(a1)/(a2)=80/20の質量比率にて溶融混練した。
他方、中間層を形成する樹脂組成物については、環状ポリオレフィン樹脂(ガラス転移点温度136℃、メルトフローレート(温度:280℃、荷重:2.16kg)20.0g/10分)を溶融混練し、これらの溶融混練樹脂を三層Tダイ260℃、キャスト温度30℃にてキャストロールによりキャスト成形して、3層からなる未延伸積層シートを得た。
次に、テンター法にて、延伸温度145℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.6倍で1軸延伸を実施し、剥離可能積層延伸シートを得た。
両表面層を形成する樹脂組成物については、(a1)ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体(結晶化熱量:19.4J/g、結晶化ピーク温度:204.7℃、メルトフローレート(温度:260℃、荷重:5kg)21.0g/10分)と、(a2)水素添加石油樹脂(軟化温度125℃、荒川化学工業(株)製、アルコンP125)とを(a1)/(a2)=80/20の質量比率にて溶融混練した。
他方、中間層を形成する樹脂組成物については、アクリル樹脂(ガラス転移点温度115℃、メルトフローレート(温度:230℃、荷重:3.8kg)2.0g/10分)を溶融混練し、これらの溶融混練樹脂を三層Tダイ260℃、キャスト温度30℃にてキャスト成形して3層からなる未延伸積層シートを得た。
次に、テンター法にて、延伸温度125℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.6倍で1軸延伸を実施し、剥離可能積層延伸シートを得た。
実施例1における中間層のポリカーボネート樹脂(ガラス転移点温度147℃、メルトフローレート(温度:300℃、荷重:1.2kg)14.0g/10分)を溶融混練して単層シートを成形し、テンター法にて、延伸温度156℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.0倍で1軸延伸を実施し、延伸シートを得た。
上記延伸前の単層シートの層厚さ及び、延伸後の中間層(X)の層厚さ及び、複屈折Δnについて表1に示した。
実施例1において、表裏層を形成する樹脂組成物を、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体(結晶化熱量:19.4J/g、結晶化ピーク温度:204.7℃、メルトフローレート(温度:260℃、荷重:5kg)21.0g/10分)に変更した以外は、実施例1と同様にして3層シートを成形使用としたが、キャストロールに密着せず、3層シートを得ることが出来なかった。
実施例1と同様の方法にて、3層からなる未延伸積層シートを得た。
次に、片法の表裏層を剥離し、テンター法にて、延伸温度156℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.0倍で1軸延伸を実施し、シートを得た。
上記延伸前の単層シートの層厚さ及び、延伸後の中間層(X)の層厚さ及び、複屈折Δnについて表1に示した。
実施例2における中間層の環状オレフィン樹脂(ガラス転移点温度136℃、メルトフローレート(温度:280℃、荷重:2.16kg)20.0g/10分)を溶融混練して単層シートを成形し、テンター法にて、延伸温度145℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.4倍で1軸延伸を実施し、シートを得た。
上記延伸前の単層シートの層厚さ及び、延伸後の中間層(X)の層厚さ及び、複屈折Δnについて表1に記載する。
実施例3における中間層のアクリル樹脂(ガラス転移点温度115℃、メルトフローレート(温度:230℃、荷重:3.8kg)2.0g/10分)を溶融混練して単層シートを成形し、テンター法にて、延伸温度125℃、延伸速度300%/minの条件で横方向(TD)へ延伸倍率2.2倍で1軸延伸を実施し、シートを得た。
上記延伸前の単層シートの層厚さ及び、延伸後の中間層(X)の層厚さ及び、複屈折Δnについて表1に記載する。
Claims (4)
- 熱可塑性樹脂Aを主成分樹脂として含有する中間層(X)の表裏両側に、熱可塑性樹脂Bを主成分樹脂として含有し、且つ下記(1)’及び下記(2)’の特徴を有する表裏層(Y)(Y)を、剥離可能に積層してなる構成を備えた剥離可能積層延伸シート。
(1)’動的粘弾性測定法により、振動周波数1Hz、ひずみ0.1%において測定される貯蔵弾性率(E')が、100〜180℃の範囲内において1〜100MPaである。
(2)’結晶化熱量ΔHcが25J/g以下である。 - 表裏層(Y)と中間層(X)の各層厚み比が、表裏層(Y)/中間層(X)=0.8/1〜2/1である請求項1に記載の剥離可能積層延伸シート。
- 表裏層(Y)が、ポリ4−メチル−1−ペンテン系重合体(a1)と石油樹脂類(a2)を含み、その質量比が(a1)/(a2)=75/25〜90/10である請求項1又は2に記載の剥離可能積層延伸シート。
- 表裏層(Y)と中間層(X)との剥離強度が30N/15mm以下である請求項1〜3の何れかに記載の剥離可能積層延伸シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016089997A JP6743475B2 (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | 剥離可能積層延伸シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016089997A JP6743475B2 (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | 剥離可能積層延伸シート |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020036957A Division JP6809621B2 (ja) | 2020-03-04 | 2020-03-04 | 熱可塑性樹脂延伸シートの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017196815A JP2017196815A (ja) | 2017-11-02 |
JP6743475B2 true JP6743475B2 (ja) | 2020-08-19 |
Family
ID=60238563
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016089997A Active JP6743475B2 (ja) | 2016-04-28 | 2016-04-28 | 剥離可能積層延伸シート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6743475B2 (ja) |
Family Cites Families (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007270132A (ja) * | 2006-03-08 | 2007-10-18 | Toray Ind Inc | 易表面賦形性シート用組成物、及びそれを用いて形成される易表面賦形性シート、易表面賦形性シート積層体、それを用いた表面賦形方法ならびに成形品 |
JP4288268B2 (ja) * | 2006-03-13 | 2009-07-01 | 三菱樹脂株式会社 | 生分解性積層シート状物 |
JP5391818B2 (ja) * | 2008-06-11 | 2014-01-15 | 住友化学株式会社 | 位相差フィルムの製造方法 |
JP2011110780A (ja) * | 2009-11-26 | 2011-06-09 | Mitsubishi Plastics Inc | 熱収縮性積層フィルム、該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び容器 |
JP6286843B2 (ja) * | 2013-03-19 | 2018-03-07 | 日本ゼオン株式会社 | 複層フィルムの製造方法、位相差フィルム積層体の製造方法、偏光板の製造方法並びにips液晶パネルの製造方法 |
-
2016
- 2016-04-28 JP JP2016089997A patent/JP6743475B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2017196815A (ja) | 2017-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
TWI711539B (zh) | 雙軸延伸積層聚丙烯膜 | |
TWI589436B (zh) | Retardation film laminate, manufacturing method of retardation film laminate and method of manufacturing retardation film | |
US7323252B2 (en) | Biaxially oriented multilayer polypropylene film | |
JP2008276163A (ja) | 光学用フィルム | |
TW201834861A (zh) | 雙軸配向聚丙烯系膜以及積層體 | |
JP2013103368A (ja) | 多層フィルム | |
TWI622609B (zh) | 含空洞聚丙烯膜 | |
JP6540325B2 (ja) | 半透明性延伸フィルム | |
JP6700616B2 (ja) | 半透明性延伸フィルム | |
JP2017052932A (ja) | 半透明性延伸フィルム | |
JP2013202919A (ja) | 多層フィルム | |
JP6809621B2 (ja) | 熱可塑性樹脂延伸シートの製造方法 | |
JP5898925B2 (ja) | 多層フィルム | |
JP6743475B2 (ja) | 剥離可能積層延伸シート | |
JP6658271B2 (ja) | 熱可塑性樹脂延伸シートの製造方法 | |
JP5891870B2 (ja) | 光学フィルム、及び光学フィルムの製造方法 | |
JP7040515B2 (ja) | 熱可塑性樹脂積層延伸フィルム | |
JP2012171260A (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
KR101121335B1 (ko) | 필름 및 그 제조 방법 | |
JPWO2016002665A1 (ja) | 光学フィルム及びその製造方法 | |
TWI631165B (zh) | 含空洞聚丙烯膜 | |
JP6753540B1 (ja) | ポリオレフィンフィルム、および離型用フィルム | |
JP2014069438A (ja) | 延伸フィルムの製造方法 | |
WO2022075101A1 (ja) | フィルム、積層体および樹脂組成物膜の製造方法 | |
JP2018051838A (ja) | アクリル系フィルムの製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712 Effective date: 20170511 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20181228 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20200107 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20200304 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200630 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20200713 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 6743475 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |