JP6742688B2 - 飲料の評価及びその応用 - Google Patents

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本発明は、飲料の「炭酸感」(シュワシュワ感)を客観的に評価するための方法に関する。また、本発明は、上記の方法を利用して、飲料の中から所望の炭酸感を有する飲料を選別する方法に関する。さらに本発明は、当該方法を利用して、可食性成分や可食性組成物の中から飲料に炭酸感を付与する作用または飲料の「炭酸感」を増加させる作用があるものを選別するための方法に関する。
近年、食に対する消費者の嗜好はますます多様化している。なかでも飲料においては、「喉ごし」、「コク」、「キレ」、「飲み応え」、「炭酸感」などといった感覚特性が重視されてきており、これらが製品開発のコンセプトとなり、また消費者に対するアピールになる場合がある。
このため、最近、こうした飲料の感覚特性を補強・増強するためのフレーバー(食品添加物)の開発も進んでいる。一方、こうした食品添加物を開発し、またそれを評価するためには、飲料を飲んだ時の嚥下感覚を客観的かつ再現性よく評価するための手法の確立が必要となる。
従来、ヒトの摂食挙動を科学的に数値化する技術として、筋電位や嚥下音測定などの生体計測技術がある。飲料分野における生体計測技術の活用例は多くはないものの、例えば飲料を飲み込む際のごくごく音(嚥下音)によってとろみ水の飲みやすさを評価する方法(特許文献1、非特許文献1)、屈曲センサーを喉頭の皮膚表面に貼り付けることによって嚥下時の喉頭運動解析を行う方法(非特許文献2)、超音波を用いて咽頭を通過する食塊の流動速度を測定する方法(非特許文献3及び4)などが開発されている。
しかしながら、炭酸感を客観的に評価するための方法は提案されていない。
特開2011−234758号公報
Nakauma, M., et al., 2011, Swallowing profiles of food polysaccharide solutions with different flow behaviors, Food Hydrocolloids, 25, 1165-1173. Li, Q., et al., 2013, Development of a system to monitor laryngeal movement during swallowing using a bend sensor, PLOS ONE, 8, e70850, 1-8. Tashiro, A., et al., 2009, Relationship between the rheological properties of thickner solutions and their velocity through the pharynx as measured by the ultrasonic pulse doppler method, Food Sci. Technol. Res., 15, 203-210. Kumagai, H., et al., 2010, Relationship between flow properties of thickner solutions and their velocity through the pharynx measured by the ultrasonic pulse doppler method, Biosci. Biotechnol. Biochem. 74, 1598-1605. Gao, Z., et al., 2013, Ultrasound analysis of the effects of food bolus volume on tongue movement at the initiation of swallowing, J. Texture Stud. 44, 387-396.
本発明は、飲食物のなかでもとりわけ飲料の感覚特性の重要なパラメータとなりうる飲用した際の「炭酸感」を簡便且つ迅速に、しかも被験者に負荷を殆ど与えることなく客観的に評価する方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の方法を利用して、炭酸飲料の中から所望の炭酸感を有する飲料を選別する方法を提供することを目的とする。
さらに本発明は、上記本発明の方法を利用して、可食性成分や可食性組成物について飲料に炭酸感を付与する作用または飲料の炭酸感を増加する作用を評価し、可食性成分や可食性組成物の中から飲料に炭酸感を付与する作用または飲料の炭酸感を増加する作用を有するものを選別するための方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、流動性の組成物が被験者の喉を正常に(誤嚥なしに)通過するときの音(以下、「嚥下音」ともいう)について、飲食物が喉頭部を通過する際に、喉頭蓋が閉じるときに生じる音(喉頭蓋閉鎖音)、飲食物が咽頭部に流れ込むときの流動音(流動音)、喉頭蓋が開くときに生じる音(喉頭蓋開放音)について詳細に解析を行ったところ、飲料が喉頭を通過する際の流動音のシグナル(波形データ)から、炭酸飲料を飲用した際に感じる「炭酸感」を客観的に評価することができることを見出した。具体的には、流動音のシグナルを周波数変換して得られる3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(本発明ではこれを「P3−8」とも標記する。)と「炭酸感」が相関関係にあり、「炭酸感」を強く感じる飲料の当該平均音圧(P3−8)は、「炭酸感」が弱い飲料の平均音圧(P3−8)と比べて高いことを確認した。また、同様に、流動音のシグナルを周波数変換して得られる3kHz〜8kHzの範囲における特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(本発明ではこれを「F3−8」とも表記する。)もまた「炭酸感」と相関関係にあり、「炭酸感」を強く感じる飲料の当該音の出現頻度(F3−8)は、「炭酸感」が弱い飲料の音の出現頻度(F3−8)と比べて高いことを確認した。
これらのことから、流動音シグナルの3kHz〜8kHzの特定の周波数領域における平均音圧(P3−8)、及び当該周波数領域における特定の周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)は、いずれも飲料の「炭酸感」、並びに炭酸感によってもたらされる炭酸飲料の飲み心地を評価する指標となりうることを確認した。
本発明はこれらの知見に基づいて完成したものであり、下記の態様を包含するものである。
(I)飲料組成物の「炭酸感」を評価する方法
(I−1)
下記に示す(A)の工程と、(B−1)及び(B−2)よりなる群から選択される少なくとも一つの工程とを有する、飲料組成物の「炭酸感」を評価する方法:
(A):被験者が飲料組成物を嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
(B−1):取得した嚥下音のうち流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)を算出する工程:
(B−2):取得した嚥下音のうち流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)を算出する工程。
(I−2)
上記飲料組成物として、基準とする飲料組成物(基準試料)と評価対象とする1以上の飲料組成物(被験試料)を用い、
上記(A)の工程で、被験者が基準試料と被験試料をそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得し、
上記(B−1)または(B−2)の工程で、基準試料と被験試料のそれぞれについて、平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を算出し、さらに、
上記(B−1)または(B−2)の工程で得られた基準試料及び被験試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を用いて、下記に示す(C)の工程を行う、(I−1)に記載の方法:
(C):上記(B−1)または(B−2)の工程で得られた基準試料と被験試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)が、基準試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が強いと決定し、同じ場合、当該被験試料は基準試料と炭酸感が同等と決定し、低い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が弱いと決定する工程。
(I−3)
(B−1)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)が3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)であって、
(B−2)工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)が周波数4kHzの音圧変化から算出される音の出現頻度(F)である、
(I−1)または(I−2)に記載する評価方法。
(II)被験物質について炭酸感の増強/付与作用を評価する方法
(II−1)
飲料に添加して用いられる被験物質(以後、「被験物質」と記載。なお、本発明における「被験物質」は好ましくは飲料に添加して用いられるものである)。について炭酸感増強作用または炭酸感付与作用の有無を評価する方法であって、
下記に示す(1)の工程、(2−1)及び(2−2)よりなる群から選択される少なくとも一つの工程、及び(3)の工程を有する方法:
(1):被験物質を添加した飲料組成物(以後、「被験飲料」と記載)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(以後、「対照飲料」と記載)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
(2−1):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)を算出する工程:
(2−2):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)を算出する工程、
(3)上記(2−1)または(2−2)の工程で得られた対照飲料と被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)が、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程を有する方法。
(II−2)
上記(2−1)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定の周波数領域の平均音圧(P3−8)が3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)であって、
(2−2)工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)が周波数4kHzの音圧変化から算出される音の出現頻度(F)である、
(II−1)に記載する評価方法。
なお、後述のように(II−1)の(3)に記載する「平均音圧(P3−8)」は「平均音圧(P3.5−4.5)」を内包し、また「音の出現頻度(F3−8)」は「音の出現頻度(F)」を内包する。よって、(II−1)の(3)に記載する「平均音圧(P3−8)」は「平均音圧(P3.5−4.5)」と、「音の出現頻度(F3−8)」は「音の出現頻度(F)」と言い換えられる。
(III)被験物質の中から炭酸感の増強/付与作用を有する物質を選別する方法
(III−1)
被験可食性物質(被験物質)の中から炭酸感増強作用または炭酸感付与作用を有する物質を選別する方法であって、
下記に示す(1)の工程、(2−1)及び(2−2)よりなる群から選択される少なくとも一つの工程、(3)の工程、及び(4)の工程を有する方法:
(1):被験物質を添加した飲料組成物(被験飲料)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(対照飲料)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
(2−1):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)を算出する工程:
(2−2):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)を算出する工程、
(3)上記(2−1)または(2−2)工程で得られた対照飲料と被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)が、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程、
(4):上記(3)の工程で飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定された被験物質を選択する工程。
なお、本発明において、被験可食性物質(被験物質)は好ましくは飲料に添加して用いられるものである。
(III−2)上記(2−1)工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)が3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)であって、
(2−2)工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)が周波数4kHzの音圧変化から算出される音の出現頻度(F)である、
(III−1)に記載する評価方法。
なお、後述のように(III−1)の(3)に記載する「平均音圧(P3−8)」は「平均音圧(P3.5−4.5)」を内包し、また「音の出現頻度(F3−8)」は「音の出現頻度(F)」を内包する。よって、(III−1)の(3)に記載する「平均音圧(P3−8)」は「平均音圧(P3.5−4.5)」と、「音の出現頻度(F3−8)」は「音の出現頻度(F)」と言い換えられる。
本方法によれば、飲料組成物を飲んだときに感じる嚥下感覚のひとつである「炭酸感」を、嚥下音の測定データに基づいて、簡便且つ迅速に、しかも被験者に負荷を殆ど与えることなく客観的に評価することが可能となる。また、飲料組成物の咽喉内での「炭酸感」に着目した上記評価を利用することによって、炭酸飲料の選別や開発をより効率的に行うことができる。特に炭酸飲料の「炭酸感」は、炭酸飲料の飲み心地を構成する重要なファクターの一つであるため、商品開発するうえで重要な評価項目となる。
また、本方法によれば、多くの被験可食性物質について、飲料組成物に対して炭酸感を付与する作用、または炭酸飲料組成物の炭酸感を増強する作用を評価することができ、これにより、多くの被験可食性物質のなかから、飲料組成物に添加配合することで当該飲料組成物に炭酸感を付与または増強することができる物質を選別、取得することが可能になる。
図1中、下段は嚥下音の信号波形を表示した波形図(嚥下音シグナル)である。図中、aは喉頭蓋閉鎖音始点、aは喉頭蓋閉鎖音終点、bは流動音始点、bは流動音終点、cは喉頭蓋開放音始点、cは喉頭蓋開放音終点をそれぞれ意味する。また、tは喉頭蓋閉鎖音始点(a)と喉頭蓋閉鎖音終点(a)との間の「喉頭蓋閉鎖音領域」、tは流動音始点(b)と流動音終点(b)との間の「流動音領域」、及びtは喉頭蓋開放音始点(c)と喉頭蓋開放音終点(c)との間の「喉頭蓋開放音領域」を意味する。 被験者にマイク(矢印:喉マイク)を装着させた様子を示す図である。図2に示すようにマイクは、被験者の喉前面の喉頭蓋位置(輪状軟骨部)の皮膚に固定する。 (a)実験例1において、被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水)、被験試料3(炭酸圧0.35MPaの強炭酸水)を嚥下したときの「流動音領域」のシグナル(tシグナル)を示す。(b)また、それをウェブレット変換したときの周波数0〜8kHz領域における音圧変化(dB)を示す。(b)において、周波数3.5〜4.5kHz領域を白枠で示す。炭酸圧が強くなるにつれて、4kHz付近の周波数の音の強度及び出現頻度が増大していることがわかる。 実験例1の測定結果を示す。(a)被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水)、及び被験試料3(炭酸圧0.35MPaの強炭酸水)を嚥下したときの、tシグナルの周波数3.5〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)を示す。(b)被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17Mpaの弱炭酸水)、及び被験試料3(炭酸圧0.35MPaの強炭酸水)についてt2シグナルの周波数4kHz領域の出現頻度(F)を示す。 被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水)、及び被験試料3(炭酸圧0.35MPaの強炭酸水)を飲用したときの炭酸感を示す。 (a)実験例2において、被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水)、及び被験試料4(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水+香料)のtシグナル(a)を示す。(b)また、それをウェブレット変換したときの周波数0〜8kHz領域における音圧変化(dB)を示す。(b)において、周波数3.5〜4.5kHz領域を赤枠で示す。香料を添加することで、香料を添加しない炭酸試料2よりも、4kHz付近の周波数の音の強度及び出現頻度が増大していることがわかる。 実験例2の測定結果を示す。(a)被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17Mpaの弱炭酸水)、及び被験試料4(炭酸圧0.17Mpaの弱炭酸水+香料)について、「流動音領域」のシグナル(tシグナル)の周波数3.5〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)を示す。(b)被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水)、及び被験試料4(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水+香料)について、「流動音領域」のシグナル(tシグナル)の周波数4kHz領域の出現頻度(F)を示す。 被験試料1(水)、被験試料2(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水)、及び被験試料4(炭酸圧0.17MPaの弱炭酸水+香料)を飲用したときの炭酸感を示す。
(I)用語及び記号の定義
本発明は飲料組成物を飲み込みときに発生する嚥下音、具体的には当該嚥下音を構成する3つの音(喉頭蓋閉鎖音、流動音、喉頭蓋開放音)のうち、飲料が喉頭内を通過する際の流動音のシグナルを周波数解析することで求められる特定の周波数領域の平均音圧(dB)、及び特定の周波数領域の音圧変化から求められる音の出現頻度を利用して、飲料組成物を飲用した時に感じる「炭酸感」を評価する方法に関する。また、この方法を利用して、たくさんの可食性成分または可食性組成物の中から、飲料に「炭酸感」を付与するか、または炭酸飲料の「炭酸感」を増強することができる可食性成分または可食性組成物を評価し、選別する方法に関する。
嚥下運動は、口腔期(嚥下第1期)、咽頭期(嚥下第2期)、及び食道期(嚥下第3期)の3期に分けることができる。「口腔期」は咀嚼した後の口腔から咽喉への随意的な食塊の移動期であり、「食道期」は食道入口部より胃までの蠕動運動と重力による食塊の移動期である。また「咽頭期」は嚥下反射によって誘発される不随意運動によって行われる食塊の移動期である。この期間には、舌尖が持ち上がり食塊が喉頭に達すると嚥下反射が生じて約1秒という短時間に下記の一連の動きが行なわれる。
・軟口蓋が挙上して鼻腔と喉頭の間を塞ぐ(鼻咽喉閉鎖)、
・舌骨及び喉頭が挙上して、食塊が喉頭を通過する、
・喉頭蓋が下方に反転し、気管の入り口を塞ぐ、
・一時的に呼吸が停止する(喉頭前庭・声門閉鎖)
・喉頭が収縮し、食道入口部が拡大する(輪状喉頭筋の弛緩)。
嚥下音は、かかる嚥下活動の嚥下期において生じる音であり、時間の早いほうから順に、喉頭蓋が閉じる音(以下、「喉頭蓋閉鎖音」という)、食物が喉頭部を通過する流動音(以下、「流動音」という)、及び、喉頭蓋が開く音(以下、「喉頭蓋開放音」という)の3つ音に分類することができる。
図1(下段)に、当該嚥下音シグナルを示す。
図1(下段)に示すように、本発明では、喉頭蓋閉鎖音の始点を「a」、その終点を「a」;流動音の始点を「b」、その終点を「b」;喉頭蓋開放音の始点を「c」、終点を「c」と定義する。また、喉頭蓋閉鎖音始点(a)から喉頭蓋閉鎖音終点(a)までの領域(喉頭蓋閉鎖音が始まってから終わるまでの領域)を喉頭蓋閉鎖音領域「t」(a〜a)、流動音の始点(b)から終点(b)までの領域を流動音領域「t」(b〜b)、喉頭蓋開放音始点(c)から喉頭蓋開放音始点(c)までの領域を喉頭蓋開放音領域(喉頭蓋開放音が始まってから終わるまでの領域「t」(c−c)と定義する。
嚥下音は、嚥下時の喉の微細な音や振動の変位が収集可能な嚥下音収集センサーを喉部の皮膚表面、より好ましくは喉頭部の皮膚表面に固定することで収集することができる(例えば、図2参照)。なお、喉頭部(larynx)とは、咽頭と気管の狭間で、舌骨より下にあり気管より上にある、頸部中央に一つ存在する器官のことをいう。体表からは、のど仏として触れることができ、また嚥下時には上前方に移動することから容易に部位を特定することができる。
嚥下音収集センサーは、上記限りにおいて特に制限されず、集音マイク(例えば、喉マイクVoice Touch;ナンズ社製など)、電子聴診器、振動センサー、及び加速度センサー等を例示することができる。当該センサーによって収集されたアナログ信号は、デジタル変調もしくはパルス変調可能な録音機によって最低でも22kHz以上のサンプリング周波数で録音される。録音機は、上記限りにおいて特に制限されないが、例えばリニアレコーダーICR−PS004M(SANYO(株)製)等を挙げることができる。録音されたシグナルを音声解析ソフトウェア(例えば、コンピュータースピーチラボCLS−4400:Kay Elemetrics Corp.製等)を用いてデジタル数値情報として処理することで、嚥下音の開始から終了までの情報を正確に測定し、収集することができる。
さらに嚥下音シグナルは、その信号の周波数が時間と共に変化するため、上記で得られた波形情報を長時間フーリエ変換やウェブレット変換などによって時間周波数分析することにより、各波形がどのような周波数で構成されているかを分析することができる。
なお、本発明の方法において嚥下音の測定及びその解析に使用される嚥下音測定装置及び嚥下音解析システムは、上記または後述する試験例で使用されるものに限定されることなく、同等の機能を実現できるものを任意に使用することができる。
(II)飲料組成物の「炭酸感」を評価する方法
本発明の評価方法には2つの方法が含まれる。
(II−1)一つは、嚥下音を構成する喉頭蓋閉鎖音、流動音及び喉頭蓋開放音のうち、流動音のシグナル(tシグナル)を周波数解析することで算出される特定周波数領域の平均音圧を利用して、飲料組成物を飲用したときに感じる「炭酸感」を評価する方法である。かかる方法は、下記に説明する(A)の工程と(B−1)の工程を有する方法で実施することができる。なお、飲料組成物の「炭酸感」をより正確に評価するためには、飲料組成物として「炭酸感」を評価する目的の飲料組成物(被験試料)と評価の基準とする飲料組成物(基準試料)の少なくとも2種類を用いて、上記(A)の工程と(B−1)の工程を実施することが好ましい。この場合、上記(A)の工程と(B−1)の工程に加えて、さらに(B−1)の工程で得られた特定周波数領域の平均音圧を比較し、被験試料の炭酸感を決定する(C−1)の工程を有することができる。
(II−2)もう一つの方法は、嚥下音を構成する喉頭蓋閉鎖音、流動音及び喉頭蓋開放音のうち、tシグナルを周波数解析することで算出される特定周波数領域の音圧変化から算出される音の出現頻度を利用して、飲料組成物を飲用したときに感じる「炭酸感」を評価する方法である。かかる方法は、下記に説明する(A)の工程と(B−2)の工程を有する方法で実施することができる。なお、必要に応じて(A)工程の後に、(B−1)工程と(B−2)工程の両方を実施してもよい。(II−1)の場合と同様に、この場合も、飲料組成物の「炭酸感」をより正確に評価するためには、飲料組成物として「炭酸感」を評価する目的の飲料組成物(被験試料)と評価の基準とする飲料組成物(基準試料)の少なくとも2種類を用いて、上記(A)の工程と(B−2)の工程を実施することが好ましい。この場合、上記(A)の工程と(B−2)の工程に加えて、さらに(B−2)の工程で得られた特定周波数領域の音の出現頻度を比較し、被験試料の炭酸感を決定する(C−2)の工程を有することができる。
以下にこれらの工程について説明する。
(II−1)の評価方法について
(A)工程:被験者が飲料組成物を嚥下した際の嚥下音を取得する工程
被験試料となる飲料組成物としては、水やエタノールなど可食性の液性の成分を含み、そのままで流動性を有する可食性物質を挙げることができる。この限りにおいて特に制限されず、例えば、水;清涼飲料水;乳酸菌飲料や牛乳などの乳製品飲料;アルコール分を1%以上含むアルコール飲料などの飲料組成物を挙げることができる。
ここで水は水道水、天然水、イオン交換水、アルカリイオン水(イオン分解水)、及び蒸留水等の別を問わない。
また清涼飲料水としては、炭酸飲料(炭酸水、ソーダー水、コーラ、ラムネ、果汁入り炭酸飲料、果実着色炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料、栄養ドリンク炭酸飲料など)、果実飲料(天然果汁、果汁飲料、果肉飲料、果汁入り混合飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁系ニアウォーター、エード等)、コーヒー飲料、茶系飲料(ウーロン茶飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料、ブレンド茶飲料)、ミネラルウォーター、スポーツ飲料(スポーツドリンク)、ノンアルコール飲料(ノンアルコールビール、ノンアルコールワイン[スパークリングワインを含む]、ノンアルコールカクテル、ノンアルコール酎ハイ、ノンアルコール梅酒など)、豆乳類、野菜飲料、乳性飲料などを挙げることができる。
アルコール飲料としては、ビール、発泡酒、第三のビール、ワイン(スパークリングワインを含む)、梅酒、カクテル、酎ハイ、日本酒、マッコリ、リキュールなどを制限なく挙げることができる。
なお、通常、飲料組成物の炭酸感は、飲料中に炭酸ガスが含まれていることによって感じられる嚥下感覚である。しかしながら、炭酸感(スパークリング感)を付与する食品添加物(香料など)を配合することで同様の嚥下感覚がもたらされる場合がある。従って、本発明が対象とする飲料組成物は炭酸ガス配合の有無を問わず、炭酸ガス入りの飲料、及び炭酸ガスなしの飲料のいずれもが対象になる。
嚥下の方法としては、制限されないが、通常5〜20mlの飲料組成物(被験試料)を一飲み(一回で嚥下)するのが望ましい。5mlより少なければ判別が難しくなり、一方20mlよりも多すぎると、被験者によっては一飲みでの嚥下が困難になるからである。一回に嚥下する試料の量として好ましくは7〜18ml、より好ましくは10〜17mlである。
対象とする被験者としては、健常有歯顎者を挙げることができる。ここで健常有歯顎者とは、歯の治療歴はあるものの“親知らず”と呼ばれる第三大臼歯以外に欠損がなく,顎口腔機能に異常が認められない者であり、しかも嚥下機能に異常(嚥下障害)が認められない者である。なお、嚥下障害とは、疾病や老化などの原因により飲食物の咀嚼や飲み込みが困難になる障害をいう。通常、飲食物の咀嚼や飲み込みが困難であると客観的に判断される場合、及びそういった自覚症状がある場合を除いて、通常、嚥下障害がないと判断される。
嚥下音の取得は、前述する嚥下音解析システムを用いて行うことができる。
(B−1)工程:(A)工程で取得した嚥下音から流動音領域(t )のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHz範囲の特定の周波数領域の平均音圧(P 3−8 )を求める工程
前述するように、流動音領域(t)は、流動音の始点(b)から終点(b)までの領域である(図1下段参照)。
後述する実験例1に示すように、嚥下音を構成するtシグナルを周波数変換して得られる3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)は、飲料組成物を飲用するときに官能的に感じられる飲料組成物の「炭酸感」と正の相関がある。具体的には、平均音圧「P3−8」が大きくなるほど飲料組成物を飲用した時に感じる「炭酸感」は強くなる傾向がある。逆に平均音圧「P3−8」が小さくなるほど飲料組成物を飲用した時に感じる「炭酸感」は弱くなる傾向がある。
嚥下音を構成する流動音領域のシグナル(本発明ではこれを「tシグナル」ともいう)の3kHz〜8kHz範囲の特定の周波数領域の平均音圧(単位:dB)(本発明ではこの平均音圧を「P3−8」)という。)は、以下の方法で算出することができる。tシグナルを市販の音声解析ソフトウェア、数値解析ソフトウェア、表計算ソフトウェアなど音の波形を周波数変換(FFT変換)することができるソフトウェアを用いて微小時間における周波数毎の音圧を算出する(これをウェブレット変換とよぶ)。次に選定された特定の周波数帯に属する音圧の積分値を算出する。この周波数帯は、3kHz〜8kHzの範囲における特定の帯域であればよいが、3kHz以上6kHz以下のバンド幅0.5〜2kHzの特定の帯域であることが好ましい。より好ましくは3kHz以上5kHz以下のバンド幅0.5〜1.5kHzの特定の帯域であり、さらに好ましくは、中心波長4kHzのバンド幅1kHz(すなわち3.5kHz〜4.5kHz)である。算出された積分値をtの継続時間および計算に用いられたバンド幅で除すると平均音圧が計算される。なお、本稿に記載するバンド幅とは周波数帯域幅のことであり、例えば3.5kHz〜4.5kHzの周波数帯域幅(バンド幅)は1kHzということになる。
(C−1)工程:比較及び決定工程
本発明を用いて、目的とする飲料組成物(被験試料)について、飲用したときの「炭酸感」をより客観的且つ正確に評価するためには、飲料組成物として当該目的の飲料(被験試料)と基準とする飲料(基準試料)を用いて、それぞれの試料(被験試料と基準試料)について、上記(A)工程及び(B−1)工程を実施し、基準試料及び被験試料について平均音圧「P3−8」を求め、次いで被験試料について得られた平均音圧「P3−8」を、基準試料について得られた平均音圧「P3−8」と比較することが好ましい。なお、被験試料は一つに限らず、2種類以上の被験試料を対象とすることができる。
ここで用いられる基準試料は、流動性の液状試料であれば特に制限されず、任意に設定することができるが、被験試料との間で個人差や個体差が発生しにくいものが好ましい。例えば、個人差や個体差が発生しないように、被験試料と同種の飲料を用いることが好ましい。具体的には、被験試料がアルコール飲料の場合は、基準試料も同種のアルコール飲料とすることが好ましく、同様に被験試料が清涼飲料水である場合は、基準試料も同種の清涼飲料水とすることが好ましい。
飲料組成物として基準試料及び被験試料の2種類以上の飲料組成物を用いる場合、同一被験者に対して基準試料及び被験試料のそれぞれを嚥下させ、(A)の工程において、当該被験者が基準試料及び被験試料のそれぞれを嚥下した際の嚥下音(基準嚥下音、被験嚥下音)を取得する。
次いで(B−1)の工程において、上記(A)の工程で取得した基準試料及び被験試料の嚥下音(基準嚥下音、被験嚥下音)のそれぞれについて、tシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲の特定の周波数領域の平均音圧(P3−8)を求める。3kHz〜8kHz範囲の特定周波数領域の平均音圧(P3−8)として、好ましくは、3kHz以上6kHz以下のバンド幅0.5〜2kHzの周波数領域の平均音圧であり、より好ましくは3kHz以上5kHz以下のバンド幅0.5〜1.5kHzの周波数領域の平均音圧であり、さらに好ましくは3.5kHz〜4.5kHz(すなわち、中心波長4kHzのバンド幅1kHz)の周波数領域の平均音圧(P3.5−4.5)である。
この場合、さらに(C−1)の工程として、下記の工程を実施する。
(C−1):上記(B−1)の工程で得られた基準試料と被験試料の平均音圧(P3−8)を比較し、被験試料の平均音圧(P3−8)が、基準試料の平均音圧(P3−8)よりも高い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が強いと決定し、同じ場合、当該被験試料は基準試料と炭酸感が同等と決定し、低い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が弱いと決定する。なお、ここで比較する基準試料及び被験試料の平均音圧(P3−8)は、(B−1)工程で得られた平均音圧(P3−8)である。具体的には、(B−1)の工程で得られた平均音圧(P3−8)が3kHz〜5kHz(すなわち、中心波長4kHz、バンド幅2kHz)の周波数領域の平均音圧(P3−5)である場合は、基準試料の(P3−5)と被験試料の(P3−5)を比較する。同様に、(B−1)の工程で得られた平均音圧(P3−8)が4kHz〜4.5kHz(すなわち中心波長4.25Hz、バンド幅0.5kHz)の周波数領域の平均音圧(P4−4.5)である場合は、基準試料の(P4−4.5)と被験試料の(P4−4.5)を比較する。また、(B−1)工程で得られた平均音圧(P3−8)が、3.5kHz〜4.5kHz(すなわち中心波長4kHzのバンド幅1kHz)の周波数領域の平均音圧(P3.5−4.5)である場合は、基準試料の(P3.5−4.5)と被験試料の(P3.5−4.5)を比較する。
この場合、予め基準試料を飲用して、実際の「炭酸感」といった嚥下感覚(感覚特性)を評価しておくことが好ましい。こうしておくことで、上記(A)の工程、(B−1)の工程、及び(C−1)の工程を実施することで、被験試料の炭酸感を、実際に飲用することなく、基準試料との対比から、客観的に把握し、正確に評価することができる。
なお、本発明で評価する飲料組成物における「炭酸感」は、喉頭及び咽頭で感じる刺激感または発泡感である。かかる刺激感は、一般に炭酸飲料を飲用したときに、喉頭または咽頭内で感じるピリピリまたはチクチクとした感覚であり、発泡感は、一般に炭酸飲料を飲用したときに、喉頭または咽頭で感じる細かな泡がプチプチ破裂する感覚(破裂感)である。
飲料組成物を実際に飲用して得られる「炭酸感」は、当業界において確立された方法で評価することができ、かかる方法として、制限されないものの、一例としてVAS(Visual Analogue Scale)法を挙げることができる。当該方法は、実施例において詳細に説明する。
(II−2)の評価方法について
(II−2)の評価方法は、前述する(II−1)の評価方法で採用する(A)工程に加えて、(II−1)の(B−1)工程に代えて、下記(B−2)工程を有する。
(B−2)工程:(A)の工程で取得した嚥下音から流動音領域(t )のシグナルを周波数変換し、3 kHz〜8kHzの範囲における特定の周波数の音圧変化から音の出現頻度(F 3−8 )を求める工程
後述する実験例1に示すように、嚥下音を構成するtシグナルを周波数変換して得られる3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数における音の出現頻度「F3−8」は、飲料組成物を飲用するときに感覚的に感じられる飲料組成物の「炭酸感」と正の相関がある。具体的には、音の出現頻度「F3−8」が大きくなるほど飲料組成物を飲用した時に感じる「炭酸感」は強くなる傾向がある。逆に音の出現頻度「F3−8」が小さくなるほど飲料組成物を飲用した時に感じる「炭酸感」は弱くなる傾向がある。
嚥下音のtシグナルの3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数における音の出現頻度(本発明ではこれを「F3−8」という)は、以下の方法で算出することができる。
シグナルを市販の音声解析ソフトウェア、数値解析ソフトウェア、表計算ソフトウェアなど音の波形を周波数変換(FFT変換)することができるソフトウェアを用いて、微小時間における周波数毎の音圧を算出する(これをウェブレット変換とよぶ)。次に選定された特定の周波数における音圧の時間変化から音の出現頻度(ピーク数)を算出する。この周波数は、3kHz以上8kHz以下における特定の帯域であればよく、3kHz以上6kHz以下の特定の周波数であれば好ましく、3kHz以上5kHz以下の特定の周波数であればさらに好ましく、4kHzであれば特に好ましい。なお、3kHz以上8kHz以下の範囲における特定周波数を用いて得られる音の出現頻度を本発明では「F3−8」と表現しているが、例えば、特定周波数が5.5kHzである場合の音の出現頻度を本発明では「F5.5」といい、同様に特定周波数が4kHzである場合の音の出現頻度を「F」という。
(C−2)工程:比較及び決定工程
(II−1)の評価方法と同様に、本発明を用いて、目的とする飲料組成物(被験試料)について、飲用したときの「炭酸感」をより客観的且つ正確に評価するためには、飲料組成物として当該目的の飲料(被験試料)と基準とする飲料(基準試料)を用いて、それぞれの試料(被験試料と基準試料)について、上記(A)工程及び(B−2)工程を実施し、基準試料及び被験試料について音の出現頻度「F3−8」を求め、次いで被験試料について得られた音の出現頻度「F3−8」を、基準試料について得られた音の出現頻度「F3−8」と比較することが好ましい。なお、被験試料は一つに限らず、2種類以上の被験試料を対象とすることができる。
ここで用いられる基準試料は、(II−1)の評価方法と同様であり、流動性の液状試料であれば特に制限されず、任意に設定することができる。被験試料との間で個人差や個体差が発生しにくいものが好ましく、例えば、個人差や個体差が発生しないように、被験試料と同種の飲料を用いることが好ましい。
飲料組成物として基準試料及び被験試料の2以上の飲料組成物を用いる場合、同一被験者に対して基準試料及び被験試料のそれぞれを嚥下させ、(A)の工程において、当該被験者が基準試料及び被験試料のそれぞれを嚥下した際の嚥下音(基準嚥下音、被験嚥下音)を取得する。
次いで(B−2)の工程において、上記(A)の工程で取得した基準試料及び被験試料の嚥下音(基準嚥下音、被験嚥下音)のそれぞれについて、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHz、好ましくは3kHz〜5kHzの範囲における特定の周波数の音の出現頻度を求める。このとき最も好ましい周波数は4kHzである。
この場合、さらに(C−2)の工程として、下記の工程を実施する。
(C−2):上記(B−2)の工程で得られた基準試料と被験試料の音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験試料の音の出現頻度(F3−8)が、基準試料の音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が強いと決定し、同じ場合、当該被験試料は基準試料と炭酸感が同等と決定し、低い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が弱いと決定する。
なお、ここで比較する基準試料及び被験試料の音の出現頻度(F3−8)は、(B−2)工程で得られた音の出現頻度(F3−8)である。具体的には、(B−2)の工程で得られた音の出現頻度が3kHz〜5kHzの範囲における特定の周波数の音圧変化から算出されたものである場合は、基準試料と被験試料との当該音の出現頻度(F3−5)を比較する。同様に、(B−2)の工程で得られた音の出現頻度が周波数4kHzの音圧変化から算出されたものである場合は、基準試料と被験試料との当該音の出現頻度(F)を比較する。
この場合、予め基準試料を飲用して、実際の「炭酸感」といった嚥下感覚(感覚特性)を評価しておくことが好ましい。こうしておくことで、上記(A)の工程、(B−2)の工程、及び(C−2)の工程を実施することで、被験試料の炭酸感を、実際に飲用することなく、基準試料との対比から、客観的に把握し、正確に評価することができる。
なお、飲料組成物を実際に飲用して得られる「炭酸感」は、当業界において確立された方法で評価することができ、かかる方法として、制限されないものの、一例としてVAS(Visual Analogue Scale)法を挙げることができる。
(III)被験可食性物質について炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があるか否かを評価する方法
本発明はまた、被験可食性物質(以下、単に「被験物質」と称する)について炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があるか否かを評価する方法を提供する。
評価する対象の被験物質は、経口摂取可能な可食性物質であればよく、その限りにおいて、単一化合物であっても、2種類以上の成分が集合した組成物であっても、また植物抽出物などのように不明な成分を含む粗精製物であってもよい。好ましくは飲料に添加して用いられるものである。なお、評価する対象の被験物質は、通常、炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があることが未だ知られていないものである。しかし、炭酸ガス等のように自ら炭酸感を有する物質や、炭酸塩や炭酸水素塩など酸と反応することで炭酸ガスを発生する物質等であっても、添加(配合)する飲料組成物との関係で炭酸感が減少または消失する可能性があるので、特定の飲料組成物と関係で炭酸感増強作用または炭酸感付与作用を評価する必要がある場合は、これら炭酸感付与作用が公知の物質も、本発明において被験物質として使用することができる。
当該被験物質は、添加配合する対象の飲料組成物に溶解または分散する性質(物性)を有するものであることが好ましく、この限りにおいて、その形状は特に制限されない。例えば、液状、ゲル状、ゾル状、ペースト状、固形状(粉末状、顆粒状、錠剤状、丸剤状など)である。好ましくは、水溶性の飲料組成物に相溶性のある水溶性の物質である。
(III−1)当該本発明の評価方法は、下記(1)の工程、(2−1)の工程、及び(3)の工程により実施することができる。
(1):被験物質を添加した飲料組成物(被験飲料)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(対照飲料)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
(2−1):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)、好ましくは周波数3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)を算出する工程:
(3)上記(2−1)の工程で得られた基準試料と被験試料の平均音圧(P3−8)、好ましくは(P3.5−4.5)を比較し、被験飲料の平均音圧(P3−8)、好ましくは平均音圧(P3.5−4.5)が、対照飲料の平均音圧(P3−8)、好ましくは平均音圧(P3.5−4.5)よりも高い場合、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の平均音圧(P3.5−4.5)と同等またはそれよりも低い場合、被験可食性物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程。
(III−2)また上記(2−1)の工程に代えて(2−2)の工程を行ってもよい。この場合、下記(1)の工程、(2−2)の工程、及び(3)の工程により実施することができる。
(1):被験物質を添加した飲料組成物(被験飲料)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(対照飲料)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
(2−2):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲、好ましくは3kHz〜5kHzの範囲における特定の周波数、好ましくは周波数4kHzの音圧変化から、音の出現頻度を算出する工程、
(3)上記(2−2)の工程で得られた対照試料と被験試料の音の出現頻度を比較し、被験飲料の音の出現頻度が、対照飲料の音の出現頻度よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の音の出現頻度と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程を有する方法。
(III−1)の評価方法について
(1)
当該(1)の工程は、前述するように、被験物質を添加した飲料組成物(被験飲料)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(対照飲料)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程である。
ここで被験物質を添加する/または添加しない対象の飲料組成物としては、(II−1)で説明するように、水やエタノールなど可食性の液性の成分を含み、そのままで流動性を有する可食性物質を挙げることができる。この限りにおいて特に制限されず、例えば、水;清涼飲料水;乳酸菌飲料や牛乳などの乳製品飲料;アルコール分を1%以上含むアルコール飲料などの飲料組成物を挙げることができる。また、被験物質との関係で、炭酸感を付与したい飲料組成物があれば、それを任意に選択することで、当該被験物質の対象とする飲料組成物に対する炭酸感の付与作用または炭酸感の増強作用を評価することができる。なお、飲料組成物は、予め炭酸ガスを含有するものであってもよいし(ガス入り飲料)、また炭酸ガスを含有しないものであってもよい(ガスなし飲料)。飲料組成物としてガス入り飲料を用いる場合は、当該飲料組成物に対する被験物質の炭酸感増強作用を評価することができる。一方、飲料組成物としてガスなし飲料を用いる場合は、当該飲料組成物に対する被験物質の炭酸感付与作用を評価することができる。
(1)の工程では、当該飲料組成物に対して評価対象の被験物質を添加して調製した被験飲料と、当該飲料組成物(上記と同一の飲料組成物)に対して被験物質を添加しない対照飲料(つまり、当該飲料組成物そのもの)について、それぞれ被験者が嚥下した際の嚥下音を取得する。なお、用いる被験飲料は一つでもよいが、被験物質を異なる量で添加した2種類以上の被験飲料を用いることで、当該被験物質の炭酸感増強作用または炭酸感付与作用を定性的且つ定量的に評価することができる。
被験者、嚥下の方法、及び嚥下音の取得方法は、(II−1)の(A)の工程で説明した通りであり、ここでも当該記載を引用することができる。
(2−1)
当該(2−1)の工程は、上記(1)の工程において被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲における特定の周波数の平均音圧(P3−8)を算出する工程である。
3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の平均音圧(P3−8)としては、好ましくは、3kHz以上6kHz以下のバンド幅0.5〜2kHzの特定の周波数の平均音圧であり、より好ましくは3kHz以上5kHz以下のバンド幅0.5〜1.5kHzの特定の周波数の平均音圧である。さらに好ましくは、3.5kHz〜4.5kHz(すなわち、中心波長4kHzのバンド幅1kHz)の周波数領域の平均音圧(P3.5−4.5)である。
嚥下音を構成する流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、上記特定の周波数領域の平均音圧(P3−8)、好ましくは3.5kHz〜4.5kHzの周波数領域の平均音圧(P3.5−4.5)を算出する方法は、(II−1)の(B−1)の工程で説明した通りであり、ここでも当該記載を引用することができる。
(3−1)工程
当該(3−1)の工程は、上記(2−1)の工程で得られた被験飲料と対照飲料の平均音圧(P3−8)を比較し、被験飲料の平均音圧(P3−8)が、対照飲料の平均音圧(P3−8)よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の平均音圧(P3−8)と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程である。
前述するように、被験物質を添加する対象の飲料組成物が、最初から炭酸感を有する炭酸ガス入り飲料である場合、被験物質の添加によって、被験物質を添加しない対照飲料よりも平均音圧(P3−8)が高くなる場合は、当該被験物質に対照飲料組成物に対して炭酸感を増強する作用があると判断することができる。一方、被験物質を添加しても、被験物質を添加しない対照飲料の平均音圧(P3−8)と同等か、またはそれよりも低くなる場合は、当該被験物質には対照飲料組成物に対して炭酸感を増強する作用がないと判断することができる。
また被験物質を添加する対象の飲料組成物が、炭酸ガスを含まず炭酸感を有しない飲料である場合、被験物質の添加によって、被験物質を添加しない対照飲料よりも平均音圧(P3−8)が高くなる場合は、当該被験物質に対照飲料組成物に対して炭酸感を付与する作用があると判断することができる。一方、被験物質を添加しても、被験物質を添加しない対照飲料の平均音圧(P3−8)と同等か、またはそれよりも低くなる場合は、当該被験物質には対照飲料組成物に対して炭酸感を付与する作用がないと判断することができる。
(III−2)の評価方法について
(III−2)の評価方法は、前述する(III−1)の評価方法で採用する(1)工程に加えて(III−1)の(2−1)の工程及び(3−1)の工程に代えて、下記(2−2)の工程及び(3−2)の工程を有する。
(2−2):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲における特定の周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)、好ましくは4kHzの周波数の音圧変化から音の出現頻度(F)を算出する工程。
(3―2):上記(2−2)の工程で得られた被験飲料と対照飲料の音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)を比較し、被験飲料の音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)が、対照飲料の音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程を有する方法。
(2−2)の工程において、嚥下音を構成する流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、上記特定の周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)を算出する方法は、(II−1)の(B−2)の工程で説明した通りであり、ここでも当該記載を引用することができる。
また(3―2)の工程において、(3−1)の工程と同様に、被験物質を添加する対象の飲料組成物が、最初から炭酸感を有する炭酸ガス入り飲料である場合、被験物質の添加によって、被験物質を添加しない対照飲料よりも音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)が高くなる場合、当該被験物質に対照飲料組成物に対して炭酸感を増強する作用があると判断することができる。一方、被験物質を添加しても、被験物質を添加しない対照飲料の音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)と同等か、またはそれよりも低くなる場合、当該被験物質には対照飲料組成物に対して炭酸感を増強する作用がないと判断することができる。
また被験物質を添加する対照の飲料組成物が、炭酸ガスを含まず炭酸感を有しない飲料である場合、被験物質の添加によって、被験物質を添加しない対照飲料よりも音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)が高くなる場合は、当該被験物質に対象飲料組成物に対して炭酸感を付与する作用があると判断することができる。一方、被験物質を添加しても、被験物質を添加しない対照飲料の音の出現頻度(F3−8、好ましくはF)と同等か、またはそれよりも低くなる場合は、当該被験物質には対照飲料組成物に対して炭酸感を付与する作用がないと判断することができる。
(IV)被験可食性物質の中から炭酸感増強作用または炭酸感付与作用を有する物質を選別する方法
本発明はまた、複数の被験可食性物質(被験物質)の中から、飲料組成物の炭酸感を増強する作用を有する物質、または飲料組成物に炭酸感を付与する作用を有する物質を選択する方法を提供する。
対象とする被験物質は、上記(III)に記載する通りであり、ここにも当該記載を引用することができる。好ましくは飲料に添加して用いられるものである。
当該方法は、前述する(III−1)の評価方法で採用する(1)の工程、(2−1)の工程、及び(3−1)の工程、または(III−2)の評価方法で採用する(1)の工程、(2−2)の工程、及び(3−2)の工程の後に、それぞれ下記の(4)の工程を実施することで行うことができる。
(4):上記(3−1)の工程または(3−2)の工程で、飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定された被験物質を選択する工程。
かかる方法で炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があるとして選別された被験物質は、当該作用を有する食品添加剤(飲料用添加剤)の候補物質として、別の評価方法(官能評価方法)に供し、さらなる検討を行うこともできる。
斯くして評価選別された被験物質は、炭酸感のない飲料組成物に対して炭酸感を付与するか、または炭酸感のある飲料組成物(炭酸飲料)に対してさらに炭酸感を増強する目的で、例えば食品添加剤(飲料用添加剤)として好適に用いることができる。
以下に実験例をあげて本発明につき更に詳しく説明する。但し、本発明はこれらの試験例に何ら制約されるものではない。なお、特に言及しないかぎり、下記に記載する「%」は「重量%」を意味するものとする。
下記の実験例で採用した健常有歯顎者とは、歯の治療歴はあるものの“親知らず”と呼ばれる第三大臼歯以外に欠損がなく,顎口腔機能に異常が認められない者であり、しかも嚥下機能に異常(嚥下障害)が認められない者である。本報においては自覚症状による自己申告をもって「顎口腔機能及び嚥下機能に異常なし」と判断した。
実験例1
1.実験方法
(1)被験試料
被験試料として、水(炭酸圧:0MPa)[被験試料1]、及び炭酸圧の異なる2種類の炭酸水(炭酸圧:0.17MPa[被験試料2]、炭酸圧:0.35MPa[被験試料3])(いずれも品温:5℃)を用意した。なお、本試験においてはこれら3種類の被験試料がいずれも基準試料にもなりうる。
(2)嚥下音測定およびシグナル解析
健常有歯顎者15名(男性12名、女性3名、平均年齢30.1±5.5歳)を被験者とし、全被験者に上記3種類の被験試料1〜3(品温:5℃)を、それぞれ15gずつ全量を1回で嚥下させたときの嚥下音を収録した。被験者1名あたりの試行回数は2回とした。嚥下音は、図2に示すように、喉前面の喉頭蓋の位置の皮膚に固定した振動センサー(喉マイク:ナンズ社製)を付属したリニアレコーダーICR−PS004M(SANYO製)を用い、サンプリング周波数44.1kHzで録音した。得られたシグナルを音響解析装置CSL−4400(Kay Elemetrics製)を用いて解析した。
嚥下音シグナルには、図1に示すように、振幅の大きな部分が3箇所あり、時間の早いほうの領域から順に、喉頭蓋が閉じる音(喉頭蓋閉鎖音)、試料が喉頭蓋付近を通過する音(流動音)、及び喉頭蓋が開く音(喉頭蓋開放音)を示している(非特許文献1参照)。本発明では、喉頭蓋閉鎖音領域を「t」、流動音領域を「t」、喉頭蓋開放音領域を「t」と定義する(図1参照)。
これらのうち流動音領域(t)のシグナルを上記の音響解析装置でウェブレット変換し、3.5〜4.5kHzの領域の平均音圧(P3.5−4.5)を算出するとともに4kHzの音圧変化から音の出現頻度(F)を算出した。
(3)炭酸感の官能評価
上記(2)の嚥下音測定と同じ15名の各被験者に上記(2)の3種類の被験試料1〜3(品温:5℃)を、それぞれ15gずつ全量を1回で嚥下させたときの「炭酸感」をVAS(Visual Analog Scale)法により評価させた。被験者1名あたりの試行回数は2回とした。
ここでVAS法とは、視覚的アナログ尺度と訳され、炭酸感などを客観的に評価するために「炭酸感なし(炭酸、香料、調味料などを添加しない水の炭酸感)」を最小、「飲料において考えうる最大の炭酸感」を最大としてこれを長さ100mmのライン上に回答する方法である。
今回は、被験者に咽頭での「炭酸感」を評価させ、ラインの左端を最小、右端を最大とし、ライン上の該当ポイントに被験者にチェックさせることによって評価を実施した。被験者がチェックしたライン上のチェックポイントの左端からの長さを1mmの単位まで測定し、その値を各試料の絶対評価値であるVAS値とした。
2.実験結果
(1)被験試料の嚥下音及びシグナル解析
各被験試料1〜3を被験者に嚥下させたときの嚥下音シグナルのうち、tのシグナルの典型的な一例を図3(a)に示した。図3(a)において横軸は時間、縦軸はシグナル強度を示す。また、このtシグナルをウェブレット変換し、得られた周波数0〜8kHz領域の音圧を図3(b)に示した。図3(b)において、横軸は時間、縦軸は周波数、色の濃淡が音圧を示し、色が薄い(白に近い)箇所の音圧が高いことを示す。この図中において周波数3.5〜4.5kHz領域が赤枠で示されているが、炭酸圧の上昇に従ってこの赤枠で囲まれた領域において音圧が高い箇所が多くなっていることが確認された。この結果は、炭酸圧が高い試料のほうが、4kHz付近において高音圧の音の出現頻度が高くなることを示している。
次いで、周波数3.5〜4.5kHz領域(図3b中、白枠で示す)の平均音圧(P3.5−4.5)を算出した結果を図4(a)に、周波数4kHzの音圧変化から音の出現頻度(F)を算出した結果を図4(b)に示した。なお、これらの棒グラフの値は、全被験者(1人当たり試行回数2回)の平均値であり、エラーバーもまた、全被験者の標準偏差を示している。P3.5−4.5、Fはいずれも飲料の炭酸圧と相関関係があり、飲料の炭酸圧の上昇に従って値が増加することが確認された。
(2)官能評価
官能評価の結果を図5に示す。この棒グラフの値は、全被験者(1人当たり試行回数2回)の平均値であり、エラーバーもまた、全被験者の標準偏差を示している。飲料の炭酸感は当該飲料の炭酸圧と相関関係があり、飲料の炭酸圧の上昇に伴い、炭酸感も増加することが判明した。
(3)総合評価
上記(2)の結果に示すように、炭酸飲料を飲んだときに感じる炭酸感は炭酸飲料の炭酸圧に依存し、炭酸圧が高いほど炭酸感も増す。また上記(1)の結果から、当該炭酸圧は、嚥下音のうちtシグナルの周波数3.5〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)、及びtシグナルの周波数4kHz音の出現頻度(F)の両者と正の相関関係があり、これらの値(P3.5−4.5、F)を求めることで、炭酸飲料の炭酸圧を評価することができる。これらのことから、炭酸飲料について、その嚥下音からP3.5−4.5、及び/又はFを求めることで、その飲料の炭酸感を客観的に評価し、比較することができることがわかる。また、例えば、炭酸圧が0.17MPaである被験試料2を基準試料とすると、炭酸を含まない水である被験試料1のP3.5−4.5およびFは、いずれも基準試料である被験試料2のものより低く、「炭酸感」が弱いことが評価でき、炭酸圧が0.17MPaである被験試料3のP3.5−4.5およびFは共に基準試料である被験試料2のものより高く、炭酸感」が強いことが評価できる。
実験例2
1.実験方法
(1)被験試料
被験試料として、水(炭酸圧:0MPa)[被験試料1]、及び炭酸圧が0.17MPaである炭酸水[被験試料2]、(いずれも5℃)を用意した。また、被験試料2に、炭酸感を付与または増強する作用があることが公知の香料「スパークリングブースター(登録商標)No.99948(P)」(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、[香料1])を添加した試料を調製し、これを[被験試料4](炭酸圧:0.17MPa、温度:5℃)とした
(2)嚥下音測定およびシグナル解析
実験例1に記載する方法に従って、実験例1と同じ被験者を対象として、各被験試料1、2および4について嚥下音測定およびそのシグナル解析を実施した。
(3)炭酸感の官能評価
実験例1に記載する方法に従って、実験例1と同じ被験者を対象として、各被験試料1、2および4について炭酸感を官能評価した。
2.実験結果
(1)被験試料の嚥下音及びシグナル解析
各被験試料1、2および4を被験者に嚥下させたときの嚥下音シグナルのうち、tのシグナルの典型的な一例を図6(a)に示した。図6(a)において横軸は時間、縦軸はシグナル強度を示す。また、このtシグナルをウェブレット変換し、得られた周波数0〜8kHz領域の音圧を図6(b)に示した。図6(b)において、横軸は時間、縦軸は周波数、色の濃淡が音圧を示し色が薄い(白に近い)箇所の音圧が高いことを示す。この図中において周波数3.5〜4.5kHz領域が白枠で示されているが、香料を添加した被験試料4は、炭酸圧が同じである被験試料2(香料1無添加)と比較して、この赤枠で囲まれた領域において音圧が高い箇所が多くなっていることが確認された。この結果は、香料の添加により、4kHz付近において高音圧の音の出現頻度が高くなることを示している。
次いで、周波数3.5〜4.5kHz領域(図6b中、赤枠で示す)の平均音圧(P3.5−4.5)を算出した結果を図7(a)に、周波数4kHzの音圧変化から音の出現頻度(F)を算出した結果を図7(b)に示した。なお、これらの棒グラフの値は、全被験者(1人当たり試行回数2回)の平均値であり、エラーバーもまた、全被験者の標準偏差を示している。香料1を添加した被験試料4のP3.5−4.5、Fは、いずれも同じ炭酸圧の香料1無添加試料である被験試料2の値より高いことが確認された。
(2)官能評価
官能評価の結果を図8に示す。この棒グラフの値は、全被験者(1人当たり試行回数2回)の平均値であり、エラーバーもまた、全被験者の標準偏差を示している。炭酸飲料に香料1を添加することで、口腔内での炭酸感が増すことが確認できた。
(3)総合評価
シグナルの周波数3.5〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)、及びtシグナルの周波数4kHzの音の出現頻度(F)は、いずれも香料1の添加による(官能評価における)炭酸感の上昇に伴い、香料1無添加の対照試料である被験試料2に比べて上昇することが確認された。このことから、炭酸感を増加若しくは付与する効果が期待される食品添加剤(特に飲料用添加剤)について、その効果を評価する指標として、tシグナルの周波数3.5〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)、または/及びtシグナルの周波数4kHzの音の出現頻度(F)を使用することができ、当該指標を使用することで、当該食品添加剤(特に飲料用添加剤)の炭酸感増強効果(または炭酸感付与効果)を客観的に測定し評価することができることが確認された。

Claims (6)

  1. 下記に示す(A)の工程と、(B−1)及び(B−2)よりなる群から選択される少なくとも一つの工程を有する、飲料組成物の「炭酸感」を評価する方法であって
    (A):被験者が飲料組成物を嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
    (B−1):取得した嚥下音のうち流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)を算出する工程:
    (B−2):取得した嚥下音のうち流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)を算出する工程
    前記飲料組成物として、基準とする飲料組成物(基準試料)及び評価対象とする1以上の飲料組成物(被験試料)を用い、
    前記(A)の工程で、被験者が基準試料と被験試料をそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得し、
    前記(B−1)または(B−2)の工程で、基準試料と被験試料のそれぞれについて、平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を算出し、さらに
    前記(B−1)または(B−2)の工程で得られた基準試料及び被験試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を用いて、下記に示す(C)の工程を行う、飲料組成物の「炭酸感」の評価方法:
    (C):上記(B−1)または(B−2)の工程で得られた基準試料と被験試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)が、基準試料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合、当該被験試料は基準試料よりも「炭酸感」が強いと決定し、同じ場合、当該被験試料は基準試料と「炭酸感」が同等と決定し、低い場合、当該被験試料は基準試料よりも炭酸感が弱いと決定する工程。
  2. 飲料に添加して用いられる被験物質の炭酸感増強作用または炭酸感付与作用の有無を評価する方法であって、
    下記に示す(1)の工程、(2−1)及び(2−2)よりなる群から選択される少なくとも一つの工程、及び(3)の工程を有する方法:
    (1):被験物質を添加した飲料組成物(被験飲料)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(対照飲料)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
    (2−1):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)を算出する工程:
    (2−2):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)を算出する工程、
    (3):上記(2−1)または(2−2)の工程で得られた対照飲料と被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)が、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程。
  3. 飲料に添加して用いられる被験物質の中から炭酸感増強作用または炭酸感付与作用を有する物質を選別する方法であって、下記に示す(1)の工程、(2−1)及び(2−2)よりなる群から選択される少なくとも一つの工程、(3)の工程、及び(4)の工程を有する方法:
    (1):被験物質を添加した飲料組成物(被験飲料)または被験物質を添加しない上記被験飲料に対応する飲料組成物(対照飲料)を、被験者がそれぞれ嚥下した際の嚥下音を取得する工程、
    (2−1):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)を算出する工程:
    (2−2):被験飲料及び対照飲料のそれぞれについて取得した嚥下音のうち、流動音領域(t)のシグナルを周波数変換し、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から音の出現頻度(F3−8)を算出する工程、
    (3):上記(2−1)または(2−2)工程で得られた対照飲料と被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)を比較し、被験飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)が、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)よりも高い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定し、対照飲料の平均音圧(P3−8)または音の出現頻度(F3−8)と同等またはそれよりも低い場合に、被験物質は飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用がないと決定する工程、
    (4):上記(3)工程で飲料に対して炭酸感増強作用または炭酸感付与作用があると決定された被験物質を選択する工程。
  4. 請求項1に記載の(B−1)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数領域の平均音圧(P3−8)が3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)であって、
    (B−2)工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)が周波数4kHzの音圧変化から算出される音の出現頻度(F)である、
    請求項1に記載の評価方法。
  5. 請求項に記載の(2−1)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲の特定にある周波数領域の平均音圧(P3−8)が3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)であって、
    請求項に記載の(2−2)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)が周波数4kHzの音圧変化から算出される音の出現頻度(F)である、
    請求項に記載の評価方法。
  6. 請求項に記載の(2−1)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲の特定の周波数領域の平均音圧(P3−8)が3.5kHz〜4.5kHz領域の平均音圧(P3.5−4.5)であって、
    請求項に記載の(2−2)の工程において、3kHz〜8kHzの範囲にある特定周波数の音圧変化から算出される音の出現頻度(F3−8)が周波数4kHzの音圧変化から算出される音の出現頻度(F)である、
    請求項に記載の選別方法。
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