JP6742663B2 - 便器装置 - Google Patents

Description

本発明は、便器装置に関するものである。

人体等の生体の排泄物には、その生体の健康状態が反映される。特に、大便には、消化器系の健康状態（腸内環境）が反映される。したがって、大便の性状を把握することは、腸内環境の把握に役立てられる。このため、カメラで大便を撮影し、その性状を推定することが従来行われている（例えば、特許文献１参照）。

特許文献１の装置は、生体データを取得して健康状態を推定する。この装置は、画像撮影部と、データ解析部と、を備えている。画像撮影部は、トイレの便器に設けられ、生体の排泄物を撮影する。データ解析部は、画像撮影部による撮影画像を解析する。また、データ解析部は、撮影画像の解析により排泄物の性状に関する生体データを取得し、この取得した生体データから生体の健康状態を推定する。

特開２００７−２５２８０５号公報

しかし、特許文献１の装置では、得られるデータが十分なものであるとは言い難かった。このため、更に詳細に推定できる技術が望まれていた。

本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、健康状態（腸内環境）のより精緻な推定結果が得られる便器装置を提供することを解決すべき課題としている。

本発明の便器装置は、便鉢部を有する便器本体と、
前記便鉢部内に排泄された落下中の大便を時系列に撮影して複数の静止画像を取得するカメラと、
前記カメラにより取得された複数の静止画像から大便の性状の変化を推定する便性推定部と、を備えることを特徴とする。

この便器装置は、カメラにより大便の静止画像を時系列に複数撮影する。そして、これら複数の静止画像から、大便の性状の変化を推定している。すなわち、便器装置は、１回の排便における大便の性状の時系列変化を推定する。このため、使用者の健康状態、特に、消化器系の健康状態（腸内環境）のより精緻な情報を得ることができる。
なお、上記「落下中」とは、大便が体外に放出されてから、便鉢部下部に設けられた溜水部の水面に到達するまで、又は便鉢部の壁面に到達するまでの間をいう。

実施例に係る便器装置を模式的に示す断面図である。 時系列に撮影された静止画像の例を示す図である。 大便性状のパターン分類の例を示す図である。 実施例に係る性状パターン（１）の大便の画像の例を示し、（ａ）は原画像、（ｂ）は二値化処理後の画像をそれぞれ示す。 実施例に係る性状パターン（２）の大便の画像の例を示し、（ａ）は原画像、（ｂ）は二値化処理後の画像をそれぞれ示す。 実施例に係る性状パターン（３）の大便の画像の例を示し、（ａ）は原画像、（ｂ）は二値化処理後の画像をそれぞれ示す。 実施例に係る性状パターン（４）の大便の画像の例を示し、（ａ）は原画像、（ｂ）は二値化処理後の画像をそれぞれ示す。 実施例に係る性状パターン（５）の大便の画像の例を示し、（ａ）は原画像、（ｂ）は二値化処理後の画像をそれぞれ示す。 実施例に係る性状パターン（６）の大便の画像の例を示し、（ａ）は原画像、（ｂ）は二値化処理後の画像をそれぞれ示す。 実施例に係る大便性状の時系列変化の推定を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。 他の実施形態に係る便器装置を説明するための図である。

本発明における好ましい実施の形態を説明する。

本発明の便器装置において、前記便性推定部は、前記大便の性状を１つの前記静止画像毎に推定し得る。この場合、１回の排便において形を変えつつ出てくる大便の性状の変化を容易に推定できる。

本発明の便器装置において、前記便性推定部は、予め複数に分類された所定の性状パターンのうちの１つに前記大便の性状を推定し得る。この場合、時系列での大便の性状の変化がより明確になる。このため、大便の性状の変化がより容易に推定可能である。

本発明の便器装置において、前記カメラは、前記便鉢部の上方に配置された便座装置に取り付けられ得る。この場合、便器本体に取り付ける場合と比較して、カメラの設置が容易である。

本発明の便器装置において、前記カメラは、前記便鉢部の上部に着脱自在に取り付けられ得る。この場合、カメラの取り付け、取り外しを容易に行うことができる。

本発明の便器装置において、前記便性推定部は、前記静止画像に使用者の身体が写り込んでいる場合には、前記静止画像内の前記身体に相当する画像領域を含む部分についてマスキング処理を行い得る。この場合、使用者のプライバシーを保護することができる。

次に、本発明の便器装置を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。

＜実施例＞
実施例の便器装置１は、図１に示すように、便器本体１０、カメラ２０、及び便性推定部３０を備えている。便器本体１０は便鉢部１１を有している。また、便器本体１０は、便鉢部１１の上端に形成されたリム１２と、このリム１２の下方に形成されたリム通水路１３と、を有している。リム１２の内周面１２Ａが形成する開口は、便器本体１０の上方から見た上面視において略楕円形状をなしている。リム通水路１３は、リム１２の内周面１２Ａよりも外側方向へ陥没する溝状に形成されている。また、リム通水路１３は、便鉢部１１の内周の略全周に渡って形成されている。便鉢部１１には、リム通水路１３に連続するように開口した吐水口１４が設けられている。リム通水路１３には、この吐水口１４から吐出される洗浄水が流通するようにされている。吐水口１４から吐出される洗浄水は、リム通水路１３に沿って便鉢部１１の周方向の一方向に流れる。便鉢部１１の下部には、洗浄水が滞留する溜水部１５が形成されている。溜水部１５の下方には、洗浄水が排出される排水路１６が連通されている。

便器本体１０の上方には便座装置４０が設けられている。便座装置４０は、便座４１、便蓋４２、及び便座装置本体４３を有している。便座４１は、上面視において略楕円形状をなしているとともに、その内側が開口した環状に形成されており、便器本体１０のリム１２の上縁部に沿うように配置される。便蓋４２は、便座４１を上方から覆い、便座４１及び便鉢部１１の開口を塞ぐことが可能に設けられている。便座装置本体４３は、便器本体１０に着脱可能に固定されている。便座装置本体４３は、便座４１及び便蓋４２を回動自在に軸支し、内部に局部洗浄装置等の機能部品（図示省略）を収納する。

カメラ２０は、便鉢部１１内に排泄された落下中の大便を時系列に撮影して複数の静止画像を得る。すなわち、カメラ２０は、排泄されてから溜水部１５に落下するまでの大便についての静止画像を時系列に撮影する。カメラ２０は、便鉢部１１内に排泄される大便を撮影可能に、便鉢部１１の内側方向を向いて配置されている。本実施例の場合、カメラ２０は、図１に示すように、リム１２の後方側の内周面１２Ａに埋設されている。すなわち、カメラ２０は、便鉢部１１の後方側内周に配置されている。カメラ２０は、便鉢部１１内の定点を所定画角、１／６０秒間隔（毎秒６０枚）で撮影を行う。

なお、本便器装置１では、使用者のプライバシーに配慮して、カメラ２０により取得される静止画像に使用者の局部等の身体が写り込んでいる場合には、以下の処理を行うようにしている。すなわち、本便器装置１では、画像内の使用者の身体に相当する領域を含んだ部分についてマスキング処理を行う。そして、以降の処理ではこのマスキング処理済みの画像データを用い、原画像データは残さず削除するようにしている。なお、身体に相当する画像領域の検出方法やマスキング処理方法は特に限定されず、既知の方法で行うことができる。

本実施例のカメラ２０は、モノクロ撮影によりグレースケールの原画像を取得する。図２に、時系列に撮影された複数の静止画像（原画像）の例を示す。グレースケールの原画像は、後述する特徴量の抽出に用いる大便の形状の把握に好適である。なお、グレースケール画像からは、色の濃さ（濃淡、明暗）を検出することもできる。また、カラー撮影が可能なカメラを採用してもよく、この場合には、形状、色の濃さのみならず、色の検出をすることもできる。

便性推定部３０は、カメラ２０により取得された複数の静止画像から大便の性状の変化を推定する。具体的には、便性推定部３０は、時系列に撮影された複数の静止画像に基づいて、排泄開始から終了までの大便の性状の変化を推定する。なお、本実施例において、便性推定部３０は便座装置４０の便座装置本体４３内に配置されているが、この配置位置は特に限定されない。

また、本実施例において、便性推定部３０による推定結果は図示しない表示端末に有線又は無線でデータ送信される。本便器装置１の使用者は、この表示端末により、推定結果を確認することができる。また、本実施例では、表示端末には、便性推定部３０による推定結果に基づいた便性改善アドバイスも表示可能となっている。表示端末は、本装置専用の端末を設けるようにしてもよいし、スマートフォン、タブレット、ＰＣ等を利用してもよい。また、推定結果データは、表示端末に直接転送するようにしてもよいし、クラウドサーバー等の他のデータストレージを介して転送するようにしてもよい。更に、過去の大便性状の変化の推定結果データを記憶させるようにして、随時確認できるようにしてもよい。

このような構成を有する便器装置１は、次に示すように大便の性状の変化を推定する。

大便の性状の変化を推定するに当たっては、まず、カメラ２０により時系列に取得した各静止画像における大便の性状を推定する。本実施例における大便の性状とは、硬さ（軟らかさ）である。本実施例の場合、大便の性状としての硬さを、６つに大別された性状パターンのいずれかに分類する。すなわち、本実施例の場合、便性推定部３０は、予め複数に分類された所定の性状パターンのうちの１つに大便の性状を推定する。この大便の性状の推定は、各静止画像について行われる。

６つの性状パターンとは、（１）コロコロ、（２）カチカチ俵、（３）バナナ、（４）半練り、（５）泥状、（６）水状である。なお、これらの性状のうち、（１）及び（２）は便秘、（３）及び（４）は健康、（５）及び（６）は下痢の各状態において排泄される大便の性状と定義している。また、上記性状のうち、（１）〜（３）は硬便、（４）〜（６）は軟便とも定義している。図３はこれら６つに分類した各性状パターンの例である。

大便の硬さ（軟らかさ）を推定するに当たっては大便の形状に注目する。具体的には、撮影された静止画像から形状に関する特徴を抽出する。すなわち、カメラ２０により撮影された静止画像内の大便の形状に関連する複数の特徴量を抽出し、これら複数の特徴量に基づいて、大便の性状を推定する。抽出する特徴量は、例えば、静止画像内の大便に相当する画像領域の横幅や縦幅、画像領域を構成する画素の数等である。

抽出した特徴量からの大便の性状の推定は、例えば以下のように行うことができる。最初に、予め性状パターンが既知の複数の大便について特徴量を抽出する。これにより、各性状パターンにおける特徴量の傾向が把握できる。そして、この傾向と、大便性状の推定対象画像から抽出した特徴量が示す傾向と、を比較することで、上記（１）〜（６）の性状パターンのいずれであるかを推定する。

時系列に撮影された各静止画像内の大便についての性状を推定したのち、便性推定部３０は、大便の性状の変化を推定する。図１０は、１回の排泄における大便の時系列変化の推定例を示している。同図からは、１回の排便で、大便の性状が、（１）コロコロ、（３）バナナ、（６）水状の３段階に変化したと推定される。また、（１）コロコロ、及び（３）バナナの性状パターンで排泄された時間と比較して、（６）水状の性状パターンで排泄された時間が大部分であると推定される。このように、便性推定部３０は、１回の排便における大便の性状の時系列変化を推定することができる。

したがって、実施例の便器装置は、使用者の健康状態のより精緻な推定結果を得ることができる。

なお、上述のように、本実施例の便器装置１では、健康状態の推定結果は、図示しない表示端末に表示される。また、本実施例の便器装置１では、健康状態の推定結果の他に、大便性状を改善するためのアドバイスも行われる。便性改善アドバイスは、推定結果と同様に表示端末に表示される。

便性改善アドバイスとしては、例えば、１回の排便において、（１）コロコロから（２）カチカチ俵の性状に変化した大便が排泄されたと推定された場合には、「肉類の食べ過ぎの可能性があります。野菜も摂取してバランス良い食事を心がけましょう」や、「トイレを我慢すると排便タイミングを逃し、便秘に繋がります。便意を催した際にはなるべく素早くトイレに行きましょう」など、便性変化の推定結果に基づく便性改善アドバイスを表示する。このように、便器装置１では、食事を含むライフスタイル全般に関わるアドバイスが表示端末に表示される。また、アドバイスの情報は、推定結果データと併せて記憶させるようにして、随時確認できるようにしてもよい。

本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
（１）実施例では、カメラを便鉢部の後方側内周に埋設して配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、便鉢部内周の前方や側方など、後方側以外の位置に配置するようにしてもよい。また、埋設に限らず、表面に配置するようにしてもよい。
（２）実施例では、便性推定部は、予め６つのパターンに分類された性状パターンのうちの１つに大便の性状を推定するようにしたが、これに限定されず、例えば、５以下又は７以上のパターンに分類された性状パターンのうちの１つに大便の性状を推定するようにしてもよい。

（３）実施例では、カメラを便鉢部に配置する例を示したが、これに限定されず、例えば、カメラを便座に配置する形態としてもよい。この形態の例を図１１〜図１４に示す。
図１１は、一般的な便座４１の内周に配置される例を示す。
図１２は、内周側の部分が便鉢部１１内に向かって下方へ延びるように形成された延設部４１Ａを備える便座４１の、その延設部４１Ａにカメラ２０が配置されている例を示す。この場合、上記図１１等のカメラの配置と比較して、排泄される大便により近づけてカメラを配置できて好適である。
図１３は、便座４１が、図１２と同様の延設部４１Ａを備えているが、この延設部４１Ａが便座４１に着脱自在に設けられている例を示している。この場合、既存の便座にも容易に取り付けることができる。また、カメラを延設部とともに取り外すことができ、メンテナンス性に優れる。
図１４は、カメラ２０が、便座４１の下面から便鉢部１１内に向かって伸張（突出）自在に設けられている例を示している。この場合、本装置の使用時はカメラを伸張させ、不使用時には便座内に格納しておくことができる。なお、カメラを便座４１の下面に直接取り付ける形態としてもよい。

（４）実施例では、カメラを便鉢部のリムの内周に配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、リムに着脱自在に取り付けるようにしてもよい。リムに着脱自在に取り付けられている形態の例を図１５及び図１６に示す。
図１５は、便器装置１が、便鉢部１１内にカメラ２０を取り付けるための固定部材５０を備える形態の例を示している。固定部材５０は、リム１２の上端から下方に向かって吊り下げられるような形態で、便鉢部１１の内側に取り付けられている。この場合、カメラを固定部材とともに取り外すことができ、メンテナンス性に優れる。また、カメラを既存の便器にも取り付けることもできる。
図１６は、図１５と同様の固定部材５０を備える構成であるが、カメラ２０は、リム通水路１３に位置するように固定部材５０に配されている。この場合、カメラを、リム通水路を流通する洗浄水により洗浄することができる。このため、カメラに付着する排泄物等の汚れを好適に洗い流すことができる。

（５）実施例では、カメラを便鉢部に配置するようにしたが、これに限定されず、例えば、カメラが便座装置本体に取り付けられる形態としてもよい。図１７は、カメラ２０が便座装置本体４３に取り付けられている例を示している。図１７において、カメラ２０は、便座装置本体４３の下面から便鉢部１１内に向かって伸張（突出）自在に設けられている。この場合、本装置の使用時はカメラを伸張させ、不使用時には便座装置本体４３内に格納しておくことができる。また、カメラを、便座装置本体の下面に直接取り付けたり、便座装置本体の下面から下方に向かって延設された部材に取り付けたりしてもよい。

１…便器装置
１０…便器本体
１１…便鉢部
１２…リム
１２Ａ…リムの内周面
１３…リム通水路
１４…吐水口
１５…溜水部
１６…排水路
２０…カメラ
３０…便性推定部
４０…便座装置
４１…便座
４１Ａ…延設部
４２…便蓋
４３…便座装置本体
５０…固定部材

Claims (6)

1. 便鉢部を有する便器本体と、
   前記便鉢部内に排泄された落下中の大便を時系列に撮影して複数の静止画像を取得するカメラと、
   前記カメラにより取得された複数の静止画像から大便の性状の変化を推定する便性推定部と、を備えることを特徴とする便器装置。
2. 前記便性推定部は、前記大便の性状を１つの前記静止画像毎に推定することを特徴とする請求項１記載の便器装置。
3. 前記便性推定部は、予め複数に分類された所定の性状パターンのうちの１つに前記大便の性状を推定することを特徴とする請求項２記載の便器装置。
4. 前記カメラは、前記便鉢部の上方に配置された便座装置に取り付けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の便器装置。
5. 前記カメラは、前記便鉢部の上部に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか一項に記載の便器装置。
6. 前記便性推定部は、前記静止画像に使用者の身体が写り込んでいる場合には、前記静止画像内の前記身体に相当する画像領域を含む部分についてマスキング処理を行うことを特徴とする請求項１乃至５のいずれか一項に記載の便器装置。