JP6742658B1 - 元菌液を産生する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】粒径が50nmを越えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する方法の提供。【解決手段】多段階の発酵工程の各々に温度管理された複数組の発酵容器10を含む発酵装置を備え、スターターとなる軟水Wと、低温状態で管理される有胞子性クロストリジウム属菌を含むNPMDに寄託登録された受託番号NITEp—02945〜NITEp—02951の7種の発酵菌で構成された元菌液bと、天然素材の乾燥大豆の第1培地m1と乾燥植物のタイソウ、クコシ、ウコンからなる混合培地の第2培地m2とハチミツ原料の第3培地m3とを別々に発酵し生成した3種の発酵培地と、を用い、多段階の発酵工程によって前記発酵液を製造する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、天然素材を発酵させ短鎖脂肪酸を含有する発酵液を製造する方法に関する。本発明により製造される発酵液は、50nmを越えない粒径のコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液である。前記発酵液のコロイド粒子の含有率が6.5%〜7.5%であり、前記酪酸の質量割合は、前記発酵液100mL当り0.5g〜0.6gである。
例えば、日常の食材として市販される発酵食品は酢・味噌・醤油・醸造酒など枚挙にいとまないほどに数多い。また機能性食品の発酵液や発酵液が機能性食品の原液として市販されている発酵食品も少なくない。従来、自然水に果実、野菜、大豆等の豆果および栗や胡桃等の堅果を粉砕した原材料を投入し、選択された発酵菌によって液体の発酵抽出物を生成することは、有史以前から様々に工夫がなされてきた加工食品を製造する周知の方法であり、それによる周知の加工食品である。
本発明に係る酪酸、プロピオン酸、乳酸などの短鎖脂肪酸については、例えば非特許文献1によると、腸内細菌による植物繊維の嫌気発酵過程で生成される短鎖脂肪酸が酪酸であり、酪酸の作用を調べたところ、酪酸は制御性T細胞の発生のみを促進することが確認されており、同文献は「慢性腸炎モデルマウスに酪酸化でんぷん飼料を与えたところ、移入細胞から制御性T細胞の発生が大腸で促進され腸内炎症の改善が認められた」と報告している。
さらに非特許文献2には、制御性T細胞(Treg)には胸腺由来のtTregと抹消で誘導されるpTregの2種類が確認され、pTregはTH17リンパ球のマスター転写因子であるRORγtと関連しており、pTregの誘導にはClostridium目のクラスターIV、XIVaによって産生される酪酸が関与し、短鎖脂肪酸、特に酪酸が大腸のpTregの誘導に重要であることが報告されている。
さらに非特許文献3は、「短鎖脂肪酸は宿主のエネルギー源として利用されるほか、体重増加抑制、摂取、糖代謝改善、インシュリン感受性亢進など、宿主のエネルギー恒常性維持に欠かせない役割を果たしていることが近年の研究で明らかになりつつある」と報告し、短鎖脂肪酸の供給源である難消化性多糖類を含む植物繊維の摂取の重要性を指摘しており、同文献には短鎖脂肪酸の特に酪酸による脂肪酸受容体GPR41、GPR43、GPR109aおよび01fr78を介した様々な分子メカニズムが詳細に紹介されている。
また非特許文献4は、嫌気性環境下で赤痢菌と酪酸菌(Clostridium butyricum MIYAIRI588株)との混合培養を行い少ない菌量でも赤痢菌の発育抑制が観察されたと報告している。近年、特に酪酸または酪酸菌の生体内おける炎症抑制作用が注目されていることを伝えている。
非特許文献5には、大腸内に常在する腸内細菌叢で産生される短鎖脂肪酸の内、酪酸は体調の必須栄養素であり、上皮細胞でエネルギーとして消費されるのみならず、酪酸の代謝障害が潰瘍性大腸炎の一因になるとの報告をし、また短鎖脂肪酸の生理作用として、カルシウム等のミネラル吸収促進、コレステロール合成抑制、さらに酪酸による大腸がん発症抑制など、それらの分析結果を提示している。
従来の発酵液を製造する方法については、例えば、特許文献1にはラクトース溶液に豆果や堅果の天然物を粉砕した原材料を投入し、少なくとも2つの発酵槽と微生物を培養する増殖器を用い、新鮮な微生物と発酵抽出物を均一混合し、それらが混和された免疫活性を有する発酵生成物およびその製法が記載されている。またこうした酸性物質を製造する方法は、特許文献2にナノ濾過を含む多段階の発酵工程が記載されており、特許文献3にはアシタバの葉および大豆粉末に納豆菌を添加し多段階の発酵工程によって生成される発酵液の製法が記載されている。
特許文献4をみると、乳酸菌の生産物質の液が記載されており、それには、当該液は16種の乳酸菌を用い複数のグループを形成しグループ毎の継代培養の共棲状態を維持し、それにより生成された乳酸菌培養液を濾過し、濾過された乳酸菌培養液が腸内良性菌を活性化する作用のあることが、さらに記載されている。
生体に対するカルシウム代謝の促進については、特許文献5にカゼインを乳酸菌産生プロティナーゼで分解して得られたペプチドまたはペプチド混合物を含有するカルシウム吸収促進活性および抗酸化活性を有する生理活性剤が記載されており、特許文献6には、精製水に大豆を投入し発酵させた葉酸含有大豆発酵高分子物質であってカルシウム吸収促進機能を有する飲料用の健康補助食品が記載されている。
原材料に大豆を用いた発酵食品については、特許文献7から9に大豆を原材料としビフィズス菌や乳酸菌株をスターターとした製法による発酵食品が開示されている。
製造される発酵液の酸性度については、特許文献10に酸性度がpH4.5未満に調整された豆乳発酵物を製造する方法と酸性度がpH4.5未満で粘度が5.9mPa以上の豆乳発酵飲料とが記載されており、特許文献11には野草抽出液に数種の発酵液等を添加して発酵させた酸性度がpH3.7〜3.9程度の酵素含有健康食品および当該健康食品を製造する方法が記載されている。
「制御性T細胞の発生を制御する腸内細菌代謝産物」早川盛偵 生物型薬学 Vol.50 No.8 2014 ファルマシア 「アレルギー疾患と腸内細菌叢」下条直樹 実験医学増刊Vol.37−No.2 2019『腸内細菌叢』編集=大野博司 羊土社 2019年2月1日発行 「宿主代謝制御と腸内細菌叢」木村郁夫 実験医学増刊Vol.37−No.2 2019『腸内細菌叢』編集=大野博司 羊土社 2019年2月1日発行 「酪酸菌(Clostridium butyricum MIYAIRI588株)による腸管病原菌抑制作用」黒岩豊秋 小張一峰 岩永正明 感染症学雑誌 第64巻第3号 平成2年3月20日 「プレバイオテックスから大腸で酸性される短鎖脂肪酸の生理効果」原博(北海道大学大学院農学研究科) 腸内細菌学雑誌 16:35−42、2002
特表2013−524791号公報 特開2016−000039号公報 特開2013−132290号公報 特許4540376号公報 特開平5−304889号公報 特表2010−540623号公報 特開2001−120180号公報 特開2005−218390号公報 特開2011−167190号公報 特開2014−168441号公報 特開2009−178084号公報
本発明は、天然素材を発酵させ短鎖脂肪酸を含有する発酵液を製造する方法である。本発明は、より具体的には、粒径が50nmを越えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する方法である。
本発明により製造される発酵液は、粒径が50nmを越えないコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下のものである。因みに、前記発酵液のコロイド粒子の含有率が6.5%〜7.5%であり、前記酪酸の質量割合は、前記発酵液100mL当り0.5g〜0.6gである。

当該発酵液は、機能性食品として、整腸を促進する乳酸菌およびビフィズス菌を倍増する一方で、整腸に有害なクロストリジウム属のウェルシュ菌を半減させ、さらに生体へのカルシウム吸収率を高めカルシウム代謝を促し生体の骨強度および骨代謝に有意に働くことが確認されている。これは非特許文献3で詳細に紹介されている短鎖脂肪酸の内、特に酪酸による脂肪酸受容体GPR41、GPR43、GPR109aおよび01fr78を介した様々な分子メカニズムと一致する結果とも考えられる。
本発明は、発明者らの長年の地道な実践研究により完成された、天然素材を発酵させ、50nmを超えないコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する方法を提供する。
それはまた、より具体的には、予め共棲させ安定させた低温状態で管理される短鎖脂肪酸を含む有機酸を産生する有胞子性のクロストリジウム属菌を含む元菌(独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター[NPMD]に寄託登録された受託番号NITEp―02945〜NITEp―02951の7種の発酵菌)が共棲的に作用する多段階の発酵工程によって、50nmを超えないコロイドおよび、酪酸、プロピオン酸、乳酸の3種の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する方法を提供するものである。
本発明の方法は、
多段階の発酵工程の各々に温度管理された複数組の発酵容器を含む発酵装置を備え、
スターターとなる軟水wと、
低温状態で管理される有胞子性クロストリジウム属菌を含むNPMDに寄託登録された受託番号NITEp―02945〜NITEp―02951の7種の発酵菌で構成された元菌液bと、
天然素材の乾燥大豆の第1培地pm1と、乾燥植物のタイソウ、クコシ、ウコンからなる混合培地の第2培地pm2と、ハチミツ原料の第3培地pm3とを別々に発酵し、生成した3種の発酵培地m1、m2、m3と、
を用い、
多段階の発酵工程によって、
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液1を製造することを特徴とする。
非特許文献および特許文献には、粒径が50nmを越えないコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の3種の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を想起させる記載は発見できない。さらに多段階の発酵工程によって、50nmを越えないコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の3種の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する方法に関する記載も発見することはできない。またこれら非特許文献および特許文献に記載された技術要素について、当業者が如何様に組み合わせても、50nmを超えないコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の3種の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する本発明の方法を、想到し得る記載がないことも明らかである。
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する本発明の一態様である方法を構成する特徴の第1は、多段階の各発酵工程の第1発酵ラインf1にある。
第1発酵ラインf1は、
図1[1]〜[5]に示される、複数個(4個以上)の陶器製の発酵瓶10、加熱釜30を備えた第1培地タンク20、および、2基の第1発酵タンク100を備えた第1発酵システムs1と、
図1[6]〜[8]に示される、1基の第2発酵タンク200、および、図4[b]に示される、第2発酵タンク200に連結される第1発酵タンク100の抜取装置110を備えた第2発酵システムs2と
を用い、
図2(2)に示される予備的第1発酵液pn1と発酵大豆fsとを生成する第1工程p1と、
図2[b]〜[c]および図16のステージ1に示される酸性度がpH5.3±の第1発酵液n1を生成する第2工程p2と、
図1[8]および図16のステージ1に示されるpH5.0±の第2発酵液n2を生成する第3工程p3と、
で構成される。
なおpH値の±は、図16に示される発酵工程の各発酵液の年間ロットの平均値を示す酸性度pH値の振れ幅が0.3以内であることを表す記号であり、以下同様である。
より具体的には、
全行程が図1[1]〜[8]に示される第1発酵ラインf1は、
図2(1)に示される複数個(4個以上)の陶器製の発酵瓶10の各々にスターターとなる酸性度がpH7.3±の軟水wと第1培地pm1の原料である乾燥大豆dsと、
図2のステップpp0に示される発酵瓶10の軟水wに浸漬され水で戻された乾燥大豆dsの発酵を促す元菌液bの一部と糖鎖sと
を用い、
図16のステージ1に示される37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら3日間(68時間〜74時間)の発酵によって、
図2(2)に示されるpH4.5±の予備的第1発酵液pn1と発酵大豆fsとを生成する第1工程p1を含む。
図1[3]〜[4]および図2のステップpp1〜pp3に示される第1発酵ラインf1の第1工程p1はさらに、
粉砕手段(図示せず)で発酵大豆fsを磨り潰し大豆ペーストgfsを生成し各発酵瓶10に対応する図2(3)に示される複数個(4個以上)の容器11に移し、予備的第1発酵液pn1と混合し各容器11から加熱釜30に移す工程と、
図2[a]のステップpp4に示される加熱釜30で大豆ペーストgfsを55〜60℃に加熱し冷却用に予め軟水wが投入された第1培地タンク20に移し、pH4.5±の第1発酵培地m1を生成する第1予備工程と
を含む。
図1[5]に示される第1発酵ラインf1の第2工程p2は、
図2(4)および[b]に示される第1発酵培地m1を2基の第1発酵タンク100に均等に移し、各第1発酵タンク100に軟水wと元菌液bをさらに投入する工程と、
図2[c]のステップpp5に示される第1発酵タンク100の各々に投入された第1発酵培地m1と軟水wと元菌液bとを攪拌し、混合し、pH6.4±の予備的第2発酵液pn2を生成する第2予備工程と
を含む。
因みに、第2予備工程で生成されるpH6.4±の予備的第2発酵液pn2は、第1発酵培地m1と軟水wと元菌液bとが混合された混濁液pn2であり、50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造するための発酵原液θに相当するものである。混濁液pn2が発酵原液θとなる理由は、これ以降の多段階の発酵工程において新たに軟水wおよび元菌液bが添加されることはないためである。
図1[6]に示される第1発酵ラインf1の第2工程p2はまた、
図2[d]のステップpp6に示される各第1発酵タンク100に生成されたpH6.4の予備的第2発酵液pn2を、
図16ステージ1に示される37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら50日〜100日の発酵によって、
pH5.3±の第1発酵液n1を生成する第3予備工程を含む。
図1[6]に示される第1発酵ラインf1の各第1発酵タンク100には、
図4[a]に示され、詳細は後述されるように、
上澄みには発酵ガスによるスポンジ層spが形成され、下層部には第1発酵培地m1の繊維質を含む第1沈澱層dep1が堆積し、スポンジ層spと第1沈澱層dep1との間にpH5.3±の第1発酵液n1が形成される。
図1[8]に示されるように第1発酵ラインf1は、第3工程p3を含むことができる。第3工程p3は、図4[b]に示される第2工程p2で生成されたpH5.3±の第1発酵液n1のみを、第1発酵タンク100の抜取装置110によって2基の第1発酵タンク100から抜き取り、発酵培地を使用しない発酵環境が形成された1基の第2発酵タンク200に移し、攪拌し、混合し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら、図16ステージ1に示される第1発酵液n1に含まれる元菌液bの発酵菌b1による3日〜5日の発酵によって、pH5.0±の第2発酵液n2を生成する工程である。
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する本発明の一態様である方法を構成する特徴の第2は、多段階の各発酵工程の第2発酵ラインf2にある。
第2発酵ラインf2は、
図1[9]〜[12]および図7に示されるように、
図1[9]または図7[a]に示される第2培地タンク40と、
図1[11]または詳細が図8および図9に示される、内部に吊すように設置される袋状培地フィルタ320および循環用ポンプ装置330が装備された1基の第3発酵タンク300と、
図1[12]に示される第3発酵タンク300に連結される第2発酵タンク200の抜取装置210(図4[b]の抜取装置110と同一原理の装置で図示せず)と、
からなる
第3発酵システムs3を用い、
pH4.8±の第2発酵培地m2を生成する第1工程p1と、
pH4.5±の第3発酵液n3を生成する第2工程p2と
で構成される。
図1[9]および[10]に示される第2発酵ラインf2のpH4.8±の第2発酵培地m2を生成する第1工程p1は、より具体的には、以下のような第1予備工程pp1および第2予備工程pp2を含む。
第1予備工程pp1は、
図1[9]または図7[a]に示される第2培地タンク40に、
スターターとなるpH5.0±の第2発酵液n2またはpH5.3±の第1発酵液n1のいずれかと、
殺菌処理された乾燥植物のタイソウ、クコシ、ウコンからなる混合培地pm2と
を投入し、
殺菌処理された混合培地pm2を第2発酵液n2または第1発酵液n1のいずれかの一部に浸漬し、混合し、攪拌し、
図16ステージ2に示される37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら2日〜3日の発酵によって、
図1[10]または図7[b]に示される予備的発酵混合培地pfm2と予備的第3発酵液pn3とを生成する。
第1予備工程pp1において、第2培地タンク40に混合培地pm2を投入し第2発酵液n2または第1発酵液n1のいずれかの一部に浸漬し混合するときは、好ましくは、混合培地pm2のタイソウ、クコシ、ウコンの各々を重量比7対4対1の割合で使用し、例えば、混合培地pm2を第2発酵液n2または第1発酵液n1のいずれかの35リットル毎の総量に対し、重量比7対4対1の割合で乾燥タイソウ200〜210g、乾燥クコシ110〜120g、乾燥ウコン25〜30gを混合することである。
第2予備工程pp2は、
図1[10]または図7[b]に示される第2培地タンク40から予備的発酵混合培地pfm2を取り出し、粉砕手段(図示せず)を用いタイソウの種を磨り潰さない程度に粉砕し、pH4.8±の予備的第3発酵液pn3と第2発酵培地m2とを生成する。
第2発酵ラインf2のpH4.5±の第3発酵液n3を生成する第2工程p2は、より具体的には、以下の予備的工程を含む。
第2工程p2は、
図1[11]に示される第1工程p1で生成された第2発酵培地m2を袋状培地フィルタ320に封入し第3発酵タンク300内に吊るし、pH4.8±の予備的第3発酵液pn3を第3発酵タンク300に移す工程と、
第3発酵タンク300に連結された図1[8]に示される第2発酵タンク200の抜取装置210によって、pH5.0±の第2発酵液n2を第2発酵タンク200から第3発酵タンク300にさらに移す工程と、
図9に示される循環用ポンプ装置330を作動し第2発酵培地m2が混じり合わないように袋状培地フィルタ320を介しpH4.8±の予備的第3発酵液pn3とpH5.0±の第2発酵液n2とを一体的に循環する工程と、
を含み、
図16ステージ2に示される最終的に37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら8日〜9日の発酵によって、pH4.5±の第3発酵液n3を生成する。
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する本発明の一態様である方法を構成する特徴の第3は、多段階の各発酵工程の第3発酵ラインf3にある。
第3発酵ラインf3は、
図1[13]〜[16]および図12[a]〜[[g]に示されるように、
図1[13]〜[14]および図12[b]に示される第3培地タンク50と、
図1[15]および図12[d]に示される1基の第4発酵タンク400と
図12[e]に示される第4発酵タンク400に連結される第3発酵タンク300の抜取装置310と
からなる
第4発酵システムs4を用い、
pH値4.4±の第3発酵培地m3を生成する第1工程p1と、
pH3.7±の第4発酵液n4を生成する第2工程p2と
で構成される。
第3発酵ラインf3のpH値4.4±の第3発酵培地m3を生成する第1工程p1は、より具体的には、以下の予備的工程を含む。
第1工程p1は、
図12[a]〜[c]に示される第3培地タンク50に、
百科蜜およびアカシヤ蜜を好ましくは1対4の比率で構成されるハチミツ原料pm3を投入し、投入されたハチミツ原料pm3の4倍の量に相当するスターターとなるpH4.5±の第3発酵液n3の一部をさらに投入する工程と、
第3培地タンク50に投入されたハチミツ原料pm3と投入されるハチミツ原料pm3の4倍の量に相当する第3発酵液n3の一部を、第3発酵タンク300で生成された第3発酵液n3の3〜5%に相当する量になるように、投入し、攪拌し、予備的発酵培地pfm3を生成する工程と、
を含み、
図16ステージ2に示される最終的に図12のステップpp1の予備的発酵培地pfm3を37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら2日〜3日の発酵によって、
pH値4.4±の第3発酵培地m3を生成する。
第3発酵ラインf3のpH3.7±の第4発酵液n4を生成する第2工程p2は、より具体的には、以下の予備的工程を含む。
第2工程p2は、
図12[d]に示される第3発酵培地m3を第4発酵タンク400に移す工程と、
図12[e]〜[f]に示されるスターターのpH4.5±の第3発酵液n3を第4発酵タンク400に連結された第3発酵タンク300の抜取装置310で第3発酵タンク300から第4発酵タンク400にさらに移し、攪拌する工程と、
含み、
図12[g]および図16ステージ2に示される最終的に37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら30日〜60日の発酵によって、
pH3.7±の第4発酵液n4を生成する。
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する本発明の一態様である方法を構成する特徴の第4は、多段階の各発酵工程の第4発酵ラインf4にある。
第4発酵ラインf4は、
図1[17]に示される1基の第5発酵タンク500と
図12[g]に示される第5発酵タンク500に連結される第4発酵タンク400の抜取装置410(図12[e]の抜取装置310と同一原理の装置で図示せず)と
からなる
第5発酵システムs5を用い、
図12[g]に示されるpH3.7±の第4発酵液n4をpH3.6±の第5発酵液n5に生成する工程p
で構成される。
第4発酵ラインf4のpH3.6±の第5発酵液n5を生成する工程p1は、より具体的には、以下の予備的工程を含む。
工程p1は、
図1[16]〜[17]に示されるように、
スターターとなるpH3.7±の第4発酵液n4を第5発酵タンク500に連結された第4発酵タンク400の抜取装置410(図12の抜取装置310と同一原理の装置で図示せず)で第4発酵タンク400から第5発酵タンク500に移す工程と、
第5発酵タンク500に移されたpH3.7±の第4発酵液n4を複数回攪拌し発酵培地を使用しない発酵環境を形成する工程と、
を含み、
図16ステージ2に示される最終的に37℃〜40℃に発酵状態を保持しながら、第4発酵液n4の発酵菌b1による30日〜60日の発酵によって、
pH3.6±の第5発酵液n5を生成する。
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する本発明の一態様である方法を構成する特徴の第5は、多段階の各発酵工程の第5発酵ラインf5にある。
第5発酵ラインf5は、
図1[18]〜[19]または図15[a]〜[c]に示されるように、
図1[19]または図15[c]に示される1基の第6発酵タンク600と、図1[18]または図15[b]に示される冷却装置610と、
図15[a]に示される予備タンク620および予備タンク620に連結される第5発酵タンク500の抜取装置510と
からなる
第6発酵システムs6を用い、
図1[18]または図15[b]に示される35〜40℃のpH3.6±の第5発酵液n5を液温4〜5℃以下に急冷却する第1工程p1と、
急冷却したpH3.6±の第5発酵液n5を常温状態に戻し、図1[19]または図15[c]に示される常温状態を保持しながら酸性度がpH3.3±の第6発酵液n6を生成する第2工程p2と
で構成される。
第5発酵ラインf5の35〜40℃のpH3.6±の第5発酵液n5を液温4〜5℃以下に急冷却する第1工程p1は、より具体的には、以下の予備的工程を含む。
第1工程p1は、
図15[a]に示される第5発酵タンク500の抜取装置510が連結された予備タンク620に第5発酵タンク500から液温が35〜40℃でpH3.6±の第5発酵液n5を移す工程と、
図15[b]に示される予備タンク620を冷却装置610の冷却水に漬ける工程と
を含み、
最終的に35〜40℃の第5発酵液n5を液温4〜5℃以下に急冷却する。
図15[c]に示されるpH3.6±の第5発酵ラインf5の常温状態を保持しながらpH3.3±の第6発酵液n6を生成する第2工程p2は、より具体的には、以下の予備的工程を含む。
第2工程p2は、
図15[c]に示される予備タンク620を冷却装置610から取り出し、急冷却された第5発酵液n5を常温状態に戻してから第6発酵タンク600に移す工程と、
発酵培地を使用しない発酵環境を形成する工程と、
を含み、
最終的に常温状態を保持しながら第5発酵液n5の発酵菌b1によるpH3.6±の第5発酵液n5の180日〜240日の発酵によって、
pH3.3±の第6発酵液n6を生成する。
以上のように、本発明は、概略的には第1発酵ラインf1から第5発酵ラインf5で構成される、50nmを超えないコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の3種の短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造する方法である。
スターターとなる軟水wの使用量は、図1[5]に示される2基の第1発酵タンク100の仕込み量すなわち予備的第2発酵液pn2が1800Lと想定して概算すると、各段階で生成される発酵液の生成量は、概算で以下のようになる。
4個の陶器製の発酵瓶10を使用する場合、図2(1)〜(2)に示される各発酵瓶10に6.5kgの乾燥大豆を浸漬する20Lの軟水wが使用されるので、4個分の軟水wは80Lになる。次に、各発酵瓶10の発酵大豆fsを僅かの軟水wを5L程度加えながら粉砕しペースト状にし、仕上がった大豆ペーストgfsを図2(3)に示される4個の別容器11に移し、予備的第1発酵液pn1と混合するときに10L程度の軟水wがさらに加えられる。各容器11から10L相当の軟水wが加えられた大豆ペーストgfsと予備的第1発酵液pn1とを加熱釜30に移し、加熱する。加熱され35L相当になった各発酵瓶10相当の大豆ペーストgfsおよび予備的第1発酵液pn1(gfs+pn1+w)が第1培地タンク20に移される。
加熱釜30で各発酵瓶10の35L相当になった大豆ペーストgfsと予備的第1発酵液pn1とに対し10L相当の軟水wを加えながら、攪拌し、加熱する。次に、第1培地タンク20に用意された冷却用の100L相当の軟水wで大豆ペーストgfsと予備的第1発酵液pn1が発酵温度に冷やされる。結果、第1発酵培地m1の生成に要する軟水wは、180L(80L+20L+40L+40L)になる。第1培地タンクで冷却するときの使用する軟水wは100Lであるので、生成される第1発酵培地m1は、240L[35L×4+100L]相当になる。
2基の第1発酵タンク100には、スターターとなる、第1発酵培地m1の240Lおよび元菌液bの270L〜450Lに、さらに軟水wが投入される。
図2[c]に示される2基の第1発酵タンク100に投入される軟水wは、第1発酵タンク100の仕込み量すなわち予備的第2発酵液pn2を1800Lと想定すると、1110〜1290Lという使用量になる。したがって、第1発酵液n1の生成に要する軟水wの使用量は、1290(1110+180)L〜1470(1290+180)Lである。本発明の50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する酸性度が3以上4以下の発酵液を製造する方法には、他に軟水wが使用される工程はない。
図2[d]または図4[a]に示される図16ステージ1の50日〜100日の発酵を経た2基の第1発酵タンク100の各々には、発酵ガスが形成する空気遮断作用を有するスポンジ層spと、第1発酵培地m1の繊維質を含む第1沈澱層dep1と、これら2層の間に、半透明な第1中間層液が形成される。半透明な第1中間層液は、pH5.3±の第1発酵液n1である。
第1発酵タンク100の2基分の仕込み量すなわち予備的第2発酵液pn2を1800Lと想定すると、スポンジ層spと第1沈澱層dep1とで30%以上が吸収されるため、1基分の第1発酵タンク100に生成されるpH5.3±の第1発酵液n1は、600〜650L相当である。
したがって、第2発酵タンク200に連結される第1発酵タンク100の抜取装置110によって、2基の第1発酵タンク100から抜き取り第2発酵タンク200に移されるpH5.3±の第1発酵液n1は、1200〜1300L相当になる。pH5.3±の第1発酵液n1は、本発明によって製造される50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する、酸性度がpH3以上4以下の発酵液1の最初の発酵液である。
第2発酵タンク200においては、培地を使用しない発酵環境が形成されており、第1発酵液n1に含まれる発酵菌b1によるpH5.3±の第1発酵液n1の発酵によって、pH5.0±の第2発酵液n2が生成される。第2発酵タンク200には、pH5.3±の第1発酵液n1の発酵によって発酵ガスの泡で上澄に形成される第1上面膜層sf1と下層に堆積される第2沈殿層dep2と、これら2層の間に、半透明の第2中間層液が形成される。
第2中間層液は、pH5.0±の第2発酵液n2である。第2発酵液n2は発酵中に第1上面膜層sf1と第2沈殿層dep2に5%程度吸収されるため、生成される第2発酵液n2は1140〜1240L程度である。
第1発酵ラインf1は、この段階で終了する。それは図16図ステージ1に相当し、その間の発酵に要する時間は55日以上で108日を超えない程度である。
図1[9]〜[12]に示される第2発酵ラインf2は、1140〜1240L程度のpH5.0±の第2発酵液n2がスターターである。第2発酵液n2の一部は、第2培地タンク40に添加される。残りの第2発酵液n2は第3発酵タンク300に移される。発明者らの長年の地道な実践経験からすると、生成されるpH4.5±の第3発酵液n3の仕上り量は、第3発酵タンク300で生成される第3発酵液n3も8%〜10%程度の目減りがあるため、1050〜1100L程度である。
図1[13]〜[19]に示される第3発酵ラインf3から第5発酵ラインf5では、第4発酵液n4から第6発酵液n6の発酵中に気化等による目減り量は2%〜3%と僅かであり、最終的に生成されるpH3.3±の第6発酵液n6の50nmを超えないコロイド発酵液の仕上り量は、1000〜1050L程度になる。
各段階の発酵によって生成される発酵液の生成量を概算すると以下のようになる。2基の第1発酵タンク100において、スターターの1290〜1470L相当の軟水wと、第1発酵培地m1を用い1800L相当の仕込み量で生成されるpH5.3±の第1発酵液n1は、次のスターターとして用いられ、pH5.0±の第2発酵液n2の1140〜1240L程度が生成される。さらに第2発酵液n2と第2発酵培地m2とを用いpH4.5±の第3発酵液n3の1050〜1100L程度が生成される。これに続く発酵によって、1050〜1100L程度の第3発酵液n3と第3発酵培地m3とを用いpH3.7±の第4発酵液n4が生成されるが、これ以降の発酵は、発酵培地を使用しない発酵環境が形成されており、生成された第4発酵液n4を用いpH3.6±の第5発酵液n5が生成され、最終的には生成された第5発酵液n5を用いpH3.3±の第6発酵液n6の1000〜1050L程度が生成される。

pH3以上4以下の50nmを超えないコロイド発酵液を生成するための第1発酵ラインから第5発酵ラインを含む多段階の発酵工程を表す概略図である。 第1発酵ラインを構成する第1工程、および、第1予備工程と第2予備工程と第3予備工程とからなる第2工程を表す拡大模式図である。 中央部に弁機能を有する蓋が設置された容量がいずれも60Lを超えない陶器製の発酵瓶を表す斜視図および蓋機構の拡大模式図である。 第1発酵タンクの底部に取り付けた抜取装置の開閉弁の開閉によりパスカルの原理と静水圧平行の原理を応用し、生成された第1中間層液の第1発酵液のみを第1発酵タンクから抜き取り、第2発酵タンクに移す状態を表す模式図である。 事前発酵させた大豆を磨り潰した第1発酵培地の検体Aを用い6日間の発酵によって生成した第1発酵液Aと、事前発酵させることなく水に浸漬した乾燥大豆を磨り潰した発酵培地の検体Bを用い検体Aと同じように6日間の発酵によって生成した第1発酵液Bと、の比較試験の写真Aおよび写真Bである。 短鎖脂肪酸を含む有機酸を生成する有胞子性クロストリジウム属菌を含む発酵菌の7種の一覧表である。一覧表の菌株はブタペスト条約上の国際寄託機関の独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センターに寄託登録された。寄託番号:NITE p−02945〜NITE p−02951(受託日:2019年5月16日)。 発酵ガスの通る穴を穿設した落し蓋を配した第2培地タンクの模式図である。 第2発酵培地による第3発酵液を生成する第2発酵ラインで用いる第3発酵タンクの内部に吊すように設置される袋状培地フィルタの模式図、袋状培地フィルタを配備した第3発酵タンクの斜視図および平面図である。 第2発酵培地による第3発酵液を生成する第2発酵ラインで用いる循環用ポンプ装置が装備された第3発酵タンクの模式図である。 第2発酵液を用い事前発酵させた重量比7対4対1のタイソウ、クコシ、ウコンをタイソウの種が残るように磨り潰し粉砕した第2発酵培地の検体Aを用いて5日間の発酵によって生成された第3発酵液Aと、事前発酵させることなく第2発酵液に浸漬した重量比7対4対1のタイソウ、クコシ、ウコンをタイソウの種が残るように磨り潰し粉砕した発酵培地の検体Bを用いて検体Aと同じく5日間の発酵によって生成された第3発酵液Bと、の比較試験の写真Aおよび写真Bである。 発酵開始から5日間の第3発酵液Aと第3発酵液Bとの酸性度pH値の推移を表すグラフおよび比較表である。 第3発酵タンクに第2発酵液を移した状態で、第3発酵タンクの内部に設置される袋状培地フィルタに第2培地タンクで生成された第2発酵培地を投入し、循環用ポンプ装置を作動し、循環させながらの発酵によって第3発酵液を生成する第2発酵ラインを表す工程[a]と、第3培地タンクに第3発酵液の一部とはちみつ原料を適量投入し、攪拌させながらの発酵によって第3発酵培地を生成する工程[b]および[c]と、第4発酵タンクに第3発酵タンクから移された第3発酵液と第3発酵培地とを投入し、攪拌させながらの発酵によって第4発酵液を生成する第3発酵ラインを表す工程[d]〜[g]とからなる部分拡大図である。 第3発酵液を用い事前発酵させたハチミツ原料の第3発酵培地のを用い4日間の発酵によって生成された第4発酵液Aと、第3発酵液を用い事前発酵させないハチミツ原料の培地を用い4日間の発酵によって生成した第4発酵液Bと、の比較試験の写真Aおよび写真Bである。 発酵開始から4日間の第4発酵液Aおよび第4発酵液Bの酸性度のpH値の推移を表すグラフおよび比較表である。 第5発酵タンクから予備タンクに第5発酵液を移し、冷却装置で急冷却し、季節に応じた常温状態で液温を管理し、冷却された第5発酵液を第6発酵タンクに移し、発酵培地を使用しない発酵環境が形成され、第5発酵液の発酵菌による発酵によって第6発酵液を生成する第5発酵ラインの拡大模式図である。 第1発酵ラインから第5発酵ラインに要する発酵時間と、第1発酵液から第6発酵液および第1発酵培地から第3発酵培地の酸性度のpH値との推移を、ステージ1からステージ3に区分し、発酵度合いの変化を酸性度のpH値で表した図および表である。 検体として第4発酵液の上澄みを検体加熱処理/減菌処理後に第4発酵液が含有するコロイド粒子の大きさを計測するキュムラン解析結果を表すグラフおよび表である。 検体として第6発酵液の上澄みを加熱処理/減菌処理後に第6発酵液が含有するコロイド粒子の大きさを計測するキュムラン解析結果を表すグラフおよび表である。 日本食品分析センターのソモギー変法による発酵液100g[mL]に含有する糖質量の分析結果の表である。 日本食品分析センターの高速液体クロマトグラフィーによる第6発酵液100g[mL]に含有する短鎖脂肪酸量の分析結果のグラフである。 SD、オスラットをモデルマウスとして用いた被験物質(第6発酵液)投与による「反転腸菅法によるカルシウム吸収検討試験」の結果に基づくカルシウム増加量とカウシウム吸収率とを表す棒グラフである。 両側卵巣摘出によるエストロゲン欠乏状態の骨粗鬆症モデルマウスを用いた被験物質(第6発酵液)投与による「Gla/Glu−Osteocalcin比」と「骨重量と骨強度、および、骨密度」データによる影響度試験の結果に基づくグラフおよび骨密度写真である。 株式会社アイテックラボ(試験責任者松浦正樹)がcc57BL/6マウス(♂7週齢)の被験物質(第6発酵液)投与群とコントロール群とに0.5mL/検体を28日間の連続経口投与後に検体の結腸内容物を採取し、結腸内容物の細菌DNAを抽出し、腸内細菌叢における効果に関する試験をした試験結果である。 被験物質(第6発酵液)投与群と注射用水投与群マウスの腫瘍組織におけるKrt6b遺伝子の発現量を表したグラフである。
発明を実施するための態様
以下は、本発明の一実施態様である。本発明の一実施態様は、多段階の発酵工程によって50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する、pH3以上4以下の発酵液を製造する方法を提供するものである。本発明の方法によって製造される発酵液は、前記発酵液のコロイド粒子の含有率が6.5%〜7.5%で、前記酪酸の質量割合は前記発酵液100mL当り0.5g〜0.6gであり、それ自体が機能性食品または機能性食品およびその原液になる。
第1発酵ラインf1の詳細
多段階の発酵工程は、より具体的には、本発明の方法を表す概念図の図1[1]に示される第1発酵ラインf1を構成する第1工程p1から始まる。
第1発酵ラインf1の第1発酵液n1を生成するための仕込み量すなわち予備的第2発酵液pn2を1800Lと想定すると、各工程のスターターになる仕込み量および生成される仕上量は、概算で以下のようになる。
図2(1)(2)に示される第1発酵ラインf1の第1工程p1は、
図3に示される60Lを超えない容量の中央部に発酵ガスを逃がすための弁機能11を有する蓋12を備えた4個の陶器製の発酵瓶10の各々に、
pH7.3±の軟水wの20Lに水で戻した6.5kg相当の乾燥大豆dsを浸漬し、6.5kg相当の各乾燥大豆dsの量に見合う量の糖鎖sの0.25kgと、図6に示される元菌液bの一部である0.14Lと、を投入する第1前処理工程と、
第1前処理工程で処理された各発酵瓶10を3日間(68〜74時間)の発酵によって、各発酵瓶10に併せて35L相当の第1予備的発酵液pn1と発酵大豆fsとを生成する、第2前処理工程と、
からなる
第1予備工程pp1を含む。
図2(3)に示される第1発酵ラインf1の第1工程p1はさらに、第2予備工程pp2を含む。第2予備工程pp2は、第1予備工程pp1を構成する第2前処理工程の発酵大豆fsを各発酵瓶10から取り出し、図示しない粉砕手段で僅かな軟水wを添加しながらペースト状に磨り潰し、磨り潰した発酵大豆fsを発酵瓶10に対応する4個の容器11に移し、第2前処理工程の第1予備的発酵液pn1と混合し、容器11毎に、併せて35L相当の第1予備的発酵液pn1と大豆ペーストgfsを生成する。
図2(3)に示される第1発酵ラインf1の第2工程p1は、容器11毎に生成された35L相当の第1予備的発酵液pn1と大豆ペーストgfsを各容器11から加熱釜30に移し、55〜60℃まで徐々に加熱し、攪拌し、加熱釜30に併せて180L[(35L+10L)×4]相当の第1予備的発酵液pn1と大豆ペーストgfsを生成する第3予備工程pp13を含む。
第1発酵ラインf1の第2工程p2は、図2[a]〜[d]に示される第4予備工程pp4〜第6予備工程pp6をさらに含む。
第2工程p2の第4予備工程pp4は、第1工程p1の第3予備工程pp13で加熱釜30に生成された180L相当の第1予備的発酵液pn1と大豆ペーストgfsとを、外気に触れさせないように、100L相当の冷却用軟水wが予め投入された第1培地タンク20に移し、攪拌し、280L相当のpH4.5±の第1発酵培地m1を生成する。
図2(4)に示される第2工程p2の第4予備工程pp4はさらに、2基の第1発酵タンク100に、外気に触れさせることなく、第1培地タンク20のpH4.5±の第1発酵培地m1の280L相当と、図6に示される発酵菌b1を予め共棲させ安定させた元菌液bの270L〜450L相当と、軟水wの1100〜1300L相当とを均等に振り分け、投入する。図2[b]に示されるように、各第1発酵タンク100では、第1発酵培地m1および元菌液bが軟水Wと共に攪拌され、併せて1800L相当のpH6.4±の予備的第2発酵液pn2が生成される。
図2[c]および[d]に示される第2工程p2の第5予備工程pp5および第6予備工程pp6は、各発酵タンク100にpH6.4±の予備的第2発酵液pn2を外気に触れないように密閉し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら50日〜100日の発酵によって、図4[a]に示されるように、発酵ガスの泡でスポンジ層spを上澄に形成しながら液中への酸素の溶け込みを防ぎ、元菌液bの発酵菌b1による酸性物質の分泌および発酵を促し、第1培地m1の繊維質と発酵菌b1とが堆積したペースト状の第1沈殿層dep1を下層に形成し、スポンジ層spと第1沈殿層dep1との間に、半透明な第1中間層液を形成する。形成された半透明な第1中間層液は、pH5.3±の第1発酵液n1である。
各発酵タンク100には、長期間の発酵によって膨張したスポンジ層spと、ペースト状の第1沈殿層dep1とが併せて300L相当を占めるので、半透明な第1中間層液であるpH5.3±の第1発酵液n1が600L相当になる。因みに、300L相当の上澄みのスポンジ層spとペースト状の第1沈殿層dep1とは元菌液bの基礎材料になる。
第1発酵ラインf1は、第3工程p3をさらに含むことができる。第1発酵ラインf1の第3工程p3は、図4[b]に示されるように、各第1発酵タンク100で生成された600L相当の第1中間層液であるpH5.3±の第1発酵液n1を1基の第2発酵タンク200に移し替える。
第3工程p3は、
1基の第2発酵タンク200に移し替えられた1200L相当のpH5.3±の第1発酵液n1を第1スターターとして、
第1発酵液n1に含まれる元菌液bの発酵菌b1による3日〜5日間の発酵によって、
pH5.0±の第2発酵液n2を生成する。
第2発酵液n2生成の技術的課題
第3工程p3の発酵は、培地または発酵培地を使用しない環境の中で、第1発酵液n1を元菌液bの発酵菌b1のみで発酵させるという特徴がある。ここで、第1発酵ラインf1の第3工程p3の技術的課題について触れておくと、2基の第1発酵タンク100で別々生成された第1中間層液n1は、元菌液bの発酵菌b1の共棲による発酵環境を異にするものであり、1基の第2発酵タンク200に移し替えられ、混合され、一体化されることによって、第1発酵液n1に含まれる元菌液bの発酵菌b1の共棲拮抗がさらに刺激されることになる。それは、pH5.3±の第1発酵液n1がpH5.0±の第2発酵液n2にまで酸性化されることから推定される。
したがって、本発明の多段階の発酵工程は、図1[6]または[8]の2つのルートに示される第1発酵ラインf1の第3工程p3を経由することなく、第1発酵ラインf1の第2工程p2から、直接第2発酵ラインf2に進むことが可能になる。
発酵ラインf1の第2工程p2から直接第2発酵ラインf2に進む場合には、第2発酵タンク200の大きさを有する第1発酵タンク(図示せず)の1基が使用されることになる。長年の実践経験から発明者らは、第1発酵ラインf1の第3工程p3を経ないと発酵菌b1の共棲拮抗が低位に止まる、すなわち発酵菌b1による酸性物質の十分な分泌および発酵が進まないため、1基の第1発酵タンクで1200L相当のpH5.3±の第1発酵液n1を安定的に生成することは容易でないという知見を得た。そうした知見を基に、発明者らはpH5.0±の第2発酵液n2になるまで事前にpH5.3±の第1発酵液n1を発酵させる更なる工夫と、それ以上の発酵日数が必要になるという課題に対し、第1発酵ラインf1に第3工程p3を組み入れるという発想を想起し課題を解決した。
事実、第1発酵ラインf1の第3工程p3は、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながらpH5.3±の第1発酵液n1の発酵菌b1のみによる3日〜5日間の発酵によって、発酵ガスの泡で上澄みの第1上面層sf1を形成し、それにより液中への酸素の溶け込みを防ぎながら発酵菌b1の分泌および発酵をさらに促し、第1培地m1の残渣が堆積したペースト状の第2沈殿層dep2を下層に形成し、第1上面層sf1と第2沈殿層dep2との間に、1140〜1240L相当の半透明な第2中間層液を形成する。半透明な第2中間層液はpH5.0±の第2発酵液n2である。第3工程p3を第1発酵ラインf1に組み入れるかどうかは、選択の問題である。
第1発酵ラインf1の技術的特徴
第1発酵ラインf1の技術的特徴は、通常の大豆発酵とは異なり、発酵瓶10で乾燥大豆dsを発酵させた第1予備的発酵液pn1と大豆ペーストgfsと軟水wと元菌液bの一部とで予め第1発酵培地m1を生成し、事前発酵されたpH4.5±の第1発酵培地m1と軟水wとを用い、pH5.3±の第1発酵液n1を生成するようにしたことである。
通常、大豆を用いた発酵生成物は、大豆dsを被発酵物または水などの液体に浸漬した状態で生成する。ところが、本発明者らは、乾燥大豆を用いた第1発酵培地m1を事前発酵する工程を経て、発酵液を生成するという発酵工程によってpH5.3±の第1発酵液n1を生成することに着目し、本発明を完成させた。
図5は、事前発酵された大豆を磨り潰した第1発酵培地の検体Aを用い6日間の発酵によって生成した第1発酵液Aと、事前発酵されることなく水に浸漬した乾燥大豆を磨り潰した発酵培地の検体Bを用い検体Aと同じように6日間の発酵によって生成した第1発酵液Bと、の比較試験によって生成された第1発酵液Aの写真Aおよび第1発酵液Bの写真Bである。
写真Aは、4L相当の第1発酵液n1の生成を想定し予備的に発酵させた大豆60gを磨り潰した大豆ペーストと軟水wと0.8Lの元菌液bとを55℃まで加熱した後に、37℃に冷却し、攪拌した検体Aを6日間の発酵によって生成された第1発酵液Aである。写真Aから明らかなように、生成された第1発酵液Aは、上澄みのスポンジ層spと、沈殿層depと、その2層の間に、透明度の高い4L相当の中間層液n1とが綺麗に3層に形成される。
写真Bは、写真Aと対比するために、同量の大豆60gをそのまま水に18時間の浸漬し、磨り潰し、事前発酵しない大豆ペーストを作成し、そのように作成された大豆ペーストと軟水wと0.8Lの元菌液bと、を55℃まで加熱した後に、37℃に冷却し、攪拌した検体Bを6日間の発酵によって生成された発酵液Bである。写真Bから明らかなように、生成された発酵液Bは、検体Aの条件と異なる事前発酵しない大豆ペーストによるものであるので、結果、透明度の低い中澄み液と沈殿層とが形成されるが、発酵菌b1の発酵環境に必要な上澄みのスポンジ層spが殆ど形成されていない。
図5に示された比較試験の結果は、第1培地の乾燥大豆を事前発酵させておく発酵液Aと事前発酵しない発酵液Bとは、発酵環境に決定的な差が生じることを明らかにした。この比較試験は、より詳細には、元菌液bに含まれる発酵菌群b1を使用する発酵環境は、上澄みスポンジ層spを形成し、空気を遮断することが必須であるという技術的事項を解明したことになる。事実、上澄みスポンジ層spが生成されない発酵液Bは、生臭い臭気が漂い発酵菌b1が外気に触れたために菌数の減少と酸化および腐敗の進行が、発酵作用に勝った結果によるものと推定される。
本発明の方法によるpH5.3±の第1発酵液n1の生成の実現には、上澄みスポンジ層spを形成する、第1培地を事前発酵する第1発酵培地m1を生成する工程が必須であることは、図5の写真Aと写真Bの試験結果から明らかである。
第2発酵ラインf2の詳細
第2発酵ラインf2は、
図1[9]および[10]に示される第2培地タンク40でpH4.8±の第2発酵培地m2を予め生成する第1工程p1と、
図1[11]に示される第3発酵タンク300および第3発酵システムs3において、第1工程p1で生成されたpH4.8±の第2発酵培地m2およびpH5.0±の第2発酵液n2を第2スターターとして、pH4.5±の第3発酵液n3を生成する第2工程p2と、
から構成される。
ここで、スターターとは原材料の意味である。
第2発酵ラインf2の第1工程p1は、予備的な工程として、拡大図7[a]に示される発酵ガスの通る穴を穿設した落し蓋41を配したシート42によって封鎖される第2培地タンク40を準備する。
第1工程p1はさらに、第2培地タンク40に、
図7[a]に示される事前に用意された混合培地pm2と、
1日〜2日程度を経た発酵工程中の第2発酵液n2の一部または第2発酵液n2の一部のいずれかと、
を併せて35L相当になるように投入し、攪拌し、
37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら2日〜3日の発酵によって、
図7[b]に示される予備的発酵混合培地pfm2および予備的第3発酵液pn3を生成し、
図示しない工程によって、
生成された予備的発酵混合培地pfm2を粉砕手段でタイソンの種が潰れない程度に磨り潰して第2培地タンク40に戻し、
磨り潰された予備的発酵混合培地pfm2に予備的第3発酵液pn3を馴染ませながら
pH4.8±の第2発酵培地m2を生成する。
事前に用意される混合培地pm2は、殺菌処理されたタイソウ、クコシ、ウコンからなる乾燥植物を、第2発酵液n2の35L相当の総量に対し、タイソウ200〜210g、クコシ110〜120g、ウコン25〜30gの重量比で混合された混合培地である。因みに、タイソウ、クコシ、ウコンからなる乾燥植物は、天然に存在する薬効を持つ産物で「生薬一覧」にも挙げられる棗の果実がタイソウ、クコの果実のクコシ、および、ショウガ科のウコンである。これらは、発明者らの長年の地道な実践から多くの生薬の中から選択された。
第2発酵ラインf2の技術的特徴
長年の試行錯誤の実践から発明者らは、図7[a]および[b]に示されるように、第2発酵ラインf2の第1工程p1において、第2発酵液n2の35L相当の総量に対し、タイソウ200〜210g、クコシ110〜120g、ウコン25〜30g(重量比7:4:1)相当で混合された混合培地pm2を形成し、第2培地タンク40で事前に混合培地pm2を発酵させ、予備的発酵混合培地pfm2および予備的第3発酵液pn3を生成し、図示しない工程によって、粉砕手段で予備的発酵混合培地pfm2をタイソウの種が潰れない程度に磨り潰して第2培地タンク40に戻し、磨り潰された予備的発酵混合培地pfm2に予備的第3発酵液pn3を馴染ませながらpH4.8±の第2発酵培地m2を生成する工程を完成させた。
第2発酵ラインf2の第1工程p1は、第1発酵ラインf1に第3工程p3が組み込まれている場合には、好ましくは、第2発酵液n2の発酵工程p3と一部重複する工程が採用される。
第1工程p1を第2発酵液n2の発酵工程p3とリニアに並べずに一部重複するように同時平行させた技術的理由の第1は、発酵工程中の発酵菌b1の発酵環境を変えることにある。発酵環境を変えることにより、発酵菌b1の酸性物質の分泌および発酵がさらに促され、第2発酵培地m2はより迅速に生成されるようにした。
技術的理由の第2は、第3発酵タンク300による第3発酵液n3の発酵工程p2の開始を、第2発酵液n2の発酵工程p3の終了時に合せるためである。それにより、第2発酵培地m2を生成する第2発酵ラインf2の第1工程p1は、第1発酵ラインf1の第3工程p3の第2発酵液n2の発酵工程p3の終了を待つことなく、開始することができる。結果的に、第3発酵液n3を生成する第2発酵ラインf2の第2工程p2は、第1発酵ラインf1の第2発酵液n2の発酵工程(第3工程p3)の終了に遅れることなく開始されることになる。
第2発酵ラインf2の第1工程p1において、選択された3種の生薬である乾燥植物pm2を事前発酵させた第2発酵培地m2を用いる第2発酵ラインf2の技術的意義は、図10に示される第3発酵液n3の発酵液モデルの検体Aおよび検体Bの比較試験の結果および図11に示される検体Aおよび検体Bの異なる発酵の進行度合の分析結果から明らかになる。
第2発酵ラインf2は、第2発酵培地m2を生成する工程p1を含む。本工程p1は、第2発酵液n2の35L相当の総量に対し、タイソウ200〜210g、クコシ110〜120g、ウコン25〜30g(重量比7:4:1)相当で混合された混合培地pm2を、第2発酵液n2の一部と共に、第2培地タンク40で事前発酵し、予備的第3発酵液pn3および予備的発酵混合培地pfm2を生成する予備的工程pp1を含み、生成された予備的発酵混合培地pfm2を、粉砕手段を用いてタイソンの種が潰れない程度に磨り潰して第2培地タンク40に戻し、磨り潰された予備的発酵混合培地pfm2に対し予備的第3発酵液pn3を馴染ませ、pH4.8±の第2発酵培地m2を生成する予備的工程pp2を、さらに含む。
第2発酵ラインf2はpH4.5±の第3発酵液n3を生成する工程p2をさらに含む。図1[11]〜[12]に示される工程p2は、工程p1で生成された第2発酵培地m2を袋状培地フィルタ320に封入した状態で第3発酵タンク300に吊るし、第3発酵タンク300には、第2培地タンク40から予備的第3発酵液pn3を移し、さらに第2発酵タンク200からpH5.0±の第2発酵液n2を移す予備的工程pp1を含む。工程p2はさらに、袋状培地フィルタ320の第2発酵培地m2が混ざり合わないように、予備的第3発酵液pn3と第2発酵液n2を循環し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら8日〜9日の発酵によって、1050L相当のpH4.5±の第3発酵液n3を生成する予備的工程pp2を含む。
図10は、第3発酵液n3の発酵液モデルの検体Aおよび検体Bの比較試験の結果を示す写真Aおよび写真Bである。
検体Aは、1L相当の第2発酵液n2と、1Lに見合うタイソウ5.71g、クコシ3.14g、ウコン0.85g(重量比7:4:1)からなる混合培地pm2を事前発酵し、事前発酵した第2発酵培地m2を生薬用の代用フィルタに封入し試験容器Aに吊るし、1L相当のスターターの第2発酵液n2と予備的第3発酵液pn3とを試験容器Aに投入し、攪拌し、38℃〜40℃の発酵状態を保持しながら5日間の発酵によって、上澄みの発酵ガス層と混濁した第3発酵液n3の2層からなる発酵液Aである(図10の写真A)。
検体Bは、1L相当の第2発酵液n2と、1Lに見合うタイソウ5.71g、
クコシ3.14g、ウコン0.85g(重量比7:4:1)からなる混合培地pm2を混合培地pm2のまま、事前発酵せずに生薬用の代用フィルタに封入し、試験容器Bに吊るし、1L相当のスターターの第2発酵液n2と予備的第3発酵液pn3とを試験容器Bに投入し、攪拌し、38℃〜40℃の発酵状態を保持しながら5日間の発酵によって、上澄みの発酵ガス層が殆ど形成されない第3発酵液n3からなる発酵液Bである(図10の写真B)。発酵液Bは、上澄みの発酵ガス層が殆ど形成されていないという点で発酵液Aと決定的に異なる。
発酵液Aと発酵液Bとは、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝による発酵度合いの差によるものであって、より具体的には、発酵液Aは、発酵液Bに比べ発酵菌b1の分泌代謝による発酵が進んでいることを示す比較試験の結果である。
図11は、5日間の発酵液Aと発酵液Bの発酵度合いの差を酸性度の変化で見たものである。発酵液Aは、常に発酵液Bより低い酸性度のpH値を示す。3日目までは、発酵液Aの酸性度はpH5.11〜pH5.09で推移し、発酵液Bの酸性度はpH5.13〜pH5.14で推移し、酸性度は、発酵液A>酸性度Bであるが共に大きな変化はない。しかし、4日〜5日目には、共に酸性度が強くなることが明らかで、発酵液Aの酸性度はpH4.76〜pH4.68まで、また発酵液Bの酸性度はpH4.87〜pH4.78まで酸性化が進み、酸性度は発酵液A>酸性度Bであるが、共に嫌気性発酵菌b1の分泌代謝による発酵度合いが確認される。
図11はまた、第3発酵液n3を生成するときに事前発酵された第2発酵培地m2を用いることによって発酵菌b1の発酵環境を変え、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝を高め発酵を促すように働かせている結果を示すグラフである。事前発酵された第2発酵培地m2を用い、第3発酵液n3を生成する技術的意義は、ここにある。
第2発酵ラインf2の第2工程p2の第1予備工程pp1は、
図1[11]に示される第1工程p1で生成されたpH4.8±の第2発酵培地m2を第3発酵タンク300内に吊るすように複数設置された蒸気殺菌済の袋状培地フィルタ320に均等に封入し、
第1工程p1で生成された予備的第3発酵液pn3を第2培地タンク40から第3発酵タンク300に移し、
第2発酵タンク200からpH5.0±の第2発酵液n2を第3発酵タンク300に連結された第2発酵タンク200の抜取装置210を介し、第3発酵タンク300に移す。
第2発酵ラインf2の第2工程p2の第2予備工程pp2は、
図9に示される循環用ポンプ装置330を作動し、
第3発酵タンク300に、
内部に吊るされた袋状培地フィルタ320に他と混ざり合わないように封入されたpH4.8±の第2発酵培地m2と、
pH4.8±の予備的第3発酵液pn3およびpH5.0±の第2発酵液n2
を第2スターターとして一体的に循環し、
37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら8日〜9日の発酵によって、
上澄みに第2上面膜層sf2が形成された混濁液からなるpH4.5±の第3発酵液n3を生成する。
第2発酵培地m2は、肌理の細かい袋状培地フィルタ320に封入されているため、第2発酵ラインf2の第2工程p2においては、第2発酵培地m2の残渣が発酵タンク300に底部に堆積することはない。また第2発酵液n2から第3発酵液n3に変化するときに、第3発酵液n3の酸性度がpH5以下にまで進むことは確認されている。
第3発酵ラインf3の詳細
図1[13]〜[16]に示される第3発酵ラインf3は、pH4.4±の第3発酵培地m3が生成される第1工程p1とpH3.7±の第4発酵液n4が生成される第2工程p2とからなる。
第3発酵ラインf3の全体像が図12に示される。図12には、第2発酵ラインf2で生成された第2発酵液n2を第3発酵タンク300に移した状態で、第3発酵タンク300の内部に設置される袋状培地フィルタ320に第2培地タンク40で生成された第2発酵培地m2を投入し、循環用ポンプ装置330を作動し、循環させながら8日〜9日間の発酵によって、第3発酵液n3を生成する工程[a]が示される。
第3発酵ラインf3は、第3培地タンク50に、第3培地タンク300の第3発酵液n3の一部とはちみつ原料pm3とを適量投入し、攪拌し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら2日〜3日間の発酵によって、第3発酵培地m3を生成する工程[c]を含む。
第3発酵ラインf3はさらに、第4発酵タンク400に第3発酵タンク300から移された第3発酵液n3と第3発酵培地m3とを投入し、攪拌し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら30日〜60日の発酵によって、第4発酵液n4を生成する工程[d]〜[g]を含む。
第3発酵ラインf3の第1工程p1は、より具体的には、図12[a]〜[b]に示される生成された1050〜1100L相当の第3発酵液n3の3〜5%相当の百科蜜とアカシヤ蜜とを1対4の比率になるように構成したハチミツ原料pm3と、ハチミツ原料pm3の4倍に相当する量の第3発酵液n3の一部と、を外気にふれさせないように、第3培地タンク50に移し、攪拌し、図12[c]に示される予備的発酵培地pfm3を生成するようにした第1予備工程pp1を含む。
第1工程p1はさらに、第1予備工程pp1で生成された予備的発酵培地pfm3を、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら2日〜3日間の発酵によって、ハチミツ原料pm3によるpH4.4±の第3発酵培地m3を生成するようにした第2予備工程pp2を含む。
第3発酵ラインf3の第2工程p2は、
図12[d]〜[f]に示される第4発酵タンク400にpH4.4±の第3発酵培地m3を投入し、
第4発酵タンク400に連結された第3発酵タンク300の抜取装置310でpH4.5±の第3発酵液n3を第4発酵タンク400に移し、
pH4.4±の第3発酵培地m3と
pH4.5±の第3発酵液n3と
を第4スターターとして、混合し、攪拌し、
37℃〜40℃の発酵状態に保持しながら30日〜60日の発酵によって、
上澄みに発酵ガス層の第3上面層sf3が形成され、下層に沈殿物を含む第3沈殿層dep3が形成され、
形成された第3上面層sf3と第3沈殿層dep3との間に、1000〜1050L相当の半透明な第3中間層液を生成する。半透明な第3中間層液は、pH3.7±の第4発酵液n4である。
第3発酵ラインf3の技術的特徴
長年の地道な試行錯誤の実践から発明者らは、第3発酵ラインf3を構想し、試行錯誤を繰り返し、発酵菌b1に一定質量の糖分を供給し、発酵菌b1の増殖と分泌代謝能力とを高め、さらなる酸性物質の分泌代謝による発酵を継続させることを実現させた。
発明者らは、試行錯誤の繰り返しの中で、水分活性度(低すぎると菌の水中活動の抑制によって菌増殖が出来なくなる程度)から割り出される発酵菌b1の分泌代謝能力を維持するための糖質量が第3発酵液n3の3〜5%に相当するハチミツ原料pm3であることを発見し、これを4倍の第3発酵液n3の量で攪拌し、予備的発酵培地pfm3を生成し、生成された予備的発酵培地pfm3を、37℃〜40℃の発酵状態に保持しながら2日〜3日間の発酵によって、第3発酵培地m3を生成した。
発明者らはさらに、生成された第3発酵培地m3を20倍相当の第3発酵液n3で混合し、攪拌し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら30日〜60日の発酵によって、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝による発酵を促し、pH3.7±の第4発酵液n4を生成することに成功した。これが第3発酵ラインf3である。その技術的特徴が図13および図14に示される。
図13は、第4発酵液n4の発酵液モデルの検体Aおよび検体Bの比較試験の結果を示す写真Aおよび写真Bである。
検体Aは、ハチミツ原料pm3を事前発酵させた第3発酵培地m3を1Lになるように20倍相当の第3発酵液n3で混合し、攪拌し、38℃〜40℃の発酵状態を保持しながら4日間の発酵によって生成した第4発酵液n4の発酵液Aである。検体Bは、ハチミツ原料pm3(第3培地pm3)のまま1Lになるように20倍相当の第3発酵液n3で混合し、攪拌し、4日間の発酵によって生成した第4発酵液n4の発酵液Bである。
検体Aは、一方の試験容器にハチミツ原料pm3を事前発酵させた第3発酵培地m3を投入し、攪拌し、4日間の発酵によって、上澄みに形成する発酵ガス層の第3上面層sf3と、下層に溜る沈殿物を含む第3沈殿層dep3と、第3上面層sf3と第3沈殿層dep3との間に、半透明な第3中間層液の3層形成する発酵液Aである。半透明な第3中間層液は、第4発酵液n4に相当する。
検体Bは、他方の試験容器にハチミツ原料pm3のまま投入し、攪拌し、4日間の発酵によって、生成された発酵液Bである。写真Bからすると、上澄みに発酵ガス層の第3上面層sf3を形成されているが、検体Aに比べると、極薄い層であることが確認される。これは、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝による発酵が検体Aほど活発でないことの現れである。そのことは、図14から確認される。
4日間の発酵による発酵液Aおよび発酵液Bの酸性度の変化を見たのが、図14である。1日目の発酵液Aおよび発酵液Bの酸性度は、共にpH4.6である。酸性度の変化は、2日目に共に上昇し、発酵液AはpH4.7で、発酵液Bは4.73である。3日〜4日目に発酵度合いが進み、結果、酸性度は共に下がり、発酵液AはpH4.6〜4.52であるのに対し、発酵液BはpH4.68〜4.6である。2日〜4日目の両者の酸性度は、常に発酵液A>酸性度Bである。
図14は、それを表す発酵開始から4日間の発酵液Aおよび発酵液Bの酸性度の推移を表すグラフである。両者の違いは、4日間の酸性度のpH値において発酵液Aが常に発酵液Bを下回る程に発酵度合いが高いことの現れである。このことは、発酵液Aの発酵菌b1がより活発に酸性物質を分泌していることの証しである。すなわち、発明者らは、第4発酵液n4を生成するときに、ハチミツ原料pm3のままの第3培地ではなく、ハチミツ原料pm3を事前発酵された第3発酵培地m3を用いることによって、発酵菌b1の発酵環境を変え、酸性物質の分泌代謝を高めるように発酵菌b1を働かせることに成功した。
第4発酵ラインf4の詳細
図1[17]に示される第4発酵ラインf4は、
pH3.7±の第4発酵液n4を第5スターターとして、
37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら第4発酵液n4に含まれる発酵菌b1のみによる30日〜60日の発酵によって、
pH3.6±の第5発酵液n5を生成する。
これが第4発酵ラインf4の工程p1であり、発酵工程中に目減りは殆どないので、生成される第5発酵液n5は、1000〜1050L相当になる。
第4発酵ラインf4の工程p1は、以下の工程を経た、第5発酵液n5を生成する工程である。
それは、第1発酵培地m1を用いた第1発酵ラインf1の第1工程p1および第2工程p2において、2基の第1発酵タンク100で生成した第1発酵液n1を1基の第2発酵タンク200に移し替え、第3工程p3において発酵培地を使用しない発酵環境で生成された第2発酵液n2および第2培地タンク40で生成された第2発酵培地m2を用い、第2発酵ラインf2で、第3発酵液n3を生成し、第2発酵ラインf2で生成された第3発酵液n3および第3培地タンクで生成された第3発酵培地m3を用い、第3発酵ラインf3で、第4発酵液n4を生成し、第4発酵ラインf4で発酵培地を使用しない発酵環境で第5発酵液n5が生成される。第4発酵ラインf4の工程p1の第5スターターは、第4発酵液n4のみであり、新たな培地または発酵培地が使用されることはない。
第4発酵ラインf4の技術的特徴
第4発酵液n4の酸性度pH3.7±と第5発酵液n5の酸性度pH3.6±との間には、一見酸性度に変化がないように見える。しかし、16図から明らかなように、実測に基づき各工程の発酵度合いの変化を酸性度のpH値で表した第5発酵液n5の発酵度合いの変化を表す酸性度は、第4発酵液n4の30日〜60日をかけた発酵期間中に、徐々に高めている。これは、第4発酵液n4に含まれる発酵菌b1の分泌代謝による発酵が進んでいることを証するものである。
第4発酵ラインf4の技術的意図について言及すると、発明者らの長年の地道な試行錯誤の実践過程において、一時期、第3発酵ラインf3によって発明者らが目指す発酵液の製造方法は完成したものと見做していた。その時点では、第3発酵ラインf3に続く第4発酵ラインf4の技術的必要性は、想定されていなかった。ところが、発明者らは、第3発酵ラインf3の終了時においてもなお、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝活動は収まらず、そのため、発酵菌b1を加熱殺菌するなどの様々な工夫を施し、第3発酵ラインf3の第4発酵液n4を安定的生成するよう何度も試みた。結果、発明者らが得た技術的知見は、有胞子性の発酵菌を含む発酵菌b1は、例え高温・乾燥・栄養の悪化等の過酷な条件下でも芽胞を形成し休眠状態で生き伸び、加熱殺菌などでは処理し難いものであるということであった。
この技術的知見に気付いた発明者らは、むしろ時間はかかるけれども、第3発酵ラインf3の終了段階で発酵菌b1の酸性物質の活発な分泌代謝を終了させることが果たして必要かどうかの技術的課題に着目し、第4発酵ラインf4以下の発酵工程における発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝の技術的価値の発見に至り、本発明を完成させることに成功した。
第5発酵ラインf5の詳細
図1[18]〜[19]に示される第5発酵ラインf5は、
第4発酵ラインf4における第5発酵タンク500で生成された第5発酵液n5を一旦急冷却し、急冷却された第5発酵液n5を常温に戻し常温状態にするようにした第1工程p1と、
常温状態で管理した液温状態で、第5発酵液n5に含まれる発酵菌b1の発酵によって、1000〜1050L相当のpH3.3±の第6発酵液n6を生成する第2工程p2と、
を含む。
第6発酵液n6は、第5発酵液n5に含まれる発酵菌b1のみによる発酵によって生成される。それは、第5発酵ラインf5の第2工程p2で第5発酵液n5が第4発酵液n4に含まれる発酵菌b1のみによる発酵によって生成されたときと同様である。しかし、第6発酵液n6を生成するときの発酵環境は、第5発酵液n5を生成するときの発酵環境と、次の2つの点で決定的に異なる。それが第5発酵ラインf5の技術的特徴がある。
第5発酵ラインf5の技術的特徴
第5発酵ラインf5の技術的特徴の第1は、図15[a]に示されており、それは、第5発酵タンク500に37℃〜40℃の発酵状態で保持された第5発酵液n5の1000〜1050L相当を、第6発酵システムs6の冷却装置610に配備された予備タンク620に移す工程である。
その技術的意図は、図15[b]に示されており、それは、第5発酵液n5に含まれる発酵菌b1の酸性物質を分泌する活動が停止する4〜5℃以下に急冷却することにある。これは発酵菌b1の最も分泌代謝のし易い発酵環境から最も分泌代謝のし難い環境へと切換えることを意味する。この状態の発酵菌b1は、休眠状態になり、分泌代謝を停止する。
図15[c]に示される急冷却によって分泌代謝を停止した発酵菌b1を含む第5発酵液n5は、予備タンク620から第6発酵タンク600に移され、季節に応じた常温状態に戻し、常温状態の発酵経環境で、180日〜240日の発酵によって発酵菌b1の活動が徐々に促され酸性物質の分泌代謝が活性化される。
第5発酵ラインf5の技術的特徴の第2は、発酵菌b1が活動し易い37℃〜40℃の発酵状態ではなく、発酵菌b1が活動し難い常温状態、具体的には、5℃以上28℃以下の季節に応じた発酵環境を作り出し、図16のステージ3に示される180日〜240日の長期間(6月〜8月)の発酵によって、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝を促しながら代謝活動を収斂させるようにしたことである。それにより、最終的には分泌代謝を停止した発酵菌b1は休眠状態になり、第6発酵タンク600にはpH3.3±の第6発酵液n6が生成される。

発明の作用効果
原理的には、本発明により製造されるpH5.3±の第1発酵液n1は、最終生成物のpH3.3±の第6発酵液n6を生成するための最初の発酵液である。第1発酵液n1は、適正な体積比率で、軟水wと、大豆ペーストの発酵培地m1と、特許微生物寄託センター(NPMD)に寄託登録された受託番号NITE p−02945〜NITE p−02951(受託日:2019年5月16日)の有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1からなる元菌液bとを混合した混濁液(予備的第2発酵液pn2)すなわち50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有するpH3以上4以下の発酵液を製造するための原液θをスターターとして、図16のステージ1に示されるように、適正な発酵温度の37℃〜40℃の発酵状態に保持しながら50日〜100日かけた発酵によって生成される。
第1発酵液n1のスターターとなる混濁液(予備的第2発酵液pn2)が原液θである理由は、軟水wおよび有胞子性の発酵菌b1を含む元菌液bを使用するのは、第1発酵液n1を生成するときに限られることに由来する。その由来は、具体的には、第2発酵液n2から第6発酵液n6を生成するときに、新たに軟水wおよび元菌液bが使用されることはない。第2発酵液n2から第6発酵液n6を生成する工程の全ては、それぞれに形成された適正な発酵環境で、第1発酵液n1に含まれる有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1による酸性物質の分泌代謝を活性化し、各工程でのそれぞれの発酵を進めることによって、各発酵液の酸性度を高める。
50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有するpH3以上4以下の発酵液を製造する方法に関する本発明において、有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1からなる元菌液bは、必須の構成要件である。元菌液bは、図6に示される(NPMD)に寄託登録された受託番号NITE p−02945〜NITE p−02951(受託日:2019年5月16日)の有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1で構成される。元菌液bが安定的に供給できなければ、本発明は成立しない。
発明者らは、長期にわたる実践過程で試行錯誤を繰り返し、結果、図6に示される酪酸、プロピオン酸、乳酸菌の短鎖脂肪酸を含む有機酸を生成する有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1を見出し、選択し、それらを安定的に産生する元菌液bを生成することに成功した。
元菌液bの産生は、2基の第1発酵タンク100に形成される3層のスポンジ層spと、半透明な中間層液と、第1沈澱層depと、による。より具体的には、元菌液bは、第1発酵タンク100から上澄みのスポンジ層spと底部に堆積した第1沈澱層depと取り出し、混合し、ペースト状にしたものである。2基の第1発酵タンク100に形成される3層の何れの層にも元菌液bを構成する有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1は、含まれる。
半透明な中間層液を除いた第1発酵タンク100に形成されるスポンジ層spおよび第1沈澱層depが元菌液bになる根拠は、各第1発酵タンク100の仕込み量を900Lと想定すると、3分の1の300L相当が元菌液bの原料になり、それを相当量のペースト状に仕上げた元菌液bを次の仕込みの元菌液bとして使用すると、第1発酵タンク100に同品質の3層が形成され、pH5.3±の第1発酵液n1が生成される。
またペースト状に仕上げた元菌液bは冷凍保存することもできる。冷凍保存された元菌液bの必要な相当量を37℃〜40℃の発酵状態に戻し、次の仕込みのペースト状の元菌液bとして使用しても、第1発酵タンク100には同品質の次の3層が形成され、そこで形成される半透明な中間層液の第1発酵液n1の酸性度は、常にpH5.3±であることから確認することができる。
ペースト状の元菌液bは、大型冷凍装置で長期保存することができる一方で50日〜100日の発酵直後に発酵温度のまま、次の発酵ラインf1に使用することもできる。本発明の短鎖脂肪酸を含有する発酵液を製造する製造方法は、最終製品の第6発酵液n6が生成するまでには、図16から明らかなように、少なくとも303日(10か月)〜477日(16か月)を要するが、その最終製品の製造を待つことなく、連続製造は、遅くとの第1発酵液n1の生成が終了する100日前後の間隔で、行うことができる。要するに本発明による製造される最終生成物のpH3.3±の第6発酵液n6は、遅くとも100日単位で連続製造することができる。
本発明により製造される発酵液
本発明により製造される発酵液は、スターターとなる軟水wと、有胞子性の発酵菌を含む7種の発酵菌b1からなる元菌液bと、3種類の発酵培地に用いられる乾燥大豆、タイソウ、クコシ、ウコンなど3種の生薬からなる乾燥植物、および、ハチミツ原料からなる天然素材で発酵された発酵液である。
本発明により製造される最終生成物のpH3.3±の第6発酵液n6について、下記の分析を行い、第1発酵液n1から第6発酵液n6に至る発酵における発酵菌b1の分泌代謝による酸性物質の作用を想定し、本発明により製造される発酵液を構成する要素を推定する。
(1)第1発酵液から第6発酵液の酸性度pH値の分析
(2)第6発酵液n6の粒度分析
(3)第4発酵液n4から第6発酵液n6の糖質濃度分析
(4)第2発酵液n2から第6発酵液n6までの短鎖脂肪酸分析

(1)第1発酵液から第6発酵液の酸性度pH値の推移
発明者らは、既に記載した各工程で生成される発酵培地および発酵液の酸性度のpH値を監視しながら、日々、本発明で製造される発酵培地および発酵液の製造に携る。図16は、常に計測し監視している酸性度のロット毎の平均値をグラフに表したものである。各pH値に±を付しているのは、発酵過程では常に生じる計測する室の温度差、湿度差、更には計測のタイミングの僅かなズレによるpH値の振れ幅(通常は0.3の振れ幅)を表現したものである。
図16に示されるpH7.3±の軟水wから始まった第1発酵ラインf1の酸性度の推移は、第1発酵培地m1の酸性度を含め、第1発酵液n1および第2発酵液n2を含め、ステージ1として区分した。その区分の発酵期間は、最短で55日、最長で108日程度である。
注目すべきは、2基の第1発酵タンク100に、第1培地タンク20で生成されたpH4.5±の第1発酵培地m1と、元菌液bと、軟水wとが大量に投入され、攪拌され、生成された混濁液のpH6.4±の予備的第2発酵液pn2は、本発明により製造される発酵液の起点となる、いわゆる出発点の発酵液になる。これ以後、元菌液bおよび軟水wが再投入されることはない。そのため、pH6.4±の予備的第2発酵液pn2は、本発明により製造される最終生成物のpH3.3±の第6発酵液n6の原液θに相当する。そして、pH6.4±の予備的第2発酵液pn2は、適正な発酵温度で50日〜100日の発酵によって、pH5.3±の第1発酵液n1に生成される。
注目すべき他の1つは、ステージ1の最後の区分となる第2発酵タンク200で第1発酵液n1の発酵菌b1のみによる適正な発酵温度で3日〜5日の発酵によってpH5.0±の第2発酵液n2が生成されることである。さらに同区分内には、第2発酵ラインf2を構成する2日〜3日の発酵によってpH4.8±の第2発酵培地m2を生成する工程が重複していることである。
図16に示されるpH5.0±の第2発酵液n2が始まる第2発酵ラインf2からpH3.6±の第5発酵液n5の第4発酵ラインf4までの酸性度の推移は、第2発酵ラインf2の第2発酵培地m2と第2発酵液n2とをスターターとして生成されたpH4.5±の第3発酵液n3の酸性度を含め、第3発酵ラインf3の第3発酵培地m3と第3発酵液n3とをスターターとして生成されたpH3.7±の第4発酵液n4をさらに含め、第4発酵ラインf4の第4発酵液n4のみをスターターとして生成されたpH3.6±の第5発酵液n5を含めた、ステージ2として区分した。同区分内の適正な発酵温度での発酵期間は、最短で68日、最長で129日程度である。
注目すべき推移は、次の2つの変化である。第1の変化は、第2発酵培地m2および第3発酵培地m3を用いた第2発酵ラインf2および第3発酵ラインf3において、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝が活発化し、第3発酵液n3および第4発酵液n4まで酸性度は、pH5.0±からpH3.7±まで進行したことである。第2の変化は、第4発酵ラインf4の第4発酵液n4のみをスターターとして、37℃〜40℃の発酵状態を保持したまま30日〜60日をかけた発酵によって生成された第5発酵液n5であるが、酸性度は、第4発酵液n4のpH3.7±と比べ、pH3.6±で殆ど変化していないことである。
発明者らは、第3発酵ラインf3の終了時においてもなお、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝活動は収まらないことを利用し、第3発酵ラインf3の終了段階で発酵菌b1の酸性物質の活発な分泌代謝を終了させずに、緩やかな発酵でも発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝を促す第4発酵ラインf4の発酵工程の技術的価値を発見したことによる。それは、芽胞を形成する有胞子性の発酵菌を含む発酵菌b1は、例え高温・乾燥・栄養の悪化等の過酷な条件下でも、芽胞を形成し休眠状態で生き伸びるため加熱殺菌などでは処理し難く、寧ろ時間はかけ、第4発酵液n4の発酵を促進するメリットに発明者らが気付いたためである。
図16に示されるpH3.6±の第5発酵液n5をスターターとする第5発酵ラインf5の酸性度の推移は、ステージ3として区分した。ステージ3は、適正な発酵温度の37℃〜40℃の発酵状態で保持された第5発酵液n5を4〜5℃以下に一旦急冷却し、次に発酵菌b1の最も分泌代謝し難い環境から緩やかな分泌代謝になる常温による発酵環境に切換え、季節に応じた常温状態の発酵環境で180日から240日の発酵によって生成する工程であり、同区分内の発酵期間は、当然長期になり、最短で180日(6月)、最長で240日(8月)程度である。
第5発酵ラインf5は、技術的にはpH3.6±の第5発酵液n5の熟成に近い工程のように見えるが、実際は、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝を促しながら代謝活動を収斂させ、最終的に、発酵菌b1の分泌代謝を停止し、有胞子性の発酵菌b1を休眠状態にしたpH3.3±の第6発酵液n6を生成する工程である。
各発酵期間における酸性度pH値の変化は、2基の第1発酵タンク100の本格的な発酵開始の酸性度は原液θである予備的第2発酵液pn2のpH6.4±であり、第1ステージの終了時の酸性度はpH5.0±まで進み、第1ステージの終了時からは第2発酵液n2に含まれる発酵菌b1の分泌活動によって発酵が進捗し、第2ステージの終了時まで間に適正な発酵温度の37℃〜40℃を保持したまま、酸性度は3.6±まで進み、その間に元菌液bに含まれる芽胞を形成しない発酵菌、さらには、好気性雑菌が万が一にも混入するかまたは発酵過程に混入した場合でも、高酸性環境であるため、そうした菌類の増殖は抑制され、死滅した菌が各発酵タンクの下層に沈殿層として堆積されることになる。
季節に応じた常温状態の発酵環境で長期発酵期間になる第3ステージは、発酵菌b1に含まれる芽胞を形成する有胞子性の発酵菌の分泌活動を促しながら発酵を進め、最終的に有胞子性の発酵菌を含む発酵菌b1の分泌活動をほぼ終焉に近い状態へと導き、これ以上の発酵は進まず、酸性度はpH3.3±で安定状態に入ることになる。
(2)第6発酵液n6の粒度分析
発明者らは、長年の地道な実践研究によって、本発明により製造される発酵液の哺乳類等の体内吸収率が極優れていることに気付き、当該発酵液の構成について専門機関に分析を依頼し、その分析結果から、当該発酵液がコロイド粒子を6.5%〜7.5%程度含有する生成物であることを確認している。当該専門機関は、岐阜県産業技術センターであり、発明者らは、同センターに対し、本発明により製造される次に2種類の発酵液について、キュムラン解析の粒度分布試験を依頼し、検査結果を得ている。
本発明により製造される2種類の発酵液は、pH3.7±の第4発酵液n4とpH3.3±の第6発酵液n6である。キュムラン解析によるこれら粒度分布試験の準備は、以下の要領で行われ、第4発酵液n4に対するキュムラン解析の結果は、第17図である。また第6発酵液n6に対するキュムラン解析の結果は、第18図である。キュムラン解析とは、発酵液中6.5%〜7.5%程度含有されるコロイド粒子の測定である。
そこで、同センターに提出した試料は、発酵培地m1〜m3を用いた発酵菌b1により発酵されるpH3.7±の第4発酵液n4を加熱殺菌処理した後に冷却し、1日沈殿させた上澄み200mLを減菌処理し、100mL瓶2本に分別した第1試料(Calbio−5)と、発酵培地を用いない発酵菌b1のみにより発酵されたpH3.6±の第5発酵液n5を常温状態の発酵環境の中で180日(6月)〜240日(8月)の長期間発酵によって生成されるpH3.3±の第6発酵液n6を加熱殺菌処理した後に冷却し、1日沈殿させた上澄み200mLを減菌処理し、100mL瓶2本に分別した第2試料(Calbio−7)である。
第1試料(Calbio−5)は、最後の発酵培地m3(pH4.4±)と第3発酵液n3(pH4.5±)をスターターとして、37℃〜40℃の発酵状態に保持しながら30日〜60日の発酵によって、上澄みに発酵ガス層の第3上面層sf3が形成され、下層に沈殿物を含む第3沈殿層dep3が形成され、第3上面層sf3と第3沈殿層dep3との間に形成された半透明な第3中間層液が第1試料となるpH3.7±の第4発酵液n4である。発酵培地を用いる最後の発酵工程で生成される発酵液に相当する。
第2試料(Calbio−7)は、培地または発酵培地を一切用いることなく、pH3.6±の第5発酵液n5をスターターとし、適正な発酵温度の37℃〜40℃の発酵状態で保持された第5発酵液n5を、4〜5℃以下に一旦急冷却し、発酵菌b1の最も分泌代謝し難い環境から緩やかな分泌代謝になる常温による発酵環境に切換え、発酵菌b1に含まれる芽胞を形成する有胞子性の発酵菌の分泌活動を促しながら発酵を進め、最終的に有胞子性の発酵菌を含む発酵菌b1の分泌活動をほぼ終焉に近い状態へと導き、これ以上の発酵は進まない酸性度はpH3.3±の最終生成物の第6発酵液n6である。これが第2試料となる。
第4発酵液n4の粒度分布は、図17に示される。図17は、第1試料の加熱処理/減菌処理後の第4発酵液n4に6.5%〜7.5%程度含まれるコロイド粒子の大きさを計測するキュムラン解析結果を表すグラフおよび表である。解析結果によると、第4発酵液n4は、ミクロン単位のコロイド粒子であることが判明した。具体的には、縦軸の頻度(%)yと横軸の対数で表す粒径(μm)xのグラフでミクロン単位の粒径であることが示される。また詳細数値で示された表からは、具体的な数値を把握することができる。通しナンバーCH55から頻度が0%を超えCH101から頻度が0%になる。
結論は、第1試料に含まれるコロイド粒子の粒径xは、
x=0.375μm(y=0.24%)〜18.5μm(y=0.17%)
である。
第6発酵液n6の粒度分布は、図18に示される。図18は、第2試料の加熱処理/減菌処理後に第6発酵液n6に6.5%〜7.5%程度含まれるコロイド粒子の大きさを計測するキュムラン解析結果を表すグラフおよび表である。解析結果によると、第6発酵液n6は、ナノ単位のコロイド粒子であることが判明した。具体的には、縦軸の体積分布(%)yと横軸の対数で表す粒径(nm)xの上段左図のグラフでナノ単位の粒径で、グラフから平均粒径が21.4nmであることが示される。また詳細数値で示された表からは、具体的な数値を把握することができる。体積分布頻度が0%以上から0%に至る範囲の数値による。
結論は、第2試料に含まれるコロイド粒子の粒径xは、
x=1.1nm(y=5.7%)〜6.6nm(y=0.1%)
である。
図17と図18の分析データの差異は、ミクロン単位と1000分の1μmのナノ単位の違いによるものである。図18の第2試料は、第1試料のミクロン単位の粒度分布の分析ではなく、体積分布頻度によるナノ単位の粒度分布の分析による。
発明者らは、一時期、第3発酵ラインf3によって発明者らが目指す発酵液の製造方法は完成したと認識し、酸性物質を分泌する発酵菌b1の代謝活動を終焉させる処理を試みている。発明者らはまた、発酵菌b1に含まれる有胞子性の発酵菌は過酷な条件下でも芽胞を形成して休眠状態で生き伸びるという処理し難い菌群であることに気付き、その後、発明者らの様々な試行錯誤の実践過程を経て、活発な有胞子性の発酵菌を含む発酵菌b1の代謝活動を利用し、粒度がミクロン単位の第4発酵液n4をスターターとして30日〜60日の発酵によってpH3.6±の第5発酵液n5を生成した。
生成された第5発酵液n5を最後のスターターとして常温状態の発酵環境で180日(6月)〜240日(8月)の長期間発酵によって発酵菌b1の分泌活動を徐々に収斂させ、結果的に、有胞子性の発酵菌を含む発酵菌b1による自然発酵によって酸性度を徐々に高め最終的な酸性度のpH3.3±で安定させることに成功した。しかも望外な成果は、ナノ単位のコロイド粒子を含有する第6発酵液n6を実現したことである。言うまでもなく明らかな事実は、ミクロン単位のコロイド粒子を含有する発酵液とナノ単位のコロイド粒子を含有する発酵液とでは、発酵食品として使用した場合の生体内の吸収率に格段の差が生じることは言うまでない。
第4発酵液n4と第6発酵液n6との性能分析の第2は、それぞれに含まれる糖質量を計測することである。発明者らは、ハチミツ原料pm3による第3発酵培地m3を生成し、それに20倍相当の第3発酵液n3を混合し、攪拌し、糖質濃度を3〜5%にした発酵菌b1の分泌活動が最も活性化し易い発酵環境を形成し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら30日〜60日の発酵によって、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝をさらに促し、pH3.7±の第4発酵液n4を生成することに成功した。
(3)第4発酵液n4から第6発酵液n6までの糖質濃度分析
図19は、100mL当りの第4発酵液n4の糖質量c1と第5発酵液n5の糖質量c2と第6発酵液n6の糖質量c3の測定結果である。
具体的には、以下の通りである。
c1=3.39g/100mL
c2=2.88g/100mL
c3=1.19g/100mL
長年にわたる地道な試行錯誤の実践から発明者らは、第3発酵ラインf3を構想し、試行錯誤を繰り返し、発酵菌b1にハチミツ原料を発酵させた糖質の発酵培地の一定量を供給し、発酵菌b1の増殖と分泌代謝能力とを共に高め、さらなる酸性物質の分泌代謝による発酵を継続させることを実現させた。
発明者らは、水分活性度から割り出される発酵菌b1の分泌代謝能力を維持するための一定質量の糖は、第3発酵液n3の3〜5%に相当するハチミツ原料pm3であり、これを4倍の第3発酵液n3の量で攪拌し、予備的発酵培地pfm3を生成し、生成された予備的発酵培地pfm3を2日〜3日間の発酵によって第3発酵培地m3を生成した。発明者らはさらに、生成された第3発酵培地m3を20倍相当の第3発酵液n3で混合し、攪拌し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら30日〜60日の発酵によって、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝による発酵を促し、pH3.7±の第4発酵液n4を生成することに成功した。これが第3発酵ラインf3である。
発酵させた糖質の発酵培地の一定量を第3発酵液n3に供給し、発酵菌b1の増殖と分泌代謝能力高める技術的特徴は、図13および図14に示される。図13は、第4発酵液n4の発酵液モデルの検体Aおよび検体Bの比較試験の結果を示す写真Aおよび写真Bである。検体Aは、第3発酵液n3の5%相当のハチミツ原料pm3を用い事前発酵させた第3発酵培地m3と、1Lになるように20倍相当の第3発酵液n3とを発酵し生成した(第4発酵液n4相当の)発酵液Aである。検体Bは、ハチミツ原料pm3のままで1Lになるように20倍相当の第3発酵液n3に投入し、発酵し、生成した発酵液Bである。
検体Aは、試験容器に第3上面層sf3と第3沈殿層dep3との間に、半透明な第3中間層液の3層が形成され、半透明な第3中間層液が第4発酵液n4に相当する。検体Bは、写真Bからすると、試験容器に上面層sf3が形成されているが検体Aに比べると極薄い層であり、これは、発酵菌b1の酸性物質の分泌代謝による発酵が検体Aほど活発でないことの表れであり、そのことは図14から確認することができる。
図14は、発酵液Aの発酵菌b1がより活発に酸性物質を分泌していることの証しである。発明者らは、第4発酵液n4を生成するときにハチミツ原料pm3のままの第3培地ではなく、ハチミツ原料pm3を事前発酵させた第3発酵培地m3を用いることによって発酵菌b1の発酵環境を変え、発酵菌b1を増殖し再び酸性物質の分泌代謝を高めるように働かせる工夫を施した。
そこで生成されたpH3.7±の第4発酵液n4と、pH3.7±の第4発酵液n4をスターターとして発酵培地を使用しない発酵菌b1のみの30〜60日の発酵によって生成されるpH3.6±の第5発酵液n5と、pH3.6±の第5発酵液n5をスターターとして、常温状態の発酵環境の中で、発酵培地を使用しない発酵菌b1のみの180日(6月)〜240日(8月)の長期間発酵によって生成されるpH3.3±の第6発酵液n6と、を共に、加熱殺菌処理した後に冷却し、それぞれを1日沈殿させた上澄み200mLを減菌処理した後に、100mL瓶2本に分別し、日本食品分析センターおいて、ソモギー変法による糖質濃度の分析を依頼した。
分析結果は上記した通りである。pH3.7±の第4発酵液n4は、5%のハチミツ原料pm3を使用したことから第3発酵液n3に100mL当り5gの糖質量が投入されたものである。発酵された第4発酵液n4は、最終的に、3.93gの糖質量にまで減少した。それは、発酵菌b1の働きにより消耗した結果であり、第5発酵液n5で2.88g、第6発酵液n6で1.19gも同様に、発酵菌b1の働きによる消耗した結果である。
こうした結果から第4発酵液n4の糖質濃度は4%に近く、第3発酵ラインf3では、発明者らが経験済みの酸性物質を分泌する発酵菌b1の代謝活動は収まらず発酵菌b1を加熱殺菌するなどの様々な処理を困難にする状態にあることが理解される。
また第5発酵液n5の糖質濃度を表す2.88g/100mL、第6発酵液n6の糖質濃度を表す1.19g/100mLは、時間をかけることによって加熱殺菌などの強引な処理をせずに発酵菌b1の活発な分泌代謝を促しながら容易に分泌活動を収斂へと導くことができるように、糖質濃度を低下させることができることを示すものである。
第4発酵ラインf4の30日〜60日の発酵によって第5発酵液n5を生成する工程および第5発酵ラインf5の180日(6月)〜240日(8月)の長期間発酵によって第6発酵液n6を生成する工程は共に、発酵菌b1に含まれる有胞子性の発酵菌の分泌活動を促しながら芽胞を形成させ、最終的に発酵菌b1に休眠状態に近い環境を提供するための工程である。
(4)第2発酵液n2から第6発酵液n6までの短鎖脂肪酸分析
本発明の構成要件である低温状態で管理される有胞子性クロストリジウム属菌を含むNPMDに寄託登録された受託番号NITEp―02945〜NITEp―02951の発酵菌で構成された元菌液bの7種の発酵菌b1の分泌活動により産生される酸性物質は、図20に示される酸性物質から想定されるように、生体内の腸内エコロジーを形成する、いわゆる酪酸を含む短鎖脂肪酸である。これを明らかにするのが第2発酵液n2から第6発酵液n6までに含有する短鎖脂肪酸の比較分析である。
第2発酵液n2は、第1発酵ラインf1の最終生成物である。第1発酵ラインf1は、図4の概念図に示されるように、第2工程p2で生成された第1発酵液n1を2基の第1発酵タンク100から1基の第2発酵タンク200に移し、発酵培地を使用しない発酵環境を形成し、37℃〜40℃の発酵状態を保持しながら、pH5.3±の第1発酵液n1に含まれる元菌液bの発酵菌b1による3日〜5日の発酵によって生成されたpH5.0±の第2発酵液n2である。第3発酵液n3から第6発酵液n6までは、第2発酵ラインf2から第5発酵ラインf5までの最終生成物である。
各発酵ラインの最終生成物の各発酵液は、低温状態で管理される有胞子性クロストリジウム属菌を含むNPMDに寄託登録された受託番号NITEp―02945〜NITEp―02951の発酵菌で構成された元菌液bの7種の発酵菌b1の分泌活動により産生される酸性物質によって、どのように変化していくかを観察する。
そこで、第1発酵ラインで55日〜108日かけ生成された(1)pH5.0±の第2発酵液n2と、第2発酵液n2をスターターとして8日〜9日の発酵によって生成された(2)pH4.5±の第3発酵液n3と、第3発酵液n3をスターターとして30日〜60日の発酵によって生成された(3)pH3.7±の第4発酵液n4と、第4発酵液n4をスターターとして30〜60日の発酵によって生成される(4)pH3.6±の第5発酵液n5は、いずれも37℃〜40℃の発酵状態を保持しながらの発酵による最終生成物である。第5発酵液n5をスターターとして180日〜240日の発酵によって生成される(5)pH3.3±の第6発酵液n6は、(1)〜(4)と異なる常温状態の発酵環境の中での発酵による最終生成物である。
上記(1)〜(5)の発酵液を共に加熱殺菌処理した後に冷却し、それぞれを1日沈殿させた上澄み200mLを減菌処理した後に、100mL瓶2本に分別し、日本食品分析センターおいて高速液体クロマトグラフィーによる短鎖脂肪酸分析を要請し、第2発酵液n2から第6発酵液n6までに含有される乳酸、プロピオン酸、酪酸の短鎖脂肪酸の含有量の測定結果を得た。
測定結果は図20に示される。具体的には、以下の通りである。
短鎖脂肪酸の種類 乳酸 プロピオン酸 酪酸
(単位/100mL)
第2発酵液n2 検出無0g 0.01g 0.18g
第3発酵液n3 0.08g 0.01g 0.30g
第4発酵液n4 0.20g 0.02g 0.54g
第5発酵液n5 0.13g 0.02g 0.59g
第6発酵液n6 0.21g 0.02g 0.58g
第2発酵液n2の100mLに含有される乳酸は検出されなかった。プロビオンで0.01g/100mL、酪酸で0.18g/100mLである。本発明により製造される発酵液は、天然素材を用いて発酵されたものである。天然素材による発酵液で、短鎖脂肪酸の特に酪酸の含有量が、第3発酵液n3で、0.30g/100mL、第4発酵液n4で0.54g/100mL、また培地または発酵培地を用いることなく、第4発酵液n4または第5発酵液n5に含まれる発酵菌b1のみによる第5発酵液n5または第6発酵液n6では、0.60g/100mLに達しようという酪酸含有量の評価は、今後の基礎研究を待たざるを得ないが、1000mL当り6gの酪酸含有量は、少なくとも抗炎症作用、骨強度改善、抗肥満、抗ガン作用等に係る制御性T細胞の発生に多大な影響を与えるであろうことが十分に予測される数値である。
最終的に第6発酵液n6は、0.2μmのメッシュのフィルタ濾過を行い蓄積した短鎖脂肪酸を含む発酵代謝物を抽出し食品原材料や食品として使用することなど、自然発酵の物質として様々な用途の可能がある。その可能性の一端を以下に示す。

本発明で製造される発酵液の作用効果
本発明によって製造される発酵液は、50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸の酪酸が1000mL当り5g以上含有する、酸性度pH3以上4以下の天然素材の発酵液である。当該発酵液の適量の日常的摂取によって生体に対するカルシウム代謝は活性化され、骨強度および骨代謝の有意性がある。以下に示される、株式会社天然素材探索研究所による「反転腸管試験によるカルシウム吸収検討試験」、および、当該試験を前提とした機能性食品試験のための岐阜大学医学部生理学が骨粗鬆症モデルマウスを用いた詳細な試験などによって、確認されている。
株式会社天然素材探索研究所(代表取締役 青山美子)は、2015年11月に「反転腸管試験によるカルシウム吸収検討試験」に関する報告書を提出している。試験は、供試動物は系統SDのオス(♂)ラットに、予備飼育期間中、固形飼料CRF−1(オリエンタル酵母工業)を自由摂取で行い、給水には蒸留水を給水瓶による自由摂取で行った。試験対象物は第6発酵液n6(Calbio−7)である。
供試動物の試験群の設定は、Control群の5匹(9腸管 30、60、90分反応 各3腸管)と、発酵液n6(Calbio−7)の0.1%添加群の5匹(9腸管 30、60、90分反応 各3腸管)と、発酵液n6(Calbio−7)の0.5%添加群の5匹(9腸管 30、60、90分反応 各3腸管)との3セットによる。
試験項目および方法は、(1)予備飼育期間を6日間に設定し、飼料CRF−1の自由摂取で本飼育開始までの予備飼育を行い馴化した。次に(2)反転腸管法による吸収試験を行なった。それは、ア)内液および外液の調整で、試薬の調整と外液の調整と内液の調整とからなり、さらに、イ)反転腸管が作成され、ハ)反転腸管の反応時間を30分、60分、90分で設定し、最後に、二)カルシウム測定を行なった。それはさらに、ホ)統計処理によって検定結果を危険率5%以下であることを確認し、有意性有りと判定されたものである。
反転腸管法によるカルシウム吸収試験の実験結果は、図21に示される。
図21は、SDオス(♂)ラットをモデルマウスに被験物質Calbio−7投与の反転腸管法によるカルシウム吸収試験の結果である。それは、上図の「カルシウム吸収量」および下図の「カルシウム増加量」を示す。上図の反転腸管法によるカルシウム吸収作用についての比較検討の結果によると、下図のカルシウム増加量は,各カルシウム給源においてはControl群に対してCalbio−7添加群が有意な高値を示した。上図のカルシウム吸収率は、乳酸カルシウム給源がControl群に対し高値を示し、クエン酸カルシウム及び炭酸カルシウム給源については0.5%添加群において有意な高値を示した。
本試験結果を要約すると、カルシウム増加量では、全ての反応時間においてCalbio−7群の各濃度は、Control群に対して有意な高値を示し反応30分間の外液から内液への移行が最大であった。一方、カルシウム吸収率においても、全ての反応時間においてCalbio−7群の各濃度は、Control群に対して有意な高値を示し反応時間60分の吸収率が最高値であった。
岐阜大学医学部生理学が骨粗鬆症モデルマウスによる詳細な試験結果に基づく試験報告書は、2017年2月に、岐阜大学医学部生理学の安倍力の作成に係り岐阜大学大学院医学系研究科長湊口信也によって確認され押印されたものである。同報告書は、上記した2015年11月の「反転腸管試験によるカルシウム吸収検討試験」の試験報告書を前提に行われた骨粗鬆症モデルマウスに対する被験物質のCalbio−7投与の骨強度および骨代謝マーカーへの影響に関するものである。以下に内容の一部を抜粋する。
試験課題は、骨粗鬆症モデルマウスに対する被験物質投与による骨密度および骨代謝マーカーへの影響に関する。試験概要は、両側卵巣摘出(OVX)によるエストロゲン欠乏状態の骨粗鬆症モデルマウスを採用し試験物質の8週間連続投与による骨粗鬆症予防効果の検討を行ったものである。
実験方法は、以下の通りである。
実験動物は、12週齢のラットC57BL/6(メス♀、n=24)である。試験群は、通常ラットShamと両側卵巣摘出ラットOVXとを擁する、以下の4グループに12週齢のラットC57BL/6(メス♀、n=24)を、それぞれ6匹を使用した。
・Sham +水 (SWW)、n=6
・Sham+Calbio−7(0.5mL/day)(SCC)、n=6
・OVX +水 (OWW)、n=6
・OVX +Calbio−7(0.5mL/day)(OCC)、n=6
被験物質投与プランは、以下の通り。
C7: 被験物質のCalbio−7(第6発酵液n6)
C7は、飲水量のデータから1日当たり0.5mL摂取するように濃度調整されたものである。
試験項目は、骨組織に関し血中の骨形成マーカーGla−Osteocalcinと骨吸収マーカーGlu−Osteocalcinとの比のデータ、骨重量と骨強度,および、骨密度への影響度試験のデータの採取である。
エストロゲン欠乏状態の骨粗鬆症モデルマウスを用いた試験結果のGla/Glu−Osteocalcinの比、骨重量と骨強度、および、骨密度への影響度試験の結果は、図22に示される。
図22は、両側卵巣摘出(OVX)によるエストロゲン欠乏状態の骨粗鬆症モデルマウスを用いた被験物質投与による「Gla/Glu−Osteocalcin比」の試験群の比を表し、さらに、「骨重量と骨強度」への影響度、「骨密度」への影響度を表す棒グラフと写真である。因みに「Gla/Glu−Osteocalcin比」は、血中のGla−Osteocalcinは骨形成マーカー、Glu−Osteocalcinは骨吸収マーカーなので、比が高い場合は骨形成促進か又は骨吸収抑制を示し、比が低い場合は骨形成抑制か又は骨吸収促進を示す。
図22の「骨重量と骨強度」への影響度を見た左図は、(体重補正した)大腿骨の乾燥骨重量である。右図は同じく、(体重補正した)3点曲げ試験による大腿骨の骨強度である。両側卵巣摘出(OVX)により乾燥骨重量は低下した。Calbio−7摂取では,この値の回復をみることはできなかったが,骨強度試験では,Calbio−7摂取によって,両側卵巣摘出(OVX)による骨強度の低下を有意に防ぐことができた。
図22の「骨密度」への影響度を見た左図は、骨密度に係り大腿骨内海綿骨の骨量の典型例である。右図は、海綿骨の骨量密度(海綿骨骨梁重量/海綿骨腔体積)である。両側卵巣摘出(OVX)により海綿骨骨梁密度の有意な減少がみられた。この値は、Calbio−7摂取では回復は見られなかった。一方ではSCC群において有意ではないものの高い数値が示された。
以上は本報告書の抜粋の一部である。実験者からは、まとめとして次のような評価結果(1)〜(3)が示された。
(1)今回の実験では,Calbio−7の摂取によって,OCC群の骨強度が改善された。しかし乾燥骨重量や海綿骨骨梁の定量的評価ではOCC群とOWW群で違いがなかったことから,骨組織(骨梁密度)以外の要因が骨強度の回復に影響を与えていると考えられる。また骨形成と骨吸収の状態に関しては,8週目において,OCC群の値はOWW群の値に比べて高い傾向であった。何らかの要因でカルシウム代謝が活性化したと考えられる。
(2)両側卵巣摘出(OVX)による女性ホルモンバランスの変動は非常に強力であることから、通常の餌に含まれるカルシウム量ではその消費量を補うに十分ではないと思われる。反転腸管法を用いカルシウム吸収作用について試験した結果,各カルシウム給源において,カルシウム増加量および吸収率で、
Control群に比べ有意に高値を示した。
(3)(1)および(2)から、Calbio−7摂取によって,両側卵巣摘出(OVX)による骨強度の低下を有意に防ぐことが出来たことなどから,特に(2015年11月の「反転腸管試験によるカルシウム吸収検討試験」を参考に)吸収率,増加率が顕著であった乳酸カルシウムを添加した餌を用いて追加検討を行い,両側卵巣摘出(OVX)による骨吸収の増加をはじめとする各数値の変動改善の検討を行うことが望ましい。
本発明によって製造される、50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸の酪酸が1000mL当り5g以上含有する、酸性度pH3以上4以下の天然素材の発酵液が生体に与える機能について、(1)腸内細菌叢におけるCalbio−7摂取による効果に関する試験、および、(2)抗ガン作用に関する試験が、2014年5月に岐阜県海津市の株式会社アイテックラボ(試験責任者 松浦正樹、報告書作成者 中村伸)で行われ、試験報告されている。なお,この時の被験物質は、上記試験と同様、Calbio−7である。
試験(1)は、C57BL/6マウス(オス♂7週齢)をControl群とCalbio−7投与群に分け(n=10)、Control群には注射用水、Calbio−7投与群にはCalbio−7をそれぞれ0.5mL/bodyで28日間連続経口投与した。
本試験(1)においては、投与期間終了後に結腸内容物を採取し、解析または凍結保存した。さらに細菌核酸抽出専用キットを用いて結腸内容物より細菌DNAを抽出した。得られたDNAの濃度を測定し、その純度を確認した。DNA抽出時は、同一グループ内の3個体ないし4個体のサンプルを等量ずつプールして抽出した。さらに乳酸菌、ビフィズス菌、クロストリウム菌の特異的プライマー、および、ユニバーサルプライマーを用い、細菌DNAの定量化を行い相対的な細菌DNAのコピー数を算出すると共に、Control群に対する比率を算出した。
試験(1)の方法による腸内細菌叢におけるCalbio−7摂取による効果に関する試験結果は、図23に示される。図23は、本発明によって製造された発酵液(Calbio−7)をマウスに投与し、腸内細菌叢における効果に関する試験結果である。
図23の上図は、腸内細菌叢の乳酸菌およびビフィズス菌を少なくとも含む腸内良性菌の「善玉菌」が倍増したことを表す。また図23の下図は、腸内細菌叢のクロストリウム・ウルシュ菌を少なくとも含む腸内悪性菌の「悪玉菌」が半減したことを表す。
試験(2)は、腫瘍組織における遺伝子発現解析によるリアルタイムPCR法による遺伝子発現解析の結果、具体的には、DNAマイクロアレイ(ITL−13―MO―049)で発現変動が見られた遺伝子のうちKrt6b(Ketatin6b)について特異的プライマーを設計し、その遺伝子発現をリアルタイムPCR法で定量解析した結果である。
本試験(2)においては、Calbio−7投与マウスの腫瘍組織、使用した腫瘍組織は上皮細胞系のガンのLewis Lung carcinoma細胞であり、これに腫瘍増因子としてとらえられるKrt6bの遺伝子発現について、注射用水投与群と比較分析を行った。結果は、ケラチンのようなケラチノサイト(角化細胞)遺伝子群の発現が見られた。要するに、図24に示されたように、Krt6bは肺ガンの中でも扁平上皮性ガン鑑別のためのマーカーになっており、このKrt6b遺伝子の発現の抑制が見られたのである。
試験結果の総括
本発明によって製造される、50nmを超えないコロイド粒子が6.5%〜7.5%程度含有し短鎖脂肪酸の酪酸が1000mL当り5g以上含有する、酸性度pH3以上4以下の天然素材の発酵液が生体に与える機能について、それ自体が機能性食品またはその原液になる。総括の第1は、図21に示された反転腸管法によるカルシウム吸収試験結果の「増加量と吸収量」のデータ、および、図22に示されたエストロゲン欠乏状態の骨粗鬆症モデルマウスを用いた試験結果の「Gla/Glu−Osteocalcin比」、「骨重量と骨強度の影響度」、および、「骨密度の影響度」のデータから明らかなように、生体に対してカルシウム代謝を活性化し、骨強度および骨代謝に有意に作用することである。
総括の第2は、図23に示された「乳酸菌」と「ビフィズス菌」の増加および「クロストリウム・ウルシュ菌」の減少を表すデータから明らかなように、腸内細菌叢において腸内良性菌の「善玉菌」といわれる乳酸菌及びビフィズス菌を少なくとも倍増させ、腸内悪性菌の「悪玉菌」といわれるクロストリウム・ウルシュ菌を少なくとも半減させるように作用することである。さらに図24に示されたように、Calbio−7投与マウスの腫瘍組織(Lewis Lung carcinoma―syngraft model)におけるKrt6b遺伝子発現抑制が確認された。
補助的資料
NPMDに寄託登録された7種の発酵菌
(受託日:2019年5月16日)

ハイアマウント株式会社の製造に係る発酵生成物に使用される発酵菌の単離培養と菌名確定ための16srDNA(16srRNA遺伝子)の部分塩基配列解析(約1500bp)方法による結果、以下の細菌は、人、動物には害無で乾燥または凍結乾燥の復元が可能であることが確認されたものである。

NITE p-02945
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陰性(非芽胞性)
分類学上の位置 Aneurinibacillus sp.(アヌリニバチルス属)
培養条件:標準寒天培地 培養温度:30℃ 培養期間:48時間
培養方法:好気性

NITE p-02946
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陰性(非芽胞性)
分類学上の位置 Brevibacillus sp.(ブレビバチルス属)
培養条件:標準寒天培地 培養温度:30℃ 培養期間:48時間
培養方法:好気性

NITE p-02947
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陰性(非芽胞性)
分類学上の位置 Pseudoclavibacter sp.(シュードクラビバクタ―属)
培養条件:標準寒天培地 培養温度:30℃ 培養期間:72時間
培養方法:好気性

NITE p-02948
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陽性(芽胞性)
分類学上の位置 Paenibacillus sp.(パニエバシラス属)
培養条件:標準寒天培地 培養温度:30℃ 培養期間:72時間
培養方法:好気性

NITE p-02949
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陽性(芽胞性)
分類学上の位置 Clostridium sp.(クロストリジウム属)
培養条件:GAM Broth"Nissui"寒天 培養温度:30℃ 培養期間:48時間 培養方法:嫌気性

NITE p-02950
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陽性(芽胞性)
分類学上の位置 Clostridium sp.(クロストリジウム属)
培養条件 GAM Broth"Nissui"寒天 培養温度:30℃ 培養期間:48時間 培養方法:嫌気性

NITE p-02951
微生物の種類:細菌 細胞形状:桿菌 特徴:芽胞形成陽性(芽胞性)
分類学上の位置 Clostridium sp.(クロストリジウム属)
培養条件 GAM Broth"Nissui"寒天 培養温度:30℃ 培養期間:48時間 培養方法:嫌気性


1 50nmを超えないコロイド粒子および短鎖脂肪酸を含有する、酸性度が
3以上4以下の発酵液
n1〜n6 第1発酵液〜第6発酵液
pn1〜pn3 予備的第1発酵液〜予備的第3発酵液
w 軟水

m 発酵培地
m1〜m3 第1発酵培地〜第3発酵培地
ds 乾燥大豆
fs 発酵大豆
gfs 大豆ペースト
pm2 混合培地
pfm2 予備的発酵混合培地
pm3 はちみつ原料
pfm3 予備的発酵培地

b 元菌液
b1 元菌液に含まれる発酵菌(NPMDに寄託登録された受託番号NITEp―02945〜NITEp―02951)発酵菌

sp スポンジ層
sf1〜sf4 第1上面層〜第4上面層
dep1〜dep4 第1沈殿層〜第4沈殿層

f 発酵段階
f1〜f5 第1発酵ライン〜第5発酵ライン
1〜p3 f1の第1工程〜第3工程
1/p2 f2の第1工程/第2工程
1/p2 f3の第1工程/第2工程
1 f4の工程
1 f5の工程

10 発酵瓶(陶器製)
20 f1の第1培地タンク
30 f1の加熱釜
40 f2の第2培地タンク
50 f3の第3培地タンク
100 f1の1000リットル相当容量の第1発酵タンク(2基)
101 第1発酵タンクのパスカル原理と静水圧平行を利用した開閉弁
110 第1発酵タンクの開閉弁を有する抜取装置
200 f1の2000リットル相当容量の第2発酵タンク
201 第2発酵タンクのパスカル原理と静水圧平行を利用した開閉弁
210 第2発酵タンクの開閉弁を有する抜取装置
300 f2の2000リットル相当容量の第3発酵タンク
301 第3発酵タンクのパスカル原理と静水圧平行を利用した開閉弁
310 第3発酵タンクの開閉弁を有する抜取装置
320 f2の袋状培地フィルタ
330 f2の循環用ポンプ装置
400 f3の2000リットル相当容量の第4発酵タンク
401 第4発酵タンクのパスカル原理と静水圧平行を利用した開閉弁
410 第4発酵タンクの開閉弁を有する抜取装置
500 f4の2000リットル相当容量の第5発酵タンク
501 第5発酵タンクのパスカル原理と静水圧平行を利用した開閉弁
510 第5発酵タンクの開閉弁を有する抜取装置
600 f5の2000リットル相当容量の第6発酵タンク
610 f5の冷却装置
620 f5の予備タンク


Claims (5)

  1. 独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)に寄託登録された3種の好気性の非芽胞性細菌のアヌリニバチルス属(受託番号NITEp−02945)、ブレバチルス属(受託番号NITEp−02946)およびシュードクラビバクター属(受託番号NITEp−02947)と、1種の好気性の芽胞性細菌のパニエバシラス属(受託番号NITEp−02948)と、3種の嫌気性の芽胞性菌のクロストリジウム属(受託番号NITEp−02949、受託番号NITEp−02950、受託番号NITEp−02951)と、を少なくとも含む菌群が共棲し且つ酸化発酵を促し、50nmを越えない粒径のコロイド粒子および、酪酸、プロピオン酸、乳酸の短鎖脂肪酸を含有する酸性度がpH3以上4以下の発酵液を製造するのに用いる、pH5.0〜5.6の元菌液を安定的に産生する方法であって、
    pH7.0〜7.6の軟水と、
    乾燥大豆から生成されたpH4.2〜4.8の第1発酵培地と、
    pH5.0〜5.6の前記菌群を含む前記元菌液と、
    を1100〜1300対280対270〜450の体積比率で第1発酵タンクに投入し、混合し、pH6.1〜6.7の混濁液を生成する工程αと、
    前記pH6.1〜6.7の混濁液の37℃〜40℃の発酵温度で50日〜100日の発酵によって、前記第1発酵タンク内に、
    酵ガスを含む上澄みスポンジ層と
    下層に第1沈殿層と
    前記スポンジ層および前記第1沈殿層の間に半透明のpH5.0〜5.6の発酵液と
    の3層を形成する工程βと、
    前記第1発酵タンクから前記半透明のpH5.0〜5.6の発酵液のみを抜き取り第2発酵タンクに移す工程γと、
    前記半透明の発酵液が抜き取られた前記第1発酵タンクの前記スポンジ層と前記第1沈殿層とを混合しペースト状に生成し、pH5.0〜5.6の元菌液にする工程δ
    からなる方法。
  2. 乾燥大豆からpH4.2〜4.8の前記第1発酵培地を生成する方法は、
    培地タンクに
    1kgの乾燥大豆当たり、pH7.0〜7.6の3L相当の軟水と
    糖鎖と
    前記pH5.0〜5.6の元菌液と
    を添加し、
    37℃〜40℃の発酵温度で68〜74時間の発酵によって
    予備的発酵液と発酵大豆を生成する第1の予備工程εと、
    前記発酵大豆を前記培地タンクから取り出しペースト状に磨り潰し大豆ペーストに仕上げ、該大豆ペーストを前記予備的発酵液と混合し、5.4L相当の前記予備的発酵液と前記大豆ペーストを生成する第2の予備工程ηと、
    前記5.4L相当の予備的発酵液と大豆ペーストを加熱釜に移し、55〜60℃まで加熱し、攪拌し、予め15L相当の冷却水が投入された前記培地タンクに戻し、5.4L相当のpH4.2〜4.8の前記第1発酵培地を生成する第3の予備工程λと、
    からなる請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程δで産生される元菌液の量は、前記工程αで生成される前記混濁液の量の3分の1相当であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の方法。
  4. 前記ペースト状に仕上げた元菌液は、大型冷凍装置で長期保存するかまたは50日〜100日の発酵直後に発酵温度のまま次の発酵工程αに使用するかのいずれかにすることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載の方法。
  5. 冷凍保存された元菌液は37℃〜40℃の発酵状態に戻しペースト状の元菌液として使用するようにしたことを特徴とする請求項4に記載の方法。
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