JP6742596B2 - 高品位石膏の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非鉄製錬において生じるヒ素や銅などの重金属類を大量に含有する硫酸廃液から、フッ素と共にヒ素や銅などの重金属を除去したフッ素およびヒ素や銅などの重金属の少ない高品位石膏を製造する方法に関する。
銅製錬などの非鉄製錬において生じる硫酸廃液については、炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を添加し、次式(1)のように、二水石膏を沈澱させて副産物として石膏を製造している。
SO 2ー(aq)+CaCO(s)+2HO→CaSO・2HO(s)+CO 2ー(aq)・・(1)
また、一般にこの硫酸廃液にはフッ素と共にヒ素や銅などの重金属類が大量に含まれているが、ヒ素や銅などの重金属類は、石膏生成の前段または後段、もしくは石膏生成の前段と後段の両方において硫化剤を添加して硫化物沈殿として不溶化し、汚泥として処理される。重金属類が除去されて無害化された処理水は公共用水域に放流することができる。
一方、製造された石膏はセメント原料として利用されるが、石膏以外の不純物成分が多いとセメント品質が低下するため、使用量が制限される。例えば、フッ素濃度が高い硫酸廃液では、単にカルシウム分を添加して石膏を生成させると、式(1)と共に次式(2)の反応が進み、フッ化カルシウム沈澱が生じ、フッ素濃度の高い石膏になる。セメント製品にはフッ素濃度の上限があるため、このような石膏はセメント原料として大量に使用することはできないと云う問題がある。
2F(aq)+CaCO(s)→CaF(s)+CO 2ー(aq)・・・(2)
従来、フッ素量の少ない石膏を製造するため、従来、以下の処理方法(特許文献1、2)が知られている。
特許文献1(特公昭59−34644号公報)に記載されている処理方法では、次式(3)に示すように、フッ素含有廃硫酸に二酸化ケイ素含有物質を添加してフッ素をフルオロケイ酸に変換した後に、カルシウムを含むアルカリ剤を溶液中の硫酸濃度が少なくとも20g/Lになるまで添加して石膏を析出させて分離製造している。液中のフルオロケイ酸はナトリウム塩にして分離している。
SiO(s)+6F(aq)+4H→SiF 2ー(aq)+2HO・・・(3)
特許文献2(特公昭53−34119号公報)に記載されている処理方法は、次式(4)に示すように、硫酸廃液に予めアルミニウムを添加してフッ素をフルオロアルミン酸イオンにすることによってフッ素の大部分を液中に溶存させ、カルシウム分を添加したときにフッ化カルシウムの生成を抑制する方法であり、硫酸廃液に含まれるフッ素量の0.5倍量以上のアルミニウムを添加した後にカルシウム分を添加し、pH5.6以下に中和して石膏を沈澱させる処理方法である。
Al3+(aq)+2F(aq)→AlF (aq)・・・(4)
また、重金属類を除去する以下の処理方法(特許文献3,4)が知られている。
特許文献3(特許4239801号公報)には、銅製錬において発生する硫酸廃液を硫酸濃度が100g/L未満になるまで水で希釈した後に水硫化ソーダ(NaHS)を添加して酸化還元電位が0±10mVになるまで硫化し、重金属類のAs,Cu,Zn,Cdを硫化物として沈澱除去した後に、炭酸カルシウムを加えて石膏を製造する方法が記載されている。
特許文献4(特許5138737号公報)に記載されている廃酸石膏の製造方法は、銅製錬において発生する硫酸廃液に水硫化ソーダを加え、酸化還元電位を20〜150mV(vs.SCE)に調整して硫化反応を行い、砒素を硫化物として除去する廃酸処理工程と、上記硫化砒素を除去した硫酸廃酸に炭酸カルシウムなどを加えて廃石膏を沈澱させる工程とを備えており、該石膏沈澱工程では廃硫酸をpH1.2〜1.6に調整する第1中和処理を行い、第1中和処理によって生じた廃酸石膏を除去した後に、さらに酸化カルシウムなどを加えてpH9.5〜11.0に調整する第2中和処理を行って不純物金属を含んだ廃酸石膏を沈澱させる方法である。
特公昭59−34644号公報 特公昭53−34119号公報 特許4239801号公報 特許5138737号公報
特許文献1の処理方法は、石膏に混入するフッ素量を低減するため、予め硫酸廃液にシリカ含有物質を添加してフッ素をフルオロケイ酸に変換することによって、フッ素の沈澱を抑制して石膏を沈澱させている。しかし、フルオロケイ酸の生成反応はシリカを溶解させるため反応速度が非常に遅いという欠点がある。例えば、特許文献1の実施例ではシリカの溶解に68時間を要している。
特許文献2の処理方法は、アルミニウムを添加してフッ素をフルオロアルミン酸イオンに変換させてフッ化カルシウムの生成を抑制しており、この反応はシリカの溶解に比べて反応の進行が早い利点を有するが、フッ素以外の重金属類、特に比較的高濃度で含まれている銅などの除去手段は考慮されておらず、廃液からの重金属類の除去効果は示されていない。さらに特許文献2の方法は、ヒ素は溶液中に残存するのでヒ素を含まない石膏が得られるとしているが、アルミニウムの添加条件によってはヒ素や銅が沈澱する。ヒ素や銅の沈澱が生成した場合、重金属類等の不純物量の少ない石膏を得るのは難しい。
特許文献3および特許文献4の処理方法は、S2ー源として水硫化ソーダを予め硫酸廃液に添加し、次式(5)(6)(7)に示すように重金属類を硫化物として沈澱させて除去している。しかし、水硫化ソーダの使用は薬剤コストの増加になる。また、水硫化ソーダは酸性下では容易に硫化水素ガスを発生するので安全性の問題もある。さらに、特許文献3および特許文献4の処理方法は、重金属類は除去されるが、フッ素は除去されないので、フッ素量の多い石膏になる問題がある。
2AsO 3ー(aq)+3S2ー(aq)+12H→As(s)+6HO・・・(5)
2AsO 3ー(aq)+5S2ー(aq)+16H→As(s)+8HO・・・(6)
Cu2+(aq)+S2ー(aq)→CuS(s)・・・(7)
本発明は、従来の上記問題を解決した処理方法を提供するものであり、ヒ素や銅などの重金属類を大量に含有する非鉄製錬工程の硫酸廃液などから、フッ素量および重金属量が格段に少ない石膏を製造する方法を提供する。
本発明は以下に示す石膏の製造方法に関する。
〔1〕フッ酸と硫酸および銅とヒ素を含有する廃液に、金属アルミニウムまたは金属アルミニウム含有物を添加して金属アルミニウムを溶解し、溶解したアルミニウムと液中のフッ素の反応によってフルオロアルミン酸イオンを生成させると共に金属アルミニウムの溶解によって液中の銅およびヒ素を還元するアルミニウム溶解工程と、還元された銅およびヒ素を固液分離する銅ヒ素分離工程と、分離した液分にカルシウムを含む中和剤を添加して、フルオロアルミン酸イオンを液中に残して、石膏を生成させる石膏生成工程を有し、上記廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍以上の金属アルミニウムを添加し、酸化還元電位を+250mV(vs.SHE)以下で銅およびヒ素を還元して銅ヒ素含有沈澱を生成させ、該銅ヒ素含有沈澱を固液分離した後に、カルシウムを含む中和剤を添加し、pH4以下の液性下で石膏を生成させることを特徴とする石膏の製造方法。
〔2〕フッ素含有量0.2質量%以下およびヒ素含有量0.05質量%以下であって、実質的に銅を含まない石膏を生成させる上記[1]に記載する石膏の製造方法。
〔具体的な説明〕
以下、本発明の方法を具体的に説明する。
本発明の方法は、フッ酸と硫酸および銅とヒ素を含有する廃液に、金属アルミニウムまたは金属アルミニウム含有物を添加して金属アルミニウムを溶解し、溶解したアルミニウムと液中のフッ素の反応によってフルオロアルミン酸イオンを生成させると共に金属アルミニウムの溶解によって液中の銅およびヒ素を還元するアルミニウム溶解工程と、還元された銅およびヒ素を固液分離する銅ヒ素分離工程と、分離した液分にカルシウムを含む中和剤を添加して、フルオロアルミン酸イオンを液中に残して、石膏を生成させる石膏生成工程を有し、上記廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍以上の金属アルミニウムを添加し、酸化還元電位を+250mV(vs.SHE)以下で銅およびヒ素を還元して銅ヒ素含有沈澱を生成させ、該銅ヒ素含有沈澱を固液分離した後に、カルシウムを含む中和剤を添加し、pH4以下の液性下で石膏を生成させることを特徴とする石膏の製造方法である。
本発明の石膏製造方法の具体的な一例を図1に示す。図示するように、非鉄製錬から生じる硫酸廃液に金属アルミニウムまたは金属アルミニウム含有物を添加して撹拌し、金属アルミニウムを溶解させてフルオロアルミン酸イオンを生成させると共に、該硫酸廃液に含まれる銅およびヒ素の重金属類を還元する(アルミニウム溶解工程)。好ましくは、アルミニウム溶解によって該廃液の酸化還元電位が+250mV(vs.SHE)以下にし、還元された銅およびヒ素の重金属を固液分離して除去する(銅ヒ素分離工程)。銅ヒ素分離工程では、必要に応じ、凝集剤を添加して銅およびヒ素の還元沈澱を凝集して固液分離する。銅およびヒ素の重金属類を分離した清澄な液分に炭酸カルシウムなどのカルシウム化合物を添加し、pH4以下に調整し、フッ素をフルオロアルミン酸イオンの状態で液中に残して石膏を生成させる(石膏生成工程)。該石膏を固液分離して、フッ素および重金属の少ない石膏を製造する。
本発明の方法によって処理される廃液は、フッ酸と硫酸および銅とヒ素を含有する廃液であり、例えば、銅製錬などの非鉄製錬における硫酸廃液である。銅製錬の硫酸廃液などにはフッ素と共にヒ素や銅などの重金属類が大量に含まれている。
〔アルミニウム溶解工程〕
本発明の処理方法は、最初の工程として、上記硫酸廃液に金属アルミニウムまたは金属アルミニウム含有物を添加し金属アルミニウムを溶解させる。金属アルミニウムは次式(8)に示すように溶解し、この金属アルミニウムの溶解によって,廃液中の銅およびヒ素は次式(9)(10)に示すように還元される。
Al(s)→Al3+(aq)+3e ・・・(8)
3Cu2+(aq)+AsO 3−(aq)+6H+9e→CuAs(s)+3HO ・・・(9)
2AsO 3−(aq)+10H+4e→As(s)+5HO ・・・(10)
また、溶解した金属アルミニウムは、上記式(4)に示すように、廃液中のフッ素と反応してフルオロアルミン酸イオンが生成する。予め廃液中のフッ素をフルオロアルミン酸イオンにすることによって、カルシウム分を添加したときに、フッ化カルシウム沈澱の生成を抑制し、フッ化カルシウムが石膏に混入するのを抑制する。
金属アルミニウムの添加量と製造した石膏中のフッ素濃度との関係を図2に示す。図2に示すように、金属アルミニウムを添加せずに炭酸カルシウムを添加して石膏を生成させたときの石膏中のフッ素濃度が1.4〜1.6質量%である場合、硫酸廃液のフッ素に対してモル比で0.3倍の金属アルミニウムを添加すると、石膏中のフッ素濃度は0.4質量%前後に低減し、金属アルミニウム添加量が液中のフッ素に対してモル比で0.4倍では石膏中のフッ素濃度は約0.2質量%に低減し、金属アルミニウム添加量が液中のフッ素に対してモル比で0.5倍では石膏中のフッ素濃度は約0.05質量%に大幅に低減する。従って、石膏中のフッ素濃度を約0.2質量%に低減するには、硫酸廃液中のフッ素に対してモル比で0.4倍以上の金属アルミニウムを添加するのが好ましい。
硫酸廃液の酸化還元電位と液中のヒ素濃度および銅濃度の関係を図3に示す。図3は、非鉄製錬の硫酸廃液(硫酸濃度54g/L、フッ素濃度2.9g/L、塩素濃度2.5g/L、ヒ素濃度6.2g/L、銅濃度1.5g/L)に、該廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍(0.57質量倍)の金属アルミニウムを添加し、さらに過酸化水素水を少量ずつ添加して酸化還元電位を調整して、酸化還元電位に対する溶液中のヒ素濃度および銅濃度の変化を示したグラフである。
図3に示すように、液の酸化還元電位が+450mV(vs.SHE)付近で沈澱が生成し、酸化還元電位が+400mV(vs.SHE)以下になると液中のヒ素濃度が大幅に低下し、+250mV(vs.SHE)以下では銅濃度が大幅に低下する。従って、フッ素と共に銅およびヒ素の含有量が少ない石膏を製造するには、+250mV(vs.SHE)以下の液性が好ましい。
廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍以上の金属アルミニウムを添加すると、金属アルミニウムの溶解によって、廃液の酸化還元電位が概ね+250mV(vs.SHE)以下になると、廃液の銅およびヒ素は還元されて沈澱を生じ、図3に示すように液中の銅濃度およびヒ素濃度は格段に低下する。
なお、廃液に酸化物質が含まれているために、廃液の酸化還元電位が+250mV(vs.SHE)以下に低下し難い場合には、金属アルミニウムの添加量を増加させるか、または亜硫酸などの還元剤を添加して、酸化還元電位を+250mV(vs.SHE)以下に調整してもよい。
〔銅ヒ素分離工程〕
生成した銅およびヒ素の沈澱物を固液分離することによって、銅およびヒ素が除去された溶液が得られる。固液分離には、沈降分離法、濾過法等の一般的な固液分離方法が利用できる。銅およびヒ素の沈澱物を固液分離する際には、必要に応じ、凝集剤を添加して銅およびヒ素の沈澱を凝集させて固液分離すると良い。固液分離後の溶液は銅およびヒ素が格段に少ない溶液になっている。
〔石膏生成工程〕
重金属類沈澱を固液分離した溶液に、カルシウムを含む中和剤を添加して、フルオロアルミン酸イオンを液中に残して、石膏を生成させ、該石膏を固液分離して回収する。フッ素は沈澱せず、フルオロアルミン酸イオンの状態で液中に残るので、フッ素を殆ど含まない石膏を得ることができる。
石膏生成時のpHと石膏中のヒ素濃度の関係を図4に示す。図4は、廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍、0.5倍の金属アルミニウムを添加し、液の酸化還元電位を+400mV(vs.SHE)以下にして銅およびヒ素の重金属類を沈澱させて濾別した後に、炭酸カルシウムを添加して石膏を析出させたときの液のpHと石膏に残留するヒ素濃度の関係を示すグラフである。
図4に示すように、pH4を超えると液中に残留するヒ素が共沈するので、石膏のヒ素濃度が高くなる。一方、pH4以下では、金属アルミニウムの添加量がモル比で0.4倍、0.5倍の何れの場合も、石膏のヒ素濃度が約0.05質量%以下である。従って、銅およびヒ素の重金属類の含有量少ない石膏を製造するには、石膏生成時の液性をpH4以下にするのが好ましい。
本発明の石膏製造方法によれば、フッ素および重金属類の含有量が少ない石膏を製造することができる。具体的には、例えば、フッ素含有量0.2質量%以下およびヒ素含有量0.05質量%以下であって、実質的に銅を含まない高品位の石膏を製造することができる。また、本発明の石膏製造方法は、非鉄製錬の廃水処理として利用することができる。
本発明の石膏製造方法の一例を示す工程図。 金属アルミニウムの添加量と製造した石膏中のフッ素濃度の変化を示すグラフ。 硫酸廃液の酸化還元電位と液中のヒ素濃度および銅濃度の変化を示すグラフ。 石膏生成時のpHと石膏中のヒ素濃度の変化を示すグラフ。
本発明の実施例を比較例と共に以下に示す。各例において、液中のヒ素および銅濃度はICP−AESで測定した。固体についてはアルカリ溶融して溶解液をフッ素についてはイオンクロマトグラフを用い、ヒ素,銅,硫黄についてはICP−AESで測定し、この溶解液の測定濃度から試料中の固体濃度を求めた。
〔実施例1:Al/Fモル比=0.5〕
非鉄製錬の硫酸廃液(硫酸濃度54g/L、フッ素濃度2.9g/L、塩素濃度2.5g/L、ヒ素濃度6.2g/L、銅濃度1.5g/L)に、該廃液のフッ素に対してモル比で0.5倍(0.71質量倍)の金属アルミニウムを添加し、30分撹拌して金属アルミニウムを完全に溶解させ、銅およびヒ素を含む沈澱を生成させた。このときの酸化還元電位は+201mV(vs.SHE)であった。次いでノニオン系高分子凝集剤を1ppm添加して沈澱を凝集沈降させた後に固液分離して沈澱を除去した。固液分離した溶液のヒ素濃度および銅濃度を測定した。この結果を表1に示した。澱物中のヒ素濃度、銅濃度、硫黄濃度を測定した。この結果を表2に示した。
次に、上記澱物を固液分離した溶液に炭酸カルシウム50g/L〜56g/Lを添加し,pH1.3〜3.9の液性下で2時間撹拌して石膏を生成させた。この石膏を固液分離して製造した。製造した石膏は表面を純水で洗浄して付着水を洗い流し、石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度、および銅濃度を測定した。pH値に応じた各濃度の測定値を表3に示した。
〔実施例2:Al/Fモル比=0.4〕
廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍(0.57質量倍)の金属アルミニウムを添加し、酸化還元電位+248mV(vs.SHE)の液性下で沈澱を生成させ、炭酸カルシウム50g/L〜65g/Lを添加し,pH1.1〜3.4の液性下で石膏を析出させた以外は実施例1と同様にして石膏を製造した。固液分離した溶液のヒ素濃度および銅濃度を表1に示した。澱物中のヒ素濃度、銅濃度、硫黄濃度を表2に示した。製造した石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度緒、および銅濃度をpH値ごとに表4に示した。
〔比較例1:Al/Fモル比=0.3〕
廃液のフッ素に対してモル比で0.3倍(0.43質量倍)の金属アルミニウムを添加し、酸化還元電位+322mV(vs.SHE)の液性下で沈澱を生成させ、炭酸カルシウム50g/L〜65g/Lを添加し,pH1.1〜2.1の液性下で石膏を析出させた以外は実施例1と同様にして石膏を製造した。固液分離した溶液のヒ素濃度および銅濃度を表1に示した。澱物中のヒ素濃度、銅濃度、硫黄濃度を表2に示した。製造した石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度緒、および銅濃度をpH値ごとに表5に示した。
Figure 0006742596
表1に示すように、廃液のフッ素に対してモル比で金属アルミニウムを0.4倍以上添加することによって、廃液中のヒ素を39質量%以上,銅を97質量%以上除去して低減することができる。比較例1でも銅,ヒ素は除去されるが不十分である。
Figure 0006742596
表2に示すように、生成した沈澱物のヒ素と銅の合計値は、比較例1は85質量%であるが、実施例1,2は87.1〜88.6質量%と高い。一方、S濃度は低く、重金属汚泥として非常に密な汚泥が生成していることが確認できる。なお、アルミニウム添加量が多くなるほど殿物中の銅濃度が若干低下するのは、ヒ素の沈澱量が増えて銅が相対的に希釈されるためである。
Figure 0006742596
Figure 0006742596
Figure 0006742596
表3、表4に示すように、アルミニウム添加量が廃液中のフッ素に対してモル比で0.4倍以上であって、石膏生成時のpHが4以下であれば、石膏中のフッ素濃度0.2%以下およびヒ素濃度0.05%以下であって、実質的に銅を含まない石膏を製造することができる。一方、表5に示すように、アルミニウム添加量が廃液中のフッ素に対してモル比で0.3倍では、石膏中のフッ素濃度は0.35〜0.45質量%であり、フッ素低減効果が不十分である。
〔比較例2:金属アルミニウム無添加〕
実施例1と同様に硫酸廃液に対して、金属アルミニウムを全く添加せず、炭酸カルシウム50g/L〜65g/Lを添加し,pH1.7〜3.1の液性下で石膏を析出させた。このときの酸化還元電位は+640mV(vs.SHE)であった。製造した石膏のフッ素濃度、ヒ素濃度、銅濃度を表6に示した。表6に示すように、金属アルミニウムを添加しないと石膏中のフッ素は1.4質量%以上に高くなる。
Figure 0006742596
〔比較例3〕
該廃液中のフッ素に対してモル比で0.5倍(0.71質量倍)の金属アルミニウムを添加して重金属類の沈澱を固液分離した後に、炭酸カルシウム57g/L〜65g/Lを添加し,pH4.1〜4.4の液性下で石膏を析出させた以外は実施例1と同様にして石膏を製造した。石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度緒、および銅濃度をpH値ごとに表7に示した。
〔比較例4〕
該廃液中のフッ素に対してモル比で0.4倍(0.57質量倍)の金属アルミニウムを添加して重金属類の沈澱を固液分離した後に、炭酸カルシウム66g/L〜70g/Lを添加し,pH4.1〜4.4の液性下で石膏を析出させた以外は実施例2と同様にして石膏を製造した。石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度緒、および銅濃度をpH値ごとに表8に示した。
Figure 0006742596
Figure 0006742596
表7、表8に示すように、炭酸カルシウムの添加量が多く、石膏生成時のpHが4以上であると,アルミニウム添加量が廃液中のフッ素に対してモル比で0.4倍以上であれば石膏中のフッ素濃度を0.2質量%以下に低減できるが、ヒ素の混入量が多くなり、石膏中のヒ素濃度は0.1質量%以上に高くなる。
〔比較例5〕
実施例1と同様の硫酸廃液に対して、該廃液中のフッ素に対してモル比で0.5倍(0.71質量倍)の金属アルミニウムを添加して銅およびヒ素を含む沈澱を生成させた。生成した沈澱を固液分離せず、引き続き、炭酸カルシウムを50g/L〜65g/Lを添加し,pH1.3〜4.4の液性下で石膏を析出させ、固液分離して石膏を製造した。石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度緒、および銅濃度をpH値ごとに表9に示した。
〔比較例6〕
実施例1と同様の硫酸廃液に対して、該廃液中のフッ素に対してモル比で0.4倍(0.57質量倍)の金属アルミニウムを添加して銅およびヒ素を含む沈澱を生成させた。生成した沈澱を固液分離せず、引き続き、炭酸カルシウムを50g/L〜70g/Lを添加し,pH1.3〜4.4の液性下で石膏を析出させ、固液分離して石膏を製造した。石膏中のフッ素濃度、ヒ素濃度緒、および銅濃度をpH値ごとに表10に示した。
Figure 0006742596
Figure 0006742596
金属アルミニウムを添加して沈澱が生じた場合、沈澱を固液分離して除去をせずに炭酸カルシウムを添加して石膏を生成させると、銅とヒ素が石膏中に取り込まれる。このため、フッ素濃度は低いが、銅濃度およびヒ素濃度が格段に高い石膏になる。

Claims (2)

  1. フッ酸と硫酸および銅とヒ素を含有する廃液に、金属アルミニウムまたは金属アルミニウム含有物を添加して金属アルミニウムを溶解し、溶解したアルミニウムと液中のフッ素の反応によってフルオロアルミン酸イオンを生成させると共に金属アルミニウムの溶解によって液中の銅およびヒ素を還元するアルミニウム溶解工程と、還元された銅およびヒ素を固液分離する銅ヒ素分離工程と、分離した液分にカルシウムを含む中和剤を添加して、フルオロアルミン酸イオンを液中に残して、石膏を生成させる石膏生成工程を有し、上記廃液のフッ素に対してモル比で0.4倍以上の金属アルミニウムを添加し、酸化還元電位を+250mV(vs.SHE)以下で銅およびヒ素を還元して銅ヒ素含有沈澱を生成させ、該銅ヒ素含有沈澱を固液分離した後に、カルシウムを含む中和剤を添加し、pH4以下の液性下で石膏を生成させることを特徴とする石膏の製造方法。
  2. フッ素含有量0.2質量%以下およびヒ素含有量0.05質量%以下であって、実質的に銅を含まない石膏を生成させる請求項1に記載する石膏の製造方法。
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