JP6742034B2 - 多細胞組織検体におけるタンパク質の定量 - Google Patents

多細胞組織検体におけるタンパク質の定量 Download PDF

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Description

関連出願情報
本出願は、2015年11月5日出願の米国特許出願第62/251,604号の優先権を主張するものであり、その全内容を本明細書の一部として援用する。
連邦政府資金による研究の記載
本発明は、米国国立衛生研究所により授与された認可番号U24CA159988として米国政府の支援を受けてなされた。米国政府は本発明において一定の権利を有する。
本開示は、不均一生物検体中のタンパク質の分析に関する。
癌を含む様々な障害及び疾患は、細胞の機能、増殖、及び分化を制御する遺伝子の配列、構造、又は発現の変化から生じる。これらの変化は、RNA、タンパク質及びその他の生体分子に明瞭な一連の変化をもたらし、癌の、近傍組織へ浸潤する、他の器官へ転移する、及び治療に応答する傾向などの、臨床上重要な特徴を駆動する。これらの分子構造のうち、タンパク質が疾病治療のための薬物の標的となることが多い。いくつかの場合では、薬物は、癌又は他の疾患において突然変異した又は調節不全の遺伝子によりコードされるタンパク質配列変異体に特異的に標的化される。又、診断検査は、それら自体は標的ではないが、薬物標的の機能に作用し、それにより治療に対する疾患の応答に影響を及ぼす他のタンパク質を測定する場合もある。
組織検体中のタンパク質を分析する有力な方法は免疫組織化学(immunohistochemistry)(IHC)であり、この方法では、対象とするタンパク質は、薄層組織切片において、抗体と反応させた後に、抗体により検出されるタンパク質の顕微鏡による可視化を可能とする染色手順を行うことにより検出される。熟練した病理学者は切片において異なる細胞種(cell types)及び間質を識別することができるので、染色と対象とする細胞又は周囲の間質との関連は確認可能であり、それにより、検出されたタンパク質と癌細胞などの対象とする細胞との関連の証拠が提供される。組織検体は通常不均一であり、癌細胞、間質、正常上皮細胞、平滑筋、脂肪、免疫細胞、及びその他の細胞種などの種々の細胞種の比例組成は幅広く異なるので、このことは特に重要である。
広く使用されているにも関わらず、IHCには大きな制限がある。IHC分析は、切片において対象とするタンパク質と特異的且つ選択的に結合する抗体を必要とする。多くのタンパク質について、IHCにとって必要な性能特徴を有する抗体は得ることができない。最も広く使用されている診断実装形態では、IHCは、供試する組織検体の1以上の薄層切片のそれぞれにおいて1つのタンパク質を検出し、複数のタンパク質構造の測定は事実上制限される。更に、多くのIHC試験は、標的タンパク質の抗体認識又は染色化学の問題のために、又、サンプルの取り扱い、処理、及び保存による組織切片の品質の変動のために、説明可能な結果を得ることができない。
本開示は、2以上の細胞種を含む不均一生物検体中の標的タンパク質の量を測定するための方法を提供する。本方法は、不均一生物検体からタンパク質を抽出すること;前記タンパク質を切断してペプチドとすること;並びに前記ペプチドを質量分析により分析してベンチマークタンパク質のプロテオ型ペプチド(proteotypic peptide)の量、成分特異的タンパク質のプロテオ型ペプチドの量、及び標的タンパク質のプロテオ型ペプチドの量を測定することを含み得る。本方法は更に、前記生物検体中の前記ベンチマークタンパク質の量、前記成分特異的タンパク質の量、及び前記標的タンパク質の量を、対応するプロテオ型ペプチドの量に基づいて定量すること;前記成分特異的タンパク質の量を前記ベンチマークタンパク質の量に対して正規化して、前記成分特異的タンパク質を発現する成分細胞種の成分係数を特定すること;並びに前記標的タンパク質の量を前記成分細胞種の成分係数に対して正規化して、前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値を表す成分係数補正量を特定することを含み得る。成分係数は、ベンチマークタンパク質の測定量対成分特異的タンパク質の測定量の比として特定され得る。
又、不均一生物検体中の標的タンパク質を定量するための方法であって、不均一生物検体から抽出されたタンパク質を得ること;前記生物検体から抽出されたベンチマークタンパク質の量、成分特異的タンパク質の量、及び標的タンパク質の量を定量すること;前記成分特異的タンパク質の量を前記ベンチマークタンパク質の量に対して正規化して、前記成分特異的タンパク質を発現する成分細胞種の成分係数を特定すること;並びに前記標的タンパク質の量を前記成分細胞種の成分係数に対して正規化して、前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値を表す標的タンパク質の成分係数補正量を特定することを含む方法も提供される。
2つの異なる不均一生物検体(サンプルA及びサンプルB)の間の細胞成分組成の違いの例示的概略図を示し、細胞当たりに同等量の腫瘍細胞標的タンパク質(+)を発現する腫瘍細胞を含有する2つの生物検体間の細胞成分組成の違いは、各サンプルにおける標的タンパク質の未補正の測定値に基づく試験結果を歪曲する場合があることを例示する。 開示の方法の例示的実施形態を表す流れ図を示す。 開示の方法の実施形態による、2つの異なる不均一生物検体(サンプルA及びサンプルB)中の腫瘍細胞標的タンパク質(+)の補正測定値の例示的概略図を示す。 開示の方法の例示的実施形態を表す流れ図を示す。 結腸腫瘍の癌腫細胞含量の評価におけるmRNA由来ESTIMATEスコアと結腸癌腫成分特異的タンパク質シグネチャー(プロテオミクス癌腫スコア)の間の相関を示す。 結腸腫瘍の癌腫細胞含量の評価における組織学的検査と結腸癌腫成分特異的タンパク質シグネチャー(プロテオミクス癌腫スコア)の間の相関を示す。 結腸癌腫細胞を含有する8種の生物検体における、各タンパク質に関して示されたプロテオ型ペプチドを検出することによる、標的タンパク質(ERBB1)、成分特異的タンパク質(RALY)、及びベンチマークタンパク質(ACTB)の測定含量を示す。成分特異的係数及びERBB1標的値は各サンプルに関して準備された。 結腸腫瘍の癌腫細胞含量の評価における計算された成分特異的係数と結腸癌腫成分特異的タンパク質シグネチャー(プロテオミクス癌腫スコア)の相関を示す。
[0017]
質量分析(MS)による分析は、組織中のタンパク質の測定のためのIHCに代わる有力な新たな選択肢を提供する。MS分析の場合、組織検体をホモジナイズし、タンパク質抽出を施し、抽出されたタンパク質を、酵素的又は化学的試薬を用いて消化してペプチドとすることができ、これを次に、使用するMS機器の具体的なタイプに応じて、選択反応モニタリング(selected reaction monitoring)(SRM)、多重反応モニタリング(multiple reaction monitoring)(MRM)又は並列反応モニタリング(parallel reaction monitoring)(PRM)として知られるタンデム質量分析技術によって分析する。ペプチドは、配列特異的なフラグメント化をモニタリングすることにより選択的に検出される。タンパク質に特異的なプロテオ型ペプチド配列の標的化された測定は、高感度の特異的アッセイを体系的に構成するための普遍的な手段を提供する。更に、単一のSRM/MRM/PRM分析で、最大およそ100のタンパク質をモニタリングすることができる。従って、MSに基づくタンパク質アッセイは、IHCの能力を遙かに超える特異性、感度、及び情報量を有する診断検査を体系的に実行できる可能性を与える。
[0018]
他のタンパク質アッセイ技術は、生物検体又は生物検体に由来するタンパク質抽出液中のタンパク質を測定するために使用できる。このようなアッセイには、イムノアッセイ、最も一般的には酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)及びELISAのより新しい変形形態が含まれる。核酸アプタマーが利用できることも、アプタマーに基づくアフィニティー試薬を用いたタンパク質の高感度の特異的測定を可能とする。無傷の(未消化の)タンパク質の質量分析(「トップダウン」分析)は、タンパク質分解的に切断されたタンパク質の分析に代わる方法として浮上し、無傷のタンパク質の選択的測定及びそれらの種々の改変形態を可能とする。
[0019]
MSに基づく組織タンパク質の分析のためのタンパク質定量及び他のタンパク質定量技術の実施に対する重大な障壁は、検体ごとに異なる割合で複数の細胞種及び間質を含有する、組織検体の不均一性の問題である。IHCは、組織の細胞組成の顕微鏡検査という観点で実施されるが、MS、ELISA、及びアプタマーに基づく方法による分析は検体のホモジナイゼーションを含み、これは空間的な細胞構成及び検体の組成の観察を排除する。従って、腫瘍細胞特異的タンパク質の標的化MS分析は、例えば、腫瘍細胞内のタンパク質の発現によるだけでなく、各検体における他の細胞種及び間質に比べての腫瘍細胞の割合によっても劇的に影響を受ける測定をもたらす。同じ難題が小生検、剥離細胞混合物、並びに血液及び他の生物流体から採取された細胞集団を含む他の生物検体にも当てはまる。従って、不均一多細胞生物検体のMSに基づくタンパク質分析において解決されるべき重要な問題は、細胞種組成の変動によって導入されるバイアスを克服することである。
[0020]
本開示は、細胞及び間質組成が個々の検体間で実質的に異なる場合が多い、不均一多細胞生物検体中のタンパク質の精密、正確な測定を行うための方法を提供する。タンパク質標的は一般に、組織サンプル又は他の生物検体中の特定の細胞種で発現される。診断検査は、対象とする細胞種内の標的タンパク質の存在量を決定することが意図されるが、変動の主要な源は、各検体における全細胞種及び間質の画分としての、対象とする細胞の割合である。従って、検体の小画分を占めるに過ぎない細胞で高い存在量であるタンパク質は、測定上は低い値となる。それにより、その標的タンパク質に関する診断検査結果は低い値に基づいた誤った結果を生じることになる。他方、標的タンパク質の測定値を検体中のその元の細胞の低い割合に関して補正すると、信頼できる正確な結果及び臨床上より有用な説明を提供する。
[0021]
開示の方法は、生物検体中に存在する種々の細胞種で特徴的に発現されるタンパク質の測定の使用により、生物検体の細胞組成に関する補正を達成する。このアプローチは、例えば腫瘍検体などの生物検体中の種々の細胞種及び間質が実際に、ヒト乳癌及び結腸癌の間質又は新生細胞などの不均一生物検体の特定の細胞集団で選択的に発現されるタンパク質を含有することを証明するためのデータによって裏づけられる。従って、これらの成分特異的タンパク質は、その測定が分析の目的である標的タンパク質と共に、MSアッセイ、イムノアッセイ、又はアプタマーに基づくアッセイなどのマルチプレックスアッセイで測定される。成分特異的タンパク質及び標的タンパク質の測定は、各検体中の総タンパク質量に関して正規化されなければならないので、このアッセイにはベンチマークタンパク質も組み込まれる。種々のベンチマークタンパク質が、種々の各生物検体種のために選択可能であり、好ましくは、特定の生物検体の細胞及び間質組成に関わらずに存在量の変動が低い。本開示は、それに対して標的タンパク質の存在量が正規化される各検体の細胞成分係数を計算するためにこれらの測定を組み込むための分析方法を含む。
[0022]
1.定義
そうではないことが定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本文書が優先する。好ましい方法及び材料が以下に記載されるが、本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料が本発明の実施又は試験に使用できる。本明細書に挙げられている全ての刊行物、特許出願、特許及び他の参照文献は、それらの全内容が本明細書の一部として援用される。本明細書に開示される材料、方法、及び例は例示に過ぎず、限定を意図するものではない。
[0023]
「約」は、本明細書で「およそ」という用語と同義的に使用される。実例として、「約」という用語の使用は、挙げられた値のやや外側、すなわち、プラス又はマイナス10%の値を示す。従って、このような値は、「約」及び「およそ」という用語を記載する請求項の範囲により包含される。
[0024]
「投与する」、「投与すること」、「投与される」又は「投与」は、本明細書で使用する場合、薬物化合物又は医薬組成物(例えば、本明細書に記載されるもの)を被験体又は患者に提供する任意の様式を指す。投与の経路は、当業者に既知の任意の手段によって達成することができる。このような手段には、限定されるものではないが、経口、口内、静脈内、皮下、筋肉内、経皮、及び吸入によるものなどが含まれる。
[0025]
「ベンチマークタンパク質」は、本明細書で使用する場合、各個の不均一生物検体の特定の細胞種組成によらず、同じ種類の複数の不均一生物検体で実質的に均一な存在量で発現されるタンパク質を指す。ベンチマークタンパク質は、生物検体の全ての細胞種成分において実質的に類似の存在量を持つ。
[0026]
「生物検体」は、本明細書で使用する場合、細胞を含む生物サンプルを指す。生物検体は、被験体から得ることができる。生物検体は、例えば、培養細胞;組織サンプル;生検;針生検;腫瘍サンプル;血液などの生物流体;腫瘍異種移植組織などの異種移植組織;口腔粘膜、尿路上皮、気道上皮、若しくは消化管上皮などの剥離細胞;又は対象とする他の任意の生物サンプルを含み得る。生物検体は、当業者に知られた方法によって得ることができる。
[0027]
「成分係数」は、本明細書で使用する場合、不均一生物検体中の、対象とする特定の成分細胞種に由来するタンパク質の割合に基づいて計算された補正係数を指す。
[0028]
「成分特異的タンパク質」は、本明細書で使用する場合、その発現が不均一生物検体中の特定の細胞種若しくは間質成分にユニークであるか、又は不均一生物検体中に存在する他の細胞種に比べて実質的に富化されているタンパク質を指す。
[0029]
「を含む(comprise)」、「含む(include)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain)」、及びこれらの派生語は、本明細書で使用する場合、付加的な作用又は構造の可能性を排除しないオープンエンドの移行句、用語、又は単語であることが意図される。単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」及び「その(the)」は、文脈がそうではないことを明示しない限り、複数の指示語を含む。本開示は又、明示的に示されているかどうかを問わず、本明細書に示される実施形態又は要素「を含む」、「からなる」及び「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
[0030]
「接触させること」は、例えば「サンプルを接触させること」のように本明細書で使用する場合、in vitro、ex vivo、又はin vivoで(すなわち、本明細書で定義される被験体内で)サンプルを直接又は間接的に接触させることを指す。サンプルを接触させることは、サンプル(例えば、生物検体から抽出されたタンパク質のサンプル)への化合物の添加、又は被験体への投与を含み得る。接触させることは、溶液、細胞、組織、哺乳類、被験体、患者、又はヒトへの投与を包含する。更に、細胞を接触させることは、細胞培養へ薬剤を添加させることを含む。
[0031]
「有効量」は、本明細書で使用する場合、所望の効果を惹起するための有効な化合物又は組成物の用量又は量を指す。この用語は又、本明細書で使用する場合、動物、例えば哺乳類、例えばヒトにおいて所望のin vivo効果をもたらすのに有効な量も指し得る。例えば、癌を治療する方法で、有効量はその障害を治療するために十分な量であり得る。
[0032]
「プロテオ型」は、本明細書で使用する場合、生物においてそれらが由来するタンパク質にユニークに存在し、従って、そのプロテオ型ペプチドの測定がその生物に存在する親タンパク質のみを表し、他のタンパク質は表さないという証拠となるペプチド配列を指す。
[0033]
「被験体」は、本明細書で使用する場合、ヒト及び非ヒト動物を指す。例示的ヒト被験体は、障害、例えば癌を有するヒト患者、又は正常な被験体を含む。用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば非哺乳類(例えば、ニワトリ、両生類、爬虫類)及び哺乳類、例えば非ヒト霊長類、飼育及び/又は農業上有用な動物(例えば、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど)、及び齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモットなど)を含む。
[0034]
「標的タンパク質」は、本明細書で使用する場合、不均一生物検体中で測定される対象とするタンパク質を指す。生物検体中の少なくとも1つの細胞種により発現される標的タンパク質の量は、異なる被験体から又は同じ被験体から異なる時点で若しくは異なる解剖学的位置で得られた不均一生物検体間で異なり得る。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、薬物又は他の療法又は薬物応答を改変するタンパク質の標的であり得る。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、療法に対する応答を予測若しくは検出するため、転移若しくは他の生物学的特性のリスクを予測又は検出する、又は疾患予後若しくは他の臨床転帰を評価するためにバイオマーカーとして機能することが特定又は仮定されるタンパク質となり得る。
[0035]
障害を有する被験体に対して「治療する」又は「治療すること」又は「治療」は、本明細書で使用する場合、障害の少なくとも1つの症状が治癒、回復、緩和、軽減、変更、救済、好転、又は改善されるように本明細書に記載の化合物又は組成物を被験体に投与することを指す。治療することは、障害又は障害の症状を緩和、軽減、変更、救済、好転、治癒、改善する又は影響を与えるために有効な化合物又は組成物の量を投与することを含む。この治療は、障害の症状の悪化又は増悪を阻害し得る。
[0036]
2.タンパク質分析のための方法
一実施形態では、開示の方法は、正常な上皮、平滑筋、免疫細胞、及び間質などの1以上の他の細胞種を含有する腫瘍において1以上の癌腫細胞特異的タンパク質の存在量を測定するために使用することができる。乳癌及び結腸癌では、例えば、癌腫細胞の割合は、間質及び他の細胞種を様々な割合で含有する所与の腫瘍組織検体の優位にあって、10〜90パーセントの範囲である。異なる検体において標的タンパク質の未補正測定が類似又は同等の癌腫細胞の存在量を呈する場合、高い癌腫細胞画分を有する腫瘍組織検体では低い癌腫細胞画分を有する腫瘍組織検体よりも高い値が得られる。本明細書に開示される標的タンパク質の成分係数補正量を決定することで、検体間の細胞及び間質組成の違いによる測定バイアスが排除又は緩和される。
[0037]
別の実施形態では、開示の方法は、腫瘍学の薬物開発で広く使用される異種移植腫瘍モデルにおいて標的タンパク質の正確な測定を可能とする。異種移植モデルは、別の宿主種(一般にマウス)で増殖させたヒト新生細胞を特徴とする。測定される標的タンパク質はヒト異種移植片由来細胞成分中に存在するが、宿主から得られる異種移植検体は又、様々な割合でマウス宿主タンパク質も含有する。いくつかの実施形態では、成分特異的タンパク質は、異種移植検体中の非ヒト宿主細胞の成分係数の計算を可能とする非ヒト宿主種タンパク質であり得る。いくつかの実施形態では、成分特異的タンパク質は、異種移植検体中のヒト異種移植片由来細胞成分の成分係数の計算を可能とするヒトタンパク質であってもよい。
[0038]
別の実施形態では、開示の方法は、例えば組織生検として採取され得る不均一な細胞混合物中の標的タンパク質の正確な測定を可能とする。より大きな組織検体と同様に、これらの小さな生検検体は、癌性細胞及び正常細胞種などの変動のある不均一な細胞内容物を有するが、顕微鏡及びIHCに基づく技術による小生検組成の評価は不可能である。1以上の成分特異的タンパク質の量を定量することは、生検検体の細胞組成を確定することができ、且つ、他の生物検体に関して記載されているように標的タンパク質の測定の補正を可能とし得る。
[0039]
別の実施形態では、開示の方法は、血液又は他の生物流体から得られた細胞集団中の標的タンパク質の正確な測定を可能とする。成分特異的タンパク質の測定は、細胞成分特異的タンパク質を介したリンパ球、白血球、マクロファージ、又は単球細胞集団などの異なる細胞集団の定量を可能とし得る。このような測定は、異なる細胞集団のいずれかに関する成分係数を計算するために使用可能であり、それにより、細胞成分集団のいずれかに特異的な標的タンパク質の測定の正規化を可能とする。
[0040]
別の実施形態では、本開示は、例えば、口腔粘膜、尿路上皮、気道上皮、又は消化管上皮から得られた剥離細胞集団中の標的タンパク質の正確な測定を可能とする。細胞成分特異的タンパク質の測定は、成分特異的タンパク質の測定を介した異なる上皮細胞集団の定量を可能とし得る。このような測定は、これら細胞成分集団の成分係数を計算するために使用可能であり、それにより、成分細胞集団に特異的な標的タンパク質の測定の正規化を可能とする。
[0041]
別の実施形態では、本開示は、免疫細胞による癌腫腫瘍サンプル又は他の新生組織サンプルなどの生物検体の浸潤の正確な評価を可能とする。例えば、T細胞の指標となる成分特異的タンパク質は、確立されたT細胞マーカー(例えば、CD4及びCD8)又は他の免疫細胞成分特異的タンパク質を含み得る。生物検体中の1以上の免疫細胞種に関して計算された成分係数は、免疫浸潤の定量的評価を可能とする。
[0042]
不均一生物検体中1以上の成分細胞種に対して1以上の成分特異的タンパク質が同定され得る。例えば、癌細胞特異的タンパク質、癌腫特異的タンパク質、正常上皮特異的タンパク質、平滑筋特異的タンパク質、又は間質特異的タンパク質が、開示される方法の実施形態で成分特異的タンパク質として使用可能である。成分特異的タンパク質は、レーザー捕捉顕微解剖により生物検体から採取された細胞成分の質量分析によって得られたデータに基づいて選択され得る。
[0043]
この開示の実施形態は、1以上の標的タンパク質、1以上の成分特異的タンパク質、及び1以上のベンチマークタンパク質のペプチドの測定を含み得る。これらのタンパク質及びそれらのプロテオ型ペプチドは、以下の手順に従って選択及び分析され得る。
[0044]
対象とする生物検体は、当業者に知られた方法及び技術を用いて任意の所望の供給源から得ることができる。タンパク質は、とりわけ、酸沈降、有機溶媒沈降、界面活性剤又は水性及び有機溶媒混合物を用いた抽出など、当業者に既知の技術を用いて生物検体から抽出され得る。抽出は、音波処理、低温粉砕、ビーズを用いた機械的破砕、及び膜を通した押出を含む、細胞及び組織破砕の方法を採用し得る。タンパク質は、生物検体中に存在する全タンパク質を代表する全タンパク質サンプルを得る技術を用いて抽出してもよく、又はいくつかの実施形態では、例えば、所望の分子量範囲若しくは等電点範囲内の、又は疎水性のような物理的特徴に基づくタンパク質の選択又は富化を含む分画技術など、生物検体中のタンパク質のより選択的な表現をもたらす抽出技術が使用可能である。いくつかの実施形態では、タンパク質は、親和性結合を介して、タンパク質、抗体、小分子プローブ、レクチン、又は核酸アプタマーなどの1以上の他の分子に捕捉されてもよい。いくつかの実施形態では、タンパク質は、例えば生物検体が生物流体を含む場合など、抽出手順を実施せずに生物検体中で分析され得る。
[0045]
いくつかの実施形態では、当技術分野で公知の任意の好適なアプローチにより、タンパク質を切断してペプチドとすることができる。例えば、タンパク質は、タンパク質を、例えばトリプシン、キモトリプシン、エンドプロテイナーゼAsp−N、エンドプロテイナーゼLys−C、エンドプロテイナーゼGlu−C、及びサブチリシンのうち1以上などのタンパク質分解酵素と接触させることにより切断され得る。いくつかの実施形態では、タンパク質は、例えば臭化シアンなどの化学試薬を用いて切断され得る。
[0046]
標的タンパク質は、例えば、薬物若しくは他の療法の標的、薬物応答を改変するタンパク質、或いは療法に対する応答、転移若しくは他の生物学的特性のリスクを予測若しくは検出するため、又は疾患予後若しくは他の臨床転帰を評価するためにバイオマーカーとして機能することが特定又は仮定されるタンパク質となり得る。対象とする疾患は、新生物、腫瘍、又は癌、例えば癌腫;免疫介在性疾患、例えば、関節リウマチ;免疫炎症性障害;代謝疾患;又は任意の他の対象とする疾患若しくは障害を含み得る。標的タンパク質は、治療薬の標的として若しくは治療薬に対する応答のモジュレーターとして、若しくは疾患、腫瘍、若しくは転移の表現型の特徴に対する寄与因子としてのその役割に関する公開データ若しくは独自データ又は先行知識若しくは仮説から選択され得る。標的タンパク質は、癌などの対象とする疾病に関連する生物検体から、又は疾患の細胞若しくは異種移植モデルからのDNA、RNA、又はタンパク質の分析により選択され得る。標的タンパク質は又、生体ネットワーク、インタラクトーム、経路、又は細胞若しくは細胞外システム成分、例えば、オルガネラ又は細胞外マトリックスを含む生体システムのコンピューター分析又はモデル化により選択され得る。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、一塩基DNA配列多形、体細胞DNA突然変異、挿入、欠失又は染色体再配列から生じる配列変異体であり得る。いくつかの実施形態では、標的タンパク質は、RNAプロセシング中に生じる配列変異体であり得る。
[0047]
成分特異的タンパク質は、その発現が対象とする細胞若しくは間質成分にユニークであるか、又は生物検体の他の細胞成分に比べて実質的に富化されているタンパク質として特定され得る。生物検体では、成分特異的タンパク質の存在量は、その生物検体中の対象とする細胞成分の割合に比例し得る。成分特異的タンパク質の富化は、公開データ若しくは独自データ又は先行知識若しくは仮説から推論することができるが、好ましくは、対象とする生物検体のサンプル中の成分特異的タンパク質の直接的分析により実験的に検証され得る。実験的検証は、特異性の高い抗体を用いた免疫組織化学分析、及び/又は特定の細胞若しくは間質成分のレーザー捕捉顕微解剖とその後の捕捉材料のタンパク質分解消化からのプロテオ型ペプチドの質量分析に基づく定量的分析を含み得る。
[0048]
ベンチマークタンパク質は、各個のサンプルの細胞及び間質組成によらず、対象とする生物検体の特定の種類の複数のサンプルにおいて均一な若しくは一貫性のある又は実質的に均一な若しくは一貫性のある存在量で発現されるタンパク質として特定され得る。ベンチマークタンパク質は又、生物検体の全ての細胞及び間質成分において類似の存在量を有するものとして特定され得る。ベンチマークタンパク質の存在量の均一性は、公開データ若しくは独自データ又は先行知識若しくは仮説から推論することができるが、好ましくは、対象とする生物検体のサンプル中のベンチマークタンパク質の直接的分析により実験的に検証され得る。実験的検証は、特異性の高い抗体を用いた免疫組織化学分析、及び/又は複数の細胞若しくは間質成分のレーザー捕捉顕微解剖とその後の捕捉材料のタンパク質分解消化からのプロテオ型ペプチドの質量分析に基づく定量的分析を含み得る。
[0049]
成分補正標的値を得るためのベンチマーク、成分特異的及び標的タンパク質測定の適用のための例示的な式は、
標的値=T*B/C
である。
[0051]
式中、Tは標的タンパク質の測定量であり;Bはベンチマークタンパク質の測定量であり;且つ、Cは成分特異的タンパク質の測定量である。
[0052]
いくつかの実施形態では、切断されたペプチドは、液体クロマトグラフィータンデム質量分析により分析され得る。例えば、ペプチドは、初期分画無しで分析されてもよく、又は最初にイオン交換クロマトグラフィー、高pH逆相クロマトグラフィー、親水性相互作用クロマトグラフィー又は等電点電気泳動により分解されてもよい。次に、ペプチド画分又は混合物は、エレクトロスプレー連結逆相液体クロマトグラフィータンデム質量分析により分析され得る。イオントラップ、オービトラップ、タイムオブフライト、三連四重極式、ハイブリッド四重極−オービトラップ、ハイブリッド四重極−タイムオブフライト、イオンモビリティ及びイオンサイクロトロン共鳴質量分析計を含む、いくつかのタンデム質量分析機器が慣用されている。これらの分析は、ペプチドイオンの同位体組成及び荷電状態を示し得る高分解能スキャンを含み得るペプチドイオンフルスケールマススペクトルを記録する。衝突誘起解離、高エネルギー衝突誘起解離、電子移動解離、電子捕捉解離、及び赤外多光子解離によるペプチドイオンのフラグメント化は、ペプチド配列に沿ったペプチドイオンの活発な切断を表すタンデムマススペクトルを生成する。タンデムマススペクトルによりコードされるペプチド配列は、当業者に知られた手順によるデータベース検索アルゴリズム及びソフトウエアによって特定することができる。
[0053]
プロテオ型ペプチドの定量的測定は、タンデム質量分析におけるペプチドイオン及びそれらのフラグメントの標的化測定によって行うことができる。このような方法は、使用するタンデム質量分析計の種類によって、選択反応モニタリング、多重反応モニタリング、又は並列反応モニタリングを含み得る。重い同位体により標識されたペプチド標準品と検量線を用い、プロテオ型ペプチドの正確且つ精密な定量を達成することができる。
[0054]
プロテオ型ペプチドは、当業者に既知のプロテオ型ペプチド選択の基準を用い、標的タンパク質、ベンチマークタンパク質、又は成分特異的タンパク質に関して選択され得る。例えば、分光測定に基づくアッセイで測定されるプロテオ型ペプチドを選択するためのアプローチが使用されてよく、例えば、生物情報科学、予測アルゴリズム、及び実験的データのマイニングの使用を含み得る。実験的質量分析データを用いてプロテオ型ペプチドを選択する1つの利点は、このようなペプチドが検出可能であることが知られ、従って、その後のMSに基づくアッセイの成功が増すことである。プロテオ型ペプチドを選択するための指針は、単一の遺伝子産物にユニークなペプチドを選択すること、及び質量分析により観測可能なペプチドを選択することを含んでよく、これは最も汎用されるフィルタリング基準である。(Guidelines for selecting a proteotypic peptide may include selecting a peptide that is unique to a single gene product and selecting a peptide that is observable by mass spectrometry are the most prevalently used filtering criteria.)いくつかの実施形態では、最適ペプチド長、疎水性、及び反応性アミノ酸残基の排除に関する基準もプロテオ型ペプチド選択に使用可能である。
[0055]
成分補正標的値を得るための、ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質測定のMSに基づく適用のための例示的な式は、
標的値=(T1+T2+…+Tn)*(B1+B2+…+Bn)/(C1+C2+…+Cn)
である。
[0057]
式中、T1、T2、…Tnは、標的タンパク質由来の1以上のプロテオ型ペプチドの測定量であり;B1、B2、…Bnは、1以上のベンチマークタンパク質由来の1以上のプロテオ型ペプチドの測定量であり;且つ、C1、C2、…Cnは、1以上の成分特異的タンパク質由来の1以上のプロテオ型ペプチドの測定量である。
[0058]
いくつかの実施形態では、成分補正標的値を得るための、ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質測定のMSに基づく適用のための式は、
標的値=(t1T1+t2T2+…+tnTn)*(b1B1+b2B2+…+bnBn)/(c1C1+c2C2+…+cnCn)
であり得る。
[0060]
式中、T1、T2、…Tnは、標的タンパク質由来の1以上のプロテオ型ペプチドの測定量であり;B1、B2、…Bnは、1以上のベンチマークタンパク質由来の1以上のプロテオ型ペプチドの測定量であり;C1、C2、…Cnは、1以上の成分特異的タンパク質由来の1以上のプロテオ型ペプチドの測定量であり;t1、t2、…tnは、対応するプロテオ型ペプチドT1、T2、…Tn間のMS機器応答の違いに関して補正するための正規化係数であり;b1、b2、…bnは、対応するプロテオ型ペプチドB1、B2、…Bnの間のMS機器応答の違いに関して補正するための正規化係数であり;且つ、c1、c2、…cnは、対応するプロテオ型ペプチドC1、C2、…Cn間のMS機器応答の違いに関して補正するための正規化係数である。
[0061]
いくつかの実施形態では、タンパク質は、無傷のタンパク質の質量分析により分析され得る。質量分析によるタンパク質同定及び定量に最も広く使用されているアプローチはタンパク質の消化により生成されたペプチドの分析であるが、無傷のタンパク質の直接的測定及び定量も可能である。「トップダウン」分析と呼ばれるこのアプローチは一般に、フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴、イオントラップ又はオービトラップ質量分析計のイオン源においてタンパク質イオンを生成するためにエレクトロスプレーイオン化法を使用する。次に、タンパク質イオンは電子移動解離又は電子捕捉解離のいずれかによりフラグメント化され、ペプチドフラグメント配列がタンデム質量分析により特定される。このトップダウンアプローチの重要な利点は、無傷の分子の系統的フラグメント化による異なる修飾形態のタンパク質の分析である。タンパク質消化物の質量分析とは対照的に、「トップダウン」分析におけるタンパク質の測定は、無傷のタンパク質に対するシグナルに基づく。
[0062]
例えば、ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質の分析は、生物検体からタンパク質を抽出し、次いで、その抽出物のアリコートに対してトップダウン質量分析アッセイを行うことにより達成され得る。成分補正標的値を得るための、ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質トップダウン質量分析アッセイ測定の適用のための例示的一般式は、
標的値=(tT)*(bB)/(cC)
である。
[0064]
式中、Tは、標的タンパク質からの測定シグナルであり;Bは、ベンチマークタンパク質の測定シグナルであり;Cは、成分特異的タンパク質の測定シグナルであり;tは、標的タンパク質に対するMS機器応答に関して補正するための正規化係数であり;bは、ベンチマークタンパク質に対するMS機器応答に関して補正するための正規化係数であり;且つ、cは、成分特異的タンパク質に対するMS機器応答に関して補正するための正規化係数である。
[0065]
いくつかの実施形態では、タンパク質は、生物学及び医学においてタンパク質を定量するために最も幅広く使用されている方法であるイムノアッセイにより分析され得る。イムノアッセイにおけるタンパク質検出は、特定のアッセイにおける対象とするタンパク質に対する特異的抗体の結合により達成される。最も広く使用されているイムノアッセイ形式は、抗体(「捕捉抗体」)が粒子又は表面に固定化されている酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)である。対象とするタンパク質の結合時に、その複合体は、例えば、分光測定的、蛍光測定的、電気化学的、又は他の分析技術によって検出できる生成物を産生する酵素で標識された二次抗体(「検出抗体」)で検出され得る。いくつかの実施形態では、検出抗体は、検出抗体自体と結合するか又は検出抗体に結合された標識(例えば、ビオチン化検出抗体に結合するストレプトアビジン)と結合する検出可能に標識された二次試薬(例えば、別の抗体)と接触させればよい。真正の標準品及び検量線の使用により、このアッセイは、対象とするタンパク質を定量するために使用可能である。このような方法は、「サンドイッチELISA」として知られている。サンドイッチELISAに代わるものとして「競合的ELISA法」があり、この方法では、単一の捕捉抗体が固定され、対象とするタンパク質がその対象とするタンパク質の標識型と競合して結合する。定量は、対象とするタンパク質の標準品及び検量線を用いて達成される。マルチプレックスイムノアッセイ分析(複数のタンパク質の同時測定)は、いくつかの商業的に生産された自動分析システムを用いて達成することができる。
[0066]
ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質の分析は、生物検体からタンパク質を抽出し、次いで、その抽出物のアリコートに対してサンドイッチELISAを行うことにより達成され得る。各アッセイは、対象とするタンパク質、例えばベンチマークタンパク質、成分特異的タンパク質、又は標的タンパク質に特異的な捕捉抗体及び検出抗体を含み得る。検量線は、検出するタンパク質の定量を可能とするために作成される。
[0067]
成分補正標的値を得るための、ベンチマーク、成分特異的及び標的タンパク質イムノアッセイ測定の適用のための一般式は、
標的値=T*B/C
である。
[0069]
式中、Tは、標的タンパク質の測定量であり;Bは、ベンチマークタンパク質の測定量であり;且つ、Cは、成分特異的タンパク質の測定量である。
[0070]
いくつかの実施形態では、タンパク質は、アプタマーに基づくアッセイにより分析され得る。アプタマーは、安定な折りたたまれたアプタマー構造との結合相互作用を介して標的分子を選択的に認識する一本鎖核酸ポリマーである。アプタマーは、修飾されたプリン塩基及びピリミジン塩基から合成されるDNA、RNA又は類似のポリマーであり得る。一般に、分子標的との結合により選択されるヌクレオチド配列のライブラリーから生産されたアプタマーは、抗体と等価な核酸である。しかしながら、標的結合アプタマーの配列を正確に決定できる能力は、これらの試薬の系統的精密化及び正確な再生産の両方を可能とする。アプタマーに基づく分析は、試薬による標的タンパク質の認識の後にアプタマー−タンパク質複合体の単離及び検出が行われるという点でイムノアッセイに似ている。アプタマーに基づくタンパク質分析はタンパク質の定量的測定をもたらし、多重であり得る。
[0071]
ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質の分析は、生物検体からタンパク質を抽出し、次いで、その抽出物のアリコートに対してアプタマーアッセイを行うことにより達成され得る。各アッセイは、タンパク質アナライトに特異的なアプタマー分子を必要とする。検量線は、検出するタンパク質の定量を可能とするために作成される。
[0072]
成分補正標的値を得るための、ベンチマーク、成分特異的、及び標的タンパク質アプタマーアッセイ測定の適用のための例示的一般式は、
標的値=T*B/C
である。
[0074]
式中、Tは、標的タンパク質の測定量であり;Bは、ベンチマークタンパク質の測定量であり;且つ、Cは、成分特異的タンパク質の測定量である。
[0075]
3.実施例
開示される化合物、組成物、工程、及び方法は以下の例を参照することによってより良く理解され、これらは実例として意図され、本発明の範囲の限定ではない。
[0076]
実施例1:冷凍組織からのタンパク質抽出
組織サンプルを消化前に、残留する最適切断温度化合物(optimal cutting temperature compound)(OCT)を除去するために洗浄した。組織を1.5mLマイクロチューブに入れ、ボルテックスにかけながら1mL 70%エタノール/30%H2Oで30秒間洗浄した。次に、上清を廃棄し、組織を、ボルテックスにかけながら1mLの100%H2Oで30秒間洗浄し、再び上清を廃棄した。1mLの70%エタノール/30%H2Oを組織サンプルに加え、室温で5分間インキュベートした後、20℃にて20000xgで2分間遠心分離した。上清を除去し、この洗浄工程を繰り返した。次に、1mLの85%エタノール/15%H2Oを組織に加え、室温で5分間インキュベートした後、20℃にて20000xgで2分間遠心分離した。上清を除去し、この洗浄工程を繰り返した。最終洗浄工程では、1mL 100%エタノールを組織に加え、室温で5分間インキュベートした後、20℃にて20000xgで2分間遠心分離した。上清を除去し、最終洗浄工程を繰り返した。
[0077]
OCT除去後、組織検体を1.5mLマイクロ遠心管に入れ、100μLのトリフルオロエタノール(TFE)及び100μLの100mM重炭酸アンモニウム、pH8に再懸濁させた。更なるバッファーが必要とされた場合には、等容量のTFE及び100mM重炭酸アンモニウムpH8.0を相応に加えることができる。サンプルを20秒間音波処理した後、氷上で30秒インキュベーションを行った。この音波処理工程を、音波処理間にサンプルを氷上に置くことに留意して更に2回繰り返した。得られたホモジネートを60℃にて1000rpmで1時間、振盪しながら加熱した後、上記のように2回目の音波処理工程を行った。この時点で、タンパク質測定値を、製造者のプロトコールを用い、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して得た。
[0078]
実施例2:ホルマリン固定、パラフィン包埋組織からのタンパク質抽出
1mlのSub−Xクリーニングメディウム(Leica Biosystems)中で3回洗浄することでパラフィンを除去し、1mlの100%、85%、及び70%エタノール中で各3回洗浄することで再水和を行った。次に、組織を100μlの重炭酸アンモニウム(100mM、pH8.0)中に単独で又は1mM EDTA若しくは100mMピリドキサミンと共に再懸濁させた。その後、サンプルを80℃で2時間加熱した。次に、トリフルオロエタノール(100μl)を加え、サンプルを20秒間音波処理した後、氷上で30秒のインキュベーションを行った。音波処理を2回繰り返した。得られたホモジネートを1時間60℃で加熱した後、上述のように2回目の音波処理工程を行った。この時点で、タンパク質測定値を、製造者のプロトコールを用い、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Fisher Scientific)を使用して得た。
[0079]
実施例3:タンパク質のトリプシンペプチドへの消化
BCAタンパク質測定に基づき、必要量のタンパク質をアリコートに分け、60℃で30分間トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP、20mM)及びジチオトレイトール(DTT、50mM)で還元した後、暗所、室温で20分間、ヨードアセトアミド(IAM、100mM)でアルキル化した。この溶解液を、TFE濃度を10%に引き下げるために適当な容量の50mM重炭酸アンモニウム、pH8.0で希釈し、トリプシンを1:50(w:w)の比で加え、一晩37℃で消化を進めた。消化混合物を−80℃で凍結させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥サンプルを350μLのHPLCグレードの水に再懸濁させ、1分間激しくボルテックスにかけ、Oasis HLB96ウェルμElutionプレート(30μm、5mg、Waters Corp.、ミルフォード、MA)を用いて脱塩し、これを500μLのアセトニトリルで予備洗浄し、750μLのHPLCグレードの水で平衡化した。フロースルーを廃棄し、プレートを500μLのHPLCグレードの水で洗浄し、ペプチドを80%アセトニトリルで溶出させ、真空乾燥させた。サンプルを更なる分析まで冷凍庫で保存した。
[0080]
実施例4:レーザー捕捉顕微解剖(laser capture microdissected)(LCM)検体からのタンパク質調製
LCMのために、腫瘍組織をライカCM 1850クリオスタット(Leica Microsystems GmbH、ウェッツラー、ドイツ)で6μmの切片とした。これらの切片を非帯電スライドガラスに、包理媒体を用いずに載せ、すぐに70%エタノール中に30秒間入れた。続いての脱水は、次のように段階的アルコール及びキシレン処理を用いて行った:95%エタノールで1分間、100%エタノールで1分間(2回)、キシレンで2分間、及びもう一度キシレンで3分間。次に、顕微解剖前にスライドを層流フード内で5分間乾燥させた。その後、切片にPixCell II LCMシステム(Arcturus Engineering)でレーザー捕捉顕微解剖を行った。30μm径レーザー光を用いた最大5,000ショットでおよそ10,000細胞/キャップを取得した。
[0081]
LCM採取組織からのタンパク質の単離については、腫瘍組織から全ての膜含有顕微解剖細胞を取り出し、そのまま1.5mLエッペンドルフ管に入れ、SDS−PAGEを用いて処理した。膜含有顕微解剖細胞を25μLのSDSサンプルバッファー及び10μLの水に懸濁させ、5μL 500mMジチオトレイトールで還元し、70〜80℃の水浴中でおよそ10分間加熱した。次に、上清を4〜12%ビス−トリスゲルでおよそ2cm電気泳動させ、コロイダルブルーで染色し、水で脱染した。
[0082]
全2cmゲル領域を切り出し、100mM重炭酸アンモニウムで15分間洗浄した。液体を廃棄し、新鮮な100mM重炭酸アンモニウムに置き換え、タンパク質を55℃にて20分間5mMジチオトレイトールで還元した。室温に冷却した後、ヨードアセトアミドを加えて終濃度10mMとし、サンプルを暗所、20分間室温で置いた。溶液を廃棄し、ゲル片を50%アセトニトリル/50mM重炭酸アンモニウムで20分間洗浄した後、100%アセトニトリルで脱水した。液体を除去し、ゲル片を完全に乾燥させ、100mM NH4HCO3中0.5μgの変性トリプシン(Promega)で再膨潤させ、一晩37℃で消化した。60%アセトニトリル/0.1%TFAを3回交換することによりペプチドを抽出し、全ての抽出液を合わせ、真空乾燥させた。サンプルをLC−MS/MS分析のために35μL 0.1%ギ酸で再構成した。
[0083]
実施例5:質量分析
ペプチド混合物を適当な容量の2%アセトニトリル/0.1%ギ酸に再懸濁させ、いくつかの方法のいずれかによる質量分析により分析した。
[0084]
多重反応モニタリング(MRM)による特定のペプチドの標的化分析のためには、一般に三連四重極式装置が使用された。簡単に述べれば、標的プリカーサイオン及び各プロダクトイオントランジションを選択し、ペプチドの候補リストのためのMRM法を開発するために使用した。実験は、全トランジションがLC勾配の全長にわたってスキャンされる非スケジュール化様式で実施することができる。1回の分析でより多数のトランジションのモニタリングを可能とするより効率的なアプローチは、スケジュール型又はタイムド型の取得を使用するためのものであった。各ペプチドのLC保持時間情報を用い、特定のペプチドのデータの取得は、ペプチドの保持時間を中心とした指定の保持時間枠でのみスキャンした。このようにして、各ペプチドに関してより多くのスキャンを収集し、それにより定量を改善することができる。適当な容量のペプチド消化物を逆相カラムに注入し、質量分析により分析した。Thermo TSQ Vantage三連四重極式機器の代表的な機器操作パラメーターは、スプレー電圧1300V、及びキャピラリー温度210℃、Q1及びQ3ユニット分解能0.7FWHM、Q2アルゴンガス圧1.5mトル、スキャン幅0.005m/z、及び滞留時間10ミリ秒を含んだ。データを取得し、.rawファイルで収集し、これを次にSkylineソフトウエアを用いて分析した。
[0085]
並列反応モニタリング(PRM)により特定のペプチドの標的化分析のためには、Q−Exactiveハイブリッド四重極−オービトラップ質量分析計を使用した。被分析ペプチドのプリカーサイオン単離リストは、被測定タンパク質のSkylineソフトウエア分析からエクスポートすることができ、標的プリカーサm/z値のリストは、インクルージョンリストにインポートされる。MRMに関して記載したものと同様の様式でスケジュール化分析を実行するために、保持時間も含めることができる。この方法は、1回のフルSIM MSスキャンとその後の15回のt−MS2スキャンイベントを含むように構成された。MRM分析とは異なり、プリカーサ値だけをモニタリングし、プロダクトイオンは取得後のデータから抽出した。データは.rawファイルとして収集し、Skylineソフトウエアを用いて分析した。
[0086]
実施例6:安定同位体希釈による標的化分析のための較正
MRM及びPRM分析により分析されたサンプルにおいて測定ペプチド標的の量を決定するために検量線を作成した。これは、あるオンカラム濃度範囲(例えば、1アトモル/μL〜100フェムトモル/μL)の合成12C14Nペプチドからなる標準曲線が、バックグラウンドサンプルマトリックス(例えば、組織、血漿など)中での連続希釈から作製された安定同位体希釈と一定の濃度の13C15N同位体標識ペプチドを用いて行った。12C14Nペプチド対13C15N同位体標識ペプチドのピーク面積の比を用いて検量線を作成した。この応答曲線を用いて各ペプチドの出限界及び定量値を求めることができた。
[0087]
被分析組織サンプルからのペプチド消化物に、検量線の作成に使用した13C15N同位体標識ペプチドを同レベルで添加した。内在標的ペプチド対対応する13C15N同位体標識ペプチドとのピーク面積比を用いて、検量線からサンプル中のタンパク質の量を計算した。
[0088]
実施例7:Skylineによるデータ分析
オープンソースソフトウエアアプリケーションSkylineを、MRM又はPRM分析でモニタリングするペプチド及びフラグメンテーショントランジションの選択を含む方法開発に使用した。Skylineは又、全てのMRM及びPRMデータセットからのシグナルの統合のための分析システムも提供する。Skylineは、容易なデータ共有及びカスタムレポートの作成を助けるベンダーニュートラルソフトウエアである。全てのピーク面積の積分はSkylineを用いて行った。ピーク面積、ピーク高さ及びクロマトグラフィーパラメーターを含み得る処理データを、更なる統計分析のためにSkylineから.csvファイルに直接エクスポートした。
[0089]
実施例8:プロテオ型ペプチドの質量分析による結腸癌検体におけるERBB1の測定
一実施形態では、開示の方法を用いて、特定の結腸直腸癌の治療における治療薬セツキシマブの標的であるタンパク質ERBB1(上皮細胞成長因子受容体)の存在量を測定した。
[0090]
結腸直腸癌に関するベンチマークタンパク質を特定した。結腸直腸癌のベンチマークタンパク質は、Zhang et al., Proteogenomic characterization of human colon and rectal cancer, Nature 513:382-387 (2014)により記載されているデータセットから特定し、記載される95の腫瘍の収集物で存在量に10%未満の変動を示すタンパク質を含んだ。このようにして特定されたベンチマークタンパク質には、ACTB、TUBA4A、IQGAP1、RPS3、AP1B1、EIF3K、及びWASF2が含まれる。
[0091]
成分特異的タンパク質は、レーザー捕捉顕微解剖により18の結腸直腸腫瘍から採取された癌腫細胞成分の質量分析によって得られたデータに基づいて選択した。このようにして特定された癌腫細胞成分特異的タンパク質は、46のタンパク質(BCAP31、CCT4、CCT6A、CYC1、DARS、DDX3X、DHX15、ECH1、EIF4A3、FASN、HNRNPA3、HNRNPAB、HNRNPL、HSD17B4、ILF3、IMMT、KARS、KHDRBS1、LGALS3BP、LRPPRC、PA2G4、PABPC1、PAICS、PRDX5、PSMA6、PSMA7、RAB14、RAB5C、RALY、RBMX、RHOA、RPL26、RPL28、RPL9、RPN2、RUVBL1、SF3B3、SHMT2、SLC12A2、SRSF1、SSB、TFRC、TMPO、TOP1、VDAC1、VDAC3)の「癌腫細胞シグネチャー」を形成する。
[0092]
純粋な結腸癌腫細胞調製物では、46のシグネチャータンパク質からの全プロテオミクスシグナルは、質量分析シグナル全体のおよそ3%である。この割合のロバストな定量値は純粋な癌腫細胞から生成され、未知の純度の腫瘍サンプルにおける癌腫細胞割合のベンチマークとして使用される。例えば、癌腫細胞シグネチャーから得られたプロテオミクスシグナルがプロテオミクスシグナル全体の2.7%であれば、その腫瘍サンプルの純度は90%(2.7/3.0)と推定される。このパラメーターは、プロテオミクス癌腫スコアと呼ばれる。このタンパク質により導出されたパラメーターを、ESTIMATEスコアを生成するRNAシークエンシングに基づく確立された方法(Yoshihara et al., Inferring tumor cell purity and stromal and immune cell admixture from expression data, Nat.Commun.4:2612 (2013))と比較した。図5に示されるように、プロテオミクス癌腫スコアとESTIMATEスコアには高い相関がある(ピアソン相関>0.89)。プロテオミクス癌腫スコアはまた、サンプルの組織学的検査によって決定される癌腫細胞パーセンテージとも相関がある(ピアソン相関>0.77)(図6)。プロテオミクス癌腫スコアは標的タンパク質の存在量の測定値を補正するためには使用されないが、本実施例は、成分特異的タンパク質の測定値が癌腫細胞からなる生物検体の割合を正確に表すことを実証する。
[0093]
本実施例については、選択されたベンチマークタンパク質はACTBであり、そのプロテオ型ペプチドGYSFTTTAERを通じて測定された。選択された結腸癌腫成分特異的タンパク質はRALYであり、そのプロテオ型ペプチドGYAFVQYSNERを通じて測定された。ERBB1の測定のために選択されたプロテオ型ペプチドはIPLENLQIIRであった。
[0094]
全ての被測定プロテオ型ペプチドの検量線は、以下のサンプル調製ワークフロー及び後の検体の分析のために使用した質量分析プラットフォームを用いて作成した。ベンチマークプロテオ型ペプチドGYSFTTTAER(ACTB)、結腸癌腫成分特異的プロテオ型ペプチドGYAFVQYSNER(RALY)及びERBB1プロテオ型ペプチドIPLENLQIIRの合成(非標識(「軽」)及び安定同位体標識(「重」))標準品は、New England Peptide社から入手し、HPLC−UV及びLC−MS分析で決定したところ同位体純度>99%及びペプチド純度>95%であった。重標準品は、C13及びN15で均一に標識されたC末端リシン又はアルギニンを含んでいた。重標識ペプチドの絶対濃度はアミノ酸分析により決定された。一定レベル5フェムトモル/μLの重ペプチド及び高値100フェムトモル/μLから低値0.025フェムトモル/μLまで変動する量の軽ペプチドを添加することにより、各ペプチド対に関して8点検量線を作成した。全濃度点にわたるアッセイの直線性を評価し、軽/重アイソトポマーのピーク面積比を用いてアナライト濃度を決定するための式として、記載のようなSkylineインターフェース(Addona, T.et al., Multi-site assessment of the precision and reproducibility of multiple reaction monitoring-based measurements of proteins in plasma, Nat Biotechnol 27:633-641 (2009))を介して実装されたQuaSAR(Mani, D.R.et al., Statistical characterization of multiple-reaction monitoring mass spectrometry (MRM-MS) assays for quantitative proteomics.BMC Bioinformatics 13 Suppl 16, S9 (2012))と一貫性のあるものを定義した。全てのSIDアッセイについて、重ペプチドは、正規化及び絶対的定量を可能とするために5フェムトモル/μLで添加した。
[0095]
組織検体はホルマリン固定、パラフィン包埋組織の5ミクロン切片として提供した。2切片からの材料をかみそりの刃を用いてつぶし、1.5mLのマイクロ遠心管に入れた。パラフィンは、1mlのキシレンサブスティチュートSub−Xの3回の洗浄で除去し、組織を100%、85%、及び70%エタノールのそれぞれ1mLで2回の洗浄で再水和した。脱パラフィンし、再水和した組織を100μLのトリフルオロエタノール及び100μLの100mM重炭酸アンモニウム、pH8に再懸濁させた。更なるバッファーが必要とされた場合には、等容量のトリフルオロエタノール及び100mM重炭酸アンモニウムpH8.0を相応に加えた。サンプルを、Fisher Scientific Sonic Dismembratorモデル100を用い、20ワットの設定で20秒間音波処理した後、氷上で30秒冷却した。この音波処理工程を2回繰り返し、音波処理間にはサンプルを氷上に置いた。得られたホモジネートを60℃にて1000rpmで1時間、振盪しながら加熱した後、上記のように2回目の音波処理工程を行った。タンパク質測定値は、各サンプルについて、製造者のプロトコールを用い、BCAタンパク質アッセイ(Thermo Fisher Pierce、ロックフォード、IL)を使用して得た。
[0096]
100μgタンパク質相当のアリコートを取り出し、60℃にて30分間ジチオトレイトール(50mM)で還元した後、暗所、室温で20分間、ヨードアセトアミド(100mM)でアルキル化した。この溶解液を、トリフルオロエタノール濃度を10%に引き下げるために適当な容量の50mM重炭酸アンモニウム、pH8.0で希釈し、トリプシンを1:50(w:w)の比で加え、一晩37℃で消化を進めた。消化混合物を−80℃で凍結させ、凍結乾燥させた。凍結乾燥サンプルを350μLの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードの水に再懸濁させ、1分間激しくボルテックス混合し、Oasis HLB96ウェルμElutionプレート(粒径30μm、ウェル当たりの固定相含量5mg;Waters Corp.、ミルフォード、MA)を用いて脱塩し、ここで、各ウェルを500μLのアセトニトリルで予備洗浄し、750μLのHPLCグレードの水で平衡化した。フロースルーを廃棄し、プレートを500μLのHPLCグレードの水で洗浄し、ペプチドを80%アセトニトリルで溶出させ、溶出液を真空で蒸発乾燥させた。サンプルを更なる分析まで冷凍庫で保存した。分析時、サンプルを2%アセトニトリル/0.1%ギ酸で再構成して0.5μg/μLの濃度とした。
[0097]
次に、結腸直腸癌腫検体由来のペプチドを定量的質量分析により分析し、ERBB1、癌腫成分特異的タンパク質RALY、及びベンチマークタンパク質ACTBを表すプロテオ型ペプチドを各検体について定量した。標的化質量分析アッセイは、Proxeon nLC1000 LC(Thermo Fisher Scientific)及びNanoflexイオン源(Thermo Fisher Scientific)を備えたThermo Fisher Scientific Q Exactive機で行った。使用した機器分析法は、記載の通りの(Gallien, S., et al., Targeted proteomic quantification on a quadrupole-Orbitrap mass spectrometer, Mol.Cell.Proteomics 11:1709-1723 (2012))並列反応モニタリング(PRM)であった。PRM分析については、ペプチドを、粒径0.003μm及び孔径120ÅのReproSil−Pur C18−AQ樹脂(Dr.Maisch GmbH、アンマーブーフ−エントリンゲン、ドイツ)を充填した内径0.075μmの11cm長カラム(New Objective、PF360−75−10−N−5)にて、100分勾配:5分で2〜5%アセトニトリル、次いで85分で5〜35%アセトニトリル、次いで3分で35〜90%アセトニトリル、その後7分90%アセトニトリル、全て流速300nL/分で分離した。PRM法は、プロファイルデータとして記録される、AGC値3 e6、最大インジェクション時間64ミリ秒、及びスキャン範囲m/z380〜1500で、分解能17,500でのMS1スキャンからなった。この後、AGC値1 e5、最大インジェクション時間80ミリ秒、2.0m/zアイソレーションウインドウ、フィックスト・ファースト・マス(fixed first mass)150m/z、正規化衝突エネルギー27で、プロファイルデータとして記録する分解能17,500での14回の標的化MS2スキャンを行った。標的化MS2法は、非スケジュール化取得を用いて分析した。PRMランはSkyline(MacLean B.et al., Skyline: an open source document editor for creating and analyzing targeted proteomics experiments, Bioinformatics 26:966-968 (2010))を用いて分析し、ペプチド当たり4〜5のトランジションを定量的分析に使用した。
[0098]
次に、検体におけるERBB1、癌腫成分特異的タンパク質RALY、及びベンチマークタンパク質ACTBの測定量を、それらの各検量線を用い、それらの定量されたプロテオ型ペプチドから計算した(図7)。癌腫成分特異的タンパク質RALYの測定量をベンチマークタンパク質ACTBの測定量で割って、各検体の癌腫成分特異的係数を得、これは46の癌腫シグネチャータンパク質のデータから生成したプロテオミクス癌腫スコアと高い相関を有する(図8)。
[0099]
ERBB1測定値を癌腫成分特異的係数で割って、各検体の癌腫細胞成分補正ERBB1含量(ERBB1標的値)を得た(図7)。補正をしなければ、ERBB1の測定値は、タンパク質1マイクログラム当たり0.2〜2.5フェムトモルの変動がある。癌腫成分特異的補正の適用により、ERBB1の測定値は、癌腫細胞の割合の違いに関して補正され、癌腫細胞含量に比例して変動する。異なる結腸直腸癌腫検体間のERBB1タンパク質存在量の比較は、各検体について特定された癌腫細胞成分補正ERBB1含量(ERBB1標的値)に基づいて行った。治療上有効な量のセツキシマブの投与又は治療上有効な量のパニツムマブの投与などのERBB1拮抗薬での処置のための被験体を特定するために、異なる被験体からの結腸癌腫検体間のERBB1標的値の比較、及び/又は異なる被験体由来の結腸癌腫検体からのERBB1標的値と所定の閾値の比較を用いることができる。被験体のERBB1標的値が所定の閾値標的値を超えれば、それらの被験体は治療上有効な量のセツキシマブ又は治療上有効な量のパニツムマブなどのERBB1拮抗薬で処置することができる。
[00100]
実施例9:タンパク質分解性ペプチド質量分析による乳癌検体におけるERBB2の測定
別の実施形態では、開示の方法は、特定の乳癌の処置において治療薬トラスツズマブ(traztuzumab)の標的であるタンパク質ERBB2(Her2タンパク質)の存在量を測定するために使用されよう。乳癌検体のためのERBB2分析の構成は以下に示すように進められる。
[00101]
ベンチマークタンパク質を乳癌腫瘍検体に関して特定する。乳癌におけるベンチマークタンパク質は、米国国立癌研究所臨床プロテオーム解析腫瘍コンソーシアムにより記載されているデータセット(https://cptac-data-portal.georgetown.edu/cptacPublic/で入手可能)から特定することができ、記載の105の腫瘍の収集物で存在量に10%未満の変動を示すタンパク質を含み得る。このようにして特定されるベンチマークタンパク質としては、ACTB、ACTG1、ACTG2、ANXA2、ENO3及びその他が含まれる。
[00102]
成分特異的タンパク質は、レーザー捕捉顕微解剖により150の乳房腫瘍から採取された細胞及び間質成分の質量分析によって得られるデータに基づいて選択される。このようにして特定される乳癌細胞成分特異的タンパク質としては、NONO、RPL3、RPL4、LRPPRC、PDIA3、IDH2、HNRNPA3及びその他が含まれる。加えて、標的タンパク質ERBB2、ベンチマークタンパク質及び乳癌成分特異的タンパク質のプロテオ型ペプチドが特定される。
[00103]
全ての被測定プロテオ型ペプチドの検量線を、後の検体の分析に使用される質量分析プラットフォームを用いて作成する。
[00104]
タンパク質を乳癌検体から抽出し、タンパク質分解切断を行ってペプチドとし、乳癌検体由来のペプチドを定量的質量分析により分析し、ERBB2、乳癌成分特異的タンパク質、及びベンチマークタンパク質を表すプロテオ型ペプチドを各検体について定量する。次に、検体におけるERBB2、乳癌成分特異的タンパク質、及びベンチマークタンパク質の測定量を、それらの各検量線を用い、それらの定量プロテオ型ペプチドから計算する。ベンチマークタンパク質の測定量と乳癌成分特異的タンパク質の測定量の比を計算して、各検体の乳癌細胞成分係数を得る。
[00105]
ERBB2タンパク質の測定量に乳癌細胞成分係数を掛け、それにより乳癌細胞成分補正ERBB2含量(ERBB2標的値)を得る。異なる乳癌検体間のERBB2タンパク質存在量の比較は、各検体について特定された乳癌細胞成分補正ERBB2含量(ERBB2標的値)に基づいて行う。治療上有効な量のトラスツズマブ(traztuzumab)の投与などERBB2拮抗薬による処置のための被験体を選択するために、異なる被験体からの乳癌検体間のERBB2標的値の比較、及び/又は、異なる被験体由来の乳癌検体からのERBB2標的値と所定の閾値との比較を用いることができる。
[00106]
実施例10:プロテオ型ペプチドの質量分析による結腸癌腫検体における免疫浸潤の分析
別の実施形態では、開示の方法は、ニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害薬を用いた療法に対する結腸直腸癌の応答の決定因子である結腸直腸腫瘍のT細胞浸潤を測定するために使用される。
[00107]
ベンチマークタンパク質を結腸直腸癌腫に関して特定する。結腸直腸癌腫におけるベンチマークタンパク質は、Zhang et al., Proteogenomic characterization of human colon and rectal cancer, Nature 513:382-387 (2014)により記載されているデータセットから特定することができ、記載の90の腫瘍の収集物で存在量に10%未満の変動を示すタンパク質を含む。このようにして特定されるベンチマークタンパク質としては、ACTB、TUBA4A、IQGAP1、RPS3、AP1B1、EIF3K及びWASF2が含まれる。
[00108]
成分特異的タンパク質は、レーザー捕捉顕微解剖により18の結腸直腸腫瘍から採取された癌腫細胞成分の質量分析によって得られるデータに基づき選択される。このようにして特定される癌腫細胞成分特異的タンパク質は、46のタンパク質(BCAP31、CCT4、CCT6A、CYC1、DARS、DDX3X、DHX15、ECH1、EIF4A3、FASN、HNRNPA3、HNRNPAB、HNRNPL、HSD17B4、ILF3、IMMT、KARS、KHDRBS1、LGALS3BP、LRPPRC、PA2G4、PABPC1、PAICS、PRDX5、PSMA6、PSMA7、RAB14、RAB5C、RALY、RBMX、RHOA、RPL26、RPL28、RPL9、RPN2、RUVBL1、SF3B3、SHMT2、SLC12A2、SRSF1、SSB、TFRC、TMPO、TOP1、VDAC1、VDAC3)の「癌腫細胞シグネチャー」を形成する。
[00109]
純粋な結腸癌腫細胞調製物において、46のシグネチャータンパク質からの全プロテオミクスシグナルは質量分析シグナル全体のおよそ3%である。この割合のロバストな定量値は純粋な癌腫細胞から生成され、未知の純度の腫瘍サンプルにおける癌腫細胞割合のベンチマークとして使用される。例えば、癌腫細胞シグネチャーから得られたプロテオミクスシグナルがプロテオミクスシグナル全体の2.7%であれば、その腫瘍サンプルの純度は90%(2.7/3.0)と推定される。このパラメーターは、プロテオミクス癌腫スコアと呼ばれる。このタンパク質により導出されたパラメーターを、ESTIMATEスコアを生成するRNAシークエンシングに基づく確立された方法(Yoshihara et al., Inferring tumor cell purity and stromal and immune cell admixture from expression data, Nat.Commun.4:2612 (2013))と比較する。図5に示されるように、プロテオミクス癌腫スコアとESTIMATEスコアには高い相関がある(ピアソン相関>0.89)。プロテオミクス癌腫スコアは又、サンプルの組織学的検査によって決定される癌腫細胞パーセンテージとも相関がある(ピアソン相関>0.77)(図6)。プロテオミクス癌腫スコアは標的タンパク質の存在量の測定値を補正するためには使用されないが、本実施例は、成分特異的タンパク質の測定値が癌腫細胞からなる生物検体の割合を正確に表すことを実証する。
[00110]
T細胞マーカータンパク質として選択される標的タンパク質は、T細胞受容体タンパク質成分CD3D、CD3E、CD3G、ZAP70、及びTRAC及びその他として特定される。制御性T細胞(Tregとしても知られる)の指標であるT細胞マーカータンパク質としては、タンパク質CD4、FOXP3、及びその他が含まれる。細胞傷害性T細胞の指標であるT細胞マーカータンパク質は、タンパク質CD8A、CD8B、及びその他を含む。加えて、標的タンパク質、ベンチマークタンパク質、及び成分特異的タンパク質のプロテオ型ペプチドも特定される。
[00111]
本実施例について、選択されるベンチマークタンパク質はACTBであり得、そのプロテオ型ペプチドGYSFTTTAERにより測定することができる。結腸癌腫成分特異的タンパク質はRALYであり得、そのプロテオ型ペプチドGYAFVQYSNERにより測定することができる。標的タンパク質はCD4及びCD8Bであり得、プロテオ型ペプチドILGNQGSFLTK及びGTIHGEEVEQEKによりそれぞれ測定することができる。
[00112]
全ての被測定プロテオ型ペプチドの検量線は、以下のサンプル調製ワークフロー及び後の検体の分析のために使用される質量分析プラットフォームを用いて作成される。ベンチマークプロテオ型ペプチドGYSFTTTAER(ACTB)、結腸癌腫成分特異的プロテオ型ペプチドGYAFVQYSNER(RALY)、CD4標的プロテオ型ペプチドILGNQGSFLTK及びCD8B標的プロテオ型ペプチドGTIHGEEVEQEKの合成(非標識(「軽」)及び安定同位体標識(「重」)標準品は、New England Peptide社から入手可能であり、HPLC−UV及びLC−MS分析で決定すると同位体純度>99%及びペプチド純度>95%であるべきである。重標準品は、C13及びN15で均一に標識されたC末端リシン又はアルギニンを含んでいた。重標識ペプチドの絶対濃度はアミノ酸分析により決定することができる。一定レベル5フェムトモル/μLの重ペプチド及び高値100フェムトモル/μLから低値0.025フェムトモル/μLまで変動する量の軽ペプチドを添加することにより、各ペプチド対に関して8点検量線を作成することができる。全濃度点にわたるアッセイの直線性を評価することができ、軽/重アイソトポマーのピーク面積比を用いてアナライト濃度を決定するための式として、記載のようなSkylineインターフェース(Addona, T.et al., Multi-site assessment of the precision and reproducibility of multiple reaction monitoring-based measurements of proteins in plasma, Nat Biotechnol 27:633-641 (2009))を介して実装され得るQuaSAR(Mani, D.R.et al., Statistical characterization of multiple-reaction monitoring mass spectrometry (MRM-MS)と一貫性のあるものを定義することができる。全てのSIDアッセイについて、重ペプチドは、正規化及び絶対的定量を可能とするために5フェムトモル/μLで添加することができる。
[00113]
組織検体はホルマリン固定、パラフィン包埋組織の5ミクロン切片として提供され得る。切片からの材料をかみそりの刃を用いてつぶし、1.5mLのマイクロ遠心管に入れた。パラフィンは、1mlのキシレンサブスティチュートSub−Xの3回の洗浄で除去し、組織を100%、85%、及び70%エタノールのそれぞれ1mLで2回の洗浄で再水和する。脱パラフィンし、再水和した組織を100μLのトリフルオロエタノール及び100μLの100mM重炭酸アンモニウム、pH8に再懸濁させることができる。更なるバッファーが必要とされる場合には、等容量のトリフルオロエタノール及び100mM重炭酸アンモニウムpH8.0を相応に加えることができる。サンプルを、Fisher Scientific Sonic Dismembratorモデル100を用い、20ワットの設定で20秒間音波処理した後、氷上で30秒冷却する。この音波処理工程を2回繰り返し、音波処理間にはサンプルを氷上に置く。得られたホモジネートを60℃にて1000rpmで1時間、振盪しながら加熱した後、上記のように2回目の音波処理工程を行う。タンパク質測定値は、各サンプルについて、製造者のプロトコールを用い、BCAタンパク質アッセイ(ThermoFisher Pierce、ロックフォード、IL)を使用して得る。
[00114]
100μgタンパク質相当のアリコートを取り出し、60℃にて30分間ジチオトレイトール(50mM)で還元した後、暗所、室温で20分間、ヨードアセトアミド(100mM)でアルキル化する。この溶解液を、TFE濃度を10%に引き下げるために適当な容量の50mM重炭酸アンモニウム、pH8.0で希釈し、トリプシンを1:50(w:w)の比で加え、一晩37℃で消化を進める。消化混合物を−80℃で凍結させ、凍結乾燥させる。凍結乾燥サンプルを350μLの高速液体クロマトグラフィー(HPLC)グレードの水に再懸濁させ、1分間激しくボルテックス混合し、Oasis HLB96ウェルμElutionプレート(粒径30μm、ウェル当たりの固定相含量5mg;Waters Corp.、ミルフォード、MA)を用いて脱塩し、ここで、各ウェルを500μLのアセトニトリルで予備洗浄し、750μLのHPLCグレードの水で平衡化する。フロースルーを廃棄し、プレートを500μLのHPLCグレードの水で洗浄し、ペプチドを80%アセトニトリルで溶出させ、溶出液を真空で蒸発乾燥させる。サンプルを更なる分析まで冷凍庫で保存する。分析時、サンプルを2%アセトニトリル/0.1%ギ酸で再構成して0.5μg/μLの濃度とする。
[00115]
次に、結腸直腸癌腫検体由来のペプチドを定量的質量分析により分析し、CD4及びCD8B、癌腫成分特異的タンパク質RALY、及びベンチマークタンパク質ACTBを表すプロテオ型ペプチドを各検体について定量する。標的化質量分析アッセイは、Proxeon nLC1000 LC(ThermoFisher Scientific)及びNanoflexイオン源(ThermoFisher Scientific)を備えたThermoFisher Scientific Q Exactive機で行う。機器分析法は、記載の通りの(Gallien, S., et al., Targeted proteomic quantification on a quadrupole-Orbitrap mass spectrometer, Mol.Cell.Proteomics 11:1709-1723 (2012))並列反応モニタリング(PRM)であり得る。PRM分析については、ペプチドを、粒径0.003μm及び孔径120ÅのReproSil−Pur C18−AQ樹脂(Dr.Maisch GmbH、アンマーブーフ−エントリンゲン、ドイツ)を充填した内径0.075μmの11cm長カラム(New Objective、PF360−75−10−N−5)にて、100分勾配:5分で2〜5%アセトニトリル、次いで85分で5〜35%アセトニトリル、次いで3分で35〜90%アセトニトリル、その後7分90%アセトニトリル、全て流速300nL/分で分離する。PRM法は、プロファイルデータとして記録される、AGC値3 e6、最大インジェクション時間64ミリ秒、及びスキャン範囲m/z380〜1500で、分解能17,500でのMS1スキャンからなる。この後、AGC値1 e5、最大インジェクション時間80ミリ秒、2.0m/zアイソレーションウインドウ、フィックスト・ファースト・マス150m/z、正規化衝突エネルギー27で、プロファイルデータとして記録する分解能17,500での14回の標的化MS2スキャンを行う。標的化MS2法は、非スケジュール化取得を用いて分析する。PRMランはSkyline(MacLean B.et al., Skyline: an open source document editor for creating and analyzing targeted proteomics experiments, Bioinformatics 26:966-968 (2010))を用いて分析し、ペプチド当たり4〜5のトランジションを定量的分析に使用することができる。
[00116]
検体における標的T細胞マーカータンパク質、癌腫成分特異的タンパク質、及びベンチマークタンパク質の測定量を、それらの各検量線を用い、それらの定量されたプロテオ型ペプチドから計算する。ベンチマークタンパク質の測定量と癌腫成分特異的タンパク質の測定量の比を計算して、各検体の癌腫成分係数を得る。
[00117]
各標的T細胞マーカータンパク質の測定量に癌腫成分係数を掛け、それにより癌腫細胞成分補正T細胞マーカー含量(T細胞マーカー標的値)を得る。グローバルT細胞/癌腫富化値は、CD3D、CD3E、CD3G、ZAP70、TRAC及びその他のうち1以上の標的値から計算する。Treg/癌腫富化値は、CD4、FOXP3、及びその他のうち1以上の標的値から計算する。細胞傷害性T細胞/癌腫富化値は、CD8A、CD8B、及びその他の1以上の標的値から計算する。異なる結腸直腸癌腫検体間のT細胞浸潤の比較は、各検体に関して特定されたグローバルT細胞/腫瘍富化値、Treg/腫瘍富化値及び細胞傷害性T細胞/腫瘍富化値に基づいて行う。これらの値は、細胞傷害性T細胞による高い浸潤度が免疫チェックポイント阻害剤ペンブロリズマブに対する治療薬応答のより高い応答と関連している(Tumeh et al., PD-1 blockade induces responses by inhibiting adaptive immune resistance, Nature 515:568-571 (2014))黒色腫などの癌の処置のための免疫治療薬の選択に情報を与える。又、高い細胞傷害性T細胞/腫瘍富化値及び低いTreg/腫瘍富化値を有する癌腫検体も、ニボルマブなどの他の免疫チェックポイント阻害剤を用いた療法のために選択され得る。
[00118]
実施例11:イムノアッセイによる肺腺癌検体におけるPD−L1の測定
別の実施形態では、開示の方法は、肺腺癌の処置における治療薬アテゾリズマブの標的であるタンパク質PD−L1の存在量を測定するために使用されよう。肺腺癌検体のためのPD−L1分析の構成は以下に示すように進められる。
[00119]
ベンチマークタンパク質を腺癌検体に関して特定することができる。腺癌におけるベンチマークタンパク質は、従前に記載された(Kikuchi et al., In-depth proteomic analysis of non-small cell lung cancer to discover molecular targets and biomarkers, Mol.Cell.Proteomics 11:916-932 (2012))データセットから特定することができ、記載の腺癌及び適合する正常組織の収集物で存在量に10%未満の変動を示すタンパク質を含み得る。このようにして特定されるベンチマークタンパク質としては、SFN、HSP90B1、NPM1、THBS1、及びその他が含まれる。
[00120]
肺腺癌成分特異的タンパク質は、記載のような(Kikuchi et al., In-depth proteomic analysis of non-small cell lung cancer to discover molecular targets and biomarkers, Mol.Cell.Proteomics 11:916-932 (2012))肺腺癌及び正常肺組織の質量分析により得られたデータに基づいて選択することができ、腺癌で検出され、適合する正常組織では検出されないタンパク質を含み得る。このようにして特定される肺腺癌成分特異的タンパク質としては、CALCA、CHGB、PCSK1、VIL1、及びその他が含まれる。
[00121]
サンドイッチELISAのための抗体対の選択は幾何学的検査試験により行われ、ここでは、候補抗体の能力がまず標的タンパク質の捕捉効率に関して評価される。ひと度、最も高い親和性捕捉試薬が特定されれば、次に、捕捉複合体を標識する能力に関して他の抗体が評価される。検出抗体は、基質に対する酵素の作用によって比色法により検出可能な生成物を生産することで検出を可能とするようにセイヨウワサビペルオキシダーゼなどの酵素で標識することができる。あるいは、検出抗体は、有色又は蛍光生成物を生産することができるストレプトアビジンコンジュゲート酵素と結合可能なビオチンで標識することができる。検出は、96ウェル又は384ウェルプレート形式で、比色定量又は蛍光測定検出によって行うことができる。その他の標識選択肢には、検出抗体と、アッセイが電極を装備した分析装置で行われる場合に発光検出を可能とする電気化学発光試薬とのコンジュゲーションが含まれる。ELISAプラットフォームの他の変形としては、単一分子捕捉イベントの検出を可能とし、それにより従来のプレートに基づくELISAよりも2〜4桁高い感度を提供するためのフェムトリットル反応容器アレイ又はレーザーフローサイトメトリーが含まれる。
[00122]
プレートに基づく単一アナライトELISAに代わるものとしてマルチプレックスプラットフォームがあり、ここでは、サンドイッチELISAがビーズに基づくシステム上で行われ、各ビーズは異なる標的タンパク質に対する捕捉抗体を含有し、各ビーズは又明瞭に異なる蛍光団でも標識される。これらのビーズ標識蛍光団は、混合物における各ビーズの、ビーズ上に固定化されている特異的抗体のアイデンティティとの関連付けを可能とする。標的タンパク質を含有する溶液をビーズの混合物とともにインキュベートすると、標的タンパク質がそれらの同族捕捉抗体により捕捉される。検出抗体の混合物を添加すると抗体−タンパク質複合体のそれぞれが標識され、これらはその後、明瞭に異なる各ビーズ−捕捉抗体複合体のアイデンティティ及び対応する検出抗体からの蛍光シグナルを記録するフローストリームにおいて蛍光により検出される。このプラットフォームを用い、マルチプレックスELISAが同時に実施される。
[00123]
抗体−タンパク質認識の特異性は被分析タンパク質の折りたたみ及び構造に依存するところが大きい可能性があるので、非変性条件下で組織からタンパク質を抽出するためには注意を払わなければならない。従って、抽出は中性pHで、生理学的イオン強度の溶液を用いて行われるべきである。抽出の際にタンパク質の可溶化を可能とするために界面活性剤が使用されてもよく、界面活性剤及びカオトロピック剤はタンパク質を変性させ得る。よって、各ELISAは、測定に対する人為的効果を最小限にするために、組織抽出に使用される条件下でタンパク質標準品を用いて試験されるべきである。
[00124]
肺腺癌ベンチマークタンパク質、肺腺癌成分特異的タンパク質及びPD−L1に関する検量線は、後の検体の分析に使用されるELISAプラットフォームを用いて作成される。
[00125]
タンパク質を腺癌検体から抽出し、ELISAにより分析し、各検体についてPD−L1、肺腺癌成分特異的タンパク質、及び肺腺癌ベンチマークタンパク質を定量する。次に、検体においてPD−L1、肺腺癌成分特異的タンパク質、及びベンチマークタンパク質の測定量を、それらの各検量線を用い、それらのELISAから計算する。肺腺癌ベンチマークタンパク質の測定量と肺腺癌成分特異的タンパク質の測定量の比を計算して、各検体の肺腺癌細胞成分係数を得る。
[00126]
PD−L1タンパク質の測定量に肺腺癌細胞成分係数を掛け、それにより肺腺癌細胞成分補正PD−L1含量(PD−L1標的値)を得る。異なる肺腺癌検体間のPD−L1タンパク質存在量の比較は、各検体について特定された肺腺癌細胞成分補正PD−L1含量(PD−L1標的値)に基づいて行う。治療上有効な量のアテゾリズマブの投与などのPD−L1拮抗薬による処置のための被験体を選択するために、異なる被験体由来の肺腺癌検体間のPD−L1標的値の比較、及び/又は異なる被験体由来の肺腺癌検体からのPD−L1標的値と所定の閾値との比較を用いることができる。
[00127]
実施例12.アプタマーアッセイによる肺腺癌検体におけるPD−L1の測定
別の実施形態では、開示の方法は、肺腺癌の処置における治療薬アテゾリズマブの標的であるタンパク質PD−L1の存在量を測定するために使用されよう。肺腺癌検体のためのPD−L1分析の構成は以下に示すように進められる。
[00128]
ベンチマークタンパク質を腺癌検体に関して特定することができる。腺癌におけるベンチマークタンパク質は、従前に記載された(Kikuchi et al., In-depth proteomic analysis of nonsmall cell lung cancer to discover molecular targets and biomarkers, Mol.Cell.Proteomics 11:916-932 (2012))データセットから特定することができ、記載の腺癌及び適合する正常組織の収集物で存在量に10%未満の変動を示すタンパク質を含み得る。このようにして特定されるベンチマークタンパク質としては、SFN、HSP90B1、NPM1、THBS1、及びその他が含まれる。
[00129]
肺腺癌成分特異的タンパク質は、記載のような(Kikuchi et al., In-depth proteomic analysis of nonsmall cell lung cancer to discover molecular targets and biomarkers, Mol.Cell.Proteomics 11:916-932 (2012))肺腺癌及び正常肺組織の質量分析により得られたデータに基づいて選択することができ、腺癌で検出され、適合する正常組織では検出されないタンパク質を含み得る。このようにして特定される肺腺癌成分特異的タンパク質としては、CALCA、CHGB、PCSK1、VIL1、及びその他が含まれる。
[00130]
ベンチマークタンパク質、成分特異的タンパク質、及び標的タンパク質PD−L1に対するアプタマー試薬の作製は、指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化(systematic evolution of ligands by exponential enrichment)(SELEX)と呼ばれる方法により達成され、この方法では、RNA又はDNAいずれかの一本鎖オリゴヌクレオチドの多様なライブラリーを、対象とするタンパク質と接触させる。非結合配列を洗浄工程により除去した後、結合したオリゴヌクレオチドを遊離させ、この集団(タンパク質標的に対してより高い親和性を有する配列を含有する)をポリメラーゼ連鎖反応(DNA配列の場合)又は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応とその後のRNA転写(RNA配列の場合)により増幅させる。増幅したオリゴヌクレオチド配列を再び標的タンパク質と接触させ、この選択サイクルを、高親和性オリゴヌクレオチド配列の集団が得られるまで複数回繰り返す。選択されたオリゴヌクレオチドのシークエンシングにより最も高い親和性の配列が特定され、この配列はその後、合成により作製することができる。最適化された配列は、標的タンパク質に対してより高い親和性及び選択性の試薬を得るために、標的化修飾により更に精密化することができる。アプタマーの更なる選択性は、オリゴヌクレオチド配列における化学修飾ヌクレオチドの組み込みにより達成することができる。アプタマーは、タンパク質捕捉及び検出における特異的分析工程を可能とするために、ビオチン、特殊なプライマー配列及び蛍光団で標識することができる。
[00131]
アプタマーを用いたベンチマークタンパク質、成分特異的タンパク質及び標的タンパク質PD−L1の定量的分析は、従前に記載の通りに行うことができる(Gold et al., Aptamer-based multiplexed proteomic technology for biomarker discovery, PloS One 5:e15004 (2010)。タンパク質抽出物を被分析生物検体から調製し、次に、これらのタンパク質を、UV光切断性リンカーを含有するビオチンで標識されたアプタマーの混合物と接触させる。その後、アプタマー−タンパク質複合体をストレプトアビジンビーズに捕捉し、非特異的に結合したタンパク質を除去するためにこれらを洗浄する。アプタマー−タンパク質複合体を切断性リンカーのUV光分解によりビーズから遊離させた後、タンパク質をビオチン化し、アプタマー−タンパク質複合体をモノマーアビジンビーズに再捕捉する。洗浄工程の後、アプタマー−タンパク質複合体を、過剰量のビオチンで処理することにより遊離させる。次に、アプタマー−タンパク質複合体を、全てのアプタマー上のタグ配列に相補的なオリゴヌクレオチドDNAプライマー配列を含有するビーズに捕捉する。捕捉アプタマー−タンパク質複合体を含有するプライマービーズを塩基性pH溶液で短時間処理して、非特異的に結合したアプタマー−タンパク質複合体を遊離させる。最後に、これらのタンパク質複合体からアプタマーを遊離させ、蛍光検出を用いた特注DNAマイクロアレイへのハイブリダイゼーションにより定量する。
[00132]
アプタマー−タンパク質認識の特異性は被分析タンパク質の折りたたみ及び構造に依存するところが大きい可能性があるので、非変性条件下で組織からタンパク質を抽出するためには注意を払わなければならない。従って、抽出は中性pHで、生理学的イオン強度の溶液を用いて行われるべきである。抽出の際にタンパク質の可溶化を可能とするために界面活性剤が使用されてもよく、界面活性剤及びカオトロピック剤はタンパク質を変性させ得る。よって、各アプタマーアッセイは、測定に対する人為的効果を最小限にするために、組織抽出に使用される条件下でタンパク質標準品を用いて試験されるべきである。
[00133]
肺腺癌ベンチマークタンパク質、肺腺癌成分特異的タンパク質及びPD−L1に関する検量線は、後の検体の分析に使用されるアプタマー分析プラットフォームを用いて作成される。
[00134]
タンパク質を腺癌検体から抽出し、アプタマープラットフォームを用いて分析し、各検体についてPD−L1、肺腺癌成分特異的タンパク質、及び肺腺癌ベンチマークタンパク質を定量する。次に、検体においてPD−L1、肺腺癌成分特異的タンパク質、及びベンチマークタンパク質の測定量を、それらの各検量線を用い、それらのELISAから計算する。肺腺癌ベンチマークタンパク質の測定量対肺腺癌成分特異的タンパク質の測定量の比を計算して、各検体の肺腺癌細胞成分係数を得る。
[00135]
PD−L1タンパク質の測定量に肺腺癌細胞成分係数を掛け、それにより肺腺癌細胞成分補正PD−L1含量(PD−L1標的値)を得る。異なる肺腺癌検体間のPD−L1タンパク質存在量の比較は、各検体について特定された肺腺癌細胞成分補正PD−L1含量(PD−L1標的値)に基づいて行う。治療上有効な量のアテゾリズマブの投与などのPD−L1拮抗薬による処置のための被験体を選択するために、異なる被験体由来の肺腺癌検体間のPD−L1標的値の比較、及び/又は異なる被験体由来の肺腺癌検体からのPD−L1標的値と所定の閾値との比較を用いることができる。
[00136]
4.例示的実施形態
完全を期すために、本開示の種々の態様を以下の符番した項に示す。
[00137]
第1項.2以上の細胞種を含む不均一生物検体中の標的タンパク質の量を測定するための方法であって、不均一生物検体からタンパク質を抽出すること;前記タンパク質を切断してペプチドとすること;前記ペプチドを質量分析により分析してベンチマークタンパク質のプロテオ型ペプチドの量、成分特異的タンパク質のプロテオ型ペプチドの量、及び標的タンパク質のプロテオ型ペプチドの量を測定すること;前記生物検体中の前記ベンチマークタンパク質の量、前記成分特異的タンパク質の量、及び前記標的タンパク質の量を、対応するプロテオ型ペプチドの量に基づいて定量すること;前記成分特異的タンパク質の量を前記ベンチマークタンパク質の量に対して正規化して、前記成分特異的タンパク質を発現する成分細胞種の成分係数を特定すること;前記標的タンパク質の量を前記成分細胞種の成分係数に対して正規化して、前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値を表す成分係数補正量を特定することを含む、方法。
[00138]
第2項.不均一生物検体中の標的タンパク質を定量するための方法であって、不均一生物検体から抽出されたタンパク質を得ること;前記生物検体から抽出されたベンチマークタンパク質の量、成分特異的タンパク質の量、及び標的タンパク質の量を定量すること;前記成分特異的タンパク質の量を前記ベンチマークタンパク質の量に対して正規化して、前記成分特異的タンパク質を発現する成分細胞種の成分係数を特定すること;並びに前記標的タンパク質の量を前記成分細胞種の成分係数に対して正規化して、前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値を表す標的タンパク質の成分係数補正量を特定することを含む、方法。
[00139]
第3項.前記不均一生物検体から抽出されたタンパク質が切断されてペプチドとされており、且つ、前記定量工程が質量分析により行われる、第2項に記載の方法。
[00140]
第4項.前記定量工程がイムノアッセイにより行われる、第2項に記載の方法。
[00141]
第5項.前記定量工程がアプタマーアフィニティー試薬アッセイにより行われる、第2項に記載の方法。
[00142]
第6項.前記不均一生物検体が新生物を含む、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00143]
第7項.前記新生物が癌を含む、第6項に記載の方法。
[00144]
第8項.前記癌が癌腫である、第7項に記載の方法。
[00145]
第9項.前記成分細胞種が癌である、第7項に記載の方法。
[00146]
第10項.前記不均一生物検体が生検を含む、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00147]
第11項.前記生検が針生検である、第10項に記載の方法。
[00148]
第12項.前記不均一生物検体が生物流体検体を含む、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00149]
第13項.前記生物流体検体が血液検体を含む、第12項に記載の方法。
[00150]
第14項.前記不均一生物検体が口腔粘膜、尿路上皮、気道上皮、又は消化管上皮からの剥離細胞を含む、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00151]
第15項.前記不均一生物検体が、非ヒト宿主種内で増殖されたヒト腫瘍異種移植組織を含む、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00152]
第16項.前記成分特異的タンパク質がヒトタンパク質である、第15項に記載の方法。
[00153]
第17項.前記成分特異的タンパク質が非ヒト宿主種タンパク質である、第15項に記載の方法。
[00154]
第18項.前記標的タンパク質がヒトタンパク質である、第15項に記載の方法。
[00155]
第19項.前記標的タンパク質がヒトタンパク質である、第16項に記載の方法。
[00156]
第20項.前記切断工程が前記タンパク質をタンパク質分解酵素と接触させることを含む、第1項に記載の方法。
[00157]
第21項.前記標的タンパク質が、一塩基DNA多形、染色体再配列、又は体細胞DNA突然変異、挿入、欠失から生じる配列変異体である、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00158]
第22項.前記標的タンパク質が、細胞RNAプロセシング中に生じる配列変異体である、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00159]
第23項.前記成分特異的タンパク質が、癌細胞によって特徴的に発現されるタンパク質である、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00160]
第24項.前記標的タンパク質が、免疫細胞によって特徴的に発現される、第23項に記載の方法。
[00161]
第25項.前記成分係数が不均一生物検体の癌成分係数を提供し、且つ、前記標的値が、不均一生物検体中への免疫細胞による浸潤の程度を特定する免疫細胞富化値を提供する、第24項に記載の方法。
[00162]
第26項.前記不均一生物検体が被験体から得られたものであり、標的タンパク質の標的値が閾値量を超えれば、前記被験体に有効量の治療薬を投与することを更に含む、第1項〜第9項又は第23項〜第25項のいずれか一項に記載の方法。
[00163]
第27項.前記不均一生物検体が被験体から得られたものであり、標的タンパク質の標的値が閾値量未満であれば、前記被験体に有効量の治療薬を投与することを更に含む、第1項〜第9項又は第23項〜第25項のいずれか一項に記載の方法。
[00164]
第28項.前記標的タンパク質の標的値が前記成分細胞種中の標的タンパク質の量を特定する、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00165]
第29項.前記標的タンパク質が培養細胞のプロテオミクス分析から選択される、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00166]
第30項.前記培養細胞が培養癌細胞を含む、第29項に記載の方法。
[00167]
第31項.前記標的タンパク質が、解剖により不均一生物検体から単離された細胞種の質量分析に基づくプロテオミクス分析により選択される、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00168]
第32項.前記解剖が肉眼解剖又はレーザー捕捉顕微解剖を含む、第31項に記載の方法。
[00169]
第33項.前記成分特異的タンパク質が、レーザー捕捉顕微解剖により不均一生物検体から単離された細胞種の質量分析に基づくプロテオミクス分析により選択される、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00170]
第34項.前記ベンチマークタンパク質が、レーザー捕捉顕微解剖により不均一生物検体から単離された細胞種の質量分析に基づくプロテオミクス分析により選択される、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00171]
第35項.前記標的タンパク質が無傷の新生物のプロテオミクス分析により選択される、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00172]
第36項.前記標的タンパク質が新生物又は新生物から培養された細胞のmRNA発現分析により選択される、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00173]
第37項.前記成分特異的タンパク質が新生物又は新生物から培養された細胞のmRNA発現分析により選択される、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00174]
第38項.前記ベンチマークタンパク質が新生物又は新生物から培養された細胞のmRNA発現分析により選択される、第1項〜第5項のいずれか一項に記載の方法。
[00175]
第39項.前記成分係数が、ベンチマークタンパク質の測定量対成分特異的タンパク質の測定量の比として特定される、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00176]
第40項.前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値が癌のサブタイプの指標となる、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00177]
第41項.前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値に基づき、被験体において癌を治療するための処置を選択することを更に含む、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。
[00178]
第42項.前記免疫細胞がT細胞、B細胞、及びマクロファージのうち1以上である、第25項に記載の方法。
[00179]
第43項.前記不均一生物検体が腫瘍検体であり、且つ、免疫細胞富化値に基づいて腫瘍への免疫浸潤を変化させるために被験体に対する処置を選択することを更に含む、第25項に記載の方法。
[00180]
第44項.前記不均一生物検体が腫瘍検体であり、且つ、免疫細胞富化値に基づいて腫瘍に対する免疫応答を活性化させるために被験体に対する処置を選択することを更に含む、第25項に記載の方法。
[00181]
第45項.前記不均一生物検体が腫瘍検体であり;前記成分係数が前記腫瘍における免疫細胞による浸潤の程度を特定し;前記免疫細胞がB細胞、T細胞、及びマクロファージのうち1以上であり;且つ、免疫細胞富化値に基づいて前記腫瘍に対する免疫応答を活性化させるために被験体に対する処置を選択することを更に含む、第25項に記載の方法。
[00182]
第46項.前記生物検体が被験体から得られたものであり、且つ、前記生物検体中の標的タンパク質の標的値に基づいて前記被験体に処置を提供することを更に含む、第1項〜第9項のいずれか一項に記載の方法。

Claims (15)

  1. 2以上の細胞種を含む不均一生物検体中の標的タンパク質の量を測定するための方法であって、
    不均一生物検体からタンパク質を抽出する工程;
    前記タンパク質を切断してペプチドとする工程;
    前記ペプチドを質量分析により分析してベンチマークタンパク質のプロテオ型ペプチドの量、成分特異的タンパク質のプロテオ型ペプチドの量、及び標的タンパク質のプロテオ型ペプチドの量を測定する工程;
    前記生物検体中の前記ベンチマークタンパク質の量、前記成分特異的タンパク質の量、及び前記標的タンパク質の量を、対応するプロテオ型ペプチドの量に基づいて定量する工程;
    前記成分特異的タンパク質の量を前記ベンチマークタンパク質の量に対して正規化して、前記成分特異的タンパク質を発現する成分細胞種の成分係数を特定する工程;
    前記標的タンパク質の量を前記成分細胞種の成分係数に対して正規化して、前記不均一生物検体中の標的タンパク質の標的値を表す成分係数補正量を特定する工程;
    を含むことを特徴とする方法。
  2. 前記不均一生物検体が、新生物、生検、生物流体検体、又は口腔粘膜、尿路上皮、気道上皮もしくは消化管上皮からの剥離細胞を含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記新生物が、癌を含むか、前記生検が、針生検を含むか、又は前記生物流体検体が、血液検体を含む、請求項2に記載の方法。
  4. 前記不均一生物検体が、非ヒト宿主種内で増殖されたヒト腫瘍異種移植組織を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記成分特異的タンパク質が、ヒトタンパク質であるか、又は非ヒト宿主種タンパク質である、請求項4に記載の方法。
  6. 前記標的タンパク質が、ヒトタンパク質である、請求項4に記載の方法。
  7. 前記切断工程が、前記タンパク質をタンパク質分解酵素と接触させることを含む、請求項1に記載の方法。
  8. 前記標的タンパク質が、一塩基DNA多形、染色体再配列、又は体細胞DNA突然変異、挿入又は欠失から生じる配列変異体であるか、細胞RNAプロセシング中に生じる配列変異体であるか、培養細胞のプロテオミクス分析から選択されるか、解剖により不均一生物検体から単離された細胞種の質量分析に基づくプロテオミクス分析により選択されるか、無傷の新生物のプロテオミクス分析により選択されるか、又は新生物又は新生物から培養された細胞のmRNA発現分析により選択されるものである、請求項1に記載の方法。
  9. 前記成分特異的タンパク質が、癌細胞によって特徴的に発現されるタンパク質である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記標的タンパク質が、免疫細胞によって特徴的に発現される、請求項9に記載の方法。
  11. 前記成分係数が、前記不均一生物検体の癌成分係数を提供し、且つ、前記標的値が、前記不均一生物検体中への免疫細胞による浸潤の程度を特定する免疫細胞富化値を提供する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記標的タンパク質の標的値が、前記成分細胞種中の標的タンパク質の量を特定するか、又は前記不均一生物検体中の前記標的タンパク質の標的値が、癌のサブタイプの指標となる、請求項1に記載の方法。
  13. 前記成分特異的タンパク質が、レーザー捕捉顕微解剖により不均一生物検体から単離された細胞種の質量分析に基づくプロテオミクス分析により選択されるか、新生物又は新生物から培養された細胞のmRNA発現分析により選択される、請求項1に記載の方法。
  14. 前記ベンチマークタンパク質が、レーザー捕捉顕微解剖により不均一生物検体から単離された細胞種の質量分析に基づくプロテオミクス分析により選択されるか、新生物又は新生物から培養された細胞のmRNA発現分析により選択される、請求項1に記載の方法。
  15. 前記成分係数が、前記ベンチマークタンパク質の測定量対前記成分特異的タンパク質の測定量の比として特定される、請求項1に記載の方法。
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