JP6739832B2 - 蛍光体、その製造方法、照明器具および画像表示装置 - Google Patents

蛍光体、その製造方法、照明器具および画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、AlON(酸窒化アルミニウム)結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶を母体結晶とする蛍光体、その製造方法、および、その用途に関する。さらに詳細には、該用途は該蛍光体の有する性質、すなわち490nmから550nm以下の波長にピークを有する光を発する特性を利用した照明器具および画像表示装置に関する。
蛍光体は、蛍光表示管(VFD(Vacuum−Fluorescent Display))、フィールドエミッションディスプレイ(FED(Field Emission Display)またはSED(Surface−Conduction Electron−Emitter Display))、プラズマディスプレイパネル(PDP(Plasma Display Panel))、陰極線管(CRT(Cathode−Ray Tube))、液晶ディスプレイバックライト(Liquid−Crystal Display Backlight)、白色発光ダイオード(LED(Light−Emitting Diode))などに用いられている。これらのいずれの用途においても、蛍光体を発光させるためには、蛍光体を励起するためのエネルギーを蛍光体に供給する必要があり、蛍光体は、真空紫外線、紫外線、電子線、青色光などの高いエネルギーを有した励起源により励起されて、青色光、緑色光、黄色光、橙色光、赤色光等の可視光線を発する。しかしながら、蛍光体は前記のような励起源に曝される結果、蛍光体の輝度が低下し易く、輝度低下のない蛍光体が求められている。そのため、従来のケイ酸塩蛍光体、リン酸塩蛍光体、アルミン酸塩蛍光体、硫化物蛍光体などの蛍光体に代わり、高エネルギーの励起においても輝度低下の少ない蛍光体として、サイアロン蛍光体、酸窒化物蛍光体、窒化物蛍光体などの、結晶構造に窒素を含有する無機結晶を母体とする蛍光体が提案されている。
この酸窒化物蛍光体の一例として、AlON結晶にMnを付活した蛍光体が知られている(例えば、特許文献1を参照)。この蛍光体は、紫外光、青色光、または電子線で励起すると、510〜520nmにピークを持ち、スペクトルの半値幅が小さい、色純度がよい緑色を発光する。このため、画像表示装置用の緑色蛍光体として適している。
さらに、AlON結晶にMgを添加すると440nm〜460nmの青色での励起特性が向上することが報告されている(例えば、特許文献2を参照)。
しかしながら、AlON結晶にMnを付活した蛍光体は、緑色としての色純度は良いものの、440nm〜449nmの青色での励起特性(単に青色励起特性とも称する)は十分とはいえなかった。また、AlON結晶にMgを添加すると青色励起特性は向上するものの、さらなる発光強度の向上が求められていた。
国際公開第2007/099862号 特許第5224439号公報
H.X.Willems他、「Newtron diffraction of γ−aluminium oxynitride」、Journal of materials science letters、第12巻、1470〜1472ページ、1993年 ICSD番号70032番、ICSD(Inorganic crystal structure database)データベース(Fachinformationszentrum Karlsruhe, Germany発行
本発明の課題は、このような要望に応えようとするものであり、従来のAlON蛍光体より発光特性に優れ、中でも440nm以上450nm以下の波長を有する青色光での励起特性に優れた蛍光体、その製造方法、それを用いた照明器具および画像表示装置を提供することである。詳細には、本発明の課題は、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する色純度がよい緑色に発光する蛍光体、その製造方法、それを用いた照明器具および画像表示装置を提供することである。
本発明者においては、かかる状況の下で、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に、少なくともMnと、必要に応じて、A元素(A元素は1価の金属である)と、D元素(D元素は2価の金属である)と、E元素(E元素は1価のアニオンである)と、G元素(G元素はMn、A、O、N、D、E以外の1種または2種以上の元素)とを含有し、特定の組成を有する無機化合物を主成分とする蛍光体とすることにより、440nm以上450nm以下の青色励起特性が向上することを見いだした。なかでも、A元素としてLi、D元素としてMg、および、Mnを含む特定の組成を有する無機化合物は、青色励起での発光効率が高く、色純度がよい緑色に発光する蛍光体となるため、照明用途および画像表示装置に適することを見いだした。
さらに、本発明者は、AlON含有原料を合成した後に、Mnを含有する原料とともに熱処理を行うことにより、AlON含有原料中のMn固溶量が増大し、上述の蛍光体を製造できることを見いだした。
この知見を基礎にしてさらに鋭意研究を重ねた結果、特定波長領域で高い輝度の発光現象を示す蛍光体、その製造方法、優れた特性を有する照明器具および画像表示装置を提供することに成功した。以下に、それぞれより具体的に述べる。
本発明の蛍光体は、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に、少なくともMnと、必要に応じてA元素(ただし、A元素は1価の金属)と、必要に応じてD元素(ただし、D元素は2価の金属)と、必要に応じてE元素(ただし、E元素は1価のアニオン)と、必要に応じてG元素(ただし、G元素はMn、A、Al、O、N、D、E以外の1種または2種以上の元素)とを含有する無機化合物を含み、励起源を照射することにより、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発し、これにより上記課題を解決する。
組成式MnAl(ただし、式中、a+b+f+c+d+e+f+g+h=1とする)で示され、パラメータa、b、f、c、d、e、f、gおよびhは、
0.0003≦ a ≦0.09
0≦ b ≦0.24
0.25≦ c ≦0.41
0.35≦ d ≦0.56
0.02≦ e ≦0.13
0≦ f ≦0.10
0≦ g ≦0.20および
0≦ h ≦0.10
を満たしてもよい。
前記A元素は、Liであってもよい。
前記D元素は、Mgであってもよい。
前記E元素は、Fであってもよい。
前記パラメータaは、0.005≦ a ≦0.025を満たしてもよい。
前記D元素は、Mgであり、前記パラメータfは、0.001≦ f ≦0.09を満たしてもよい。
前記E元素は、Fであり、前記パラメータgは、0.001≦ g ≦0.17を満たしてもよい。
前記励起源として、420nm以上460nm以下の波長の光を照射することにより、515nm以上541nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発してもよい。
前記パラメータaは、0.005≦ a ≦0.02を満たし、前記励起源として、440nm以上450nm以下の波長の光を照射することにより、518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発してもよい。
本発明による照明器具は、少なくとも、410nm以上470nm以下の波長の光を発する発光光源と、蛍光体または蛍光体が分散した光透過体とを備え、前記蛍光体は、上述の蛍光体を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明による画像表示装置は、少なくとも励起源と蛍光体とを含み、前記蛍光体は、上述の蛍光体を含み、これにより上記課題を解決する。
本発明の蛍光体の製造方法は、AlON結晶、AlON固溶体結晶およびAlON結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶からなる群から選択されるAlON含有原料と、Mnを含有する原料と、必要に応じてLiを含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1500℃以上1900℃以下の温度で熱処理し、前記AlON含有原料中のMn含有量を増加させる工程を包含し、これにより上記課題を解決する。
前記熱処理し、Mn含有量を増加させる工程は、前記AlON含有原料中のMn含有量が0.5原子%以上となるまで行ってもよい。
前記Mnを含有する原料は、フッ化マンガン、塩化マンガン、珪化マンガン、リン化マンガン、および、硫化マンガンからなる群から選択される1種または2種以上の混合物であってもよい。
前記Liを含有する原料が、フッ化リチウムおよび/または窒化リチウムであってもよい。
前記AlON含有原料は、前記AlON固溶体結晶であり、前記AlON固溶体結晶は、Mn、Eu、MgおよびLiからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含んでもよい。
前記AlON含有原料は、平均粒径(体積基準のメジアン径)5μm以上30μm以下の粉末であってもよい。
前記AlON含有原料は、少なくとも、酸化アルミニウムと、窒化アルミニウムと、必要に応じてLiを含有する原料と、必要に応じて2価の金属元素を含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1800℃以上2400℃以下の温度で焼成することにより製造されてもよい。
前記2価の金属元素は、Mgであってもよい。
前記焼成により製造されたAlON含有原料に対して、さらに、粉砕処理、分級処理、酸処理、および、再加熱処理からなる群から選ばれる1種以上の処理を施してもよい。
前記焼成により製造されたAlON含有原料に対して、一次粒子の平均粒径(体積基準のメジアン径)が5μm以上20μm以下となるまで粒径処理を施してもよい。
前記AlON含有原料は、酸化アルミニウムと、窒化アルミニウムと、2価の金属元素を含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1900℃以上2200℃以下の温度で焼成することにより製造され、前記熱処理し、Mn含有量を増加させる工程は、前記AlON含有原料にフッ化マンガンとフッ化窒化リチウムとを混合し、1500℃以上1850℃以下の温度で熱処理してもよい。
前記2価の金属元素は、Mgであってもよい。
本発明の蛍光体は、発光中心となる金属イオンとしてMnを含有する、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶を含む無機化合物を主成分として含有していることにより、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する色純度がよい緑色に発光し得る。特定の組成を有する本発明の蛍光体は、440nm以上460nm以下の波長の励起光を照射することにより、518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発光する青色励起特性に優れている。このため、LED、FED、SED、CRTなどに好適に使用され得る有用な蛍光体である。特に、液晶テレビや携帯端末のバックライト用LEDに有用である。
本発明の蛍光体の製造方法は、AlON含有原料と少なくともMnを含有する原料とを混合し、焼成することにより、AlON含有原料中のMn固溶量を増大させることができる。AlON含有原料にMnを蒸発させることなく確実に固溶させることができるので、色純度のよい緑色の発光をする蛍光体を容易に提供できる。
実施例1の無機化合物のXRDパターンを示す図。 実施例1の無機化合物の励起スペクトルと発光スペクトルとを示す図。 本発明の照明器具(LED照明器具)の概略構造図。 本発明の画像表示装置(フィールドエミッションディスプレイパネル)の概略構造図。
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明する。
本発明の蛍光体は、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に、少なくともMnを含有する無機化合物を主成分として含むことができる。
AlON結晶は、非特許文献1および2に記載されているように、立方晶系スピネル型の結晶構造を持つ結晶であり、γ−AlONとも呼ばれる。この結晶は、AlNにAlを混合して1850℃で焼成することにより合成される。
AlON固溶体結晶は、AlONの結晶構造を保ったまま酸素/窒素比が変化した結晶、および/または、他の元素が添加された結晶である。他の添加される元素には、ケイ素、Mg、Fなどが挙げられる。
AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶は、AlON結晶の構造を保ったまま、Al、O、Nの一部またはすべてが他の元素で置換された結晶である。
本発明では、これらの結晶を母体結晶として用いることができる。AlON結晶またはAlON固溶体結晶は、X線回折や中性子線回折により同定することができる。結晶構造の詳細は、非特許文献1および2に記載されており、これらに記載された格子定数、空間群、原子位置のデータから結晶構造やX線回折パターンは一義的に決定される。また、純粋なAlON結晶またはAlON固溶体結晶と同一の回折を示す物質の他に、構成元素が他の元素と置き換わることにより格子定数が変化したAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶も同様にして同定され、本発明の一部として含まれる。
AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶を母体結晶として、これに光学活性な金属元素Mnが含有された無機化合物を主成分とするので、緑色の発光特性を持つ蛍光体となる。
本発明の蛍光体は、好ましくは、Mnを含有する、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶が、さらに、A元素(ただし、A元素は1価の金属元素である)を含有する無機化合物を主成分とするので、すぐれた発光特性を示す。一価の金属はAlON結晶等の母体結晶に固溶しやすく、結晶構造を安定化するために、Mn2+が結晶内で安定に存在できるようになり、これらのイオンが結晶内に取り込まれやすくなる。これにより、蛍光体の輝度が向上し得る。なかでもA元素がLiである場合にこの効果が大きいため、発光特性の向上にはA元素はLiであることが好ましい。
本発明の蛍光体は、より好ましくは、MnおよびA元素(ただし、A元素は1価の金属元素である)を含有する、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶が、さらに、D元素(ただし、D元素は2価の金属元素である)を含有する無機化合物を主成分とするので、さらにすぐれた発光特性を示す。2価の金属元素はAlON結晶等の母体結晶に固溶しやすく、結晶構造を安定化するために、Mn2+が結晶内で安定に存在できるようになり、これらのイオンが結晶内に取り込まれやすくなる。これにより、蛍光体の輝度がさらに向上し得る。なかでもD元素がMgである場合にこの効果が大きいため、発光特性の向上にはD元素はMgであることが好ましい。
組成式MnAl(ただし、式中a+b+f+c+d+e+f+g+h=1とする)で示され、パラメータa、b、f、c、d、e、f、gおよびhは、以下の条件を全て満たす値から選ばれる組成範囲が好ましい。ただし、A元素は1価の金属元素であり、D元素は2価の金属元素であり、E元素は1価のアニオン元素であり、G元素は、Mn、A、Al、O、N、D、E以外の1種または2種以上の元素であり、E元素が2種以上の元素の場合は、h値はそれぞれの元素のパラメータ値の合計である。
0.0003≦ a ≦0.09
0≦ b ≦0.24
0.25≦ c ≦0.41
0.35≦ d ≦0.56
0.02≦ e ≦0.13
0≦ f ≦0.10
0≦ g ≦0.20および
0≦ h ≦0.10
上記組成を満たす本発明の蛍光体は、励起源を照射すると、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発することができる。
ここで、aは発光中心となる金属イオンMnの添加量を表し、0.0003≦ a ≦0.09を満たす。a値が0.0003より小さいと発光中心となるイオンの数が少ないため発光輝度が低下するおそれがある。0.09より大きいとイオン間の干渉により濃度消光を起こして輝度が低下するおそれがある。さらに好ましくは、aは0.005≦ a ≦0.025を満たし、これにより、発光輝度が向上する。
bはA元素(1価の金属元素)の量であり、0≦ b ≦0.24を満たす。さらに好ましくは、bは0.02≦ b ≦0.09を満たす。b値がこの範囲であれば、発光強度を向上させることができる。A元素は、Li、Na、Kなどであるが、なかでも、Liが特に発光強度を増加させ得る。
cはAl元素の量であり、0.25≦ c ≦0.41を満たす。さらに好ましくは、cは0.31≦ c ≦0.41を満たす。c値がこの範囲をはずれると、AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶以外の結晶相の生成割合が増え、発光強度が低下するおそれがある。
dは酸素の量であり、0.35≦ d ≦0.56を満たす。さらに好ましくは、dは0.4≦ d ≦0.56を満たす。d値がこの範囲をはずれると、AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶以外の結晶相の生成割合が増え、発光強度が低下するおそれがある。
eは窒素の量であり、0.02≦ e ≦0.13を満たす。さらに好ましくは、eは0.02≦ e ≦0.075を満たす。e値がこの範囲をはずれると、AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶以外の結晶相の生成割合が増え、発光強度が低下するおそれがある。
fはD元素(2価の金属元素)の量であり、0≦ f ≦0.10を満たす。さらに好ましくは、D元素がMgであり、fは0.001≦ f ≦0.09を満たす。f値がこの範囲であれば、発光強度を向上させることができる。D元素は、好ましくは、Mgであり、特に発光強度を増加させる効果が大きい。
gはE元素(1価のアニオン元素)の量であり、0≦ g ≦0.20を満たす。E元素は、フッ素、塩素、臭素などを用いることができるが、なかでも、Fが好ましい。E元素がFである場合、gは0.001≦ g ≦0.17を満たす。g値がこの範囲であれば、発光強度を向上させることができる。E元素としては、Fが特に発光強度を増加させる効果が大きい。
ここで、パラメータa、b、c、d、e、fおよびgは、好ましくは、
0.005≦ a ≦0.025
0≦ b ≦0.16
0.26≦ c ≦0.39
0.35≦ d ≦0.52
0.03≦ e ≦0.055
0≦ f ≦0.03および
0.01 ≦g ≦ 0.18
を満たす。これにより、上記組成を満たす本発明の蛍光体は、励起源を照射すると、515nm以上541nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を確実に発することができる。
ここで、パラメータa、b、c、d、e、fおよびgは、好ましくは、
0.005< a <0.02
0.02≦ b ≦0.12
0.28≦ c ≦0.37
0.38≦ d ≦0.52
0.04≦ e ≦0.055
0.018≦ f ≦0.024および
0.02 ≦g ≦ 0.15
を満たす。これにより、上記組成を満たす本発明の蛍光体は、518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する色純度のよい緑色の蛍光を確実に発することができる。
hは、Mn、A、Al、O、N、D、E以外の1種または2種以上の元素(G元素)の量であり、0≦ h ≦0.1を満たす。h値は、AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶中に含まれる、あるいは、これらに固溶している量であり、別の結晶相やアモルファス相としての混合物中に含まれる量は含まない。AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の結晶構造を崩さない範囲で、G元素としてB、C、Pなどを含むことができる。また、h=0すなわち、G元素を含まないものも、発光強度が高いため用途によっては効果が大きい。
本発明の蛍光体は、励起源(例えば、410nm以上470nm以下の波長の光、好ましくは430nm以上470nm以下の波長の光)を照射することにより、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発することができる。詳細には、組成を制御することにより、励起源として、410nm以上470nm以下の波長の光、好ましくは420nm以上460nm以下の波長の光、さらに好ましくは430nm以上460nm以下の波長の光を照射することにより、波長515nm以上541nm以下の範囲の波長にピークを有する緑色の蛍光を発する。さらに、上述の組成において、aが0.005≦ a ≦0.02を満たす場合、励起源として、440nm以上460nm以下の波長の光、好ましくは440nm以上450nm以下の波長の光を照射することにより、波長518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する緑色の蛍光を高輝度発光する。
このような励起源としては、発光効率の観点から、紫外線、電子線、X線などが好ましい。紫外線や可視光で励起する場合は、特に420nm以上460nm以下の波長の光で効率よく励起される。なかでも、430nm以上460nm以下の波長、好ましくは440nm以上460nm以下の波長、より好ましくは440nm以上450nm以下の波長における励起効率が高いため、この範囲の光を放つ発光ダイオード(LED)と本発明の蛍光体とを組み合わせた、白色あるいは有色LED照明の用途に適している。
さらに、440nm以上460nm以下、好ましくは440nm以上450nm以下の範囲の波長にピークを有する励起光を照射することにより、518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発する。その蛍光スペクトルは、線幅が狭いシャープなスペクトルであり、色純度の良い緑色を発するため、液晶画像表示素子用途のバックライトLEDに用いる緑色蛍光体に適している。
また、本発明の蛍光体は、特に電子線で効率よく発光するため、CRTやFEDなどの電子線励起の画像表示素子用途の緑色蛍光体に適している。
本発明の蛍光体において、主成分とする無機化合物は、蛍光発光の点から、少なくともMnを含有するAlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶を、高純度で極力多く含むこと、できれば単相から構成されていることが望ましいが、特性が低下しない範囲で、他の結晶相あるいはアモルファス相との混合物であってもよい。この場合、少なくともMnを含有するAlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の含有量が10質量%以上、より好ましくは50質量%以上であることが高い輝度を得るために望ましい。
したがって、本発明の蛍光体において無機化合物の主成分とする範囲は、少なくともMnを含有するAlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の含有量が少なくとも10質量%以上である。X線回折測定を行い、AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の結晶相とそれ以外の結晶相とについてリートベルト解析をすることにより、含有量の割合を求めることができる。簡易的には、AlON結晶、AlON固溶体結晶またはAlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の結晶相とそれ以外の結晶相とについて、それぞれの相の最強ピークの強さの比から求めることができる。
他の結晶相あるいはアモルファス相は、導電性を持つ無機物質であってもよい。VFDやFEDなどにおいて、本発明の蛍光体を電子線で励起する場合には、蛍光体上に電子が溜まることなく外部に逃がすために、ある程度の導電性を持つことが好ましい。導電性を持つ無機物質は、Zn、Ga、InおよびSnから選ばれる1種または2種以上の元素を含む酸化物、酸窒化物、窒化物、または、これらの混合物であり得る。なかでも、酸化インジウムとインジウム−スズ酸化物(ITO)は、蛍光強度の低下が少なく、導電性が高いため好ましい。
本発明の蛍光体は緑色に発色するが、黄色、赤色などの他の色との混合が必要な場合は、必要に応じてこれらの色を発色する無機蛍光体と混合してもよい。他の無機蛍光体としては、フッ化物、酸化物、酸フッ化物、硫化物、酸硫化物、酸窒化物、窒化物結晶等を母体結晶とする無機蛍光体があるが、混合した蛍光体の耐久性が要求される場合は、酸窒化物や窒化物結晶を母体結晶とするものがよい。酸窒化物や窒化物結晶を母体結晶とする蛍光体としては、α−サイアロン:Euの黄色蛍光体、α−サイアロン:Ceの青色蛍光体、CaAlSiN:Euや(Ca、Sr)AlSiN:Euの赤色蛍光体(CaAlSiN結晶のCaの一部をSrで置換したもの)、JEM相をホストした青色蛍光体(LaAl(Si6−zAl)N10−z):Ce)、LaSi11:Ceの青色蛍光体、AlN:Euの青色蛍光体などを挙げることができる。
画像表示装置向けバックライト用LEDとしては、本発明の蛍光体に加えて620nm以上670nm以下の範囲の波長にピークを有する赤色蛍光体を添加することができる。このような蛍光体としては、Mn4+付活蛍光体を用いることができる。Mn4+付活蛍光体は、好ましくは、KSiF:Mn(KSF)、KSFの構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したKSNAF(KSi1−xNaAl:Mn)、KTiF:Mn(KTF)などである。
本発明の蛍光体は、組成により励起スペクトルと蛍光スペクトルとが異なり、これを適宜選択組み合わせることによって、さまざまな発光スペクトルを有する蛍光体を設計できる。用途に基づいて必要とされる発光スペクトルを有する蛍光体を設定すればよい。
本発明の蛍光体の好適な製造方法を説明する。
本発明の蛍光体の製造方法は、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶からなる群から選択されるAlON含有原料と、Mnを含有する原料と、必要に応じてLiを含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1500℃以上1900℃以下の温度で熱処理する。これにより、AlON含有原料中のMn含有量を増加させることができる。なお、AlON含有原料は、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶であってもよいし、これらに、必要に応じて、A元素、D元素、E元素、G元素、Mnが含有されていてもよい。
ここで、AlON含有原料の合成方法について詳述する。
Alを含有する原料と、必要に応じてA元素(ただし、A元素は1価の金属元素である)を含有する原料と、必要に応じてD元素(ただし、D元素は2価の金属元素である)を含有する原料と、必要に応じてMnを含有する原料とを準備する。例えば、A元素はLiであり、D元素はMgである。
Alを含有する原料は、金属アルミニウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、および、アルミニウムを含む有機物前駆体からなる群から選択されるが、好ましくは、窒化アルミニウムおよび酸化アルミニウムの混合物を用いるのがよい。これらは、反応性に富み、高純度な合成物を得ることができることに加えて、工業原料として生産されており入手しやすい利点がある。窒化アルミニウムと酸化アルミニウムとの量は、目標とするAlON組成の酸素と窒素との割合から設計するとよい。
D元素を含有する原料は、D元素の金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物、および、それらの組合せからなる群から選択される。D元素がMgである場合、D元素を含有する原料は、マグネシウム含む金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物またはそれらの組合せを添加することができるが、好ましくは、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウムである。これらは、反応性に富み、高純度な合成物を得ることができることに加えて、工業原料として生産されており入手しやすい利点がある。
A元素を含有する原料は、Aの窒化物、炭酸塩、フッ化物等である。中でもA元素がリチウムである場合、A元素を含有する原料は、窒化リチウム、炭酸リチウムおよびフッ化リチウムからなる群から選択される。
Mnを含有する原料は、Mnの金属、酸化物、炭酸塩、窒化物、フッ化物、塩化物、酸窒化物、および、それらの組合せからなる群から選択される。好ましくは、Mnを含有する原料は、一酸化マンガン、二酸化マンガン、炭酸マンガンである。これらは、反応性に富み、高純度な合成物を得ることができることに加えて、工業原料として生産されており入手しやすい利点がある。
これらの原料を混合した原料混合物を、相対嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で容器に充填する。そして、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中において、1600℃以上2400℃以下の温度範囲で焼成する。焼成温度は、好ましくは、1800℃以上2400℃以下の範囲であり、より好ましくは、1900℃以上2200℃以下の範囲である。このようにすることより、AlON結晶、Mg、Li、Mn、Eu等が固溶したAlON固溶体結晶、あるいは、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶からなるAlON含有原料を製造することができる。
最適焼成温度は組成により異なる場合もあり、適宜最適化することができる。焼成温度が1600℃より低いと、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の生成速度が低い場合がある。また、焼成温度が2400℃以上では特殊な装置が必要となり工業的に好ましくない。
焼成時の反応性を向上させるために、必要に応じて、原料混合物に、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加することができる。無機化合物としては、反応温度で安定な液相を生成するものが好ましく、Li、Na、K、Mg、Ca、Sr、Ba、Alのフッ化物、塩化物、ヨウ化物、臭化物、あるいはリン酸塩が適している。さらに、これらの無機化合物は、単体で添加するほか2種以上を混合してもよい。なかでも、フッ化マグネシウム、フッ化アルミニウム、および、フッ化リチウムは、合成の反応性を向上させるため好ましい。無機化合物の添加量は特に限定されないが、原料混合物100重量部に対して、0.1重量部以上10重量部以下の範囲が、反応性の向上するため好ましい。0.1重量部より少ないと反応性の向上が少なく、10重量部を超えると蛍光体の輝度が低下するおそれがある。これらの無機化合物を原料混合物に添加し、焼成すると、反応性が向上して、比較的短い時間で粒成長が促進されて、粒径の大きな単結晶が成長し、蛍光体の輝度が向上する。
窒素雰囲気は、0.2気圧以上100気圧以下の圧力範囲のガス雰囲気がよい。0.2気圧より低い窒素ガス雰囲気中で2400℃以上の温度に加熱すると、原料が熱分解し易くなるのであまり好ましくない。100気圧を超えると特殊な装置が必要となり、工業生産に向かない。
粒径数μmの微粉末を出発原料とする場合、混合後の原料混合物は、粒径数μmの微粉末が数百μmから数mmの大きさに凝集した形態をなす(以下「粉体凝集体」と呼ぶ)。本発明では、粉体凝集体を嵩密度40%以下の充填率に保持した状態で焼成する。さらに好ましくは嵩密度20%以下がよい。ここで、相対嵩密度とは、容器に充填された粉体の質量を容器の容積で割った値(嵩密度)と粉体の物質の真密度との比である。通常のサイアロンの製造では、加圧しながら加熱するホットプレス法や金型成形(圧粉)後に焼成を行なう製造方法が用いられるが、このときの焼成は粉体の充填率が高い状態で行われる。しかし、本発明では、粉体に機械的な力を加えることなく、また予め金型などを用いて成形することなく、原料混合物の粉体凝集体の粒度をそろえたものを、そのままの状態で容器などに嵩密度40%以下の充填率で充填する。必要に応じて、粉体凝集体を、ふるいや風力分級などを用いて、平均粒径500μm以下に造粒して粒度制御することができる。また、スプレードライヤなどを用いて直接的に平均粒径500μm以下の形状に造粒してもよい。また、容器は窒化ホウ素製を用いると蛍光体との反応が少ない利点がある。
嵩密度を40%以下の状態に保持したまま焼成するのは、原料粉末の周りに自由な空間がある状態で焼成するためである。最適な嵩密度は、顆粒粒子の形態や表面状態によって異なるが、好ましくは20%以下がよい。このようにすると、反応生成物が自由な空間に結晶成長するので結晶同士の接触が少なくなり、表面欠陥が少ない結晶を合成することが出来ると考えられる。これにより、輝度が高い蛍光体が得られる。嵩密度が40%を超えると焼成中に部分的に緻密化が起こって、緻密な焼結体となってしまい結晶成長の妨げとなり蛍光体の輝度が低下するおそれがある。また微細な粉体が得られ難い。また、平均粒径500μm以下である粉体凝集体が、焼成後の粉砕性に優れるため特に好ましい。
次に、充填率40%以下の粉体凝集体を前記条件で焼成する。焼成に用いる炉は、焼成温度が高温であり焼成雰囲気が窒素であることから、金属抵抗加熱方式または黒鉛抵抗加熱方式であってよい。炉の高温部の材料として炭素を用いた電気炉が好ましい。焼成は、常圧焼結法やガス圧焼結法などの外部から機械的な加圧を施さない焼成方法によるのが、所定の範囲の嵩密度を保ったまま焼成するために好ましい。
焼成して得られた粉体凝集体が固く凝集している場合は、例えばボールミル、ジェットミル等の工業的に通常用いられる粉砕機により粉砕する。なかでも、ボールミル粉砕は粒径の制御が容易である。このとき使用するボールおよびポットは、窒化ケイ素焼結体またはサイアロン焼結体製等が好ましい。粉砕は平均粒径20μm以下となるまで施す。特に好ましくは平均粒径5μm以上20μm以下である。平均粒径が20μmを超えると粉体の流動性と樹脂への分散性が悪くなり、発光素子と組み合わせて発光装置を形成する際に部位により発光強度が不均一になる。5μm以下となると、蛍光体の発光効率が低下することがある。粉砕だけで目的の粒径が得られない場合は、分級を組み合わせることができる。分級の手法としては、篩い分け、風力分級、液体中での沈殿法などを用いることができる。
さらに、焼成後に無機化合物を溶解する溶剤で洗浄することにより、焼成により得られた反応生成物に含まれるガラス相、第二相、または不純物相などの蛍光体以外の無機化合物の含有量を低減すると、蛍光体の輝度が向上する。このような溶剤としては、水および酸の水溶液を使用することができる。酸の水溶液としては、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、有機酸とフッ化水素酸の混合物などを使用することができる。なかでも、硫酸とフッ化水素酸の混合物は効果が大きい。この処理は、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加して高温で焼成した反応生成物に対しては、特にその効果が大きい。
以上のようにして、AlON含有原料の粉末が得られるが、本発明においては、AlON含有原料に対して、Mnを含有する原料と、必要に応じてLiを含有する原料とを添加して、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で1500℃以上1900℃以下の温度範囲で熱処理を施す。これにより、AlON含有原料は、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に安定的にMnを固溶させ、さらにこれら結晶中に含まれるMn含有量を増加させる効果がある。この結果、発光強度が向上する。さらに、製造ロット間での発光特性のばらつきが低減し、歩留まりが向上し得る。なお、熱処理時間に特に制限はないが、例えば、0.5時間以上24時間以下の範囲である。熱処理時間が0.5時間未満である場合、Mnが十分に固溶しない場合がある。熱処理を24時間超えて行っても、Mnの固溶には非効率である場合がある。
当然ながら、AlON含有原料は、上述したAlON含有原料の製造方法によって製造されるので、Mn以外にも、A元素、D元素、E元素およびG元素を含んでいてもよい。例えば、AlON含有原料が、AlON固溶体結晶であり、AlON固溶体結晶が、Mn、Eu、MgおよびLiからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含んでいて、同様に、Mn含有量を増加させることができる。
AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の合成は、反応速度の観点から1800℃以上、さらに好ましくは1900℃以上の高温で行われる。粒径を大きくするためには、2000℃以上の高温が望ましい。一方、Mnの蒸気圧が高いため、1800℃以上の高温で、長時間熱処理すると、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶中のMn含有量が低下することがある。Mn含有量が低下すると、蛍光体の輝度が低下したり、ロット間で発光特性がばらついたりする。
本発明では、上述したように、高温でAlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶を合成した後に、これにMnを含有する原料を添加し、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の合成温度よりも低い温度で熱処理を施すことを特徴とする。これにより、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶の結晶性と粒径とを向上させ、さらに発光特性に必要な量のMnをAlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に添加することができる。すなわち、本発明の方法によれば、従来の合成方法よって得られるAlON蛍光体と比較して、発光に必要なMn含有量を有し、輝度が高いAlON蛍光体が合成され得る。
Mnを含有する原料は、上述のAlON含有原料の製造で用いるMnを含有する原料を採用することもできるが、反応性の観点から、フッ化マンガン、塩化マンガン、珪化マンガン、リン化マンガン、および、硫化マンガンからなる群から選択され得る。
Liを含有する原料は、上述のAlON含有原料の製造で用いるA元素(A元素がLiである場合)を含有する原料を採用することもできるが、反応性の観点から、フッ化リチウムおよび/または窒化リチウムであり得る。
さらに、AlON含有原料に対して、Mnを含有する原料と、必要に応じてLiを含有する原料とを添加した所定条件での熱処理は、AlON含有原料中のMn含有量が0.5原子%以上となるまで行うことが好ましい。これにより、発光輝度が向上した蛍光体を得ることができる。
本発明の蛍光体のより好ましい製造方法を示す。
まず、AlON含有原料を、Alを含有する原料として酸化アルミニウムおよび窒化アルミニウムと、必要に応じてD元素を含有する原料と、必要に応じてA元素を含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の範囲の窒素雰囲気中で、1800℃以上2400℃以下の温度範囲、好ましくは、1900℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成することによって合成する。ここで、D元素およびA元素は、MgおよびLiである。1900℃以上2200℃以下の温度範囲で焼成すれば、結晶性の高いAlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶が得られる。
合成されたAlON含有原料に、Mnを含有する原料としてフッ化マンガンと、必要に応じて、A元素を含有する原料としてフッ化リチウムとを混合し、1500℃以上1850℃以下の温度範囲で熱処理する。1500℃以上1850℃以下の温度範囲を外れると、MnがAlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に十分に固溶しない場合がある。
さらに、焼成後に無機化合物を溶解する溶剤で洗浄することにより、焼成により得られた反応生成物に含まれるガラス相、第二相、または不純物相などの蛍光体以外の無機化合物の含有量を低減すると、蛍光体の輝度が向上する。このような溶剤としては、水および酸の水溶液を使用することができる。酸の水溶液としては、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、有機酸とフッ化水素酸の混合物などを使用することができる。なかでも、硫酸とフッ化水素酸の混合物は効果が大きい。この処理は、焼成温度以下の温度で液相を生成する無機化合物を添加して高温で焼成した反応生成物に対しては、特にその効果が大きい。
以上のようにして微細な蛍光体粉末が得られるが、輝度をさらに向上させるには熱処理が効果的である。この場合は、焼成後の粉末、あるいは、粉砕や分級により粒度調整後の粉末を、1000℃以上で焼成温度以下の温度で熱処理すればよい。1000℃より低い温度では、表面の欠陥除去の効果が少ない。焼成温度以上では粉砕した粉体どうしが再度固着するため好ましくない。熱処理に適した雰囲気は、蛍光体の組成により異なるが、窒素、空気、アンモニアおよび水素からなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合雰囲気中を使用することができ、特に窒素雰囲気が欠陥除去効果に優れるため好ましい。
以上のようにして得られる本発明の蛍光体は、通常の酸化物蛍光体や既存のAlON蛍光体と比べて、高輝度の可視光発光を持つことが特徴である。なかでも特定の組成では、緑色の発光をすることが特徴であり、照明器具、画像表示装置に好適である。これに加えて、高温にさらしても劣化しないことから耐熱性に優れており、酸化雰囲気および水分環境下での長期間の安定性にも優れている。
本発明の照明器具は、少なくとも、410nm以上470nm以下の波長を有する光を発する発光光源と、蛍光体または蛍光体が分散した光透過体とを備える。ここで、蛍光体は、上述した本発明の蛍光体が含有される。
照明器具としては、LED照明器具やLD(レーザダイオード)照明器具などがある。LED照明器具では、本発明の蛍光体を用いて、特開平5−152609号公報、特開平7−99345号公報、特許公報第2927279号などに記載されているような公知の方法により製造することができる。この場合、発光光源は410nm以上470nm以下の波長を有する光を発するものが望ましく、中でも430nm以上470nm以下の範囲の波長にピークを有する光を発するLED発光素子またはLD発光素子が好ましい。さらに好ましくは、420nm以上460nm以下、さらには430nm以上460nm以下、さらには440nm以上460nm以下、さらには440nm以上450nm以下の範囲の波長にピークを有する光を発するLED発光素子またはLD発光素子である。このような波長を有する発光光源を用いれば、本発明の蛍光体は高輝度発光し得る。なお、これらの発光素子としては、GaNやInGaNなどの窒化物半導体からなるものがあり、組成を調整することにより所定の波長の光を発する発光光源となり得る。
照明器具において本発明の蛍光体を単独で使用する方法の他に、他の発光特性を持つ蛍光体と併用することによって、所望の色を発する照明器具を構成することができる。例えば、445nmの青色LEDまたはLD発光素子と、この波長で励起されて550nm以上600nm以下の波長に発光ピークを有する黄色蛍光体と、本発明の緑色蛍光体との組み合わせがある。このような黄色蛍光体としては特開2002−363554号公報に記載のα−サイアロン:Eu2+、特開平9−218149号公報に記載の(Y、Gd)(Al、Ga)12:Ceを挙げることができる。この構成では、LEDまたはLDが発する青色光が蛍光体に照射されると、緑と黄との光が発せられ、青色光と、蛍光体からの光との混合により白色の照明器具となる。
別の一例として、445nmの青色LEDまたはLD発光素子と、この波長で励起され620nm以上700nm以下の波長に発光ピークを有する赤色蛍光体と、本発明の緑色蛍光体との組み合わせがある。このような赤色蛍光体としては、国際公開第2005/052087号パンフレットに記載のCaSiAlN:Eu2+と、Mn4+付活蛍光体とがある。Mn4+付活蛍光体は、具体的には、KSiF:Mn(KSF)、または、KSFの構成元素の一部(好ましくは10モル%以下)をAlとNaで置換したKSi1−xNaAl:Mn(KSNAF)である。この構成では、LEDまたはLDが発する青色光が蛍光体に照射されると、赤と緑との光が発せられ、青色光と、蛍光体からの光との混合により白色の照明器具となる。
少なくとも本発明の蛍光体を含有する蛍光体が分散する光透過体は、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびガラスからなる群から選択される。これらの材料は、上述の発光光源からの光に対して透光性に優れており、本発明の蛍光体を高効率で励起させることができる。
また、少なくとも本発明の蛍光体を含有する蛍光体が分散した光透過体中の蛍光体の割合は、好ましくは、30体積%以上90体積%以下の範囲である。これにより、本発明の蛍光体を高効率で励起させることができる。
本発明の画像表示装置は、少なくも励起源と蛍光体とを備え、ここで、蛍光体は、少なくとも上述した本発明の蛍光体を含む。画像表示装置には、蛍光表示管(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FEDまたはSED)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、陰極線管(CRT)などがある。本発明の蛍光体は、100〜190nmの真空紫外線、190〜380nmの紫外線、電子線などの励起で発光することが確認されており、これらの励起源と本発明の蛍光体との組み合わせで、上記のような画像表示装置を構成することができる。
本発明の蛍光体は、電子線によって高効率で励起励起効率が優れるため、加速電圧10V以上30kV以下で用いる、VFD、SED、PDP、CRT用途に適している。FEDは、電界放射陰極から放出された電子を加速して陽極に塗布した蛍光体に衝突させて発光する画像表示装置であり、5kV以下の低い加速電圧で光ることが求められており、本発明の蛍光体を組み合わせることにより、表示装置の発光性能が向上する。
次に本発明を以下に示す実施例によってさらに詳しく説明するが、これはあくまでも本発明を容易に理解するための一助として開示したものであって、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜28]
原料粉末として、比表面積3.3m/g、酸素含有量0.79%の窒化アルミニウム粉末(トクヤマ製Fグレード)と、比表面積13.6m/g、純度99.99%の酸化アルミニウム粉末(大明化学製タイミクロングレード)と、炭酸リチウム粉末(高純度化学製試薬級)と、LiAlO粉末と、純度99.9%のフッ化リチウム粉末(高純度科学製試薬級)と、純度99.9%のフッ化マンガン粉末(高純度化学製試薬級)と、純度99.99%の酸化マグネシウム(高純度化学製試薬級)とを用いた。
まず、AlON含有原料粉末を合成した。表1に示す設計組成になるように、酸化アルミニウムと、窒化アルミニウムと、必要に応じて、酸化マグネシウムと、炭酸リチウムと、LiAlOとを秤量した。例えば、実施例1の場合には、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、および、酸化マグネシウムを、それぞれ、83.85質量%、11.24質量%、および、4.91質量%の割合で秤量した。窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用いて原料を混合した後に、目開き125μmのふるいを通すことにより流動性に優れる粉体凝集体を得た。この粉体凝集体を直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れたところ、嵩密度は30体積%であった。嵩密度は、投入した粉体凝集体の重量とるつぼの内容積と粉体の真密度とから計算した。
つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時600℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.9995体積%の窒素を導入してガス圧力を4.5気圧とし、毎時600℃で表1に示す温度(例えば、実施例1では2000℃)まで昇温し、その温度で表1に示す時間(例えば、実施例1では2時間)保持した。合成した試料を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒と用いて粉砕し、目開き125μmのふるいを通した。この粉末に対して、CuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行ったところ、γ型AlON構造の結晶の生成が確認された。主ピークの高さの比より、γ型AlON構造の結晶の生成比は90%以上と判断された。これをAlON含有原料粉末とした。
表2に示す設計組成となるように、合成したAlON含有原料粉末と、MnF粉末と、LiF粉末とを秤量した。例えば、実施例1の場合には、AlON含有原料粉末、MnF粉末、および、LiF粉末を、それぞれ、2g、0.16g、および、0.2gを満たす質量比で秤量した。窒化ケイ素焼結体製の乳鉢と乳棒とを用いて原料を混合した後に、目開き125μmのふるいを通したものを、直径20mm高さ20mmの大きさの窒化ホウ素製るつぼに自然落下させて入れた。
つぎに、るつぼを黒鉛抵抗加熱方式の電気炉にセットした。焼成操作は、まず、拡散ポンプにより焼成雰囲気を真空とし、室温から800℃まで毎時600℃の速度で加熱し、800℃で純度が99.9995体積%の窒素を導入してガス圧力を4.5気圧とし、毎時600℃で表2に示す温度(例えば、実施例1では1700℃)まで昇温し、その温度で表2に示す時間(例えば、実施例1では2時間)保持した。合成した試料を窒化ケイ素製の乳鉢と乳棒とを用いて粉砕した。
合成した試料について、ICP元素分析を行った。この結果、実施例1、4、9〜28の試料は、Al、N、Li、Mn、Mg、FおよびOを含み、実施例2および3の試料は、Al、N、Li、Mn、FおよびOを含み、実施例5〜8の試料は、Al、N、Mn、Mg、FおよびOを含むことを確認した。さらに、合成した試料についてCuのKα線を用いた粉末X線回折測定(XRD)を行った。結果を図1に示す。
図1は、実施例1の無機化合物のXRDパターンを示す図である。
図1によれば、γ型AlON構造の結晶と酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムの第二相とが確認された。主ピークの高さの比より、γ型AlON構造の結晶の生成比は90%以上と判断された。なお、Liの化合物を示すピークは検出されなかった。他の実施例のXRDパターンも同様であった。
以上から、実施例で得られた試料は、少なくともMn、さらにLi、MgまたはFを含有するAlON結晶を含有する無機化合物を主成分とすることを確認し、なかでも、Mn、Li、FおよびMgは、AlON結晶に固溶していることが分かった。
次に、このようにして得られた無機化合物に、波長365nmの光を発するランプで照射した結果、緑色に発光することを確認した。このことから、実施例で得られた試料は、少なくともMn、必要に応じてLi、MgおよびFを含有するAlON結晶を含有する無機化合物を主成分とし、緑色に発光する蛍光体であることが示された。
次に、実施例1〜28で得られた無機化合物の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。結果を図2および表3に示す。表3は、励起スペクトルの最大値をとるピーク波長および発光スペクトルの最大値をとるピーク波長を示す。
図2は、実施例1の無機化合物の励起スペクトルと発光スペクトルとを示す図である。
図2には、波長447nmで励起した場合発光スペクトルと、発光波長を524nmに固定した場合の励起スペクトルとを示す。図2の励起スペクトルによれば、実施例1の無機化合物は、410nm以上470nm以下の波長の光で励起されることが確認された。表3によれば、実施例1の無機化合物は、447nmでもっともよく励起されて、524nmの波長にピークを有する緑色発光することが分かった。実施例1〜28の無機化合物は、420nm以上450nm以下の波長に励起スペクトルのピークがあり、励起スペクトルのピーク波長での励起において、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発し、なかでも、515nm以上541nm以下、好ましくは518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する高輝度発光する蛍光体であることが分かった。
電子線を当てたときの発光特性(カソードルミネッセンス、CL)を、CL検知器を備えたSEMで観察し、CL像を評価した。この結果、いずれの実施例の無機化合物も、電子線で励起され、緑色に発光することを確認した。
[比較例29]
比較例29では、AlON含有原料を経ることなく、直接AlON蛍光体を合成した。比較例29では、表2の実施例5と同じ設計組成を有するLiを含まないAlON蛍光体を合成した。
表2の実施例5と同じ設計組成となるように、窒化アルミニウムと酸化アルミニウムと酸化マグネシウムとフッ化マンガンとを混合し、実施例1のAlON含有原料を合成する手順と同様にして、2000℃で2時間焼成した。
このようにして得られた比較例29の無機化合物の発光スペクトルおよび励起スペクトルを、蛍光分光光度計を用いて測定した。その結果、比較例29の無機化合物は、緑色の発光をしたものの、その発光強度は、実施例1〜28のそれと比べて低かった。
次に、本発明の蛍光体を用いた照明器具について説明する。
図3は、本発明の照明器具(白色LED照明器具)の概略構造図を示す。
本発明の白色LEDは、本発明の蛍光体およびその他の蛍光体を含む蛍光体混合物1と、発光光源2とを備える。蛍光体混合物1は、ここでは、本発明の実施例1で製造した緑色蛍光体と、CaAlSiN:Euの赤色蛍光体との混合物であった。発光光源2は、ここでは、445nmの青色LEDチップからなる発光素子である。蛍光体混合物1は樹脂層6に分散され、青色LEDチップ2上にかぶせた構造であり、容器7の中に配置された。
導電性端子3、4に電流を流すと、ワイヤーボンド5を介して電流が青色LEDチップ2に供給され、445nmの光を発し、この光で緑色蛍光体および赤色蛍光体の蛍光体混合物1が励起され、それぞれ緑色、および、赤色の光を発する。これらの緑色光と赤色光と青色LEDチップ2からの青色光とが混合され、白色の光を発する照明器具として機能した。
また、蛍光体混合物1として、実施例1で製造した緑色蛍光体とKSiF:Mn赤色蛍光体とを用いて、図3の照明器具を構成した。この場合も、本発明の照明器具は、青色LEDチップ2が放つ445nmの光で緑色蛍光体および赤色蛍光体の蛍光体混合物1が励起され、それぞれ緑色、および、赤色の光を発する。これらの緑色光と赤色光と青色LEDチップ2からの青色光とが混合され、白色の光を発する照明器具として機能した。
次に、本発明の蛍光体を用いた画像表示装置について説明する。
図4は、本発明の画像表示装置(フィールドエミッションディスプレイパネル)の概略構造図である。
本発明の画像表示装置は、少なくとも励起源としてエミッタ55と実施例1で製造した緑色蛍光体56とを備える。緑色蛍光体56は、陽極53の内面に塗布されている。陰極52とゲート54との間に電圧をかけることにより、エミッタ55から電子57が放出される。電子57は陽極53と陰極52との電圧により加速されて、緑色蛍光体56に衝突して、緑色発光する。本発明の画像表示装置の全体はガラス51で保護されている。図では、1つのエミッタと1つの蛍光体とからなる1つの発光セルを示したが、実際には緑色の他に、青色、赤色のセルが多数配置されて、多彩な色を発色するディスプレイが構成される。青色や赤色のセルに用いられる蛍光体に関しては特に指定しないが、低速の電子線で高い輝度を発するものを用いるとよい。
本発明の蛍光体は、色純度のよい緑色の発光を示し、さらに励起源に曝された場合の蛍光体の輝度の低下が少ないので、VFD、FED、PDP、CRT、白色LEDなどに好適に使用され得る。今後、バックライト用LEDや電子線励起の各種表示装置において大いに活用され、産業の発展に寄与することが期待できる。本発明の製造方法を用いれば、Mnを確実に固溶させることができるので、色純度のよい緑色の発光をする蛍光体を容易に提供できるので、有利である。
1 本発明の蛍光体と赤色蛍光体との蛍光体混合物
2 青色LEDチップ
3、4 導電性端子
5 ワイヤーボンド
6 樹脂層
7 容器
51 ガラス
52 陰極
53 陽極
54 ゲート
55 エミッタ
56 蛍光体
57 電子

Claims (21)

  1. AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に、少なくともMnと、A元素(ただし、A元素はLiである)、D元素(ただし、D元素はMgである)、E元素(ただし、E元素はFである)と、必要に応じてG元素(ただし、G元素はMn、A、Al、O、N、D、E以外の1種または2種以上の元素)とを含有する無機化合物を含み、励起源を照射することにより、490nm以上550nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発する、蛍光体。
  2. 組成式MnAl(ただし、式中、a+b+f+c+d+e+f+g+h=1とする)で示され、パラメータa、b、f、c、d、e、f、gおよびhは、
    0.0003≦ a ≦0.09
    0.02≦ b ≦0.24
    0.25≦ c ≦0.41
    0.35≦ d ≦0.56
    0.02≦ e ≦0.13
    0.001≦ f ≦0.10
    0.001≦ g ≦0.20および
    0≦ h ≦0.10
    を満たす、請求項1に記載の蛍光体。
  3. 前記パラメータaは、0.005≦ a ≦0.025を満たす、請求項2に記載の蛍光体。
  4. 記パラメータfは、0.001≦ f ≦0.09を満たす、請求項2に記載の蛍光体。
  5. 記パラメータgは、0.001≦ g ≦0.17を満たす、請求項2に記載の蛍光体。
  6. 前記励起源として、420nm以上460nm以下の波長の光を照射することにより、515nm以上541nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発する、請求項1に記載の蛍光体。
  7. 前記パラメータaは、0.005≦ a ≦0.02を満たし、
    前記励起源として、440nm以上450nm以下の波長の光を照射することにより、518nm以上530nm以下の範囲の波長にピークを有する蛍光を発する、請求項2に記載の蛍光体。
  8. 少なくとも、410nm以上470nm以下の波長の光を発する発光光源と、蛍光体または蛍光体が分散した光透過体とを備える照明器具であって、
    前記蛍光体は、請求項1に記載の蛍光体を含む、照明器具。
  9. 少なくとも励起源と蛍光体とを含む画像表示装置であって、
    前記蛍光体は、請求項1に記載の蛍光体を含む、画像表示装置。
  10. AlON結晶、AlON固溶体結晶およびAlON結晶と同一の結晶構造を有する無機結晶からなる群から選択されるAlON含有原料と、Mnを含有する原料と、必要に応じてLiを含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1500℃以上1900℃以下の温度で熱処理し、前記AlON含有原料中のMn含有量を増加させる工程を包含する、AlON結晶、AlON固溶体結晶、または、AlONと同一の結晶構造を有する無機結晶に少なくともMnを含有する無機化合物を含有する蛍光体の製造方法。
  11. 前記熱処理し、Mn含有量を増加させる工程は、前記AlON含有原料中のMn含有量が0.5原子%以上となるまで行う、請求項10に記載の方法。
  12. 前記Mnを含有する原料は、フッ化マンガン、塩化マンガン、珪化マンガン、リン化マンガン、および、硫化マンガンからなる群から選択される1種または2種以上の混合物である、請求項10に記載の方法。
  13. 前記Liを含有する原料が、フッ化リチウムおよび/または窒化リチウムである、請求項10に記載の方法。
  14. 前記AlON含有原料は、前記AlON固溶体結晶であり、
    前記AlON固溶体結晶は、Mn、Eu、MgおよびLiからなる群から選択される1種または2種以上の元素を含む、請求項10に記載の方法。
  15. 前記AlON含有原料は、平均粒径(体積基準のメジアン径)5μm以上30μm以下の粉末である、請求項10に記載の方法。
  16. 前記AlON含有原料は、少なくとも、酸化アルミニウムと、窒化アルミニウムと、必要に応じてLiを含有する原料と、必要に応じて2価の金属元素を含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1800℃以上2400℃以下の温度で焼成することにより製造される、請求項10に記載の方法。
  17. 前記2価の金属元素は、Mgである、請求項16に記載の方法。
  18. 前記焼成により製造されたAlON含有原料に対して、さらに、粉砕処理、分級処理、酸処理、および、再加熱処理からなる群から選ばれる1種以上の処理を施す、請求項16に記載の方法。
  19. 前記焼成により製造されたAlON含有原料に対して、一次粒子の平均粒径(体積基準のメジアン径)が5μm以上20μm以下となるまで粒径処理を施す、請求項18に記載の方法。
  20. 前記AlON含有原料は、酸化アルミニウムと、窒化アルミニウムと、2価の金属元素を含有する原料とを混合し、0.2気圧以上100気圧以下の窒素雰囲気中で、1900℃以上2200℃以下の温度で焼成することにより製造され、
    前記熱処理し、Mn含有量を増加させる工程は、前記AlON含有原料にフッ化マンガンとフッ化窒化リチウムとを混合し、1500℃以上1850℃以下の温度で熱処理する、請求項10に記載の方法。
  21. 前記2価の金属元素は、Mgである、請求項20に記載の方法。
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