以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。本実施形態の直動回転変換装置は、主に、回転体5と、直動体6と、往復螺旋カム溝7(7A,7B)と、伝達体8(8A,8B)と、回転規制支持体9と、水平支持手段26とを備えている。回転体5は、水平な回転中心まわりを回転するものである。例えば、後述する内燃機関1の回転出力軸である。
ここで、本明細書では、往復螺旋カム溝7及び伝達体8に関し、往復螺旋カム溝7が1個の直動体6に対して2条あり、伝達体8についても1個の直動体6に対して回転体5に2個設けられることから、一方の往復螺旋カム溝7を往復螺旋カム溝7A、他方の往復螺旋カム溝7を往復螺旋カム溝7B、往復螺旋カム溝7Aに嵌まる伝達体8を伝達体8A、往復螺旋カム溝7Bに嵌まる伝達体8を伝達体8Bと表記している。また、本明細書中では、往復螺旋カム溝7A,7Bを総括して往復螺旋カム溝7、伝達体8A,8Bを総括して伝達体8と表記することもある。ただし、図面中では、符号の表記の便宜から、総括的な往復螺旋カム溝7及び伝達体8の表記はせず、往復螺旋カム溝8A,8B及び伝達体8A,8Bの表記を使用している。
直動体6は、ピストン4の往復移動力(直動力)により水平方向に往復移動(直動)するものである。また、直動体6は、伝達体8(8A,8B)と協働して回転体5を回転させるものである。この直動体6は、円筒カムの一種であり、主に、カム部6aとガイド部6bとを備えている。
直動体6のカム部6aは、その外周面に往復螺旋カム溝7(7A,7B)が形成されている。この往復螺旋カム溝7(7A,7B)は、カム部6aの外周面に形成される右巻きの螺旋カム溝の両端部と、同じくカム溝の外周面に形成される左巻きの螺旋カム溝の両端部を無端状に繋げてできたカム溝である。
直動体6のガイド部6bは、カム部6aとピストン4とを繋ぐ部材である。このガイド部6bは、シリンダ3に非接触の状態で、ピストン4と一緒にシリンダ3内を水平往復移動可能である。また、ガイド部6bは、その断面形状が非円形をしている。
伝達体8(8A,8B)は、円筒カムのカム溝に沿って移動するスライダーの一種である。この伝達体8(8A,8B)は、回転体5に設けられており、往復螺旋カム溝7(7A,7B)に嵌まった状態となる。
回転規制支持体9は、直動体6のガイド部6bが水平方向に往復摺動可能に貫通した状態となっている。この回転規制支持体9の内周部は、その断面形状がガイド部6bの断面形状の一部又は全部が引っ掛かるものとなっており、この引っ掛かりによってガイド部6bが回転体5と一緒に回転することを規制する。また、回転規制支持体9は、直動体6がピストン4と一緒に往復移動する状態で、直動体6のガイド部6bの少なくともいずれかの部分を、シリンダ3と回転体5との間で下方から支える。
水平支持手段26は、直動体6の水平姿勢を保つものであり、回転体5を直動体6に対して相対的に回転可能にするとともに、その直動体6が回転体5に対して水平往復移動可能な状態で直動体6のカム部6aを支持する。
この直動回転変換装置によれば、回転体5は、水平な回転中心まわりを回転する。この回転体5の回転は、直動体6と伝達体8(8A,8B)とが協働して生じさせる。直動体6は、ピストン4と一緒に水平方向に往復移動する。直動体6のカム部6aの外周面には往復螺旋カム溝7(7A,7B)が形成されており、この往復螺旋カム溝7(7A,7B)に伝達体8(8A,8B)が嵌まっている。往復螺旋カム溝7(7A,7B)は、右巻き及び左巻きの螺旋カム溝の両端部を繋げてできた無端状に形成されており、直動体6が水平方向に往復移動すると、伝達体8(8A,8B)が直動体6のカム部6aの周りを往復螺旋カム溝7(7A,7B)に沿って螺旋状の軌跡を描いて旋回しながら直動体6に対して相対的に往復移動することで、直動体6の水平往復移動が回転体5の回転移動に変換される。
また、直動体6は、ピストン4と直動体6のカム部6aとを繋ぐガイド部6bを備えており、このガイド部6bが回転規制支持体9の内周部に水平方向に往復摺動可能に貫通しており、回転規制支持体9は、直動体6のガイド部6bの水平方向への往復移動を許容する。これ対し、直動体6はそのガイド部6bが非円形の断面形状を有するので、このガイド部6bの断面形状の一部又は全部が回転規制支持体9の内周部に引っ掛かることで、回転規制支持体9は、直動体6が回転体5と一緒に回転することが規制することができる。
さらに、直動体6が水平方向に往復移動する状態で、直動体6のガイド部6bの少なくともいずれかの部分がシリンダ3と回転体5との間で回転規制支持体9によって下から支えられるので、直動体6は、水平姿勢を維持しながら水平方向に往復移動することができる。
そのうえ、回転体5に設けられた水平支持手段26は、回転体5が直動体6に対して相対的に回転する状態のまま、直動体6が回転体5に対して水平方向に往復移動可能な状態で、直動体6のカム部6aを支持することによって、その直動体6を水平姿勢に保つものである。これによって、カム部6aがその自らの重みで垂れ下がるなどして、直動体6の水平姿勢が崩れ、直動体6が水平方向に往復移動不能となることが抑制される。
図1から図10は、本発明の直動回転変換装置の一実施例である4気筒型4サイクル内燃機関(以下単に「内燃機関」という。)1についての説明図である。図1は、内燃機関1の内部構造を示した断面図であって、内燃機関1の4気筒のうち2気筒分の断面構造を図示している。なお、本実施例の内燃機関1の気筒数は4気筒であるが、かかる気筒数は必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、単気筒、2気筒、3気筒又は5気筒以上であっても良い。
図1に示すように内燃機関1は、主に、燃焼室2を有したシリンダ(気筒)3と、そのシリンダ3の内周部に配設されて所定ストロークを往復移動するピストン4と、そのピストン4の往復移動により連続的に一定方向に回転駆動される回転体5と、直動体6と、往復螺旋カム溝7A,7Bと、伝達体8A,8Bとを備えている。
シリンダ3は、その内周が円柱状の空間であり、ピストン4は、シリンダ3の内周に内嵌可能な円柱状をしている。ピストン4の先端外周には環状のピストンリング4aが複数嵌着されており、ピストン4は、複数のピストンリング4aを介してシリンダ3に往復摺動自在となっている。
回転体5は、円筒状の円筒部5aおよび円柱状の軸部5bを有しており、例えば、この円筒部5a及び軸部5bが同軸状に連設した段付き丸棒状となっている。この回転体5は、その円筒部5aの外径が軸部5bの外径に比べて大きく形成されている。
回転体5は、その円筒部5aの軸方向一端部(ピストン4側(図1左側)の端部をいう。(図3参照。))が円形状に開口しており、その円筒部5aの内周部に内周穴5cが形成されている。この内周穴5cは、回転体5のピストン4側(図1左側)端面中央にある円形状の開口から、回転体5の軸部5b側(図1右側)に向かって連続する円柱状の空間となっている。
回転体5は、その内周穴5c内に直動体6の一部が挿脱自在に挿入されており、この回転体5の回転中心軸がピストン4及び直動体6の中心軸と一致している。また、回転体5の内周穴5cには、その内周穴5cの内周方向に等角間隔(即ち180°位置を違えた状態)で、2個の伝達体8A,8Bが内周穴5cの内周面から内方に向かって凸設されている。
直動体6は、ピストン4の基端部(図1左側端部)に同軸状に連結固定されており、ピストン4と一緒になって水平方向に所定ストロークを往復移動するようになっている。この直動体6は、その外周面に往復螺旋カム溝7A,7Bが形成されるカム部6aと、そのカム部6a及びピストン4に両端部が同軸状に連結されるガイド部6bとを備えている。
直動体6は、そのガイド部6bのピストン4側端部(図1左側)に雄ねじ部6b1が形成されており、この雄ねじ部6b1がピストン4の基端部に螺入連結されている。直動体6は、そのカム部6a及びガイド部6bの外径がシリンダ3の内径に比べて小さく形成されており、少なくともカム部6a及びガイド部6bがシリンダ3内に遊挿可能となっている。また、直動体6のガイド部6bは、回転規制支持体9の内周部にある貫通孔9aを貫通している。
2条の往復螺旋カム溝7A,7Bは、直動体6のカム部6aの外周方向において等角間隔に形成されており、その形成位置が直動体6のカム部6aの外周方向に180°違えて設けられている。往復螺旋カム溝7A,7Bはどちらも、直動体6の外周面に形成される右巻きの螺旋カム溝と左巻きの螺旋カム溝の両端部を無端状に連設することでできる閉ループ状のカム溝である。
なお、これら2条の往復螺旋カム溝7A,7Bは、その形成位置が直動体6のカム部6aの外周方向に180°相違してはいるが、かかる形成位置を除く、例えば、溝幅、螺旋ピッチなどの各部寸法、形状その他の形態条件については全て同様のものである。
往復螺旋カム溝7Aは、直動体6のカム部6aの軸方向一端側から他端側へ向かって螺旋状に連続形成される螺旋カム溝であってピストン4及び直動体6が往動する場合に伝達体8Aが通過するものと、これとは反対巻きで直動体6のカム部6aの軸方向一端側から他端側へ向かって螺旋状に連続形成される螺旋カム溝であってピストン4及び直動体6が復動する場合に伝達体8Aが通過するものとを、直動体6のカム部6aの軸方向両端部で互いに連通接続することでできる閉ループ状(無端状)になっている。
また、往復螺旋カム溝7Bは、直動体6のカム部6aの軸方向一端側から他端側へ向かって螺旋状に連続形成される螺旋カム溝であってピストン4及び直動体6が往動する場合に伝達体8Bが通過するものと、これとは反対巻きで直動体6のカム部6aの軸方向一端側から他端側へ向かって螺旋状に連続形成される螺旋カム溝であってピストン4及び直動体6が復動する場合に伝達体8Bが通過するものとを、直動体6のカム部6aの軸方向両端部で互いに連通接続することでできる閉ループ状(無端状)になっている。
ここで、往復螺旋カム溝7A,7bはどちらとも、その右巻きの螺旋カム溝及び左巻きの螺旋カム溝が直動体6のカム部6aの外周を1周回しているため、ピストン4が1行程(往動1回分又は復動1回分)を移動することで、回転体5が1回転するようになっている。
往復螺旋カム溝7Aは、その右巻き及び左巻きの螺旋カム溝がそれぞれ直動体6のカム部6aの外周を螺旋状に1周回するため、この右巻き及び左巻きの螺旋カム溝の交差部が回転体5の外周面に1箇所できる。また同様に、往復螺旋カム溝7Bも、その右巻き及び左巻きの螺旋カム溝がそれぞれ直動体6のカム部6aの外周を螺旋状に1周回するため、この右巻き及び左巻きの螺旋カム溝の交差部が回転体5の外周面に1箇所できる。さらに、これら往復螺旋カム溝7A,7B同士の交差部は直動体6のカム部6aの外周面に4箇所できる。
なお、往復螺旋カム溝7の条数(本数)は、必ずしも2条である必要はなく、例えば、1又は3条以上であっても良い。例えば、往復螺旋カム溝7が3条以上ある場合も、各往復螺旋カム溝7は直動体6のカム部6aの軸回り(外周方向)に等角間隔で位置を違えて設けられる。例えば、往復螺旋カム溝7が3条の場合は、各往復螺旋カム溝7が直動体6のカム部6aの外周方向に120°間隔で位置を違えて設けられる。
一対の伝達体8A,8Bは、その位置が回転体5の円筒部5aの周方向に180°違っており、伝達体8Aが回転体5の上側面(図1上側)に、伝達体8Bが回転体5の下側面(図1下側)に、それぞれ位置している。
なお、本実施例の内燃機関1では、一対の伝達体8A,8Bが回転体5に固定され、かつ、直動体6が回転規制支持体9を介して回転規制されているため、一対の伝達体8A,8Bの上下位置は回転に応じて交互に変化する。
伝達体8A,8Bは、その先端部が往復螺旋カム溝7A,7Bに各々別に嵌まった状態となる。この伝達体8A,8Bは、直動体6が往復直線運動すると、往復螺旋カム溝7A,7B内を相対的に移動し、この移動により回転体5を回転させる。この伝達体8A,8Bは、いずれも半球状の先端部を有しており、この先端部の形状が往復螺旋カム溝7A,7Bの断面視半円状をした溝底形状に合致している。
なお、伝達体8A,8Bは、回転体5の円筒部5aの外周方向における配設位置が180°相違してはいるが、例えば、軸径などの各部寸法、形状その他の形態条件が同様のものである。
また、伝達体8A,8Bの軸部は、回転体5の円筒部5aに取り付けられて当該円筒部5aの一部となる取付パーツ5a1に転がり軸受を介して回転自在に軸支されており、かかる円筒部5aの周壁を貫通した形態となっている。さらに、伝達体8A,8Bは、それらの軸部の基端部に螺嵌させたストッパカラー24,24により、回転体5の取付パーツ5a1に締着されており、加えて、伝達体8A,8Bの軸部の先端部には、取付パーツ5a1からの抜け防止用のフランジ8c,8cが周設されている。
なお、伝達体8の数は、必ずしも2個である必要はなく、往復螺旋カム溝7の条数と同数であれば、例えば1又は3個以上であっても良い。伝達体8が3個以上ある場合は、往復螺旋カム溝7の条数(本数)もそれと同数の3本以上となる。例えば、伝達体が3個ある場合は、各伝達体が回転体5の内周穴5cの内周方向に等角間隔で120°位置を違えて凸設される。
このよう構成された内燃機関1によれば、2本の往復螺旋カム溝7A,7Bに2個の伝達体8A,8Bを嵌めた状態で直動体6がピストン4と一体となって往復移動することで、2個の伝達体8A,8Bが往復螺旋カム溝7の2本の往復螺旋カム溝7A,7Bに沿って相対的に移動し、この移動によって直動体6が回転体5の内周穴5cに相対的に出入りを繰り返しながら、回転体5を連続的に同一方向に回転させることができる。
回転規制支持体9は、直動体6のガイド部6bとの協働によって直動体6の回転を規制する回転規制手段である。この回転規制支持体9は、直動体6が回転体5と一緒に回転することを防止して、回転体5のみを回転自在(自転可能)にする。併せて、回転規制支持体9は、直動体6のガイド部6bと協働することによって、直動体6が回転体5の軸方向に一致する方向への往復移動することを許容し、この直動体6の往復移動をガイド(誘導)もする。
また、回転規制支持体9は、シリンダブロック13Aにおけるシリンダ3の反燃焼室2側の端面に固定されている。回転規制支持体9は、その内周部に貫通孔9aが形成された筒状をしており、この貫通孔9aの断面形状が直動体6のガイド部6bの断面形状に対して僅かに大きな相似形に形成されている。このため、回転規制支持体9の貫通孔9a内で直動体6のガイド部6bが水平方向に往復摺動可能となる。
また、回転規制支持体9には、反ピストン4側(図1右側)端面に潤滑剤供給孔9bが設けられている。この潤滑剤供給孔9bは、固定規制支持体9の内周部にある貫通孔9aまで繋がっており、この潤滑剤供給孔9bを通じて潤滑剤を貫通孔9a内に供給することによって、直動体6のガイド部6bが貫通孔9a内で摺動する際の摩擦抵抗低減と冷却とを図っている。
しかも、回転規制支持体9の貫通孔9aの内周面には、液体状の潤滑剤が溜まる微小な凹みである潤滑剤溜り凹部9cが凹設されており、この潤滑剤溜り凹部9cに溜まった潤滑剤によって、ガイド部6bの貫通孔9a内での水平直動が潤滑されるようになっている。この潤滑剤溜り凹部9cは、上記した潤滑剤供給孔9bと連通しており、潤滑剤供給孔9bを通じて潤滑剤をシリンダブロック13Bの内空間から補給するようになっている。
なお、潤滑剤供給孔9bを通じて貫通孔9aへ供給された潤滑剤を、ガイド部6bと貫通孔9aとの隙間を通じて貫通孔9a内に拡散することが可能ならば、必ずしも潤滑剤供給孔9bと潤滑剤溜り凹部9cとを連通させなくても良い。また、潤滑剤溜り凹部9cの形態は、貫通孔9a内の数カ所に部分的に凹設される凹みでなくても良く、例えば、ゴルフボール表面のような多数の微小な凹部を貫通孔9aの内周面に均一の凹設したものであっても良い。
この内燃機関1は、更に、内燃機関主軸10と、伝達機構11と、フライホイール12と、シリンダブロック13A,13Bと、シリンダヘッド14と、ロータブロック15と、ロータカバー16と、ガスケット17と、吸排気バルブ18,19と、給気口20と、排気孔21と、シリンダ周壁部22と、ウォータジャケット23と、複数のストッパカラー24と、緩衝弾性体25とを備えている。
内燃機関主軸10は、各気筒部に取り囲まれたシリンダブロック13A,13Bの中央位置に配設されている。本実施例のように内燃機関1が多気筒である場合、各気筒の回転体5の回転(力)は、伝達機構11を介して内燃機関主軸10に伝達される。この内燃機関主軸10を介して内燃機関1の回転動力はパワートレインなどの外部装置へと出力される。
伝達機構11は、互いに歯合する原動ギア11aと従動ギア11bとを備えている。原動ギア11aは、回転体5の軸部5bに軸着された歯車であり、従動ギア11bは、内燃機関主軸10の基端部に軸着された歯車である。原動ギア11aは回転体5の回転を内燃機関主軸10に伝達するための歯車である。回転体5が回転すると、原動ギア11a及び従動ギア11bを介して内燃機関主軸10が回転される。
内燃機関主軸10は、その先端がシリンダブロック13A,13Bを貫通してシリンダヘッド14にまで延出されており、その基端部はロータブロック15から外方へ突出されている。ロータブロック15は、その基端側にあるボス部15aがロータカバー16により被包されている。内燃機関主軸10は、ロータブロック15及びロータカバー16を貫通して外方へ突出されており、パワートレイン(外部装置)(図示せず)に接続されている。
この内燃機関主軸10は、シリンダヘッド14、ロータブロック15及びロータカバー16に転がり軸受を介して回転自在に軸支されており、ロータカバー16内に配設される大径状のフライホイール12の回転軸としても機能する。
なお、内燃機関1が単気筒の場合は、回転体5の軸部5b自体を内燃機関主軸10として、これにフライホイール12を取着しても良く、内燃機関1が2気筒以上の多気筒である場合は、伝達機構11を介して回転体5の回転力が伝達される内燃機関主軸10にフライホイール12を取着するようにしても良い。このように、フライホイール12を取着することによって、内燃機関主軸10の回転慣性の安定化が図られる。
シリンダブロック13Aの先端側(図1左側)にはシリンダヘッド14が、シリンダブロック13Aの基端側(図1右側)にはシリンダブロック13Bが、シリンダブロック13Bの基端側(図1右側)にはロータブロック15が、ロータブロック15の基端側(図1右側)にはロータカバー16が、それぞれボルトナットなどの締結具を介して締結固定されている。また、シリンダブロック13Aとシリンダヘッド14との間にはガスケット17が介装されている。
シリンダブロック13Aには、4気筒分(図1では2気筒分を図示する。)のシリンダ3が設けられ、シリンダヘッド14には、各シリンダ3に対応つけて吸排気バルブ18,19が配設され、この吸排気バルブ18,19の動作によって吸気口20及び排気口21が開閉される。シリンダブロック13Aにおける各シリンダ3の周囲にはシリンダ周壁部22を隔てて冷却液の循環用通路であるウォータジャケット23が設けられている。
ロータブロック15には、各気筒の回転体5の軸部5bが貫通するボス部15aが形成されており、この各ボス部15aには回転体5の軸部5bが転がり軸受を介して回転自在に軸支されている。ロータブロック15のボス部15aの軸方向両端部には、回転体5の軸部5bがロータブロック15から抜脱するのを防止するストッパカラー24が各々固定されている。この各ストッパカラー24がロータブロック15と衝合してロータブロック15を挟み込むことで回転体5がロータブロック15に対して位置決めされている。
このように、直動体6はピストン4と一緒にその軸方向(図1の左右方向)へ往復直線移動するが、この往復直線移動力(直動力)を、直動体6のカム部6aに形成される往復螺旋カム溝7A,7Bに嵌まった一対の伝達体8A,8Bを介して受ける回転体5は、ロータブロック15及びストッパカラー24を介してその回転軸方向(図1の左右方向)への動きが規制されている。
緩衝弾性体25は、直動体6のカム部6aの自由端が回転体5の内周穴5cの閉塞端面に直接接触することを防止するものであり、例えば、強化シリコンゴムなどの耐油性、耐熱性及び耐摩耗性を有した弾性体で形成されている。
この緩衝弾性体25は、2つの分離した部材から構成されており、その一つが全体として輪状に形成されて内周穴5cの閉塞端面近傍に円筒部5aの内周面に沿って所定厚み(図1の左右方向における幅)で周設された第1の緩衝弾性体25であり、もう一つが棒状体26aの基端部の外周に外嵌される円筒状をした第2の緩衝弾性体25である。
第1の緩衝弾性体25は、その輪状をした形態の内径が内周穴5cの閉塞端面側へ向かうに従って漸減することによって、直動体6のカム部6aの自由端との対向面が外周側から内周側に向かって傾斜する擂鉢状の傾斜面となっている。一方、第2の緩衝弾性体25は、その円筒状をした形態における直動体6のカム部6aの自由端との対向面がその自由端に対して平行な平坦面となっている。
これら第1及び第2の緩衝弾性体25によれば、直動体6のカム部6aの自由端が回転体5の内周穴5cに最も進入した位置(最進入位置)(ピストン4が下死点(図1右側)に到達した際のカム部6aの自由端の位置)に到達した状態で、第1の緩衝弾性体25の擂鉢状の傾斜面と第2の緩衝弾性体25の平坦面とは、直動体6のカム部6aの自由端に直接接触しない状態となる。
もっとも、何らかの理由で、直動体6のカム部6aの自由端が既定の最進入位置を越えて内周穴5cの閉塞端面に接近する場合に、これらの擂鉢状の傾斜面及び平坦面は、カム部6aの自由端を受け止めて衝撃を緩和する。
また、第1の緩衝弾性体25の内周と第2の緩衝弾性体25との間には所定幅の隙間が設けられており、この隙間を通じて、回転体5の内周穴5c内にある空気や潤滑剤が気液排出口5a2へ向かって通過できるようになっている。さらに、第1の緩衝弾性体25は、内周穴5cの閉塞端面に開口される気液排出口5a2を塞がない程度に、内周穴5cの閉塞端面から所定間隔を隔てて設けられている。
水平支持手段26は、往復移動する直動体6の水平状態を回転する回転体5を介して支持する手段である。この水平支持手段26は、直動体6を水平に支えるために回転体5に設けられる棒状体26aと、この棒状体26aを内部に挿入させた状態で常時摺動させるために直動体6に設けられる支持穴26bとを備えている。
棒状体26aは、中空筒状(パイプ状)をした丸棒に形成されている。この棒状体26aは回転体5の内周穴5cの閉塞端面から内周穴5cの開放端に向かって水平に延びており、棒状体26aの中心線は回転体5の回転中心と一致している。また、棒状体26aは、回転体5の一部として回転体5と一緒に回転しながら、直動体6を水平に支える。
この棒状体26aは、その先端(図1左側)に開口を有している。棒状体26aの中空部は、その棒状体26aの先端開口から基端側まで連続して繋がった排出穴26a1となっている。
排出穴26a1は、更に、棒状体26aの基端部に棒状体26aの内周部から外周部まで貫通した通孔が形成されており、この通孔を通じて支持穴26bの内周部とシリンダブロック13Bの内空間とを繋いでいる。したがって、この排出穴26a1によれば、棒状体26aが支持穴26b内に進入する際に支持穴26b内にある空気や潤滑剤を、支持穴26bからシリンダブロック13B内へ排出することができる一方、棒状体26aが支持穴26b内から退出する際にシリンダブロック13Bから空気を支持穴26b内へ流入させて支持穴26b内が負圧となることを防止して、直動体6が直動する際の負荷を低減できる。
支持穴26bは、断面円形状の丸穴に形成されており、棒状体26aの外形に合わせた円柱状の空間となっている。また、この支持穴26bは、直動体6のカム部6aの自由端(反ピストン4側端(図1右側))の端面からピストン4側(図1左側)に向かって水平に連続した一端開放他端閉塞型の穴となっている。この支持穴26bは、直動体6の中心線上に設けられており、棒状体26aの中心線と一致する線上に設けられている。よって、直動体6が水平往復移動しながら回転体5が回転する状態にあって、棒状体26aが支持穴26b内に挿入された状態のまま往復直線移動しながら支持穴26b内で回転することもできる。
しかも、棒状体26aは、ピストン4及び直動体6が所定ストロークを水平往復移動しても、その棒状体26aの一部が支持穴26b内に常に挿入された状態となるようになっている。したがって、棒状体26aが支持穴26b内に最も浅く挿入された状態、即ち、ピストン4が上死点にある状態(図1上側のピストン4の位置状態)でも、棒状体26aの先端部が支持穴26b内に挿入された状態となる。このように棒状体26aが支持穴26bから抜けずに挿入され続けることによって、水平往復移動するピストン4及び直動体6の水平状態を常に維持できる。
また、棒状体26aが支持穴26b内に最も深く挿入された状態、即ち、ピストン4が下死点にある状態(図1下側のピストン4の位置状態)になる直前まで、棒状体26aの基端部にあるの通孔が支持穴26b内に挿入されずにその外にあり、排出穴26a1の通孔が支持穴26b内に入り込んで閉塞されることを防止している。
これによって、棒状体26aが支持穴26b内に最も深く挿入される直前まで、支持穴26b内の空気や潤滑剤を排出孔26a1を通じてシリンダブロック13Bの内空間へ排出できる一方、棒状体26aが支持穴26b内から抜き出される際に、いち早く排出穴26a1の通孔が支持穴26aから外に出て、支持穴26b内に空気を流入させて、支持穴26b内を負圧状態になることを防止できる。
なお、上記した排出穴26a1に代えて、先端が開口された中空状の棒状体26aの外周面全体に中空部に貫通した多数の小孔を穿設し、この多数の小孔を通じて潤滑剤を排出するとともに、潤滑剤を棒状体26aの外周面と支持穴26bの内周面との間に供給するようにしても良い。
また、ピストン4が下死点にある状態にあって、直動体6の自由端と回転体5の内周穴5cの閉塞端面との間には、所定の隙間ができる。これによって、直動体6が回転中の回転体5の円筒部5aと接触することを防止している。
以下、上記した水平支持手段の変形例について説明する。第1変形例の水平支持手段は、上記した棒状体26aに代えて、棒状体を中実丸棒に形成したものである。この棒状体によれば、棒状体の外周部に棒状体の先端から基端側に連続して凹設された1又は2条以上の排出溝があり、この1又は2条以上の排出溝を通じて支持穴26b内から空気や潤滑剤を抜くことができる。
第2変形例の水平支持手段は、上記した棒状体26a及び支持穴26bに代えて、棒状体を中空棒状又は中実丸棒状に形成し、この棒状体の外周面又は支持穴の内周面に多数の小径球体状のボールを全方向転がり可能に埋設保持し、この多数のボール介して棒状体を支持穴の内周面に接触させるようにしたものである。この棒状体によれば、多数のボールを介して、支持穴に対する相対的な直動及び回転に伴う摩擦を低減することができる。また、多数のボールは、例えば、棒状体の外周面又は支持穴の内周面に千鳥配置するようにしても良い。
第3変形例の水平支持手段は、上記した棒状体26a及び支持穴26bに代えて、棒状体を中空棒状又は中実丸棒状に形成し、この棒状体を支持穴内で直動可能かつ回転可能にするため支持穴内にボールブッシュを内嵌し、このボールブッシュの内周に棒状体を挿入したものである。ボールブッシュは、その内周面に多数の小径球体状のボールを全方向転がり可能に埋設保持したものであり、この多数のボールの転がりの介在によって低摩擦抵抗で棒状体を回転可能かつ水平直動可能に支持するものである。
第4変形例の水平支持手段は、上記第3変形例のボールブッシュに代えて、その他の無給油軸受や無給油ブッシュなどを支持穴内に内嵌し、これらの内周に棒状体を挿入するようにしたものである。無給油軸受や無給油ブッシュは、軸受やブッシュ内に固体潤滑剤を例えば千鳥状に複数埋設したものであり、この固体潤滑剤の介在によって棒状体を軸受やブッシュ内で低摩擦抵抗で水平直動可能かつ回転可能にするものである。
なお、無給油軸受や無給油ブッシュは、必ずしも固体潤滑剤を埋設したものに限らず、これらの軸受やブッシュ自体を潤滑剤を含浸した素材で形成したものであっても良い。
第5変形例の水平支持手段は、上記本実施例の棒状体26a及び支持穴26bに代えて、回転体5の内周穴5c内に転がり軸受を内嵌し、この転がり軸受の内周にリニアブッシュ又はボールブッシュを内嵌し、このリニアブッシュ又はボールブッシュの内周に直動体6のカム部6aの反ピストン4側端部に連設した延長軸部を内嵌するようにしたものである。
ここで、リニアブッシュは、その内周面に多数の小径球体状のボールを直動方向に転がり可能に埋設保持し、この多数のボールの転がりの介在によって低摩擦抵抗で直動体6の延長軸部を水平直動可能に支持するものである。直動体6の延長軸部は、図1に示すカム部6aの先端部(図1左側)から反ピストン4配設側に更に伸びた軸状体であって、リニアブッシュの内周に往復移動可能に内嵌される。また、この延長軸部は、カム溝の非形成部分でもあることから、リニアブッシュ内で水平往復移動する場合に、リニアブッシュのボールがカム溝の凹みに引っ掛かることを防止できる。
なお、リニアブッシュ又はボールブッシュに代えて、ボールスプラインを転がり軸受の内周に内嵌し、その延長軸部の外周にボールスプラインのボールが嵌まって転がるスプライン溝を形成するようにしても良い。
第2水平支持手段27は、各気筒のシリンダブロック13B内に配設されている2個の支持ローラ27a,27aと、この2個の支持ローラ27a,27aを回転可能に支持する支持台座27bとを備えている。2個の支持ローラ27a,27aの外周上端には直動体6が載置されている。
この第2水平支持手段27によれば、直動体6が水平往復移動すると、直動体6のカム部6a及びガイド部6bを上に載せた支持ローラ27a,27aが回転して、直動体6を水平に移動させる。支持ローラ27a,27aによって、直動体6は、下から支持されて水平姿勢に保持される。特に、直動体6のカム部6a及びガイド部6bを載せた支持ローラ27a,27aが回転することで、直動体6が水平直動する際の摩擦抵抗を低減でき、直動体6が受ける負荷も低減できる。
上記のように構成された内燃機関1によれば、ピストン4の移動に伴って直動体6が往動方向(図1の矢印X1方向)に移動(往動)し、ピストン4が上死点から下死点まで移動すると、一対の伝達体8A,8Bが往復螺旋カム溝7A,7Bを一端側(図1左側)から他端側(図1右側)まで相対的に移動し、この一対の伝達体8A,8Bの相対移動によって回転体5が360°回転されることとなる。
その後、ピストン4の移動に伴って直動体6が復動方向(図1の矢印X2方向)に移動(復動)し、ピストン4が下死点から上死点まで移動すると、往復螺旋カム溝7A,7Bを他端側(図1右側)から一端側(図1左側)まで相対的に移動し、この一対の伝達体8A,8Bの相対移動によって回転体5が更に360°回転されることとなる。
この結果、ピストン4が2行程(2サイクル)動作して1往復移動することによって、回転体5が2回転されることとなる。
図2は、シリンダブロック13Bのシリンダ3の断面図であって、図1のII−II線における断面図である。図2に示すように、シリンダ3はシリンダブロック13Aの中心回りに等角間隔で配置されており、このシリンダブロック13Aの中心を内燃機関主軸10が貫通している。各シリンダ3はいずれも内燃機関主軸10の中心から等距離の位置に設けられ、内燃機関主軸10を中心にした円周上に各シリンダ3を配置することで、シリンダ3の配置スペースの狭小化を図っている。また、シリンダブロック13Aには、各シリンダ3の周囲にシリンダ周壁部22を隔ててウォータジャケット23がそれぞれ形成されている。
図3は、回転体5の円筒部5aの断面図であって、図3(a)は、図1のIII−III線における断面図であり、図3(b)は、図3(a)の第1気筒(図3(a)左上)に対応する部分の拡大図である。なお、図3中の1点鎖線は、伝達機構11の原動ギア11a及び従動ギア各ギア11bのピッチ円を示している。
図3(a)に示すように、4基の回転体5はロータブロック15の内空間に配設されている。4基の回転体5は、ロータブロック15の中心回りに、4基のシリンダ3に対応つけて等角間隔で配置されている。ロータブロック15の中心には内燃機関主軸10が図3紙面に対する垂直方向に向かって貫通している。ロータブロック15の奥側には、ロータカバー16が配設されており、このロータカバー16内に原動ギア11a及び従動ギア11bが配設されている。原動ギア11aは従動ギア11bの周囲に遊星状に配設されている。
原動ギア11a及び従動ギア11bはいずれも仕様(歯形、モジュール、歯数、圧力角、基準ピッチ円直径、歯厚などをいう。)が同一の平歯車である。このため、各原動ギア11aの回転数は、従動ギア11bに同一回転数にて伝達されることとなり、各回転体5の回転は増速及び減速されることなく内燃機関主軸10に伝達される。ただし、各回転体5の回転方向は一致しており、内燃機関主軸10の回転方向は各回転体5とは反対方向に回転される。
図3(b)に示すように、回転体5の円筒部5aにおける内周穴5cの閉塞端面には、円筒部5aの周壁部の近傍に等角間隔で4箇所に気液排出口5a2が開口形成されている。これらの気液排出口5a2は、いずれも円筒部5aの内周穴5cからその外部まで貫通してロータブロック15の内空間と繋がっており、円筒部5aの内周穴5c内にある空気と潤滑剤とを各気液排出口5a2からロータブロック15の内空間へ排出できるようになっている。
図4は、直動体6のカム部6aの断面図であって、図4(a)は、図1のIV−IV線にける断面図であり、図4(b)は、図4(a)の第1気筒(図4(a)右上)に対応する部分の拡大図である。図4に示すように、2個の伝達体8A,8Bは、直動体6の外周部に等角間隔で配置されており、互いに対向位置に固定されている。回転体5の内周穴5c内には、直動体6のカム部6aが遊挿されており、このカム部6aに凹設される往復螺旋カム溝7A,7Bに伝達体8A,8Bがそれぞれ係合されている。
また、水平支持手段26によれば、その棒状体26aの断面形状が中空円形状をしており、支持穴26bの断面形状が棒状体26aの断面形状に比べて僅かに大きくて棒状体26aの断面形状に相似な円形状をしている。このため、棒状体26aは、支持穴26bに対して嵌め合いが互いの間に僅かな隙間が介在した「すきまばめ」状の状態となり、棒状体26aが支持穴26b内で摺動する際の摩擦抵抗を低減できる。
なお、本実施例では、図4に示すように、支持穴26bの内周形状を断面円形状にしたが、かかる支持穴の内周形状は必ずしもこれに限定されるものではなく、支持穴の内周形状は、例えば、上下方向の高さは棒状体26aの外径に合わせたものであって、横方向の幅は棒状体の外径よりも大きな楕円形状又は長円形状(小判状)をした断面形状であっても良い。さすれば、棒状体26aの左右に支持穴26bの内周面との間に隙間を確保でき、この隙間から潤滑剤を支持穴内に供給することもできる。また、棒状体と支持穴との左右両側の接触面積も低減できるので、棒状体が支持穴内で摺動して挿脱される際の摩擦抵抗も低減することができる。また、棒状体の断面形状を多角形にして支持穴の内周形状を円形や楕円形状又は長円形状としても良い。
図5は、直動体6のガイド部6bの断面図であって、図5(a)は、図1のV−V線における断面図であり、図5(b)は、図5(a)の第1気筒(図5(a)左上)に対応する部分の拡大図である。図5に示すように、直動体6のガイド部6bの断面形状は、上下両側が同一半径及び同一円弧長を有する上下対称な円弧部と、左右両側がその円弧部の両端部に連設され上下に直線状に延びる左右対称な垂直部とを備えた非円形をしている。このガイド部6bの断面形状は、その上下にある円弧部がガイド部6bの断面中心点から所定半径の円に一致しており、この上下の円弧部が一致する円は、カム部6aの往復螺旋カム溝7A,7Bの非形成部分の円形断面形状に一致している。
換言すると、カム部6aは、ガイド部6bにおける上下の円弧部と同一外径となる円形状の断面形状を有した丸棒の外周面に往復螺旋カム溝7A,7Bを形成したものであり、ガイド部6bは、カム部6aと同一外径の丸棒の断面左右両側を所定幅ずつ垂直直線状に互いに平行となるように切欠いた非円形の切欠き円形状の断面形状を有したものである。なお、ガイド部6bの断面形状における円弧部と垂直部との連結部となる4つの角には丸味づけを施すようにしても良い。
第2水平支持手段27によれば、その各支持ローラ27aは、その軸方向が図5の水平方向(図1の紙面に対する垂直方向)を向いており、この軸方向両端部が支持台座27bにより回転自在に軸支されている。このため、各支持ローラ27aにより支持された直動体6のカム部6a及びガイド部6bの水平に下方から支持しながら、直動体6の水平移動を移動案内することできる。
図6は、回転規制支持体9の断面図であって、図6(a)は、図1のVI−VI線における断面図であり、図6(b)は、図6(a)の第1気筒(図6(a)右上)に対応する部分の拡大図である。図6に示すように、回転規制支持体9の貫通孔9aはその断面形状が上記したガイド部6bの断面形状をごく僅かに拡大した相似形の切欠き円形状をしており、ガイド部6bの外周面と貫通孔9aの内周面との間には、ガイド部6bが貫通孔9a内をその貫通方向に低摩擦抵抗で水平方向に往復摺動可能とするため、僅かな隙間が設けられてはいるものの、ガイド部6bと貫通孔9aの断面形状は互い適合した形状となっている。
さらに、ガイド部6bと貫通孔9aとは互いに合致した断面形状であり、かつ、上下の円弧部に加えて左右の垂直部があるので、互いの左右の垂直部が引っ掛かることで、ガイド部6bが貫通孔9a内で回転することを規制できる。よって、回転体5の回転力が伝達体8A,8Bを介して直動体6のカム部6aに伝達されても、直動体6のガイド部6bが回転規制支持体9に引っ掛かることで、直動体6が回転体5と一緒に回転することを阻止することができる。
そのうえ、回転規制支持体9の貫通孔9a内に直動体6のガイド部6bを貫通させることで、回転規制支持体9は、直動体6におけるシリンダ3と回転体5の間部分に相当するガイド部6bを下方から支えて水平姿勢を維持できる。このように、回転規制支持体9は、直動体6のガイド部6bを支持することによって、その直動体6を水平姿勢に保つことができ、直動体6がその重みで垂れ下がり、直動体6の水平姿勢が崩れ、直動体6が水平方向に往復移動不能となることを抑制できる。
なお、上記実施例の直動体6のガイド部6b及び回転規制支持体9の貫通孔9aの断面形状は切欠き円形状であったが、直動体のガイド部の断面形状、及び、そのガイド部が貫通する回転規制支持体の貫通孔の断面形状は、必ずしもこれに限定されるものではなく、ガイド部の断面形状の一部又は全部が回転規制支持体に引っ掛かるものであれば、非円形をした他の形状であっても良い。
例えば、ガイド部の断面形状が、長円形状(小判状)、多角形状、楕円形状、星形状、スプライン軸の断面形状、星形状、円形の一部に突起部を有する形状その他の非円形状であって、回転規制支持体の貫通孔がこれらに適合した相似状の断面形状であっても良い。さらに、回転規制支持体の貫通孔の断面形状は、その周囲全体が回転規制支持体の本体で囲まれている必要はなく、その周囲の一部が切欠かれていても良い。
また、回転規制支持体9は、シリンダブロック13Aのシリンダ3の下死点側(図1右側)端面に固定されているところ(図1参照)、この回転規制支持体9の左右両側がガイド部6bの左右両側の垂直部と平行に垂直に切欠かれており、この切欠きによってシリンダ3の内周とシリンダブロック13Bの内空間とを繋ぐ開口である潤滑剤供給口28,28が左右両側に形成されている。この潤滑剤供給口28,28は、シリンダブロック13Bの内空間に供給される潤滑剤をシリンダ3内及びピストン4に供給するための開口部である。
ところで、図示は省略しているが、シリンダブロック13B内には、図示しない複数の潤滑剤噴射ノズルが配設されている。複数の潤滑剤噴射ノズルは、シリンダブロック13B外からエンジンオイルなどの潤滑剤を供給する配管と接続されており、回転規制支持体9とシリンダブロック13Aとの隙間に形成される潤滑剤供給口28を通じて、シリンダ3の内壁面に潤滑剤を噴射するようになっている。
また、潤滑剤噴射ノズルは、回転体5の円筒部5aの開口部から内周穴5c内へ潤滑剤を噴射するようにもなっており、これによって内周穴5c内にある伝達体8A,8Bと往復螺旋カム溝7A,7Bとの間を潤滑し、水平支持手段26の棒状体26aと支持穴26bとの間を潤滑し、これらの摩擦抵抗を低減して、直動体6から回転体5への動力伝達効率の向上を図っている。さらに、潤滑剤噴射ノズルの中には、直動体6のガイド部6bに潤滑剤を直接噴射したり、回転規制支持体9の潤滑剤供給孔9b内へ潤滑剤を噴射するものもある。
図7は、内燃機関1のバルブシステム30の構造図である。図7に示すように、バルブシステム30は、シリンダヘッド14に装着されるシリンダヘッド14内に収容されており、図示しないカムハウジングに搭載されている。なお、図7では、SOHC系の直動式バルブシステム30について説明する。
この直動式バルブシステム30は、主に、内燃機関主軸10に軸着されるタイミングギア列31の第1ギア31aに加えて、内燃機関1の各気筒毎に備わる吸気バルブ18及び排気バルブ19と、タペット(バルブリフター)32と、カムシャフト33と、タイミングギア列31の第2〜第4ギア31b〜31dとを備えている。このバルブシステム30は、内燃機関主軸10の回転を、タイミングギア列31を介してカムシャフト33に伝達し、このカムシャフト33の回転をタペット32を介して吸気バルブ18及び排気バルブ19に伝達して、吸気バルブ18及び排気バルブ19を交互に開閉させるものである。
吸気バルブ18及び排気バルブ19のバルブシステム30にはバルブスプリング34が巻着されており、バルブシステム30の上端にはタペット32が取着されている。バルブスプリング34は、シリンダヘッド14とタペット32との間に圧縮状態で介装されており、バルブ18,19の傘部を吸気口20及び排気口21の開口縁に圧接させる付勢力を付与している。
タイミングギア列31は、内燃機関主軸10の回転をカムシャフト33に伝達して吸気バルブ18及び排気バルブ19の開閉タイミングを調整するものであり、内燃機関主軸10の1回転につき、カムシャフト33を1/4回転させるため、タイミングギア列31の減速比は1/4となっている。このタイミングギア列31は、内燃機関主軸10に軸着される歯車(例えば平歯車)の第1ギア31aと、これに歯合される歯車(例えば平歯車)の第2ギア31bと、これと同一の回転軸に軸着される歯車(例えば、かさ歯車又は円筒歯車)の第3ギア31cと、これに歯合されカムシャフト33に軸着される歯車(例えば、かさ歯車又は円筒歯車)の第4ギア31dとを備えている。
図8は、シリンダヘッド14内のバルブシステム30の配置図であり、各気筒に配設される点火プラグの図示を省略している。図8に示すように、バルブシステム30は、シリンダヘッド14の中央部に内燃機関主軸10に軸着された第1ギア31aを備えており、この第1ギア31aに各気筒の第2ギア31bが歯合されている。
タイミングギア列31の4つの第2ギア31bは、第1ギア31aを中心とした円周上に等角間隔で遊星状に配置されている。各第2ギア31bの回転軸には第3ギア31cが軸着されており、各第3ギア31cには第4ギア31dが歯合されている。そして、各第4ギア31dは、各気筒のカムシャフト33に軸着されている。
各カムシャフト33には、吸気カム33aと排気カム33bとが一体形成されており、吸気カム33aは吸気バルブ18のタペット32に、排気カム33bは排気バルブ19のタペット32に、バルブスプリング34の付勢力を介して各々圧接されている。また、吸気口20及び排気口21の配置方式は、互いにシリンダ3の直径方向に対向したクロスフロー方式となっている。
図9を参照して、任意のピストン4が4サイクル(吸気行程、圧縮行程、爆発行程及び排気行程)動作する場合、即ち、直動体6が2往復移動する場合にするカムシャフト33の1回転動作について説明する。
図9(a)〜図9(d)は、任意のカムシャフト33が90°ずつ回転したときの状態を示した説明図であり、当該カムシャフト33に形成されている吸気カム33a及び排気カム33bの位置を図示している。図9(a)に示すように、上記したように回転体5はピストン4の1行程動作で1回転することから、内燃機関主軸10も1回転することとなり、結果、タイミングギア列31を介してカムシャフト33は1/4回転されることとなる。つまり、吸気カム33a及び排気カム33bは1行程当たり90°(1/4)回転されることとなる。
ここで、吸気カム33aは、図9(a)の位置から図9(b)の位置まで90°回転することによって、吸気バルブ18の開閉動作(吸気行程)を行い、その後の圧縮行程(図9(b)の位置から図9(c)の位置まで90°回転する行程)、爆発行程(図9(c)の位置から図9(d)の位置まで90°回転する行程)及び排気行程(図9(d)の位置から図9(a)の位置まで90°回転する行程)の期間中は吸気バルブ18の閉塞状態を維持するようになっている。
また、排気カム33bは、図9(d)の位置から図9(a)の位置まで90°回転することによって、排気バルブ19の開閉動作(排気行程)を行い、その後の吸気行程(図9(a)の位置から図9(b)の位置まで90°回転する行程)、圧縮行程(図9(b)の位置から図9(c)の位置まで90°回転する行程)、及び、爆発行程(図9(c)の位置から図9(d)の位置まで90°回転する行程)の期間中は排気バルブ19の閉塞状態を維持するようになっている。
このように、カムシャフト33は、吸気カム33aが排気カム33bに対してカムシャフト33の中心軸回りに位相が90°分遅れる状態で設けられている。このため、例えば、図9(d)に示す位置から図9(a)に示す位置まで90°回転して、排気カム33bが排気バルブ19の開閉動作(排気動作)の開始位置から終了位置まで回転し終えると、吸気カム33aが吸気バルブ18の開閉動作(吸気行程)の開始位置に丁度到来するように到達するようになっている。
図10は、内燃機関1の各気筒の行程と内燃機関主軸10の回転角度との関係を示した図である。図10に示すように、内燃機関1の第1気筒から第4気筒までは、それぞれ吸気行程−圧縮行程−爆発行程−排気行程を順番に繰り返す。これらの第1〜第4気筒は、第1気筒−第2気筒−第3気筒−第4気筒の順で点火されて爆発行程を行う。また、内燃機関主軸10は、各気筒が爆発する毎に360°回転して、4気筒全てが爆発行程を経ることで4回転することとなる。
以上、実施例に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施例では、本発明の伝達体の一例として、半球状の先端部を有した円柱状の軸部を有する伝達体8を用いて説明したが、かかる伝達体の形態は必ずしもこれに限定されるものでない。例えば、上記実施例では伝達体の軸部を平面視円形状に形成したが、伝達体は、横幅方向(往復螺旋カム溝の溝幅方向)両側に平面視直線状の横側端面を互いに平行状になるようにそれぞれ形成し、この横側端面が往復螺旋カム溝の溝壁面に摺接することで、伝達体が往復螺旋カム溝に沿って案内移動されるようにしても良い。
特に、この伝達体における横幅方向両側にある横側端面は、その往復螺旋カム溝の延長方向おける長さを当該往復螺旋カム溝の交差部における溝幅よりも大きく形成すると良い。さすれば、伝達体が当該往復螺旋カム溝の交差部を通過する際、本来の進行先である往復螺旋カム溝ではなく、それと交差した別の往復螺旋カム溝に入り込んでしまうことを防止できる。
また、この伝達体にあっては、その形状が上記実施例の円柱状の軸部のもの比べて往復螺旋カム溝の延長方向に長尺状となるため、往復螺旋カム溝の溝幅が一定のままでは、往復螺旋カム溝の往動溝及び復動溝の連結部分(折り返し部分)にて、伝達体が往動溝又は復動溝の一方から他方へ向かって方向転換し難くなる。そこで、かかる伝達体の方向転換を容易にするため、カム部の両端部にある往復螺旋カム溝の折返し部分では、その他の部分比べて溝幅を拡大形成すると良い。
また例えば、本願出願人による特許願2016−87585にもあるように、本実施例の伝達体は、その伝達体の一部として設けられ、前記往復螺旋カム溝内に摺動自在に先端部を嵌入した状態で前記回転体に回転自在に軸支される伝達係合部と、その伝達係合部に比べて前記伝達体における移動方向前側及び後側に各々設けられるとともに、その伝達係合部に比べて小径状に形成されて前記往復螺旋カム溝内に浅く遊嵌された状態となり、前記往復螺旋カム溝の溝内面と当接又は摺接可能であって前記伝達係合部を中心に回転可能となっている前後一対の伝達ガイド部とを備えているものであっても良い。
また、前記往復螺旋カム溝は、前記右巻き及び左巻きの螺旋カム溝の両端部の連設部分に、前記伝達係合部の先端部を嵌入可能な深溝部と、その深溝部に比べて溝深さが小さくかつ溝幅が大きく形成され前記前後一対の伝達ガイド部を遊嵌可能であって当該前後一対の伝達ガイド部の回転を許容する逃げ溝部とを備えているものであっても良い。
また、前記伝達体は、前記往復螺旋カム溝の溝交差部内にその一の溝を進行する前記伝達係合部が進入した状態にあって前記前後一対の伝達ガイド部の双方が前記一の溝における非溝交差部に嵌まった状態となり、かつ、前記往復螺旋カム溝の溝交差部内にその一の溝を進行する前記前後一対の伝達ガイド部のうち一方が進入した状態にあって前記伝達係合部及び他方の伝達ガイド部が前記一の溝における非溝交差部に嵌まった状態となる形態を備えており、この形態によって前記伝達係合部及び前記前後一対のガイド溝のいずれかが往復螺旋カム溝の溝交差部内に進入した状態あって前記一の溝に交差する他の溝に誤進入することを阻止するものであっても良い。
この伝達体によれば、直動体が所定ストロークを往復移動すると、その往復移動により回転体が一方向に回転する。この直動体の周面には、往復螺旋カム溝が形成されており、この往復螺旋カム溝は、右巻き及び左巻きの螺旋カム溝の両端部を無端状に連設してできている。伝達体は、往復螺旋カム溝に嵌まった状態で回転体に連結されている。さすれば、直動体が往復移動することで、伝達体が往復螺旋カム溝に沿って直動体の軸方向に相対的な往復移動をし、この伝達体の移動に伴って回転体が一方向に連続的に回転される。
伝達体には伝達係合部と前後一対の伝達ガイド部とが設けられている。伝達係合部は、その先端部が往復螺旋カム溝内に摺動自在に嵌入された状態で、回転体に回転自在に軸支される。前後一対の伝達ガイド部は、伝達体における伝達係合部よりも移動方向前側及び後側に各々設けられ、伝達係合部よりも往復螺旋カム溝内に浅く遊嵌される。また、前後一対の伝達ガイド部は、往復螺旋カム溝の溝内面に当接又は摺接して伝達係合部を中心に回転することで、往復螺旋カム溝の軌道に応じてその向きを変更する。
このような伝達体又はこれを備えた直動回転変換装置によれば、往復螺旋カム溝に嵌入される伝達係合部に比べて、この伝達係合部の前後に設けられる一対の伝達ガイド部は往復螺旋カム溝に浅く遊嵌される。つまり、前後一対の伝達ガイド部と往復螺旋カム溝の溝内面との間には遊間があり、往復螺旋カム溝の溝内面と一対の伝達ガイド部とが常時接触することを防止できる一方、伝達係合部が往復螺旋カム溝の溝内面と常時的に接触することで直動体の直動力が回転体に伝達される。
また、往復螺旋カム溝は、その右巻き及び左巻きの螺旋カム溝の両端部が互いに連設されており、この連設部分が往復螺旋カム溝の折返し部となっている。この往復螺旋カム溝の折返し部には深溝部と逃げ溝部とが設けられている。伝達体は、直動体の軸方向に相対的に往復移動するため、往復螺旋カム溝の折返し部で進行方向を方向転換する。往復螺旋カム溝の折返し部にある深溝部は、伝達体の伝達係合部の先端部を嵌入可能な溝である。また、往復螺旋カム溝の折返し部にある逃げ溝部は、伝達体が進行方向を方向転換する際に前後一対の伝達ガイド部が伝達係合部を中心に回転することを許容するためのスペース(逃げ)である。
ここで、前後一対の伝達ガイド部は伝達係合部に比べて往復螺旋カム溝に浅く遊嵌されており、この前後一対の伝達ガイド部に適合するように、逃げ溝部は、深溝部に比べて溝深さが小さく、かつ、深溝部に比べて溝幅が大きくなっている。
このような往復螺旋カム溝の折返し部では、伝達体の進行方向が直動体のカム部の軸方向一側から他側へ向かうものから軸方向他側から一側へ向かうものに方向転換する。この伝達体が方向転換する際、伝達係合部は、深溝部に嵌合しながら摺動することで伝達体のズレを防止することができ、その一方で、前後一対の伝達ガイド部は、逃げ溝部の溝内面に摺接することで伝達係合部を中心に回転し、この回転によりその方向を転換できる。
特に、伝達体は、往復螺旋カム溝の溝交差部で交差している一の溝を進行してその溝交差部内に伝達係合部が進入した状態となったとき、前後一対の伝達ガイド部の双方が当該一の溝における非溝交差部に遊嵌した状態となる形態であるので、かかる伝達係合部がそれまで進行してきた前記一の溝ではなく、これに交差する他の溝に誤進入することを阻止できる。
そのうえ、伝達体は、往復螺旋カム溝の溝交差部で交差している一の溝を進行してその溝交差部内に前記前後一対の伝達ガイド部のうち一方が進入した状態となったとき、伝達係合部及び他方の伝達ガイド部の双方が当該一の溝における非溝交差部に嵌まった状態となる形態であるので、かかる一方の伝達ガイド部がそれまで進行してきた前記一の溝ではなく、これに交差する他の溝に誤進入することを阻止できる。
このように構成された伝達体によれば、一対の伝達ガイド部と往復螺旋カム溝の溝内面との間には深さ方向及び幅方向に遊間が設けられ、かつ、一対の伝達ガイド部が伝達係合部を中心に回転自在となっているので、かかる遊間の存在と回転より一対の伝達ガイド部が溝内面から離反可能となる。かかる前後一対の伝達ガイド部の溝内面からの離反により、前後一対の伝達ガイド部が往復螺旋カム溝の溝内面に強い摩擦力を伴って常時的に接触することを防止できる。この結果、伝達体は、伝達係合部のみが往復螺旋カム溝の溝内面と接触して常時的に直動体の力を回転体に伝達するので、伝達体と往復螺旋カム溝との摩擦抵抗を低減でき、直動体から回転体への動力伝達効率を向上できる。
また、この伝達体によれば、その回転体の周面に形成される往復螺旋カム溝の折返し部に深溝部及び逃げ溝部を設けることで、伝達体の伝達係合部が深溝部に嵌合しつつ移動できるので、かかる伝達係合部の嵌合により直動体のストロークのズレを防止できる。よって、例えば、この直動体に内燃機関のピストンが連結される場合、かかる内燃機関の給気時期、排気時期、点火時期などの狂いを防止でき、内燃機関の動作不全を防止できる。
また、例えば、直動体6のカム部6aの外周面の上面部には、往復螺旋カム溝7A,7Bを避けて、前記支持穴26bまで貫通する潤滑剤供給孔を穿設しても良い。さすれば、この潤滑剤供給孔を通じてシリンダブロック13B内に噴射されている潤滑剤を支持穴26b内まで供給することができる。
また、本実施例では、回転体5の円筒部5aの開口端側を転がり軸受を用いて回転自在に軸支したが、かかる転がり軸受に代えて、回転体5の円筒部5aの外周に複数(例えば3個又は4個以上)のローラを等角間隔で当接させた状態で配置し、これら複数のローラをシリンダブロック13B又はロータブロック15内に回転自在に軸支することで、回転する回転体5の円筒部5aをこれら複数のローラを介して支持するようにしても良い。