JP6737468B2 - 前処理装置 - Google Patents
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Description
バッグ11は、透明で可撓性を有する二枚の樹脂シートを重ね合わせた状態で、開口部14Aを除いた外縁部11Aが溶着されることにより扁平なバッグ形状に形成されたものである。バッグ11は、第1液剤が封入された第1収容室13と、吸水材12を収容する吸水材収容室14とを有する。吸水材収容室14は、開口部14Aを介してバッグ11の外部へ開口している。第1収容室13及び吸水材収容室14の間には第1区画部15が配置されている。本実施形態におけるバッグ11は、長手と短手とを有する矩形状(すなわち、長方形状)であって、第1収容室13及び吸水材収容室14は長手方向Xにて隣接して配置されている。
吸水材12は、木材パルプやそれ以外の原料から製造される紙を素材として構成される。これに限られず、吸水材12の素材には、布(織物、不織布等)や多孔質材等で吸水性を有するものが適宜使用できる。図1に示されるように、吸水材12は、平面視(図1参照)において長方形状の本体部12Aを有している。本体部12Aは、長方形状の長辺方向がバッグの短手方向Yに沿って配置される。本体部12Aには、凸部12Bが設けられている。凸部12Bは、本体部12Aの二つの長辺のうち、長手方向Xにおいて開口部14A側に配置された長辺から開口部14Aに向かって突出している。本体部12Aの長辺方向の長さL1は、吸水材収容室14の内部において吸水材12が短手方向Yに移動するのを制限可能な長さに設定される。すなわち、長さL1は、短手方向Yにおける吸水材収容室14の内法の幅L2より僅かに短い長さに設定される。本体部12Aの長辺方向に沿った凸部12Bの長さは、長さL1より短い。また、凸部12Bは、本体部12Aの長辺においてほぼ中央に配置されている。
吸水材収容室14は、吸水材12の本体部12Aを保持する保持部14Bを有している。保持部14Bは、本体部12Aの外形と対応する矩形状を有しており、第1区画部15を間に挟んで第1収容室13と隣り合っている。保持部14Bよりも長手方向Xにおける開口部14A側に、短手方向Yの長さL3が、保持部14Bの短手方向Yの長さL2より短い幅小部19が配置されている。幅小部19は長手方向Xにて保持部14Bと隣り合っている。
本実施形態では、第1液剤は、血液凝固剤を含む。吸水材12に血液を浸潤させた状態で第1液剤を吸水材収容室14に供給することによって、血液中のタンパク質を凝固させて固形成分(フィブリン)にすることができる。その結果、血球、血小板及びフィブリン等を含む固形成分を吸水材12に吸着させることができ、全血から血清を分離することができる。
第1区画部15は、バッグの長手方向Xにおいて隣接する第1収容室13及び吸水材収容室14の間において、バッグの短手方向Yに延設されている。第1区画部15は、短手方向Yにおける中央を含む所定領域に第1弱溶着部16を有している。第1弱溶着部16は、外部からの加圧によって、第1収容室13及び吸水材収容室14を液密に隔離した状態(以下、「隔離状態」と表記する。)から液体が流通可能な状態(以下、「流通状態」と表記する。)に状態変化可能に構成されている。より詳細には、第1弱溶着部16は、第1液剤を加圧することによって剥離可能な強度で二枚のシートが溶着されたものである。未使用状態のバッグ11の第1弱溶着部16は隔離状態となっており、使用時に第1収容室13が圧縮されることによって、第1収容室13に貯留された液体からの圧力を受けて隔離状態から流通状態に状態変化する。そして、第1弱溶着部16が流通状態となることにより、第1液剤が第1収容室13から吸水材収容室14に流入可能となる。
以下に、本実施形態の前処理装置10を用いて全血から血清を分離する前処理が説明される。
実施形態に係る前処理装置10によれば、バッグ11の内部に収容された吸水材12にキャピラリ20の一端開口が接触されることで、毛細管現象によって、キャピラリ20に採取された血液40が吸水材12に浸潤され、血液40がバッグ11の内部に取り込まれる。その状態で、例えば第1収容室13が指で圧縮されることによって、第1弱溶着部16が流通状態に状態変化して、バッグ11の内部で血液40と第1液剤とが混合され、全血の血液40から血清を分離する前処理を、手作業で簡易に行うことができる。このとき、血清を第1液剤により適宜の倍率に薄める処理も同時に行うことができる。また、吸水材12及びキャピラリ20によって、一定量の血液40を容易にバッグ11の内部に取り込むことができる。したがって、定量的な検査を行う場合の精度を向上させることができる。
以下、実施形態の第1変形例に係る前処理装置10が説明される。第1変形例に係る前処理装置10においては、第1液剤は、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン硫酸塩水溶液である。それ以外の前処理装置10の構成は、上記実施形態と同様である。第1変形例においては、試料として例えば飲用水が使用される。第1変形例に係る前処理装置10を使用して飲用水を前処理する手順は上記実施形態と同様である。すなわち、飲用水は、キャピラリ20が使用されることによってバッグ11の内部に取り込まれる。飲用水がバッグ11の内部に取り込まれ、キャピラリ20が開口部14Aから抜き取られた後、封口部17Aが熱溶着されて開口部14Aが封口される。その後、第1収容室13が圧縮され、飲用水と第1液剤とが混合される。飲用水と第1液剤との混合によって、飲用水に対する前処理が完了し、検体を得ることができる。なお、第1液剤の濃度や容量は、前処理の対象である飲用水の量や被検物質の検出感度などに応じて適宜設定される。また、第1液剤は、主成分以外に、緩衝液成分や界面活性剤などの他の成分を含むものであってもよい。
以下、実施形態の第2変形例に係る前処理装置10が説明される。第2変形例に係る前処理装置10において、第1液剤は、希硫酸である。吸水材12には、硫化ナトリウムの水溶液が染み込まされて乾燥されることによって、硫化ナトリウムが担持されている。つまり、吸水材12は、第1液剤以外の薬剤を担持している。それ以外の前処理装置10の構成は、上記実施形態と同様である。なお、第1液剤の濃度や容量は、前処理の対象である飲用水の量や被検物質の検出感度などに応じて適宜設定される。また、第1液剤は、主成分以外に、緩衝液成分や界面活性剤などの他の成分を含むものであってもよい。
図4に示されているように、第3変形例に係る前処理装置10Aは、図1に示した前処理装置10に、第2液剤を収容する第2収容室41が付加された構成を有している。第2収容室41は短手方向Yにおいて吸水材収容室14と隣り合っており、第2弱溶着部43を含む第2区画部42によって吸水材収容室14と液密に区画されている。第2弱溶着部43は第1弱溶着部16と同様の構成を有しており、第2液剤への加圧によって、第2収容室41と吸水材収容室14とを、より具体的には第2収容室41と圧縮部14Cとを連通させる流通状態に隔離状態から状態変化可能である。第2区画部42における第2弱溶着部43以外の部分は、上記実施形態における外縁部11Aと同様の構成であり、第2弱溶着部16より強固に溶着された溶着部から構成されている。
以下、実施形態の第4変形例に係る前処理装置10が説明される。第4変形例に係る前処理装置10において、第1液剤は、緩衝液を含む。また、第4変形例に係る前処理装置10において、吸水材12には、抗体が付着している。つまり、吸水材12は、抗体を担持している。吸水材12に付着させる抗体としては、例えば、抗バンコマイシン抗体、抗テイコプラニン抗体、抗アルベカシン抗体、抗インスリン抗体、抗ジゴキシン抗体などが挙げられる。前述以外の前処理装置10の構成は、上記実施形態と同様である。第4変形例においては、試料として例えば血液または体液が使用される。
なお、キャピラリ20の内部にクエン酸やシュウ酸などの抗凝固剤が予め付着されることによって、採血において血液を凝固させずに採取することができる。
11…バッグ
12…吸水材
12A…本体部
12B…凸部
13…第1収容室
14…吸水材収容室
15…第1区画部
16…第1弱溶着部
17…封口予定部
17A…封口部
18、18A…溶着部
20…キャピラリ
40…血液
41…第2収容室
42…第2区画部
43…第2弱溶着部
Claims (10)
- 液状の試料に対して前処理を行う前処理装置であって、
可橈性のシートから形成されたバッグと、
試料を保持可能な吸水材と、を具備しており、
上記バッグは、少なくとも、上記吸水材を収容しており、且つ外部へ開口する吸水材収容室と、第1液剤を液密に収容しており、且つ上記吸水材収容室と隣り合って配置された第1収容室と、を有しており、
上記吸水材収容室と上記第1収容室とは、加圧によって連通可能な第1弱溶着部を含む第1区画部によって液密に区画されている前処理装置。 - 上記吸水材は、本体部と、凸部とを有しており、
上記凸部は上記本体部より上記吸水材収容室の開口側に配置されている請求項1に記載の前処理装置。 - 上記凸部は、上記本体部から上記開口側へ向かって突出している請求項2に記載の前処理装置。
- 上記バッグは、液体又は固定を収容可能であり、且つ上記吸水材収容室又は上記第1収容室と隣り合って配置された第2収容室を有しており、
上記吸水材収容室又は上記第1収容室と上記第2収容室とは、加圧によって連通可能な第2弱溶着部を含む第2区画部によって液密に区画されている請求項1から3のいずれかに記載の前処理装置。 - 上記第1液剤は、血液凝固剤を含み、
上記吸水材は、血球成分と、フィブリンとを保持可能である請求項1から4のいずれかに記載の前処理装置。 - 上記第1液剤は、N,N−ジエチル−p−フェニレンジアミン硫酸塩を含む請求項1から4のいずれかに記載の前処理装置。
- 上記第1液剤は、希硫酸を含み、
上記吸水材は、硫化ナトリウムを担持している請求項1から4のいずれかに記載の前処理装置。 - 上記第1液剤は、抗体を含み、上記吸水材は血球成分及びフィブリンを保持可能である請求項1から4のいずれかに記載の前処理装置。
- 上記第1液剤は、緩衝液を含み、上記吸水材は抗体を担持している請求項1から4のいずれかに記載の前処理装置。
- 上記第2収容室は、第2液剤を収容しており、
上記第1液剤は、スルファニルアミドを含み、
上記第2液剤は、ナフチルエチレンジアミンを含む請求項4に記載の前処理装置。
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