JP6736817B2 - 椅子装置 - Google Patents

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Description

本発明は、リクライニング可能かつヘッドレスト付きの椅子装置に関する。
下記特許文献1には、リクライニング可能な椅子装置において、背凭れ上部の頭部支持部の前面にヘッドレスト本体を移動可能に配置し、このヘッドレスト本体から延びて背凭れの頂部を跨ぐベルト部材を設けるとともに、ベルト部材の先端にバランスウェイトを設けたものが開示されている。これは、面ファスナーの着脱によりヘッドレスト本体を高さ調整する場合と比べて、着座者が着座したままでもヘッドレスト本体を手で押し上げたり引き下げることにより、容易にヘッドレスト本体の高さ調整を行うことを可能としたものである。
特開2009−195262号公報
リクライニング可能な椅子装置では、背凭れの傾動時に背凭れと着座者の身体との間に位置ずれが生じるため、ヘッドレスト本体の高さ調整は容易であることが好ましい。
しかし、病院での点滴治療、透析および療養等に使用する椅子装置の場合、着座者が身体も腕も動かせない状況が有り得るため、ヘッドレスト本体の高さ調整を容易にするさらなる工夫が要望されている。
そこで本発明は、頭部支持部の前面にヘッドレスト本体を移動可能に備えた椅子装置において、背凭れの傾動時におけるヘッドレスト本体の高さ調整の容易性を高めることを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の椅子装置は、リクライニング可能な背凭れと、前記背凭れの背凭れ面の上方に設けられる頭部支持部の前面にヘッドレスト本体を移動可能に配置するヘッドレスト装置と、を備え、前記ヘッドレスト本体は、該ヘッドレスト本体の上部を形成する第一頭部支持部と、前記第一頭部支持部の下方に連なり、前記第一頭部支持部よりも前面側を隆起させた第二頭部支持部と、を備えている。
この構成によれば、ヘッドレスト本体の下部における前面側を隆起させた第二頭部支持部により、着座者が自身の手を用いることなく、ヘッドレスト本体を頭部支持部の前面に沿って高さ調整することができる。すなわち、第二頭部支持部が着座者の後頭部と背中上端との間の凹部に入り込んで頸椎部を支持した状態でヘッドレスト本体を使用すれば、背凭れの傾動時に背凭れと着座者の身体との間に位置ずれが生じても、着座者が第二頭部支持部を後頭部の隆起で押し下げる又は背中上端の隆起で押し上げることが可能となり、背凭れの傾動時における背凭れと着座者の身体との位置ずれに追従してヘッドレスト本体を適正高さに容易に調整することができる。
また、上記椅子装置において、前記第一頭部支持部は、着座者の後頭部に沿うように凹状に形成され、前記第二頭部支持部は、着座者の頸椎部に沿うように凸状に形成されている構成としてもよい。
この場合、第一頭部支持部および第二頭部支持部が着座者の後頭部および頸椎部に沿うように滑らかに連続して形成されるため、着座者の感触を良好にすることができる。
また、上記椅子装置において、前記ヘッドレスト本体における前記頭部支持部と接触する本体側接触面、および前記頭部支持部における前記ヘッドレスト本体と接触する支持部側接触面の少なくとも一方は、低摩擦材で形成されている構成としてもよい。
この場合、ヘッドレスト本体の本体側接触面と頭部支持部の支持部側接触面との間には、着座者の頭部の支持反力によって垂直抗力が作用するが、これらの接触面の少なくとも一方を滑り性のある生地で形成することで、接触面間の摩擦を抑えてヘッドレスト本体のスムーズな高さ調整を実現することができる。
また、上記椅子装置において、前記ヘッドレスト装置は、前記ヘッドレスト本体から延び、前記頭部支持部の頂部を跨いで後方側に垂下する垂下ベルトと、前記垂下ベルトの下端部に保持されるバランスウェイトと、を有し、前記頂部における前記垂下ベルトと接触する頂部側接触面、および前記垂下ベルトにおける前記頂部と接触するベルト側接触面の少なくとも一方は、低摩擦材で形成されている構成としてもよい。
この場合、ヘッドレスト本体とバランスウェイトとを釣り合わせる垂下ベルトのベルト側接触面と頭部支持部の頂部側接触面とは、ヘッドレスト本体およびバランスウェイトの重量により互いに密着するが、これらの接触面の少なくとも一方を滑り性のある生地で形成することで、接触面間の摩擦を抑えてヘッドレスト本体のスムーズな高さ調整を実現することができる。
また、上記椅子装置において、前記頭部支持部の左右両側に、前面側に突出する左右一対の突出部を備え、前記左右一対の突出部は、前記ヘッドレスト本体の高さ調整時の移動を案内可能である構成としてもよい。
この場合、着座者がヘッドレスト本体を視認せずに該ヘッドレスト本体の高さ調整を行う際にも、ヘッドレスト本体の左右のずれを抑えることができる。
本発明によれば、頭部支持部の前面にヘッドレスト本体を移動可能に備えた椅子装置において、背凭れの傾動時におけるヘッドレスト本体の高さ調整の容易性を高めることができる。
本発明の椅子装置を前面側から見た斜視図である。 上記椅子装置を後面側から見た斜視図である。 上記椅子装置の側面図である。 図3の要部拡大図である。 上記椅子装置のリクライニング時の側面図である。 上記椅子装置のヘッドレスト装置の裏面側を示す斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後、左右及び上下の向きは、椅子の座体上で背凭れに背を向けて着座した着座者から見た正面側を「前」、その逆側(背面側)を「後」とし、上下左右も前記着座者から見た向きと同一とする。また、図中において、矢印UPは上方を示し、矢印FRは前方を示し、LHは左方を示している。
図1〜図3に示すように、本実施形態の椅子装置1は、例えば医療や介護等に用いられるリクライニング椅子であり、長時間着座使用する際にも着座者が様々な姿勢を取ることができるように、例えば電動により着座者が椅子各部の姿勢及び位置等を任意に調整可能とされる。
椅子装置1は、床面F上に設置される不図示のベースフレームと、該ベースフレームに昇降可能に支持される椅子本体3と、を備える。椅子本体3は、座体4、背凭れ5、下腿受け部6及び左右肘置き7を備えている。
座体4は、平面視矩形状の略水平な座面8(上面)を形成する。座体4の左右側方には、左右側板9が配置される。左右側板9は、側面視で上辺を前方に変位させた概略平行四辺形状に形成される。これら左右側板9の上辺部の間に座体4が配置される。左右側板9における前傾した前辺部の間には、格納位置にある下腿受け部6が配置される。座体4、左右側板9及び下腿受け部6は、ボックス状の機構収容部10を形成する。機構収容部10の内部には、椅子本体3を昇降させる昇降装置、背凭れ5をリクライニングさせるリクライニング機構等の各種駆動機構が収容される(何れも不図示)。
左右側板9の外側には、左右肘置き7の支持板11が重なるように配置される。支持板11は、側面視で上辺が広い概略逆台形状に形成される。支持板11の上辺部には、略水平な肘置き本体12が支持される。支持板11及び肘置き本体12を含む肘置き7は、鉛直方向に対して前傾した方向に沿って昇降可能とされる。図5において、下降した肘置き7を実線で示し、上昇した肘置き7を鎖線で示す。
下腿受け部6は、座体4の前下方で左右側板9の前辺部間に挟まれる格納位置と、座体4の前方で略水平に配置されるレッグアップ位置(図5参照)と、の間で傾動可能とされる。下腿受け部6は、機構収容部10の前部に支持され、機構収容部10内の駆動機構の作動により、前記格納位置とレッグアップ位置との間で傾動可能である。
背凭れ5は、座体4の後上方で起立する起立位置と、座体4の後方で略水平に配置されるリクライニング位置(図5参照)と、の間で傾動可能とされる。背凭れ5は、機構収容部10の後部に支持され、機構収容部10内のリクライニング機構の作動により、前記起立位置とリクライニング位置との間で傾動可能である。
図3中符号C1は背凭れ5の回動中心を示し、符号C2は着座者Tの大腿部の付け根である股関節の可動中心を示す。股関節の可動中心C2は、側面視で背凭れ5の回動中心C1の上前方にずれている。このため、背凭れ5をリクライニングさせると、着座者Tの上体は背凭れ5に対して該背凭れ5の基端側(回動中心C1側)に変位し、背凭れ5を起立させると、着座者Tの上体は背凭れ5に対して該背凭れ5の先端側(回動中心C1と反対側)に変位する。
背凭れ5は、着座者Tの背を支持する背凭れ面13(前面)よりも上方に延出し、背凭れ面13の上方に頭部支持部14を一体形成する。頭部支持部14の前面は頭部支持面16とされ、この頭部支持面16の直前位置が着座者Tの頭部位置hpとなる。本実施形態において、頭部支持部14は背凭れ5の一部(上部)であるともいえる。
頭部支持部14の左右側部には、前方かつ左右外側に向けて起立する左右一対の側方遮蔽部15が一体形成される。これにより、着座者Tの頭部側方の視界が適度に遮られるとともに、同方向からの視線が適度に遮られる。左右の側方遮蔽部15には、頭部位置hpに向けて音声を発するスピーカ17が内蔵される。
椅子装置1は、背凭れ5を起立位置とし、下腿受け部6を格納位置とすることで、椅子としての態様となる(図3参照)。このとき、肘置き7は上昇位置にあり、この肘置き7上には、着座姿勢にある着座者Tの肘及び前腕が載置され、透析等の医療行為が継続可能とされる。
また、椅子装置1は、背凭れ5をリクライニング位置とし、下腿受け部6をレッグアップ位置とすることで、座体4、背凭れ5及び下腿受け部6を略水平に連ねたベッドとしての態様となる(図5参照)。このとき、肘置き7は下降位置にあり、この肘置き7上には、横臥姿勢にある着座者Tの肘及び前腕が載置され、リクライニング前の医療行為が継続可能とされる。
このように、椅子装置1は、着座者Tの姿勢を着座姿勢から横臥姿勢まで様々な姿勢に変化させることができる。なお、背凭れ5、下腿受け部6及び肘置き7は、個々に任意の位置調整を可能としてもよいが、着座者Tの前腕に透析又は点滴治療といった医療行為が施される場合、背凭れ5のリクライニングと肘置き7の昇降とは連動して行われることが好ましい。透析等の医療行為は長時間に亘るため、患者(着座者T)にとって長時間同じ姿勢をとり続けることは負担となる。そこで、背凭れ5等の位置調整により患者の身体の姿勢を変えることで、患者の負担を軽減することができる。
図1〜図5を参照し、椅子装置1の頭部支持部14には、背凭れ5とは別体のヘッドレスト装置20が配置される。
ヘッドレスト装置20は、頭部支持面16上に高さ調整可能(上下移動可能)に配置されるヘッドレスト本体21と、ヘッドレスト本体21の裏面(背面、頭部支持面16との接触面)の上端から頭部支持面16に沿って上方(頭部支持部14の先端側)に延び、頭部支持部14の頂部14aを跨いで後方側に至って垂れ下がる垂下ベルト31と、垂下ベルト31の下端部に保持されるバランスウェイト32と、を備える。
ヘッドレスト装置20は、着座者Tの体格、姿勢および好み等に応じたヘッドレスト本体21の高さ調整を可能とする。バランスウェイト32は、ヘッドレスト本体21と垂下ベルト31を介して重量の釣り合いをとることで、背凭れ5を起立状態とした際にもヘッドレスト本体21の落下を抑止する。垂下ベルト31は、頭部支持部14の頂部14aに設けられたループ状のベルト通し33に通される。
ヘッドレスト本体21は、成形されたクッション体を表皮材で被覆して形成される。ヘッドレスト本体21は、頭部支持面16に沿って平坦に形成される裏面側に対し、着座者Tの頭部位置hpに対向する前面側が凹凸状に形成される。具体的に、ヘッドレスト本体21の前面側は、着座者Tの頭部位置hpの後方に配置されるとともに、ヘッドレスト本体21の上部を形成する第一頭部支持部22と、第一頭部支持部22の下方に連なり着座者Tの頸椎部k1の後方に配置されるとともに、頸椎部k1を支持するべく第一頭部支持部22よりも前面側を隆起させた第二頭部支持部23と、を備えている。
バランスウェイト32は、例えば左右方向に沿う金属製の円棒であり、垂下ベルト31の下端部に形成された袋状部31aに左右方向で挿入されて保持される。バランスウェイト32は、垂下ベルト31の下端部がベルト通し33から抜け出ることを抑止する抜け止めとしても機能する。これにより、ヘッドレスト本体21の頭部支持面16上での最下端位置が規定される。一方、ヘッドレスト本体21の最上端位置は、ヘッドレスト本体21がベルト通し33に突き当たることで規定される。
ヘッドレスト本体21を頭部支持部14から取り外すには、バランスウェイト32を引き抜いて垂下ベルト31をベルト通し33から引き抜けばよい。また、ヘッドレスト本体21の不使用時には、ヘッドレスト本体21を頭部支持部14の背面側に移動させてベルト通し33を利用して吊り下げておくこともできる(図6参照)。
バランスウェイト32は、ヘッドレスト本体21と同等の重量とした場合、背凭れ5が起立して頭部支持面16が略垂直となる状態では、ヘッドレスト本体21の変位を規制するが、背凭れ5がリクライニングして頭部支持面16が倒れるに従い、バランスウェイト32の自重による鉛直下向きの力が勝り、ヘッドレスト本体21が上方に引き上げられる。このとき、垂下ベルト31が背凭れ5の背面から離間するので、垂下ベルト31と背凭れ5との間の摩擦による位置規制力も低下している。このため、本実施形態では、バランスウェイト32をヘッドレスト本体21よりも軽量に設定することで、リクライニング時にはヘッドレスト本体21が上方移動し難くし、背凭れ5の起立時には垂下ベルト31と背凭れ5との間の摩擦も利用してヘッドレスト本体21が下方移動し難くしている。
第一頭部支持部22は、着座者Tの後頭部h1に沿うように前面側を凹状にして形成されている。第二頭部支持部23は、着座者Tの後頭部h1と背中上端s1との間の頸椎部k1に沿うように前面側を凸状にして形成されている。第二頭部支持部23は、着座者Tの後頭部h1と背中上端s1との間の凹部に入り込むように頸椎部k1を支持し、着座者Tの首の負担を軽減するとともに、背凭れ5の傾動時に着座者Tの身体に合わせてヘッドレスト本体21を移動可能とする。
すなわち、第二頭部支持部23は、着座者Tの後頭部h1の隆起に押し下げられる、又は背中上端s1の隆起に押し上げられることで、着座者Tが自身の手を用いることなく、ヘッドレスト本体21を頭部支持面16上で上下動させることを可能とする。このとき、頭部支持部14の左右の側方遮蔽部15は、ヘッドレスト本体21の上下動を案内するガイドとしても機能し、着座者Tがヘッドレスト本体21を視認しない状況でもヘッドレスト本体21の左右の位置ずれを抑える。
前述したように、背凭れ5の回動中心C1と着座者Tの股関節の可動中心C2との位置の違いから、背凭れ5の傾動時には、着座者Tの上体が背凭れ5に対して変位する。このとき、ヘッドレスト本体21が着座者Tに対しての適正位置からずれてしまうと、着座者Tの快適性が損なわれる。本実施形態のヘッドレスト装置20では、ヘッドレスト本体21の第二頭部支持部23が着座者Tの後頭部h1と背中上端s1との間に入り込むので、背凭れ5に対して着座者Tの身体の位置ずれが生じても、ヘッドレスト本体21が自ずと着座者Tの身体に追従するように移動し、着座者Tに対しての適正位置を保つ。
ヘッドレスト本体21は、バランスウェイト32により概ね重量の釣り合いがとれているので、ヘッドレスト本体21を位置調整するために大きな力は必要とせず、後頭部h1又は背中上端s1への引っ掛かりのみによっても軽く動かすことができる。このため、着座者Tが医療行為等により腕を動かせない状況にあっても、リクライニング等に応じてヘッドレスト本体21の高さを容易に調節することができ、椅子装置1の快適性を向上させることができる。
着座者Tがヘッドレスト本体21の位置を下げたい場合には、後頭部h1でヘッドレスト本体21を下方に引き下げるだけでよい。これにより、ヘッドレスト本体21の位置が下がるとともに垂下ベルト31を介してバランスウェイト32の位置が上がり、ヘッドレスト本体21を所望の高さに変位させる。
一方、着座者Tがヘッドレスト本体21の位置を上げたい場合には、背中上端s1でヘッドレスト本体21を上方に押し上げるだけでよい。これにより、ヘッドレスト本体21の位置が上がるとともにバランスウェイト32の位置が重力により下がり、同じくヘッドレスト本体21を所望の高さに変位させる。
図6に示すように、ヘッドレスト本体21における頭部支持部14と接触する本体側接触面24は、例えばフッ素繊維を用いる等して滑り性を高めた生地(低摩擦材Z1)で形成されている。
これにより、ヘッドレスト本体21の本体側接触面24と頭部支持部14の支持部側接触面25との間の摩擦を抑え、ヘッドレスト本体21の高さ調整を容易にしている。なお、支持部側接触面25に低摩擦材Z1を用いたり本体側接触面24および支持部側接触面25の両方に低摩擦材Z1を用いてもよい。
また、本実施形態では、垂下ベルト31における頭部支持部14の頂部14aと接触するベルト側接触面26も、上記同様の低摩擦材Z2で形成されている。
これにより、垂下ベルト31が頭部支持部14の頂部側接触面27に密着するように配置されても、垂下ベルト31のベルト側接触面26と頭部支持部14の頂部側接触面27との間の摩擦を抑え、ヘッドレスト本体21の高さ調整を容易にしている。なお、頂部側接触面27に低摩擦材Z2を用いたりベルト側接触面26および頂部側接触面27の両方に低摩擦材Z2を用いてもよい。
なお、上記低摩擦材Z1,Z2に好適な例として、他にサテン生地、ナイロン生地等が挙げられる。椅子装置1の各部の表皮には耐アルコール性を有する合皮等が用いられるが、低摩擦となる表面処理を施した合皮を上記低摩擦材Z1,Z2に用いてもよい。
以上説明したように、上記実施形態における椅子装置1は、リクライニング可能な背凭れ5と、前記背凭れ5の背凭れ面13の上方に設けられる頭部支持部14の前面(頭部支持面16)にヘッドレスト本体21を移動可能に配置するヘッドレスト装置20と、を備え、前記ヘッドレスト本体21は、該ヘッドレスト本体21の上部を形成する第一頭部支持部22と、前記第一頭部支持部22の下方に連なり、前記第一頭部支持部22よりも前面側を隆起させた第二頭部支持部23と、を備えている。
この構成によれば、ヘッドレスト本体21の下部における前面側を隆起させた第二頭部支持部23により、着座者Tが自身の手を用いることなく、ヘッドレスト本体21を頭部支持部14の前面に沿って高さ調整することができる。すなわち、第二頭部支持部23が着座者Tの後頭部h1と背中上端s1との間の凹部に入り込んで頸椎部k1を支持した状態でヘッドレスト本体21を使用すれば、背凭れ5の傾動時に背凭れ5と着座者Tの身体との間に位置ずれが生じても、着座者Tが第二頭部支持部23を後頭部h1の隆起で押し下げる又は背中上端s1の隆起で押し上げることが可能となり、背凭れ5の傾動時における背凭れ5と着座者Tの身体との位置ずれに追従してヘッドレスト本体21を適正高さに容易に調整することができる。
また、上記椅子装置1では、前記第一頭部支持部22は、着座者Tの後頭部h1に沿うように凹状に形成され、前記第二頭部支持部23は、着座者Tの頸椎部k1に沿うように凸状に形成されている。
この構成によれば、第一頭部支持部22および第二頭部支持部23が着座者Tの後頭部h1および頸椎部k1に沿うように滑らかに連続して形成されるため、着座者Tの感触を良好にすることができる。
また、上記椅子装置1では、前記ヘッドレスト本体21における前記頭部支持部14と接触する本体側接触面24、および前記頭部支持部14における前記ヘッドレスト本体21と接触する支持部側接触面25の少なくとも一方は、低摩擦材Z1で形成されている。
この構成によれば、ヘッドレスト本体21の本体側接触面24と頭部支持部14の支持部側接触面25との間には、着座者Tの頭部の支持反力によって垂直抗力が作用するが、これらの接触面の少なくとも一方を滑り性のある生地で形成することで、接触面間の摩擦を抑えてヘッドレスト本体21のスムーズな高さ調整を実現することができる。
また、上記椅子装置1では、前記ヘッドレスト装置20は、前記ヘッドレスト本体21から延び、前記頭部支持部14の頂部14aを跨いで後方側に垂下する垂下ベルト31と、前記垂下ベルト31の下端部に保持されるバランスウェイト32と、を有し、前記頂部14aにおける前記垂下ベルト31と接触する頂部側接触面27、および前記垂下ベルト31における前記頂部14aと接触するベルト側接触面26の少なくとも一方は、低摩擦材Z2で形成されている。
この構成によれば、ヘッドレスト本体21とバランスウェイト32とを釣り合わせる垂下ベルト31のベルト側接触面26と頭部支持部14の頂部側接触面27とは、ヘッドレスト本体21およびバランスウェイト32の重量により互いに密着するが、これらの接触面の少なくとも一方を滑り性のある生地で形成することで、接触面間の摩擦を抑えてヘッドレスト本体21のスムーズな高さ調整を実現することができる。
また、上記椅子装置1では、前記頭部支持部14の左右両側に、前面側に起立する左右一対の遮蔽部15を備え、前記左右一対の遮蔽部15は、前記ヘッドレスト本体21の高さ調整時の移動を案内可能である。
この構成によれば、着座者Tがヘッドレスト本体21を視認せずに該ヘッドレスト本体21の高さ調整を行う際にも、ヘッドレスト本体21の左右のずれを抑えることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、例えば、ヘッドレスト本体をバランスウェイトを用いて所定位置に保持する構成に限らず、ヘッドレスト本体をガイドレール等の機構を用いて所定位置に保持する構成であってもよい。ヘッドレスト本体を幅広にして着座者の肩口に当接させ、該肩口でもヘッドレスト本体を高さ調整可能としてもよい。ヘッドレスト本体の左右両側に隆起部を形成し、該隆起部を後頭部で押すことでヘッドレスト本体の左右位置を調整可能としてもよい。
そして、上記実施形態における構成は本発明の一例であり、当該発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
1 椅子装置
5 背凭れ
13 背凭れ面
14 頭部支持部
14a 頂部
15 遮蔽部(突出部)
16 頭部支持面(前面)
20 ヘッドレスト装置
21 ヘッドレスト本体
22 第一頭部支持部
23 第二頭部支持部
24 本体側接触面
25 支持部側接触面
26 ベルト側接触面
27 頂部側接触面
31 垂下ベルト
32 バランスウェイト
T 着座者
h1 後頭部
k1 頸椎部
Z1,Z2 低摩擦材

Claims (4)

  1. リクライニング可能な背凭れと、
    前記背凭れの背凭れ面の上方に設けられる頭部支持部の前面にヘッドレスト本体を移動可能に配置するヘッドレスト装置と、を備え、
    前記ヘッドレスト本体は、該ヘッドレスト本体の上部を形成する第一頭部支持部と、前記第一頭部支持部の下方に連なり、前記第一頭部支持部よりも前面側を隆起させた第二頭部支持部と、を備え、
    前記ヘッドレスト装置は、前記ヘッドレスト本体から延び、前記頭部支持部の頂部を跨いで後方側に垂下する垂下ベルトと、前記垂下ベルトの下端部に保持されるバランスウェイトと、を有し
    前記頂部における前記垂下ベルトと接触する頂部側接触面、および前記垂下ベルトにおける前記頂部と接触するベルト側接触面の少なくとも一方は、低摩擦材で形成されている、椅子装置。
  2. 前記第一頭部支持部は、着座者の後頭部に沿うように凹状に形成され、
    前記第二頭部支持部は、着座者の頸椎部に沿うように凸状に形成されている、請求項1に記載の椅子装置。
  3. 前記ヘッドレスト本体における前記頭部支持部と接触する本体側接触面、および前記頭部支持部における前記ヘッドレスト本体と接触する支持部側接触面の少なくとも一方は、低摩擦材で形成されている、請求項1又は2に記載の椅子装置。
  4. 前記頭部支持部の左右両側に、前面側に突出する左右一対の突出部を備え、前記左右一対の突出部は、前記ヘッドレスト本体の高さ調整時の移動を案内可能である、請求項1から3の何れか一項に記載の椅子装置。
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