まず、本発明による三次元測定装置の概略構成について、図1〜図6を用いて以下に説明する。
<三次元測定装置1>
図1は、本発明の実施の形態による三次元測定装置1の一構成例を示したシステム図である。この三次元測定装置1は、測定対象物Wの形状を光学的に測定する測定器であり、測定部2、コントローラ4及び情報処理端末5により構成される。
<測定部2>
測定部2は、ステージ21上の測定対象物Wに可視光からなる測定光を照射し、測定対象物Wにより反射された測定光を受光して撮影画像を生成する計測ユニットであり、ヘッド部20、ステージ21、ステージ保持部22、回転駆動部23及び制御基板27により構成される。
ヘッド部20は、測定対象物Wにパターンを有する測定光を照射する投光部24と、測定対象物Wにより反射された測定光を受光して受光量を表す受光信号を生成する受光部25と、テクスチャ照明出射部26とにより構成される。
ステージ21は、測定対象物Wが載置される載置面を有する作業台である。このステージ21は、円板状のステージプレート211と、ステージプレート211を支持するステージベース212とにより構成される。
ステージプレート211は、中央付近で折り曲げて固定することができ、測定対象物Wを受光部25に正対させるための傾斜台として機能させることができる。ステージ保持部22は、ステージ21上の測定対象物Wに対する撮像アングルを調整するために、ステージ21を回転可能に保持する。回転駆動部23は、ステージ21を回転させることにより、撮像アングルを切り替える。
受光部25は、ステージ21上の測定対象物Wを撮影する固定倍率のカメラであり、受光レンズ251及び撮像素子252により構成される。撮像素子252は、受光レンズ251を介して測定対象物Wからの測定光を受光して受光量を表す受光信号を生成する多数の受光素子からなり、受光信号から撮影画像が生成される。撮像素子252には、例えば、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補型金属酸化物半導体)などのイメージセンサが用いられる。この撮像素子252は、例えば、モノクロイメージセンサである。
投光部24は、ステージ21上の測定対象物Wに測定光を照射する照明装置であり、投光用光源241、コレクタレンズ242、パターン生成ユニット243及び投光レンズ244により構成される。投光用光源241には、例えば、単色の光を生成するLED(発光ダイオード)又はハロゲンランプが用いられる。色収差補正等が容易であることから、白色光源を用いる場合に比べ、単色の投光用光源241を用いる方が有利である。また、波長は短い方が形状測定の解像度を上げるのに有利であることから、青色の光源、例えば、青色LEDを投光用光源241として用いることが好ましい。ただし、撮像素子252が良好なS/Nで受光することができる波長が選択される。
なお、単色、例えば、青色の投光用光源241を使用する場合、撮像素子252がカラーイメージセンサであれば、RGの受光素子が利用できないため、Bの受光素子のみの利用となり、利用できる画素数が減ることになる。従って、画素サイズや画素数をそろえた場合、撮像素子252には、モノクロイメージセンサを用いる方が有利である。
投光用光源241から出射された光は、コレクタレンズ242を介してパターン生成ユニット243に入射する。そして、パターン生成ユニット243から出射された測定光は、投光レンズ244を介してステージ21上の測定対象物Wに照射される。
パターン生成ユニット243は、構造化照明用のパターン光を生成するための装置であり、均一な測定光と、二次元パターンからなる測定光とを切り替えることができる。パターン生成ユニット243には、例えば、DMD(Digital Micromirror Device)又は液晶パネルが用いられる。DMDは、多数の微小なミラーが2次元状に整列配置され、各ミラーの傾きを制御することにより、画素ごとに明状態と暗状態とを切り替えることができる表示素子である。
三角測距の原理を利用して測定対象物Wの立体形状を測定するための構造化照明法には、正弦波位相シフト法、マルチスリット法、空間コード法等がある。正弦波位相シフト法は、測定対象物Wに正弦波状の縞パターンを投影し、正弦波の周期よりも短いピッチで縞パターンを移動させるごとに撮影画像を取得する照明法である。各撮影画像の輝度値から各画素における位相値を求めて高さ情報に変換することにより、三次元形状データが求められる。
マルチスリット法は、測定対象物Wに細線状の縞パターンを投影し、縞と縞との間隔よりも狭いピッチで縞パターンを移動させるごとに撮影画像を取得する照明法である。各撮影画像の輝度値から各画素における最大輝度の撮影タイミングを求めて高さ情報に変換することにより、三次元形状データが求められる。
空間コード法は、測定対象物Wに対し、白黒のデューティ比が50%であり、縞パターンの幅が異なる複数の縞パターンを順次に投影し、撮影画像を取得する照明法である。各撮影画像の輝度値から各画素におけるコード値を求めて高さ情報に変換することにより、三次元形状データが求められる。
パターン生成ユニット243では、上述した縞パターンを二次元パターンとして生成することができる。この三次元測定装置1では、マルチスリット法と空間コード法とを組み合わせることにより、高分解能かつ高精度に三次元形状データが取得される。
また、この三次元測定装置1では、受光部25を挟んで2つの投光部24が左右対称に配置されている。各投光部24の投光軸J2及びJ3は、三角測距の原理を利用するために、受光部25の受光軸J1に対して傾斜している。この投光部24では、投光用光源241、コレクタレンズ242及びパターン生成ユニット243の光軸に対し、投光レンズ244を受光軸J1側にオフセットさせることにより、投光軸J2及びJ3を傾斜させている。この様な構成を採用することにより、投光部24全体を傾斜させる場合に比べ、測定部2を小型化することができる。
テクスチャ照明出射部26は、測定対象物Wの色や模様を表面テクスチャ情報として検知するための可視光からなる均一な照明光をステージ21上の測定対象物Wに向けて出射する。このテクスチャ照明出射部26は、投光軸が受光部25の受光軸J1と略平行であり、受光部25の受光レンズ251を取り囲むように配置される。このため、投光部24からの照明と比べて測定対象物W上での影ができにくく、撮影時の死角が少なくなる。
制御基板27は、回転駆動部23を制御する制御回路、投光部24の投光用光源241及びパターン生成ユニット243を駆動する駆動回路、受光部25の撮像素子252からの受光信号を処理する処理回路等が設けられた回路基板である。
<コントローラ4>
コントローラ4は、測定部2用の制御装置であり、テクスチャ照明用の照明光を生成するテクスチャ光源41と、テクスチャ光源41用の駆動回路等が設けられた制御基板42と、測定部2内の各デバイスに電力を供給する電源43とにより構成される。テクスチャ光源41は、撮影画像からカラーのテクスチャ画像が得られるようにするために、例えば、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の照明光を順次に点灯する。撮像素子252がモノクロイメージセンサであることから、テクスチャ光源41に白色光源を用いてテクスチャ情報を取得する場合、カラー情報を取得することができない。このため、テクスチャ光源41ではRGBを切り替えて照明している。
なお、モノクロのテクスチャ画像で十分な場合は、テクスチャ光源41に白色光源、例えば、白色LEDを用い、或いは、RGBの単色光を同時に照射する光源を用いても良い。また、測定精度の低下をある程度許容する場合には、撮像素子252にカラーイメージセンサを用いても良い。照明光は、ライトガイド3を介して測定部2のテクスチャ照明出射部26に伝送される。制御基板42及び電源43は、測定部2の制御基板27に接続されている。
<情報処理端末5>
情報処理端末5は、測定部2を制御し、撮影画像の画面表示、寸法測定のための設定情報の登録、三次元形状データの生成、測定対象物Wの寸法算出等を行う端末装置であり、表示部51、キーボード52及びマウス53が接続されている。表示部51は、撮影画像や設定情報を画面に表示するモニタ装置である。キーボード52及びマウス53は、ユーザが操作入力を行う入力装置である。この情報処理端末は、例えば、パーソナルコンピュータであり、測定部2の制御基板27に接続されている。
図2は、図1の測定部2の一構成例を模式的に示した説明図である。この測定部2は、撮影倍率が互いに異なる2つの撮像部25a及び25bを備えるヘッド部20と、上下方向の回転軸J4を中心としてステージ21を回転可能に保持するステージ保持部22と、ヘッド部20及びステージ保持部22を連結する連結部28とにより構成される。
連結部28は、投光部24の投光軸J2及びJ3と、撮像部25a及び25bの受光軸J11及びJ12とが回転軸J4に対して傾斜する状態で、ヘッド部20とステージ保持部22とを固定的に連結する。このため、ステージ21と撮像部25a及び25bとの相対的な位置関係が一定であり、ステージ21の回転角が互いに異なる複数の撮像アングルについて、点群データの連結合成が容易である。
撮像部25aは、低倍率の受光部25である。撮像部25bは、撮像部25aよりも高倍率の受光部25である。撮像部25a及び25bは、測定対象物全体の三次元形状データが得られるようにするために、いずれもステージ21の回転軸J4に対して受光軸J11及びJ12が傾斜するように配置されている。
例えば、回転軸J4に対する受光軸J11及びJ12の傾斜角は、45°程度である。また、撮像部25bは、焦点位置FPがステージ21の回転軸J4上において撮像部25aの焦点位置FPよりも下側となるように、撮像部25aの下方に配置され、受光軸J12は、受光軸J11と略平行である。
この様な構成を採用することにより、撮像部25aの測定可能領域R1と撮像部25bの測定可能領域R2とをステージ21上に適切に形成することができる。測定可能領域R1及びR2は、いずれもステージ21の回転軸J4を中心とする円柱状の領域であり、測定可能領域R2は、測定可能領域R1内に形成される。
図3のステップS101〜S113は、三次元測定装置1における寸法測定時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、三次元測定装置1は、ステージ21上に載置された測定対象物Wを受光部25により撮影して撮影画像を表示部51に表示し、投光照明の明るさ調整を行う(ステップS101)。この明るさ調整は、投光部24から均一な測定光を照射し、或いは、パターン光からなる測定光を照射して行われる。
次に、三次元測定装置1は、テクスチャ照明に切り替えて撮影画像を取得し、表示部51に表示してテクスチャ照明の明るさ調整を行う(ステップS102)。この明るさ調整は、テクスチャ照明出射部26からR(赤)、G(緑)、B(青)の各色の照明光を順次に照射し、或いは、同時に照射して行われる。ステップS101とステップS102とは、順序を入れ替えても良い。
三次元測定装置1は、照明条件が確定されるまで、ステップS101及びS102の処理手順を繰り返し、照明条件の確定後、ユーザにより測定開始が指示されれば(ステップS103)、投光部24からパターン光を投影し(ステップS104)、パターン画像を取得する(ステップS105)。このパターン画像は、ステージ21上の測定対象物Wが撮影された撮影画像である。パターン光の投影及び撮影画像の取得は、パターン生成ユニット243と受光部25とを同期させて行われる。
次に、三次元測定装置1は、テクスチャ照明に切り替えてテクスチャ画像を取得する(ステップS106,S107)。このテクスチャ画像は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色の照明光を順次に照射させて取得された複数の撮影画像を合成することによって得られる。連結測定時には、ステージ21を予め指定された複数の撮像アングルに順次に切り替えながら、ステップS104からステップS107までの処理手順が繰り返される(ステップS108)。
次に、三次元測定装置1は、ステップS105において取得されたパターン画像を所定の計測アルゴリズムにより解析し、三次元形状データを生成する(ステップS109)。この三次元形状データの生成ステップでは、撮像アングルが異なる複数の撮影画像から求めた三次元形状データが必要に応じて合成される。そして、三次元測定装置1は、生成された三次元形状データにテクスチャ画像をマッピングし(ステップS110)、測定対象物Wの立体形状として表示部51に表示する(ステップS111)。
三次元測定装置1は、所望の測定箇所について、三次元形状データが得られるまで、撮像アングルや撮影条件等を変更しながらステップS101からステップS111までの処理手順を繰り返し(ステップS112)、所望のデータが得られ、ユーザによりデータ解析が指示されれば、寸法測定用のアプリケーションプログラムにより、三次元形状データのデータ解析を行い、測定対象物Wの寸法を算出する(ステップS113)。
図4のステップS201〜S211は、図3のステップS101(投光照明の明るさ調整)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、三次元測定装置1の動作が示されている。まず、三次元測定装置1は、左側の投光部24を点灯し(ステップS201)、ユーザによる明るさの調整を受け付ける(ステップS202)。
次に、三次元測定装置1は、ユーザによる撮影倍率の選択を受け付け、撮影倍率が変更されれば、対応する撮像部25a又は25bに切り替える(ステップS203)。このとき、三次元測定装置1は、所望の測定箇所に照明が当たっていなければ、ユーザ操作に基づいてステージ21を回転させることにより、測定対象物Wの位置及び姿勢の調整を行う(ステップS204,S205)。位置及び姿勢の調整は、左右の投光部24を同時に点灯させて行っても良い。
そして、三次元測定装置1は、測定箇所の明るさが適切でなければ、ユーザによる明るさの調整を再度受け付ける(ステップS206,S207)。三次元測定装置1は、ユーザにより設定終了が指示されるまで、ステップS203からステップS207までの処理手順を繰り返す(ステップS208)。
次に、三次元測定装置1は、ユーザにより設定終了が指示されれば、ユーザにより指定された照明条件を設定情報として登録し、右側の投光部24に切り替えて(ステップS209)、ユーザによる明るさの調整を受け付ける(ステップS210)。三次元測定装置1は、ユーザにより設定終了が指示されるまで、ステップS210の処理手順を繰り返し、ユーザにより設定終了が指示されれば、ユーザにより指定された照明条件を設定情報として登録し、この処理を終了する(ステップS211)。
図5のステップS301〜S313は、図3のステップS102(テクスチャ照明の明るさ調整)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、三次元測定装置1の動作が示されている。まず、三次元測定装置1は、テクスチャ照明を点灯し(ステップS301)、ユーザによる明るさの調整を受け付ける(ステップS302)。三次元測定装置1は、測定箇所の明るさが適切でなければ(ステップS303)、ステップS302の処理手順を繰り返し、ユーザによる明るさの調整を再度受け付ける。
次に、三次元測定装置1は、ユーザによるテクスチャ画像の画質の選択を受け付け(ステップS304)、通常画質が選択されれば、通常画質を指定し、ユーザにより指定された照明条件及び撮影条件を設定情報として登録し、この処理を終了する(ステップS313)。
一方、三次元測定装置1は、ユーザによりフルフォーカス画質が選択されれば、フルフォーカス画質を指定する(ステップS305,S306)。フルフォーカス画質は、深度合成処理により得られる画質であり、焦点位置を異ならせながら取得された複数の撮影画像を合成することにより、画像全体においてピントの合った画像が得られる。
そして、三次元測定装置1は、ユーザによりHDR(ハイダイナミックレンジ)画質が選択されれば、HDR画質を指定する(ステップS307,S308)。HDR画質は、露光時間を異ならせながら取得された複数の撮影画像を合成することにより、ダイナミックレンジの広い画像が得られる。
次に、三次元測定装置1は、ユーザによりテクスチャ画像の確認が指示されれば(ステップS309)、ユーザにより指定された照明条件及び撮影条件に基づいて、撮影画像を取得し(ステップS310)、テクスチャ画像を作成して表示部51に表示する(ステップS311)。
三次元測定装置1は、ユーザにより設定終了が指示されるまで、ステップS305からステップS311までの処理手順を繰り返し、ユーザにより設定終了が指示されれば、ユーザにより指定された照明条件及び撮影条件を設定情報として登録し、この処理を終了する(ステップS312)。
図6のステップS401〜S413は、図3のステップS113(データ解析)について、詳細動作の一例を示したフローチャートであり、三次元測定装置1の動作が示されている。まず、三次元測定装置1は、ユーザ操作に基づいて、三次元形状データを所定のデータ形式で読み込み、測定対象物Wの立体形状を表示部51に表示する(ステップS401,S402)。
次に、三次元測定装置1は、ノイズの除去、穴埋め、不要データの削除等の前処理を行い(ステップS403)、ユーザによる表示倍率及び姿勢の調整を受け付ける(ステップS404)。
次に、三次元測定装置1は、表示中の立体形状上において、測定箇所の幾何要素を抽出するための点群の指定を受け付ける(ステップS405)。そして、三次元測定装置1は、幾何要素について、形状種別の指定を受け付ける(ステップS406)。形状種別には、点、線、円、面、球、円筒、円錐等がある。ステップS405とステップS406とは、順序を入れ替えても良い。
三次元測定装置1は、全ての幾何要素について、点群及び形状種別の指定が完了するまで、ステップS405及びS406の処理手順を繰り返し(ステップS407)、点群及び形状種別の指定が完了すれば、ユーザによる幾何要素の選択を受け付ける(ステップS408)。そして、三次元測定装置1は、選択された幾何要素について、寸法種別の選択を受け付ける(ステップS409)。寸法種別には、距離、角度、幾何公差、直径等がある。ステップS408とステップS409とは、順序を入れ替えても良い。
次に、三次元測定装置1は、選択された幾何要素について、点群に基本形状をフィッティングさせることによって幾何要素を特定し、幾何要素間の寸法値を算出する(ステップS410)。次に、三次元測定装置1は、寸法値を測定対象物Wの立体形状上の測定箇所に対応づけて表示する(ステップS411)。三次元測定装置1は、所望の測定箇所が他にもあれば、ステップS408からステップS411までの処理手順を繰り返し(ステップS412)、所望の測定箇所が他になければ、測定結果を出力してこの処理を終了する(ステップS413)。
次に、本発明による三次元測定装置1のさらに詳細な構成について、図7〜図16を用いて以下に説明する。
<情報処理端末5>
図7は、図1の情報処理端末5内の機能構成の一例を示したブロック図である。この情報処理端末5は、測定制御部10、形状データ生成部11、形状データ記憶部12、表示制御部13、基準平面抽出部14、姿勢変更部15、切断線指定部16、断面プロファイル取得部17、断面計測部18、幾何要素抽出部19a及びエッジ抽出部19bにより構成される。
測定制御部10は、キーボード52又はマウス53によるユーザ操作に基づいて、回転駆動部23を制御して撮像アングルを調整し、投光部24による測定光の照射を制御する。
形状データ生成部11は、受光部25からの受光信号に基づいて、測定対象物Wの立体形状を表す立体形状データを生成し、形状データ記憶部12内に格納する。立体形状データは、三次元空間における複数の測定点の位置情報からなり、測定対象物Wに測定光として投影される縞パターンを移動させるごとに取得した複数のパターン画像から作成される。形状テータ記憶部12には、過去に測定された立体形状データが保持される。
表示制御部13は、形状データ記憶部12内の立体形状データに基づいて、表示部51を制御し、測定対象物Wの立体形状を計測画面に表示する。例えば、多数の測定点が三次元的に配置されたオブジェクト体を所定の視点から眺めるように、立体形状が計測画面に表示される。計測画面内における立体形状(オブジェクト体)の位置、視点及び表示倍率は、任意に指定することができる。
基準平面抽出部14は、表示中の立体形状に対する位置の指定に基づいて、立体形状を切断する際の基準とする平面を特定し、基準平面とする。位置の指定は、キーボード52又はマウス53によるユーザ操作に基づいて行われ、幾何要素としての平面を抽出するための点群が選択される。点群は、2以上の測定点からなり、マウス操作などにより、計測画面上で所望の点群を取り囲む図形、例えば、多角形を指定することにより、当該点群が選択される。また、マウス操作などにより、計測画面上で立体形状上の1つの位置を指定することにより、当該位置を含み、かつ、平面にフィットする点群が選択される。そして、選択された点群にフィッティングさせた基本形状として、基準平面が特定される。
基本形状を点群にフィッティングさせる方法には、従来から知られている統計的手法を利用することができる。例えば、点群を構成する測定点と基本形状との距離に基づく最小二乗法により、幾何要素の三次元位置、姿勢及びサイズが特定される。基準平面の位置情報は、形状データ記憶部12内に格納される。
また、基準平面抽出部14は、基準平面の形状に基づいて、当該基準平面内に基準軸及び回転中心を定める。抽出される基準平面は、点群が有限であることから有限の端を持つ平面形状である。例えば、基準平面が略長方形状である場合に、長辺に平行な直線が基準軸に指定され、対角線の交点が回転中心に指定される。また、基準平面抽出部14は、立体形状に対して予め指定された座標平面を基準平面とする。同様に、例えば、抽出された基準平面が長方形状以外であっても、基準平面の法線、基準軸として抽出された基準平面の慣性主軸、回転中心として基準平面形状の重心が指定された座標平面を基準平面とする。
姿勢変更部15は、基準平面を正対させるために、基準平面の法線が計測画面と直交するように、立体形状を回転させる。また、姿勢変更部15は、基準平面を縦方向又は横方向に向けるために、基準平面の法線が計測画面の縦方向又は横方向と平行になるように、立体形状を回転させる。
この姿勢変更部15は、基準平面内に定められた基準軸が計測画面の縦方向又は横方向と一致するように、立体形状を回転させる。また、姿勢変更部15は、基準平面を正対させている場合に、キーボード52又はマウス53によるユーザ操作に基づいて、基準平面内に定められた回転中心を通って計測画面に垂直な直線を中心として立体形状を回転させる。また、姿勢変更部15は、基準平面を縦方向又は横方向に向けている場合に、基準平面内に定められた回転中心を通って計測画面に垂直な直線を中心として立体形状を回転させる。
切断線指定部16は、計測画面内における切断線の指定を受け付ける。切断線の位置情報は、形状データ記憶部12内に格納される。切断線指定部16は、例えば、計測画面上における二次元位置の指定により、切断線を決定する。二次元位置の指定は、キーボード52又はマウス53によるユーザ操作に基づいて行われ、例えば、ユーザが画面上で指定した2つの位置を直線で結ぶ線分が切断線として指定される。なお、切断線は、折れ線や曲線であってもよい。
断面プロファイル取得部17は、形状データ記憶部12内の立体形状データから断面プロファイルを取得し、形状データ記憶部12内に格納する。断面プロファイルは、回転させることによって姿勢が変更された後の立体形状を切断線により切断した場合の切断面の形状を表す形状データからなる。切断面は、計測画面に垂直な平面又は曲面からなる。
断面計測部18は、断面プロファイル取得部17により取得された断面プロファイルに基づいて、寸法測定を行う。この寸法測定は、例えば、計測画面に表示された断面プロファイルに対し、測定箇所、測定要素の形状及び寸法種別を指定することによって行われる。寸法値の計測結果は、計測画面に表示中の断面プロファイル上に重畳させて表示される。
幾何要素抽出部19aは、表示中の立体形状に対する位置の指定に基づいて、幾何要素を特定する。位置の指定は、キーボード52又はマウス53によるユーザ操作に基づいて行われる。幾何要素は、位置の指定によって点群を選択し、選択された点群に予め指定された基本形状をフィッティングさせることによって特定される。
切断線指定部16は、幾何要素抽出部19aにより抽出された幾何要素を計測画面に投影した投影位置に基づいて、切断線を決定する。具体的には、幾何要素が平面であれば、この平面と計測画面との交線が切断線として指定される。また、幾何要素が円筒であれば、円筒の中心軸を計測画面に投影した投影図形、すなわち、直線が切断線として指定される。また、円筒の中心軸と基準平面(計測画面)との交点を点として再利用し、さらに別の1点を指定することで作成した直線を切断線として利用することもできる。
エッジ抽出部19bは、計測画面上での位置の指定に基づいて、立体形状を計測画面に投影した投影画像からエッジを抽出する。エッジは、輝度に基づいて抽出される。ここで、投影画像は、投影方向に沿って最表面に相当する立体形状データの投影方向に沿った位置、つまり、計測画面に垂直な方向の距離を輝度情報に置き換えた距離画像であってもよく、投影方向に沿って最表面に相当する立体形状データのテクスチャ情報に対応したテクスチャ画像であってもよい。切断線指定部16は、エッジ抽出部19bにより抽出されたエッジに基づいて、切断線を決定する。例えば、複数のエッジ点にフィッティングさせた直線に対し、垂直な直線又は所定の距離だけ離間した平行な直線が切断線に指定される。また、複数のエッジ点にフィッティングさせた円に対し、所定の距離だけ離間した同心円が切断線に指定される。
<計測画面6>
図8は、図7の情報処理端末5における基準平面の設定時の動作の一例を示した図であり、表示部51に表示される計測画面6が示されている。計測画面6は、立体形状を切断した切断面について寸法測定を行うための操作画面であり、基準平面の設定時に表示部51に表示される。
この計測画面6には、測定対象物Wの立体形状を表示するための立体形状表示欄60と、基準平面を指定するための操作欄61とが設けられている。操作欄61は、立体形状表示欄60よりも右側に配置されている。操作欄61には、プルダウンメニュー62、作成ボタン63及び詳細設定ボタン64が配置されている。
プルダウンメニュー62は、過去に抽出された幾何要素を利用して基準平面を指定するための操作オブジェクトである。このプルダウンメニュー62を操作することにより、表示中の立体形状からこれまでに抽出された幾何要素が一覧表示される。プルダウンメニュー62から選択した幾何要素を基準平面に指定することができる。
作成ボタン63は、基準平面を新たに作成するための操作アイコンである。マウスポインタ7を作成ボタン63上に移動させた状態でクリック操作を行えば、作成ボタン63を操作することができる。詳細設定ボタン64は、基準平面が計測画面6に対して特定の姿勢になるように立体形状を回転させ、或いは、立体形状に対して予め指定された座標平面を基準平面に指定するための操作アイコンである。
図9は、図7の情報処理端末5における基準平面の設定時の動作の一例を示した図であり、表示中の立体形状から基準平面8を抽出した後の計測画面6が示されている。この計測画面6は、作成ボタン63を操作した場合に表示される基準平面の作成画面であり、操作欄61には、要素名の入力欄、表示設定ボタン、指定方法の入力欄65、OKボタン66及びキャンセルボタンが配置されている。
新たに作成された基準平面8には、要素名が自動的に割り当てられる。また、表示設定ボタンを操作すれば、基準平面8の表示形態、例えば、表示色を変更することができる。入力欄65は、基準平面を抽出させる領域の指定方法を選択するための操作オブジェクトであり、選択可能な指定方法がプルダウンメニューとして一覧表示される。
領域の指定方法には、クリック操作で指定する方法、キー操作とクリック操作との組み合わせで指定する方法、複数の点で指定する方法、ドラッグ操作で指定する方法等がある。クリック操作で指定する方法では、立体形状上の位置をマウスポインタ7で指定した状態でクリック操作を行うことにより、当該位置の平面が基準平面8として自動的に抽出される。
立体形状から抽出された基準平面8は、抽出元の立体形状とは識別可能に表示される。例えば、基準平面8は、赤色に色付けされ、立体形状上に重畳させて表示される。また、基準平面8は、矩形領域からなる。OKボタン66を操作すれば、立体形状から抽出された基準平面8が確定され、基準平面8が計測画面6に対して特定の姿勢になるように立体形状を回転させる姿勢変更処理が行われる。
図10は、図7の情報処理端末5における基準平面の設定時の動作の一例を示した図であり、基準平面8を正対させた後の計測画面6が示されている。この計測画面6は、基準平面8を指定した場合に表示される基準平面の設定画面であり、立体形状表示欄60には、基準平面8が計測画面6に正対するように回転させた後の立体形状が表示されている。基準平面8の計測画面6に対する正対とは、基準平面8の法線が計測画面6と直交することである。
この基準平面8は、長辺8a及び短辺8bを有する長方形状であり、長辺8aが基準軸に指定され、対角線の交点8cが回転中心に指定される。立体形状表示欄60の立体形状は、基準平面8が計測画面6に正対し、かつ、基準平面8の基準軸が計測画面6の横方向と一致するように、配置される。また、立体形状は、基準平面8の回転中心が立体形状表示欄60の概ね中央に位置するように、配置される。この様な構成を採用することにより、基準平面8が計測画面6に対して特定の姿勢になるように立体形状を回転させた際の見栄えを良くすることができる。
操作欄61には、指定面の入力欄67と、反転ボックス、回転角度の入力欄、座標平面の指定欄が設けられている。入力欄67は、基準平面8の姿勢を指定するための操作オブジェクトであり、プルダウンメニューからxy平面、yz平面又はzx平面のいずれかを選択することができる。
ここでは、計測画面6がxy平面に指定されており、横方向がx軸、縦方向がy軸である。yz平面を指定面に指定すれば、基準平面8がyz平面と平行になるように立体形状が回転する。また、zx平面を指定面に指定すれば、基準平面8がzx平面と平行になるように立体形状が回転する。
反転ボックスは、基準平面8を反転させるための入力欄であり、チェックマークを入力することにより、基準平面8の表裏が反転するように立体形状を回転させることができる。回転角度の入力欄は、計測画面6に垂直な直線を中心として立体形状を回転させるための入力欄であり、数値をインクリメント又はデクリメントし、或いは、スライダーを移動させることによって回転角度を指定する。
xy平面を指定面に指定した場合、基準平面8の回転中心を通って計測画面6に垂直な直線を中心として立体形状を回転させることができる。この様な構成を採用することにより、基準平面8が計測画面6に対して特定の姿勢になるように立体形状を回転させた際の見栄えを良くすることができる。
図11は、図7の情報処理端末5における基準平面の設定時の動作の一例を示した図であり、基準平面8を横方向に向けた場合の計測画面6が示されている。この計測画面6は、yz平面を指定面に指定した場合の設定画面であり、立体形状表示欄60には、基準平面8の法線が計測画面6の横方向と平行になるように回転させた後の立体形状が表示されている。
この場合、基準平面8の長辺8aが基準軸に指定される。立体形状表示欄60の立体形状は、基準平面8の法線が計測画面6の横方向と平行になり、かつ、基準平面8の基準軸が計測画面6の縦方向と一致するように、配置される。また、立体形状は、基準平面8の交点8cが立体形状表示欄60の概ね中央に位置するように、配置される。回転角度を指定すれば、交点8cを通って計測画面6に垂直な直線を中心として立体形状を回転させることができる。
図12は、図7の情報処理端末5における基準平面の設定時の動作の一例を示した図であり、基準平面8を縦方向に向けた場合の計測画面6が示されている。この計測画面6は、zx平面を指定面に指定した場合の設定画面であり、立体形状表示欄60には、基準平面8の法線が計測画面6の縦方向と平行になるように回転させた後の立体形状が表示されている。
この場合にも、基準平面8の長辺8aが基準軸に指定される。立体形状表示欄60の立体形状は、基準平面8の法線が計測画面6の縦方向と平行になり、かつ、基準平面8の基準軸が計測画面6の横方向と一致するように、配置される。また、立体形状は、基準平面8の交点8cが立体形状表示欄60の概ね中央に位置するように、配置される。回転角度を指定すれば、交点8cを通って計測画面6に垂直な直線を中心として立体形状を回転させることができる。
図13は、図7の情報処理端末5における断面計測時の動作の一例を示した図であり、表示部51に表示される計測画面9が示されている。計測画面9は、立体形状を切断した切断面について寸法測定を行うための操作画面であり、断面計測時に表示部51に表示される。
この計測画面9には、立体形状の表示欄91と、投影画像の表示欄92と、断面プロファイルの表示欄95と、操作欄96及び97とが設けられている。表示欄91,92及び操作欄96は、計測画面9の上段に配置され、表示欄95及び操作欄97は、下段に配置されている。表示欄91は、表示欄92よりも左側に配置され、操作欄96は、表示欄92よりも右側に配置されている。操作欄97は、表示欄95よりも右側に配置されている。
表示欄91には、測定対象物Wの立体形状が表示される。例えば、基準平面8を抽出した後の立体形状が表示される。表示欄92は、立体形状を計測画面9に投影した投影画像を表示するための表示欄であり、投影画像は、基準平面8が計測画面9に対して特定の姿勢になるように回転させた後の立体形状から作成される。例えば、基準平面8の法線が計測画面6の縦方向と平行になるように回転させた後の立体形状に対応する投影画像が表示される。
操作欄96には、切断線93を指定するためのツールボタンと、切断線93を削除するための削除ボタンとが配置されている。ツールボタンを操作することにより、表示欄92に表示中の投影画像に対し、断面プロファイルを取得するための切断線93を指定することができる。切断線93は、計測画面9内における一次元の幾何学図形である。
ツールボタンによって選択可能な指定方法には、線分、垂直線、水平線、直線、垂線、平行線、円、同心円、角、円弧及び折れ線がある。例えば、線分による指定方法では、投影画像上で2つの点を指定することにより、これらの2点を直線で結ぶ線分が切断線93に指定される。垂直線による指定方法では、投影画像上で1つの点を指定することにより、この点を通る縦方向(y方向)の直線が切断線93に指定される。
表示欄91の立体形状には、立体形状を切断線93により切断した場合の切断面の位置を示す形状線94が表示されている。表示欄95は、立体形状を切断線93により切断した場合の切断面の形状を表す断面プロファイルを表示するための表示欄である。表示欄95の縦方向は、切断線93に沿う方向に対応しており、表示欄95の横方向は、計測画面9に垂直な方向に対応している。切断線93として線分が指定されると、指定された線分を含み計測画面9に垂直な方向に広がる平面が切断面となる。また、切断線93として円が指定されると、指定された円を含み計測画面9に垂直な方向に広がる円筒面が切断面となる。この場合、表示欄95の縦方向は、切断線93に沿う方向、つまり、指定された円の円周方向に対応する。切断線93として折れ線が指定されると、表示欄95の縦方向は、切断線93に沿う方向、つまり、指定された折れ線に沿う方向に対応する。ここで、表示欄95の縦方向が切断線93に沿う方向に対応し、表示欄95の横方向が計測画面9に垂直な方向に対応する例を説明したが、縦方向と横方向の対応関係が入れ替わっていてもよいし、切断線93に沿う方向と計測画面9に垂直な方向とが表示欄95内の任意の方向に対応させてもよい。
基準平面8を計測画面9に正対させた場合の投影画像に対して切断線93を指定することにより、基準平面8に垂直な平面及び/又は曲面で立体形状を切断することになる。一方、基準平面8を計測画面9の縦方向又は横方向に向けた場合の投影画像に対して切断線93を指定することにより、基準平面8に平行な平面で立体形状を切断することができる。
操作欄97には、寸法種別を指定するためのツールボタンと、寸法値や寸法線を削除するための削除ボタンとが配置されている。ツールボタンを操作することにより、寸法種別を指定することができ、表示欄95に表示中の断面プロファイルに対し、寸法測定を行うことができる。
ツールボタンによって選択可能な寸法種別には、線−線、線−点、点−点、高さ、円−円、円−線、円−点、円弧、角度、曲率、面積、長さ及び円がある。例えば、線−線では、2つの線分を測定要素に指定することにより、これらの線分間の距離が寸法値として求められる。角度では、2つの線分を測定要素に指定することにより、これらの線分がなす角度が寸法値として求められる。
断面プロファイルについて寸法測定を行うことによって得られた計測値は、測定箇所に対応づけて表示される。この例では、3つの測定箇所について寸法測定が行われ、計測値がそれぞれ表示されている。
図14は、図7の情報処理端末5における断面計測時の動作の一例を示した図であり、立体形状から抽出した幾何要素を利用して切断線93を指定する場合が示されている。この計測画面9の操作欄96には、幾何要素リスト98が表示されている。この幾何要素リスト98は、立体形状から抽出された1又は2以上の幾何要素からなり、幾何要素を利用して切断線93を指定することができる。切断線93は、幾何要素を計測画面9に投影した投影図形に基づいて、決定される。
例えば、円錐面と円筒面とが幾何要素として抽出されていれば、円錐面の中心軸が計測画面9に交差する点と、円筒面の中心軸が計測画面9に交差する点とを結ぶ直線が切断線93に指定される。表示欄95には、立体形状を切断線93により切断した場合の切断面の形状が断面プロファイルとして表示されている。立体形状から抽出された幾何要素を利用して切断線93を指定すれば、投影画像では見えない面やエッジ抽出が困難な部位を利用した立体形状の切断が可能になる。
図15は、図7の情報処理端末5におけるレポートファイル出力時の動作の一例を示した図であり、表示部に表示されるレポート画面100が示されている。レポート画面100は、断面計測の結果をレポートファイルとして記録し、或いは、印刷するための編集画面であり、3D画像の表示欄、2D画像の表示欄、断面プロファイルの表示欄及び計測結果の表示欄が設けられている。
3D画像の表示欄には、測定対象物Wの立体形状が表示され、2D画像の表示欄には、立体形状を計測画面9に投影した投影画像が表示される。断面プロファイルの表示欄には、立体形状を切断線93により切断した場合の切断面の形状が断面プロファイルとして表示される。計測結果の表示欄には、断面プロファイルに対する寸法測定の結果が一覧表示される。
図16のステップS501〜S512は、図7の情報処理端末5における断面計測時の動作の一例を示したフローチャートである。まず、情報処理端末5は、計測画面9に3D画像として表示中の立体形状に対し、基準平面8を指定し(ステップS501)、この基準平面8が計測画面9に対して特定の姿勢になるように、立体形状を回転させる(ステップS502)。
次に、情報処理端末5は、回転後の立体形状を計測画面9に投影して投影画像を取得し、計測画面9に2D画像として表示する(ステップS503)。情報処理端末5は、指定面を変更するユーザ操作が行われれば、ステップS502及びS503の処理手順を繰り返す(ステップS504)。指定面を変更するユーザ操作が行われた場合、当該ユーザ操作に基づいて、基準平面8の姿勢が変更される。一方、指定面を変更するユーザ操作が行われなかった場合は、xy平面が指定面に自動的に指定され、基準平面8が計測画面9に正対するように、立体形状が回転される。
次に、情報処理端末5は、回転角度を変更するユーザ操作が行われれば(ステップS505)、当該ユーザ操作に基づいて、投影画像をz軸周りに、つまり、計測画面9に垂直な軸周りに回転させることにより、角度調整を行う(ステップS506)。
次に、情報処理端末5は、計測画面9上で切断線93が指定されれば(ステップS507)、切断線93により立体形状を切断した場合の切断面の形状を表す断面プロファイルを取得し(ステップS508)、平面に展開して計測画面9に表示する(ステップS509)。情報処理端末5は、断面プロファイルに対して寸法測定を行い(ステップS510)、計測結果を断面プロファイル上に重畳させて表示する(ステップS511)。情報処理端末5は、他に測定箇所が指定されていれば、ステップS510及びS511の処理手順を繰り返し、全ての測定箇所について寸法測定が完了すれば、この処理を終了する(ステップS512)。
本実施の形態によれば、基準平面8が計測画面9に対して特定の姿勢になるため、立体形状を切断線93により切断した場合の切断面として所望の切断面を得るには、どの様な切断線でどこを切断すればよいのかを直感的に理解することができる。また、切断線93は、計測画面9内における一次元の幾何学図形であり、切断面が計測画面9に垂直になることから、三次元空間内で二次元の切断面を直接に指定する場合に比べ、切断面の指定を容易化することができる。さらに、所望の切断面による断面プロファイルに基づいて寸法測定を行うため、測定箇所、測定要素の形状及び寸法種別の指定を直感的に行うことができる。また、設計図面に記載された箇所の寸法測定を容易に行うことができる。
なお、本実施の形態では、ヘッド部20が1つの受光部25と2つの投光部24とを備える場合の例について説明したが、本発明は、ヘッド部20の構成をこれに限定するものではない。例えば、ヘッド部が1つの受光部25と1つの投光部24とを備え、或いは、ヘッド部が2つの受光部25と1つの投光部24とを備える場合にも本発明は適用可能である。
また、本実施の形態では、ヘッド部20とステージ保持部22とが固定的に連結される場合の例について説明したが、ヘッド部20とステージ保持部22とが分離可能であってもよい。