JP6736066B2 - 成膜方法 - Google Patents

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本発明は、光学薄膜の成膜方法に関するものである。
従来、赤外線領域用の光学薄膜の低屈折率材料としてはZnS、ZnSeなどが用いられている。また、他の赤外線領域用の低屈折率光学薄膜材料として、CeOやCeFなどが用いられており、これら材料はスパッタリングにおいて成膜可能である。
しかしながら、ZnS、ZnSeの蒸着材料は真空蒸着やスパッタリングなどの手法で成膜されるときに分解して、硫化物、セレン化合物などのガスが発生する問題点がある。CeOやCeFを用いたスパッタリングは成膜レートが低いため、赤外線領域用の光学薄膜として用いる数μmの膜厚を得るには数時間かかり、生産性が低いという問題点がある。
Ce系の蒸着材料は、可視光線領域から10μm帯の赤外線領域まで透明な優れた蒸着材料である。しかし、CeOは成膜レートが高く生産性のよい電子ビーム真空蒸着法において成膜レートが不安定である。また、CeFは成膜時の安定性は高いが、透過帯域がCeOより狭いという問題点がある。
本発明が解決しようとする課題は、安定的に成膜できる成膜方法を提供することである。
本発明は、基板の表面に、CeOに対してCeFを10〜60重量%加えた混合材料を成膜する工程を含んだ成膜方法によって上記課題を解決する。
本発明によれば、安定的に蒸着材料を基板表面に成膜できる。
図1は、本発明に係る成膜方法の一実施の形態に使用できる成膜装置の概略断面図である。 図2は、Ge基板、CeO膜、及びCeF膜の透過率特性を示すグラフである。 図3は、本発明に係る成膜方法の一実施の形態を示す工程図である。 図4は、成膜後の蒸着材料(CeO)の写真である。 図5は、ゲルマニウム基板(Ge基板)、CeO単体で成膜した膜、CeOとCeFとの混合材料で成膜した膜(第2実施形態に係る成膜方法で成膜した膜)の分光透過率特性を示すグラフである。 図6は、CeOとCeFとの混合材料成膜時の酸素量と電子ビームの影響を説明するためのグラフである。 図7は、基板、CeO単体の蒸着材料を用いて成膜された膜、CeF単体の蒸着材料を用いて成膜された膜、CeOとCeFとを混合した蒸着材料を用いて成膜された膜の各透過率特性を説明するためのグラフである。 図8は、CeOとCeFとの混合材料成膜時の酸素量と影響を説明するためのグラフである。 図9は、CeOとCeFとの混合材料成膜時の酸素量と影響を説明するためのグラフである。
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る成膜方法の一実施の形態に使用できる成膜装置1の一例を示す概略縦断面図である。なお、本発明の成膜方法の実施は、図1に示す成膜装置1を用いた実施に何ら限定されず、本発明の構成要件を実現できる成膜装置であれば全てのものが含まれる。本例の成膜装置1は、真空容器2と、真空容器2の内部を減圧するための排気装置3と、駆動部4aにより回転する回転軸4bを中心に回転可能で、基板保持面5aに基板Sを保持可能な円板状の基板ホルダ5と、真空容器2の内部に酸素ガスを導入するガス導入系統6と、真空容器2の内部に基板保持面に対向するように設けられた真空蒸着用の真空蒸着機構7と、基板を温めるためのヒータ8を備える。また、真空容器2には、内部圧力を計測する圧力計9及び非接触式の膜厚センサ10が設けられている。
本例の基板ホルダ5は、円板状に形成され、円板の中心に、駆動部4aにより一方向に回転する回転軸4bが固定されている。基板ホルダ5の下面は、基板Sを固定して保持する基板保持面5aとされている。基板ホルダ5は必ずしも回転式でなくてもよく無回転の形式でもよい。また基板の装着形態は図1に示す形態に限らず、種々の形態でもよい。
成膜対象物である基板Sとしては、特に限定されず、ガラス基板のほか、アクリルその他のプラスチック基板を適用することができる。なかでも屈折率が大きいため反射率を抑制する必要があり、しかも触手や洗浄などの機会があるため機械的強度が必要とされる光学用途の基板を用いると、本発明の効果がより一層発揮される。
真空容器2の内部に酸素ガスを導入するガス導入系統6が設けられている。ガス導入系統6は、酸素を貯蔵するボンベ6аと、ボンベ6аに対応して設けられたバルブ6bと、酸素ガスの流量を調整するマスフローコントローラ6cと、反応性ガスの供給路としての配管6dと、を備える。
本例の成膜方法では、蒸着材料(成膜材料)としてCeOとCeFとの混合材料を用いており、蒸着材料を基板の表面に成膜する際に、CeFを積極的に分解させるために、成膜工程で酸素を供給している。酸素は、ボンベ6аに貯蔵されている。バルブ6bは成膜工程時に開放されて、マスフローコントローラは、成膜時に酸素供給量を適切な範囲に調整して、酸素は配管6dを通り真空容器2内に供給される。
真空蒸着機構7は、電子ビーム蒸着源からなり、蒸着材料を充填する坩堝7aと、坩堝7aに充填された蒸着材料に電子ビームを照射する電子銃7bとを備える。また、坩堝7aの上方には、当該坩堝7aの上部開口を開閉するシャッタ7cが移動可能に設けられている。蒸着材料には、CeOとCeFとの混合材料が用いられる。
ここで、蒸着材料について図2を用いて説明する。図2は、波長に対する透過率特性を示すグラフであって、縦軸は透過率(%)を表し、横軸は波長(μm)を示す。図2において、グラフаはGe基板の透過率特性を表し、グラフbはCeFの透過率特性を表し、グラフcはCeOの透過率特性を表す。
図2に示すように、赤外線領域用の低屈折率材料であるCe系の蒸着材料は、可視光線領域から10μm帯の赤外線領域まで透明な優れた蒸着材料である。例えば、グラフcに示すように、CeOは可視領域から13μm程度まで広い透過帯域をもっている。またグラフbに示すように、CeFは可視領域から8μm程度までの透過帯域をもっている。CeOは比較的広い透過帯域をもっているが、生産性が高い電子ビーム真空蒸着においては分解して金属的になるために成膜レートが安定しない。このため、成膜はできるが突沸等が発生し外観品質の面で問題がある。CeFは、CeOの透過帯域より狭いことと、赤外線領域の基板としてよく用いられるGe基板との密着性が低いという問題がある。その一方で、CeFは、生産性が高い電子ビーム真空蒸着において、安定的な成膜を実現できる。
そこで本実施形態は、蒸着材料(蒸着材料)に、CeOにCeFを混ぜた混合材料を用いて、生産性の高い電子ビーム真空蒸着により成膜する。混合材料は、CeOに対してCeFを10〜60重量%(10重量%以上から60重量%以下の範囲)としている。すなわち、100重量%のCeOに対してCeFを10〜60重量%とする。より好ましくは、100重量%のCeOに対してCeFを20〜50重量%とし、さらに好ましくは、100重量%のCeOに対してCeFを30〜40重量%とする。
真空容器2の上部の内壁には、ヒータ8が内壁面に沿うように設置されている。ヒータ8は基板Sを温めるために設置されている。
次いで、本発明に係る成膜方法の実施形態を説明する。図3は、本発明に係る成膜方法の一実施の形態を示す工程図である。前準備として、基板ホルダ5に基板Sをセットし、これを真空容器2に取り付ける。また、坩堝7aに、蒸着材料としてCeOとCeFとの混合材料を充填し、図3の処理を開始する。混合材料は、CeOに対してCeFを10〜60重量%とする。
ステップST1において、真空容器2を密閉し、排気装置3を用いて真空容器2の内部を真空排気(減圧)する。真空容器2の内部に臨むように設けられた圧力計8を用いて、真空容器2の内部が、所定の圧力、例えば7×10−4Paに達したかを判定する(ステップST2)。真空容器2の内部が、所定の圧力、例えば7×10−4Paに達していない場合にはステップST1へ戻り、7×10−4Paに達するまで、真空排気を繰り返す。なお、圧力の目標値7×10−4Paは一例にすぎず、例えば、10−2Pa〜10−5Paの高真空範囲内でもよく、さらに超高真空範囲内でもよい。
真空容器2の内部が、所定の圧力に達したら、ステップST3において、真空蒸着機構7による真空蒸着に適した真空度まで減圧されたものとして、基板ホルダ5の回転を開始する。またヒータ8をオンにして、基板200を所定温度(例えば80〜300度)まで温める。なお、本実施形態では、基板ホルダ5の回転を、酸素供給より先に開始しているが、酸素供給の途中又は酸素の導入後に基板Sの回転を開始してもよい。
ステップST4において、バルブ6bを開けてガスボンベ6аから酸素ガスを真空容器2の内部に導入する。このとき、マスフローコントローラ6cは、酸素ガスの流量を8sccm以上から40sccm以下の範囲内に設定する。
ステップST5において、酸素ガスが真空容器2の内部に供給された状態で、それまで坩堝7aを閉塞していたシャッタ7cを開け、電子銃7bから坩堝7aに電子ビームを照射して、真空蒸着成膜を行う。電子ビームの条件として、80mA以上200mAの範囲内に設定する。CeF単体を蒸着材料に用いて、電子ビーム蒸着方法により蒸着する場合には、電子ビームの条件は30mA程度である。すなわち、本発明に係る成膜方法では、電子ビームの出力値を、CeF単体の蒸着材料で電子ビーム蒸着方法により蒸着させる時に設定される電子ビームの出力値よりも高い値に設定している。言い換えると、本発明に係る成膜方法では、CeOとCeFとの混合物である蒸着材料を成膜するときの成膜エネルギーが、CeF単体材料を成膜するときの成膜エネルギーよりも高くなるように、電子ビームの出力値を設定している。
ステップST6において、非接触式の膜厚センサ10により、基板S上に形成された薄膜の膜厚が、予め定められた要求膜厚に達しているかを判定する。基板S上に形成された薄膜の膜厚が、予め定められた要求膜厚に達していない場合には、要求膜厚に達するまで、真空蒸着成膜を継続する。
ステップST7において、基板S上に形成された薄膜の膜厚が、予め定められた要求膜厚に達した場合には、バルブ6bを閉めて、電子銃7bをオフにし、シャッタ7cを閉めて、真空蒸着成膜を終了する。その後、真空容器2の内部圧力を大気圧に戻し、真空容器2から基板ホルダ5を取り出す。
次いで、本発明に係る成膜方法で成膜された膜と、CeO単体を蒸着材料として成膜さされた膜との違いを説明する。なお成膜方法は、いずれも電子ビーム真空蒸着法とする。図4は、CeO単体を蒸着材料として用いた時の、成膜後の蒸着材料(CeO)を示す図であり、以下の表1は図4に示す各部位の抵抗値を表す。
Figure 0006736066
図4及び表1に示すように、CeOは電子ビーム真空蒸着法において電子ビームのエネルギーにより分解し絶縁物から金属的になるため、抵抗率が減少する。入射する電子ビームのエネルギーが熱エネルギーに変換される時の効率が変化するために成膜レートが安定しない。
本発明に係る成膜方法に使用した蒸着材料は、CeOに対してCeFを10〜60重量%加えた材料をポットミル等で混合したものである。そのため、電子ビームを用いて蒸着する際に、蒸着材料に含まれるCeOの分解量が減るため、表1に示すような抵抗率の減少を抑制できる。その結果として、成膜レートを安定化できる。
次に、成膜された膜の分光透過率特性について図5を用いて説明する。図5は、波長に対する透過率特性を示すグラフであって、縦軸は透過率(%)を表し、横軸は波長(μm)を示す。図5において、グラフаはGe基板の透過率特性を表し、グラフbはCeOとCeFの混合材料を用いた成膜の透過率特性を表し、グラフcはCeOを単体で用いた成膜の透過率特性を表す。
図5に示すように、本発明に係る成膜方法で生成された膜は、CeO単体を蒸着材料として成膜したものと同等の光学特性を得ることができ、本発明に係る成膜方法は成膜レートを10%以内の変動幅に抑制できる。
以上のように、本実施形態の成膜方法は、基板の表面に、CeOに対してCeFを10〜60重量%加えた混合材料を成膜する工程を含んでいる。成膜工程は、図3にステップにおいて、ステップST3〜ST6までの工程に相当する。これにより、成膜レートの安定化及び成膜時間の短縮化を実現できる。また本実施形態の成膜方法で成膜された膜は、CeO単体を蒸着材料として成膜したものと同等の光学特性を得ることができる。
また本実施形態の成膜方法は、成膜工程において、CeFを分解しながら蒸着材料を基板の表面に成膜する。具体的には、電子ビーム真空蒸着法による成膜工程において、電子ビームの条件として、電子ビームの出力値を80mA以上から200mA以下の間に設定した状態で、酸素を8sccm以上から40sccm以下の範囲内で供給した状態で、CeOに対してCeFを10重量%以上から60重量%以下の範囲で加えた混合材料を基板の表面上に成膜している。
上記のとおり、本実施形態の成膜方法では、電子ビームの出力値は、CeF単体の蒸着材料で電子ビーム蒸着方法により蒸着する時に設定される電子ビームの出力値(約30mA)よりも高い、80mA以上から200mA以下に設定されている。CeOとCeFとの混合材料においても30mA程度から蒸発は始まるが、電子ビームの出力を30mAのまま維持した場合には、CeF主成分の膜が成膜されてしまう。そこで、本実施形態の成膜方法では、CeOとCeFとの混合材料を成膜する時に、酸素を8sccm以上から40sccm以下の範囲内で導入し、CeF単体の成膜エネルギーとしては過剰となる、80〜200mA(80mA以上から200mA以下の範囲)の電子ビーム条件として成膜を行う。
図6に、本実施形態に係る成膜方法で作製した膜のX線回折測定の結果を示す。図6は混合材料成膜時の酸素量と電子ビームの影響を説明するためのグラフであって、縦軸はX線強度を表し、横軸はX線回折角を示す。図6において、グラフаは電子ビームの出力値を120mAとし酸素の流量を16sccmとした場合の特性を表し、グラフbは電子ビームの出力値を30mAとし酸素の流量を4sccmとした場合の特性を表し、グラフcは電子ビームの出力値を30mAとし酸素の流量を0sccmとした場合の特性を表す。グラフаの設定値(電子ビームの出力値及び酸素供給量)が、本実施形態の成膜方法で設定される条件を満たしている。図6に示すように、X線回折測定の結果から、本実施形態の成膜方法で設定される条件を満たす場合には、CeFが分解されており、成膜された膜がCeO膜になっていることが分かる。
本実施形態の成膜方法によれば、CeO単体の蒸着材料で成膜された膜と同等の透過帯域を確保しつつ、CeO単体の蒸着材料で成膜された膜よりも成膜レートを安定化させることができる。
なお、本実施形態では、成膜工程の条件として、電子ビームの出力条件(電子ビームの出力値を80mA以上から200mA以下とする)及び酸素供給量の条件(酸素を真空容器2内に供給する時の流量を8sccm以上から40sccm以下にする)の2つを設けたが、条件は少なくともいずれか一方の条件を満たせばよいが、2つの条件を満たすことで、成膜工程において、より積極的にCeFを分解させることができる。
なお、本発明に係る成膜方法は、少なくとも真空蒸着法による成膜する工程を含んでいればよく、例えば、真空蒸着法による成膜工程に、スパッタリングにより成膜する工程を加えた上で、成膜を形成してもよい。
《実施例1》
真空蒸着装置(シンクロン社製BMC−700)を用いて、図3に示す電子ビーム蒸着法にて成膜を行った。成膜基板はN−BK7(SCHOTT社製)光学ガラスとSi基板を使用した。成膜条件は下記の表2に示すように、電子ビームの出力値を80mA又は120mAとして、蒸着材料をCeOとCeFとの混合物とし、成膜時の基板温度を100℃、酸素の流量を0sccm、4sccm又は8ccmとした。
Figure 0006736066
混合物の作成条件は下記の表3に示すように、基板ホルダの回転速度を110rpmとし、回転時間を4時間とし、CeOとCeFとの材料比(混合比)を1:1又は2:1とした。
Figure 0006736066
上記条件の下、図3に示す電子ビーム蒸着法にて成膜された膜に対して、分光光度計(日本分光社製:V−670)、X線回折装置(フィリップス社製:X’Pert MRD)を用いて光学的特性を測定した。また機械的特性は鉛筆硬度試験(JIS K5600 塗料一般試験方法 4.4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じた。)、クロスハッチ試験(ISO9211−4)により評価した。
光学的特性の測定結果を図7に示す。図7は、波長に対する透過率特性を示すグラフであって、縦軸は透過率[%]を表し、横軸は波長[nm]を表す。グラフаはN−BK7(SCHOTT社製)基板の透過率特性を表し、グラフbはCeOとCeFとの混合比を1:1とする蒸着材料を用いて成膜された膜の透過率特性を表し、グラフcはCeOとCeFとの混合比を2:1とする蒸着材料を用いて成膜された膜の透過率特性を表し、グラフdはCeO単体の蒸着材料を用いて成膜された膜の透過率特性を表し、グラフeはCeF単体の蒸着材料を用いて成膜された膜の透過率特性を表す。
グラフdに示すようにCeO単体の蒸着材料を用いた場合には酸素導入による光学的吸収があるが、グラフb及びcに示すようにCeFを混ぜることによって、酸素導入による光学的吸収が見られなかった。これは、CeOに由来する酸素欠損が減少していないものと考えられる。
そして、鉛筆硬度試験及びクロスハッチ試験により、グラフb〜dで表される膜の機械的特性を評価すると、CeOとCeFとを混合させた蒸着材料を用いて成膜した場合には、CeO単体の蒸着材料を用いて成膜した場合と比較して、密着性及び硬度が向上していることを確認できた。このことは、CeFが膜の密着性及び硬度を高めているものと考えられる。
上記の実験結果により、CeOに対してCeFを10〜60重量%加えた混合材料を用いて、図3に示す成膜方法で成膜することで、CeO単体を蒸着材料として成膜したものと同等の光学特性を得つつ、CeO単体のときよりも機械的特性の向上を確認でき、また成膜レートの安定化を確認できた。
《実施例2》
真空蒸着装置(シンクロン社製BMC−700)を用いて、図3に示す電子ビーム蒸着法にて成膜を行った。成膜基板はN−BK7(SCHOTT社製)光学ガラスとSi基板を使用した。成膜条件は、電子ビームの出力値を120mAとして、蒸着材料をCeOとCeFとの混合物とし、成膜時の基板温度を200℃、酸素の流量を0sccm、4sccm又は8ccmとした。そして、蒸着材料を110rpmで回転しつつポットミル中で4時間、混錬した。CeOとCeFとの材料比(混合比)を1:1又は2:1とした。
上記条件の下、図3に示す電子ビーム蒸着法にて成膜された膜に対して、分光光度計(日本分光社製:V−670)、X線回折装置(フィリップス社製:X’Pert MRD)を用いて光学的特性を測定した。また機械的特性は鉛筆硬度試験(JIS K5600 塗料一般試験方法 4.4 引っかき硬度(鉛筆法)に準じた。)、クロスハッチ試験(ISO9211−4)により評価した。
さらに比較例として、蒸着材料をCeO単体として、図3に示す電子ビーム蒸着法にて成膜された膜に対して、光学的特性および機械的特性を評価した。
実施例2及び比較例における、成膜条件、成膜レート、酸素ガス流量、クロスハッチ試験結果、及び鉛筆硬度試験結果を表4に示す。
Figure 0006736066
また光学的特性の測定結果を図8及び図9に示す。図8は、波長に対する透過率特性を示すグラフであって、縦軸は透過率[%]を表し、横軸は波長[nm]を表す。図8において、グラフаはN−BK7(SCHOTT社製)基板の透過率特性を表し、グラフbはCeOとCeFとの混合材料を用いて酸素ガス流量16sccmで成膜された膜の透過率特性を表し、グラフcはCeOとCeFとの混合材料を用いて酸素ガス流量4sccmで成膜された膜の透過率特性を表し、グラフdはCeOとCeFとの混合材料を用いて酸素ガス流量0sccmで成膜された膜の透過率特性を表す。また、図9は、X線回折測定の結果を示すグラフであって、縦軸はX線強度を表し、横軸はX線回折角を示す。図9において、グラフаはCeOとCeFとの混合材料を用いて酸素ガス流量16sccmで成膜された膜の特性を表し、グラフbはCeOとCeFとの混合材料を用いて酸素ガス流量4sccmで成膜された膜の特性を表し、グラフbはCeOとCeFとの混合材料を用いて酸素ガス流量0sccmで成膜された膜の特性を表す。
図8に示すように、CeOとCeFとの混合物を蒸着材料に用いた時の主構造は、CeO単体を蒸着材料に用いた時と同じような構造になった。一般的に、基板表面にCeOを堆積する時に酸素を導入すると光吸収が生じる。一方、CeOとCeFとの混合物を蒸着材料に用いた時には、CeFが膜に含まれるため、酸素を導入するにより生じる光吸収の発生を抑制できる。その結果として、CeFの分解が確認でき、光吸収が赤外線の領域で抑えることが確認できた。
図9に示すようにX線回折パターンから、結晶構造が酸素レベルで変化していることを確認できた。そして、結晶構造の変化が、成膜材料のフッ化物分解を抑制することに起因する結果として、CeO膜にCeF膜を形成できることを確認した。さらに、上記表4に示すように、CeO単体の蒸着材料を用いて形成された膜と比較して、実施例で形成された膜では、密着性及び硬度が向上した。これにより、CeFが膜としての機械的特性を高めることができた。
上記の実験結果により、CeOにCeFを混合により、CeO単体を蒸着材料として成膜したものと同等の光学特性を得つつ、CeO単体のときよりも機械的特性の向上を確認でき、さらに成膜レートの安定化を確認できた。

Claims (3)

  1. 光学薄膜を成膜する成膜方法であって、
    基板の表面に、CeOに対してCeFを10〜60重量%加えた混合材料を成膜する成膜工程を含み、
    前記成膜工程は、
    真空容器内に酸素を供給する工程と、
    前記真空容器内に酸素が供給された状態で、前記混合材料に電子ビームを照射する工程とを含み、
    前記成膜工程において、前記CeF を分解しながら前記混合材料を前記基板の表面に成膜する成膜方法。
  2. 前記電子ビームの出力値が、80mA以上から200mA以下に設定されている請求項記載の成膜方法。
  3. 前記酸素を前記真空容器内に供給する時の流量が8sccm以上から40sccm以下に設定されている請求項1又は2に記載の成膜方法。
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