JP6735657B2 - 軸合わせ方法および電子顕微鏡 - Google Patents

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Description

本発明は、軸合わせ方法および電子顕微鏡に関する。
走査透過電子顕微鏡(STEM)は、収束した電子線(電子プローブ)で試料上を走査し、試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を得るための装置である(例えば特許文献1参照)。
走査透過電子顕微鏡では、試料に対して収束された電子線が照射されるため、対物レンズの後焦点面には、透過波および回折波がディスク状に広がった電子回折パターンが形成される。電子回折パターン中の透過波のディスク(以下「透過ディスク」ともいう)および回折波のディスク(以下「回折ディスク」ともいう)は、通常、コンデンサー絞りの影を反映している。コンデンサー絞りは、試料Sに照射される電子線の開き角および照射量を決めるための絞りである。
走査透過電子顕微鏡では、対物レンズの後焦点面に形成された電子回折パターン中の透過ディスクが光軸上に位置するように軸合わせが行われる。従来の軸合わせ方法では、蛍光板上に投影された電子回折パターンを観察して目視により透過ディスクと光軸とのずれを把握し、偏向素子に流れる電流量を手動で変化させて電子線を偏向させることにより、当該ずれを補正していた。
軸合わせの際には、電子回折パターン中の複数のディスクから、透過ディスクと回折ディスクとを判別しなければならないが、この判別はユーザーが経験的に行っていた。
特開2005−235665号公報
従来の軸合わせ方法では、上述したように、蛍光板上に投影された電子回折パターンを利用しているため、ユーザーが目視で電子回折パターンを確認し、手動で偏向素子に流れる電流量を変化させなければならなかった。これは、走査透過電子顕微鏡に搭載されているSTEM検出器は、二次元像を記録することはできず、電子線の強度を二次元面上で積分した値を出力することしかできないためである。
また、従来の軸合わせ方法では、電子回折パターン中の複数のディスクから、透過ディスクと回折ディスクとを判別しなければならないが、透過ディスクと回折ディスクを判別することは難しいという問題がある。従来、この作業はユーザーが経験的に行っていたが、経験の少ないユーザーにとっては、負担が大きい。
一方、近年、ピクセル型STEM検出器を搭載した電子顕微鏡の開発が進んでいる。ピクセル型STEM検出器は、電子線を二次元的に検出して二次元像を取得することができるとともに、電子線の走査に追従可能なハイスピードのイメージセンサーである。ピクセル型STEM検出器を搭載した電子顕微鏡では、電子回折パターンをそのまま二次元像として記録可能であるため、透過ディスクと光軸との間の位置ずれや透過ディスクの形状を画像として確認することできる。
ピクセル型STEM検出器では、通常、ピクセル型STEM検出器のセンサーの中心位置が光軸上に配置される。そのため、軸合わせは、ピクセル型STEM検出器のセンサー中心位置に、透過ディスクが位置するように電子線を偏向させることで行われる。
しかしながら、ピクセル型STEM検出器が搭載された走査透過電子顕微鏡においても、透過ディスクと回折ディスクを判別することが難しいという問題がある。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、電子回折パターン中から容易に透過波を抽出して軸合わせを行うことができる軸合わせ方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、電子回折パターン中から容易に透過波を抽出して軸合わせを行うことができる電子顕微鏡を提供することにある。
(1)本発明に係る軸合わせ方法は、
対物レンズの後焦点面または当該後焦点面に共役な面に配置された撮像装置を備えた電子顕微鏡における軸合わせ方法であって、
試料に入射する電子線の方位角を走査して、互いに異なる方位角で得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を前記撮像装置で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得する工程と、
前記積算画像から透過波の像を抽出する工程と、
抽出された前記透過波の像の位置に基づいて、前記透過波の像が前記撮像装置で撮像される画像上の所望の位置に位置するように、前記撮像装置に入射する電子線を偏向させる工程と、
を含む。
このような軸合わせ方法では、電子回折パターンが複数のディスクを含む場合、積算画像では電子回折パターン中の複数のディスクのうち、最も強度の大きいディスクが透過波のディスク(透過ディスク)となる。そのため、電子回折パターン中から容易に透過ディスクを抽出することができる。同様に、電子回折パターンが複数のスポットを含む場合、積算画像では電子回折パターン中の複数のスポットのうち、最も強度の大きいスポットが透過波のスポット(透過スポット)となる。そのため、このような軸合わせ方法では、電子回折パターン中から容易に透過波(透過ディスク、透過スポット)を抽出することができる。したがって、このような軸合わせ方法では、容易に、軸合わせを行うことができる。
(2)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記積算画像を取得する工程では、試料に入射する電子線の方位角とともに電子線の入射角を走査して、互いに異なる方位角および入射角の組み合わせで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を前記撮像装置で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得してもよい。
このような軸合わせ方法では、電子回折パターン中から容易に透過波を抽出することができる。
(3)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記所望の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中心の位置であってもよい。
(4)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記積算画像において、前記透過波および前記回折波は、ディスクとして現れ、
前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出してもよい。
このような軸合わせ方法では、電子回折パターン中から容易に透過ディスクを抽出することができる。
(5)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像を二値化して、前記積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出してもよい。
このような軸合わせ方法では、電子回折パターン中から容易に透過ディスクを抽出することができる。
(6)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記積算画像において、前記透過波および前記回折波は、スポットとして現れ、
前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出してもよい。
このような軸合わせ方法では、電子回折パターン中から容易に透過スポットを抽出することができる。
(7)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像を二値化して、前記積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出してもよい。
このような軸合わせ方法では、電子回折パターン中から容易に透過スポットを抽出することができる。
(8)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記電子顕微鏡は、走査透過電子顕微鏡であってもよい。
(9)本発明に係る軸合わせ方法において、
前記電子顕微鏡は、透過電子顕微鏡であってもよい。
(10)本発明に係る電子顕微鏡は、
試料に入射する電子線を偏向させる第1偏向素子と、
対物レンズと、
前記対物レンズの後焦点面または当該後焦点面に共役な面に配置された撮像装置と、
前記撮像装置に入射する電子線を偏向させる第2偏向素子と、
前記第1偏向素子および前記第2偏向素子を制御する処理を行う処理部と
を含み、
前記処理部は、
試料に入射する電子線の方位角が走査されるように前記第1偏向素子を制御する処理と、
互いに異なる方位角で得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像が積算された積算画像を取得する処理と、
前記積算画像から透過波の像を抽出する処理と、
抽出された前記透過波の像の位置に基づいて、前記透過波の像が前記撮像装置で撮像される画像上の所望の位置に位置するように、前記第2偏向素子を制御する処理と、
を行う。
このような電子顕微鏡では、自動で、透過波の像が撮像装置で撮像される画像上の所望の位置に位置するように軸合わせを行うことができる。
(11)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記処理部は、
前記第1偏向素子を制御する処理において、試料に入射する電子線の方位角とともに電子線の入射角が走査されるように前記第1偏向素子を制御し、
前記積算画像を取得する処理において、互いに異なる方位角および入射角の組み合わせで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像が積算された積算画像を取得してもよい。
(12)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記積算画像において、前記透過波の像および前記回折波の像は、ディスクとして現れ、
前記処理部は、前記透過波の像を抽出する処理において、前記積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出してもよい。
(13)本発明に係る電子顕微鏡において、
前記積算画像において、前記透過波の像および前記回折波の像は、スポットとして現れ、
前記処理部は、前記透過波の像を抽出する処理において、前記積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出してもよい。
(14)本発明に係る電子顕微鏡において、
試料を透過した電子線を偏向させて、前記第1偏向素子で偏向された電子線を振り戻す第3偏向素子を含んでいてもよい。
このような電子顕微鏡では、電子線の方位角や入射角を走査することによる撮像装置に入射する電子線の位置ずれを補正することができる。
第1実施形態に係る電子顕微鏡を模式的に示す図。 試料に入射する電子線の方位角を走査している様子を模式的に示す図。 試料に入射する電子線の方位角を走査している様子を模式的に示す図。 デスキャンコイルの機能を説明するための図。 光軸に沿って電子線を試料に入射したときの電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を模式的に示す図。 試料に入射する電子線を傾斜させたときの電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を模式的に示す図。 試料に入射する電子線の方位角を走査して得られた像を模式的に示す図。 積算画像を二値化して得られた画像。 補正ベクトルに基づき電子線を偏向させて透過ディスクを移動させた画像。 第1実施形態に係る電子顕微鏡の動作の一例を示すフローチャート。 二値化された積算画像において画像の重心の位置が移動している様子を模式的に示す図。 二値化された積算画像において画像の重心の位置が移動している様子を模式的に示す図。 二値化された積算画像において画像の重心の位置が移動している様子を模式的に示す図。 第2実施形態に係る電子顕微鏡を模式的に示す図。 第2実施形態に係る電子顕微鏡において光軸Lに沿って電子線を試料に入射したときの電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を模式的に示す図。 試料に入射する電子線の方位角および入射角を走査している様子を模式的に示す図。 試料に入射する電子線の方位角および入射角を走査している様子を模式的に示す図。 第2変形例における、透過ディスクを抽出する手法を説明するための図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 第1実施形態
1.1. 電子顕微鏡の構成
まず、本実施形態に係る電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100を模式的に示す図である。
電子顕微鏡100は、走査透過電子顕微鏡(STEM)である。すなわち、電子顕微鏡100は、電子プローブ(収束した電子線)で試料S上を走査し、試料Sを透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を得るための装置である。
電子顕微鏡100は、図1に示すように、電子源10と、収束レンズ11と、傾斜コイル12(第1偏向素子の一例)と、走査コイル13と、対物レンズ14と、試料ステージ16と、試料ホルダー17と、中間レンズ18と、投影レンズ20と、デスキャンコイル22(第3偏向素子の一例)と、偏向素子24(第2偏向素子の一例)と、撮像装置28と、制御部30と、PC(パーソナルコンピュータ)40と、を含む。
電子源10は、電子線を発生させる。電子源10は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する電子銃である。
収束レンズ11は、電子源10から放出された電子線を収束する。収束レンズ11は、図示はしないが、複数の電子レンズで構成されていてもよい。
傾斜コイル12は、電子線を二次元的に偏向させる。傾斜コイル12が電子線を偏向させることにより、試料Sに入射する電子線の方位角および入射角を変更することができる。傾斜コイル12を用いて電子線を偏向させることにより、試料Sに入射する電子線の方位角および入射角の少なくとも一方を走査(角度走査)することができる(ビームロッキング)。
走査コイル13は、電子線を二次元的に偏向させて、収束レンズ11および対物レンズ14で収束された電子線(電子プローブ)で試料S上を走査するためのコイルである。すなわち、走査コイル13は、電子線の試料S上での照射位置を走査(位置走査)するためのコイルである。
対物レンズ14は、電子線を試料S上に収束させて、電子プローブを形成するためのレンズである。また、対物レンズ14は、試料Sを透過した電子を結像する。
図示はしないが、電子顕微鏡100の照射系には、電子線の開き角や照射量を制御するためのコンデンサー絞りが組み込まれている。
試料ステージ16は、試料Sを保持する。図示の例では、試料ステージ16は、試料ホルダー17を介して、試料Sを保持している。試料ステージ16は、試料Sを水平方向や鉛直方向に移動させたり、試料Sを傾斜させたりすることができる。
中間レンズ18および投影レンズ20は、試料Sを透過した電子を撮像装置28に導く。中間レンズ18および投影レンズ20は、対物レンズ14の後焦点面に形成された電子回折パターンを拡大、転送するレンズ(転送レンズ)として機能することができる。
デスキャンコイル22は、試料Sを透過した電子を二次元的に偏向させる。デスキャンコイル22は、傾斜コイル12によって電子線の方位角および入射角が変更されることで電子顕微鏡100の光学系の光軸から外れた電子線を、光軸に振り戻すために用いられる。
偏向素子24は、試料Sを透過した電子を二次元的に偏向させる。偏向素子24は、撮像装置28の前段(電子線の流れの上流側)に配置されている。偏向素子24で電子線を偏向させることにより、撮像装置28の検出面29上の所望の位置に電子線を入射させることができる。偏向素子24は、例えば、電界により電子を偏向させる静電偏向器である。なお、偏向素子24は、磁界により電子を偏向させる電磁偏向器であってもよい。
撮像装置28は、対物レンズ14の後焦点面に共役な面に配置されている。電子顕微鏡100では、中間レンズ18および投影レンズ20によって対物レンズ14の後焦点面が拡大、転送されることで、撮像装置28の検出面29に後焦点面に共役な面が形成される。これにより、撮像装置28において、電子回折パターンを撮像することができる。なお、図示はしないが、撮像装置28を対物レンズ14の後焦点面に配置してもよい。
撮像装置28は、電子回折パターンを二次元デジタル画像として記録可能なデジタルカメラである。撮像装置28は、例えば、ピクセル型STEM検出器である。ピクセル型STEM検出器は、電子線を二次元的に検出して二次元像を取得することができるとともに、電子線の走査に追従可能なハイスピードのイメージセンサーである。
撮像装置28の検出面29の中心(センサーの中心)は、電子顕微鏡100の光学系の光軸上に位置している。また、撮像装置28の検出面29の中心は、撮像装置28で撮像された画像の中心に対応する。
制御部30は、PC40からの制御信号に基づき、電子顕微鏡100を構成する各部10,11,12,13,14,16,18,20,22,24,28を制御する。制御部30の機能は、専用回路により実現してもよいし、プロセッサ(CPU等)でプログラムを実行することにより実現してもよい。
PC40は、電子顕微鏡100の各部を制御するための制御信号を生成する処理などを行う。また、PC40は、傾斜コイル12、デスキャンコイル22、および偏向素子24を制御して、軸合わせを行うための処理を行う。なお、PC40における軸合わせを行うための処理については以下の「1.2. 軸合わせ方法」で説明する。
PC40は、図示はしないが、操作部と、表示部と、記憶部と、処理部と、を含んで構成されている。操作部は、ユーザーからの入力情報を入力(検出)するための機器であり、ユーザーの入力情報を処理部に出力する。操作部の機能は、タッチパネル(タッチパネル型ディスプレイ)、タッチパッド、マウス、方向キーやボタン、キーボード等の入力機器により実現することができる。表示部は、処理部で生成された画像を出力するものであり、その機能は、LCD、CRT、或いはタッチパネルなどのディスプレイにより実現できる。記憶部は、処理部の各部としてコンピューターを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに処理部のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。処理部は、電子顕微鏡100の各部を制御するための制御信号を生成する処理や、軸合わせを行うための処理などの処理を行う。処理部の機能は、各種プロセッサ(CPU等)でプログラムを実行することにより実現することができる。
1.2. 軸合わせ方法
次に、本実施形態に係る軸合わせ方法について説明する。本実施形態において、軸合わせとは、電子回折パターン中の透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するようにすることをいう。
電子顕微鏡100では、透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するように軸合わせを行うことで、撮像装置28で撮像される画像や撮像装置28で検出される信号と、電子顕微鏡100に搭載されたその他の検出器で得られる情報と、の対応を取ることができる。
(1)手法
本実施形態に係る軸合わせ方法は、対物レンズ14の後焦点面に共役な面に配置された撮像装置28を備えた電子顕微鏡100における軸合わせ方法であって、試料Sに入射する電子線の方位角を走査して、互いに異なる方位角で得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を撮像装置28で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得する工程と、積算画像から透過波の像を抽出する工程と、抽出された透過波の像が撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するように、撮像装置28に入射する電子線を偏向させる工程と、を含む。
図2および図3は、試料Sに入射する電子線EBの方位角φを走査している様子を模式的に示す図である。なお、図3は、光軸Lに沿った方向から見た図である。
図2および図3に示すように、傾斜コイル12によって電子線EBを偏向させることにより、試料Sに入射する電子線EBの入射位置を固定した状態で、試料Sに入射する電子線EBの方位角φを変更する(走査する)ことができる。図示の例では、方位角φを、方位角φ、方位角φ、方位角φ、方位角φ、と4回変更している。方位角φ=0°とすると、方位角φ=90°、方位角φ=180°、方位角φ=270°であり、方位角φを、90°間隔で変更している。
図示の例では、電子線EBの方位角φを90°間隔で4回変更しているが、この例に限定されない。例えば、電子線EBの方位角φを45°間隔で8回変更してもよいし、30°間隔で12回変更してもよい。電子線EBの方位角φを変更する回数を多くすることにより、後述するように積算画像から透過ディスクを抽出しやすくなる。
なお、ここでは、方位角φのみを変更し、試料Sに入射する電子線EBの入射角θは一定とする。図示の例では、電子線EBの入射位置は、試料S上の光軸Lと交わる位置である。
図4は、デスキャンコイル22の機能を説明するための図である。図4では、便宜上、電子顕微鏡100における方位角φの走査に関連する素子のみを図示している。
電子顕微鏡100では、試料Sに入射する電子線の方位角φや入射角θを変化させると、撮像装置28の検出面29に入射する電子線が光軸Lから外れてしまい、電子線の検出面29に入射する位置が変化してしまう(図4に破線で示す電子線を参照)。
そのため、電子顕微鏡100では、傾斜コイル12で偏向された電子線をデスキャンコイル22によって振り戻すことで、電子線の方位角φや入射角θの走査による、検出面29に入射する電子線の位置ずれを補正することができる。これにより、電子線の方位角φや入射角θを走査しても、検出面29の同じ位置に電子線を入射させることができる。
図5は、光軸Lに沿って電子線を試料Sに入射したときの電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を模式的に示す図である。図6は、傾斜コイル12によって試料Sに入射する電子線を傾斜させたときの電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を模式的に示す図である。
なお、図5および図6では、試料Sは、結晶性を有する試料である。また、図5では、試料Sの晶帯軸が光軸Lに沿うように試料ステージ16が調整されている。すなわち、図5では、電子線は、試料Sの晶帯軸に沿って試料Sに入射している。また、図6では、電子線は、試料Sの晶帯軸に沿って試料Sに入射していない。すなわち、電子線は晶帯軸から外れた角度で試料Sに入射している。
電子顕微鏡100では、試料Sに対して円錐状に収束された電子線が照射されるため、対物レンズ14の後焦点面には、透過波および回折波がディスク状に広がった電子回折パターンが形成される。図5および図6に示す電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像には、ディスクA、ディスクB、ディスクC、ディスクD、ディスクEが見られる。ディスクAは透過波の像(透過ディスク)であり、ディスクB、ディスクC、ディスクD、ディスクEは回折波の像(回折ディスク)である。図5では、ディスクA、ディスクB、ディスクC、ディスクD、およびディスクEの強度が、互いに同程度である場合を図示している。
透過ディスクの強度は、大抵の場合、回折ディスクの強度よりも大きい。しかし、回折ディスクの強度が、透過ディスクの強度と同程度か、もしくは透過ディスクの強度よりも大きい場合もある。
ここで、図5に示す電子回折パターンが得られた状態から、試料Sに入射する電子線を傾斜させると(例えばディスクC,Dの方位に傾斜させると)、試料Sに入射する電子線が晶帯軸から外れるため、図6に示すように、ディスクCおよびディスクDの強度が小さくなる。また、図5に示す電子回折パターンが得られた状態から、ディスクB,Eの方位に傾斜させると、図示はしないが、同様に、ディスクBおよびディスクEの強度が小さくなる。
このように、回折ディスクB,C,D,Eの強度は、試料Sに入射する電子線の方位角φに応じて変化する。
一方、透過ディスクAは、試料Sに入射する電子線の方位角φを変化させてもその強度は大きく変化することはなく、回折ディスクB,C,D,Eに比べて強度の変化は小さい。
図7は、試料Sに入射する電子線の方位角φを走査して得られた像を模式的に示す図である。図7に示す像は、様々な方位角φで得られた電子回折パターンが積算された像(以
下「積算画像」ともいう)といえる。
電子線の方位角φを走査して得られた像を積算することにより、回折ディスクB,C,D,Eの強度は透過ディスクAの強度に対して相対的に減少する。そのため、図7に示す積算画像では、電子回折パターン中のディスクA,B,C,D,Eのうち、透過ディスクAが、最も大きい強度を有することとなる。
図7に示す積算画像は、電子線の方位角φを走査して、互いに異なる方位角φの電子回折パターンを撮像装置28で撮像し、撮像された複数の画像を積算することで取得することができる。また、図7に示す積算画像は、電子線の方位角φを走査しながら、当該走査を行っている間、撮像装置28において露光することにより、取得することができる。
図2および図3に示す例では、傾斜コイル12によって方位角φが4方向に変更される(方位角φ=φ,φ,φ,φ)ため、撮像装置28において4つの像が撮像され、当該4つの像を積算して積算画像が得られる。なお、互いに異なる方位角φで得られた像の積算数を増やすほど、透過ディスクAの強度は、回折ディスクB,C,D,Eの強度に対して相対的に大きくなるため、透過ディスクAを抽出しやすくなる。したがって、像の積算数は多いほうが望ましい。
積算画像では、上述したように、積算画像に含まれる複数のディスクのうち最も強度が大きいものが透過ディスクとなる。したがって、積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出することで、透過ディスクを抽出することができる。
図8は、図7に示す積算画像を二値化して得られた画像(以下「二値画像」ともいう)である。なお、図8では、互いに直交する破線の交点が画像の中心を表している。
図7に示す積算画像を、所定の閾値で二値化することにより、積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスク、すなわち透過ディスクAを抽出することができる。ここで、所定の閾値は、例えば、透過ディスクAに含まれる画素の最小強度と、回折ディスクB,C,D,Eに含まれる画素の最大強度と、の間に設定される。なお、画像の二値化に加えてエッジ検出を併用することでより精度よく透過ディスクAを抽出することができる。
図8に示す透過ディスクAが抽出された二値画像において、当該画像の重心Oの位置を計算し、重心Oの位置から画像の中心に延びるベクトルを計算することで補正ベクトルVが得られる。この補正ベクトルVに基づき、偏向素子24の電流量を制御して電子線を偏向させる。偏向素子24の電流量と電子線の偏向量との関係は、あらかじめ較正しておく。
図9は、補正ベクトルVに基づき電子線を偏向させて透過ディスクAを移動させた後の画像である。
図9に示す透過ディスクAを移動させた後の画像では、重心Oは画像の中心に位置していない。これは、図8に示す透過ディスクAを移動させる前の画像において、透過ディスクAの上部が画像からはみ出して、透過ディスクAの一部が欠けていたためである。しかし、上述した処理を繰り返し行うことで、透過ディスクAを画像の中心に位置させることができる。
(2)電子顕微鏡の動作
次に、本実施形態に係る電子顕微鏡の動作について説明する。ここでは、電子顕微鏡1
00における軸合わせの動作について説明する。図10は、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の動作の一例を示すフローチャートである。
まず、PC40(処理部)が、ユーザーが軸合わせ開始の指示を行ったか否かを判定する(ステップS100)。PC40は、例えば、ユーザーによって軸合わせ開始ボタンや、キーボード、GUI等により軸合わせ開始の操作が行われた場合に、ユーザーが軸合わせ開始の指示を行ったと判定する。
軸合わせ開始の指示が行われたと判断された場合(ステップS100でYesの場合)、PC40(処理部)は試料Sに入射する電子線の方位角φが走査されるように、傾斜コイル12を制御する処理を行う(ステップS102)。傾斜コイル12によって試料Sに入射する電子線の方位角φが変更されるごとに、撮像装置28で電子回折パターン中の透過ディスクおよび回折ディスクを含む像が撮像される。
PC40(処理部)は、撮像装置28で撮像された、互いに異なる方位角φで得られた電子回折パターン中の透過ディスクおよび回折ディスクを含む像を取得し、これらの像を積算して積算画像を取得する(ステップS104)。
次に、PC40(処理部)は、積算画像から透過ディスクを抽出する(ステップS106)。PC40は、積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出する。具体的には、PC40は、積算画像を所定の閾値を用いて二値化することにより二値画像を生成して、複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出する。これにより、積算画像から透過ディスクを抽出することができる。
次に、PC40(処理部)は、抽出された透過ディスクの位置に基づいて、透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するように偏向素子24を制御する処理を行う(ステップS108)。
PC40は、例えば、二値画像の重心Oの位置を計算し、重心Oの位置から二値画像の中心に延びる補正ベクトルVを計算する(図8参照)。そして、当該補正ベクトルVに基づき偏向素子24に供給される電流量を制御する。これにより、撮像装置28で撮像される画像上における電子回折パターンの位置が移動する。
次に、PC40(処理部)は、撮像装置28で撮像された画像上における透過ディスクが画像の中心に位置しているか否かを判定する(ステップS110)。PC40は、例えば、ステップS108において計算された補正ベクトルVの大きさが所定値以下の場合に透過ディスクが画像の中心に位置していると判定する。
透過ディスクが撮像装置28で撮像された画像の中心に位置していないと判定された場合(ステップS110でNOの場合)、PC40は、ステップS102に戻って、ステップS102、ステップS104、ステップS106、ステップS108、ステップS110の処理を行う。PC40は、透過ディスクが撮像装置28で撮像された画像の中心に位置すると判定されるまで、ステップS102〜ステップS110の処理を繰り返し行う。
図11〜図13は、二値画像において画像の重心Oの位置が移動していく様子を模式的に示す図である。なお、図11は、ステップS102〜ステップS110の処理を1回行ったときの二値画像である。図12は、ステップS102〜ステップS110の処理を2回行ったときの二値画像である。図13は、ステップS102〜ステップS110の処理を3回行ったときの二値画像である。
図11では、二値画像に透過ディスクAの一部しか含まれていないため、補正ベクトルVを正確に求めることができないが、図11に示す二値画像から求めた補正ベクトルVによって重心Oの位置を画像の中心に近づけることができる(図12参照)。そのため、図11〜図13に示すように、ステップS102〜ステップS110の処理を繰り返すことで、重心Oを画像の中心に位置させることができる。この結果、透過ディスクAを画像の中心に位置させることができる。
透過ディスクが撮像装置28で撮像された画像の中心に位置していると判定した場合(ステップS110でYESの場合)、PC40(処理部)は処理を終了する。
なお、上記では、撮像装置28が試料Sに入射する電子線の方位角φが変更されるごとに、電子回折パターン中の透過ディスクおよび回折ディスクを含む像を撮像し、PC40が、これらの像を積算して積算画像を取得する処理(ステップS104)を行う場合について説明したが、これに限定されない。例えば、電子線の方位角φの走査が行われている間、撮像装置28において露光を行うことにより積算画像を撮像し、当該積算画像をPC40が受け付けることにより、積算画像を取得してもよい。
本実施形態に係る軸合わせ方法および電子顕微鏡100は、例えば、以下の特徴を有する。
本実施形態に係る軸合わせ方法では、互いに異なる方位角φで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を撮像装置28で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得し、当該積算画像から透過ディスクを抽出する。上述したように、積算画像では、回折パターン中の複数のディスクのうち、最も強度の大きいディスクが透過ディスクとなる。そのため、電子回折パターン中から容易に透過ディスクを抽出することができる。したがって、本実施形態に係る軸合わせ方法では、容易に、軸合わせを行うことができる。
本実施形態に係る電子顕微鏡100では、PC40(処理部)は、試料Sに入射する電子線の方位角φが走査されるように傾斜コイル12を制御する処理と、互いに異なる方位角φで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像が積算された積算画像を取得する処理と、積算画像から透過ディスクを抽出する処理と、抽出された透過ディスクの位置に基づいて、透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するように、偏向素子24を制御する処理と、を行う。そのため、電子顕微鏡100では、自動で軸合わせを行うことができる。
2. 第2実施形態
次に、第2実施形態に係る電子顕微鏡について、図面を参照しながら説明する。図14は、第2実施形態に係る電子顕微鏡200を模式的に示す図である。以下、第2実施形態に係る電子顕微鏡200において、第1実施形態に係る電子顕微鏡100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
上述した電子顕微鏡100では、図1に示すように、走査透過電子顕微鏡(STEM)であった。
これに対して、第2変形例に係る電子顕微鏡200は、図14に示すように、透過電子顕微鏡(TEM)である。電子顕微鏡200は、試料Sを透過した電子で結像して透過電子顕微鏡像(TEM像)を得るための装置である。
電子顕微鏡200は、電子顕微鏡100と異なり、走査コイル13を有していない。ま
た、電子顕微鏡200では、撮像装置28は、例えば、CMOS(Complementary MOS)イメージセンサーまたはCCD(Charge−Coupled Device)イメージセンサーを含んで構成されている。撮像装置28では、CMOSイメージセンサー、CCDイメージセンサー等のイメージセンサーを用いて、像の記録を行う。
図15は、電子顕微鏡200において、光軸Lに沿って電子線を試料Sに入射したときの電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を模式的に示す図である。
上述した電子顕微鏡100では、電子線を円錐状に収束させた状態で試料Sに照射しており、電子回折パターンにおいて、透過波および散乱波は、図5に示すように、ディスクとして現れる。
これに対して、電子顕微鏡200では、電子線を円錐状に収束させずに、試料Sに対して略平行な電子線を試料Sに照射する。そのため、電子回折パターンにおいて、透過波および散乱波は、図15に示すように、スポットとして現れる。図15において、スポットaは透過波の像(透過スポット)であり、スポットb,c,d,eは回折波の像(回折スポット)である。
電子回折パターンが透過スポットおよび回折スポットを含む場合であっても、第1実施形態の場合と同様に、積算画像では透過スポットの強度が回折スポットの強度よりも相対的に大きくなる。したがって、電子顕微鏡200では、電子顕微鏡100と同様に、積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出することで、透過スポットを抽出することができる。
電子顕微鏡200においても、電子顕微鏡100と同様に、電子回折パターン中の透過スポットを、撮像装置28で撮像される画像の中心に合わせる軸合わせが行われる。例えば、電子顕微鏡200において、カメラ長(試料Sから観察する電子回折パターンを形成する面までの有効距離)を変更した場合やコンデンサー絞りを変更した場合など、電子回折パターンが移動する場合がある。このような場合には、電子回折パターン中の透過スポットを、撮像装置28で撮像される画像の中心に合わせる必要がある。
電子顕微鏡200における軸合わせは、上述した電子顕微鏡100における軸合わせと同様に行うことができる。
電子顕微鏡200によれば、上述した電子顕微鏡100と同様の作用効果を奏することができる。なお、電子顕微鏡200において、収束レンズ11によって試料Sに入射する電子線を円錐状に収束させることにより、電子顕微鏡100と同様に、電子回折パターン中の透過波および回折波をディスクにすることも可能である。
3. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
3.1. 第1変形例
まず、第1変形例について説明する。なお、第1変形例に係る電子顕微鏡の構成は、図1に示す電子顕微鏡100と同じであり、図示および説明を省略する。
上述した第1実施形態では、図2および図3に示すように、試料Sに入射する電子線EBの方位角φのみを走査して、互いに異なる方位角φで得られた電子回折パターン中の透
過波および回折波を含む像を撮像装置28で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得していた。
これに対して、第1変形例では、試料Sに入射する電子線の方位角φおよび入射角θを走査して、互いに異なる方位角φおよび入射角θの組み合わせで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波の像を撮像装置28で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得する。
図16および図17は、試料Sに入射する電子線の方位角φおよび入射角θを走査している様子を模式的に示す図である。なお、図17は、光軸Lに沿った方向から見た図である。
図16および図17に示すように、傾斜コイル12によって電子線EBを偏向させることにより、試料Sに入射する電子線EBの入射位置を固定した状態で、試料Sに入射する電子線EBの方位角φおよび入射角θを変更する(走査する)ことができる。図示の例では、入射角θおよび入射角θのそれぞれにおいて、方位角φを、方位角φ、方位角φ、方位角φ、方位角φ、と4回変更している。すなわち、入射角θと方位角φの組み合わせは、(θ,φ)=(θ,φ),(θ,φ),(θ,φ),(θ,φ),(θ,φ),(θ,φ),(θ,φ),(θ,φ)である。そのため、互いに異なる入射角θおよび方位角φの組み合わせは8つであり、撮像装置28において、8つの像が撮像され、当該8つの像が積算されて積算画像が得られる。
回折ディスクの強度は、上述したように試料Sの方位角φによって変化するが、入射角θに応じても変化する。そのため、試料Sに入射する電子線EBの方位角φに加えて入射角θを変化させることにより、回折ディスクの強度を、透過ディスクの強度に対して相対的に減少させることができる。したがって、本変形例によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、本変形例は、上述した第2実施形態に対しても、第1実施形態と同様に適用できる。
3.2. 第2変形例
次に、第2変形例について説明する。図18は、第2変形例における、透過ディスクAを抽出する手法を説明するための図である。
上述した第1実施形態では、透過ディスクを抽出して補正ベクトルV(図8参照)を計算する処理では、積算画像を二値化し、二値化された画像の重心Oを計算し、重心Oから当該画像の中心に延びるベクトルを計算することで、補正ベクトルVを求めていた。
これに対して、第2変形例では、図18に示すように、積算画像からHough変換を用いてディスク(円)を検出し、検出された複数のディスク(円)から最も強度(平均強度)が大きいディスクを選択することで透過ディスクを抽出する。このようにして抽出された透過ディスクAは円として検出されているため、検出された円の中心と透過ディスクAの中心とは一致する。そのため、検出された円の中心の位置から画像の中心に延びるベクトルを計算することで補正ベクトルVが得られる。
ここで、積算画像を二値化し、二値化された画像の重心Oを計算して補正ベクトルVを計算する場合、透過ディスクの一部が当該画像に含まれていないときには透過ディスクの中心と当該画像の重心Oとが一致しない。そのため、図10に示すように、積算画像を取得する処理、積算画像を二値化する処理、偏向素子24を制御する処理を、透過ディスクAが撮像装置28で撮像された画像の中心に位置するまで、繰り返し行わなければならなかった。
これに対して、本変形例によれば、上述したように、Hough変換により検出された円の中心と透過ディスクAの中心は一致するため、1回の処理で、透過ディスクAの中心を撮像装置28で撮像された画像の中心に位置させることができる。
本変形例によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、本変形例は、上述した第2実施形態に対しても、第1実施形態と同様に適用できる。
3.3. 第3変形例
次に、第3変形例について説明する。上述した第1実施形態では、電子回折パターン中の透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するように軸合わせを行っていたが、本変形例では、必ずしも透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の中心に位置するように軸合わせを行わなくてもよい。本変形例では、電子回折パターン中の透過ディスクが撮像装置28で撮像される画像の所望の位置に位置するように軸合わせを行ってもよい。本変形例における軸合わせは、第1実施形態に係る軸合わせ方法における、撮像装置28で撮像される画像の中心を、画像の所望の位置に置き換えることで、第1実施形態に係る軸合わせ方法と同様に行うことができる。
本変形例によれば、上述した第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、本変形例は、上述した第2実施形態に対しても、第1実施形態と同様に適用できる。
なお、上述した実施形態及び変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…電子源、11…収束レンズ、12…傾斜コイル、13…走査コイル、14…対物レンズ、16…試料ステージ、17…試料ホルダー、18…中間レンズ、20…投影レンズ、22…デスキャンコイル、24…偏向素子、28…撮像装置、29…検出面、30…制御部、100…電子顕微鏡、200…電子顕微鏡

Claims (14)

  1. 対物レンズの後焦点面または当該後焦点面に共役な面に配置された撮像装置を備えた電子顕微鏡における軸合わせ方法であって、
    試料に入射する電子線の方位角を走査して、互いに異なる方位角で得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を前記撮像装置で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得する工程と、
    前記積算画像から透過波の像を抽出する工程と、
    抽出された前記透過波の像の位置に基づいて、前記透過波の像が前記撮像装置で撮像される画像上の所望の位置に位置するように、前記撮像装置に入射する電子線を偏向させる工程と、
    を含む、軸合わせ方法。
  2. 請求項1において、
    前記積算画像を取得する工程では、試料に入射する電子線の方位角とともに電子線の入射角を走査して、互いに異なる方位角および入射角の組み合わせで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像を前記撮像装置で撮像して、当該像が積算された積算画像を取得する、軸合わせ方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記所望の位置は、前記撮像装置で撮像される画像の中心の位置である、軸合わせ方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記積算画像において、前記透過波および前記回折波は、ディスクとして現れ、
    前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出する、軸合わせ方法。
  5. 請求項4において、
    前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像を二値化して、前記積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出する、軸合わせ方法。
  6. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    前記積算画像において、前記透過波および前記回折波は、スポットとして現れ、
    前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出する、軸合わせ方法。
  7. 請求項6において、
    前記透過波の像を抽出する工程では、前記積算画像を二値化して、前記積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出する、軸合わせ方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記電子顕微鏡は、走査透過電子顕微鏡である、軸合わせ方法。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記電子顕微鏡は、透過電子顕微鏡である、軸合わせ方法。
  10. 試料に入射する電子線を偏向させる第1偏向素子と、
    対物レンズと、
    前記対物レンズの後焦点面または当該後焦点面に共役な面に配置された撮像装置と、
    前記撮像装置に入射する電子線を偏向させる第2偏向素子と、
    前記第1偏向素子および前記第2偏向素子を制御する処理を行う処理部と
    を含み、
    前記処理部は、
    試料に入射する電子線の方位角が走査されるように前記第1偏向素子を制御する処理と、
    互いに異なる方位角で得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像が積算された積算画像を取得する処理と、
    前記積算画像から透過波の像を抽出する処理と、
    抽出された前記透過波の像の位置に基づいて、前記透過波の像が前記撮像装置で撮像される画像上の所望の位置に位置するように、前記第2偏向素子を制御する処理と、
    を行う、電子顕微鏡。
  11. 請求項10において、
    前記処理部は、
    前記第1偏向素子を制御する処理において、試料に入射する電子線の方位角とともに電子線の入射角が走査されるように前記第1偏向素子を制御し、
    前記積算画像を取得する処理において、互いに異なる方位角および入射角の組み合わせで得られた電子回折パターン中の透過波および回折波を含む像が積算された積算画像を取得する、電子顕微鏡。
  12. 請求項10または11において、
    前記積算画像において、前記透過波および前記回折波は、ディスクとして現れ、
    前記処理部は、前記透過波の像を抽出する処理において、前記積算画像に含まれる複数のディスクから最も強度が大きいディスクを抽出する、電子顕微鏡。
  13. 請求項10または11において、
    前記積算画像において、前記透過波および前記回折波は、スポットとして現れ、
    前記処理部は、前記透過波の像を抽出する処理において、前記積算画像に含まれる複数のスポットから最も強度が大きいスポットを抽出する、電子顕微鏡。
  14. 請求項10ないし13のいずれか1項において、
    試料を透過した電子線を偏向させて、前記第1偏向素子で偏向された電子線を振り戻す第3偏向素子を含む、電子顕微鏡。
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