JP2021176143A - 走査透過電子顕微鏡および光学系の調整方法 - Google Patents

走査透過電子顕微鏡および光学系の調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】容易に、光学系の調整を行うことができる走査透過電子顕微鏡を提供する。【解決手段】電子プローブで試料を走査して像を取得する走査透過電子顕微鏡であって、集束レンズおよび対物レンズを含む光学系と、対物レンズの後焦点面または前記後焦点面に共役な面に配置され、ロンキグラムを撮影可能な撮像装置と、前記光学系の調整を行う制御部と、を含み、前記制御部は、前記試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する処理と、前記ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する処理と、を行う、走査透過電子顕微鏡。【選択図】図2

Description

本発明は、走査透過電子顕微鏡および光学系の調整方法に関する。
走査透過電子顕微鏡(STEM)は、集束した電子線(電子プローブ)で試料を走査し、試料を透過した電子を検出して走査透過電子顕微鏡像(STEM像)を得るための装置である。
走査透過電子顕微鏡では、軸調整や収差補正などの光学系の調整に、ロンキグラム(Ronchigram)を用いる。ロンキグラムは、走査透過電子顕微鏡において、電子線を試料付近に集束させて、回折面にできる試料の投影像(図形)である。ロンキグラムは、走査透過電子顕微鏡において、試料を透過した電子の回折パターンのうち、光軸に沿って形成された電子線の回折パターンである。
ロンキグラムを用いた光学系の調整の前提として、ロンキグラムの中心を決定する必要がある(特許文献1参照)。例えば、収差補正のための収差計算では、ロンキグラムの中心を収差測定の軸とする。また、例えば、高分解能像を取得する場合には、集束絞りをロンキグラムの中心に配置することが望ましい。
ロンキグラムの中心の決定方法として、例えば、ユーザーが目視でロンキグラムを確認してロンキグラムの中心を決定する手法が知られている。しかしながら、目視でロンキグラムを確認してロンキグラムの中心を決定するためには、ある程度の経験が必要である。
また、特許文献1には、加速電圧の変化の前後におけるロンキグラム像を用いて所定の演算処理を行うことによって画像の不動点を求め、ロンキグラムの中心を決定する手法が開示されている。
特開2008−130264号公報
しかしながら、特許文献1に開示されたロンキグラムの中心の決定方法では、加速電圧の変化の前のロンキグラム像と加速電圧の変化の後のロンキグラム像の位置ずれを検出しなければならないため、観察対象の試料とは別に、特徴的な形状を有する試料を準備しなければならなかった。
本発明に係る走査透過電子顕微鏡の一態様は、
電子プローブで試料を走査して像を取得する走査透過電子顕微鏡であって、
集束レンズおよび対物レンズを含む光学系と、
前記対物レンズの後焦点面または前記後焦点面に共役な面に配置され、ロンキグラムを撮影可能な撮像装置と、
前記光学系の調整を行う制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する処理と、
前記ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する処理と、
を行う。
このような走査透過電子顕微鏡では、試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定するため、特徴的な形状を有する試料を準備することなく、一般的な試料に含まれるアモルファス領域からロンキグラムの中心を決定できる。したがって、例えば、光学系の調整のために試料を交換する必要がない。
本発明に係る光学系の調整方法の一態様は、
集束レンズおよび対物レンズを含む光学系と、前記対物レンズの後焦点面または前記後焦点面に共役な面に配置され、ロンキグラムを撮影可能な撮像装置と、を含み、電子プローブで試料を走査して像を取得する走査透過電子顕微鏡の調整方法であって、
前記試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する工程と、
前記ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する工程と、
を含む。
このような光学系の調整方法では、試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定するため、特徴的な形状を有する試料を準備することなく、一般的な試料に含まれるアモルファス領域からロンキグラムの中心を決定できる。したがって、例えば、光学系の調整のために試料を交換する必要がない。
実施形態に係る走査透過電子顕微鏡の構成を示す図。 実施形態に係る走査透過電子顕微鏡の制御部の処理の一例を示すフローチャート。 ロンキグラム画像の一例を示す図。 ロンキグラム画像の一例を示す図。 ロンキグラム画像の一例を示す図。 試料と電子プローブの相対的な位置と、ロンキグラム画像と、の関係を説明するための図。 試料と電子プローブの相対的な位置と、ロンキグラム画像と、の関係を説明するための図。 対物レンズの励磁を変化させながら撮影されたロンキグラムの変化の画像。 ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理の一例を示すフローチャート。 ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理を説明するための図。 ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理を説明するための図。 ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理を説明するための図。 ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理を説明するための図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1. 走査透過電子顕微鏡
まず、本発明の一実施形態に係る走査透過電子顕微鏡について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る走査透過電子顕微鏡100の構成を示す図である。
走査透過電子顕微鏡100は、電子プローブで試料Sを走査し、試料Sを透過した電子を検出して走査像(走査透過電子顕微鏡像、以下「STEM像」ともいう)を取得するための装置である。
走査透過電子顕微鏡100は、図1に示すように、光学系10と、撮像装置20と、制御部30と、を含む。
光学系10は、電子源11と、集束レンズ12と、集束絞り13と、照射系偏向素子14と、収差補正装置15と、対物レンズ16と、中間レンズ17と、結像系偏向素子18と、を含む。
電子源11は、電子線を放出する。電子源11は、例えば、陰極から放出された電子を陽極で加速し電子線を放出する電子銃である。陰極と陽極との間には、加速電圧が印加される。
集束レンズ12は、電子源11から放出された電子線を集束する。集束レンズ12は、図示はしないが、複数の電子レンズで構成されていてもよい。
集束絞り13は、集束レンズ12内に配置されている。集束絞り13は、電子線の開き角やビームの照射量を決めるための絞りである。
収差補正装置15は、照射系レンズの収差を補正する。照射系レンズは、試料Sの前段に配置された光学系である。走査透過電子顕微鏡100では、集束レンズ12および対物レンズ16(対物レンズ16の前方磁界)が、照射系レンズとして機能する。照射系レンズは、電子線を集束して電子プローブを形成する。
収差補正装置15は、集束レンズ12と対物レンズ16との間に配置されている。収差補正装置15は、例えば、照射系レンズの球面収差を補正する球面収差補正装置である。なお、収差補正装置15は、色収差を補正する色収差補正装置であってもよい。
対物レンズ16は、電子線を集束させて電子プローブを形成する。対物レンズ16の後焦点面には、電子回折パターン、ロンキグラムなどが形成される。
走査透過電子顕微鏡100では、試料Sは、対物レンズ16の前方磁界と対物レンズ16の後方磁界との間に配置されている。図示はしないが、走査透過電子顕微鏡100は、試料ステージを含み、試料Sは、試料ステージによって位置決めされる。試料ステージは、試料Sを高さ方向に移動させる移動機構、および試料Sを水平方向に移動させる移動機構を有している。試料Sの高さ方向は、光学系10の光軸に沿った方向である。
中間レンズ17は、対物レンズ16の後焦点面に形成された電子回折パターンを拡大および転送する。
光学系10は、図示はしないが、電子プローブで試料Sを走査するための走査コイルを備えている。また、図示はしないが、光学系10は、複数の照射系偏向素子14および複数の結像系偏向素子18を備えていてもよい。なお、光学系10は、上記のレンズや絞り以外の光学素子を備えていてもよい。
撮像装置20は、対物レンズ16の後焦点面または対物レンズ16の後焦点面に共役な面に配置されている。撮像装置20は、ロンキグラムを撮影することができる。撮像装置20は、例えば、ロンキグラムを二次元デジタル画像として記録可能なデジタルカメラである。
撮像装置20の検出面22の中心(センサーの中心)は、例えば、光学系10の光軸上に位置している。また、撮像装置20の検出面22の中心は、撮像装置20で撮像された画像の中心に対応する。
走査透過電子顕微鏡100は、図示はしないが、試料Sを透過した電子を検出する検出器として、高角度散乱暗視野像(HAADF−STEM像)を取得するための円環状検出器や、明視野STEM像を取得するための明視野検出器などを備えていてもよい。
制御部30(コンピュータ)は、走査透過電子顕微鏡100を構成する各部を制御する。制御部30は、光学系10を制御する。制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサと、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)などの記憶装置と、を含む。記憶装置には、各種制御を行うためのプログラム、およびデータが記憶されている。制御部30の機能は、プロセッサでプログラムを実行することにより実現できる。
2. 光学系の調整方法
次に、走査透過電子顕微鏡100における光学系10の調整方法について説明する。走査透過電子顕微鏡100では、制御部30が光学系10の調整を行う。以下では、走査透過電子顕微鏡100において高分解能観察を行うための光学系10の調整方法について説明する。
図2は、走査透過電子顕微鏡100の制御部30の処理の一例を示すフローチャートである。
まず、制御部30は、対物レンズ16の励磁を変化させながら撮像装置20で撮影された、ロンキグラムの変化の画像を取得する(S10)。
制御部30は、対物レンズ16の励磁を変化させている間、撮像装置20を露光状態に維持する。これにより、対物レンズ16の励磁の変化(デフォーカス量の変化)によるロンキグラムの変化の様子を1枚の画像に記録できる。ロンキグラムの変化の画像は、撮像装置20から制御部30に送られる。
次に、制御部30は、取得されたロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する(S20)。ロンキグラムの中心を決定する処理については、後述する「3. ロンキグラムの中心を決定する処理」で説明する。
次に、制御部30は、結像系偏向素子18に電子線を偏向させて、ロンキグラムの中心を撮像装置20の検出面22の中心に合わせる(S30)。結像系偏向素子18の励磁量と電子線の移動量の関係は、あらかじめ、キャリブレーションされている。
次に、制御部30は、撮像装置20で撮影された、収差補正のためのロンキグラムを取得し、当該ロンキグラムに基づいて収差を計算し、計算された収差に基づいて収差補正装置15を動作させる(S40)。この結果、光学系10の収差が収差補正装置15で打ち消されて、収差が補正される。制御部30は、撮像装置20の検出面22の中心をロンキグラムの中心として、収差の計算を行う。
次に、制御部30は、照射系偏向素子14に電子線を偏向させて、集束絞り13の絞り孔の中心をロンキグラムの中心に合わせる(S50)。
例えば、集束絞り13の影から絞り孔を特定し、当該絞り孔の中心が、撮像装置20の検出面22の中心に位置するように、照射系偏向素子14に電子線を偏向させる。照射系偏向素子14の励磁量と電子線の移動量の関係は、あらかじめ、キャリブレーションされている。
なお、制御部30は、集束絞り13を移動させることによって、集束絞り13の絞り孔の中心をロンキグラムの中心に合わせてもよい。
そして、制御部30は、光学系10を調整する処理を終了する。
以上の処理により、走査透過電子顕微鏡100では、高分解能STEM像が観察可能となる。
3. ロンキグラムの中心を決定する処理
図3〜図5は、ロンキグラム画像の一例を示す図である。なお、図3は、ほとんど収差がない状態のロンキグラム画像である。図4は、三回非点収差とデフォーカスが存在する状態のロンキグラム画像である。図5は、コマ収差、二回非点収差、およびデフォーカスが存在する状態のロンキグラム画像である。なお、図3〜図5には、ロンキグラムの中心を丸で示している。
ロンキグラムは、走査透過電子顕微鏡において、照射系レンズによって電子線を試料付近に集束させた際に、回折面に形成される試料の投影像である。ロンキグラムから、電子プローブの光学的特性(収差の程度)を知ることができる。電子プローブは、電子線が最も集束された集束点である。電子プローブで試料を走査することで、STEM像を得ることができる。
ここで、収差を計算する場合、ロンキグラムの中心を決定する必要がある。
図3および図4に示すように、収差がほとんど存在しない場合やある特定の収差がわずかに存在する場合には、ロンキグラムの中心は目視で直感的に決定することができる。しかしながら、図5に示すように、対称性の低いコマ収差などの収差が複数種類存在し、かつ、収差の絶対値が大きい場合、ロンキグラムの中心を目視で直感的に決定することは困難である。
図6および図7は、試料と電子プローブの相対的な位置と、ロンキグラム画像と、の関係を説明するための図である。図6では、試料(Specimen)上の各点がロンキグラムとして撮像装置の検出面(Camera plane)に投影される様子を示している。図7は、図6に示す状態から試料を下方に移動させたときのロンキグラムの変化の様子を示している。
図7に示すように、試料を下方に移動させた場合、ロンキグラムの各点は、光軸であるロンキグラムの中心を中心として、放射状に広がる。
ロンキグラムは、上述したように試料の投影像であるため、図6および図7に示すように、電子プローブと試料の相対的な位置を変化させることによって、倍率を変化させることができる。このとき、倍率変化の中心はロンキグラムの中心と一致する。
図8は、対物レンズ16の励磁を変化させながら撮影されたロンキグラムの変化の画像である。
図5に示す状態から対物レンズ16の励磁を変化させながら(すなわち、試料と電子プローブの相対的な位置を変化させながら)撮像装置でロンキグラム画像を撮影する。すなわち、デフォーカス量を変化させながら撮像装置でロンキグラム画像を撮影する。この結果、図8に示すようなロンキグラムの変化の画像が得られる。ロンキグラムの変化の画像では、図8に示すように、試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の様子が示されている。なお、試料と電子プローブの相対的な位置関係は、光学系10の光軸に沿った方向(すなわち試料の高さ方向)における試料と電子プローブの相対的な位置の関係である。
図8の放射状の直線の模様は、倍率変化の中心、すなわち、ロンキグラムの中心を中心として観察される。そのため、理想的には、これらの複数の直線が交わる点が、ロンキグラムの中心と一致する。この放射状の模様は、試料がカーボン膜などのアモルファスである場合に理想的に出現する。図8は、カーボン膜上に金微粒子が蒸着された試料を用いて撮影されたものである。
次に、放射状の模様を含むロンキグラム画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する。
図9は、ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理の一例を示すフローチャートである。図10〜図13は、ロンキグラムの変化の画像からロンキグラムの中心を決定する処理を説明するための図である。
まず、図10に示すように、ロンキグラムの変化の画像にバンドパスフィルターをかける(S200)。図10に示すように、ロンキグラムの変化の画像にバンドパスフィルターをかけることによって、ロンキグラムの変化の画像に含まれるノイズ成分、および試料由来の不均一な像のコントラストを除去できる。ノイズ成分は、主に高空間周波数成分である。また、試料由来の不均一な像のコントラストは、主に低空間周波数成分であり、金微粒子由来のコントラストである。
次に、図11に示すように、ロンキグラムの変化の画像から像のエッジ部分を抽出する(S202)。エッジ部分を抽出する処理は、例えば、Canny法によるエッジ検出により行われる。なお、エッジ部分を抽出する手法は特に限定されず、公知の画像処理を用いることができる。
次に、図12に示すように、エッジ部分が抽出されたロンキグラムの変化の画像から直線成分を検出する(S204)。直線成分の検出は、例えば、Hough変換などにより行われる。図12では、Hough変換により検出された直線成分と、図10に示すバンドパスフィルターをかけた後の画像を重ねて示している。
なお、直線成分を検出する手法は特に限定されず、公知の画像処理を用いることができる。
次に、検出された直線成分のうち、互いに交差するペアを複数組抽出して、それぞれのペアが作る交点を求める(S206)。例えば、交差するペアとして、2つの直線のなす角度が89°以上91°以下で交わるペアを抽出する。このように、90°で交わるペア(直交するペア)、および90°に近い角度で交わるペアを抽出することで、ロンキグラムの中心をより精度よく決定できる。
検出された直線成分の交点を求める際に、2つの直線がなす角度が小さいペアを選択すると、ロンキグラムの中心から離れた場所に交点が結ばれる可能性が高くなる。そのため、ペアを選択する場合には、2つの直線がなす角度が90°に近いものを選択する。
次に、求められた複数の交点の重心を計算する(S208)。この重心の位置を、ロンキグラムの中心の位置とする。図13では、図8に示すロンキグラムの変化の画像上に、重心の位置を、丸で示している。
交点を複数個求めて、その重心の位置をロンキグラムの中心の位置とすることによって、ロンキグラムの中心の位置を精度よく決定することができる。
以上の処理により、ロンキグラムの中心を決定することができる。
4. 作用効果
走査透過電子顕微鏡100では、制御部30は、試料Sと電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する処理と、当該ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する処理と、を行う。走査透過電子顕微鏡100では、ロンキグラムの変化の画像は、試料Sと電子プローブの相対的な位置を変化させながら撮像装置20で撮影されたロンキグラムの画像である。
このように、走査透過電子顕微鏡100では、ロンキグラムの変化の画像に基づいてロンキグラムの中心を決定するため、特徴的な形状を有する試料を準備することなく、一般的な試料に含まれるアモルファス領域からロンキグラムの中心を決定できる。したがって、例えば、光学系10の調整のために試料を交換する必要がない。
また、走査透過電子顕微鏡100では、ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定するため、光軸が大きく外れた状態からでも、画像処理によってロンキグラムの中心を決定することができる。
走査透過電子顕微鏡100では、ロンキグラムの中心を決定する処理において、ロンキグラムの変化の画像から直線成分が交わる交点を複数求め、求められた複数の交点に基づいてロンキグラムの中心を決定する。そのため、走査透過電子顕微鏡100では、容易に、ロンキグラムの中心を決定できる。
また、走査透過電子顕微鏡100では、ロンキグラムの中心を決定する処理において、複数の交点の重心をロンキグラムの中心とする。そのため、走査透過電子顕微鏡100では、ロンキグラムの中心の位置を精度よく決定することができる。
走査透過電子顕微鏡100では、撮像装置20に入射する電子線を偏向させる結像系偏向素子18を含み、制御部30は、結像系偏向素子18に電子線を偏向させて、ロンキグラムの中心を撮像装置20の検出面22の中心に位置させる処理を行う。そのため、走査透過電子顕微鏡100では、容易に、ロンキグラムの中心を撮像装置20の検出面22の中心に合わせることができる。
走査透過電子顕微鏡100では、光学系10は、集束絞り13と、集束絞り13を通過した電子線を偏向させる照射系偏向素子14と、を含み、制御部30は、照射系偏向素子14に電子線を偏向させて、集束絞り13の中心を、ロンキグラムの中心に合わせる処理を行う。このように、走査透過電子顕微鏡100では、制御部30は、照射系偏向素子14に電子線を偏向させて集束絞り13の位置合わせを行うため、集束絞り13を機械的に移動させて集束絞り13の位置合わせを行う場合と比べて、精度よく集束絞り13の位置合わせを行うことができる。
走査透過電子顕微鏡100では、対物レンズ16の励磁を変化させることによって、試料Sと電子プローブの相対的な位置を変化させる。そのため、走査透過電子顕微鏡100では、容易に、ロンキグラムの中心の位置を決定するためのロンキグラム画像を取得できる。
走査透過電子顕微鏡100における光学系10の調整方法は、試料Sと電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する工程と、当該ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する工程と、を含む。そのため、特徴的な形状を有する試料を準備することなく、一般的な試料に含まれるアモルファス領域からロンキグラムの中心を決定できる。したがって、例えば、光学系10の調整のために試料を交換する必要がない。
5. 変形例
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
5.1. 第1変形例
例えば、上述した実施形態では、対物レンズ16の励磁を変化させることによって、試料Sと電子プローブの相対的な位置を変化させたが、電子線を加速させる加速電圧を変化させることによって、試料Sと電子プローブの相対的な位置を変化させてもよい。この場合でも、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
5.2. 第2変形例
また、例えば、試料Sの高さを変化させることによって、試料Sと電子プローブの相対的な位置を変化させてもよい。例えば、試料ステージを動作させることによって、試料Sの高さを変えることができる。この場合でも、上述した実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
5.3. 第3変形例
また、例えば、上述した実施形態では、対物レンズ16の励磁を変化させながら、ロンキグラムを撮影することでロンキグラムの変化の画像を取得したが、例えば、試料と電子プローブの相対的な位置関係が異なる条件で取得された複数のロンキグラムの画像からロンキグラムの変化の画像を取得してもよい。
例えば、まず、対物レンズ16の励磁を任意の励磁量(第1励磁量)としてロンキグラムを撮影し、第1ロンキグラムの画像を取得する。次に、対物レンズ16の励磁を第1励磁量とは異なる第2励磁量として第2ロンキグラムを撮影し、ロンキグラムを取得する。次に、対物レンズ16の励磁を第1励磁量および第2励磁量とは異なる第3励磁量としてロンキグラムを撮影し、第3ロンキグラムを取得する。この対物レンズ16の励磁量の変更とロンキグラムの撮影を繰り返して、試料と電子プローブの相対的な位置関係が異なる条件で取得された複数のロンキグラム画像を取得する。例えば、対物レンズ16の励磁量の変更とロンキグラムの撮影をn回繰り返して、第1〜第nロンキグラム画像を取得する
次に、取得した複数のロンキグラム画像(第1〜第nロンキグラム画像)を積算または平均化して、1つの画像を生成する。これにより、ロンキグラムの変化の画像を生成することができる。なお、積算は、画素ごとに強度を積算して複数の画像から1つの画像を生成することをいい、平均化は、画素ごとに強度の平均を計算して複数の画像から1つの画像を生成することをいう。
このようにして取得されたロンキグラムの変化の画像でも、上述した実施形態と同様の手法でロンキグラムの中心を決定できる。
なお、ここでは、対物レンズ16の励磁量の変更とロンキグラムの撮影を繰り返して、試料と電子プローブの相対的な位置関係が異なる条件で取得された複数のロンキグラム画像を取得したが、加速電圧の変更とロンキグラムの撮影を繰り返して試料と電子プローブの相対的な位置関係が異なる条件で取得された複数のロンキグラム画像を取得してもよい。また、試料Sの高さの変更とロンキグラムの撮影を繰り返して、試料と電子プローブの相対的な位置関係が異なる条件で取得された複数のロンキグラム画像を取得してもよい。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、さらに種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成を含む。実質的に同一の構成とは、例えば、機能、方法、及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成である。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
10…光学系、11…電子源、12…集束レンズ、13…集束絞り、14…照射系偏向素子、15…収差補正装置、16…対物レンズ、17…中間レンズ、18…結像系偏向素子、20…撮像装置、22…検出面、30…制御部、100…走査透過電子顕微鏡

Claims (12)

  1. 電子プローブで試料を走査して像を取得する走査透過電子顕微鏡であって、
    集束レンズおよび対物レンズを含む光学系と、
    前記対物レンズの後焦点面または前記後焦点面に共役な面に配置され、ロンキグラムを撮影可能な撮像装置と、
    前記光学系の調整を行う制御部と、
    を含み、
    前記制御部は、
    前記試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する処理と、
    前記ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する処理と、
    を行う、走査透過電子顕微鏡。
  2. 請求項1において、
    前記ロンキグラムの変化の画像は、前記試料と電子プローブの相対的な位置を変化させながら前記撮像装置で撮影されたロンキグラムの画像である、走査透過電子顕微鏡。
  3. 請求項1において、
    前記ロンキグラムの変化の画像は、前記試料と電子プローブの相対的な位置関係が異なる条件で取得された複数のロンキグラムの画像から得られた画像である、走査透過電子顕微鏡。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項において、
    ロンキグラムの中心を決定する処理では、
    前記ロンキグラムの変化の画像から直線成分が交わる交点を複数求め、求められた複数の前記交点に基づいてロンキグラムの中心を決定する、走査透過電子顕微鏡。
  5. 請求項4において、
    ロンキグラムの中心を決定する処理では、複数の前記交点の重心をロンキグラムの中心とする、走査透過電子顕微鏡。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、
    前記撮像装置に入射する電子線を偏向させる結像系偏向素子を含み、
    前記制御部は、前記結像系偏向素子に電子線を偏向させて、ロンキグラムの中心を前記撮像装置の検出面の中心に位置させる処理を行う、走査透過電子顕微鏡。
  7. 請求項1ないし6のいずれか1項において、
    前記光学系は、集束絞りと、
    前記集束絞りを通過した電子線を偏向させる照射系偏向素子と、
    を含み、
    前記制御部は、前記照射系偏向素子に電子線を偏向させて、前記集束絞りの中心をロンキグラムの中心に合わせる処理を行う、走査透過電子顕微鏡。
  8. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記対物レンズの励磁を変化させることによって、前記試料と前記電子プローブの相対的な位置を変化させる、走査透過電子顕微鏡。
  9. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    電子線を加速させる加速電圧を変化させることによって、前記試料と前記電子プローブ
    の相対的な位置を変化させる、走査透過電子顕微鏡。
  10. 請求項1ないし7のいずれか1項において、
    前記試料の高さを変化させることによって、前記試料と前記電子プローブの相対的な位置を変化させる、走査透過電子顕微鏡。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、
    前記試料と電子プローブの相対的な位置関係は、前記光学系の光軸に沿った方向における前記試料と電子プローブの相対的な位置関係である、走査透過電子顕微鏡。
  12. 集束レンズおよび対物レンズを含む光学系と、前記対物レンズの後焦点面または前記後焦点面に共役な面に配置され、ロンキグラムを撮影可能な撮像装置と、を含み、電子プローブで試料を走査して像を取得する走査透過電子顕微鏡における光学系の調整方法であって、
    前記試料と電子プローブの相対的な位置関係の変化によるロンキグラムの変化の画像を取得する工程と、
    前記ロンキグラムの変化の画像に基づいて、ロンキグラムの中心を決定する工程と、
    を含む、光学系の調整方法。
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