JP6735160B2 - 車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム - Google Patents

車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラム Download PDF

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Description

本発明は、車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムに関する。
近年、目的地までの経路に沿って自車両が走行するように、自車両の加減速および操舵のうち、少なくとも一方を自動的に制御する技術(以下、「自動運転」という)についての研究が進められている。これに関連して、自動運転モードと手動運転モードとの間で運転モードを切り替えるにあたり、手動運転モードにおける運転席のリクライニング角度よりも、自動運転モードにおけるリクライニング角度を大きくする車両用運転支援装置がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、自動運転モードに移行した際に、シートのリクライニング角度が変更されることで、運転モードの切り替えを容易に理解することできる。
一方、自動運転の度合が最も高いモードに移行した場合、車両制御は全て自動的に行なわれるため、車両の操作部を操作する必要がなく、乗員はアクセルペダルとブレーキペダルの両方から足を離すことができる。この場合、乗員は、オットマンを利用して足を休めることもできる。
国際公開第2015/011866号
しかしながら、自動運転の度合が最も高いモードに移行する場合や自動運転から手動運手に切り替わる場合、乗員は、自動運転の度合に応じて、レバー等を操作してオットマンの位置を変更しなければならない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、乗員が操作することなく、自動運転の度合に応じてオットマンの位置を変更することが可能な車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムを提供することにある。
請求項1に記載の発明は、車両の加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転制御部(120)であって、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う自動運転制御部と、前記自動運転の度合に応じて前記車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御する位置制御部(172)とを有し、前記位置制御部は、前記オットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を、前記自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する車両制御システム(100)である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両制御システムにおいて、前記位置制御部は、自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移する場合に、乗員のペダル(アクセルペダル71、ブレーキペダル74)操作が可能な位置となるように前記オットマンの位置を変更する。
請求項に記載の発明は、請求項に記載の車両制御システムにおいて、前記位置制御部は、前記自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移するまでの時間に応じた速度で、前記オットマンの位置を変更する。
請求項に記載の発明は、車載コンピュータが、車両の加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転制御部であって、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う自動運転制御を行ない、前記自動運転の度合に応じて前記車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御し、前記オットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を、前記自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する、車両制御方法である。
請求項に記載の発明は、車載コンピュータに、車両の加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転制御部であって、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う自動運転制御を行ない、前記自動運転の度合に応じて前記車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御し、前記オットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を、前記自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する処理を実行させるための車両制御プログラムである。
請求項1、に記載の発明によれば、自動運転の度合に応じて車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御することができる。したがって、自動運転の度合に応じた位置にオットマンの位置が制御されるため、乗員は、自動運転の度合に対応させて手動でオットマンの位置を変更しなくて済む。さらに、自動運転の度合の遷移状態に応じてオットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を変更することができる。これにより、自動運転の度合の遷移状態に応じて、必要なタイミングに合わせた速度で、乗員の足の位置を移動させることが可能となる。
請求項2に記載の発明によれば、自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移し、ペダルの操作が必要になった場合には、乗員のペダル操作が可能な位置となるようにオットマンの位置が変更される。これにより、ペダル操作が必要な運転モードに遷移した場合に、速やかにペダル操作が可能な位置に乗員の足を移動させることが可能となる。
請求項に記載の発明によれば、自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移することに応じた速度で、オットマンの位置を変更することができる。これにより、自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移する場合に、運転モードの遷移が完了するまでの時間が長いほど遅い速度でオットマンの位置を変更し、運転モードの遷移が完了するまでの時間が短いほど速い速度でオットマンの位置を変更することが可能となる。
実施形態の車両制御システム100が搭載される車両の構成要素を示す図である。 車両制御システム100を中心とした機能構成図である。 HMI70の構成図である。 自車位置認識部140により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。 ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。 軌道生成部146の構成の一例を示す図である。 軌道候補生成部146Bにより生成される軌道の候補の一例を示す図である。 軌道候補生成部146Bにより生成される軌道の候補を軌道点Kで表現した図である。 車線変更ターゲット位置TAを示す図である。 3台の周辺車両の速度を一定と仮定した場合の速度生成モデルを示す図である。 自車両M内の一部の構成を説明するための図である。 自車両Mが第1モードに遷移した場合に、角度θaを第2角度に変更した場合を表す図である。 自車両Mが第1モードに遷移した場合に、角度θaを第3角度に変更した場合を表す図である。 HMI制御部170の構成の一例を示す図である。 位置データの一例を示すデータテーブルである。 速度データの一例を示すデータテーブルである。 HMI制御処理の第1の実施例を示すフローチャートである。
以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、および車両制御プログラムの実施形態について説明する。
<共通構成>
図1は、実施形態の車両制御システム100が搭載される車両(以下、自車両Mと称する)の構成要素を示す図である。車両制御システム100が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の自動車であり、ディーゼルエンジンやガソリンエンジン等の内燃機関を動力源とした自動車や、電動機を動力源とした電気自動車、内燃機関および電動機を兼ね備えたハイブリッド自動車等を含む。電気自動車は、例えば、二次電池、水素燃料電池、金属燃料電池、アルコール燃料電池等の電池により放電される電力を使用して駆動される。
図1に示すように、自車両Mには、ファインダ20−1から20−7、レーダ30−1から30−6、およびカメラ(撮像部)940等のセンサと、ナビゲーション装置(表示部)50と、車両制御システム100とが搭載される。
ファインダ20−1から20−7は、例えば、照射光に対する散乱光を測定し、対象までの距離を測定するLIDAR(Light Detection and Ranging、或いはLaser Imaging Detection and Ranging)である。例えば、ファインダ20−1は、フロントグリル等に取り付けられ、ファインダ20−2および20−3は、車体の側面やドアミラー、前照灯内部、側方灯付近等に取り付けられる。ファインダ20−4は、トランクリッド等に取り付けられ、ファインダ20−5および20−6は、車体の側面や尾灯内部等に取り付けられる。上述したファインダ20−1から20−6は、例えば、水平方向に関して150度程度の検出領域を有している。また、ファインダ20−7は、ルーフ等に取り付けられる。ファインダ20−7は、例えば、水平方向に関して360度の検出領域を有している。
レーダ30−1および30−4は、例えば、奥行き方向の検出領域が他のレーダよりも広い長距離ミリ波レーダである。また、レーダ30−2、30−3、30−5、30−6は、レーダ30−1および30−4よりも奥行き方向の検出領域が狭い中距離ミリ波レーダである。
以下、ファインダ20−1から20−7を特段区別しない場合は、単に「ファインダ20」と記載し、レーダ30−1から30−6を特段区別しない場合は、単に「レーダ30」と記載する。レーダ30は、例えば、FM−CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体を検出する。
カメラ40は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ40は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ40は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの前方を撮像する。カメラ40は、複数のカメラを含むステレオカメラであってもよい。
なお、図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
図2は、車両制御システム100を中心とした機能構成図である。自車両Mには、ファインダ20、レーダ30、およびカメラ40等を含む検知デバイスDDと、ナビゲーション装置50と、通信装置55と、車両センサ60と、HMI(Human Machine Interface)70と、車両制御システム100と、走行駆動力出力装置200と、ステアリング装置210と、ブレーキ装置220とが搭載される。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。なお、請求の範囲における車両制御システムは、「車両制御システム100」のみを指しているのではなく、車両制御システム100以外の構成(検知デバイスDDやHMI70等)を含んでもよい。
ナビゲーション装置50は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機や地図情報(ナビ地図)、ユーザインターフェースとして機能するタッチパネル式表示装置、スピーカ、マイク等を有する。ナビゲーション装置50は、GNSS受信機によって自車両Mの位置を特定し、その位置からユーザによって指定された目的地までの経路を導出する。ナビゲーション装置50により導出された経路は、車両制御システム100の目標車線決定部110に提供される。自車両Mの位置は、車両センサ60の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。また、ナビゲーション装置50は、目的地に至る経路について音声やナビ表示によって案内を行う。なお、自車両Mの位置を特定するための構成は、ナビゲーション装置50とは独立して設けられてもよい。また、ナビゲーション装置50は、例えば、ユーザの保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。この場合、端末装置と車両制御システム100との間で、無線または有線による通信によって情報の送受信が行われる。
通信装置55は、例えば、セルラー網やWi−Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)等を利用した無線通信を行う。通信装置55は、例えば無線通信により接続される外部装置から交通情報(例えば、渋滞情報)や天候情報等を取得することができる。
車両センサ60は、車速(走行速度)を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
図3は、HMI70の構成図である。HMI70は、例えば運転操作系の構成と、非運転操作系の構成とを備える。これらの境界は明確なものではなく、運転操作系の構成が非運転操作系の機能を備える(或いはその逆)ことがあってもよい。また、これらの運転操作系は、自車両Mの車両乗員(乗員)の操作を受け付ける操作受付部の一例である。また、非運転操作系には、インターフェース装置が含まれる。
HMI70は、運転操作系の構成として、例えばアクセルペダル71、アクセル開度センサ72およびアクセルペダル反力出力装置73と、ブレーキペダル74およびブレーキ踏量センサ(或いはマスター圧センサ等)75と、シフトレバー76およびシフト位置センサ77と、ステアリングホイール78、ステアリング操舵角センサ79およびステアリングトルクセンサ80と、その他運転操作デバイス81とを含む。
アクセルペダル71は、車両乗員による加速指示(或いは戻し操作による減速指示)を受け付けるための操作子である。アクセル開度センサ72は、アクセルペダル71の踏み込み量を検出し、踏み込み量を示すアクセル開度信号を車両制御システム100に出力する。なお、車両制御システム100に出力するのに代えて、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、またはブレーキ装置220に直接出力することがあってもよい。以下に説明する他の運転操作系の構成についても同様である。アクセルペダル反力出力装置73は、例えば車両制御システム100からの指示に応じて、アクセルペダル71に対して操作方向と反対向きの力(操作反力)を出力する。
ブレーキペダル74は、車両乗員による減速指示を受け付けるための操作子である。ブレーキ踏量センサ75は、ブレーキペダル74の踏み込み量(或いは踏み込み力)を検出し、検出結果を示すブレーキ信号を車両制御システム100に出力する。
シフトレバー76は、車両乗員によるシフト段の変更指示を受け付けるための操作子である。シフト位置センサ77は、車両乗員により指示されたシフト段を検出し、検出結果を示すシフト位置信号を車両制御システム100に出力する。
ステアリングホイール78は、車両乗員による旋回指示を受け付けるための操作子である。ステアリング操舵角センサ79は、ステアリングホイール78の操作角を検出し、検出結果を示すステアリング操舵角信号を車両制御システム100に出力する。ステアリングトルクセンサ80は、ステアリングホイール78に加えられたトルクを検出し、検出結果を示すステアリングトルク信号を車両制御システム100に出力する。なお、ステアリングホイール78に関する制御として、例えば反力モータ等によりステアリング軸にトルクを出力することで、ステアリングホイール78に対して操作反力を出力してもよい。
その他運転操作デバイス81は、例えば、ジョイスティック、ボタン、ダイヤルスイッチ、GUI(Graphical User Interface)スイッチ等である。その他運転操作デバイス81は、加速指示、減速指示、旋回指示等を受け付け、車両制御システム100に出力する。
HMI70は、非運転操作系の構成として、例えば、表示装置(表示部)82、スピーカ83、接触操作検出装置84およびコンテンツ再生装置85と、各種操作スイッチ86と、シート88およびシート駆動装置89と、ウインドウガラス90およびウインドウ駆動装置91と、車室内カメラ(撮像部)95とを含む。
表示装置82は、例えば、インストルメントパネルの各部、助手席や後部座席に対向する任意の箇所等に取り付けられる、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)表示装置等である。また、表示装置82は、フロントウインドシールドやその他のウインドウに画像を投影するHUD(Head Up Display)であってもよい。スピーカ83は、音声を出力する。接触操作検出装置84は、表示装置82がタッチパネルである場合に、表示装置82の表示画面における接触位置(タッチ位置)を検出して、車両制御システム100に出力する。なお、表示装置82がタッチパネルでない場合、接触操作検出装置84は省略されてよい。
コンテンツ再生装置85は、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)再生装置、CD(Compact Disc)再生装置、テレビジョン受信機、各種案内画像の生成装置等を含む。表示装置82、スピーカ83、接触操作検出装置84およびコンテンツ再生装置85は、一部または全部がナビゲーション装置50と共通する構成であってもよい。上述した表示装置82、スピーカ83、コンテンツ再生装置85、およびナビゲーション装置50は、何れもインターフェース装置の一例であるが、これらに限定されるものではない。
各種操作スイッチ86は、車室内の任意の箇所に配置される。各種操作スイッチ86には、自動運転の開始(或いは将来の開始)および停止を指示する自動運転切替スイッチ87を含む。自動運転切替スイッチ87は、GUI(Graphical User Interface)スイッチ、機械式スイッチの何れであってもよい。また、各種操作スイッチ86は、シート駆動装置89やウインドウ駆動装置91を駆動するためのスイッチを含んでもよい。
シート88は、車両乗員が着座する座席シートである。シート駆動装置89は、シート88のリクライニング角、前後方向位置、ヨー角等を自在に駆動する。また、シート駆動装置89は、シート88の座面に対するオットマン(後述するオットマン88A)の角度を変更する。ウインドウガラス90は、例えば各ドアに設けられる。ウインドウ駆動装置91は、ウインドウガラス90を開閉駆動する。
車室内カメラ95は、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。車室内カメラ95は、バックミラーやステアリングボス部、インストルメントパネル等、運転操作を行う車両乗員の少なくとも頭部(顔を含む)を撮像可能な位置に取り付けられる。車室内カメラ95は、例えば、周期的に繰り返し車両乗員を撮像する。
車両制御システム100の説明に先立って、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、およびブレーキ装置220について説明する。
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、自車両Mが内燃機関を動力源とした自動車である場合、エンジン、変速機、およびエンジンを制御するエンジンECU(Electronic Control Unit)を備え、自車両Mが電動機を動力源とした電気自動車である場合、走行用モータおよび走行用モータを制御するモータECUを備え、自車両Mがハイブリッド自動車である場合、エンジン、変速機、およびエンジンECUと走行用モータおよびモータECUとを備える。走行駆動力出力装置200がエンジンのみを含む場合、エンジンECUは、後述する走行制御部160から入力される情報に従って、エンジンのスロットル開度やシフト段等を調整する。走行駆動力出力装置200が走行用モータのみを含む場合、モータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、走行用モータに与えるPWM信号のデューティ比を調整する。走行駆動力出力装置200がエンジンおよび走行用モータを含む場合、エンジンECUおよびモータECUは、走行制御部160から入力される情報に従って、互いに協調して走行駆動力を制御する。
ステアリング装置210は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、車両制御システム100から入力される情報、或いは入力されるステアリング操舵角またはステアリングトルクの情報に従って電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
ブレーキ装置220は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、制動制御部とを備える電動サーボブレーキ装置である。電動サーボブレーキ装置の制動制御部は、走行制御部160から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。電動サーボブレーキ装置は、ブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置220は、上記説明した電動サーボブレーキ装置に限らず、電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。電子制御式油圧ブレーキ装置は、走行制御部160から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する。また、ブレーキ装置220は、走行駆動力出力装置200に含まれ得る走行用モータによる回生ブレーキを含んでもよい。
[車両制御システム]
以下、車両制御システム100について説明する。車両制御システム100は、例えば、一以上のプロセッサまたは同等の機能を有するハードウェアにより実現される。車両制御システム100は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサ、記憶装置、および通信インターフェースが内部バスによって接続されたECU(Electronic Control Unit)、或いはMPU(Micro-Processing Unit)等が組み合わされた構成であってよい。
図2に戻り、車両制御システム100は、例えば、目標車線決定部110と、自動運転制御部120と、走行制御部160と、HMI制御部170と、記憶部180とを備える。自動運転制御部120は、例えば、自動運転モード制御部130と、自車位置認識部140と、外界認識部142と、行動計画生成部144と、軌道生成部146と、切替制御部150とを備える。目標車線決定部110、自動運転制御部120の各部、および走行制御部160のうち一部または全部は、プロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらのうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの組み合わせによって実現されてもよい。
記憶部180には、例えば、高精度地図情報182、目標車線情報184、行動計画情報186等の情報が格納される。記憶部180は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等で実現される。プロセッサが実行するプログラムは、予め記憶部180に格納されていてもよいし、車載インターネット設備等を介して外部装置からダウンロードされてもよい。また、プログラムは、そのプログラムを格納した可搬型記憶媒体が図示しないドライブ装置に装着されることで記憶部180にインストールされてもよい。また、車両制御システム100のコンピュータ(車載コンピュータ)は、複数のコンピュータ装置によって分散化されたものであってもよい。
目標車線決定部110は、例えば、MPUにより実現される。目標車線決定部110は、ナビゲーション装置50から提供された経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、高精度地図情報182を参照してブロックごとに目標車線を決定する。目標車線決定部110は、例えば、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。目標車線決定部110は、例えば、経路において分岐箇所や合流箇所等が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な走行経路を走行できるように、目標車線を決定する。目標車線決定部110により決定された目標車線は、目標車線情報184として記憶部180に記憶される。
高精度地図情報182は、ナビゲーション装置50が有するナビ地図よりも高精度な地図情報である。高精度地図情報182は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、高精度地図情報182には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。道路情報には、高速道路、有料道路、国道、都道府県道といった道路の種別を表す情報や、道路の車線数、各車線の幅員、道路の勾配、道路の位置(経度、緯度、高さを含む3次元座標)、車線のカーブの曲率、車線の合流および分岐ポイントの位置、道路に設けられた標識等の情報が含まれる。交通規制情報には、工事や交通事故、渋滞等によって車線が封鎖されているといった情報が含まれる。
自動運転制御部120は、目的地までの経路に沿って自車両Mが走行するように、自車両Mの加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する。また、自動運転制御部120は、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う。なお、自動運転の度合は、例えば自車両Mの車両乗員に要求される車両の運転に関する義務(以下、単に「運転に関する義務」ともいう)の度合、および車両乗員の操作を受け付けるとともに情報を出力するHMI70の各インターフェース装置への操作許容度の度合の一方または双方である。
自動運転モード制御部130は、自動運転制御部120が実施する自動運転のモードを決定する。本実施形態における自動運転のモードには、以下のモードが含まれる。なお、以下はあくまで一例であり、自動運転のモード数やモード内容は任意に決定されてよい。
[第1モード]
第1モードは、他のモードと比べて最も自動運転の度合が高いモードである。第1モードが実施されている場合、複雑な合流制御等、全ての車両制御が自動的に行われるため、車両乗員に要求される運転に関する義務が生じない。例えば、車両乗員は自車両Mの周辺や状態を監視する必要がない(車両乗員に要求される周辺監視義務が生じない)。また、車両乗員は、アクセルペダル、ブレーキペダル、ステアリング等について運転操作をする必要がなく(車両乗員に要求される運転操作義務が生じない)、車両の運転以外に意識を向けてもよい。
ここで、第1モードの一例としては、渋滞時に前走車両に追従する渋滞追従モード(低速追従モード)等がある。第1モードでは、例えばTJP(Traffic Jam Pilot)のように混雑した高速道路上で前走車両に追従することで安全な自動運転を実現することができ、渋滞が解消した時点でTJPが終了する。渋滞の解消は、例えば自車両Mの走行速度が所定速度以上(例えば、40km/h以上)になった場合に、渋滞が解消されたと判断することができるが、これに限定されるものではなく、例えば通信装置55により外部装置から交通情報(渋滞情報)を受信することで、渋滞が解消されたことを検出してもよい。また、TJPの終了するタイミングで第1モードが他のモードに切り替わる場合もあるが、TJPが終了した所定時間後、またはTJPを終了した速度よりも速い速度に至った場合に、モードが切り替わってもよい。なお、第1のモードは、他のモードと比べて最もHMI70の各インターフェース装置(非運転操作系)の操作許容度が高いモードである。
[第2モード]
第2モードは、第1モードの次に自動運転の度合が高いモードである。第2モードが実施されている場合、原則として全ての車両制御が自動的に行われるが、場面に応じて自車両Mの運転操作が車両乗員に委ねられる(第1モードと比べて車両運転に関する義務が増加する)。このため、車両乗員は、自車両Mの周辺や状態を監視し、車両の運転に意識を向ける必要がある(第1モードと比べて車両運転に関する義務が増加する)。なお、第2のモードは、第1モードよりもHMI70の各インターフェース装置(非運転操作系)の操作許容度が低いモードである。
[第3モード]
第3モードは、第2モードの次に自動運転の度合が高いモードである。第3モードが実施されている場合、車両乗員は、場面に応じた確認操作をHMI70に対して行う必要がある(第2モードと比べて車両運転に関する義務が増加する)。第3モードでは、例えば、車線変更のタイミングが車両乗員に通知され、車両乗員がHMI70に対して車線変更を指示する操作を行った場合に、自動的な車線変更が行われる。このため、車両乗員は自車両Mの周辺や状態を監視している必要がある(第2モードと比べて車両運転に関する義務が増加する)。なお、第3のモードは、第2モードよりもHMI70の各インターフェース装置(非運転操作系)の操作許容度が低いモードである。
自動運転モード制御部130は、HMI70に対する車両乗員の操作、行動計画生成部144により決定されたイベント、軌道生成部146により決定された走行態様等に基づいて、自動運転のモード(運転モード)を決定する。なお、運転モードには、手動運転のモードが含まれていてもよい。自動運転のモードの一つとして手動運転モードを含むように考える場合、手動運転モードは、第3モードの次に自動運転の度合が高いモード、すなわち、自動運転の度合が最も低いモードである。
決定された自動運転のモード(モード情報)は、HMI制御部170に通知される。また、自動運転のモードには、自車両Mの検知デバイスDDの性能等に応じた限界が設定されてもよい。例えば、検知デバイスDDの性能が低い場合には、第1モードは実施されないものとしてよい。
何れの自動運転のモードにおいても、HMI70における運転操作系の構成に対する操作によって、手動運転モードに切り替えること(オーバーライド)は可能である。オーバーライドは、例えば自車両Mの車両乗員によるHMI70の運転操作系に対する操作が、所定時間以上継続した場合、所定の操作変化量(例えばアクセルペダル71のアクセル開度、ブレーキペダル74のブレーキ踏量、ステアリングホイール78のステアリング操舵角)以上の場合、または運転操作系に対する操作を所定回数以上行った場合に開始される。
自動運転制御部120の自車位置認識部140は、記憶部180に格納された高精度地図情報182と、ファインダ20、レーダ30、カメラ40、ナビゲーション装置50、または車両センサ60から入力される情報とに基づいて、自車両Mが走行している車線(走行車線)、および、走行車線に対する自車両Mの相対位置を認識する。
自車位置認識部140は、例えば、高精度地図情報182から認識される道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ40によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。
図4は、自車位置認識部140により走行車線L1に対する自車両Mの相対位置が認識される様子を示す図である。自車位置認識部140は、例えば、自車両Mの基準点(例えば重心)の走行車線中央CLからの乖離OS、および自車両Mの進行方向の走行車線中央CLを連ねた線に対してなす角度θを、走行車線L1に対する自車両Mの相対位置として認識する。なお、これに代えて、自車位置認識部140は、自車線L1の何れかの側端部に対する自車両Mの基準点の位置等を、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。自車位置認識部140により認識される自車両Mの相対位置は、行動計画生成部144に提供される。
外界認識部142は、ファインダ20、レーダ30、カメラ40等から入力される情報に基づいて、周辺車両の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。周辺車両とは、例えば、自車両Mの周辺を走行する車両であって、自車両Mと同じ方向に走行する車両である。周辺車両の位置は、他車両の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、他車両の輪郭で表現された領域で表されてもよい。周辺車両の「状態」とは、上記各種機器の情報に基づいて把握される、周辺車両の加速度、車線変更をしているか否か(あるいは車線変更をしようとしているか否か)を含んでもよい。また、外界認識部142は、周辺車両に加えて、ガードレールや電柱、駐車車両、歩行者その他の物体の位置を認識してもよい。
行動計画生成部144は、自動運転のスタート地点、および/または自動運転の目的地を設定する。自動運転のスタート地点は、自車両Mの現在位置であってもよいし、自動運転を指示する操作がなされた地点でもよい。行動計画生成部144は、そのスタート地点と自動運転の目的地との間の区間において、行動計画を生成する。なお、これに限らず、行動計画生成部144は、任意の区間について行動計画を生成してもよい。
行動計画は、例えば、順次実行される複数のイベントで構成される。イベントには、例えば、自車両Mを減速させる減速イベントや、自車両Mを加速させる加速イベント、走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させるレーンキープイベント、走行車線を変更させる車線変更イベント、自車両Mに前走車両を追い越させる追い越しイベント、分岐ポイントにおいて所望の車線に変更させたり、現在の走行車線を逸脱しないように自車両Mを走行させたりする分岐イベント、本線に合流するための合流車線において自車両Mを加減速させ、走行車線を変更させる合流イベント、自動運転の終了予定地点で自動運転モードから手動運転モードに移行させたりするハンドオーバイベント等が含まれる。行動計画生成部144は、目標車線決定部110により決定された目標車線が切り替わる箇所において、車線変更イベント、分岐イベント、または合流イベントを設定する。行動計画生成部144によって生成された行動計画を示す情報は、行動計画情報186として記憶部180に格納される。
図5は、ある区間について生成された行動計画の一例を示す図である。図5に示すように、行動計画生成部144は、目標車線情報184が示す目標車線上を自車両Mが走行するために必要な行動計画を生成する。なお、行動計画生成部144は、自車両Mの状況変化に応じて、目標車線情報184に拘わらず、動的に行動計画を変更してもよい。例えば、行動計画生成部144は、車両走行中に外界認識部142によって認識された周辺車両の速度が閾値を超えたり、自車線に隣接する車線を走行する周辺車両の移動方向が自車線方向に向いたりした場合に、自車両Mが走行予定の運転区間に設定されたイベントを変更する。例えば、レーンキープイベントの後に車線変更イベントが実行されるようにイベントが設定されている場合において、外界認識部142の認識結果によって当該レーンキープイベント中に車線変更先の車線後方から車両が閾値以上の速度で進行してきたことが判明した場合、行動計画生成部144は、レーンキープイベントの次のイベントを、車線変更イベントから減速イベントやレーンキープイベント等に変更してよい。この結果、車両制御システム100は、外界の状態に変化が生じた場合においても、安全に自車両Mを自動走行させることができる。
図6は、軌道生成部146の構成の一例を示す図である。軌道生成部146は、例えば、走行態様決定部146Aと、軌道候補生成部146Bと、評価・選択部146Cとを備える。
走行態様決定部146Aは、例えば、レーンキープイベントを実施する際に、定速走行、追従走行、低速追従走行、減速走行、カーブ走行、障害物回避走行等のうち何れかの走行態様を決定する。例えば、走行態様決定部146Aは、自車両Mの前方に他車両が存在しない場合に、走行態様を定速走行に決定する。また、走行態様決定部146Aは、前走車両に対して追従走行するような場合に、走行態様を追従走行に決定する。また、走行態様決定部146Aは、渋滞場面等において、走行態様を低速追従走行に決定する。また、走行態様決定部146Aは、外界認識部142により前走車両の減速が認識された場合や、停車や駐車等のイベントを実施する場合に、走行態様を減速走行に決定する。また、走行態様決定部146Aは、外界認識部142により自車両Mがカーブ路に差し掛かったことが認識された場合に、走行態様をカーブ走行に決定する。また、走行態様決定部146Aは、外界認識部142により自車両Mの前方に障害物が認識された場合に、走行態様を障害物回避走行に決定する。
軌道候補生成部146Bは、走行態様決定部146Aにより決定された走行態様に基づいて、軌道の候補を生成する。図7は、軌道候補生成部146Bにより生成される軌道の候補の一例を示す図である。図7は、自車両Mが車線L1から車線L2に車線変更する場合に生成される軌道の候補を示している。
軌道候補生成部146Bは、図7に示すような軌道を、例えば、将来の所定時間ごとに、自車両Mの基準位置(例えば重心や後輪軸中心)が到達すべき目標位置(軌道点K)の集まりとして決定する。図8は、軌道候補生成部146Bにより生成される軌道の候補を軌道点Kで表現した図である。軌道点Kの間隔が広いほど、自車両Mの速度は速くなり、軌道点Kの間隔が狭いほど、自車両Mの速度は遅くなる。従って、軌道候補生成部146Bは、加速したい場合には軌道点Kの間隔を徐々に広くし、減速したい場合は軌道点の間隔を徐々に狭くする。
このように、軌道点Kは速度成分を含むものであるため、軌道候補生成部146Bは、軌道点Kのそれぞれに対して目標速度を与える必要がある。目標速度は、走行態様決定部146Aにより決定された走行態様に応じて決定される。
ここで、車線変更(分岐を含む)を行う場合の目標速度の決定手法について説明する。軌道候補生成部146Bは、まず、車線変更ターゲット位置(或いは合流ターゲット位置)を設定する。車線変更ターゲット位置は、周辺車両との相対位置として設定されるものであり、「どの周辺車両の間に車線変更するか」を決定するものである。軌道候補生成部146Bは、車線変更ターゲット位置を基準として3台の周辺車両に着目し、車線変更を行う場合の目標速度を決定する。図9は、車線変更ターゲット位置TAを示す図である。図中、L1は自車線を表し、L2は隣接車線を表している。ここで、自車両Mと同じ車線で、自車両Mの直前を走行する周辺車両を前走車両mA、車線変更ターゲット位置TAの直前を走行する周辺車両を前方基準車両mB、車線変更ターゲット位置TAの直後を走行する周辺車両を後方基準車両mCと定義する。自車両Mは、車線変更ターゲット位置TAの側方まで移動するために加減速を行う必要があるが、この際に前走車両mAに追いついてしまうことを回避しなければならない。このため、軌道候補生成部146Bは、3台の周辺車両の将来の状態を予測し、各周辺車両と干渉しないように目標速度を決定する。
図10は、3台の周辺車両の速度を一定と仮定した場合の速度生成モデルを示す図である。図中、mA、mBおよびmCから延出する直線は、それぞれの周辺車両が定速走行したと仮定した場合の進行方向における変位を示している。自車両Mは、車線変更が完了するポイントCPにおいて、前方基準車両mBと後方基準車両mCとの間にあり、且つ、それ以前において前走車両mAよりも後ろにいなければならない。このような制約の下、軌道候補生成部146Bは、車線変更が完了するまでの目標速度の時系列パターンを、複数導出する。そして、目標速度の時系列パターンをスプライン曲線等のモデルに適用することで、上述した図7に示すような軌道の候補を複数導出する。なお、3台の周辺車両の運動パターンは、図10に示すような定速度に限らず、定加速度、定ジャーク(躍度)を前提として予測されてもよい。
評価・選択部146Cは、軌道候補生成部146Bにより生成された軌道の候補に対して、例えば、計画性と安全性の二つの観点で評価を行い、走行制御部160に出力する軌道を選択する。計画性の観点からは、例えば、既に生成されたプラン(例えば行動計画)に対する追従性が高く、軌道の全長が短い場合に軌道が高く評価される。例えば、右方向に車線変更することが望まれる場合に、一旦左方向に車線変更して戻るといった軌道は、低い評価となる。安全性の観点からは、例えば、それぞれの軌道点において、自車両Mと物体(周辺車両等)との距離が遠く、加減速度や操舵角の変化量等が小さいほど高く評価される。
切替制御部150は、自動運転切替スイッチ87から入力される信号に基づいて自動運転モードと手動運転モードとを相互に切り替える。また、切替制御部150は、HMI70における運転操作系の構成に対する加減速または操舵を指示する操作に基づいて、自動運転モードから手動運転モードに切り替える。例えば、切替制御部150は、HMI70における運転操作系の構成から入力された信号の示す操作量が閾値を超えた状態が、基準時間以上継続した場合に、自動運転モードから手動運転モードに切り替える(オーバーライド)。なお、切替制御部150は、オーバーライドによる手動運転モードへの切り替えの後、所定時間の間、HMI70における運転操作系の構成に対する操作が検出されなかった場合に、自動運転モードに復帰させてもよい。また、切替制御部150は、例えば自動運転の終了予定地点で自動運転モードから手動運転モードに移行するハンドオーバ制御を行う場合に、車両乗員に対して事前にハンドオーバリクエストを通知するため、その旨の情報を、HMI制御部170に出力する。
走行制御部160は、軌道生成部146によって生成された軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ステアリング装置210、およびブレーキ装置220を制御する。
HMI制御部170は、自動運転制御部120により得られる運転モードの情報に基づいてHMI70を制御する。例えば、HMI制御部170は、運転モードに基づいて、HMI70の非運転操作系やナビゲーション装置50等に対する車両乗員による操作の可否を制御する。また、HMI制御部170は、車両乗員の運転に関する義務が増加する自動運転のモードの変更が行われる所定時間前および/または所定速度前に、HMI70のインターフェース装置に所定の情報を出力させる。
図11は、自車両M内の一部の構成を説明するための図である。図11において、シート88の着座部において、背もたれ部が連結された第1端側とは反対側である第2端側には、オットマン88Aが連結されている。オットマン88Aは、シート88に対する位置を変更可能である。オットマン88Aは、シート88に対する位置を変更することで、車両乗員Pの足を支えることが可能である。
オットマン駆動部88Bは、シート88に対するオットマン88Aの位置を変更する。例えば、オットマン駆動部88Bは、駆動モータの出力軸に対してオットマン駆動部88Bの回転軸が連結されており、駆動モータが駆動することにより、オットマン88Aの角度が、第1角度、第2角度、第3角度のいずれの角度となるように位置を変更する。
オットマン88Aにおいて、車両乗員Pと接する主面側には、センサ88Cが設けられる。このセンサ88Cとしては、例えば、荷重センサを用いることができ、この荷重センサから得られる荷重分布に応じて、車両乗員Pの足がオットマン88Aに接しているか否か、また、車両乗員Pの足が接しているオットマン88Aの位置を検出することができる。オットマン88Aは、シート88に対する位置を変更することが可能である。例えば、オットマン88Aの第1端側とシート88の着座部の第2端側とが回転軸によって連結されており、この回転軸を中心とし、シート88に対するオットマン88Aの角度θaを変更することで、オットマン88Aの位置を変更することが可能である。オットマン88Aの移動可能な範囲(変更可能な角度の範囲)は、例えば、鉛直方向から水平方向の範囲の角度である。例えば、変更可能な角度の範囲としては、着座部とオットマン88Aとがなす角θaは、90度から180度とすることができるが、これに限られるものではない。また、この実施形態においては、オットマン88Aの位置の変更は、シート88に対するオットマン88Aの角度を変更する場合について説明するが、シート88に対するオットマン88Aの位置を変更することができればよく、例えば、シート88に対してオットマン88Aの位置が離れるまたは接近するように相対距離を変更してもよいし、角度と相対距離の両方を変更するようにしてもよい。
また、図11において、θaは、車両乗員Pがシート88に着座し、ペダル(ここでは例としてアクセルペダル71)を足で触れた場合の膝から足首に向かう方向の角度となる第1角度に対応している。そのため、車両乗員Pは、オットマン88Aに足を乗せた場合に、自然にペダルに触れることができる。
図12は、自車両Mが第1モードに遷移した場合に、角度θaを第2角度に変更した場合を表す図である。第1モードでは、車両乗員Pは、ステアリングホイール78やアクセルペダル71、ブレーキペダル74に触れる必要がない。そのため、図12では、車両乗員Pがステアリングホイール78から手を離し、アクセルペダル71から足を離している場合について図示されている。オットマン88Aは、第1角度よりも大きい角度である第2角度に設定されている。この場合、オットマン88Aは、第1角度に設定された場合に比べて、水平方向により近い角度に変更されている。これにより、車両乗員Pの足は、第2運転モード、第3運転モード、手動運転モードの場合に比べて水平方向により近い位置となり、ペダル(ここでは例としてアクセルペダル71)から足を離し、足を休めることができる。
図13は、自車両Mが第1モードに遷移した場合に、角度θaを第3角度に変更した場合を表す図である。第3角度は、第1角度よりも小さい角度である。この場合、車両乗員Pの足は、オットマン88Aが第1角度に設定されている場合に比べてより鉛直方向に近い角度に設定されている。これにより、車両乗員Pの足は、第2モードや第3モード、手動運転モードの場合に比べて鉛直方向により近い位置となり、ペダル(ここでは例としてアクセルペダル71)から足を離し、例えばフロア面に足を触れるようにして足を休めることができる。また、この場合、運転モードが第1モードであるため、車両乗員Pは、ステアリングホイール78から手を離すこともできる。
ここで、運転モードが第1モードに遷移した際に、オットマン88Aの角度を第2角度にするか第3角度にするかについては、予め車両乗員Pが任意に設定することができる。
図14は、HMI制御部170の構成の一例を示す図である。この図に示すHMI制御部170は、上述した自動運転制御部120により得られる運転モードの情報に基づいてHMI70を制御する機能の他に、運転モード取得部171、位置制御部172、検出結果取得部175、出力装置制御部176をさらに備える。
運転モード取得部171は、自動運転制御部120から運転モードに関する情報を取得する。この運転モードの取得は、例えば、自動運転モード制御部130が運転モードを決定する都度、取得する。
位置制御部172は、運転モード取得部171によって取得した運転モードに基づいて、自動運転の度合に応じてオットマンの位置を制御する指示をシート駆動装置89に出力し、オットマン88Aの位置を制御する。位置を制御する際、例えば、位置制御部172は、自動運転の度合の遷移状態に応じた位置となるようにオットマン88Aの位置を変更する。この場合における自動運転の度合の遷移状態としては、例えば、自動運転の度合が高い状態から低い状態に低下する遷移である場合と、自動運転の度合が低い状態から高い状態に上昇する遷移である場合とがある。
自動運転の度合が上昇する場合としては、例えば、ペダルの操作が必要な自動運転の度合からペダルの操作が不要な自動運転の度合へ遷移する場合であってもよいし、自動運転の度合が他の運転モードから第1モードへ遷移する場合であってもよい。
自動運転の度合が低下する場合としては、例えば、ペダルの操作が不要な自動運転の度合からペダルの操作が必要な自動運転の度合へ遷移する場合であってもよいし、自動運転の度合が少なくとも1段階低下する場合であってもよいし、自動運転の度合が他の運転モードから手動運転モードへ遷移する場合であってもよい。
自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移する場合、位置制御部172は、ペダル(アクセルペダル71またはブレーキペダル74)を車両乗員Pが操作可能な位置となるように、オットマン88Aの位置を変更する。この位置の変更は、例えば、オットマン88Aの角度を、第1角度以外の角度から第1角度に変更することによって行なわれる。
また、自動運転の度合が低い状態から高い状態に遷移する場合、位置制御部172は、車両乗員Pの足を休ませることが可能な位置となるように、オットマン88Aの位置を変更する。この位置の変更は、例えば、オットマン88Aの角度を、第1角度から第2角度または第3角度に変更することによって行なわれる。
また、位置制御部172は、オットマン88Aの位置が目標位置に到達するまでの速度を、自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する。この場合における自動運転の度合の遷移状態としては、上述したように、自動運転の度合が低下する場合と、自動運転の度合が上昇する場合とがあるが、ここでは、自動運転の度合が低下する場合には、例えば、車両の走行時の状態に応じて自動運転の度合が低下する場合と、自動運転の度合が低下することが予め決められている場合とがある。
車両の走行時の状態に応じて自動運転の度合が低下する場合としては、例えば緊急のハンドオーバ(運転モードの度合(レベル)の低下)がある。緊急のハンドオーバの具体例としては、検知デバイスの故障が発生した場合である。このような、自動運転の度合が低下する場合、位置制御部172は、第1速度よりも速い第2速度で第1角度に遷移する。これにより、車両乗員Pは、ペダル操作を行なうことが急に必要になった場合であっても、車両乗員Pの足を、速やかにペダル操作が可能な位置周辺に案内することが可能となる。
自動運転の度合が低下することが予め決められている場合としては、例えば、走行ルートを設定した際に、ハンドオーバすることが予め決定される場合があり、車線の合流地点やトンネルの入り口、高速道路の出口等において設定される。このような場合、位置制御部172は、第2速度よりも遅い速度で第1角度に遷移する。ここでは、ハンドオーバすることが予め解っているため、ハンドオーバすることが決められた場所に到達するまでの間に第1角度に遷移していればよい。そのため、必ずしも第2速度程度の速さで第1角度に遷移しなくてもよいことから、ハンドオーバすることが決められた場所から所定の距離だけ手前の地点、あるいは、ハンドオーバすることが予め決められた場所に到達する時刻の所定の時間だけ前の時点に到達した際に、第2速度よりも遅い速度(例えば、第1速度)で第1角度に遷移するようにしてもよい。これにより、車両乗員Pは、足を休めてリラックスした姿勢から運転に適した姿勢になるように、緩やかに姿勢を変更することができる。
自動運転の度合が上昇する場合、位置制御部172は、第2速度に比べてゆっくりした速度(第3速度)でオットマン88Aの角度を第2角度(または第3角度)に変更する。これにより、車両乗員Pが周辺監視義務や運転操作を行なう義務等がなくなった場合には、ペダルからゆっくりと足を離し、足を休めることができる。
また、位置制御部172は、オットマン88Aの位置を変更する場合、オットマン88Aの位置を表す位置データを参照し、どの位置に変更するかを決定する。位置データは、例えば、位置制御部172の内部のメモリ領域に記憶するようにしてもよいし、車両制御システム100の記憶部180内に記憶するようにしてもよい。
図15は、位置データの一例を示すデータテーブルである。位置データは、遷移先の自動運転の度合と設定位置とが対応付けられたデータである。ここでは一例として、自動運転の度合が第1モード、第2モード、第3モードのいずれかから、遷移する先の自動運転の度合が「手動運転モード」である場合には、設定位置として「第1角度(θ1)」が対応付けられ、自動運転の度合が第2モード、第3モード、手動運転モードのいずれかから遷移する先の自動運転の度合が「第1モード」である場合には、設定位置として「第2角度(θ2)」(第1角度に比べて水平方向に近い角度)が対応付けされている。図15に示す位置データについては、遷移先の自動運転の度合が「手動運転モード」や「第1モード」について例示したが、「手動運転モード」、「第1モード」以外の自動運転の度合に対し、設定位置を記憶するようにしてもよい。ここで、遷移先の自動運転の度合が「第1モード」に対しては、第2角度が設定されているが、車両乗員Pが第1モードの際に足を置いておきたい位置(角度)に応じて任意に設定することもでき、例えば、第3角度(第1角度に比べて鉛直方向に近い角度)を設定するようにしてもよい。
また、図15に示す位置データについては、遷移先の自動運転の度合と設定位置とが対応付けられた場合について説明したが、自動運転の度合が上昇する場合に第1角度、自動運転の度合が低下する場合に第2角度として対応づけて記憶するようにしてもよい。
また、位置制御部172は、オットマン88Aの位置を変更する場合における速度を表す速度データを参照し、定められた速度でオットマン88Aの位置を変更する。速度データは、例えば、位置制御部172の内部のメモリ領域に記憶するようにしてもよいし、車両制御システム100の記憶部180内に記憶するようにしてもよい。
図16は、速度データの一例を示すデータテーブルである。速度データは、自動運転の度合と設定速度とが対応付けられたデータである。ここでは一例として、自動運転の度合の遷移状態が「予定されたレベルの低下」である場合には、設定速度として「第1速度(V1)」が対応付けられ、自動運転の度合の遷移状態が「緊急のレベルの低下」である場合には、設定速度として「第2速度(V2)」が対応付けられ、自動運転の度合が「レベルの上昇」の場合には、設定速度として「第3速度(V3)」が対応付けられている。この第3速度は、例えば、第2速度以下の速度が設定される。
「予定されたレベルの低下」は、例えば、走行ルートを設定した際に、ハンドオーバすることが予め決められた場合における自動運転の度合の遷移状態であり、車線の合流地点やトンネルの入り口、高速道路の出口等において設定される。「緊急のレベルの低下」は、例えば、ハンドオーバすることが予め決められてはいなかったが、車両の走行時の状態に応じて自動運転の度合が高い状態(第1モード、第2モード、第3モードのいずれか)から低い状態(手動運転モード)に遷移する場合であり、例えば、上述したように、検知デバイスの故障が発生した場合である。「レベルの上昇」は、自動運転の度合が現在よりも高い度合に遷移する場合である。
図16に示す速度データについては、「緊急のハンドオーバ」や「通常のハンドオーバ」、「第1モードに移行」以外の自動運転の度合に対して、種々の設定速度を記憶するようにしてもよい。
検出結果取得部175は、センサ88Cから、センサ88Cが検出した検出結果を取得する。出力装置制御部176は、検出結果取得部175からセンサ88Cの検出結果を取得するとともに、位置制御部172から、位置制御部172がオットマン88Aの位置を変更すると判定されたことを表す判定信号を取得する。
出力装置制御部176は、位置制御部172がオットマン88Aの位置を変更すると判定されたことを表す判定信号を受信した際に、検出結果取得部175から取得したセンサ88Cの検出結果を参照し、車両乗員Pの足がオットマン88Aに触れているか否かを判定する。判定の結果、車両乗員Pの足がオットマン88Aに触れていない場合には、警告情報を出力するよう、各出力装置に制御命令を出力する。車両乗員Pの足がオットマン88Aに触れていない状態としては、車両乗員Pがシート88に着座しているが、足をオットマン88Aに乗せずに上方に持ち上げている場合や、シート88に着座しているが、膝をかかえるような姿勢をとっている場合などがある。
制御命令を出力する対象となる出力装置の一例としては、ナビゲーション装置50、表示装置82、スピーカ83等がある。これら各出力装置は、出力装置制御部173からの制御命令に従った警告情報を画面上に出力したり、音声によって出力する。警告情報の一例としては、「運転モードが手動運転モードに切り替わりますので、ペダルを操作できる姿勢をとって下さい」等の情報である。このような警告情報を出力することで、車両乗員Pに対し、足の位置を手動運転モードに応じた位置に移動させるよう促すことが可能となる。
<処理フロー>
以下、本実施形態に係る車両制御システム100よる処理の流れについて説明する。なお、以下の説明では、車両制御システム100のおける各種処理のうち、主にHMI制御部170により実施されるオットマン88Aの位置を変更する処理の流れについて説明する。この処理フローは、自車両Mの運転が開始されてから終了するまでの間、一定時間毎に実施される。
図17は、HMI制御処理の第1の実施例を示すフローチャートである。図17の例において、HMI制御部170の運転モード取得部171は、自動運転制御部120よりモード情報を取得する(ステップS101)。位置制御部172は、この取得されたモード情報に含まれる運転モードが、現在の運転モードから他の運転モードに変更されるか否かを判定する(ステップS102)。運転のモードの変更がない場合(ステップS102−NO)、HMI制御部170は、一定時間待ち(ステップS103)、その後にステップS101に移行し、モード情報を取得する。
一方、運転モードの変更がある場合(ステップS102−YES)、変更後の運転モードのレベル(度合)が変更前の運転モードのレベルに対して低下する変更であるか否かを判定する(ステップS104)。ここでは、運転モードのレベルの低下であるか否かを判定する場合、いずれかの自動運転のモードから手動運転モードに変更される運転モードのレベルの低下であるか否かを判定するようにしてもよいし、ペダル操作が不要な自動運転のモードからペダル操作が必要となる自動運転モードへの低下であるか否かを判定するようにしてもよい。いずれかの自動運転のモードから手動運転モードに変更される運転モードのレベルの低下である場合、または、ペダル操作が不要な自動運転のモードからペダル操作が必要となる自動運転モードへの低下である場合には、運転モードのレベルが低下する変更であると判定する(ステップS104−YES)。そして、この運転モードのレベルの低下が、緊急のレベル低下であるか否かを判定する(ステップS105)。緊急のレベル低下である場合、位置制御部172は、オットマン88Aを第2速度で第1角度に変更するよう、シート駆動装置89に制御命令を出力する(ステップS106)。この制御命令を受けて、シート駆動装置89は、第2速度で第1角度にオットマン88Aの位置を変更する。運転モードのレベル低下が緊急のレベル低下である場合、例えば、検知デバイスの故障が発生したことが検出された場合には、第2速度でオットマン88Aの角度を第1角度に変更することができるため、車両乗員Pの足がペダルに自然に触れることができるような位置にオットマン88Aの位置を速やかに変更することができる。
次に、出力装置制御部176は、位置制御部172がオットマン88Aの位置を変更すると判定されたことを表す判定信号を取得すると、検出結果取得部175からセンサ88Cの検出結果を取得する。そして、出力装置制御部176は、車両乗員Pの足がオットマン88Aに触れているか否かを判定する(ステップS107)。車両乗員Pの足がオットマン88Aに触れていると判定された場合には(ステップS107−YES)、警告を行なわないと判定し(ステップS108)、処理を終了する。
一方、ステップS107において、車両乗員Pの足がオットマン88Aに触れていないと判定された場合には(ステップS107−NO)、警告を行うと判定し(ステップS109)、出力装置制御部176は、ナビゲーション装置50、表示装置82、スピーカ83等の出力装置に対し、警告情報を出力するよう指示する。この指示を受け、ナビゲーション装置50、表示装置82は、警告情報を画面上に表示し、スピーカ83は、警告情報を音声によって出力する。そして、処理は終了する。
次に、ステップS104において、運転モードのレベルが下がる変更ではない場合、すなわち、運転モードのレベルが上昇する変更(例えば、いずれかの自動運転のモードから第1モードに変更される自動運転モードのレベルの上昇である場合、または、ペダル操作が必要な自動運転のモードからペダル操作が不要な自動運転のモードのレベルの上昇)である場合(ステップS104−NO)、位置制御部172は、オットマン88Aの位置を、第3速度で、第2角度または第3角度に変更するよう制御命令をシート駆動装置89に出力する。位置制御部172は、この制御命令をシート駆動装置89に出力することで、オットマン88Aの位置を変更し(ステップS110)、処理を終了する。ここで、運転モードのレベルが上昇する変更である場合に第2角度または第3角度のいずれの位置とするかについては、デフォルトとして第2角度を設定しておいてもよいし、いずれの位置にするかについて予め車両乗員Pに指定してもらうようにしてもよい。第2角度または第3角度のいずれの位置にするかについて、車両乗員Pに予め指定してもらう場合には、第1モードにおいて車両乗員Pがどのような姿勢をとることを好むかの意向に応じて、オットマン88Aの位置を変更することができる。また、ここでは、第3速度でオットマン88Aの位置が変更されるため、第1速度に比べてゆっくりとオットマン88Aの位置を変更することができ、車両乗員Pに対し、第1速度で移動する場合に比べて居心地のよい状態でオットマン88Aの位置を変更することができる。
次に、ステップS105において、緊急のレベル低下ではない場合(ステップS105−NO)、位置制御部172は、ハンドオーバまでの時間に応じた速度でオットマン88Aの位置を第1角度に変更し(ステップS111)、処理を終了する。ハンドオーバまでの時間に応じた速度は、予め決められた1つの速度が設定されてもよいし、ハンドオーバまでの時間に応じてそれぞれ異なる速度が設定されてもよい。ハンドオーバまでの時間に応じた速度として予め決められた1つの速度が設定される場合には、例えば、第1速度が設定されてもよい。また、ハンドオーバまでの時間に応じてそれぞれ異なる速度が設定される場合には、例えば、ハンドオーバが発生する要因(車線の合流、トンネルの入口、高速道路の出口、天候が雨や雪に移行する可能性が生じた場合)に応じて、異なる時間が設定されてもよい。この場合、ハンドオーバが生じる要因に応じた設定速度に従って、オットマン88Aを移動させることができる。このように、ハンドオーバまでの時間に応じた速度でオットマン88Aの位置を変更することによって、手動運転モードへの移行が完了するタイミングに間に合うようにして、オットマン88Aの位置の変更を完了することができる。これにより車両乗員Pは、オットマン88Aの位置の変更が完了すると、スムーズに手動運転モードでの運転操作(例えばペダル操作)を開始することができる。
以上説明した処理フローにおいて、オットマン88Aの位置を変更する場合について説明したが、オットマン88Aの位置を変更するとともに、シート88のリクライニング角を変更するようにしてもよい。例えば、ステアリングホイール78の操作が可能なリクライニング角を予め設定しておき、ハンドオーバする場合、あるいは、第1モードに移行する場合、位置制御部172は、オットマン88Aの位置を変更するともに、リクライニング角を変更するようにしてもよい。
また、上述した実施形態において、ステップS106において、第1速度でオットマン88Aの位置を変更する場合について説明したが、この場合においてオットマン88Aの位置を変更するあたり、シート駆動装置89のモータを駆動させて位置を変更するようにしてもよいが、例えばラッチ機構を適用し、オットマン88Aの位置が第1角度よりも水平に近い位置にある場合には、ラッチ機構におけるロックを解除することで、第1角度に速やかに位置を変更するようにしてもよい。この場合、オットマン88Aは、ほぼ自由落下の状態で第1角度まで移動することができる。
また、上述した実施形態において、自動運転の度合が上昇する遷移である場合の例として、ペダルの操作が必要な自動運転の度合からペダルの操作が不要な自動運転の度合へ遷移する場合、自動運転の度合が他の運転モードから第1モードへ遷移する場合について説明したが、これ以外に、自動運転の度合が少なくとも1段階上昇する場合であってもよい。この場合、上昇した先の自動運転の度合に対して、オットマン88Aの位置を表す情報を対応付けた位置データを記憶する。この位置データとしては、自動運転の度合のそれぞれについてオットマン88Aの位置が異なるような位置データを記憶するようにしてもよいし、少なくとも隣接するいずれかの自動運転の度合(例えば、第2モードと第3モード)についてはオットマン88Aの位置が同じであり、他の自動運転の度合(例えば、第1モードと手動運転モード)については、異なる位置となるような位置データを記憶するようにしてもよい。隣接する自動運転の度合においてオットマン88Aの位置が同じである場合を含む位置データを用いる場合、自動運転のモードが頻繁に遷移しやすい場合であっても、オットマン88Aの位置が都度変更されてしまうことを低下させることができる。
また、自動運転の度合が低下する遷移である場合の例として、ペダルの操作が不要な自動運転の度合からペダルの操作が必要な自動運転の度合へ遷移する場合、自動運転の度合が他の運転モードから手動運転モードへ遷移する場合について説明したが、これ以外に、自動運転の度合が少なくとも1段階低下する場合であってもよい。この場合、低下した先の自動運転の度合に対して、オットマン88Aの位置を表す情報を対応付けた位置データを記憶する。この位置データとしては、自動運転の度合のそれぞれについてオットマン88Aの位置が異なるような位置データを記憶するようにしてもよいし、少なくとも隣接するいずれかの自動運転の度合(例えば、第2モードと第3モード)についてはオットマン88Aの位置が同じであり、他の自動運転の度合(例えば、第1モードと手動運転モード)については、異なる位置となるような位置データを記憶するようにしてもよい。隣接する自動運転の度合においてオットマン88Aの位置が同じである場合を含む位置データを用いる場合、自動運転のモードが頻繁に遷移しやすい場合であっても、オットマン88Aの位置が都度変更されてしまうことを低下させることができる。
なお、上述した図17に示すHMI制御処理は、自動運転制御部よりモード情報を取得した場合に実行してもよく、一定の時間間隔で実施してもよい。なお、実施形態としては、上述した各実施例の一部または全部を組み合わせてもよい。
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
20…ファインダ、30…レーダ、40…カメラ、DD…検知デバイス、50…ナビゲーション装置、55…通信装置、60…車両センサ、70…HMI、100…車両制御システム、110…目標車線決定部、120…自動運転制御部、130…自動運転モード制御部、140…自車位置認識部、142…外界認識部、144…行動計画生成部、146…軌道生成部、146A…走行態様決定部、146B…軌道候補生成部、146C…評価・選択部、150…切替制御部、160…走行制御部、170…HMI制御部、171…運転モード取得部、172…位置制御部、175…検出結果取得部、176…出力装置制御部、174…インターフェース制御部、180…記憶部、200…走行駆動力出力装置、210…ステアリング装置、220…ブレーキ装置、M…自車両

Claims (5)

  1. 車両の加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転制御部であって、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う自動運転制御部と、
    前記自動運転の度合に応じて前記車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御する位置制御部とを有し、
    前記位置制御部は、前記オットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を、前記自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する
    車両制御システム。
  2. 前記位置制御部は、自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移する場合に、乗員のペダル操作が可能な位置となるように前記オットマンの位置を変更する
    請求項1記載の車両制御システム。
  3. 前記位置制御部は、前記自動運転の度合が高い状態から低い状態に遷移するまでの時間に応じた速度で、前記オットマンの位置を変更する
    請求項に記載の車両制御システム。
  4. 車載コンピュータが、
    車両の加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転制御部であって、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う自動運転制御を行ない、
    前記自動運転の度合に応じて前記車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御し、
    前記オットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を、前記自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する
    車両制御方法。
  5. 車載コンピュータに、
    車両の加減速および操舵のうち少なくとも一方を自動的に制御する自動運転制御部であって、自動運転の度合が異なる複数のモードの何れかで自動運転制御を行う自動運転制御を行ない、
    前記自動運転の度合に応じて前記車両の乗員が着座するシートのオットマンの位置を制御し、
    前記オットマンの位置が目標位置に到達するまでの速度を、前記自動運転の度合の遷移状態に応じて変更する
    処理を実行させるための車両制御プログラム。
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