JP6734558B2 - 鉱石選別方法及びその装置 - Google Patents
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Description
しかし、これらの方法を行うには、鉱石を数十ミクロンから数百ミクロンに粉砕しなければならず、非常に莫大なエネルギを必要とするものである。すなわち、採掘されたままの鉱石中には、金銀をほとんど含まない母岩の塊が多く含まれており、このような母岩をそのように微粒子に粉砕することは、それだけエネルギを無駄に消費することになる。また、母岩には粘土鉱物が多く含まれていることから、青化法、銅精錬の溶剤、浮遊選鉱法のいずれの方法においても粘土鉱物が悪影響を及ぼすことは一般によく知られていることである。
この種の鉱石選別装置としては、例えば特許文献1に記載されているように、金銀を含有する鉱石を粗破砕し、画像解析装置としてテレビカメラを接続したものを使用して、鉱石表面の白色部分を計算して、その割合が所定値以下のものを母岩として除外する金鉱石の選鉱法が採用されている。
ここで、選別対象とするものは、ほとんどが白い石英からなる鉱石の良品、白い石英がほとんど含まれない灰色若しくは黒色の母岩(鉱石の不良品としてのズリ)、石英が脈状に入っている所謂片刃に分類され、片刃は石英脈の含有比率によって鉱石の良品又は不良品に選別される。
しかしながら、片刃のように目的鉱物の含有比率が少ないものを鉱石の良品又は不良品として選別する場合には、脈状の目的鉱物の領域が狭いことから、目的鉱物の領域を基準として目的鉱物を含む鉱石画像部の全域を把握することが比較的難しく、一つの鉱石であるのに、目的鉱物を含む鉱石画像部と目的鉱物を含まない鉱石画像部とに分かれた複数の鉱石画像部として把握されてしまう場合が起こり得る。このような場合には、本来は一つの鉱石であるにもかかわらず、一方の鉱石画像部については鉱石の良品と、他方の鉱石画像部については鉱石の不良品として判別してしまうという懸念があり、一つの鉱石に対して良品又は不良品の選別動作が重なって行われる虞れがある。
このような事態を解消するには、例えば特許文献3に示すように、エアノズル列を制御することで、鉱石の大きさ(質量)に応じてエアノズル列によるエアの吹付量を変化させ、鉱石の落下飛行の軌道を十分に変化させることは可能かも知れないが、片刃のように目的鉱物の少ないものを鉱石の良品又は不良品として選別するに当たって、鉱石の良否の判別が不正確であると、そもそもエアノズル列によるエアの吹付対象であるのか否かを正確に決定することができない。
このため、片刃のように、目的鉱物の含有比率が少ないものを鉱石の良品又は不良品として選別するに当たっては、鉱石の良品又は不良品であるかを正確に判別し、かつ、判別された鉱石の良品又は不良品のいずれかに対してはエアの吹付量を十分に確保することが必要になる。
請求項4に係る発明は、請求項2に係る鉱石選別装置において、前記撮像器具は、前記空気吹付器具による空気の吹付方向と同じ側に設置される第1の撮像器具と、前記第1の撮像器具とは異なる方向から撮像可能な第2の撮像器具とを含み、前記判別装置は、前記第1の撮像器具による撮像結果に基づいて前記鉱石画像部の領域を判別する一方、第1及び第2の撮像器具による両方の撮像結果を参照して前記鉱石画像部に含まれる目的鉱物の含有比率を算出することを特徴とする鉱石選別装置である。
請求項5に係る発明は、請求項2に係る鉱石選別装置において、前記岩石粉砕物のサイズが予め決められた最小寸法以上最大寸法以下の範囲内であるときに、前記空気吹付器具は、空気が個別に吹き付け可能であって前記最小寸法より小径のノズルを前記最小寸法未満のピッチで前記吹付対象物の移動軌跡に交差するように並設することを特徴とする鉱石選別装置である。
請求項6に係る発明は、請求項2に係る鉱石選別装置において、前記空気吹付器具は、前記吹付対象物の投影面の略全域に向けて空気を吹き付けることを特徴とする鉱石選別装置である。
請求項7に係る発明は、請求項2に係る鉱石選別装置において、前記空気吹付器具は、空気が個別に吹き付け可能なノズルを前記吹付対象物の移動軌跡に交差するように並設すると共に、並設されたノズル列を複数段有することを特徴とする鉱石選別装置である。
請求項2に係る発明によれば、目的鉱物の含有比率の少ないものを鉱石の良品又は不良品とする場合であっても、鉱石の良品・不良品を正確に選別可能な鉱石選別方法を装置として具現化することができる。特に、判別装置として、結合部を伴わない場合に比べて、同じ鉱石に対して良品又は不良品と異なる判別をする虞れを回避することができる。
請求項3に係る発明によれば、目的鉱物の含有比率の少ないものを鉱石の良品又は不良品とする場合でも、判別装置による閾値を変更するだけで、鉱石の良品・不良品を正確に選別することができる。
請求項4に係る発明によれば、一つの撮像器具を用いる態様に比べて、目的鉱物の含有状態を正確に判別することができ、しかも、吹付対象物への空気の吹付け動作を安定して実施することができる。
請求項5に係る発明によれば、岩石粉砕物のサイズに影響することなく、空気吹付器具による空気の吹き付けを確実に実施することができる。
請求項6に係る発明によれば、吹付対象物の大きさがある程度大きくても、空気の吹付け力、吹付け量を十分に確保することができる。
請求項7に係る発明によれば、ノズル列が一列である態様に比べて、空気吹付器具による空気の吹付量を多く確保することができる。
図1は本発明が適用された鉱石選別方法及びその装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、鉱石選別方法は、岩石粉砕物1から目的鉱物の含有比率にて予め決められた鉱石の良品1a・不良品1bを選別するに際し、岩石粉砕物1を予め決められた移動軌跡wで落下させるように供給する供給工程Aと、供給工程Aで供給された岩石粉砕物1を移動軌跡wの途中で撮像する撮像工程Bと、撮像工程Bによる撮像結果に基づいて、鉱石画像部と背景部とを切り分けることで鉱石画像部の領域を決定した後、各鉱石画像部の領域内の目的鉱物の含有比率を算出することで鉱石の良品1a・不良品1bを判別する判別工程Cと、判別工程Cにて判別された鉱石の良品1a・不良品1bのいずれか一方を吹付対象物(図1では鉱石の良品1aを例示)とし、吹付対象物に向けて当該吹付対象物の投影面の少なくとも過半領域に空気を吹き付け、鉱石の良品1a・不良品1bの移動軌跡w(本例ではw1,w2)を異ならせることで両者を選別する選別工程Dと、を備えたものである。
ここで、供給工程Aについては、岩石粉砕物1が予め決められた移動軌跡に沿って移動するように、岩石粉砕物1を供給する工程であれば適宜選定して差し支えない。例えば、ベルトコンベアで岩石粉砕物を搬送し、ベルトコンベアの端部から略水平方向に飛翔させる方式、あるいは、ベルトコンベアの端部から略鉛直方向に落下させる方式、あるいは、傾斜した滑り樋にて滑り移動させ、滑り樋の先端から飛翔させる方式などを適宜用いるようにすればよい。
また、撮像工程Bとしては、移動軌跡wの途中で岩石粉砕物1を撮像器具3を用いて画像として撮影する工程であればよく、一方向からの撮像に限らず、複数方向から撮像してもよい。
本例では、判別工程Cにおいて、鉱石画像部Sbを特定してから、目的鉱物Saの含有比率を算出するようにしているため、目的鉱物の含有比率の少ないものを鉱石の良品1aとする場合であっても、鉱石の良品1a・不良品1bが正確に判別される。例えば目的鉱物Saの含有比率が多いものを鉱石の良品1aとする場合には、目的鉱物Saの分布を中心に鉱石画像部Sbの領域を割り出し、その含有比率を算出すればよいが、目的鉱物Saの含有比率が少ないものを鉱石の良品1aとする場合に、目的鉱物Saの分布を中心に鉱石画像部Sbを割り出そうとすると、一つの鉱石中に脈状の目的鉱物Saが分布しているようなケースでは、鉱石画像部Sbが複数に分かれて判別される虞れがあり、この場合には、一方の鉱石画像部については良品1a、他方の鉱石画像部については不良品1bのように、一つの鉱石に対して良否の異なる判別が為される懸念がある。
この場合において、吹付対象物Tgを良品1aにするか不良品1bにするかについては適宜選定して差し支えないが、選別対象物の中でどちらの比率が高いかに関係し、比率の低い方を吹付け対象にするのが好ましい。この理由は、吹付け対象の比率が少ない方が空気の吹付量が少なくて済み、空気圧縮のためのコンプレッサの負荷を軽減することが可能になることによる。
尚、図1中、供給装置2は例えばベルトコンベア等のベルト状搬送体6で岩石粉砕物1を搬送し、ベルト状搬送体6の端部から略水平方向に飛翔させる方式が採用されており、また、符号7は鉱石の良品1a又は不良品1bを選別して収容する選別容器であって、例えば鉱石の良品1aの収容領域R1と鉱石の不良品1bの収容領域R2とを仕切り壁にて仕切った構造になっている。
また、空気吹付器具5としては、撮像位置Q1よりも岩石粉砕物1の移動方向下流側に移動した岩石粉砕物1を吹付対象物とし、その吹付方向は移動方向に交差する方向であればよい。ここで、空気の吹付位置Q2は撮像位置Q1から一定の距離をもって設定されていればよく、空気吹付器具5による空気の吹付け動作は岩石粉砕物の移動速度を考慮し、岩石粉砕物1が撮像位置Q1を通過した後一定時間経過後に開始するようにすればよい。
先ず、判別装置4の好ましい態様としては、撮像器具3による撮像結果から鉱石画像部か背景部かを判別する第1の判別部と、第1の判別部にて判別された隣接する鉱石画像部の領域間の距離が予め決められた設定値以内であれば隣接する鉱石画像部の領域を一つの鉱石として結合し、それ以外であれば別の鉱石として非結合とする結合部と、結合部による処理後のそれぞれの鉱石画像部の領域に対して目的鉱物の含有比率を算出し、目的鉱物の含有比率が予め決められた閾値以上か否かによって鉱石の良品・不良品を判別する第2の判別部と、を有する態様が挙げられる。
本件は、第1の判別部にて鉱石画像部か背景部かを判別するが、例えば鉱石の目的鉱物が白に近く、目的鉱物以外の領域が黒に近い場合には、本来は一つの鉱石であるが、複数の鉱石画像部に分離して表示される事態が起こり得る。このとき、複数の鉱石画像部を個別の鉱石として一律に決めてしまうと、目的鉱物の分布によっては、同じ鉱石に対して良品又は不良品と異なる判別をする虞れがある。このため、本例では、結合部によって、隣接する鉱石画像部の領域間の距離が所定の設定値(x0,y0)以内であれば両者の領域を一つの鉱石として結合するという処理を行い、個々の鉱石に対応した鉱石画像部を決定するようにしたのである。このようにして決定された各鉱石画像部に対し、第2の判別部にて目的鉱物の含有比率を算出することで各鉱石の良品・不良品を判別するようにしたのである。
ここで、結合部の処理に当たって、例えば鉱石画像部の領域としては鉱石画像部の外接四角形で囲まれる領域を用い、また、結合部の設定値(x0,y0)は隣接する複数の鉱石画像部が一つの鉱石であることを示す指標として予め選定されればよく、例えば(0,0)あるいは0に近似する値が用いられる。
本例は、撮像器具3による撮像結果から割り出した濃淡情報を利用し、目的鉱物、目的鉱物外の鉱石部分、背景部の三つの領域に区分すべく三値化し、三値化画像をラベリングすることで鉱石画像部、鉱石画像部に対する目的鉱物の含有比率を求める方式である。
更に、判別装置4の別の好ましい態様としては、目的鉱物の含有比率について予め決められた閾値が50%未満の値として選定されているものが挙げられる。
岩石粉砕物1をある程度大きく粗粉砕した場合に、目的鉱物の含有比率が低い鉱石であっても、鉱石の大きさが大きい分、目的鉱物の含有量はそれほど少ないと言えない場合がある。本態様は、このような場合に、鉱石の良否を判別する基準としての閾値を低く設定することで、鉱石の良否をより広範囲で選別することを企図したものである。
本例は、岩石粉砕物1を複数の方向から撮像することができるため、岩石粉砕物1に含まれる目的鉱物の含有比率を複数方向から確認することが可能である。但し、空気吹付器具5による空気の吹付動作は空気吹付器具5の配設位置によって決まっているため、鉱石画像部の領域の大きさ判別については、空気吹付器具5による空気の吹付け方向と同じ側に設けられた第1の撮像器具による撮像結果を使用することにした。
更に、空気吹付器具5の好ましい態様としては、空気の吹き付け力、吹き付け量を十分に確保するという観点からすれば、吹付対象物Tg(図2参照)の投影面の略全域に向けて空気を吹き付けるものが挙げられる。
更にまた、空気吹付器具5の好ましい態様としては、空気が個別に吹き付け可能なノズルを吹付対象物の移動軌跡に交差するように並設すると共に、並設されたノズル列を複数段有するものが挙げられる。本例はノズル列が複数段である態様を示すが、各列のノズルの空気の吹付タイミングは同時でもよいし、別個でもよい。また、吹き付け方向は平行でもよいし、非平行として一箇所に集中して吹き付けるようにしてもよい。
◎実施の形態1
−鉱石選別装置の全体構成−
図3は実施の形態1に係る鉱石選別装置の全体構成を示す説明図である。
同図において、鉱石選別装置20は、選別対象である鉱石(例えば金鉱石)を含む岩石粉砕物が収容される収容容器21を有し、この収容容器21には岩石粉砕物が予め決められた大きさ、例えば最大径寸法50〜75mmの大きさに揃えられるための篩22を付設すると共に、図示外の水洗器具を付設し、収容容器21内で岩石粉砕物を水洗しながら篩22にかけて所定範囲の大きさの岩石粉砕物のみを通過するようにしたものである。
そして、本例では、収容容器21の篩22の下方には振動フィーダ23が傾斜配置されており、この振動フィーダ23の下流側には案内シュート24を介してベルトコンベア25が配設されている。
本例では、搬送ベルト26は岩石粉砕物Gが搬送可能な厚肉の耐摩耗性のベルト材料(例えばスチールコード、不織布等の補強材を含むエチレン、プロピレン等の弾性ゴム)を用いて構成されており、その表面部には適度な摩擦抵抗を具備させることで、案内シュート24を介して搬入された岩石粉砕物Gを不必要に転がすことなく、適度の間隔をおいて保持して搬送するようになっている。
そして、本例では、ベルトコンベア25は駆動モータ29によって搬送ベルト26を予め決められた速度vcで搬送するように調整されている。
尚、図3において、ベルトコンベア25上には岩石粉砕物Gが予め決められた許容幅寸法内において載せられているが、この岩石粉砕物Gには選別対象である鉱石の良品Ga(図中○で表記)と、所謂ずりと称される不良品Gb(図中●で表記)とが含まれている。ここでいう鉱石の良品Ga・不良品Gbの判別基準の詳細については後述する。
そして、岩石粉砕物Gの落下軌跡wの途中に位置する撮像位置Q1に対向した部位には撮像器具としてのカメラ30が略水平方向に沿って配設されており、更に、カメラ30の近傍には撮像位置Q1を照明するための照明ランプ40が一若しくは複数設けられている。
更に、岩石粉砕物Gの落下軌跡wの途中のうち撮像位置Q1の下方に位置する吹付位置Q2に対向する部位には空気吹付器具50の一要素であるノズルアレイ51が配設されている。
更にまた、岩石粉砕物Gの落下軌跡wにおける吹付位置Q2の下方には、選別対象である鉱石の良品Ga・不良品Gbを選別した収容する選別容器70が設置されている。
また、符号80はカメラ30、照明ランプ40、空気吹付器具50及び駆動モータ29に対して所定の制御信号を送出し、各要素を制御する制御装置である。
本実施の形態において、ベルトコンベア25(具体的には搬送ベルト26)の搬送速度vcは以下のように選定されている。
本例において、ベルトコンベア25の搬送方向下流側に位置する張架ロール28は直径dであり、搬送ベルト26は直径dの張架ロール28に掛け渡されて断面半円状に湾曲配置されている。
ここで、岩石粉砕物Gはベルトコンベア25の搬送ベルト26のうち水平方向に延びる直線部26aに載置されて搬送され、搬送ベルト26の直線部26aから湾曲部26bに至る部位にて水平方向に放出される。
このとき、搬送ベルト26の搬送速度を所定の閾値よりも速く設定すると、岩石粉砕物Gの水平方向への放出速度が速くなり、岩石粉砕物Gが搬送ベルト26の湾曲部26bから離れた状態で飛翔してしまう。この場合、岩石粉砕物Gの落下軌跡wは粒径(重さ)の違いによりばらつきはあるものの、比較的安定したものとして得られるが、岩石粉砕物Gの水平方向の放出速度が速すぎると、岩石粉砕物Gの水平方向の飛行距離が大きくなってしまい、その分、カメラ30や空気吹付器具50の設置スペースをベルトコンベア25から十分に離れた位置に確保することが必要であり、鉱石選別装置20の大型化につながる懸念がある。
一方、搬送ベルト26の搬送速度が所定の閾値を下回ると、岩石粉砕物Gが搬送ベルト26の湾曲部26bの先端位置に相当する落下開始位置に至るまで搬送ベルト26に接触した状態で搬送されるという落下軌跡を描くが、搬送ベルト26の搬送速度が極端に遅くなると、岩石粉砕物Gが搬送ベルト26の湾曲部26bとの接触部位で滑り移動してしまい、搬送ベルト26から離れる岩石粉砕物Gの落下開始位置がばらついたり、あるいは、滑り移動した岩石粉砕物Gが湾曲部26b上で転動し、搬送ベルト26から離れる岩石粉砕物Gの落下開始姿勢がばらついてしまい、岩石粉砕物Gの落下軌跡wが不安定になり易い懸念がある。
そこで、本実施の形態では、搬送ベルト26の湾曲部26bでは、岩石粉砕物Gが湾曲部26bの周面の曲率に近い曲率の落下軌跡wを描いて当該湾曲部26bとの接触部位では滑らずに搬送されるように、搬送ベルト26の搬送速度が予め決められた搬送速度vcに選定されている。
尚、具体的な選定例については実施例にて詳述する。
本実施の形態において、カメラ30は、図3乃至図5に示すように、モノクロCCD等の撮像素子31を所定の画素密度間隔kで水平方向に沿って配列したラインセンサにて構成され、撮像位置Q1にて落下する岩石粉砕物Gを逐次撮像するようにしたものである。
本例では、カメラ30は、ベルトコンベア25の搬送ベルト26の直線部26aに沿った水平位置から鉛直方向にh0だけ下方の撮像位置Q1を有し、当該撮像位置Q1を横切る岩石粉砕物Gの投影面積及び岩石粉砕物Gの濃淡情報を含む撮像情報を取得するようになっている。尚、本例では、選別対象が金鉱石であり、目的鉱物である金はモノクロ画像中では白色に近い画像になることから、岩石粉砕物Gの投影面積内での濃淡画像のうち白色に近い画像部の占める比率が目的鉱物の含有比率になり、この含有比率が予め決められた閾値以上か否かによって鉱石の良品・不良品を判別することが可能である。
本実施の形態において、空気吹付器具50の一要素であるノズルアレイ51は、図3乃至図5に示すように、ベルトコンベア25の搬送ベルト26の直線部26aに沿った水平位置から鉛直方向にh1(h1>h0)だけ下方の吹付位置Q2に対向して配置されており、略水平方向に亘って複数の吹付ノズル52を所定ピッチ間隔pで配列したものであり、各吹付ノズル52による空気の吹付け動作を夫々対応する電磁弁53にてオンオフ制御するようになっている。
ここで、吹付ノズル52の内径u及びピッチ間隔pは適宜選定して差し支えないが、岩石粉砕物Gへの空気の吹付けを良好に保つという観点からすれば、岩石粉砕物Gの最小寸法(本例では50mm)よりも小さく設定されていればよく、例えば8〜20mm位(本例ではいずれも10mm前後)に設定されている。
本例では、ノズルアレイ51が例えばn個の吹付ノズル52が一列に並んでいると仮定すると、各吹付ノズル52に対応する電磁弁53は複数段(本例では4段)に分かれ、各段にn/4個ずつ配列された電磁弁ユニット54として構成されている。そして、所定の圧力(例えば0.7〜1.0MPa)に加圧された圧搾空気が貯留されているエアタンク55が設けられ、このエアタンク55が各電磁弁53の流路に連通接続されており、対応する電磁弁53のオン動作に伴ってエアタンク55の圧搾空気が対応する吹付ノズル52に供給され、吹付ノズル52による空気の吹付け動作が行われる。
また、各電磁弁53には電磁弁駆動回路56からのオンオフ信号が発生するようになっており、この電磁弁駆動回路56には制御装置80からの制御信号が送出される。
特に、本例では、制御装置80は、カメラ30による撮像結果から岩石粉砕物Gが鉱石の良品Gaであると判別したときに、当該鉱石の良品Gaが吹付位置Q2を通過するタイミングにて対応する電磁弁53をオン動作させ、対応する吹付ノズル52による空気の吹付け動作を実施するものである。
本実施の形態において、選別容器70は、図3及び図4に示すように、吹付位置Q2から鉛直方向にh2だけ下方に鉱石の良品Ga・不良品Gbの収容領域(本例では、第1の収容領域R1が良品Ga、第2の収容領域R2が不良品Gbの収容領域として使用)を確保するようになっており、更に、吹付位置Q2の略直下位置には各収容領域R1,R2が仕切られる仕切り壁71を有している。
ここで、各吹付ノズル52による空気の吹付け動作に伴って鉱石の良品Gaが吹き付けられると、当該鉱石の良品Gaは不良品Gbの落下軌跡w2とは異なる落下軌跡w1にて落下することになるが、この鉱石の良品Gaの落下軌跡w1としては、良品Gaが決められた収容領域R1に確実に収容されるように、仕切り壁71からの飛び出し量jが十分に確保されていればよく、吹付位置Q2から選別容器70までの距離h2は飛び出し量jが十分確保されるように選定すればよい。
本実施の形態では、制御装置80は、岩石粉砕物Gから鉱石の良品Ga・不良品Gbが選別可能な鉱石選別処理プログラム(図6参照)を有しており、このプログラムを実行することにより、鉱石の良品Gb及び不良品Gbの選別を実施するようになっている。
今、図3及び図6に示すように、図示外のスタートスイッチをオン操作すると、鉱石選別装置20が稼働し、収容容器21内で岩石粉砕物Gが水洗されながら篩22にかけられ、所定範囲の寸法に絞られた後、振動フィーダ23及び案内シュート24を介してベルトコンベア25上に岩石粉砕物Gが供給される。
このとき、ベルトコンベア25は所定の搬送速vcにて搬送されており、ベルトコンベア25上の岩石粉砕物Gは所定の搬送速度vcにて搬送され、ベルトコンベア25の搬送方向下流側にて張架ロール28に沿う搬送ベルト26の湾曲部26bの周面の曲率に近い曲率の落下軌跡wを描いて落下する。
ここで、カメラ30からの撮像画像としては、例えば図9(a)〜(c)に示すように、多階調(例えば256階調)の濃淡レベルで表示される画像が得られる。
つまり、カメラ30からの撮像画像には、岩石粉砕物Gとしての鉱石画像部と背景部とが表示され、鉱石画像部の領域内に目的鉱物が適宜分布するようになっている。本例では、目的鉱物である金を含有する石英は白色であることから、鉱石画像部のうち、白色若しくは白色に近い画像部が目的鉱物であり、それ以外の灰色又は黒色に近い画像部が目的鉱物以外の部分であり、背景部が黒色であることが理解される。
尚、図9において、(a)は目的鉱物の含有比率が多い鉱石の撮像画像例、(b)は目的鉱物の含有比率の少ない鉱石の撮像画像例、(c)は目的鉱物が含有されていないズリの撮像画像例を示す。
本例では鉱石の良否判別法として、図7及び図8(a)(b)に示すように、カメラ30による撮像結果から鉱石画像部Sbか背景部Scかを判別する第1の判別処理と、第1の判別処理にて判別された隣接する鉱石画像部Sbの領域間の距離が予め決められた設定値以内であれば隣接する鉱石画像部Sbの領域を一つの鉱石として結合し、それ以外であれば別の鉱石として非結合とする結合処理と、結合処理後のそれぞれの鉱石画像部Sbの領域に対して目的鉱物Saの含有比率を算出し、目的鉱物Saの含有比率が予め決められた閾値α以上か否かによって鉱石の良品・不良品を判別する第2の判別処理と、を有し、全ての鉱石の判別が終了するまで継続して実施する手法が用いられている。
そして、本例では、鉱石の良否判別を実施するに当たり、カメラ30による撮像結果から多階調(例えばモノクロ濃淡8ビット)の濃淡情報を割り出し、例えば図9(a)〜(c)に示すように、濃淡情報を、目的鉱物、目的鉱物以外の鉱石部分及び背景部に対応して予め決められた閾値によって三値化し、図8(a)に示すように、三値化画像の背景部Sc以外を鉱石画像部Sbとして判別し、三値化画像の鉱石画像部Sbに対する目的鉱物Saの占有面積から目的鉱物の含有比率を算出する手法が用いられている。
本例では、第1の判別処理にて鉱石画像部Sbか背景部Scかを判別するが、例えば図9(b)に示すように、鉱石画像部Sbの領域内に脈状の目的鉱物Saが少ない比率で含有され、かつ、脈状の目的鉱物Saが鉱石画像部Sbの領域を分断するように配置されている場合には、例えば図8(b)に示すように、本来は一つの鉱石であるが、複数の鉱石画像部Sb(図中Sb1,Sb2)に分離して表示される事態が起こり得る。
このとき、複数の鉱石画像部Sbを個別の鉱石として一律に決めてしまうと、同じ鉱石に対して良品又は不良品と異なる判別をする虞れがある。このため、本例では、結合処理として、図8(b)に示すように、隣接する複数の鉱石画像部Sb(Sb 1 ,Sb 2 )の領域として鉱石画像部Sbの外接四角形で囲まれる図中点線で示す領域M(M1,M2)を用い、これらの外接四角形間の距離が所定の設定値(x0,y0)以内であれば一つの鉱石として結合し、図中一点鎖線で示す領域Uを鉱石画像部の領域とする一方、前述した外接四角形間の距離が所定の設定値(x0,y0)を超えた値のときには両者を非結合として別個の鉱石として扱う処理が行われる。
尚、結合処理の設定値(x0,y0)は隣接する複数の鉱石画像部Sb(Sb1,Sb2)が一つの鉱石であることを示す指標として予め選定されればよく、(0,0)あるいは0に近似する値が用いられる。
(Sa/Sb)≧α ……(式1)
ここで、αは鉱石の良品Gaであることを許容する割合(例えば30%)を示す閾値である。
本例では、前述したように、三値化画像の鉱石画像部Sbに対する目的鉱物Saの占有面積から目的鉱物Saの含有比率を算出する手法が用いられている。この場合、目的鉱物Saは白領域、鉱石画像部Sbは目的鉱物Saを含む鉱石全体で、白領域と灰色領域であるため、Sa/Sb=(白領域)/(白領域+灰色領域)として演算される。
例えば図9(a)に示すケースでは、(Sa/Sb)≧αの条件を満たし、当該岩石粉砕物Gを鉱石の良品Gaと判別する。
また、図9(b)に示すケースでは、(Sa/Sb)≧αの条件を満たすか否かにより、当該岩石粉砕物Gを鉱石の良品Ga又は不良品Gbと判別する。
更に、図9(c)に示すケースでは、(Sa/Sb)<αであることから、当該岩石粉砕物Gを鉱石の不良品Gbとして判別する。
このとき、撮像位置Q1と吹付位置Q2とでは、鉱石の良品Gaの落下速度が異なるが、両者間の距離は一定であるため、撮像位置Q1を通過した鉱石の良品Gaが吹付位置Q2に到達するまでの落下時間は一定であり、これに基づいて、吹付ノズル52による空気の吹付け動作タイミングが決定される。
本例では、制御装置80は、図6に示すように、吹付位置Q2を過ぎる鉱石の良品Gaに対し、対応する吹付ノズル52による空気の吹付け動作を実施するように、空気の吹付け条件を演算した後、この空気の吹付け条件に基づいて制御信号を生成する。
今、ノズルアレイ51に対向して鉱石の良品Gaが落下していくと、制御装置80は、吹付位置Q2を通過する鉱石の良品Gaの落下移動位置を認識し、図10(b)の時間経過(t=Δt→6Δt)に伴って、鉱石の良品Gaに対応する位置の吹付ノズル52にて空気の吹付け動作を行うようにする。尚、図10(b)中、○の吹付ノズル52は空気の吹付け動が不実施、●の吹付ノズル52は空気の吹付け動作を実施している状態を示す。
このような吹付ノズル52による空気の吹付け動作が実施されると、鉱石の良品Gaの重力方向に面した投影面の略全域に亘っては圧搾空気が吹き付けられ、選別容器70の仕切り壁71から十分な飛び出し量jをもった落下軌跡w2を経て第2の収容領域R2に収容される。本例では、鉱石の良品Gaの重力方向に面した投影面の略全域に圧搾空気が吹き付けられているが、前述した投影面の過半領域に圧搾空気を吹き付けるようにすれば、選別容器70に対する鉱石の選別動作は良好に実施可能である。
尚、鉱石の不良品Gbに対しては、吹付ノズル52による空気の吹付け動作は実施されないため、鉱石の不良品Gbは、予め決められた落下軌跡wに連なる落下軌跡w2を経て第2の収容領域R2に収容される。
更に、本実施の形態では、ベルトコンベア25から落下した岩石粉砕物Gである鉱石は落下に伴って重力加速度が働き、落下方向に散らばる挙動を示す。このため、ベルトコンベア25上への岩石粉砕物Gの供給量については岩石粉砕物Gが重ならない程度のばらつきでよく、水平飛行方式を採用する場合のように、ベルトコンベア25上に分散させた状態で岩石粉砕物Gを供給する必要はない。
本実施の形態では、カメラ30は、空気吹付器具50による空気の吹付方向と同じ側に1つ設置されているが、これに限られるものではなく、更に、カメラ30とは異なる方向から撮像可能な別のカメラ(図示せず)を一若しくは複数設置し、カメラ30による撮像結果に基づいて鉱石画像部Sbの領域を判別する一方、カメラ30と別のカメラの両方の撮像結果を参照して鉱石画像部Sbに含まれる目的鉱物Saの含有比率をより算出するようにしてもよいことは勿論である。本例では、鉱石画像部Sbに含まれる目的鉱物Saの含有比率を複数方向から確認することが可能であるため、鉱石画像部Sbに含まれる目的鉱物Saの含有比率を適宜補正することで算出精度を高めることができる。
例えば2つのカメラを設置する場合には、カメラ30と当該カメラ30の反対側から同じ角度で撮像する別のカメラ(図示せず)とを設置するようにすれば、鉱石の両面を同じ角度で見ることになり、判別すべき鉱石画像部Sbの領域を共通にした状態で目的鉱物Saの含有比率を算出することができる点で好ましい。
図11は実施の形態2に係る鉱石選別装置の要部を示す説明図である。
同図において、鉱石選別装置20の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なる空気吹付器具50を備えている。尚、実施の形態1と同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、空気吹付器具50は上下2段のノズルアレイ51a,51bを有しており、各ノズルアレイ51a,51bには夫々吹付ノズル52を所定ピッチ間隔毎に配列したものである。
本実施の形態では、上下2段のノズルアレイ51a,51bは、例えば図12(a)に示すように、各列の吹付ノズル52による空気の吹付け動作を同時に実施する態様(同時打撃方式)でもよいし、図12(b)に示すように、各列の吹付ノズル52による空気の吹付け動作を時間差をもって実施する態様(時間差打撃方式)でもよい。
また、本例では、今、ノズルアレイ51a,51bに対向して鉱石の良品Gaが落下していくと、制御装置80は、吹付位置Q2を通過する鉱石の良品Gaの落下移動位置を認識し、図12(c)の時間経過(t=Δt→6Δt)に伴って、鉱石の良品Gaに対応する位置の吹付ノズル52にて空気の吹付け動作を行うようにする。尚、図12(c)中、○の吹付ノズル52は空気の吹付け動が不実施、●の吹付ノズル52は空気の吹付け動作を実施している状態を示す。
このような吹付ノズル52による空気の吹付け動作が実施されると、実施の形態1に比べて、鉱石の良品Gaは約2倍の圧搾空気によって吹き付けられ、選別容器70の仕切り壁71から更に十分な飛び出し量jをもった落下軌跡w1を経て第1の収容領域R1に収容される。
本実施の形態では、空気吹付器具50として、上下2段のノズルアレイ51a,51bを採用しているが、これに限られるものではなく、例えば図13(a)に示すように、上下3段のノズルアレイ51a〜51cを有し、各ノズルアレイ51a〜51cには夫々吹付ノズル52を所定ピッチ間隔毎に配列したものである。
本変形の形態では、上下3段のノズルアレイ51a,51bは、例えば図13(a)に示すように、各列の吹付ノズル52による空気の吹付け動作を同時に実施する態様(同時打撃方式)でもよいし、図13(b)に示すように、各列の吹付ノズル52による空気の吹付け動作を時間差をもって実施する態様(時間差打撃方式)でもよい。
更に、図13(c)に示すように、各列の吹付ノズル52を平行に配置し、平行な空気流による吹付け動作を実施する態様(平行打撃方式)でもよいし、図13(d)に示すように、各列の吹付ノズル52を角度を付けて一点に集中するように配置し、一点に集中する空気流による吹付け動作を実施する態様(一点集中打撃方式)でもよい。
尚、空気吹付器具50として、上下4段以上のノズルアレイを採用するようにしてもよいことは勿論である。
本実施例は、実施の形態1に係る鉱石選別装置を具現化したものについて、その性能を評価したものである。
本実施例は、図14(a)に示すように、ベルトコンベア25の搬送方向端部から鉱石が含まれる岩石粉砕物Gを繰り出し落下させたものである。
ここで、岩石粉砕物Gとしては転がりやすい形状のものを選定した。
図14(a)において、Aはベルトコンベア25の岩石粉砕物Gの搬送面から0.5m下方の位置、BはA位置から0.5m下方の位置である。
tfはAからBに至るまでの落下時間(落下距離)、xはベルトコンベア25の先端位置からBに至るまでの飛び出し量(1m落下時)、θはAからBに至るまでの回転量(100ms当たり)を示し、夫々複数回(N=10回)実験を行った。
本例では、ベルトコンベア25の張架ロール径は200mmで、ベルトコンベアの搬送速度は1m/sである。
尚、比較例1は、ベルトコンベア25を用いずに、振動フィーダ23から直接落下させたものである。但し、振動フィーダ23の振動条件は60Hz、搬送速度は8m/min.である。
実施例1,比較例1についての比較項目の結果を図14(b)に示す。
実施例1は、全ての比較項目において、比較例1よりもばらつきが少なく、岩石粉砕物Gの落下挙動が安定することが理解される。
但し、落下時間のばらつきは、700mmから1200mmとした。また、飛び出し量のばらつきについては落差を1200mmとした。更に、回転量のばらつきについては700mmから1200mmでの落差間とした。
図15は落下時間のばらつきを示すものである。
ここで、「食い込み量0」とは、岩石粉砕物が張架ロールに掛け渡された搬送ベルトの湾曲部の周面の曲率に沿った落下軌跡を描いて搬送されるようにベルトコンベアの搬送速度を選定した場合に相当し、また、「食い込み無し」とは、岩石粉砕物が張架ロールに掛け渡された湾曲部の曲率未満の曲率軌跡を描いて搬送されるようにベルトコンベアの搬送速度を選定した場合に相当し、「食い込み有り」とは、岩石粉砕物が張架ロールに掛け渡された湾曲部の曲率より大きい曲率軌跡を描いて搬送されるようにベルトコンベアの搬送速度を選定した相当に相当する。
同図によれば、「食い込み無し」の場合には、「食い込み有り」の場合に比べて、落下時間のばらつきが小さいことが理解され、また、「食い込み有り」の場合には、「食い込み量0」に相当する速度(図15では1.04m/s)に対して遅くなればなるほど落下時間のばらつきが大きくなることが理解される。このことは、ベルトコンベアの搬送速度を極端に遅くした場合には、岩石粉砕物がベルトコンベアの湾曲部から繰り出し落下する際に、岩石粉砕物がベルトコンベアの湾曲部との接触部位で滑り移動してしまい、これに伴って、ベルトコンベアからの落下開始位置や落下開始姿勢がばらつくことに起因するものと推測される。
また、図16は岩石粉砕物の飛び出し量のばらつき、図17は岩石粉砕物の回転量のばらつきであるが、いずれも、「食い込み量0」、「食い込み量無し」の場合に、「食い込み量有り」の場合に比べて、岩石粉砕物の飛び出し量、回転量のばらつきが小さいことが理解され、また、「食い込み有り」の場合には、「食い込み量0」に相当する速度に対して遅くなればなるほど飛び出し量、回転量のばらつきが大きくなることが理解される。
尚、実施例1において、張架ロール径を200mmから300mmのものに変更し、ベルトコンベア25の搬送速度を変化させた条件で、各搬送速度で20回ずつ実験を行い、岩石粉砕物の落下時間のばらつき、飛び出し量のばらつき、回転量のばらつきを調べたところ、張架ロールが200mmの場合と略同様な傾向が見られた。
同図によれば、ベルトコンベアの搬送速度が1m/s(「食い込み量0」に略相当する速度)である場合、岩石粉砕物の落下軌跡はベルトコンベアの湾曲部の曲率に略対応しており、落下軌跡が安定することが理解される。また、ベルトコンベアの搬送速度を例えば1.2m/sにすると、岩石粉砕物の落下軌跡はベルトコンベアの湾曲部の曲率未満になるが、ベルトコンベアの湾曲部の曲率に近い曲率の軌跡に変化することが理解される。尚、「食い込み有り」の場合でも、食い込み量0の近傍(例えばベルトコンベアの搬送速度を0.8m/sにする)であれば、岩石粉砕物の落下軌跡はベルトコンベアの湾曲部の曲率に近い軌跡になることが理解される。
更に、ベルトコンベアの張架ロール(本例では張架ロール径:300mm)に掛け渡された部分における岩石粉砕物の落下軌跡をベルトコンベアの搬送速度を変えて調べたところ、図19に示す結果が得られた。
同図によれば、ベルトコンベアの搬送速度が1.2m/s(「食い込み量0」に略相当する速度)である場合、岩石粉砕物の落下軌跡がベルトコンベアの湾曲部の曲率に略対応しており、落下軌跡が安定することが理解される。また、ベルトコンベアの搬送速度を例えば1.4m/sにすると、岩石粉砕物の落下軌跡はベルトコンベアの湾曲部の曲率未満になるが、ベルトコンベアの湾曲部の曲率に近い曲率の軌跡に変化することが理解される。尚、「食い込み有り」の場合でも、食い込み量0の近傍(例えばベルトコンベアの搬送速度を1.0m/sにする)であれば、岩石粉砕物の落下軌跡はベルトコンベアの湾曲部の曲率に近い軌跡になることが理解される。
よって、「食い込み無し」の場合、つまり、「食い込み量0」に相当するベルトコンベアの速度を超える速度条件であれば、岩石粉砕物の落下軌跡は安定するが、ベルトコンベアの速度を速く設定し過ぎると、岩石粉砕物の水平方向に沿う移動量が大きくなることから、岩石粉砕物の水平方向に沿う移動量を少なくするという観点からすれば、「食い込み量0」に相当するベルトコンベアの速度に近い速度を選定することが好ましい。
また、「食い込み有り」の場合には、「食い込み量0」の近傍では岩石粉砕物の落下軌跡はベルトコンベアの湾曲部の曲率に近い軌跡にはなるものの、岩石粉砕物の形状によっては岩石粉砕物の落下時間、飛び出し量、あるいは、回転量のばらつきが大きくなる可能性があるため、ベルトコンベアの搬送速度の選定に当たっては、少なくとも「食い込み有り」を除き、「食い込み量0」又は「食い込み無し」で「食い込み量0」の近傍を許容範囲として選定することが好ましい。
実施例2は実施の形態2に係る鉱石選別装置を具現化したもので、空気吹付器具50による空気の吹付け条件を変えて、鉱石の選別性能を評価するようにしたものである。
本例では、以下の4つの態様について、鉱石の選別性能(飛距離j)を評価した。
(1)1列吹付ノズル
エア圧力 0.7MPa
(2)2列吹付ノズル
エア圧力 0.7MPa
同時打撃方式
(3)2列吹付ノズル
エア圧力 1.0MPa
同時打撃方式
(4)2列吹付ノズル
エア圧力 1.0MPa
時間差打撃方式
尚、(1)は比較の意味で1列吹付ノズル方式について同様な実験を行った。
1列吹付ノズル方式よりも2列吹付ノズル方式による空気の吹付け動作を実施した方が選別容器の仕切り壁からの飛距離(飛び出し量)jが大きく、鉱石の選別性能が高いことが理解される。
また、2列吹付ノズル方式においては、エア圧が高い方が飛距離jが大きいことが理解される。
更に、2列吹付ノズル方式では、同時打撃個方式より時間差打撃方式の方が飛距離jが大きいことが理解される。
尚、図20中、Pzは吹付ノズルによる空気の吹付け動作を実施しない条件下での鉱石の不良品の落下位置を示す。
1a 鉱石の良品
1b 鉱石の不良品
2 供給装置
3 撮像器具
4 判別装置
5 空気吹付器具
6 ベルト状搬送体
7 選別容器
A 供給工程
B 撮像工程
C 判別工程
D 選別工程
Claims (7)
- 岩石粉砕物から目的鉱物の含有比率にて予め決められた鉱石の良品・不良品を選別するに際し、
前記岩石粉砕物を予め決められた移動軌跡で移動させるように供給する供給工程と、
前記供給工程で供給された前記岩石粉砕物を移動軌跡の途中で撮像する撮像工程と、
前記撮像工程による撮像結果に基づいて、鉱石画像部と背景部とを切り分けることで鉱石画像部の領域を決定した後、各鉱石画像部の領域内の目的鉱物の含有比率を算出することで鉱石の良品・不良品を判別する判別工程と、
前記判別工程にて判別された鉱石の良品・不良品のいずれか一方を吹付対象物とし、前記吹付対象物に向けて当該吹付対象物の投影面の少なくとも過半領域に空気を吹き付け、鉱石の良品・不良品の移動軌跡を異ならせることで両者を選別する選別工程と、
を備え、
前記判別工程は、
前記撮像工程による撮像結果から濃淡情報を割り出し、前記濃淡情報を、目的鉱物、目的鉱物以外の鉱石部分及び背景部に対応して三値化し、三値化画像の背景部以外を鉱石画像部として判別する第1の判別工程と、
前記第1の判別工程にて判別された隣接する鉱石画像部の領域として当該鉱石画像部の外接四角形で囲まれる領域を用い、これらの外接四角形間の距離が予め決められた設定値以内であれば前記隣接する鉱石画像部の領域を一つの鉱石として結合し、それ以外であれば別の鉱石として非結合とする結合工程と、
前記結合工程による処理後に一つの鉱石とされた鉱石画像部の領域に対して目的鉱物の含有比率を算出し、目的鉱物の含有比率が予め決められた閾値以上か否かによって鉱石の良品・不良品を判別する第2の判別工程と、を有することを特徴とする鉱石選別方法。 - 岩石粉砕物から目的鉱物の含有比率にて予め決められた鉱石の良品・不良品を選別する鉱石選別装置であって、
前記岩石粉砕物を予め決められた移動軌跡で移動させるように当該岩石粉砕物を供給する供給装置と、
前記供給装置にて供給された前記岩石粉砕物を移動軌跡の途中で撮像する撮像器具と、
前記撮像器具による撮像結果に基づいて、鉱石画像部と背景部とを切り分けることで鉱石画像部の領域を決定した後、各鉱石画像部の領域内の目的鉱物の含有比率を算出することで鉱石の良品・不良品を判別する判別装置と、
前記判別装置にて判別された鉱石の良品・不良品のいずれか一方を吹付対象物とし、鉱石の良品・不良品の移動軌跡を異ならせることで両者を選別するように、前記吹付対象物に向けて当該吹付対象物の投影面の少なくとも過半領域に空気を吹き付ける空気吹付器具と、
を備え、
前記判別装置は、
前記撮像器具による撮像結果から濃淡情報を割り出し、前記濃淡情報を、目的鉱物、目的鉱物以外の鉱石部分及び背景部に対応して三値化し、三値化画像の背景部以外を鉱石画像部として判別する第1の判別部と、
前記第1の判別部にて判別された隣接する鉱石画像部の領域として当該鉱石画像部の外接四角形で囲まれる領域を用い、これらの外接四角形間の距離が予め決められた設定値以内であれば前記隣接する鉱石画像部の領域を一つの鉱石として結合し、それ以外であれば別の鉱石として非結合とする結合部と、
前記結合部による処理後に一つの鉱石とされた鉱石画像部の領域に対して目的鉱物の含有比率を算出し、目的鉱物の含有比率が予め決められた閾値以上か否かによって鉱石の良品・不良品を判別する第2の判別部と、を有することを特徴とする鉱石選別装置。 - 請求項2に記載の鉱石選別装置において、
前記判別装置は、目的鉱物の含有比率について予め決められた閾値が50%未満の値として選定されていることを特徴とする鉱石選別装置。 - 請求項2に記載の鉱石選別装置において、
前記撮像器具は、前記空気吹付器具による空気の吹付方向と同じ側に設置される第1の撮像器具と、前記第1の撮像器具とは異なる方向から撮像可能な第2の撮像器具とを含み、
前記判別装置は、前記第1の撮像器具による撮像結果に基づいて前記鉱石画像部の領域を判別する一方、第1及び第2の撮像器具による両方の撮像結果を参照して前記鉱石画像部に含まれる目的鉱物の含有比率を算出することを特徴とする鉱石選別装置。 - 請求項2に記載の鉱石選別装置において、
前記岩石粉砕物のサイズが予め決められた最小寸法以上最大寸法以下の範囲内であるときに、
前記空気吹付器具は、空気が個別に吹き付け可能であって前記最小寸法より小径のノズルを前記最小寸法未満のピッチで前記吹付対象物の移動軌跡に交差するように並設することを特徴とする鉱石選別装置。 - 請求項2に記載の鉱石選別装置において、
前記空気吹付器具は、前記吹付対象物の投影面の略全域に向けて空気を吹き付けることを特徴とする鉱石選別装置。 - 請求項2に記載の鉱石選別装置において、
前記空気吹付器具は、空気が個別に吹き付け可能なノズルを前記吹付対象物の移動軌跡に交差するように並設すると共に、並設されたノズル列を複数段有することを特徴とする鉱石選別装置。
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