JP6732669B2 - セメントの水和熱の予測方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポルトランドセメントや混合セメントの水和熱の予測方法に関する。
従来より、セメントの水和熱の測定方法として、JIS R 5203「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に規定される方法が、最も一般的に用いられている。この方法は、セメントの水和熱の差異を比較するには簡便な方法であるが、測定値を得るまでに所定の材齢日数を必要とし、また厳密には水和熱を直接的に測定しないために実際値との差が拡大してしまうおそれがある。
一方、セメントの水和熱を直接的に測定し得る装置として、コンダクションカロリメータ(伝導型熱量計。コンダクションマイクロカロリメータ(伝導型微小熱量計)とも称される。以下、「カロリメータ」ともいう。)が知られている。かかる装置を用いれば、セメントの水和発熱速度を直接的に測定した値をリアルタイムに連続して得ることができるだけでなく、時間の経過に伴い自動的にその値が蓄積されていくため、これを水和熱に相当する積算発熱量として得ることもできる。そのため、米国(ASTM C1702)や北欧(NT build 505)では、こうしたカロリメータを用いることによるポルトランドセメントの水和熱の測定方法が規格化されている。しかしなから、こうした測定方法であっても、あくまでも所定材齢までポルトランドセメントの水和発熱速度を連続的に測定し、その積算値から所定材齢の水和熱を求めることから、依然として水和熱を得るまでに長時間を要する方法であることには変わりはない。
こうしたなか、セメントの水和発熱速度を利用した技術の開発も試みられている。例えば、非特許文献1には、84時間(3.5日)まで測定した水和発熱速度の積算値を下記式(X)でフィッティングし、材齢7日のポルトランドセメントの水和熱を推定する方法が開示されている。また、非特許文献2には、セメントの水和発熱速度曲線を下記式(Y)でフィッティングできることが開示されている。
(上記式(X)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、aは係数(J/g)、bは水和発熱速度曲線の形状から決定される定数(時間)、cは水和発熱速度曲線の形状から決定される定数を示す。)
(上記式(Y)中、Qは水和熱(cal/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(cal/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率を表す係数、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(cal/(g・時間))、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率を表す係数、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)を示す。)
Sedaghat,A.R.外2名、「Measurements and Predictions of Heat of Hydration of Portland Cement Using Isothermal Conduction Calorimetry」、ASTM Journal of Testing and Evaluation、2013、Vol.41 No.6, p.1-8, 岡本寛昭 外4名、「セメントの初期水和発熱過程の数理モデル」、土木学会第46回年次学術講演会講演概要集、1991年、第46巻第5号、p.176-177,
ところで、カロリメータを用いて得られるセメントの水和発熱速度の蓄積データを基に、上記非特許文献に記載の技術を用いれば、その後の水和発熱速度の変化を予測し、これを積算して水和熱の予測値とし得る。しかしながら、予測値としての精度は依然として低く、またかかる予測値を得るまでの時間を充分に短縮するに至らず、未だ改善の余地がある。
したがって、本発明の課題は、セメントの水和発熱速度曲線を用いつつ、精度の高いセメントの水和熱の予測値を短時間で得ることのできるセメントの水和熱を予測する方法を提供することにある。
そこで本発明者らは、種々検討したところ、セメントの水和発熱速度曲線において、接水直後に現れる第一ピークの形状が頂点を通る軸に対して左右が非対称であること、及びこれまで認識されていなかった僅かなピークが存在することが新たに判明した。これらを考慮することにより、水和発熱速度の変化を実情に即して捉えつつ、精度の高いセメントの水和熱の予測値を短時間で得られるセメントの水和熱の予測方法を見出した。
すなわち、本発明は、次の工程(I)、(II)、(III)及び(IV):
(I)セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程、
(II)得られた水和発熱速度曲線から、下記式(1)及び下記式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程、
水和時間t≦c1のとき:
(式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
水和時間t>c1のとき:
(式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
(III)得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程、及び
(IV)得られた予測式としての式(1)及び式(2)において、式(1)の0≦t≦cまでの水和発熱速度の積分値と、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られるc<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Qを求める工程
を備える、セメントの水和熱の予測方法を提供するものである。
また、本発明は、次の工程(I)、(II)、(III)及び(IV’):
(I)セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程、
(II)得られた水和発熱速度曲線から、下記式(1)及び下記式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程、
水和時間t≦cのとき:
(式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
水和時間t>cのとき:
(式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
(III)得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程、及び
(IV’)得られた予測式としての式(2)において、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られる、測定時間T<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値と、0≦t≦Tの実測した水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Q’を求める工程
を備える、セメントの水和熱の予測方法を提供するものである。
本発明のセメントの水和熱の予測方法によれば、セメントを接水した直後から短時間経過時点までのセメントの水和発熱速度を測定して得られる水和発熱速度曲線を元に、簡易な予測式を用いることで、容易に精度の高いセメントの水和熱の予測値を得ることができる。また、かかる予測方法により得られた予測値を用いれば、セメントの品質を容易に判別することができる。
本発明における工程(I)において、カロリメータを用いて測定することにより求めた、ポルトランドセメントの接水直後から測定時間Tが96時間までの水和発熱速度曲線の概要を示す図(一部拡大図を含む)である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のセメントの水和熱の予測方法は、次の工程(I)、(II)、(III)及び(IV):
(I)セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程、
(II)得られた水和発熱速度曲線から、下記式(1)及び下記式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程、
水和時間t≦c1のとき:
(式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
水和時間t>c1のとき:
(式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
(III)得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程、及び
(IV)得られた予測式としての式(1)及び式(2)において、式(1)の0≦t≦cまでの水和発熱速度の積分値と、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られるc<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Qを求める工程
を備える。
また、本発明は、次の工程(I)、(II)、(III)及び(IV’):
(I)セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程、
(II)得られた水和発熱速度曲線から、下記式(1)及び下記式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程、
水和時間t≦cのとき:
(式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
水和時間t>cのとき:
(式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
(III)得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程、及び
(IV’)得られた予測式としての式(2)において、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られる、測定時間T<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値と、0≦t≦Tの実測した水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Q’を求める工程
を備える。すなわち、工程(I)、(II)、及び(III)は、上記セメントの水和熱Qの予測方法における工程(I)、(II)、及び(III)と共通し、上記工程(IV)の代わりに工程(IV’)を備えるものである。
工程(I)は、セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程である。かかる工程(I)で用いるセメントとしては、普通ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、及び低熱ポルトランドセメントからなる群より選ばれる1種又は2種以上のポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカセメント、石灰石フィラーセメント、多成分系低発熱セメント等の混合セメント、ビーライトセメント、エコセメント、油井・地熱井セメント及び白色ポルトランドセメントが挙げられる。すなわち、本発明では、これらいずれのセメントの水和熱の予測値をも得ることができる。なかでも、得られる予測値の精度を高める観点から、ポルトランドセメントが好ましい。
セメントの水和発熱速度は、セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までの間、連続して測定すればよい。Tは、96以上168以下の整数であればよく、水和熱の予測をしようとするセメントの種類に応じて適宜選択することができる。なかでも、得られる予測値の精度を高めつつ、かかる予測値を得るまでの時間の短縮化を図る観点から、Tを96(時間)とするのが好ましい。すなわち、セメントを接水した直後から4日間経過時点までの間、セメントの水和発熱速度を連続して測定するのが好ましい。
水和発熱速度曲線とは、例えば、図1に示すような曲線を示し、第一ピーク、第二ピーク、及び第三ピークのほか、本発明において新たに確認された第四ピーク以降のピークも存在する。第一ピークは、主にセメント中のCAと石こうによるセメントの初期水和反応に起因するものであり、水和発熱速度の変化が急激なピークである。第二ピークは、主にセメント中のCSの水和反応に起因するものであり、第三ピークは、第一ピークでのセメントの初期水和反応で生成したエトリンガイト(3CaO・Al・3CaSO・32HO)がモノサルフェート(3CaO・Al・CaSO・12HO)に転化する反応に起因するものである。ただし、CA量に対して石こう量が十分に含有されているポルトランドセメントでは、第三ピークが非常に小さいか、又は生じない場合がある。
本発明では、セメントをポルトランドセメントとしたときに、第四ピーク以降のピークとしては、第五ピークまで存在することが新たに判明したことから、さらに混合セメント等その他のセメントについても、第四ピーク以降のピークが存在し得ることに着目し、これらを予測式に取り入れることで、精度の高い予測値が得られるに至ったものである。なお、第四ピーク以降のピークについては、セメントにおけるどのような水和反応過程に起因するものかは定かではない。
水和発熱速度曲線における第一ピーク、第二ピーク、第三ピーク、及び第四ピーク以降のピークとは、具体的には、例えば、セメントがポルトランドセメントである場合、第一ピークは、セメントを接水した直後に発生するピークであり、第二ピークは、セメントを接水した後、1時間経過時点から1日経過時点までの間に発生するピークであり、第三ピークは、セメントを接水した後、8時間経過時点から1日経過時点までの間に発生するピークである。さらに、第四ピークは、セメントを接水した後、1日経過時点から2.5日経過時点までに発生するピークであり、第五ピークは、セメントを接水した後、2.5日経過した時点から4日経過した時点までに発生するピークである。
工程(I)において、セメントの水和発熱速度を連続して測定するとは、セメントの水和発熱速度の測定点と測定点の時間間隔が短縮化されていることを意味し、急激な第一ピークにおける測定と、第二ピーク以降のピークにおける測定とで、水和発熱速度が大きく変動することを考慮し、測定点と測定点の時間間隔を変えてもよい。具体的には、第一ピークの発生から、そのピークの収束に至るまでの測定においては、測定点1点/1秒間(1秒間に測定点1点)が好ましく、測定点2点/1秒間がより好ましく、測定点4点/1秒間がさらに好ましい。また、第二ピーク以降については、各々のピークの発生からそのピークの収束に至るまでの測定において、測定点1点/2秒間が好ましく、測定点1点/1秒間がより好ましく、測定点2点/1秒間が特に好ましい。
ここで、例えば、セメントがポルトランドセメントである場合、第一ピークの発生からそのピークの収束に至るまでの時間は、通常セメントを接水した直後から1時間経過時点までの間に相当し、第二ピークから第五ピークの発生からそのピークの収束に至るまでの時間は、通常セメントを接水した後、1時間経過時点から4日経過時点までの間に相当する。
工程(I)において、セメントの水和発熱速度を連続的に測定するにあたり、セメントの水和発熱速度曲線を求めることができれば特に限定されないが、直接的に測定した値をリアルタイムに連続して容易に得る観点から、コンダクションカロリメータ(カロリメータ)を用いるのが好ましい。コンダクションカロリメータとは、ヒートシンク内に設置された反応容器への熱の出入り(熱流束)を、サーモモジュールを介して測定する装置である。通常は、反応容器(試料計測部)と同じ構造を有する基準部(ブランク試料計測部)の熱流束を同時測定することで外部温度変化の影響を補正する機構を備えており、高精度な熱量変化の測定が可能である。かかる装置は、セメントの初期水和反応等の評価においては汎用の装置として知られており、本発明では、例えば、株式会社東京理工のMMC−511C6等を用いることができる。
また、水和発熱速度曲線を求める際、セメントと水の混練状態の不安定さを解消する観点、及び再現性を高める観点から、同一試料について2回以上測定した平均値からなる水和発熱速度曲線を用いることが好ましい。さらに、測定に要する時間の短縮の観点から、多試料同時測定が可能な装置を用いて、同一のセメントに係る複数の測定を1回の測定時間内で終えるのが好ましい。
なお、カロリメータを用いてセメントの水和発熱速度を測定する際、測定試料の水セメント比は、40〜50%とするのが好ましく、45〜50%とするのがより好ましく、50%とするのがさらに好ましい。ただし、セメントがポルトランドセメント、高炉セメント、及びフライアッシュセメントである場合、得られた予測値の精度を検証する観点から、JIS R 5203「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」に規定される測定試料条件と同一にするのが好ましい。かかる理由から、セメントがポルトランドセメント、高炉セメント、及びフライアッシュセメントである場合は、水セメント比(質量)は40%が好ましく、さらに測定における環境温度は20℃が好ましい。
水和発熱速度の測定において、セメントと水の混練は、カロリメータの反応容器内に付設されている撹拌翼のみにより行うのが一般的である。ただし、カロリメータにおけるこうした攪拌機構では、40%の水セメント比では水量が不足するために混練状態が不均一になるおそれがあることから、通常は水セメント比を50%以上とするものの、水セメント比の値が増大するにつれて、JIS R 5203におけるポルトランドセメントの水和反応と異なる水和反応が生じてしまうおそれがあることも加味するのが好ましいためである。
また、ポルトランドセメントの水和発熱速度を連続して測定する際、カロリメータの熱センサーのアンプレベルは、測定しながら適宜変更してもよい。具体的には、例えば、セメントがポルトランドセメントである場合、第四ピークと第五ピークにおける水和発熱速度は、第一ピーク〜第三ピークにおける水和発熱速度よりも非常に小さい。そのため、使用するカロリメータによっては、熱センサーのアンプレベルを第一ピーク〜第三ピークにおける測定時の設定のままであると、第四ピーク及び第五ピークを判別し得る詳細な水和発熱速度曲線を求めることができないおそれがある。このような場合には、第三ピークが収束した時点で、熱センサーのアンプレベルを上げることが好ましい。
工程(II)は、工程(I)で得られた水和発熱速度曲線から、式(1)及び式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程である。
式(1)は、水和時間t≦c1のとき、すなわち、セメントを接水した直後から水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間までのときに用いる式である。
式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。a1及びc1とは、具体的には、図1の一部拡大図に示すとおりである。
式(2)は、水和時間t>c1のとき、すなわち、第一ピークに到達する時間を超えたときに用いる式である。
式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。
mが5であるとき、すなわちセメントがポルトランドセメントであるときの、a2〜a5、c2〜c5とは、具体的には、図1の一部拡大図に示すとおりである。
1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取るとは、各々のピークにおける最大値(最大発熱速度に相当)、及びセメントを接水した直後から、かかる最大値に到達するまでの水和時間(到達時間に相当)を各々の初期値として、水和発熱速度曲線から読み取る。ここで、到達時間の読み取りには、得られた水和発熱速度曲線の微分曲線から変曲点を求める方法などの、既往のピーク解析方法を用いてもよい。
工程(III)は、得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程である。
具体的には、b1〜bn及びb’の初期値としては、1を入力すればよい。そして、a1〜an、b1〜bn、b’、及びc1〜cnの初期値が代入された式(1)及び式(2)を、工程(I)で得られた水和発熱速度曲線に対して、最小二乗法での偏差二乗和が最小になるようにフィッティングし、これらa1〜an、b1〜bn、b’及びc1〜cnの値を各々最適化する。最小二乗法の計算には、一般的な表計算ソフトの最適化分析ツール、例えば、マイクロソフト社製表計算ソフトウェア Microsoft Office Excel 2007 SP3に使用されているソルバー「GRG2 非線形最適化コード」等を用いればよい。このようにして、式(1)と式(2)を同時に最適化する。
工程(IV)は、工程(III)で得られた予測式から、水和熱を予測する工程である。具体的には、工程(III)で得られた予測式としての式(1)及び式(2)において、式(1)の0≦t≦cまでの水和発熱速度の積分値と、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られるc<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Qを求める工程である。
さらに、上記工程(IV)は、次の工程(IV’):
(IV’)得られた予測式としての式(2)において、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られる、測定時間T<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値と、0≦t≦Tの実測した水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Q’を求める。
であってもよい。
すなわち、本発明は、上記工程(I)、(II)、及び(III)を備え、さらに工程(IV)又は工程(IV’)を備える方法であることから、セメントを接水した直後からT時間経過時点までのセメントの水和発熱速度を測定することによって、材齢7日(168時間)、材齢28日(672時間)、又は材齢91日(2184時間)におけるセメントの水和熱を予測することができる。
具体的には、例えば、セメントがポルトランドセメントである場合、得られる予測値の精度を有効に高める観点から、式(2)において、Tを168(7日)又は672(28日)とするのが好ましく、168(7日)とするのがより好ましい。
以下、本発明について、実施例に基づき具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1〜3]
表1に示す2個の普通ポルトランドセメント(太平洋セメント(株)製)、及び1個の中庸熱ポルトランドセメントについて、コンダクションカロリメータ(東京理工製MMC−511C6(6試料の同時測定が可能))を用い、水セメント比(質量)50%、反応容器内の撹拌翼による自動混練時間90秒、環境温度20℃の測定条件とし、接水した直後から4日間(T=96時間)経過時点まで、水和発熱速度を連続的に測定した。かかる測定は、ポルトランドセメント毎に2個ずつ行った。
この水和発熱速度の測定点と測定点の時間間隔は、接水から24時間経過時点までを測定2点/1秒間とし、それ以降は1点/1秒間とした。また、この時間間隔の切り替えと同時に、カロリメータの熱センサーのアンプレベル(フルスケール)を50mVから5mVに変更した。
次に、各ポルトランドセメントに得られた2回分の水和発熱速度の値を平均して、各々の水和発熱速度の値とし、工程(I)における水和発熱速度曲線を求めた。
次に、得られた水和発熱速度曲線について、上記工程(II)〜(III)を行い、ポルトランドセメント毎に水和発熱速度の予測式を求めた後、工程(IV)において、Tを168として7日材齢までの水和発熱速度を予測し、それら予測値を積算して、材齢7日におけるポルトランドセメント水和熱の予測値を得た。
結果を表1に示す。
[比較例1〜6]
上記のポルトランドセメント毎に得られた水和発熱速度曲線を用い、非特許文献1及び非特許文献2に記載の方法に従って、各ポルトランドセメントの材齢7日における水和熱の予測値を得た。
結果を表1に示す。
[参考例1〜3]
水和熱を予測した3個のポルトランドセメントについて、JIS R 5203「セメントの水和熱測定方法(溶解熱方法)」により、材齢7日における水和熱を測定した。
結果を表1に示す。
表1より、本発明の予測方法によれば、短時間のうちに高い精度でポルトランドセメントの材齢7日の水和熱を予測することができる。したがって、本発明のセメントの水和熱の予測方法は、セメント工場等において、セメントの品質を判別する製造管理方法にも適用することができる。
1:水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))
2:水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))
3:水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))
4:水和発熱速度曲線の第四ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))
5:水和発熱速度曲線の第五ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))
1:水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)
2:水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)
3:水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)
4:水和発熱速度曲線の第四ピークに到達する時間(時間)
5:水和発熱速度曲線の第五ピークに到達する時間(時間)

Claims (6)

  1. 次の工程(I)、(II)、(III)及び(IV):
    (I)セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程、
    (II)得られた水和発熱速度曲線から、下記式(1)及び下記式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程、
    水和時間t≦cのとき:

    (式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
    水和時間t>cのとき:

    (式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
    (III)得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程、及び
    (IV)得られた予測式としての式(1)及び式(2)において、式(1)の0≦t≦cまでの水和発熱速度の積分値と、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られるc<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Qを求める工程
    を備える、セメントの水和熱の予測方法。
  2. 次の工程(I)、(II)、(III)及び(IV’):
    (I)セメントを接水した直後からT時間(Tは96以上168以下の整数を示す)経過時点までのセメントの水和発熱速度を連続的に測定して、セメントの水和発熱速度曲線を求める工程、
    (II)得られた水和発熱速度曲線から、下記式(1)及び下記式(2)で示されるフィッティング関数のa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値を読み取る工程、
    水和時間t≦cのとき:

    (式(1)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は水和発熱速度曲線の第一ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a2は水和発熱速度曲線の第二ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、a3は水和発熱速度曲線の第三ピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、anは水和発熱速度曲線の第nピークにおける最大発熱速度(J/(g・時間))、b1は水和発熱速度曲線の第一ピークの上昇率に関係する値、b2は水和発熱速度曲線の第二ピークの上昇率に関係する値、b3は水和発熱速度曲線の第三ピークの上昇率に関係する値、bnは水和発熱速度曲線の第nピークの上昇率に関係する値、c1は水和発熱速度曲線の第一ピークに到達する時間(時間)、c2は水和発熱速度曲線の第二ピークに到達する時間(時間)、c3は水和発熱速度曲線の第三ピークに到達する時間(時間)、cnは水和発熱速度曲線の第nピークに到達する時間(時間)を示し、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
    水和時間t>cのとき:

    (式(2)中、Qは水和熱(J/g)、tは水和時間(時間)、a1は式(1)中のa1と同じ、a2は式(1)中のa2と同じ、a3は式(1)中のa3と同じ、anは式(1)中のanと同じ、b’は水和発熱速度曲線の第一ピークの下降率に関係する値、b2は式(1)中のb2と同じ、b3は式(1)中のb3と同じ、bnは式(1)中のbnと同じ、cは式(1)中のc1と同じ、c2は式(1)中のc2と同じ、c3は式(1)中のc3と同じ、cnは式(1)中のcnと同じであり、mは5以上の整数で、セメントの種類に依存する、所定の水和時間tまでに発生した水和発熱速度曲線のピークの数を示す。)
    (III)得られたa1〜anの初期値、及びc1〜cnの初期値と、b1〜bn及びb’の初期値としての1とを式(1)及び式(2)に代入し、これを工程(I)で得られた水和発熱速度曲線にフィッティングして、偏差二乗和が最小になるようにa1〜an、c1〜cn、b1〜bn及びb’を最適化し、式(1)及び式(2)を予測式として完成させる工程、及び
    (IV’)得られた予測式としての式(2)において、所定の材齢T(時間)まで式(2)の水和発熱速度曲線を延長して得られる、測定時間T<t≦Tまでの水和発熱速度の積分値と、0≦t≦Tの実測した水和発熱速度の積分値を合算し、予測値としての水和熱Q’を求める工程
    を備える、セメントの水和熱の予測方法。
  3. 工程(I)における水和発熱速度の測定をコンダクションカロリメータにより行う請求項1又は請求項2に記載のセメントの水和熱の予測方法。
  4. セメントがポルトランドセメントであり、工程(I)においてTを96とし、かつ工程(II)において式(2)中のmを5とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセメントの水和熱の予測方法。
  5. 工程(IV)又は工程(IV’)において、Tが168である請求項1〜4のいずれか1項に記載のセメントの水和熱の予測方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセメントの水和熱の予測方法により得られる予測値としての水和熱Q又は水和熱Q’の値を用い、セメントの品質を判別する、セメントの製造管理方法。
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