JP6198060B2 - モルタル圧縮強さの推定方法および推定装置 - Google Patents

モルタル圧縮強さの推定方法および推定装置 Download PDF

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本発明は、モルタルを破壊することなく、モルタルの圧縮強さを推定する推定方法および推定装置に関するものである。
従来、モルタルの圧縮強さは、セメント、水および砂を混練して型枠に詰めてモルタル供試体を作製し、この供試体を各材齢まで定温養生した後に、圧縮強さ試験装置を用いて測定していた。しかしながら、この測定方法では、測定時に供試体が破壊されるため、各材齢毎に供試体を多数作製して個々に強さを測定しなければならず、供試体の作製と圧縮強さ測定に多大な労力と時間が費やされるとともに、セメント等の供試体の構成材料が多量に必要となっていた。
そこで、モルタルの圧縮強さ測定に係る労力や時間を減らせる方法として、少量のセメントを使用してモルタル圧縮強さを推定する方法がいくつか提案されている(例えば、特許文献1、2および非特許文献1を参照)。
例えば、特許文献1には、セメント製造プラントの運転において、品質管理情報として収集した、セメント中のクリンカー構成鉱物および添加材の量の情報、クリンカー構成鉱物の結晶構造の情報、クリンカーの少量成分の量の情報、およびセメントの粉末度および45μm残分の情報を、過去に蓄積されているそれら情報およびモルタル圧縮強さ実測データの間の重回帰分析を基に求めたモルタル圧縮強さの推定式に適用することにより、モルタル圧縮強さを推定する方法が示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、材齢28日のモルタル圧縮強さを推定するものであり、これよりも若材齢あるいは長期材齢の圧縮強さを評価することができない。また、X線解析/リートベルト解析を行うための高価な装置、アプリケーションを要するといった問題を抱えている。
一方、非特許文献1には、熱量計(例えば、非特許文献2を参照)によってセメントの水和発熱を測定し、測定した水和発熱量からモルタル圧縮強さを推定する方法が示されている。しかしながら、この方法は、材齢7日以前の圧縮強さの推定には向いているが、長期的な圧縮強さの推定には不向きである。
これは、1)セメントの水和発熱は長期的に極めて小さくなるため、発熱量の測定精度が長期的には確保されないこと、また、2)熱量計により長期的に水和発熱を測定する場合、熱量計の性能上、複数の試料を計測することが困難であることが原因である。
特開2007−271448号公報 特開2005−214891号公報
Dale P. Bentz et al, Relating compressive strength to heat release in mortars, Advances in Civil Engineering Materials (new ASTM Journal) page 1 to 16. 萩原清一、浅賀喜与志:セメント・コンクリートに用いる各種熱量計, Journal of the Society of Inorganic Materials, Japan 14, 451-458 (2007)
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定するモルタル圧縮強さの推定方法および推定装置を提供することを目的とする。
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法は、任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定方法であって、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1工程と、前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る他のモルタル圧縮強さの推定方法は、上述した発明において、第2工程において、前記熱量計から前記専用容器を取り出し、取り出した前記専用容器の側面に超音波探触子を設置し、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定することを特徴とする。
また、本発明に係る他のモルタル圧縮強さの推定方法は、上述した発明において、前記専用容器の側面に超音波探触子を安定して設置するための接触面を設けたことを特徴とする。
また、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定装置は、任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定装置であって、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1手段と、前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2手段とを含むことを特徴とする。
また、本発明に係る他のモルタル圧縮強さの推定装置は、上述した発明において、第2手段において、前記熱量計から前記専用容器を取り出し、取り出した前記専用容器の側面に超音波探触子を設置し、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定することを特徴とする。
また、本発明に係る他のモルタル圧縮強さの推定装置は、上述した発明において、前記専用容器の側面に超音波探触子を安定して設置するための接触面を設けたことを特徴とする。
本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法によれば、任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定方法であって、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1工程と、前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2工程とを含むので、セメントペーストに対する測定のみによって任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを精度良く推定することができる。このため、従来の圧縮強さ試験のように各材齢毎にモルタル供試体を作製、破壊する必要はない。したがって、従来に比べて比較的少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定装置によれば、任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定装置であって、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1手段と、前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2手段とを含むので、セメントペーストに対する測定のみによって任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを精度良く推定することができる。このため、従来の圧縮強さ試験のように各材齢毎にモルタル供試体を作製、破壊する必要はない。したがって、従来に比べて比較的少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定することができるという効果を奏する。
図1は、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法の実施例を示す概略フローチャート図である。 図2は、本発明の実施の形態で用いる専用容器の一例を示す図であり、(1)は横断面図、(2)は側面図である。 図3は、本発明の実施の形態で用いる伝導熱量計の一例を示す図であり、(1)は上面図、(2)は側断面図、(3)は伝導熱量計の測定原理を例示した図である。 図4は、モルタルの圧縮強さと材齢との関係の一例を示す図である。 図5は、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法および推定装置の実施例を示す概念図である。 図6は、セメントペーストの水和発熱量と材齢との関係の一例を示す図である。 図7は、セメントペーストの水和発熱速度と材齢との関係の一例を示す図である。 図8は、従来のモルタル圧縮強さの測定方法を適用した場合の概略工程図である。 図9は、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法および推定装置を適用した場合の概略工程図である。
以下に、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法および推定装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
[モルタル圧縮強さの推定方法]
まず、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法について説明する。
図1に示すように、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法は、セメントペーストの初期の水和発熱量に基づいて圧縮強さを推定する第1工程と、セメントペーストがある程度硬化した後に、超音波伝播速度から求めた動弾性係数に基づいて圧縮強さを推定する第2工程とを含むものである。
より具体的には、第1工程では、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した発熱量と、予め把握してあるセメントペーストの発熱量とモルタルの圧縮強さの相関関係に基づいて、熱量計による測定期間中の任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する。
続く第2工程では、専用容器中のセメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後において、専用容器中のセメントペーストの超音波伝播速度を測定してセメントペーストの動弾性係数を求め、求めた動弾性係数に基づいて、所定の材齢に達した後の任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する。
(第1工程)
次に、第1工程の実施例について詳細に説明する。
まず、図2に示すようなステンレス製の有底円筒状の専用容器5(例えば内径φ=30mm、φ1=28mm、高さh=50mm、厚さd=1mm)の中で、少量のセメント(例えば15g程度)と所定量の水を使用して所定の水セメント比のセメントペーストを作製する。専用容器5に図示しない蓋を被せ、セメントペーストを封緘状態に保持する。
ここで、専用容器5の形状が円筒形では、第2工程の超音波伝播速度の測定で用いる超音波探触子の接触が安定せず測定距離にばらつきが生じる可能性がある。そこで、専用容器5の側面下側の対向する2箇所に、超音波探触子を安定して設置するための平滑な面5a(接触面)を設けることで測定精度の向上を図っている。この平滑な面5aの幅Dは例えば10mm程度とすることができる。
続いて、作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量(水和発熱量)を熱量計によって測定する。なお、本発明の原理上、熱量計は水和発熱量を測定可能なものであれば、どのような方式の熱量計でも構わない。以下の説明では、非特許文献2に記載の伝導熱量計を用いた場合を例にとり説明する。
図3は、伝導熱量計の装置構成を例示したものである。図3(1)〜(3)に示すように、伝導熱量計20は、一つの恒温体1(ヒートシンク)に物理的、機械的および電気的条件を同じに製作した2台の熱量計2を対称的に配置し、感熱体を兼ねた熱良導体3(またはサーモモジュール)の出力を差動的に接続したものである。この伝導熱量計20は1つの比較側Rと6つの試料側Sを有している。比較側Rには比較側容器4が、試料側Sには試料側容器である専用容器5が配置される。
図3(3)は伝導熱量計の測定原理の一例として、双子型伝導熱量計の測定原理を示したものである。図3(3)に示すように、2台の熱量計2のうち1台を試料側Sとし、他の1台を比較側Rとしたとき、試料側Sに熱変化が生ずると比較側Rを基準にしてその熱変化に比例した信号が発生する。この伝導熱量計では、この出力信号を時間的に計測し、既知の熱量と比較して熱量を求める。
このような双子型伝導熱量計の利点は大変大きく、熱量計に及ぼす室温の変化によるベースラインのドリフト、試料側容器(専用容器5)内をかくはんした時の摩擦熱、試料側容器(専用容器5)内で発生する液体の蒸発潜熱等々、全て不必要の熱は相殺され、目的の熱量のみ測定が可能な優れた熱量計となっている。
ここで、図4に例示するように、一般に若材齢(例えば材齢7日以前)では、セメントペーストの発熱量とモルタル圧縮強さは高い相関を有しており、伝導熱量計でセメントペーストの発熱量を測定することで、測定期間中の任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定可能である。一方、長期材齢(例えば材齢28日)では伝導熱量計による圧縮強さ推定の精度は高くない(図中の破線で示される推定値)。そこで、セメントペーストがある程度硬化した後(例えば材齢7日以後)は、次の第2工程に移行してモルタル圧縮強さを推定する(図中の実線で示される推定値)。
(第2工程)
次に、第2工程の実施例について詳細に説明する。
図5は、6個の専用容器5の発熱量を個別に測定可能な伝導熱量計20を用いた例を示している。各専用容器5は伝導熱量計20から個別に取り出し可能となっている。図5に示すように、第2工程ではまず、伝導熱量計20に設置してある専用容器5中のセメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後において、伝導熱量計20から専用容器5を取り出す。
ここで、図5の例では、セメントペーストが硬化して所定の材齢に達したときを材齢N日(例えばN=7)と設定し、材齢N日目に伝導熱量計20から専用容器5を取り出す場合を示している。したがって、材齢N日までは第1工程にて圧縮強さを推定し、材齢N日以降は第2工程にて圧縮強さを推定することになる。
続いて、取り出した専用容器5の両側面の平滑な接触面5aに超音波探触子30を設置する。そして、一方の超音波探触子30から専用容器5中のセメントペーストに向けて超音波を発信して他方の超音波探触子30で受信することで、セメントペーストの縦波伝播速度(超音波伝播速度)を測定する。ここで、探触子の周波数としては例えば50Hzを用いることができるが、もちろんこれ以外の周波数であっても構わない。
続いて、測定されたセメントペーストの縦波伝播速度に基づいて、セメントペーストの動弾性係数を取得し、取得した動弾性係数からこの時点(縦波伝播速度測定時点)の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定する。ここで、セメントペーストの動弾性係数からモルタルの圧縮強さを推定する方法としては、例えば、下記の参考文献1に記載の方法を用いることができる。
[参考文献1] T. C. Hansen: Influence of aggregate and voids on modulus of elasticity of concrete, cement mortar and cement paste, Road Research Laboratory, Proc.62, No.2, pp.193-216 (1965)
ここで、上記の参考文献1に記載の方法について概略説明する。
モルタルのヤング率は、下記の式(1)を用いてセメントペーストのヤング率、ポアソン比、体積比、骨材のヤング率、ポアソン比、体積比により推定することができる。
Figure 0006198060
ただし、E:モルタルのヤング率、ν:モルタルのポアソン比、E:セメントペーストのヤング率、ν:セメントペーストのポアソン比、V:セメントペーストの体積比、E:骨材のヤング率、ν:骨材のポアソン比、V:骨材の体積比である。
上記の式(1)の中で、ν=ν=ν=0.2と仮定すると、下記の式(2)が得られる。ここで、骨材のヤング率と体積比が同じであれば、下記の式(2)によってセメントペーストのヤング率Eからモルタルのヤング率Eを推定できることが判る。
Figure 0006198060
ここで、ヤング率と動弾性係数はほぼ比例関係にあること、および、セメント系材料のヤング率と圧縮強さが相関をもつことは周知である。したがって、本発明の第2工程において取得したセメントペーストの動弾性係数からヤング率Eを求め、このヤング率Eから上記の式(2)を用いてモルタルのヤング率Eを推定し、推定したヤング率Eからモルタルの圧縮強さを推定することができる。
また、第2工程において専用容器5を伝導熱量計20から取り出すタイミングの指標、すなわちセメントペーストが硬化して所定の材齢に達したときを判定する指標としては、例えば、第1工程の伝導熱量計20の測定中に随時得られるセメントペーストの水和発熱速度の値を用いることができる。この場合、例えば水和発熱速度がピークを迎えた後、1.0(J/g/h)を下回ったときを、専用容器5を取り出すタイミングとして設定してもよい。
図6は、セメントペーストの水和発熱量と材齢との関係を例示したものであり、図7は、水和発熱速度と材齢との関係を例示したものである。図7の例では、水和発熱速度がピークを迎えたのち1.0(J/g/h)を下回ったとき(材齢にして100時間相当程度)を、専用容器5を取り出すタイミングとして設定することができる。
このように、本発明の推定方法によれば、セメントペーストに対する測定のみによって任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを精度良く推定することができる。このため、従来の圧縮強さ試験のように各材齢毎にモルタル供試体を作製、破壊する必要はない。したがって、従来に比べて比較的少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定することができるという効果を奏する。
また、第2工程において専用容器を取り出した以降は、伝導熱量計は使用しない。したがって、伝導熱量計で測定した発熱量に基づいて継続してモルタル圧縮強さを推定する従来の方法に比べて伝導熱量計の使用頻度を減少させることができる。このため、当該伝導熱量計を別の試験に利用可能である。また、ごく少量のセメントで任意の材齢における圧縮強さを推定できるので、例えば特性の異なる複数のセメントの品質管理(モルタル圧縮強さ管理)を同時並行して効率的に行なえる。また、従来の方法において材齢経過時まで保管していたモルタル圧縮強さ測定用の試験体の保管スペースや圧縮試験スペースを削減することができる。
また、JIS規格等に定められた従来の圧縮試験により圧縮強さを測定する場合、モルタル試験体を作製するためには1試験材齢につき、通常450g程度のセメントを要していた。図8に示すように、例えば材齢3日、7日、28日、56日、91日、1年の計6材齢で試験を行う場合には、3kg程度のセメントが必要となる。各試験体は各材齢における圧縮試験毎に破壊され廃棄される。したがって、作製した試験体数を超える試験は不可能であった。このため、例えば、予め設定した材齢以外の任意の材齢における圧縮強さを取得することはできなかった。
これに対し、本発明では、図9に示すように、1試験体につき15g程度のセメント(セメントの成分のばらつきを少なくするため2試験体で試験する場合では30g程度のセメント)があればよい。海外をはじめとする遠隔地で製造されたセメントの中には多量に調達することが難しいものもあり、本発明を適用することによって、圧縮強さ評価に必要なセメント量を大幅に減ずることが可能となる。また、内径30mm×高さ50mm程度という比較的小型の専用容器によって試料の保存が容易にできるため、長期的なコンクリート躯体の不具合発生時に対しても保存試料からの情報の活用が見込める。また、専用容器中のセメントペーストは将来的に破壊されず保持される。したがって、同じ専用容器中のセメントペーストを使用して第2工程の超音波試験を繰り返し行うことによって、任意の材齢で何度でも試験が可能である。
なお、上記の実施の形態において、専用容器をステンレス製の容器で構成した場合について説明したが、ステンレス製以外の金属製容器やポリエチレン製フィルム容器で構成することも可能である。また、専用容器は、セメントペーストを封緘状態に保持することが可能であるため、温度が保持されている環境であれば湿度条件によらず、上記試験方法の再現性を確保することができる。
また、上記の実施の形態において、第2工程で超音波伝播速度を測定する際の方法として、伝導熱量計から専用容器をいったん取り出し、取り出した専用容器の接触面に対して超音波探触子を設置し、超音波伝播速度を測定する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第1工程で専用容器を伝導熱量計に設置する際に、予め専用容器の接触面に超音波探触子を設置しておき、伝導熱量計内に専用容器を設置した状態のまま、超音波伝播速度を測定するようにしてもよい。あるいは、予め伝導熱量計内の専用容器設置予定箇所の接触面に対応する部分に超音波探触子を配置しておき、伝導熱量計内に専用容器を設置した状態のまま、超音波伝播速度を測定するようにしてもよい。
[モルタル圧縮強さの推定装置]
次に、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定装置について説明する。
本発明に係るモルタル圧縮強さの推定装置は、セメントペーストの初期の水和発熱量に基づいて圧縮強さを推定する第1手段と、セメントペーストがある程度硬化した後に、超音波伝播速度から求めた動弾性係数に基づいて圧縮強さを推定する第2手段とを含むものである。ここで、第1手段および第2手段は、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法の第1工程および第2工程にそれぞれ対応するものであるから、以下の説明では上記の推定方法において説明した内容と重複する内容については説明を省略する。
第1手段は、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した発熱量と、予め把握してあるセメントペーストの発熱量とモルタルの圧縮強さの相関関係に基づいて、熱量計による測定期間中の任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定するものである。この第1手段としては、熱量計と、専用容器と、コンピュータを用いて圧縮強さを推定する推定手段とにより構成することができる。
第2手段は、専用容器中のセメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後において、専用容器中のセメントペーストの超音波伝播速度を測定してセメントペーストの動弾性係数を求め、求めた動弾性係数に基づいて、所定の材齢に達した後の任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定するものである。この第2手段としては、専用容器と、超音波伝播速度測定用の超音波探触子と、超音波探触子設置用の接触面と、コンピュータを用いて圧縮強さを推定する推定手段とにより構成することができる。
ここで、第2手段においては、熱量計から専用容器をいったん取り出し、取り出した専用容器の接触面に対して超音波探触子を設置し、超音波伝播速度を測定するようにしてもよいし、専用容器を熱量計から取り出さずに超音波伝播速度を測定してもよい。
例えば、第1手段で専用容器を熱量計に設置する際に、予め専用容器の接触面に超音波探触子を設置しておき、熱量計内に専用容器を設置した状態のまま、超音波伝播速度を測定するようにしてもよい。あるいは、予め熱量計内の専用容器設置予定箇所の接触面に対応する部分に超音波探触子を配置しておき、熱量計内に専用容器を設置した状態のまま、超音波伝播速度を測定するようにしてもよい。
このように、本発明の推定装置によれば、上述した本発明の推定方法と同様、セメントペーストに対する測定のみによって任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを精度良く推定することができる。このため、従来の圧縮強さ試験のように各材齢毎にモルタル供試体を作製、破壊する必要はない。したがって、従来に比べて比較的少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定することができるという効果を奏する。
以上説明したように、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法によれば、任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定方法であって、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1工程と、前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2工程とを含むので、セメントペーストに対する測定のみによって任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを精度良く推定することができる。このため、従来の圧縮強さ試験のように各材齢毎にモルタル供試体を作製、破壊する必要はない。したがって、従来に比べて比較的少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定することができる。
また、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定装置によれば、任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定装置であって、専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1手段と、前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2手段とを含むので、セメントペーストに対する測定のみによって任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを精度良く推定することができる。このため、従来の圧縮強さ試験のように各材齢毎にモルタル供試体を作製、破壊する必要はない。したがって、従来に比べて比較的少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定することができる。
以上のように、本発明に係るモルタル圧縮強さの推定方法および推定装置は、モルタルを破壊することなく、モルタルの圧縮強さを推定するのに有用であり、特に、少量のセメントを使用して任意の材齢におけるモルタル圧縮強さを推定するのに適している。
5 専用容器
5a 平滑な面(接触面)
20 伝導熱量計(熱量計)
30 超音波探触子

Claims (6)

  1. 任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定方法であって、
    専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1工程と、
    前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2工程と
    を含むことを特徴とするモルタル圧縮強さの推定方法。
  2. 第2工程において、前記熱量計から前記専用容器を取り出し、取り出した前記専用容器の側面に超音波探触子を設置し、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定することを特徴とする請求項1に記載のモルタル圧縮強さの推定方法。
  3. 前記専用容器の側面に超音波探触子を安定して設置するための接触面を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のモルタル圧縮強さの推定方法。
  4. 任意の材齢におけるモルタルの圧縮強さを推定する推定装置であって、
    専用容器中に封緘された作製直後のセメントペーストの水和反応によって生じる発熱量を熱量計によって測定し、測定した前記発熱量に基づいて、前記熱量計による測定期間中の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第1手段と、
    前記専用容器中の前記セメントペーストが硬化して所定の材齢に達した後は、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定して前記セメントペーストの動弾性係数を求め、求めた前記動弾性係数に基づいて、前記所定の材齢に達した後の任意の材齢における前記モルタルの圧縮強さを推定する第2手段と
    を含むことを特徴とするモルタル圧縮強さの推定装置。
  5. 第2手段において、前記熱量計から前記専用容器を取り出し、取り出した前記専用容器の側面に超音波探触子を設置し、前記専用容器中の前記セメントペーストの超音波伝播速度を測定することを特徴とする請求項4に記載のモルタル圧縮強さの推定装置。
  6. 前記専用容器の側面に超音波探触子を安定して設置するための接触面を設けたことを特徴とする請求項4または5に記載のモルタル圧縮強さの推定装置。
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