JP6729604B2 - 2−シアノアクリレートの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、瞬間接着剤の主成分として広く用いられている2−シアノアクリレートの製造方法に関するものである。
2−シアノアクリレートは被着材表面近傍に存在する微量の水分により速やかに重合を開始し、各種の材質から成る被着材のほとんどすべてを数秒から数分程度の極めて短い時間に接着し、かつその接着力も強力なため、電気、電子、機械部品、精密機械、家庭用品および医療等の広範囲な分野で瞬間接着剤の主成分として使用されている。
2−シアノアクリレートの製造方法としては、シアノ酢酸エステルとパラホルムアルデヒドを原料とする方法(USP2721858:特公昭35−10309号)が工業的に有利な方法として、今日一般に広く採用されている。当該製造方法は、次の3つの工程からなっている。すなわち、第1工程ではシアノ酢酸エステルとパラホルムアルデヒドをピペリジン等の塩基性触媒の存在下に有機溶剤中で縮合させ、第2工程では第1工程で得られた2−シアノアクリレート重縮合体を五酸化二リン等の重合抑制剤の存在下、高温減圧条件下で解重合し、第3工程で解重合によって得られた粗製2−シアノアクリレートモノマーを蒸留して、精製2−シアノアクリレートモノマーを得るというものである。
しかし、前記2−シアノアクリレートの製造方法では、第2工程の解重合後期において2−シアノアクリレートモノマーとともに、2,4−ジシアノグルタル酸ジエステル等の高沸点の副生成物が多く留出する。また、粗製2−シアノアクリレートモノマーの収率を高めようと高温で長時間解重合を行うと、異常分解反応が起こりやすくなり、不純物量が増加する。結果として、粗製2−シアノアクリレートモノマーの収率を高めようとすると、粗製2−シアノアクリレートモノマーの純度がさらに低くなるといった問題があった。
一方、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイド存在下のテトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する。)溶液にブチルシアノアクリレートのポリマーを溶解すると室温で急速に解重合が進み、モノマーを生成後、すぐに再重合し、元の分子より低分子量のポリマーが生成することが非特許文献に記載されている。
マクロモレキュラ ラピッド コミュニケーションズ(Macromol.Rapid Commun.)17号 217−227頁(1996年)
しかしながら、上記非特許文献記載の技術は、ブチルシアノアクリレートのポリマーからより低分子量のポリマーを再構築するもので、モノマーを製造することについては何ら開示がない。
本発明の解決課題は、2−シアノアクリレートモノマーの製造において、低温、短時間で解重合を行い、2‐シアノアクリレートモノマーの純度と収率を高位に維持できる方法の提供である。
本発明者等は、2−シアノアクリレート重縮合体の製造において、解重合反応について鋭意検討したところ、2−シアノアクリレート重縮合体に塩基性物質を添加すると解重合反応が常温、数分単位で進行することを発見した。また、解重合後、酸を添加して塩基性物質を中和することで、2−シアノアクリレートモノマーの生成量が飛躍的に増加することを発見した。さらに中和工程で生じた塩をろ過等の方法で除去することで、モノマーを安定に得られることを発見し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、シアノ酢酸エステルとホルムアルデヒドとの重縮合体の溶液に、塩基性物質を添加し、当該重縮合体を解重合する工程を含むことを特徴とする2−シアノアクリレートの製造方法、並びに前記解重合工程で得られた解重合反応溶液に酸を添加して、中和する工程と、前記中和工程で生成した塩を除去する工程とを含むことを特徴とする2−シアノアクリレートの製造方法である。
本発明は、2‐シアノアクリレートの製造において、低温、短時間で解重合が行えるため、不純物成分の少ない高純度の2−シアノアクリレートモノマーの製造を可能とし、さらに生産性の向上も図ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に適用される2−シアノアクリレートの化学式を以下に示す。
CH=C(CN)COOR (1)
上記化学式(1)において、Rは、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数が1〜20の飽和もしくは不飽和の直鎖状炭化水素基、分岐鎖状炭化水素基または脂環式炭化水素基、ハロゲン原子を有していてもよい炭素数が1〜20の芳香族炭化水素基、環状エーテル基、または、式−(CH(OA)H(式中、Aはそれぞれ独立に炭素数が1〜10、好ましくは2〜6のアルキレン基、または2価の脂環式炭化水素基若しくは芳香族炭化水素基であり、mおよびnはそれぞれ1以上であり、m+nは2〜20であり、mは2〜4であることが好ましく、nは1〜3であることが好ましい)で示されるエーテル結合を含む基であり、エーテル結合されている前記アルキレン基および炭化水素基の何れかまたは全てが、ハロゲン原子を有してもよい。
上記化学式(1)で示される2−シアノアクリレートの具体例としては、2−シアノアクリル酸のメチル、エチル、クロロエチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、1−メチル−ブチル、1−エチル−プロピル、ネオペンチル、n−ヘキシル、1−メチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、シクロヘキシル、ベンジル、フェニル、テトラヒドロフルフリル、アリル、プロパルギル、2−ブテニル、フェネチル、クロロプロピル、エトキシエチル、エトキシプロピル、エトキシイソプロピル、プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、ブトキシエチル、メトキシプロピル、メトキシイソプロピル、メトキシブチル、プロポキシメチル、プロポキシエチル、プロポキシプロピル、ブトキシメチル、ブトキシエチル、ブトキシプロピル、ブトキシイソプロピル、ブトキシブチル、イソ−ノニル、イソ−デシル、シクロヘキシルメチル、ナフチル、2−(2’−メトキシ)−エトキシエチル、2−(2’−エトキシ)−エトキシエチル、2−(2’−プロピルオキシ)−エトキシエチル、2−(2’−ブチルオキシ)−エトキシエチル、2−(2’−ペンチルオキシ)−エトキシエチル、2−(2’−ヘキシルオキシ)−エトキシエチル、2−(2’−メトキシ)−プロピルオキシプロピル、2−(2’−エトキシ)−プロピルオキシプロピル、2−(2’−プロピルオキシ)−プロピルオキシプロピル、2−(2’−ペンチルオキシ)−プロピルオキシプロピル、2−(2’−ヘキシルオキシ)−プロピルオキシプロピル、2−(2’−メトキシ)−ブチルオキシブチル、2−(2’−エトキシ)−ブチルオキシブチル、2−(2’−ブチルオキシ)−ブチルオキシブチル、2−(3’−メトキシ)−プロピルオキシエチル、2−(3’−メトキシ)−ブチルオキシエチル、2−(3’−メトキシ)−プロピルオキシプロピル、2−(3’−メトキシ)−ブチルオキシプロピル、2−(2’−メトキシ)−エトキシプロピル、2−(2’−メトキシ)−エトキシブチル等のエステルが挙げられ、これらはシアノアクリレート系瞬間接着剤の主成分または副成分として用いられているものである。
本発明における重縮合体のシアノアクリル酸エステル単位は、解重合反応によりシアノアクリル酸エステルと2,4−ジシアノグルタル酸ジエステルが生成するとして、数式(1)に基づいて算出したものである。
Figure 0006729604
本発明における塩基性物質は、従来公知の塩基性を示す化合物であれば、特に制限なく用いることができる。塩基性物質の塩基解離定数(pKb)が高くなると、解重合反応速度が遅くなるため、pKbが6以下の塩基性物質が好ましい。より好ましくは、3以下である。さらに好ましくは、0〜3の範囲内である。pKbが0未満の場合、解重合により生成したモノマーの安定性が低下し、収率が低下する場合がある。本発明におけるpKbは以下の数式(2)に従って算出した。
pKb=14−pKa (2)
pKaは酸解離定数のことであり、公知の文献、例えば「丸善 化学便覧」基礎編II(セクション10)等に記載の値を用いることができる。また、公知の文献に記載の無い塩基性物質のpKb値は、例えば酸塩基の中和反応を利用する方法で求めることができる。塩基性物質を適当な酸標準溶液、例えば塩酸やシュウ酸水溶液を用いて滴定し、その滴定曲線を解析して求めることができる。通常、pKaおよびpKbは、水溶液にて、常圧(1気圧)、25℃で測定された値であり、本発明におけるpKbも同様に測定された値である。
塩基性物質としては、アミン、ホスフィン、チオラート、アルコキシド、4級アンモニウム塩、並びにアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩の中から1種類以上用いることが好ましい。溶剤への溶解性や中和時の塩の析出性の観点から、より好ましくは、アミンである。アミンの具体例としては、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレンテトラミン、アニリン、N,N‐ジイソプロピルエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、4−アミノピリジン、N,N‐ジメチル−4−アミノピリジン、イミダゾール、1,4−ジアザジビシクロ[2,2,2]オクタン、シクロヘキシルアミン、2,6−ジメチルピリジン、1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール(以下、「DMP−30」と称する。)、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、2,4,6−トリメチルピリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピリジン、ピロリジン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、ヘキシルアミン、ベンジルアミン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、3−メチルピリジン等が挙げられる。この中では、ピペリジンがモノマーの生成量が大きくより好ましい。ホスフィンの具体例としては、メチルホスフィン、エチルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。チオラートの具体例としては、メタンチオール、エタンチオール、1−プロパンチオール、2−プロパンチオール、1,2−エタンジチオール、1,3−プロパンジチオール、チオフェノール等の共役塩基が挙げられる。アルコキシドの具体例としては、メトキシド、エトキシド、1−プロポキシド、2−プロポキシド、1−ブトキシド、2−メチル−1−プロポキシド、2−ブトキシド、2−メチル−2−プロポキシド等が挙げられる。4級アンモニウム塩の具体例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化セトリモニウム、臭化セトリモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、塩化ドファニウム、臭化テトラエチルアンモニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、臭化ドミフェン等が挙げられる。アルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩の具体例としては、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等が挙げられる。
塩基性物質の好ましい添加量は、塩基性基が2−シアノアクリレート重縮合体のシアノアクリル酸エステル単位に対して0.001〜5倍モル当量となる量であり、より好ましくは0.1〜3倍モル当量となる量であり、さらに好ましくは1〜2倍モル当量である。0.001倍モル当量未満では解重合が進み難い場合がある。0.001倍モル当量以上で解重合は進行するが、5倍モル当量を超えると、生成する2−シアノアクリレートモノマーの5倍モル当量以上の塩が生成し、2−シアノアクリレートモノマーの重合を促進するため、モノマー収率が低下する場合がある。
本発明において、使用する溶剤としては、エーテル、ケトンおよび/またはエステル構造を持つ有機溶剤、すなわち、エーテル類、ケトン類および/またはエステル類が好ましい。特に、解重合速度の速さからテトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する。)やアセトン等の極性が高い有機溶剤がより好ましい。また、2−シアノアクリレートの縮合工程で用いられるトルエン、キシレン、ベンゼン、トリクロロエチレン、シクロヘキサン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トリクレジルフォスフェート、ジオクチルフタレート、ジフェニルフェニルホスフェート等を前記有機溶剤の一部または全部としてそのまま使用することもできる。
2−シアノアクリレートの重縮合体の重量平均分子量(Mw)は1,000〜10,000が好ましく、1,500〜5,000の範囲内がより好ましい。重量平均分子量が10,000を超える場合、重縮合体の粘度が高くなり、解重合反応の効率が悪くなる場合がある。重量平均分子量が1,000未満の場合、解重合後に残る2,4−ジシアノグルタル酸ジエステル等が多くなるため、モノマー収率が低下する場合がある。
尚、本発明における数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する)で測定した値である。GPC測定の際には、THFを移動相として、ポリスチレンゲルカラムを使用し、温度を40℃に設定した。分子量の値はポリスチレン換算値で求めた。
解重合工程の温度は、0〜130℃が好ましい。0℃未満では、解重合速度が低下し、解重合効率が悪くなる場合がある。また、130℃を超えると、異常分解反応により不純物量が増加し、モノマー収率が低下する場合がある。
酸としては、塩基性物質と反応するものであれば、特に制限はなく、水やアルコールに溶解させた時に酸性を示す物質、水やアルコールに溶解しないが、ブレンステッド塩基やルイス塩基と反応しうる塩等が挙げられる。具体的な酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、ポリリン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸(以下、「PTS」と称する。)、10−カンファ−スルホン酸等のスルホン酸、酸クロライド、酢酸、炭酸が挙げられ、好ましくは無機酸、スルホン酸、酸クロライドが挙げられる。この中では、一価の酸で、水分を含まないものが好ましく、塩の析出性やハンドリングの観点からスルホン酸が特に好ましく、メタンスルホン酸がより好ましい。
中和工程は特に制限はなく、連続式であっても、バッチ式であっても良い。中和反応熱により系の温度が上昇するので、冷却しながら行うのが良い。
生成した塩の除去方法としては、ろ過、遠心分離、デカンテーション等、特に制限はなく、連続式であっても、バッチ式であっても良い。
ろ過して得られた解重合組成物中に残存する有機溶剤や微量水分、不純物である重合物等を除去するため、更に蒸留を行うと、よりモノマーの純度を高めることができる。有機溶剤を留去した後に、好ましくは0.01〜1.33kPaの減圧下で加熱して、解重合組成物中の2−シアノアクリレートを蒸留精製する。蒸留の際には、釜側にある解重合組成物に、五酸化二リン、SO、PTS、BF、プロパンサルトン、メタンスルホン酸等のアニオン重合禁止剤を添加するのが好ましい。また、ハイドロキノンやハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール等のラジカル重合禁止剤を添加するのも好ましい。
以下、本発明を具体的に挙げて更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[1]2−シアノアクリレート重縮合体の解重合方法
(実施例1)
エチル−2−シアノアクリレートの重縮合体(120g、Mw=2,183、Mn=1,238、エチルシアノアクリレートモノマー0.78モル相当)をTHF280mLに溶解し、ピペリジン(66.4g、0.78モル)を添加した。常温で10分間撹拌後、PTS(141.2g、0.82モル)を添加して、中和し、塩を析出させた。析出した塩をガラスフィルターでろ過して除き、減圧下、THFを留去して、解重合組成物115.2g(96%)を得た。
(実施例2)
解重合の溶液に添加する酸をメタンスルホン酸にした以外は実施例1と同様にして解重合を行った。
(実施例3〜5)
重縮合体の溶液に添加するピペリジンの量を重縮合体の数平均分子量から計算されるモノマーに対し、それぞれ0.1倍、2倍、5倍モル当量添加した以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(実施例6〜9)
塩基性物質を表1に記載の塩基性物質にした以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(実施例10〜12)
重縮合体を溶解する有機溶剤を酢酸エチル、アセトン、トルエンにした以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(実施例13〜15)
重縮合体の種類をメチルシアノアクリレート(Mw=1,600)、イソブチルシアノアクリレート(Mw=2,200)、エトキシエチルシアノアクリレート(Mw=2,200)にした以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(実施例16、17)
重縮合体の溶液に添加するピペリジンの量を数式(1)より算出されるシアノアクリル酸エステル単位に対し、それぞれ0.001倍、0.01倍モル当量添加したこと以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(実施例18〜20)
酸を添加しないこと以外は実施例2〜4と同様にして解重合を行った。
(実施例21)
析出した塩をガラスフィルターで除去しないこと以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(比較例1)
ピペリジンを添加しないこと以外は実施例2と同様にして解重合を行った。
(比較例2)
エチルシアノアクリレートの重縮合体にハイドロキノン(1.01重量%)および五酸化二リン(0.76重量%)をそれぞれ釜液安定剤として添加し、常圧条件下、釜温度を25℃で10分間解重合を行った。
(比較例3)
釜温度を200℃にした以外は比較例2と同様にして解重合を行った。
(比較例4)
解重合時間を360分間にした以外は比較例3と同様にして解重合を行った。
[2]重量平均分子量(Mw)の算出方法
表1におけるMwは、[1]で製造した解重合組成物をTHFで希釈し、GPC測定に基づいて算出した。GPC装置としては、東ソー製HLC‐8220を使用し、テトラヒドロフランを移動相として、ポリスチレンゲルカラム(東ソー製TSKgel G2500HxL(カラムサイズ゛内径6.0mm×長さ30cm)×2本)を使用した。温度を40℃に設定し、流速:1.0mL/minでRIを用いて検出測定した。Mwの値はポリスチレン換算値で求めた。尚、Mwが1,000以上の重縮合体を含まない場合は「N.D.」と表記した。
[3]解重合組成物中のモノマー濃度の算出方法
表1におけるモノマー濃度は、解重合組成物のプロトン核磁気共鳴分光法(以下、「1H−NMR」と表記する)測定に基づき、C=C二重結合に結合しているプロトンとエステル基のプロトンとの積分比を求め、以下の数式(3)に基づき各シアノアクリレートモノマーの割合を算出した。数式(3)におけるエステル基とは、重縮合体およびその分解物とモノマーに含まれるエチルエステル基、メチルエステル基、イソブチルエステル基またはエトキシエチルエステル基の総数である。
モノマー濃度=(モノマー[モル])/(エステル基[モル])×100(%) (3)
[4]解重合組成物の安定性
解重合組成物を常温で12時間以上静置後に、解重合組成物中のモノマー濃度が初期の80%以上であったものを○、10%以上80%未満であったものを△、10%未満であったものを×として、解重合組成物の安定性を判定した。
Figure 0006729604
各実施例および比較例の結果を表1に記載した。その結果によれば、重縮合体のTHF溶液に、重縮合体のシアノアクリル酸エステル単位に対して1倍モル当量のピペリジンを添加した場合、25℃、10分で速やかに解重合した。次いで酸を添加し、生成した塩を除去することで、50%以上のモノマーが生成した(実施例1、2)。ピペリジンを0.1倍、2倍、または5倍モル当量とした場合、1倍モル当量と比較すると、モノマー濃度は低いが、10%以上のモノマーが生成した(実施例3〜5)。一方、重縮合体から算出されるモノマーに対して0.1倍モル当量未満の塩基性物質を添加した場合、Mwはほとんど変化せず、1%しかモノマーが生成しなかった(実施例16、17)。
また、ピペリジンを添加せずに、酸のみを添加した場合、モノマーは全く生成しなかった(比較例1)。ピペリジン添加による解重合後に酸を添加しなかった場合、モノマーは生成していたが、酸を添加した場合よりモノマー濃度は低い値であった。また、解重合組成物は不安定であり、数時間以内に重合し、モノマー濃度はさらに減少した(実施例18〜20)。ピペリジン添加による解重合後に酸を添加した場合においても、析出した塩を除去しなかった場合、塩と生成したモノマーが反応し、THFを留去している間に、重合が進み、モノマーが消失した(実施例21)。
また、添加する塩基性物質の種類を変えた場合、いずれも解重合が進行するが、特にpKbの低い塩基で、速やかに解重合が進み、モノマー濃度が高くなった(実施例6〜9)。反応に用いる有機溶剤を変更した場合、アセトンを使用した場合のモノマー濃度が54%と最も高く、次いで酢酸エチル、トルエンの順であり、極性が高い有機溶剤で、より速くモノマーが生成した(実施例10〜12)。メチル、イソブチル、エトキシエチルの2−シアノアクリレート重縮合体を用いた場合でも、解重合が進行し、モノマーが生成した(実施例13〜15)。塩基性物質を添加しない従来の解重合方法の場合、常圧条件下、25℃では解重合は進行せず、モノマーは生成しなかった(比較例2)。200℃ではモノマーが生成していたが、加熱時間を延ばしても、系内で熱による重合も同時に起こり、モノマー濃度は最大で26%であった。また、熱による解重合組成物は非常に不安定であり、常温で速やかに重合し、モノマーが消失した(比較例3、4)。
[5]精製2−シアノアクリレートモノマーの製造方法
(実施例22)
実施例1で得られた解重合組成物115.2gに五酸化二リン149.8mg、ハイドロキノン576.0mgを加えて蒸留し、精製エチル−2−シアノアクリレートモノマー(以下、精モノマーと記載)58.6gを得た。精モノマー収率は、以下の数式(4)に基づき算出した。モノマー濃度はH−NMR測定に基づき、数式(3)と同様の算出方法に基づき求めた。結果を表2に示す。
精モノマー収率=精モノマーの量[g]/2−シアノアクリレートの重縮合体量[g]×100(%) (4)
(実施例23)
実施例2で得られた解重合組成物を使用した以外は実施例22と同様の方法で精モノマーを59.2g得た。
(実施例24)
実施例13で得られた解重合組成物を使用した以外は実施例22と同様の方法で精モノマーを61.7g得た。
Figure 0006729604
表2の結果によれば、解重合組成物を蒸留して得られたモノマーのモノマー濃度は99.7%以上と高い値を示し、精モノマー収率は解重合組成物中のモノマー濃度とほぼ変わらない値を示した(実施例22〜24)。
本発明は、低温、短時間で不純物成分の少ない高純度の2−シアノアクリレートモノマーの製造を可能とするもので、産業上極めて有用な2−シアノアクリレートの製造方法である。

Claims (13)

  1. シアノ酢酸エステルとホルムアルデヒドとの重縮合体の有機溶剤中の溶液に、塩基性物質を添加し、当該重縮合体を解重合する工程を含む、2−シアノアクリレートの製造方法。
  2. 前記解重合工程で得られた解重合反応溶液に酸を添加して中和する工程と、前記中和工程で生成した塩を除去する工程とを含む請求項1に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  3. 前記塩基性物質の添加量が、前記重縮合体のシアノアクリル酸エステル単位に対して、塩基性基が0.001〜5倍モル当量となる量である請求項1または2に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  4. 前記塩基性物質の添加量が、前記重縮合体のシアノアクリル酸エステル単位に対して、塩基性基が0.1〜3倍モル当量となる量である請求項1〜3のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  5. 前記塩基性物質のpKbが6以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  6. 前記塩基性物質が、アミン、ホスフィン、チオラート、アルコキシド、4級アンモニウム塩、並びにアルカリ金属および/またはアルカリ土類金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  7. 前記重縮合体の重量平均分子量が、1,000〜10,000である請求項1〜6のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  8. 前記重縮合体の溶液の溶剤が、エーテル類、ケトン類およびエステル類からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜7のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  9. 前記解重合反応溶液に添加する酸が、無機酸、スルホン酸および酸クロライドからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2〜8のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  10. 前記塩基性物質がアミンであり、かつ、前記解重合反応溶液に添加する酸がスルホン酸類である請求項2〜9のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  11. 前記塩基性物質がピペリジンであり、かつ、前記解重合反応溶液に添加する酸がメタンスルホン酸である請求項2〜10のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  12. 前記解重合工程における温度が、0〜130℃である請求項1〜11のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
  13. 更に、蒸留工程を含む請求項1〜12のいずれか1項に記載の2−シアノアクリレートの製造方法。
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