JP6728964B2 - 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池 - Google Patents

電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池 Download PDF

Info

Publication number
JP6728964B2
JP6728964B2 JP2016099778A JP2016099778A JP6728964B2 JP 6728964 B2 JP6728964 B2 JP 6728964B2 JP 2016099778 A JP2016099778 A JP 2016099778A JP 2016099778 A JP2016099778 A JP 2016099778A JP 6728964 B2 JP6728964 B2 JP 6728964B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fibrous cellulose
mass
composition
battery
fine fibrous
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016099778A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017208231A (ja
Inventor
絵美 相澤
絵美 相澤
郁絵 本間
郁絵 本間
貴之 大渕
貴之 大渕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
New Oji Paper Co Ltd
Oji Holdings Corp
Original Assignee
Oji Holdings Corp
Oji Paper Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Oji Holdings Corp, Oji Paper Co Ltd filed Critical Oji Holdings Corp
Priority to JP2016099778A priority Critical patent/JP6728964B2/ja
Publication of JP2017208231A publication Critical patent/JP2017208231A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6728964B2 publication Critical patent/JP6728964B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

本発明は、電池電極用組成物用増粘剤及び電池電極用組成物に関する。具体的には、繊維幅が1000nm以下の微細繊維状セルロースを含む電池電極用組成物に関する。さらに本発明は、該電池電極用組成物を含む電池電極及び電池に関する。
リチウムイオン電池は、エネルギー密度が高いという特徴を有し、携帯電話や、携帯型音楽プレーヤー、ノート型パーソナルコンピューター等の携帯型電気機器の電源として広く利用されている。リチウムイオン電池を構成している部材は、正極電極、負極電極、セパレータ、電解液に大きく分けることができる。リチウムイオン電池を構成する電極は、活物質や導電助剤をバインダや増粘剤と共に分散媒に分散させた組成物(塗液)を集電体である金属箔上に塗工し、乾燥させることにより形成される。リチウムイオン電池の性能は、活物質や導電助剤といった主要構成材料によって大きく左右されるものではあるが、同様に、バインダや増粘剤などの添加剤の特性にも左右される。
電池電極用組成物(塗液)には、塗工に適した粘度を付与するために増粘剤が添加されている。電池電極用組成物が水系組成物である場合、増粘剤として水溶性高分子を用いることが好ましく、このような増粘剤としてカルボキシメチルセルロース等が使用されている。
また、近年は、増粘剤として、セルロースナノ繊維を使用することも検討されている。例えば、特許文献1及び2では、セルロース繊維をTEMPO酸化することにより、セルロースのグルコースユニットの水酸基をカルボキシル基に変性させたセルロースナノ繊維が使用されている。ここでは、電池電極用組成物にセルロースナノ繊維を含有させることによって、活物質等の分散安定性を高めたり、電極塗膜の強度を高めることが検討されている。
特開2014−199742号公報 特開2015−125920号公報
しかしながら、従来使用されているカルボキシメチルセルロースや、カルボキシル基を有するセルロースナノ繊維を電池電極用組成物の増粘剤として用いた場合、活物質等の微粒子の分散性が低下する場合があることが本発明者らの検討により明らかとなった。また、従来使用されている増粘剤を含む電池電極用組成物を用いて電池電極を作製した場合、電極塗膜において活物質密度にばらつきが生じる場合があり改善が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、微粒子分散性に優れた電池電極用組成物であって、活物質密度のばらつきが少ない電池電極を形成し得る電池電極用組成物を提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースを電池電極用組成物の増粘剤として用いることにより、電池電極用組成物における微粒子分散性が高まることを見出した。さらに本発明者らは、このような電池電極用組成物を用いて、電池電極を作製した場合、電極塗膜における活物質密度のばらつきが少なくなることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースと、活物質と、導電助剤と、バインダと、を含む電池電極用組成物。
[2] 繊維状セルロースの平均重合度は360以上である[1]に記載の電池電極用組成物。
[3] 繊維状セルロースの含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.15質量%以上2.0質量%以下である[1]又は[2]に記載の電池電極用組成物。
[4] 3000rpmにて3時間撹拌後の粘度低下率が10%未満である[1]〜[3]のいずれかに記載の電池電極用組成物。
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載の電池電極用組成物を含む電池電極。
[6] [5]に記載の電池電極を備える電池。
[7] 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースを含む電池電極用組成物用増粘剤。
[8] 前記繊維状セルロースの平均重合度は360以上である[7]に記載の電池電極用組成物用増粘剤。
[9] 繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースの含有量が、前記電池電極用組成物中に含まれるセルロース繊維の全質量に対して、5質量%未満である[7]又は[8]に記載の電池電極用組成物用増粘剤。
本発明によれば、電池電極用組成物における微粒子分散性を高めることができる。さらに本発明の電池電極用組成物を用いて電池電極を作製した場合、電極塗膜における活物質密度のばらつきが少なくなる。
図1は、リン酸基を有する繊維原料に対するNaOH滴下量と電気伝導度の関係を示すグラフである。 図2は、電池電極の構成の一例を説明する概略図である。 図3は、カルボキシル基を有する繊維原料に対するNaOH滴下量と電気伝導度の関係を示すグラフである。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースと呼び、繊維幅が1000nmよりも大きい繊維状セルロースを粗大繊維状セルロースと呼ぶ。また、本明細書において、セルロース繊維には、特に記載した場合を除き、微細繊維状セルロースと、粗大繊維状セルロースが含まれるものとする。
(電池電極用組成物)
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースと、活物質と、導電助剤と、バインダと、を含む電池電極用組成物に関する。本発明の組成物は電池電極を形成する際に、集電体上に塗工する塗液として用いられるものであることが好ましく、本発明の組成物は電池電極用塗液と呼ぶこともできる。中でも、本発明の組成物は、リチウムイオン電池の電池電極用組成物であることが好ましい。なお、本発明の電池電極用組成物は、正極電極用組成物であってもよく、負極電極用組成物であってもよいが、負極電極用組成物として用いられることが好ましい。
本発明の電池電極用組成物は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースを含むものであるため、電池電極用組成物における微粒子分散性を効果的に高めることができる。本発明の電池電極用組成物においては、電池電極用組成物を強撹拌した後であってもその粘度低下が生じ難く、微粒子分散性が維持されており、かつ塗工適性にも優れている。また、本発明の電池電極用組成物を用いて電池電極を作製した場合は、電池電極における電極塗膜において活物質密度のばらつきが少なく、これにより電池電極の電気抵抗のばらつきを抑えることができる。その結果電池電極全体の電気抵抗値を低くすることも可能となる。さらに本発明の電池電極用組成物は塗工適性(塗工のしやすさ)に優れており、塗工後に形成された電極塗膜は集電体との密着性に優れている。
上記効果は、本発明の電池電極用組成物がリン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する微細繊維状セルロース(以下、リン酸化微細繊維状セルロースともいう)を含むことにより達成される。リン酸化微細繊維状セルロースは、粗大繊維状セルロースの含有量が少なく、微細繊維状セルロースの平均重合度が高いという特徴がある。このようなリン酸化微細繊維状セルロースは、優れた増粘効果を発揮することができ、電極塗膜においては、活物質密度のばらつきを少なく抑えることができるものと考えられる。
電池電極用組成物における増粘剤は、塗工時にはその塗工適性を高めるために必要とされるが、塗工後には不要な成分となることが多い。このため、増粘剤の添加量は少ない方が好ましく、増粘剤は少ない添加量であっても十分な増粘効果を発揮するものであることが好ましい。本発明では、増粘剤としてリン酸化微細繊維状セルロースを用いることにより、その添加量を少なく抑えることができる点にも特徴がある。本発明においては、リン酸化微細繊維状セルロースの添加量が少ない場合であっても微粒子の分散性を高め、かつ粘度低下率を低く抑えることができる。また、本発明においては、リン酸化微細繊維状セルロースの添加量が少ない場合であっても、その塗工適性を十分に高めることができ、さらには電極塗膜における活物質密度のばらつきを少なく抑えることができる。
リン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度は360以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましく、420以上であることがさらに好ましく、430以上であることが特に好ましく、500以上とすることも可能である。また、リン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度は2000以下であることが好ましく、1500以下であることがより好ましく、1000以下であることがさらに好ましく、600以下であることが特に好ましい。リン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度を上記範囲内とすることにより、電池電極用組成物の微粒子分散性をより高めることができ、電池電極用組成物の粘度低下を抑制することがでる。さらに、電池電極とした際には、電極塗膜において、活物質密度のばらつきをより少なく抑えることができる。
電池電極用組成物に含まれるリン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度は、下記の論文を参考にして算出できる。
TAPPI International Standard; ISO/FDIS 5351, 2009.
Smith, D. K.; Bampton, R. F.; Alexander, W. J. Ind. Eng. Chem.,Process Des. Dev. 1963, 2, 57‐62.
なお、電池電極用組成物中のリン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度を算出する際には、以下の手順にてリン酸化微細繊維状セルロースを電池電極用組成物から単離した後に測定を行う。
まず、電池電極用組成物を希釈し、乾燥させた後に、透過型電子顕微鏡で観察し、微細繊維状セルロースの存在を確認する。次いで、固体NMRを用いて、セルロースのI型結晶を検出する。
電池電極用組成物中に、微細繊維状セルロースの存在が確認された場合、以下の手順に従って微細繊維状セルロースを単離する。
まず、50ml容量のアルミカップに電池電極用組成物20±5gを量り取る。同様に電池電極用組成物を量り取ったアルミカップを複数個用意する。なお、微細繊維状セルロース中に粗大繊維状セルロースを含む場合などには、たとえば電池電極用組成物30gを遠沈管に分取した後、12000G×10minの条件で遠心分離して得られた上澄み液を回収し、当該上澄み液を50ml容量のアルミカップに20±5gを量り取ることができる。粗大繊維状セルロースは遠心分離により沈殿物となるため、上澄み液には含まれないこととなる。
次いで、送風定温乾燥機にて105℃で16時間加熱し電池電極用組成物を乾燥させる。乾燥させた電池電極用組成物1gに対し、100mlの割合となるように0.5mol/L銅エチレンジアミン溶液を加え、撹拌して微細繊維状セルロースを溶解する。得られた溶解液を、ろ過して残渣を取り除いた後、水中に滴下し、再生微細繊維状セルロースを得る。この再生微細繊維状セルロースは微細繊維状セルロースが銅エチレンジアミン溶液中で溶解し、水中で再生されたものである。得られた再生微細繊維状セルロースはろ別される。
得られた再生微細繊維状セルロースをイオン交換水で含有量が2±0.3質量%となるように希釈した懸濁液30gを、遠沈管に分取して液体窒素中に30分間静置し、凍結させる。さらに凍結乾燥機で5日間以上乾燥させた後、105℃に設定した定温乾燥機で3時間以上4時間以下加熱し、絶乾状態の微細繊維状セルロースを得る。
リファレンスを測定するために、空の50ml容量のスクリュー管に純水15mlと1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液を調製する。キャノンフェンスケ粘度計に上記の0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分置いた後、落下時間を測定して溶媒落下時間とする。
次に、微細繊維状セルロースの粘度を測定するため、絶乾状態の微細繊維状セルロース0.14g以上0.16g以下を空の50ml容量のスクリュー管に量り取り、純水15mlを添加する。さらに1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、自転公転式スーパーミキサーで1000rpm10分撹拌し、微細繊維状セルロースが溶解した0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液とする。リファレンスの測定と同様に、キャノンフェンスケ粘度計に調製した0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分置いた後、落下時間を測定する。評価は二回の測定を行ない、その平均値を用いる。
測定に用いた絶乾状態の微細繊維状セルロースの質量、溶媒落下時間、及び微細繊維状セルロースを溶解させた銅エチレンジアミン溶液の落下時間から下式を用いて重合度を算出する。なお、下記の平均重合度は二回以上測定した場合は、各回の平均値である。
測定に用いた絶乾状態の微細繊維状セルロース質量:a(g)(但し、aは0.14以上0.16以下)
溶液のセルロース濃度:c=a/30(g/mL)
溶媒落下時間:t0(sec)
微細繊維状セルロース溶液の落下時間:t(sec)
溶液の相対粘度:ηrel=t/t0
溶液の比粘度:ηsp=ηrel―1
固有粘度:[η]=ηsp/c(1+0.28ηsp
重合度:DP=[η]/0.57
本発明の電池電極用組成物は、リン酸化微細繊維状セルロースを含有する。ここで、電池電極用組成物中に含まれる微細繊維状セルロースがリン酸化微細繊維状セロースであることを確認するには、以下の手順にて分析を行なう。まず、上述した平均重合度の測定と同様の手順にて再生微細繊維状セルロースを得て、メンブレンフィルター(メルク社製、MF-ミリポア 孔径0.45μm)を用いイオン交換水で5回ろ過洗浄を行う。この操作により遊離のリンが除去され、微細繊維状セルロースに共有結合したリンだけが残ることとなる。洗浄した再生微細繊維状セルロースを500℃以上で灰化し、ICP発光分析装置質量分析装置(アメテック社製、CIROS‐120)を用いてリンの検出の有無を判別する。灰化は例えば電気炉(ヤマト科学社製、FO300)を用いて525℃などで行う。リンの検出は例えばICP発光分析の他にICP質量分析、イオンクロマトグラフ、FT−IR、XRF、モリブデンブルー法などの方法を用いてもよい。
電池電極用組成物中に含まれるリン酸化微細繊維状セルロースの含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.15質量%以上であることが好ましく、0.17質量%以上であることがより好ましく、0.20質量%以上であることがさらに好ましい。また、リン酸化微細繊維状セルロースの含有量は、2.0質量%以下であることが好ましく、1.5質量%以下であることがより好ましく、1.4質量%以下であることがさらに好ましく、1.2質量%以下であることが特に好ましい。なお、上記リン酸化微細繊維状セルロースの含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対する濃度であり、電池電極用組成物中に含まれる固形分には、セルロース繊維の他に、活物質、導電助剤、バインダが含まれる。本発明においては、リン酸化微細繊維状セルロースの含有量が上記記載の通り少ない場合であっても増粘効果を発揮することができ、微粒子分散性を高め、かつ強撹拌後であっても粘度低下を抑制することができる。また、リン酸化微細繊維状セルロースの含有量を上記範囲内とすることにより、電池電極用組成物の塗工適性をより効果的に高めることができる。
電池電極用組成物中に含まれるリン酸化微細繊維状セルロースの含有量は、リン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度を測定する前の再生微細繊維状セルロースの乾燥質量と、その再生微細繊維状セルロースの乾燥質量を得るために用いた電池電極用組成物の全固形分の乾燥質量とを測定することにより、求めることができる。電池電極用組成物の全固形分の乾燥質量は50ml容量のアルミカップに電池電極用組成物20±5gを量り取り、送風定温乾燥機にて105℃で16時間加熱し電池電極用組成物を乾燥させた後、銅エチレンジアミン溶液を加える前に測定する。
電池電極用組成物の粘度は、100mPa・s以上であることが好ましく、500mPa・s以上であることがより好ましく、1000mPa・s以上であることがさらに好ましい。また、電池電極用組成物の粘度は、100000mPa・s以下であることが好ましく、50000mPa・s以下であることがより好ましく、10000mPa・s以下であることがさらに好ましい。電池電極用組成物の粘度はB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数3rpm、測定時間3分、液温25℃にて測定する。
本発明の電池電極用組成物においては、所定条件で撹拌した後の粘度低下率が10%未満であることが好ましい。ここで、電池電極用組成物の粘度低下率(%)は、下記の方法により測定できる。まず、電池電極用組成物を23℃で12時間静置する。その後、電池電極用組成物の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数3rpm、測定時間3分、液温25℃にて測定する。その後T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)で3000rpmにて3時間撹拌し、再度粘度の測定を行う。粘度低下率は、下記式で算出する。
粘度低下率(%)=(撹拌前の粘度−撹拌後の粘度)/撹拌前の粘度×100
電池電極用組成物を調製する際には、各成分を均一に分散させるために強撹拌を行うことがある。本発明は、上述した通り、電池電極用組成物の粘度低下率が低いため、電池電極用組成物を調製する際に強撹拌を行った場合であっても増粘効果を発揮することができ、微粒子分散性や塗工適性を高く維持することができる。
<リン酸化微細繊維状セルロース>
リン酸化微細繊維状セルロース(以下、微細繊維状セルロースともいう)を得るための繊維状セルロース原料としては特に限定されないが、入手しやすく安価である点から、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。本実施態様のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中で、入手のしやすさという点で、セルロースを含む木材パルプ、脱墨パルプが好ましい。木材パルプの中でも化学パルプはセルロース比率が大きいため、繊維微細化(解繊)時の微細繊維状セルロースの収率が高く、またパルプ中のセルロースの分解が小さく、重合度の高い長繊維の微細繊維状セルロースが得られる点で好ましい。中でもクラフトパルプ、サルファイトパルプが最も好ましく選択される。重合度の高い微細繊維状セルロースを用いると高粘度が得られる傾向がある。
微細繊維状セルロースの平均繊維幅は、電子顕微鏡で観察して、1000nm以下である。平均繊維幅は、好ましくは2nm以上1000nm以下、より好ましくは2nm以上100nm以下であり、より好ましくは2nm以上50nm以下であり、さらに好ましくは2nm以上10nm以下であるが、特に限定されない。微細繊維状セルロースの平均繊維幅が2nm未満であると、セルロース分子として水に溶解しているため、微細繊維状セルロースとしての物性(強度や剛性、寸法安定性)が発現しにくくなる傾向がある。なお、微細繊維状セルロースは、たとえば繊維幅が1000nm以下である単繊維状のセルロースである。
微細繊維状セルロースの電子顕微鏡観察による平均繊維幅の測定は以下のようにして行う。濃度0.05質量%以上0.1質量%以下の微細繊維状セルロースの水系懸濁液を調製し、この懸濁液を親水化処理したカーボン膜被覆グリッド上にキャストしてTEM観察用試料とする。幅の広い繊維を含む場合には、ガラス上にキャストした表面のSEM像を観察してもよい。構成する繊維の幅に応じて1000倍、5000倍、10000倍あるいは50000倍のいずれかの倍率で電子顕微鏡画像による観察を行う。但し、試料、観察条件や倍率は下記の条件を満たすように調整する。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を目視で読み取る。こうして少なくとも重なっていない表面部分の画像を3組以上観察し、各々の画像に対して、直線X、直線Yと交錯する繊維の幅を読み取る。このように少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。微細繊維状セルロースの平均繊維幅(単に、「繊維幅」ということもある。)はこのように読み取った繊維幅の平均値である。
微細繊維状セルロースの繊維長は特に限定されないが、0.1μm以上1000μm以下が好ましく、0.1μm以上800μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上600μm以下が特に好ましい。繊維長を上記範囲内とすることにより、微細繊維状セルロースの結晶領域の破壊を抑制でき、また微細繊維状セルロースのスラリー粘度を適切な範囲とすることができる。なお、微細繊維状セルロースの繊維長は、TEM、SEM、AFMによる画像解析より求めることができる。
微細繊維状セルロースはI型結晶構造を有していることが好ましい。ここで、微細繊維状セルロースがI型結晶構造をとっていることは、グラファイトで単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を用いた広角X線回折写真より得られる回折プロファイルにおいて同定できる。具体的には、2θ=14°以上17°以下付近と2θ=22°以上23°以下付近の2箇所の位置に典型的なピークをもつことから同定することができる。
微細繊維状セルロースに占めるI型結晶構造の割合(結晶化度)は、本発明においては特に限定されないが、たとえば30%以上であることが好ましく、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。この場合、耐熱性と低線熱膨張率発現の点でさらに優れた性能が期待できる。結晶化度については、X線回折プロファイルを測定し、そのパターンから常法により求められる(Seagalら、Textile Research Journal、29巻、786ページ、1959年)。
微細繊維状セルロースは、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基(単にリン酸基ということもある)を有する。すなわち、本発明で用いられる微細繊維状セルロースはリン酸化微細繊維状セルロースである。
リン酸基はリン酸からヒドロキシル基を取り除いたものにあたる、2価の官能基である。具体的には−PO32で表される基である。リン酸基に由来する置換基は、リン酸基が縮重合した基、リン酸基の塩、リン酸エステル基などの置換基が含まれ、イオン性置換基であっても、非イオン性置換基であってもよい。
本発明では、リン酸基又はリン酸基に由来する置換基は、下記式(1)で表される置換基であってもよい。
Figure 0006728964
式(1)中、a、b、m及びnはそれぞれ独立に整数を表す(ただし、a=b×mである);αn(n=1以上n以下の整数)およびα’はそれぞれ独立にR又はORを表す。Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、又はこれらの誘導基である;βは有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。
<リン酸基導入工程>
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(以下、「リン酸化試薬」又は「化合物A」という)を反応させることにより行うことができる。このようなリン酸化試薬は、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に粉末や水溶液の状態で混合してもよい。また別の例としては、繊維原料のスラリーにリン酸化試薬の粉末や水溶液を添加してもよい。
リン酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料に対し、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種(リン酸化試薬又は化合物A)を反応させることにより行うことができる。なお、この反応は、尿素及びその誘導体から選択される少なくとも1種(以下、「化合物B」という)の存在下で行ってもよい。
化合物Aを化合物Bの共存下で繊維原料に作用させる方法の一例としては、乾燥状態または湿潤状態の繊維原料に化合物Aおよび化合物Bの粉末や水溶液を混合する方法が挙げられる。また別の例としては、繊維原料のスラリーに化合物Aおよび化合物Bの粉末や水溶液を添加する方法が挙げられる。これらのうち、反応の均一性が高いことから、乾燥状態の繊維原料に化合物Aおよび化合物Bの水溶液を添加する方法、または湿潤状態の繊維原料に化合物Aおよび化合物Bの粉末や水溶液を添加する方法が好ましい。また、化合物Aと化合物Bは同時に添加してもよいし、別々に添加してもよい。また、初めに反応に供試する化合物Aと化合物Bを水溶液として添加して、圧搾により余剰の薬液を除いてもよい。繊維原料の形態は綿状や薄いシート状であることが好ましいが、特に限定されない。
本実施態様で使用する化合物Aは、リン酸基を有する化合物及びその塩から選択される少なくとも1種である。リン酸基を有する化合物としては、リン酸、リン酸のリチウム塩、リン酸のナトリウム塩、リン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩などが挙げられるが、特に限定されない。リン酸のリチウム塩としては、リン酸二水素リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸三リチウム、ピロリン酸リチウム、またはポリリン酸リチウムなどが挙げられる。リン酸のナトリウム塩としてはリン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、またはポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。リン酸のカリウム塩としてはリン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三カリウム、ピロリン酸カリウム、またはポリリン酸カリウムなどが挙げられる。リン酸のアンモニウム塩としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウムなどが挙げられる。
これらのうち、リン酸基の導入の効率が高く、後述する解繊工程で解繊効率がより向上しやすく、低コストであり、かつ工業的に適用しやすい観点から、リン酸、リン酸のナトリウム塩、またはリン酸のカリウム塩、リン酸のアンモニウム塩が好ましい。リン酸二水素ナトリウム、またはリン酸水素二ナトリウムがより好ましい。
また、反応の均一性が高まり、かつリン酸基導入の効率が高くなることから化合物Aは水溶液として用いることが好ましい。化合物Aの水溶液のpHは特に限定されないが、リン酸基の導入の効率が高くなることから7以下であることが好ましく、パルプ繊維の加水分解を抑える観点からpH3以上pH7以下がさらに好ましい。化合物Aの水溶液のpHは例えば、リン酸基を有する化合物のうち、酸性を示すものとアルカリ性を示すものを併用し、その量比を変えて調整してもよい。化合物Aの水溶液のpHは、リン酸基を有する化合物のうち、酸性を示すものに無機アルカリまたは有機アルカリを添加すること等により調整してもよい。
繊維原料に対する化合物Aの添加量は特に限定されないが、化合物Aの添加量をリン原子量に換算した場合、繊維原料(絶乾質量)に対するリン原子の添加量は0.5質量%以上100質量%以下が好ましく、1質量%以上50質量%以下がより好ましく、2質量%以上30質量%以下が最も好ましい。繊維原料に対するリン原子の添加量が上記範囲内であれば、微細繊維状セルロースの収率をより向上させることができる。繊維原料に対するリン原子の添加量は100質量%と以下とすることにより、収率向上の効果とコストのバランスをとることができる。一方、繊維原料に対するリン原子の添加量を上記下限値以上とすることにより、収率を高めることができる。
本実施態様で使用する化合物Bとしては、尿素、ビウレット、1−フェニル尿素、1−ベンジル尿素、1−メチル尿素、1−エチル尿素などが挙げられる。
化合物Bは化合物A同様に水溶液として用いることが好ましい。また、反応の均一性が高まることから化合物Aと化合物Bの両方が溶解した水溶液を用いることが好ましい。繊維原料(絶乾質量)に対する化合物Bの添加量は1質量%以上500質量%以下であることが好ましく、10質量%以上400質量%以下であることがより好ましく、100質量%以上350質量%以下であることがさらに好ましく、150質量%以上300質量%以下であることが特に好ましい。
化合物Aと化合物Bの他に、アミド類またはアミン類を反応系に含んでもよい。アミド類としては、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、アセトアミド、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる。アミン類としては、メチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。これらの中でも、特にトリエチルアミンは良好な反応触媒として働くことが知られている。
リン酸基導入工程においては加熱処理を施すことが好ましい。加熱処理温度は、繊維の熱分解や加水分解反応を抑えながら、リン酸基を効率的に導入できる温度を選択することが好ましい。具体的には50℃以上300℃以下であることが好ましく、100℃以上250℃以下であることがより好ましく、130℃以上200℃以下であることがさらに好ましい。また、加熱には減圧乾燥機、赤外線加熱装置、マイクロ波加熱装置を用いてもよい。
加熱処理の際、化合物Aを添加した繊維原料スラリーに水が含まれている間において、繊維原料を静置する時間が長くなると、乾燥に伴い水分子と溶存する化合物Aが繊維原料表面に移動する。そのため、繊維原料中の化合物Aの濃度にムラが生じる可能性があり、繊維表面へのリン酸基の導入が均一に進行しない恐れがある。乾燥による繊維原料中の化合物Aの濃度ムラ発生を抑制するためには、ごく薄いシート状の繊維原料を用いるか、ニーダー等で繊維原料と化合物Aを混練又は撹拌しながら加熱乾燥又は減圧乾燥させる方法を採ればよい。
加熱処理に用いる加熱装置としては、スラリーが保持する水分及びリン酸基などの繊維の水酸基への付加反応で生じる水分を常に装置系外に排出できる装置であることが好ましく、例えば送風方式のオーブン等が好ましい。装置系内の水分を常に排出すれば、リン酸エステル化の逆反応であるリン酸エステル結合の加水分解反応を抑制できることに加えて、繊維中の糖鎖の酸加水分解を抑制することもでき、重合度の高い微細繊維を得ることができる。
加熱処理の時間は、加熱温度にも影響されるが繊維原料スラリーから実質的に水分が除かれてから1秒以上300分以下であることが好ましく、1秒以上1000秒以下であることがより好ましく、10秒以上800秒以下であることがさらに好ましい。本発明では、加熱温度と加熱時間を適切な範囲とすることにより、リン酸基の導入量を好ましい範囲内とすることができる。
リン酸基の導入量は、微細繊維状セルロース1g(質量)あたり0.1mmol/g以上3.65mmol/g以下であることが好ましく、0.14mmol/g以上3.5mmol/g以下がより好ましく、0.2mmol/g以上3.2mmol/g以下がさらに好ましく、0.4mmol/g以上3.0mmol/g以下が特に好ましく、最も好ましくは0.6mmol/g以上2.5mmol/g以下である。リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、繊維原料の微細化を容易にし、微細繊維状セルロースの安定性を高めることができる。また、リン酸基の導入量を上記範囲内とすることにより、増粘剤として良好な特性を発揮することができる。
リン酸基の繊維原料への導入量は、伝導度滴定法により測定することができる。具体的には、解繊処理工程により微細化を行い、得られた微細繊維状セルロース含有スラリーをイオン交換樹脂で処理した後、水酸化ナトリウム水溶液を加えながら電気伝導度の変化を求めることにより、導入量を測定することができる。
伝導度滴定では、アルカリを加えていくと、図1に示した曲線を与える。最初は、急激に電気伝導度が低下する(以下、「第1領域」という)。その後、わずかに伝導度が上昇を始める(以下、「第2領域」という)。さらにその後、伝導度の増分が増加する(以下、「第3領域」という)。すなわち、3つの領域が現れる。このうち、第1領域で必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の強酸性基量と等しく、第2領域で必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の弱酸性基量と等しくなる。リン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上弱酸性基が失われ、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、強酸性基量は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致することから、単にリン酸基導入量(またはリン酸基量)、または置換基導入量(または置換基量)と言った場合は、強酸性基量のことを表す。すなわち、図1に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とする。
リン酸基導入工程は、少なくとも1回行えば良いが、複数回繰り返すこともできる。この場合、より多くのリン酸基が導入されるので好ましい。
<アルカリ処理>
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程の間にアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ溶液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
アルカリ溶液に含まれるアルカリ化合物は、特に限定されないが、無機アルカリ化合物であってもよいし、有機アルカリ化合物であってもよい。アルカリ溶液における溶媒としては水または有機溶媒のいずれであってもよい。溶媒は、極性溶媒(水、またはアルコール等の極性有機溶媒)が好ましく、少なくとも水を含む水系溶媒がより好ましい。
また、アルカリ溶液のうちでは、汎用性が高いことから、水酸化ナトリウム水溶液、または水酸化カリウム水溶液が特に好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液の温度は特に限定されないが、5℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上60℃以下がより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
アルカリ処理におけるアルカリ溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
アルカリ処理工程におけるアルカリ溶液使用量を減らすために、アルカリ処理工程の前に、リン酸基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄しても構わない。アルカリ処理後には、取り扱い性を向上させるために、解繊処理工程の前に、アルカリ処理済みリン酸基導入繊維を水や有機溶媒により洗浄することが好ましい。
<酸処理>
微細繊維状セルロースを製造する場合、リン酸基導入工程と、後述する解繊処理工程の間に酸処理を行ってもよい。また、リン酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
酸処理の方法としては、特に限定されないが、例えば、酸を含有する酸性液中に、リン酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。使用する酸性液の濃度は特に限定されないが、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。酸性液に含まれる酸としては、例えば、無機酸、スルホン酸、カルボン酸等を用いることができる。無機酸としては、例えば、硫酸、硝酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、次亜塩素酸、亜塩素酸、塩素酸、過塩素酸、リン酸、ホウ酸等が挙げられる。スルホン酸としては、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸、酒石酸等が挙げられる。中でも、酸としては塩酸を用いることが好ましい。
酸処理工程における酸溶液の温度は特に限定されないが、5℃以上80℃以下が好ましく、10℃以上60℃以下がより好ましい。
酸処理工程における酸溶液への浸漬時間は特に限定されないが、5分以上30分以下が好ましく、10分以上20分以下がより好ましい。
酸処理における酸溶液の使用量は特に限定されないが、リン酸基導入繊維の絶対乾燥質量に対して100質量%以上100000質量%以下であることが好ましく、1000質量%以上10000質量%以下であることがより好ましい。
<解繊処理>
リン酸基導入繊維は、解繊処理工程で解繊処理される。解繊処理工程では、通常、解繊処理装置を用いて、繊維を解繊処理して、微細繊維状セルロース含有スラリーを得るが、処理装置、処理方法は、特に限定されない。
解繊処理装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミルなどを使用できる。あるいは、解繊処理装置としては、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできる。解繊処理装置は、上記に限定されるものではない。好ましい解繊処理方法としては、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミの心配が少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーが挙げられる。
解繊処理の際には、繊維原料を水と有機溶媒を単独または組み合わせて希釈してスラリー状にすることが好ましいが、特に限定されない。分散媒としては、水の他に、極性有機溶媒を使用することができる。好ましい極性有機溶媒としては、アルコール類、ケトン類、エーテル類、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルホルムアミド(DMF)、またはジメチルアセトアミド(DMAc)等が挙げられるが、特に限定されない。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、またはt−ブチルアルコール等が挙げられる。ケトン類としては、アセトンまたはメチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。エーテル類としては、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン(THF)等が挙げられる。分散媒は1種であってもよいし、2種以上でもよい。また、分散媒中に繊維原料以外の固形分、例えば水素結合性のある尿素などを含んでも構わない。
本発明では、微細繊維状セルロースを濃縮、乾燥させた後に解繊処理を行ってもよい。この場合、濃縮、乾燥の方法は特に限定されないが、例えば、微細繊維状セルロースを含有するスラリーに濃縮剤を添加する方法、一般に用いられる脱水機、プレス、乾燥機を用いる方法等が挙げられる。また、公知の方法、例えばWO2014/024876、WO2012/107642、およびWO2013/121086に記載された方法を用いることができる。また、濃縮した微細繊維状セルロースをシート化してもよい。該シートを粉砕して解繊処理を行うこともできる。
微細繊維状セルロースを粉砕する際に粉砕に用いる装置としては、高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、ビーターなど、湿式粉砕する装置等を使用することもできるが特に限定されない。また、処理条件も好ましい重合度が得られる条件であれば特に限定されない。
本発明においては、微細繊維状セルロースの原料や製造条件をそれぞれ適切に選択することにより微細繊維状セルロースの平均重合度を好ましい範囲内に制御しやすくなる。このような製造条件としては、特に限定されないが、たとえば解繊処理工程における圧力条件や処理回数を調整したり、製造装置の種類を選択することなどが挙げられる。例えば、湿式微粒化装置を用いて245MPaの圧力にて解繊処理を行う場合、処理回数を1回以上8回以下とすることで微細繊維状セルロースの平均重合度を好ましい範囲内に制御してもよい。
<粗大繊維状セルロース>
上述したように微細繊維状セルロースを得る工程においては、繊維原料(粗大繊維状セルロース)を微細化する工程を含む。このとき粗大繊維状セルロースの大部分は微細化されるが、その一部は微細化されずに残る場合がある。このような場合、本発明の電池電極用組成物には、粗大繊維状セルロースが含まれることとなる。
本発明の電池電極用組成物が、繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースを含む場合、粗大繊維状セルロースの含有量は、電池電極用組成物中に含まれるセルロース繊維の全質量に対して、5質量%未満であることが好ましい。粗大繊維状セルロースの含有量は3質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることがさらに好ましく、0.5質量%未満であることが特に好ましい。なお、本発明の電池電極用組成物における粗大繊維状セルロースの含有量は0質量%であることも好ましい。
本発明においては、粗大繊維状セルロースの含有量が少ない点に特徴があり、粗大繊維状セルロースの含有量を上記範囲内とすることにより、電池電極の電極塗膜における活物質密度のばらつきが少なくなり、電池電極の電気抵抗のばらつきを抑えることができる。その結果、電池電極全体の電気抵抗値を低く抑えることもできる。
なお、本明細書においては、粗大繊維状セルロースは、繊維幅が1000nmよりも大きい繊維状セルロースであり、繊維幅が1000nm以下である微細繊維状セルロースとは繊維幅において区別される。なお、粗大繊維状セルロースの繊維幅は、上述した微細繊維状セルロースの繊維幅の測定方法と同様の方法で測定することができる。
<活物質>
本発明の電池電極用組成物は活物質を含む。活物質は、電池反応の中心的役割を担う物質であり、電子を送り出し受け取る酸化/還元反応を行う物質である。例えば、リチウムイオン電池において、活物質として正極にLiCoO2、負極に黒鉛を用いた場合、電極反応は下記のように表される。
正極:LiCoO2⇔Li1-xCoO2+xLi++xe-
負極:C+xLi++xe-⇔Lix
本発明の電池電極用組成物は正極電極用組成物であってもよく、負極電極用組成物であってもよい。本発明の電池電極用組成物が正極電極用組成物である場合、電池電極用組成物は正極活物質を含む。正極活物質としては、例えば、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)、リン酸マンガンリチウム(LiMnPO4)、リン酸コバルトリチウム(LiCoPO4)、ピロリン酸鉄(Li2FeP27)、コバルト酸リチウム複合酸化物(LiCoO2)、スピネル型マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMn24)、マンガン酸リチウム複合酸化物(LiMnO2)、ニッケル酸リチウム複合酸化物(LiNiO2)、ニオブ酸リチウム複合酸化物(LiNbO2)、鉄酸リチウム複合酸化物(LiFeO2)、マグネシウム酸リチウム複合酸化物(LiMgO2)、カルシウム酸リチウム複合酸化物(LiCaO2)、銅酸リチウム複合酸化物(LiCuO2)、亜鉛酸リチウム複合酸化物(LiZnO2)、モリブデン酸リチウム複合酸化物(LiMoO2)、タンタル酸リチウム複合酸化物(LiTaO2)、タングステン酸リチウム複合酸化物(LiWO2)、リチウム−ニッケル−コバルト−アルミニウム複合酸化物(LiNi0.8Co0.15Al0.052)、リチウム−ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物(LiNi0.33Co0.33Mn0.332)、Li過剰系ニッケル−コバルト−マンガン複合酸化物、酸化マンガンニッケル(LiNi0.5Mn1.54)、酸化マンガン(MnO2)、バナジウム系酸化物、硫黄系酸化物、シリケート系酸化物等を挙げることができる。
本発明の電池電極用組成物が負極電極用組成物である場合、電池電極用組成物は負極活物質を含む。負極活物質としては、例えば、グラファイトなどの結晶性黒鉛、カーボンナノチューブ、ケイ素(Si)やスズ(Sn)などのようにリチウムイオンを大量に吸蔵放出可能な材料を用いることができる。ケイ素含有材料としては、Si、SiOx(0.05<x<1.95)、またはこれらのいずれかにB、Mg、Ni、Ti、Mo、Co、Ca、Cr、Cu、Fe、Mn、Nb、Ta、V、W、Zn、C、N、Snからなる群から選択される少なくとも1つ以上の元素でSiの一部を置換した合金や化合物、または固溶体などを用いることができる。これらはケイ素又はケイ素化合物ということができる。スズ含有材料としてはNi2Sn4、Mg2Sn、SnOx(0<x<2)、SnO2、SnSiO3、LiSnOなどが適用できる。これらの材料は、それぞれ1種単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
電池電極用組成物中に含まれる活物質の含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、50質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。また、活物質の含有量は、99.9質量%以下であることが好ましい。
<導電助剤>
本発明の電池電極用組成物は導電助剤を含む。導電助剤は、電極塗膜において活物質と集電体の間に導電経路を形成する働きをする。導電助剤は、導電性を有していれば特に限定されることはないが、カーボン粉末、カーボンファイバーなどのカーボン材料であることが好ましい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末を挙げることができる。導電助剤としては、このような導電助剤から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。
電池電極用組成物中に含まれる導電助剤の含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.5質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。また、導電助剤の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。
また、導電助剤の含有量は、活物質の全質量に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。
<バインダ>
本発明の電池電極用組成物はバインダを含む。バインダは、活物質と導電助剤の各粒子を結着させたり、これらの粒子と集電体を結着させる働きをする。このようなバインダとしては、使用する溶媒に溶解または分散可能なポリマーを用いることができる。例えば、水系溶媒を用いた電池電極用組成物においては、ゴム類(酢酸ビニル共重合体、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)等)の水溶性または水分散性ポリマーを用いることができる。また、非水溶媒を用いた電池電極用組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリアクリルニトリル(PAN)等を用いることができる。
電池電極用組成物中に含まれるバインダの含有量は、電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.1質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。また、バインダの含有量は、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
<分散媒>
電池電極用組成物は分散媒を含む。分散媒としては、水や有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。中でも分散媒は水であることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。なお、本明細書において分散媒とは、電池電極用組成物中において、電極塗膜形成時の乾燥の際に残る固形分を除いた残りの部分を指す。
(電池電極用組成物用増粘剤)
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースを含む電池電極用組成物用増粘剤に関するものであってもよい。電池電極用組成物用増粘剤は、上述したリン酸化微細繊維状セルロースを全固形分の質量に対して60質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましく、90質量%以上含むことが特に好ましい。また、電池電極用組成物用増粘剤は、上述したリン酸化微細繊維状セルロースからなるものであってもよい。
なお、電池電極用組成物用増粘剤に含まれる微細繊維状セルロースの平均重合度の好ましい範囲は、電池電極用組成物に含まれる微細繊維状セルロースの平均重合度の好ましい範囲と同様であり、平均重合度は電池電極用組成物における平均重合度の測定方法と同様にして測定できる。
本発明の電池電極用組成物用増粘剤は、繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースを含有していてもよく、この場合、粗大繊維状セルロースの含有量は、電池電極用組成物用増粘剤中に含まれるセルロース繊維の全質量に対して、5質量%未満であることが好ましい。粗大繊維状セルロースの含有量は3質量%未満であることがより好ましく、1質量%未満であることがさらに好ましく、0.5質量%未満であることが特に好ましい。なお、本発明の電池電極用組成物用増粘剤における粗大繊維状セルロースの含有量は0質量%であることも好ましい。
電池電極用組成物用増粘剤中に含まれる粗大繊維状セルロースの含有量は以下の方法で測定することができる。まず、電池電極用組成物用増粘剤に、水を添加して繊維固形分濃度を0.2質量%に調整する。次いで12000G×10minの条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収する。そして、回収した上澄み液を50ml容量のアルミカップに40±5gを量り取る。同様に上澄み液を量り取ったアルミカップを複数個用意する。送風定温乾燥機にて105℃で16時間加熱し上澄み液を乾燥させる。乾燥前後の重量から回収した上澄み液の固形分濃度を測定する。得られた上澄み液の固形分濃度に基づき、下記式により、粗大繊維状セルロースの含有量を算出する。
粗大繊維状セルロースの含有量(質量%)=100−(上澄み液中の固形分濃度/0.2(質量%)×100)
電池電極用組成物用増粘剤には、リン酸化微細繊維状セルロースの他に、粗大繊維状セルロースや水分等の溶媒、セルロース系ポリマー(カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)等)、水溶性高分子等が含まれていてもよい。リン酸化微細繊維状セルロースに加えてセルロース系ポリマーを併用する場合は、このようなポリマーはバインダとして塗膜の強度向上にも寄与する。電池電極用組成物用増粘剤の形態としては、例えば、粉末状、ゲル状、スラリー状、溶液状、シート状等を挙げることができる。電池電極用組成物用増粘剤を使用する際には、電池電極用組成物用増粘剤はスラリー状であることが好ましく、この場合分散媒としては、水や有機溶媒、及びこれらの混合物が挙げられる。中でも分散媒は水であることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
電池電極用組成物用増粘剤を固形分濃度が0.2質量%になるようにイオン交換水に分散させたスラリーのヘーズは、20%以下であることが好ましく、18%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましい。該スラリーのヘーズが上記範囲であることは、電池電極用組成物用増粘剤に含まれる粗大繊維状セルロースの含有量が少なく、また、微細繊維状セルロースの微細化が良好であることを意味する。このような電池電極用組成物用増粘剤は良好な増粘効果を発揮することができる。
ここで、微細繊維状セルロース含有スラリー(微細繊維状セルロース濃度0.2質量%)のヘーズは、光路長1cmの液体用ガラスセル(藤原製作所製、MG−40、逆光路)に微細繊維状セルロース含有スラリーを入れ、JIS K 7136に準拠し、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所社製、HM−150)を用いて測定される値である。なお、ゼロ点測定は、同ガラスセルに入れたイオン交換水で行う。
(電池電極用組成物の製造方法)
本発明の電池電極用組成物の製造方法は、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロース(リン酸化微細繊維状セルロース)と、活物質と、導電助剤と、バインダと、を混合する工程を含む。電池電極用組成物の製造方法では、リン酸化微細繊維状セルロースのスラリーに、活物質と導電助剤を添加し、分散をさせた後にバインダを添加し、さらに撹拌を行うことが好ましい。すなわち、電池電極用組成物の製造方法は、リン酸化微細繊維状セルロースのスラリーに、活物質と導電助剤を添加して混合する工程と、リン酸化微細繊維状セルロース、活物質及び導電助剤を含むスラリーにさらにバインダを添加し混合する工程と、を含むことが好ましい。
リン酸化微細繊維状セルロースのスラリー中に含まれる固形分濃度は、0.05質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましい。また、リン酸化微細繊維状セルロースのスラリー中に含まれる固形分濃度は、3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
混合する工程では、乳鉢、ミルミキサー、遊星型ボールミル又はシェイカー型ボールミルなどのボールミル、メカノフュージョン等を用いることができる。なお、本発明の電池電極用組成物は、粘度低下率が低いため、高圧ホモジナイザイザー、超高圧ホモジナイザー、高速回転ミキサー、薄膜旋回式分散機などの高せん断分散機を用いることもできる。
(電池電極)
本発明は、上述した電池電極用組成物を用いて形成した電池電極に関するものでもある。図2は、本発明の電池電極の構成の一例を説明する概略図である。図2に示されたように、電池電極10は、電極塗膜12と集電体14を含む。電池電極10において、電極塗膜12と集電体14は接した状態で積層されている。集電体14としては、金属箔が好ましく用いられる。
本発明の電池電極は、正極用の電池電極であってもよく、負極用の電池電極であってもよい。正極用の電池電極において集電体14としては、アルミニウム、チタン、ステンレス、ニッケル等を挙げることができ、中でもアルミニウム箔を用いることが好ましい。負極用の電池電極では集電体14としては、銅、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、チタン等を挙げることができ、中でも銅箔を用いることが好ましい。集電体14の厚みは特に限定されないが、1μm以上50μm以下であることが好ましい。
電極塗膜12は、集電体14上に電池電極用組成物を塗工することにより形成される。集電体14上に電池電極用組成物を塗工した後、乾燥をさせ、さらに予め定められた厚さにプレスすることによって電極塗膜12が形成される。電池電極用組成物の塗工量は、乾燥後の付着量が25g/m2以上70g/m2以下となるように調節することが好ましい。
電池電極用組成物を塗工する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、ハケ塗り法などを用いることができる。この際、電池電極用組成物を集電体14の片面だけに塗布してもよいし、両面に塗布してもよい。また電池電極用組成物は、集電体14上の全面に塗工してもよいが、例えば集電体の幅方向の少なくとも一方の縁部に未塗工部が設けられていてもよい。
集電体上に塗工された電池電極用組成物を乾燥する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。このように集電体上の電池電極用組成物を乾燥することで、集電体上に電極塗膜を形成し、電池電極を作製することができる。
乾燥工程の後、金型プレスまたはロールプレスなどを用い、電極塗膜に加圧処理を施してもよい。本発明の電池電極は、電極塗膜と集電体の密着性が高いため、乾燥工程の後にプレス工程を設けた場合であってもプレス加工時に剥離等の不具合が生じることが抑制されている。
本発明では電極塗膜における活物質密度のばらつきが低く抑えられている。電極塗膜における活物質密度を測定する際には、電池電極(電極塗膜)の厚み方向の断面の活物質密度分布を電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)にて測定する。
活物質密度の厚さ方向のバラツキ(%)は下記式により算出する。
活物質密度の厚さ方向のバラツキ(%)=活物質密度の標準偏差/活物質密度の算術平均値
本発明では、電極塗膜における活物質密度のばらつきは5%未満であることが好ましい。
本発明では電池電極における電極塗膜と集電体は密着性に優れている。電極塗膜と集電体の密着性は下記の方法で評価することができる。まず、電池電極の電極塗膜に、直行する縦横11本ずつの平行線を1mmの間隔でひき、1cm2の範囲内に100個のマス目を形成する。マス目上にメンディングテープを貼り付けた後に45°の角度で剥離し、メンディングテープに貼り付き剥離したマス目の個数を計測し、下記式により剥離箇所の割合を算出する。
100マス中の剥離箇所の割合(%)=剥離したマス目の個数/100×100
本発明においては、上記の試験を10回行い、平均値を算出した場合、100マス中の剥離箇所の割合は15%未満であることが好ましい。
電極塗膜には、繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースと、活物質と、導電助剤と、バインダと、が含有される。なお、電極塗膜に含まれるリン酸化微細繊維状セルロースの平均重合度を測定する際には、リン酸化微細繊維状セルロースを単離することができる。リン酸化微細繊維状セルロースを単離する際には、まず、電池電極を1cm角程度に断裁後、カッターミルを用いて1mm角程度にまで粉砕する。次いで、電池電極の粉砕物1gに対し、100mlの割合となるように0.5mol/L銅エチレンジアミン溶液を加え、撹拌してリン酸化微細繊維状セルロースを溶解する。得られた溶解液を、ろ過して残渣を取り除いた後、水中に滴下し、再生微細繊維状セルロースを得る。電極塗膜においては、このようにして単離した再生微細繊維状セルロースの平均重合度を、電池電極用組成物と同様にして測定できる。
(電池)
本発明は上述した電池電極を備える電池に関するものでもある。電池としては、例えば、有機電解液を用いるリチウムイオン電池(一次電池および二次電池)を挙げることができる。リチウムイオン電池の形態としては、スチール缶やアルミニウム缶などを外装缶として使用した筒形(角筒形や円筒形など)や金属を蒸着したラミネートフィルムを外装体としたソフトパッケージ形とすることもできる。
リチウムイオン電池を構成している部材は、正極電極、負極電極、セパレータ、電解液に大きく分けることができる。正極電極及び負極電極は各々、電子を送り出し受け取る酸化/還元反応を行う活物質を含有する。正極電極と負極電極とは、電池用セパレータを介して積層した積層構造の電極群や、更にこれを巻回した巻回構造の電極群の形態で用いることができる。
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレンからなる多孔性フィルムを用いることができる。多孔性フィルムの収縮等を防ぐために多孔性フィルムの表面に有機微粒子や無機微粒子を含有させたセパレータを用いることが好ましい。
電解液としては、リチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液が用いられる。リチウム塩としては、溶媒中で解離してLi+イオンを形成し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に制限はない。有機溶媒としては、上記リチウム塩を溶解し、電池として使用される電圧範囲で分解などの副反応を起こさないものであれば特に限定されない。
リチウムイオン電池は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピューターなどの携帯機器、電気自動車、ハイブリッド式自動車、電動バイク、電動アシスト自転車、電動工具、シェーバーなどの各種機器の電源用途などに加えて、従来から知られている各種用途に用いられる。
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
<微細繊維状セルロース含有物1(実施例用)の製造>
乾燥質量100質量部の針葉樹クラフトパルプに、リン酸二水素アンモニウムと尿素の混合水溶液を含浸させ、リン酸二水素アンモニウムが49質量部、尿素が130質量部となるように圧搾し、薬液含浸パルプを得た。得られた薬液含浸パルプを105℃の乾燥機で乾燥し、水分を蒸発させてプレ乾燥させた。その後、140℃に設定した送風乾燥機で、10分間加熱し、パルプ中のセルロースにリン酸基を導入し、リン酸化パルプを得た。
得られたリン酸化パルプをパルプ質量で100g分取し、10Lのイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。次いで、得られた脱水シートを10Lのイオン交換水で希釈し、撹拌しながら、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ添加し、pHが12以上13以下のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、10Lのイオン交換水を添加した。撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。
得られた脱水シートに対し、先と同様にして、リン酸基を導入する工程、濾過脱水する工程を繰り返し、二回リン酸化セルロースの脱水シート1を得た。得られた脱水シート1をFT−IRで赤外線吸収スペクトルを測定した。その結果、1230cm-1以上1290cm-1以下にリン酸基に基づく吸収が観察され、リン酸基の付加が確認された。得られた脱水シート1(二回リン酸化セルロース)は、セルロースのヒドロキシル基の一部が下記構造式(1)の官能基で置換されたものであった。
Figure 0006728964
式中、a,b,m及びnはそれぞれ独立に自然数を表す(ただし、a=b×mである。)。α1,α2,・・・,αnおよびα’はそれぞれ独立にR又はORを表す。Rは、水素原子、飽和−直鎖状炭化水素基、飽和−分岐鎖状炭化水素基、飽和−環状炭化水素基、不飽和−直鎖状炭化水素基、不飽和−分岐鎖状炭化水素基、芳香族基、およびこれらの誘導基のいずれかである。βは有機物または無機物からなる1価以上の陽イオンである。
得られた二回リン酸化セルロースにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、さらに湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)で245MPaの圧力にて6回処理し、微細繊維状セルロース含有物1を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロース含有物1にはセルロースI型結晶を維持した微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。
<微細繊維状セルロース含有物2(実施例用)の製造>
湿式微粒化装置における245MPaの圧力処理の回数を3回とした以外は、微細繊維状セルロース含有物1の製造と同様にして、微細繊維状セルロース含有物2を得た。X線回折により、この微細繊維状セルロース含有物2にはセルロースI型結晶を維持した微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。
<微細繊維状セルロース含有物3(実施例用)の製造>
微細繊維状セルロース含有物1の製造と同様にしてリン酸化パルプを得た後、リン酸化パルプの脱水シート1の絶乾質量として100質量部に5000質量部のイオン交換水を加え、希釈した。次いで、撹拌しながら、1N塩酸を少しずつ添加し、pHが2以上3以下のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、再びイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた。次いで、濾過脱水して脱水シートを得る操作を繰り返すことにより、余剰の塩酸を十分に洗い流し、リン酸化パルプ(H型)を得た。
リン酸化パルプ(H型)の絶乾質量として100質量部に5000質量部のイオン交換水を加え、希釈した。次いで、撹拌しながら、10質量%のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を少しずつ添加し、pHが10以上12以下のパルプスラリーを得た。その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、再びイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた。次いで、濾過脱水して脱水シートを得る操作を繰り返すことにより、余剰のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を十分に洗い流し、リン酸化パルプ(TBA型)(対イオンの炭素数16)を得た。
得られたリン酸化パルプ(TBA型)に、イソプロパノール/水の混合溶媒(質量比率:70/30)を添加し、リン酸化パルプ(TBA)の絶乾固形分濃度が1質量%となるように調製した。このようにして、微細化前スラリーを得た。
得られた微細化前スラリーを、湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)で245MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース含有物3を得た。
<微細繊維状セルロース含有物A(比較例用)の製造>
乾燥質量100質量部相当の未乾燥の針葉樹晒クラフトパルプと、TEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル)1.25質量部と、臭化ナトリウム12.5質量部とを水10000質量部に分散させた。次いで、13質量%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を、パルプ1.0gに対して次亜塩素酸ナトリウムの量が8.0mmolになるように加えて反応を開始した。反応中は0.5Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下してpHを10以上11以下に保ち、pHに変化が見られなくなった時点で反応終了と見なした。
その後、このパルプスラリーを脱水し、脱水シートを得た後、5000質量部のイオン交換水を注ぎ、撹拌して均一に分散させた後、濾過脱水して、脱水シートを得る工程を2回繰り返した。得られた脱水シートをFT−IRで赤外線吸収スペクトルを測定した。その結果、1730cm-1にカルボキシル基に基づく吸収が観察され、カルボキシル基の付加が確認された。この脱水シート(TEMPO酸化セルロース)を用いて、微細繊維状セルロース含有物を調製した。
得られたTEMPO酸化セルロースにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを、さらに湿式微粒化装置(スギノマシン社製、アルティマイザー)で245MPaの圧力にて3回処理し、微細繊維状セルロース含有物Aを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロース含有物AにはセルロースI型結晶を維持した微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。
<微細繊維状セルロース含有物B(比較例用)の製造>
湿式微粒化装置における245MPaの圧力処理の回数を1回とした以外は、微細繊維状セルロース含有物Aの製造と同様にして、微細繊維状セルロース含有物Bを得た。X線回折により、この微細繊維状セルロース含有物BにはセルロースI型結晶を維持した微細繊維状セルロースが含まれていることが確認された。
(微細繊維状セルロース含有物の物性)
<繊維幅の測定>
微細繊維状セルロース含有物の繊維幅を下記の方法で測定した。
湿式微粒化装置にて処理をした微細繊維状セルロース含有物の上澄み液を、微細繊維状セルロース含有物の濃度が0.01質量%以上0.1質量%以下となるように水で希釈し、親水化処理したカーボングリッド膜に滴下した。乾燥後、酢酸ウラニルで染色し、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、JEOL−2000EX)により観察した。微細繊維状セルロース含有物1〜3および微細繊維状セルロース含有物A、Bには、繊維幅4nm程度の微細繊維状セルロースが主成分として含まれていることを確認した。
<置換基量の測定>
置換基導入量は、繊維原料へのリン酸基もしくはカルボキシル基の導入量であり、この値が大きいほど、多くのリン酸基もしくはカルボキシル基が導入されている。置換基導入量は、対象となる微細繊維状セルロース含有物をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈した後、イオン交換樹脂による処理、アルカリを用いた滴定によって測定した。イオン交換樹脂による処理では、0.2質量%繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った。その後、目開き90μmのメッシュ上に注ぎ、樹脂とスラリーを分離した。アルカリを用いた滴定では、イオン交換後の微細繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えながら、スラリーが示す電気伝導度の値の変化を計測した。すなわち、図1(リン酸基)及び図3(カルボキシル基)に示した曲線の第1領域で必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して、置換基導入量(mmol/g)とした。算出した結果は以下の表1に示した。
<重合度の測定>
微細繊維状セルロース含有物に含まれる微細繊維状セルロースの平均重合度の評価は下記の論文を参考に行なった。
TAPPI International Standard; ISO/FDIS 5351, 2009.
Smith, D. K.; Bampton, R. F.; Alexander, W. J. Ind. Eng. Chem.,Process Des. Dev. 1963, 2, 57‐62.
対象となる微細繊維状セルロース含有物をイオン交換水で含有量が2±0.3質量%となるように希釈した懸濁液30gを遠沈管に分取して、12000G×10minの条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収した。回収した上澄み液を別の遠沈管に分取して冷凍庫に一晩静置し、凍結させた。さらに凍結乾燥機で5日間以上乾燥させた後、105℃に設定した定温乾燥機で3時間以上4時間以下加熱し、絶乾状態の微細繊維状セルロースを得た。
リファレンスを測定するために、空の50ml容量のスクリュー管に純水15mlと1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液を調製した。キャノンフェンスケ粘度計に上記の0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分置いた後、落下時間を測定して溶媒落下時間とした。
次に、微細繊維状セルロースの粘度を測定するため、絶乾状態の微細繊維状セルロース0.14g以上0.16g以下を空の50ml容量のスクリュー管に量り取り、純水15mlを添加した。さらに1mol/Lの銅エチレンジアミン15mlを加え、自転公転式スーパーミキサーで1000rpm10分撹拌し、0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液とした。リファレンスの測定と同様に、キャノンフェンスケ粘度計に調製した0.5mol/Lの銅エチレンジアミン溶液10mlを入れ、5分置いた後、落下時間を測定した。三回測定し、その平均値を用いた。
測定に用いた絶乾状態の微細繊維状セルロースの質量、溶媒落下時間、及び微細繊維状セルロースを溶解させた銅エチレンジアミン溶液の落下時間から下式を用いて重合度を算出した。なお、下記の平均重合度は三回測定した値の平均値である。
測定に用いた絶乾状態の微細繊維状セルロース質量:a(g)(但し、aは0.14以上0.16以下)
溶液のセルロース濃度:c=a/30(g/mL)
溶媒落下時間:t0(sec)
微細繊維状セルロース溶液の落下時間:t(sec)
溶液の相対粘度:ηrel=t/t0
溶液の比粘度:ηsp=ηrel―1
固有粘度:[η]=ηsp/c(1+0.28ηsp
重合度:DP=[η]/0.57
<粗大繊維量の測定方法>
微細繊維状セルロース含有物1〜3および微細繊維状セルロース含有物A、Bそれぞれに、水を添加して繊維固形分濃度を0.2質量%に調整した。次いで12000G×10minの条件で遠心分離し、得られた上澄み液を回収した。そして、回収した上澄み液を50ml容量のアルミカップに40±5gを量り取った。同様に上澄み液を量り取ったアルミカップを複数個用意した。送風定温乾燥機にて105℃で16時間加熱し上澄み液を乾燥させた。乾燥前後の重量から回収した上澄み液の固形分濃度を測定した。得られた上澄み液の固形分濃度に基づき、下記式により、粗大繊維状セルロースの含有量を算出した。
粗大繊維状セルロースの含有量(質量%)=100−(上澄み液中の固形分濃度/0.2(質量%)×100)
算出した結果は以下の表1に示した。
Figure 0006728964
<実施例1>
固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分0.2質量部と水99.8質量部の懸濁液)に対して、活物質として黒鉛粉末(日本黒鉛工業社製、CGB−10、平均粒径10μm)95質量部、導電助剤としてカーボンブラック(電気化学工業社製、デンカブラック)5質量部、バインダとして固形分濃度が40質量%のスチレン・ブタジエンゴム(SBR)粒子の水分散液(日本ゼオン社製、BM−400B)5質量部を加え、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)で3000rpmにて1時間撹拌し電池電極用組成物を得た。
<実施例2>
実施例1において、固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液に代えて、固形分濃度が0.4質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分0.4質量部と水99.6質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例3>
実施例1において、固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液に代えて、固形分濃度が1質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分1質量部と水99質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例4>
実施例1において、固形分濃度が0.2質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液に代えて、固形分濃度が1.5質量%の微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液100質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分1.5質量部と水98.5質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例5>
実施例1において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物2を用いた以外は全て実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例6>
実施例2において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物2を用いた以外は全て実施例2と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例7>
実施例3において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物2を用いた以外は全て実施例3と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例8>
実施例2において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物3を用いた以外は全て実施例2と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例9>
実施例1において、微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液の固形分濃度を0.3質量%のものに代え、さらに懸濁液量を200質量部(微細繊維状セルロース含有物1の固形分0.6質量部と水199.4質量部の懸濁液)とした以外は実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<実施例10>
実施例1において、微細繊維状セルロース含有物1の懸濁液の固形分濃度を0.5質量%のものに代え、さらに懸濁液量を200質量部(微細繊維状セルロース含有物の固形分1.0質量部と水199質量部の懸濁液)とした以外は実施例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<比較例1>
実施例4において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物Aを用いた以外は全て実施例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<比較例2>
比較例1において、固形分濃度が1.5質量%の微細繊維状セルロース含有物Aの懸濁液量を200質量部(微細繊維状セルロース含有物Aの固形分3.0質量部と水197質量部の懸濁液)に代えた以外は比較例1と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<比較例3>
実施例3において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、微細繊維状セルロース含有物Bを用いた以外は実施例3と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<比較例4>
実施例4において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、カルボキシメチルセルロース(株式会社テルナイト製、テルポリマーH)を用いた以外は全て実施例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<比較例5>
比較例4において、カルボキシメチルセルロースの懸濁液量を200質量部(カルボキシメチルセルロースの固形分3.0質量部と水197質量部の懸濁液)に代えた以外は比較例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
<比較例6>
実施例4において、微細繊維状セルロース含有物1に代えて、固形分濃度が1.5質量%のキサンタンガム(東京化成社製)の懸濁液100質量部(キサンタンガムの固形分1.5質量部と水98.5質量部の懸濁液)を用いた以外は全て実施例4と同様にして、電池電極用組成物を得た。
(電池電極用組成物の評価)
電池電極用組成物については、以下の評価を行なった。通常、電池電極用組成物においては、撹拌後も粘度低下が小さく、微粒子分散性が良好なものが好ましいとされ、このような電池電極用組成物は塗液安定性が高い。
<粘度低下率評価>
実施例及び比較例で得られた電池電極用組成物を23℃で12時間静置した。次いで、電池電極用組成物の粘度をB型粘度計(BLOOKFIELD社製、アナログ粘度計T−LVT)を用いて回転数3rpm、測定時間3分、液温25℃にて測定した。その後、T.K.ホモディスパー(特殊機化工業社製)で3000rpmにて3時間撹拌し、23℃で12時間静置したのち、再度粘度の測定を行なった。粘度低下率は、下記式で算出し、以下の基準で評価した。
粘度低下率(%)=(撹拌前の粘度−撹拌後の粘度)/撹拌前の粘度×100
○:粘度低下率が10%未満
△:粘度低下率が10%以上20%未満
×:粘度低下率が20%以上
<微粒子分散性>
電池電極用組成物を23℃で1日静置した後、粒子の沈降の有無を確認し、以下の基準で評価した。
○:微粒子の沈降がなく、上澄み層が存在しない。
×:微粒子の沈降があり、上澄み層が存在する。
(電池電極の評価)
<電池電極の作製>
厚み10μmの電解銅箔(集電体)の片面上に、乾燥後の付着量が30g/m2となるように電池電極用組成物を塗工して電池電極を作製した。その際の塗工適性(塗工できるか否か)を以下の基準で評価した。
○:塗工後の外観観察で全面にムラがない。
△:塗工後の外観観察で一部にムラ部分がある。
×:塗工後の外観観察で全面にムラがみられる。もしくは塗工自体が出来ない。
<活物質密度のばらつき>
得られた電池電極(電極塗膜)に対して垂直スライサー(日本分光(株)製、スライスマスター HS‐1)を用いて断面の切り出しを行なった。電池電極の厚み方向の断面の活物質密度分布を電子線プローブマイクロアナライザー(EPMA)にて測定し、活物質密度の厚さ方向のバラツキを確認し、以下の基準で評価した。なお、活物質密度の厚さ方向のバラツキの値は、以下の式で算出した。
活物質密度の厚さ方向のバラツキ(%)=活物質密度の標準偏差/活物質密度の算術平均値
○:5%未満
△:5%以上10%未満
×:10%以上
<塗膜の密着性の評価>
カッターを使用し、作製した電池電極の塗工面に、直行する縦横11本ずつの平行線を1mmの間隔でひき、1cm2の範囲内に100個のマス目を形成した。マス目上にメンディングテープを貼り付けた後に45°の角度で剥離し、メンディングテープに貼り付き剥離したマス目の個数を計測し、下記式により剥離箇所の割合を算出した。
100マス中の剥離箇所の割合(%)=剥離したマス目の個数/100×100
上記の試験を10回行い、平均値を算出し、以下の基準で評価した。
○:15%未満
△:15%以上35%未満
×:35%以上
Figure 0006728964
Figure 0006728964
表2及び3からわかるように、実施例で得られた電池電極用組成物は、粘度低下率が小さくかつ微粒子分散性に優れていた。また、実施例で得られた電池電極用組成物を塗工して電池電極を作製する際には、塗工適性が良好であった。さらに、実施例で得られた電池電極用組成物から形成された電池電極においては、活物質密度のばらつきが少なく、基材である電解銅箔(集電体)との密着性にも優れていた。
一方で、比較例1、2及び4〜6で得られた電池電極用組成物においては、微粒子分散性が悪く、電池電極では活物質密度のばらつきが見られた。また、比較例3で得られた電池電極用組成物を用いた場合、電池電極における活物質密度のばらつきが大きく、電気抵抗のばらつきが大きくなっていた。これは、粗大繊維状セルロースの含有量が多いことに起因するものと考えられる。
10 電池電極
12 電極塗膜
14 集電体

Claims (7)

  1. 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースと、活物質と、導電助剤と、バインダと、を含む電池電極用組成物であって、
    前記繊維状セルロースはI型結晶構造を有し、
    前記繊維状セルロースの平均重合度は360以上である、電池電極用組成物。
  2. 前記繊維状セルロースの含有量は、前記電池電極用組成物中に含まれる全固形分量に対して、0.15質量%以上2.0質量%以下である請求項1に記載の電池電極用組成物。
  3. 3000rpmにて3時間撹拌後の粘度低下率が10%未満である請求項1又は2に記載の電池電極用組成物。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電池電極用組成物を含む電池電極。
  5. 請求項に記載の電池電極を備える電池。
  6. 繊維幅が1000nm以下であり、リン酸基又はリン酸基由来の置換基を有する繊維状セルロースであって、I型結晶構造を有し、かつ平均重合度が360以上の繊維状セルロースを含む電池電極用組成物用増粘剤。
  7. 繊維幅が1000nmよりも大きい粗大繊維状セルロースの含有量が、前記電池電極用組成物中に含まれるセルロース繊維の全質量に対して、5質量%未満である請求項に記載の電池電極用組成物用増粘剤。
JP2016099778A 2016-05-18 2016-05-18 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池 Active JP6728964B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016099778A JP6728964B2 (ja) 2016-05-18 2016-05-18 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016099778A JP6728964B2 (ja) 2016-05-18 2016-05-18 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017208231A JP2017208231A (ja) 2017-11-24
JP6728964B2 true JP6728964B2 (ja) 2020-07-22

Family

ID=60415634

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016099778A Active JP6728964B2 (ja) 2016-05-18 2016-05-18 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6728964B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2020080393A1 (ja) * 2018-10-16 2020-04-23 王子ホールディングス株式会社 繊維状セルロース、繊維状セルロース分散液及び繊維状セルロースの製造方法
JP7316529B2 (ja) * 2020-02-05 2023-07-28 トヨタ自動車株式会社 非水電解液二次電池
US20220131150A1 (en) * 2020-10-26 2022-04-28 Electronics And Telecommunications Research Institute Cellulose derivative composition for secondary battery binder and method of preparing composition for secondary battery electrode comprising the same
US12046756B2 (en) 2020-10-30 2024-07-23 Electronics And Telecommunications Research Institute Cellulose derivative composition for secondary battery binder and method of preparing composition for secondary battery electrode comprising the same

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003132892A (ja) * 2001-10-25 2003-05-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 非水電解質二次電池
JP5407304B2 (ja) * 2008-12-01 2014-02-05 凸版印刷株式会社 積層体
JP6079039B2 (ja) * 2012-08-10 2017-02-15 王子ホールディングス株式会社 微細繊維状セルロース及びその製造方法
JP6111800B2 (ja) * 2013-03-29 2017-04-12 凸版印刷株式会社 電池電極用組成物および電池
JP6315984B2 (ja) * 2013-12-26 2018-04-25 第一工業製薬株式会社 蓄電デバイスの電極塗工液用増粘・安定剤、該増粘・安定剤を用いて調製された塗工液、該塗工液を用いて製造された電極、該電極を使用した蓄電デバイス
JP6271318B2 (ja) * 2014-03-28 2018-01-31 王子ホールディングス株式会社 セルロース系水溶性増粘剤
JP6566622B2 (ja) * 2014-10-02 2019-08-28 第一工業製薬株式会社 蓄電デバイスの電極塗工液用増粘・安定剤、該増粘・安定剤を用いて調製された塗工液、該塗工液を用いて製造された電極、及び該電極を使用した蓄電デバイス
JP6724289B2 (ja) * 2015-03-09 2020-07-15 日本製紙株式会社 粘度調整剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017208231A (ja) 2017-11-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10636586B2 (en) Graphene dispersion, process for producing same, process for producing particles of graphene/active material composite, and process for producing electrode paste
US10654721B2 (en) Graphene dispersion, process for producing same, process for producing particles of graphene/active material composite, and process for producing electrode paste
US10763494B2 (en) Graphene/organic solvent dispersion and method for producing same, and method for producing lithium-ion battery electrode
WO2017145904A1 (ja) カルボキシメチルセルロースまたはその塩の製造方法、および電極用結着剤
JP6728964B2 (ja) 電池電極用組成物用増粘剤、電池電極用組成物、電池電極及び電池
JP7060917B2 (ja) 電池用セパレータ塗液及び電池用セパレータ
JP6870317B2 (ja) 電池用セパレータ塗液、電池用セパレータ及び電池
US20210391579A1 (en) Binder for a Battery Electrode
JP2018063926A (ja) 電池用セパレータ、電池及び電池用セパレータ塗液
WO2021153590A1 (ja) 微細繊維状セルロース・ナノカーボン含有物の製造方法及び微細繊維状セルロース・ナノカーボン含有物
JP6515801B2 (ja) 電池用セパレータ塗液用増粘剤、電池用セパレータ塗液及び電池用セパレータ
CN110896675A (zh) 电极涂覆液用分散剂、含有该电极涂覆液用分散剂的电极涂覆液组合物、使用该电极涂覆液组合物制成的蓄电装置用电极以及具有该电极的蓄电装置
JP2020102322A (ja) 二次電池用正極活物質及びその製造方法
CN110915030B (zh) 电极涂覆液组合物、用该电极涂覆液组合物制成的蓄电装置用电极和具备该电极的蓄电装置
JP2018063925A (ja) 電池用セパレータ、電池及び電池用セパレータ塗液
WO2023210531A1 (ja) カーボンナノチューブ分散剤、分散液及びその製造方法、電極、並びに電池
JP2024002894A (ja) カルボキシメチルセルロースおよび/又はその塩、非水電解質二次電池用電極組成物、非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池
JP6390814B2 (ja) 電池用セパレータ塗液用増粘剤、電池用セパレータ塗液及び電池用セパレータ
CN105359299B (zh) 电池用隔板
JP7152945B2 (ja) リチウムイオン二次電池の負極活物質用ナノ粒子集合体の製造方法
WO2023013411A1 (ja) 非水電解質二次電池電極用結合剤、非水電解質二次電池用電極組成物非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池
CN118451570A (zh) 羧甲基纤维素和/或其盐、非水电解质二次电池用电极组合物、非水电解质二次电池用电极和非水电解质二次电池
WO2023248848A1 (ja) カルボキシメチルセルロースおよび/又はその塩、非水電解質二次電池用電極組成物、非水電解質二次電池用電極および非水電解質二次電池
JP2021116430A (ja) 微細繊維状セルロース・ナノカーボン含有物の製造方法及び微細繊維状セルロース・ナノカーボン含有物
JP2021116429A (ja) 微細繊維状セルロース・ナノカーボン含有物の製造方法及び微細繊維状セルロース・ナノカーボン含有物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180719

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190625

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190806

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191004

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200602

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200615

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6728964

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250