JP6728446B2 - 車両 - Google Patents
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Description
本発明は、車両に関する。
従来、例えば、特許文献1には、クリーンルームにて酸性ガスおよび/または塩基性ガスの捕集・除去を行うことについて示されている。また、例えば、特許文献2には、有害ガス(例えばアンモニア)のろ過を提供する空気処理システムについて示されている。
また、例えば、特許文献3〜特許文献5には、車室内への有毒ガスの導入を防ぐことについて示されている。
ところで、原子力発電所では、数多くの薬品タンクを設置しており、これらの薬品タンクには、原子力発電所の運転に必要な種々の薬品が保有されている。さらに、原子力発電所では、薬品タンクに薬品を運ぶタンクローリなどの移動設備が通行する。そこで、原子力発電所においては、これら薬品タンクや移動設備が地震、竜巻、事故などで破壊されて薬品が大気中に放出された場合であっても、人体の安全を確保することが必要である。
本発明は上述した課題を解決するものであり、種々な薬品により発生する有毒ガスを人体に対して無効化することのできる車両を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る車両は、流体入口と流体出口とが1つに繋がり気密性が確保された流通路と、酸性ガスを吸着除去する酸性ガス除去部と、塩基性ガスを吸着除去する塩基性ガス除去部と、有機性ガスを吸着除去する有機性ガス除去部と、を有し、前記流通路内において前記有機性ガス除去部を前記流体出口側とし、前記流体入口側から前記流体出口側に向けて各前記除去部を直列に配置する、有毒ガス除去ユニットを備え、前記有毒ガス除去ユニットの流体出口が車室に接続されており、前記有毒ガス除去ユニットの流体入口から前記流体出口にガスを送って前記車室内を前記車室外に対して正圧に維持する送風機が設けられる。
この車両によれば、車室の外部のガスに有毒ガス(および放射性ガス)が含まれていても、車室の内部への有毒ガス(および放射性ガス)の侵入を防ぐことができる。この結果、種々な薬品により発生する有毒ガス(および放射性ガス)を人体に対して無効化することができ、安全に人や貨物を運ぶことができる。
そして、有毒ガス除去ユニットは、流通路内において有機性ガス除去部を流体出口側とし、流体入口側から流体出口側に向けて各除去部を直列に配置することで、有毒ガスに含まれる酸性成分、塩基性成分および有機性成分を順次除去する。酸性ガス除去部や塩基性ガス除去部は、有機性ガス除去部と比較して成分を吸着し易く、これら酸性ガス除去部や塩基性ガス除去部を有機性ガス除去部よりもガスの流れの上流側に配置することで、有毒ガスの各成分の吸着性能を高めることができる。この結果、種々な薬品により発生する有毒ガスを人体に対して無効化することができる。
また、本発明の一態様に係る車両では、前記有毒ガス除去ユニットは、前記流通路内において前記流体入口側から前記流体出口側に向けて前記酸性ガス除去部、前記塩基性ガス除去部、前記有機性ガス除去部の順で直列に配置することが好ましい。
この車両によれば、酸性ガス除去部は、塩基性ガス除去部と比較して成分を吸着し易く、酸性ガス除去部を塩基性ガス除去部や有機性ガス除去部よりもガスの流れの上流側に配置することで、有毒ガスの各成分の吸着性能をより高めることができる。この結果、種々な薬品により発生する有毒ガスを人体に対して無効化する効果を顕著に得ることができる。
また、本発明の一態様に係る車両では、前記有毒ガス除去ユニットは、前記流通路の前記流体入口に酸性ガス、塩基性ガスおよび有機性ガスを検出する有毒ガス検出部を有することが好ましい。
この車両によれば、流通路の流体入口に有毒ガス検出部を有することで、有毒ガスの有無を認識することができ、これにより有毒ガス除去ユニットを使用するか否かを判断することができる。
また、本発明の一態様に係る車両では、前記有毒ガス除去ユニットは、前記流通路の前記流体出口に酸性ガス、塩基性ガスおよび有機性ガスを検出する有毒ガス検出部を有することが好ましい。
この車両によれば、流通路の流体出口にも有毒ガス検出部を有することで、流体入口側の有毒ガス検出部による有毒ガスの検出に加え、有毒ガス除去ユニットが適宜機能しているか否かを判断することができる。
また、本発明の一態様に係る車両では、前記有毒ガス除去ユニットは、放射性ガスを吸着除去する放射性ガス除去部を、ガス中に含まれる粒子を捕集する高性能フィルタを介して前記流通路内で前記有機性ガス除去部よりも前記流体出口側に配置することが好ましい。
この車両によれば、有毒ガスの各成分の吸着後、放射性物質を除去することができる。
また、本発明の一態様に係る車両では、前記車室内に対して開閉される車内扉と前記車室外に対して開閉される車外扉とを有したエアロック室を備えることが好ましい。
この車両によれば、エアロック室は、車内扉と車外扉とを交互に開閉することで、人の出入りなどの際に外部のガスが内部に侵入することを防止する。この結果、車室に対する人の出入りを安全に行うことができる。
また、本発明の一態様に係る車両では、前記車室内の空気を調和する空気調和装置と、前記有毒ガス除去ユニットを使用する場合に前記空気調和装置の運転を停止または車室内循環させる制御を行う制御部と、を備えることが好ましい。
この車両によれば、制御部は、有毒ガス除去ユニットを使用する場合に、空気調和装置の運転を停止または車室内循環させる制御を行う。この結果、自動的に車室の内部への有毒ガスの侵入を防止することができる。
本発明によれば、種々な薬品により発生する有毒ガスを人体に対して無効化することができる。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る有毒ガス除去ユニットの断面図である。図2は、本実施形態に係る有毒ガス除去ユニットの一部を示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る有毒ガス除去ユニットの一部を示す断面図である。図4〜図6は、本実施形態に係る有毒ガス除去ユニットの他の例の概略図である。
図1に示すように、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1は、流通路2と、酸性ガス除去部3と、塩基性ガス除去部4と、有機性ガス除去部5と、高性能フィルタ6と、を含む。
流通路2は、ガスを通過させるもので、一端および他端が開放して1つに繋がる筒状に形成されている。流通路2は、一端がガスを筒内に導入する流体入口2aとして構成され、他端がガスを筒外に排出する流体出口2bとして構成されている。流体入口2aおよび流体出口2bは、流通路2に送風機15E(図7など参照)が接続されてガスの流れが生じることで決められる。なお、流通路2は、本実施形態において四角筒状に形成されているが、筒状の断面形状に限定はない。また、流通路2は、本実施形態において直線状に繋がって形成されているが、限定はなく屈曲または湾曲して繋がっていてもよい。
酸性ガス除去部3は、フィルタ11と、ラック12とを有する。フィルタ11は、ケーシング11Aと、吸着材3Aと、を備える。ケーシング11Aは、その内外にガスを通過させる。具体的に、ケーシング11Aは、図2および図3に示すように、矩形状の箱体として形成されている。ケーシング11Aは、剛性の高い金属材からなり、矩形状の4辺の側面が側面板11Aaにより気密に閉塞され、一部である上下面がパンチングメタルなどのような多孔板からなる上下面板11Abにより通気性を有している。すなわち、ケーシング11Aは、上下面板11Abを介してその内外にガスを通過させる。
本実施形態において、フィルタ11は、ケーシング11Aが上下に間隔をおいて複数(本実施形態では2つ)設けられている。そして、フィルタ11は、各ケーシング11Aの上下の間において、矩形状の3辺の側面板11Aa間の間隔が閉塞板11Acにより気密に閉塞されて残りの1辺の側面板11Aa間の間隔のみが開放するように開口部11Adが形成されている。閉塞板11Acは、上下に配置されたケーシング11Aの相互の側面板11Aaが連続して構成されている。従って、上下に間隔をおいて複数設けられるケーシング11Aは、相互の側面板11Aaが連続することで相互の間隔を維持しつつ一体に構成されている。また、開口部11Adは、上下に配置されたケーシング11Aの相互の側面板11Aaが連続した部分に開けられた穴として構成されている。
また、本実施形態において、フィルタ11は、穴として開口部11Adが形成された側面板11Aaが、両側方および上下方向にはみ出すように張り出して形成されている。この張り出して形成された側面板11Aaは、その周縁に開口部11Adの開口方向の外側に延在する縁片11Aeが形成されている。また、この張り出して形成された側面板11Aaは、開口部11Adの開口方向の外側に突出する2つの把持部11Afが形成されている。すなわち、把持部11Afを両手で掴んでフィルタ11を持つことができる。なお、上述したフィルタ11において、説明の便宜上、開口部11Adや縁片11Aeや把持部11Afが形成された側面板11Aa側を正面側とし、その相反する側面板11Aa側を背面側とし、正面側と背面側との間の側面板11Aa側を側面側とする。
吸着材3Aは、上述したケーシング11Aの内部に収容される。吸着材3Aは、流通路2内を流通されるガス中に含まれる酸性成分を吸着する。具体的に、吸着材3Aは、母体を構成する基材と、この基材に添着される添着物質とを含む。基材に用いられる材料としては、特に限定されるものではないが、表面に複数の細孔を有するものであればよく、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、活性白土などが挙げられる。ゼオライトとしては、天然ゼオライトまたは合成ゼオライトのどちらでもよい。また、ゼオライトとして、モルデナイト系ゼオライトなどが挙げられる。基材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。基材は、粒状、線状、またはフェルト状に形成されている。また、吸着材3Aは、添着物質として、アルカリ性薬品が適用される。この吸着材3Aは、上記構成により、酸性成分として塩酸や塩素などを反応吸着させて除去する。この吸着材3Aは、基材がケーシング11Aにおいて通気性を有する上下面板11Abの孔から脱落せずに保持される粒径に形成されている。
ラック12は、図1および図2に示すように、上述したフィルタ11を流通路2内に配置する。ラック12は、流通路2の内部を流体入口2a側と流体出口2b側とに区画する正面板12Aと、正面板12Aの周縁に設けられて流通路2の内周面に沿う周板12Bとを有し、正面板12Aに対して相反する側の背面が開放する箱体として構成されている。本実施形態において、流通路2は、四角筒状に形成されているため、これに合わせてラック12は、正面板12Aが四角形状に形成され、周板12Bも四角形状に形成されている。ラック12は、正面板12Aに、上述したフィルタ11が挿通される挿通穴12Cが形成されている。本実施形態において、ラック12は、複数(本実施形態では3つ)のフィルタ11を挿通できるように3つの挿通穴12Cが形成されている。また、ラック12は、箱体の内部において、挿通穴12Cに挿通されたフィルタ11の挿通を案内すると共に支持する支持部材12Dが、フィルタ11の挿通方向となる正面背面方向に沿って設けられている。このようなラック12は、周板12Bと流通路2の内周面との間が気密性を有するようにガスケット(図示せず)を介して流通路2の内部に配置されている。このため、ラック12は、正面板12Aに形成された挿通穴12Cのみを介して流通路2を流体入口2a側と流体出口2b側に通じさせている。
このラック12の挿通穴12Cに対し、フィルタ11は、背面側から挿通される。そして、フィルタ11は、正面側の側面板11Aaにおいて両側方および上下方向に張り出した部分がラック12の正面板12Aに当接することでラック12の内部に収納される。そして、フィルタ11は、正面側の側面板11Aaがラック12の正面板12Aに対してボルトで締結されることでラック12に支持される。また、フィルタ11の正面側の側面板11Aaと、ラック12の正面板12Aとの当接部分にガスケット(図示せず)が介在されている。このため、フィルタ11は、図1に示すように、流通路2に対し、流体入口2aと流体出口2bとの間で、開口部11Ad、ケーシング11Aの上下面板11Ab、およびケーシング11Aに収容される吸着材3Aを介してガスを流通させる。なお、フィルタ11におけるガスの流通方向は、図1に示すように、ガスが流通路2の流体入口2aから供給されて流体出口2bから排出される場合、正面側の開口部11Adから供給されて吸着材3Aを通過して上下に抜けて背面に排出される。また、図には明示しないが、フィルタ11は、図1に示すにおけるガスの流通方向に対してラック12と共に正面側と背面側とを逆にすることで、図1とは逆に背面側から上下方向に吸着材3Aを通過して正面側の開口部11Adからガスが排出される。
塩基性ガス除去部4は、酸性ガス除去部3と同様に、フィルタ11と、ラック12とを有する。フィルタ11およびラック12の説明は上述したとおりである。この塩基性ガス除去部4は、吸着材4A(図3参照)がフィルタ11のケーシング11Aの内部に収容される。吸着材4Aは、流通路2内を流通されるガス中に含まれる塩基性成分を吸着する。具体的に、吸着材4Aは、母体を構成する基材と、この基材に添着される添着物質とを含む。基材に用いられる材料としては、特に限定されるものではないが、表面に複数の細孔を有するものであればよく、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、活性白土などが挙げられる。ゼオライトとしては、天然ゼオライトまたは合成ゼオライトのどちらでもよい。また、ゼオライトとして、モルデナイト系ゼオライトなどが挙げられる。基材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。基材は、粒状、線状、またはフェルト状に形成されている。また、吸着材4Aは、添着物質として、酸性性薬品が適用される。この吸着材4Aは、上記構成により、塩基性成分としてアンモニアやヒドラジンなどを反応吸着させて除去する。この吸着材4Aは、基材がケーシング11Aにおいて通気性を有する上下面板11Abの孔から脱落せずに保持される粒径に形成されている。
有機性ガス除去部5は、酸性ガス除去部3と同様に、フィルタ11と、ラック12とを有する。フィルタ11およびラック12の説明は上述したとおりである。この有機性ガス除去部5は、吸着材5A(図3参照)がフィルタ11のケーシング11Aの内部に収容される。吸着材5Aは、流通路2内を流通されるガス中に含まれる塩基性成分を吸着する。具体的に、吸着材5Aは、母体を構成する基材を含む。基材に用いられる材料としては、特に限定されるものではないが、表面に複数の細孔を有するものであればよく、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、活性白土などが挙げられる。ゼオライトとしては、天然ゼオライトまたは合成ゼオライトのどちらでもよい。また、ゼオライトとして、モルデナイト系ゼオライトなどが挙げられる。基材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。基材は、粒状、線状、またはフェルト状に形成されている。また、吸着材5Aは、無添着物質であり、有機性成分としてメタノールやエタノールアミンなどを物理的に吸着させて除去する。この吸着材5Aは、基材がケーシング11Aにおいて通気性を有する上下面板11Abの孔から脱落せずに保持される粒径に形成されている。
高性能フィルタ6は、例えば、対象粒子径が0.15μmで99.97%の除去効率のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)が適用される。
そして、有毒ガス除去ユニット1は、流通路2の内部において、酸性ガス除去部3と、塩基性ガス除去部4と、有機性ガス除去部5と、高性能フィルタ6と、が流体入口2a側から流体出口2b側に向けて直列に配置される。本実施形態の有毒ガス除去ユニット1は、図1に示すように、高性能フィルタ6が流通路2の流体入口2a側と流体出口2b側とに配置される。そして、有毒ガス除去ユニット1は、各高性能フィルタ6の間で、有機性ガス除去部5を流体出口2b側とし、流体入口2a側から流体出口2b側に向けて各除去部3,4,5が直列に配置されている。図1において、有毒ガス除去ユニット1は、各高性能フィルタ6の間で、流体入口2a側から流体出口2b側に向けて酸性ガス除去部3、塩基性ガス除去部4、有機性ガス除去部5の順で直列に配置されている。また、図4において、有毒ガス除去ユニット1は、各高性能フィルタ6の間で、流体入口2a側から流体出口2b側に向けて塩基性ガス除去部4、酸性ガス除去部3、有機性ガス除去部5の順で直列に配置されている。また、図5において、有毒ガス除去ユニット1は、各高性能フィルタ6の間で、流体入口2a側から流体出口2b側に向けて酸性ガス除去部3および塩基性ガス除去部4が2つ、有機性ガス除去部5の順で直列に配置されている。ここで、酸性ガス除去部3および塩基性ガス除去部4の構成は、上述した複数のフィルタ11のうちのいくつかにおいてケーシング11Aに酸性成分を吸着する吸着材3Aが収容されていると共に、残りのいくつかにおいてケーシング11Aに塩基性成分を吸着する吸着材4Aが収容されている形態がある。また、酸性ガス除去部3および塩基性ガス除去部4の構成は、上述したフィルタ11のうちの上下のケーシング11Aの一方に酸性成分を吸着する吸着材3Aが収容され、上下のケーシング11Aの他方に塩基性成分を吸着する吸着材4Aが収容されている形態もある。
従って、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、流体入口2aから流通路2の内部に導入されたガスは、流体入口2a側の高性能フィルタ6により粒子径0.15μm以上の塵埃が除去される。その後、ガスは、酸性ガス除去部3により酸性成分が除去され、または塩基性ガス除去部4により塩基性成分が除去された後、有機性ガス除去部5により有機性成分が除去される。さらにその後、ガスは、流体出口2b側の高性能フィルタ6により各除去部3,4,5から流出した吸着材3A,4A,5Aにおける粒子径0.15μm以上の塵埃が除去される。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、流通路2内において有機性ガス除去部5を流体出口2b側とし、流体入口2a側から流体出口2b側に向けて各除去部3,4,5を直列に配置することで、有毒ガスに含まれる酸性成分、塩基性成分および有機性成分を順次除去する。酸性ガス除去部3や塩基性ガス除去部4は、有機性ガス除去部5と比較して成分を吸着し易く、これら酸性ガス除去部3や塩基性ガス除去部4を有機性ガス除去部5よりもガスの流れの上流側に配置することで、有毒ガスの各成分の吸着性能を高めることができる。この結果、種々な薬品により発生する有毒ガスを人体に対して無効化することができる。特に、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1は、原子力発電所の施設内や施設外において、原子力発電所の事故時に発生した有毒ガスの対策として適用される。
また、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、流通路2の内部において流体入口2a側から流体出口2b側に向けて酸性ガス除去部3、塩基性ガス除去部4、有機性ガス除去部5の順で直列に配置することが好ましい。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、酸性ガス除去部3は、塩基性ガス除去部4と比較して成分を吸着し易く、酸性ガス除去部3を塩基性ガス除去部4や有機性ガス除去部5よりもガスの流れの上流側に配置することで、有毒ガスの各成分の吸着性能をより高めることができる。この結果、種々な薬品により発生する有毒ガスを人体に対して無効化する効果を顕著に得ることができる。
また、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、図1、図4、図5に示すように、流通路2の流体入口2aに酸性ガス、塩基性ガスおよび有機性ガスを検出する有毒ガス検出部7Aを有することが好ましい。有毒ガス検出部7Aは、その周囲のガスに含まれる有毒ガスの酸性成分、塩基性成分、有機性成分を分析することでこれらの成分を検出する。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、流通路2の流体入口2aに有毒ガス検出部7Aを有することで、有毒ガスの有無を認識することができ、これにより有毒ガス除去ユニット1を使用するか否かを判断することができる。
また、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、図1、図4、図5に示すように、流通路2の流体出口2bにも酸性ガス、塩基性ガスおよび有機性ガスを検出する有毒ガス検出部7Bを有することが好ましい。有毒ガス検出部7Bは、有毒ガス検出部7Aと同様に、その周囲のガスに含まれる有毒ガスの酸性成分、塩基性成分、有機性成分を分析することでこれらの成分を検出する。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、流通路2の流体出口2bにも有毒ガス検出部7Bを有することで、流体入口2a側の有毒ガス検出部7Aによる有毒ガスの検出に加え、有毒ガス除去ユニット1が適宜機能しているか否かを判断することができる。
また、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、図6に示すように、放射性ガス除去部8をさらに含む。放射性ガス除去部8は、流通路2の内部に設けられており流体出口2b側の高性能フィルタ6を介してさらに流体出口2b側に設けられている。放射性ガス除去部8は、流体入口2a側から流体出口2b側に向かって順に放射性ガスフィルタ8Aと、下流側高性能フィルタ8Bとを有する。
放射性ガスフィルタ8Aは、酸性ガス除去部3と同様に、フィルタ11と、ラック12とを有する。フィルタ11およびラック12の説明は上述したとおりである。この放射性ガスフィルタ8Aは、吸着材8Aa(図3参照)がフィルタ11のケーシング11Aの内部に収容される。放射性ガスフィルタ8Aは、ガス中に含まれる放射性物質を吸着する。具体的に、吸着材8Aaは、母体を構成する基材と、この基材に添着される添着物質とを含む。基材に用いられる材料としては、特に限定されるものではなく、表面に複数の細孔を有するものであればよく、例えば、活性炭、アルミナ、ゼオライト、シリカゲル、活性白土などが挙げられる。ゼオライトとしては、天然ゼオライトまたは合成ゼオライトのどちらでもよい。また、ゼオライトとして、モルデナイト系ゼオライトなどが挙げられる。基材は、それぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。基材は、粒状、線状、またはフェルト状に形成されている。また、放射性ガスフィルタ8Aは、添着物質として、トリエチレンジアミン(TEDA:Tri−Ethylene−Di−Amine)または、よう化カリウム(KI)を含む。この放射性ガスフィルタ8Aは、上記構成により、ガス状の放射性よう素(よう素I2,有機よう素CH3I)の他、ミスト状のセシウム(Cs)やストロンチウム(Sr)などを含む放射性物質を吸着することで、当該放射性物質を含む放射性ガスの通過を遮断する。
下流側高性能フィルタ8Bは、高性能フィルタ6と同様に、例えば、対象粒子径が0.15μmで99.97%の除去効率のHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)が適用される。
従って、放射性ガス除去部8では、流体出口2b側の高性能フィルタ6を通過して各除去部3,4,5から流出した吸着材3A,4A,5Aにおける粒子径0.15μm以上の塵埃が除去されたガスは、放射性ガスフィルタ8Aにより放射性物質が除去される。その後、ガスは、流体出口2b側の高性能フィルタ6により放射性ガスフィルタ8Aから流出した吸着材8Aaにおける粒子径0.15μm以上の塵埃が除去される。
このように、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、放射性ガスを吸着除去する放射性ガス除去部8を、ガス中に含まれる粒子を捕集する高性能フィルタ6を介して流通路2内で有機性ガス除去部5よりも流体出口2b側に配置することが好ましい。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、有毒ガスの各成分の吸着後、放射性物質を除去することができる。
また、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、図6に示すように、放射性ガス除去部8を有する場合、流通路2の流体入口2aに放射性ガス検出部8Cが設けられていてもよい。放射性ガス検出部8Cは、放射性ガスを検出するもので、ガスクロマトグラフやガンマ線検出器がある。放射性ガス検出部8Cは、例えば、原子力発電所の事故時において放射性ガスが発生した場合に、この放射性ガスを検出する。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、流通路2の流体入口2aに放射性ガス検出部8Cを有することで、放射性ガスの有無を認識することができ、これにより放射性ガス除去部8を含む有毒ガス除去ユニット1を使用するか否かを判断することができる。
また、本実施形態の有毒ガス除去ユニット1では、図6に示すように、流通路2の流体出口2bにも放射性ガス検出部8Dを有することが好ましい。放射性ガス検出部8Dは、放射性ガス検出部8Cと同様に、放射性ガスを検出する。
この有毒ガス除去ユニット1によれば、流通路2の流体出口2bにも放射性ガス検出部8Dを有することで、流体入口2a側の放射性ガス検出部8Cによる放射性ガスの検出に加え、有毒ガス除去ユニット1の放射性ガス除去部8が適宜機能しているか否かを判断することができる。
図7は、本実施形態に係る有毒ガス除去設備の構成図である。上述した有毒ガス除去ユニット1は、有毒ガスが発生しておらず使用しない場合は、流通路2の流体入口2aおよび流体出口2bが蓋(図示せず)により閉塞されている。流通路2の流体入口2aおよび流体出口2bは、図7に示すように、配管14が接続される接続管により形成されている。接続管は、図には明示しないが、先端にフランジが設けられており、当該フランジを介して上記蓋が取り付けられる一方で、当該フランジを介して配管14側のフランジにボルトなどで接合される。
この有毒ガス除去ユニット1は、流通路2の流体入口2a側を配管14によりファンユニット15に接続し、流通路2の流体出口2b側を配管14により部屋16に接続する。
ファンユニット15は、有毒ガス除去ユニット1の流通路2と同様の流通路15Aを有し、流通路15Aの内部に流体入口15Aa側から流体出口15Ab側に向けて順に縦型フィルタ15B、粗フィルタ15C、加熱部15D、送風機15Eが配置されている。縦型フィルタ15Bは、有毒ガス除去ユニット1の高性能フィルタ6に相当する。粗フィルタ15Cは、例えば、対象粒子径が50μm以上の空気濾過フィルタや、対象粒子径が25μm以上の中高性能フィルタが適用される。加熱部15Dは、例えば、電気ヒータであり、流通路15Aの内部に流通されるガスを加熱する。つまり、加熱部15Dは、流通路15Aの内部の相対湿度を低下させ、後段の有毒ガス除去ユニット1への湿分による影響を抑え、有毒ガス除去ユニット1の性能を向上する。送風機15Eは、流通路15Aの流体入口15Aa側から流体出口15Ab側にガスの流れを生じさせる。送風機15Eは、有毒ガス除去ユニット1の流通路2にもガスの流れを生じさせる。つまり、送風機15Eにより、有毒ガス除去ユニット1の流通路2に流体入口2a側から流体出口2b側にガスの流れが生じて有毒ガス除去ユニット1を通過したガスが部屋16に導入される。
部屋16は、壁、天井および床により囲まれたものである。この部屋16は、例えば、原子力発電所を制御・監視するために原子炉建屋内に設置される制御室、会議や居住するために原子炉建屋内に設置される居室、原子力発電所の事故時などに原子力設備を制御・監視するために原子炉建屋外に設置される代替制御室、原子力発電所の事故時などに会議や居住するために原子炉建屋外に設置される代替居室、原子力発電所の事故時などに原子力設備に従事する人や原子力発電所近くの住民が避難するための非常用居室、原子力発電所近くにある病院や介護施設などがある。図には明示しないが、部屋16は、内部の温度や湿度を適宜保つための空調設備が設けられる。また、部屋16は、ファンユニット15の送風機15Eによる送風により内部の圧力が部屋16の外部の圧力(大気圧)よりも高くなるように調整される。
また、図7に示す有毒ガス除去設備においては、有毒ガス検出部7Aは、ファンユニット15における流通路15Aの流体入口15Aa側に設けてもよい。
このように、図7に示す有毒ガス除去設備は、有毒ガス除去ユニット1の流体出口2bが部屋16に接続されると共に、有毒ガス除去ユニット1の流体入口2aから流体出口2bにガスを導入するファンユニット15(送風機15E)が接続される。
このような有毒ガス除去設備によれば、有毒ガス除去ユニット1により有毒ガスを人体に対して無効化し、このガスを部屋16に供給することができる。
さらに、本実施形態の有毒ガス除去設備によれば、有毒ガス除去ユニット1が放射性ガス除去部8を含むことで、有毒ガスを人体に対して無効化しつつ放射性物質を除去し、このガスを部屋16に供給することができる。
なお、有毒ガス除去ユニット1が放射性ガス除去部8を含む場合、放射性ガス検出部8Cは、ファンユニット15における流通路15Aの流体入口15Aa側に設けてもよい。
また、本実施形態の有毒ガス除去設備によれば、有毒ガス除去ユニット1を複数用意しておくことで、使用の有毒ガス除去ユニット1の機能が低下した場合に、待機させた未使用の有毒ガス除去ユニット1に交換することができる。
図8は、本実施形態に係る有毒ガス除去設備の他の例の構成図である。図8に示す有毒ガス除去設備は、有毒ガス除去ユニット1が放射性ガス除去部8を含まず、当該放射性ガス除去部8が有毒ガス除去ユニット1とは別に独立した放射性ガス除去ユニット80として構成されている。
放射性ガス除去ユニット80は、有毒ガス除去ユニット1と部屋16との間に接続される。従って、図8に示す有毒ガス除去設備は、有毒ガス除去ユニット1と、放射性ガスを吸着除去する放射性ガス除去ユニット80と、を有し、ガス中に含まれる粒子を捕集する高性能フィルタ6を介して有毒ガス除去ユニット1の流体出口2bが放射性ガス除去ユニット80の流体入口80aに接続され、かつ放射性ガス除去ユニット80の流体出口80bが部屋16に接続されると共に、有毒ガス除去ユニット1の流体入口2aから流体出口2bおよび放射性ガス除去ユニット80の流体入口80aから流体出口80bにガスを導入するファンユニット15(送風機15E)が接続される。
この有毒ガス除去設備によれば、有毒ガスを人体に対して無効化しつつ放射性物質を除去し、このガスを部屋16に供給することができる。また、この有毒ガス除去設備によれば、有毒ガス除去ユニット1と、放射性ガス除去ユニット80と、が独立したユニットとして構成されているため、状況に応じていずれか一方、または双方を部屋16に接続して用いることができる。また、有毒ガス除去ユニット1と、放射性ガス除去ユニット80と、が独立したユニットとして構成されているため、機能が低下したユニット毎に交換することができる。
図9は、本実施形態に係る有毒ガス除去設備の他の例の構成図である。図10および図11は、図9に示す有毒ガス除去設備の一部を示す概略図である。
図9に示す有毒ガス除去設備は、ファンユニット15に接続した放射性ガス除去ユニット80を、ファンユニット15に接続した有毒ガス除去ユニット1と並列に部屋16に接続している。
さらに、図9に示す有毒ガス除去設備は、上記構成に加えて酸素ガス供給手段17と、二酸化炭素除去手段18と、有害物質除去手段19と、を備える。
酸素ガス供給手段17は、部屋16の内部に酸素ガスを供給するものであり、酸素ガス貯留部として、圧縮した酸素ガスを貯留するボンベや、酸素を発生する酸素発生器を含む。酸素ガス供給手段17は、配管14により部屋16に接続され、流量調整弁(図示せず)の開放により部屋16の内部に酸素ガスを供給する。流量調整弁による流量調整により、部屋16に供給する酸素ガスの流量を調整するもので、部屋16の内部の圧力が部屋16の外部の圧力(大気圧)よりも高くなるように調整する。このため、部屋16内には、部屋16の内部の圧力を検出する圧力検出部20が設けられている。
二酸化炭素除去手段18は、部屋16の内部の空気を一部取り込み、取り込んだ空気中の二酸化炭素を除去し、二酸化炭素を除去した空気を部屋16の内部に送るものである。
二酸化炭素除去手段18は、例えば、図10に示すように、周囲が外壁で囲まれた筒状に形成されて一端側および他端側に開口部がそれぞれ形成されたケーシング18aを有している。そして、二酸化炭素除去手段18は、ケーシング18a内に、二酸化炭素除去フィルタ18bが設けられている。二酸化炭素除去フィルタ18bは、例えば、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化リチウム(LiOH)などのアルカリ剤や、アミン類などのように二酸化炭素を吸着しやすい成分を粒状に固形化した二酸化炭素吸着剤からなる。従って、ケーシング18aを空気が通過することで、当該空気中の二酸化炭素が吸着され濃度を低下させることができる。なお、図には明示しないが、二酸化炭素除去手段18は、水酸化ナトリウムの水溶液中に空気を通過させるものであってもよい。二酸化炭素除去手段18は、配管14により部屋16に接続され、開閉弁(図示せず)の開放により部屋16の内部の二酸化炭素を除去する。
なお、部屋16内には、部屋16の内部の空気中の二酸化炭素濃度を検出する二酸化炭素濃度検出部21が設けられている。
有害物質除去手段19は、部屋16の内部の空気を一部取り込み、取り込んだ空気中の人体に有害となる有害物質を除去し、有害物質を除去した空気を部屋16の内部に送るものである。ここで、有害物質とは、人間が発生する一酸化炭素(CO)やアンモニア(NH3)などがある。
有害物質除去手段19は、図11に示すように、塩基性成分除去部19aと、熱交換部19bと、加熱部19cと、燃焼部19dと、酸性成分除去部19eと、を有している。塩基性成分除去部19aは、リン酸などの酸性成分を添着した酸添着活性炭を筒状のケーシングに充填したもので、ケーシングの内部を通過する空気の塩基性(アルカリ性)のアンモニアガスなどを除去する。熱交換部19bは、塩基性成分除去部19aを通過した低い温度の空気が導入される伝熱管と、燃焼部19dを通過した高い温度の空気が導入される伝熱管とを有し、各伝熱管の間で熱交換することで、塩基性成分除去部19aを通過した空気と、燃焼部19dを通過した空気との熱回収を行う。加熱部19cは、熱交換部19bを通過した空気を、後段の燃焼部19dでの燃焼に必要な温度(例えば、300℃以上)に加熱する。燃焼部19dは、加熱部19cで加熱された空気を燃焼することで、空気中に微量含まれる有害ガス成分を燃焼し、SO2,NOx,CO2などの酸性ガスとする。燃焼部19dは、触媒を充填した触媒燃焼器や、電気ヒータなどによる直接燃焼器などが選定できる。燃焼部19dを通過した空気は、上記熱交換部19bにて冷却される。酸性成分除去部19eは、塩基性成分を添着した塩基性添着活性炭を筒状のケーシングに充填したもので、ケーシングの内部を通過する空気の酸性成分を除去する。すなわち、熱交換部19bを通過した空気の酸性成分を除去する。有害物質除去手段19は、配管14により部屋16に接続され、開閉弁(図示せず)の開放により部屋16の内部の有毒物質を除去する。
なお、部屋16内には、部屋16の内部の空気中の有害物質濃度を検出する有害物質濃度検出部22が設けられている。
また、図9に示す有毒ガス除去設備において、放射性ガス除去部8の放射性ガス検出部8Cは、放射性希ガス検出部としても機能する。放射性希ガスは、キセノン(Xe)やクリプトン(Kr)などを含むものである。放射性ガス検出部8Cは、例えば、原子力設備の事故時において放射性ガスが発生した場合に、この放射性ガスを検出し、その後に原子炉内の燃料が溶融して放射性希ガスが発生した場合に、放射線の検出値が放射性ガスを検出した検出値を超えることで放射性希ガスを検出することができ、その後に放射線の検出値が下回ることで放射性希ガスの放射線が減衰して放射性希ガスが減少したことを検出することができる。
この図9に示す有毒ガス除去設備は、以下のように運用される。まず、原子力発電所に事故が発生し、放射性ガス検出部8Dにより放射性希ガスが検出された場合、各ファンユニット15の送風機15Eを稼働せず、有毒ガス除去ユニット1および放射性ガス除去ユニット80から部屋16にガスを導入しないようにし、かつ酸素ガス供給手段17を部屋16に接続して部屋16の内部を正圧とする。これにより、部屋16は、放射性ガスや放射性希ガスが遮断された状態で、内部に酸素が供給される。この結果、部屋16の内部の人が放射性ガスや放射性希ガスにより被曝する事態を防ぎ、かつ部屋16の内部の人の呼吸が妨げられる事態を防ぐことができる。
なお、放射性ガス検出部8Dにより放射性希ガスが検出されずに放射性ガスが検出された場合、酸素ガス供給手段17による酸素の供給を停止すると共に、ファンユニット15の送風機15Eを稼働して放射性ガス除去ユニット80を介したガスを部屋16に導入する。さらに、放射性ガス検出部8Dにより放射性希ガスが検出されず、かつ有毒ガス検出部7Aにより有毒ガスが検出された場合、酸素ガス供給手段17による酸素の供給を停止すると共に、ファンユニット15の送風機15Eを稼働して有毒ガス除去ユニット1を介したガスを部屋16に導入する。
そして、放射性ガス検出部8Dにより放射性希ガスが検出された場合の上記状態において、二酸化炭素濃度が閾値を超えた場合(例えば、通常300ppm〜390ppm程度のところ、人の健康を阻害する3500ppm以上となった場合)、二酸化炭素除去手段18を部屋16に接続して部屋16の内部の二酸化炭素濃度を閾値(例えば3500ppm)以下となるようにする。この結果、部屋16の内部の人の健康を維持することができる。
また、放射性ガス検出部8Dにより放射性希ガスが検出された場合の上記状態において、有害物質濃度が閾値を超えた場合(例えば、一酸化炭素やアンモニアの濃度が人の健康を阻害する濃度となった場合)、有害物質除去手段19を部屋16に接続して部屋16の内部の有害物質濃度を閾値以下となるようにする。この結果、部屋16の内部の人の健康を維持することができる。
ところで、原子力発電所に事故が発生した場合、まず、放射性ガス検出部8Dにより放射性希ガスが検出されていなくても、各ファンユニット15の送風機15Eを稼働せず、有毒ガス除去ユニット1および放射性ガス除去ユニット80から部屋16にガスを導入しないようにし、かつ酸素ガス供給手段17を部屋16に接続して部屋16の内部を正圧とするようにしてもよい。これは、原子力発電所に事故が発生した場合に、部屋16の内部の人が放射性ガスや放射性希ガスにより被曝する事態を確実に防ぐために効果的である。
図12は、本実施形態に係る車両の構成図である。
図12に示す車両25は、例えば、一般的な重荷重用車両で車輪25Aにより走行可能に構成されている。この車両25は、床、壁、天井で囲まれた車室25Bの内部に、運転席25Cの他の座席25Dや貨物部25Eが設けられている。貨物部25Eには、図には明示しないが、安全対策として空気ボンベや、防護服や、食料などを積載する。
この車両25は、上述した有毒ガス除去ユニット1およびファンユニット15が設置されている。すなわち、有毒ガス除去ユニット1における流通路2の流体出口2bが車室25Bに接続されており、ファンユニット15が有毒ガス除去ユニット1における流通路2の流体入口2aに車室25Bの外部のガスを導入するように設けられている。
有毒ガス除去ユニット1は、図1〜図6に示す形態と同様の構成であるが、車両25に積載するにあたり小型化が図られ、例えば、各除去部3,4,5のフィルタ11を1つとして構成されている。
ファンユニット15は、図7〜図9に示す形態と同様の構成であるが、車両25に積載するにあたり小型化が図られ、例えば、送風機15Eのみの構成とされている。ファンユニット15は、図12において有毒ガス除去ユニット1における流通路2の流体入口2a側に接続されているが、流体出口2b側に接続されていてもよい。ファンユニット15は、有毒ガス除去ユニット1の流通路2の流体入口2aから流体出口2bにガスを送ることで車室25Bの内部を車室25Bの外部に対して正圧に維持できる送風量を得る性能のものが適用される。また、ファンユニット15は、車両25のエンジン(図示せず)から動力を得てもよいが、本実施形態では車両25のバッテリーまたは専用のバッテリーから電源が供給されるものとする。
この車両25によれば、車室25Bの外部のガスに有毒ガス(および放射性ガス)が含まれていても、車室25Bの内部への有毒ガス(および放射性ガス)の侵入を防ぐことができる。この結果、種々な薬品により発生する有毒ガス(および放射性ガス)を人体に対して無効化することができ、安全に人や貨物を運ぶことができる。従って、車両25は、原子力発電所において事故により有毒ガスが発生した場合、有毒ガス対策移動車として用いられ、対策人員輸送や、近隣住民避難輸送や、機材輸送などに供する。
また、車両25は、車室25Bにエアロック室25Fを備えている。エアロック室25Fは、車室25Bの内部に通じる開口が車内扉25Faにより開閉可能に設けられている。また、エアロック室25Fは、車室25Bの外部に通じる開口が車外扉25Fbにより開閉可能に設けられている。エアロック室25Fは、車内扉25Faを介して車室25Bの内部に通じていることから、ファンユニット15により車室25Bと同様に車室25Bの外部に対して正圧に維持される。従って、エアロック室25Fは、車内扉25Faと車外扉25Fbとを交互に開閉することで、人の出入りなどの際に外部のガスが内部に侵入することを防止する。この結果、車室25Bに対する人の出入りを安全に行うことができる。なお、本実施形態の車両25は、車室25Bの外部に有毒ガスが存在しない場合に、エアロック室25Fを介さずに人が出入り可能な乗降扉25Iが設けられていてもよい。
また、車両25は、制御部25Gを備える。制御部25Gは、車室25Bの外部に設置された有毒ガス検出部7Aから検出信号を入力する。また、制御部25Gは、ファンユニット15の運転を開始または停止する。この制御部25Gは、有毒ガス検出部7Aにより酸性成分や、塩基性成分や、有機性成分を検出した場合に、ファンユニット15を運転する。この結果、自動的に車室25Bの内部への有毒ガスの侵入を防止することができる。
また、制御部25Gは、空気調和装置25Hの運転を開始または停止する。空気調和装置25Hは、車室25Bの内部の空気を調和するもので、車室25Bの外部から内部に空気を取り入れたり、車室25Bの内部で空気を循環させたり、当該空気の温度や湿度を調整したりする。そして、制御部25Gは、有毒ガス除去ユニット1を使用するためにファンユニット15を運転した場合に、空気調和装置25Hの運転を停止または車室25B内循環させる制御を行う。この結果、自動的に車室25Bの内部への有毒ガスの侵入を防止することができる。
ところで、本実施形態の車両25は、車室25Bをコンテナとして構成し、トレーラ車に対して取り外し自在とすることが好ましい。このように構成することで、有毒ガスが発生した場合に必要に応じてコンテナの車室25Bをトレーラ車に取り付けて運用することができる。
1 有毒ガス除去ユニット
2 流通路
2a 流体入口
2b 流体出口
3 酸性ガス除去部
4 塩基性ガス除去部
5 有機性ガス除去部
6 高性能フィルタ
7A,7B 有毒ガス検出部
8 放射性ガス除去部
80 放射性ガス除去ユニット
15 ファンユニット
15E 送風機
25 車両
25B 車室
25F エアロック室
25Fa 車内扉
25Fb 車外扉
25G 制御部
25H 空気調和装置
2 流通路
2a 流体入口
2b 流体出口
3 酸性ガス除去部
4 塩基性ガス除去部
5 有機性ガス除去部
6 高性能フィルタ
7A,7B 有毒ガス検出部
8 放射性ガス除去部
80 放射性ガス除去ユニット
15 ファンユニット
15E 送風機
25 車両
25B 車室
25F エアロック室
25Fa 車内扉
25Fb 車外扉
25G 制御部
25H 空気調和装置
Claims (7)
- 流体入口と流体出口とが1つに繋がり気密性が確保された流通路と、
酸性ガスを吸着除去する酸性ガス除去部と、
塩基性ガスを吸着除去する塩基性ガス除去部と、
有機性ガスを吸着除去する有機性ガス除去部と、
を有し、
前記流通路内において前記有機性ガス除去部を前記流体出口側とし、前記流体入口側から前記流体出口側に向けて各前記除去部を直列に配置する、有毒ガス除去ユニットを備え、
前記有毒ガス除去ユニットの流体出口が車室に接続されており、前記有毒ガス除去ユニットの流体入口から前記流体出口にガスを送って前記車室内を前記車室外に対して正圧に維持する送風機が設けられる、車両。 - 前記有毒ガス除去ユニットは、前記流通路内において前記流体入口側から前記流体出口側に向けて前記酸性ガス除去部、前記塩基性ガス除去部、前記有機性ガス除去部の順で直列に配置する、請求項1に記載の車両。
- 前記有毒ガス除去ユニットは、前記流通路の前記流体入口に酸性ガス、塩基性ガスおよび有機性ガスを検出する有毒ガス検出部を有する、請求項1または2に記載の車両。
- 前記有毒ガス除去ユニットは、前記流通路の前記流体出口に酸性ガス、塩基性ガスおよび有機性ガスを検出する有毒ガス検出部を有する、請求項3に記載の車両。
- 前記有毒ガス除去ユニットは、放射性ガスを吸着除去する放射性ガス除去部を、ガス中に含まれる粒子を捕集する高性能フィルタを介して前記流通路内で前記有機性ガス除去部よりも前記流体出口側に配置する、請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両。
- 前記車室内に対して開閉される車内扉と前記車室外に対して開閉される車外扉とを有したエアロック室を備える、請求項1〜5のいずれか1つに記載の車両。
- 前記車室内の空気を調和する空気調和装置と、
前記有毒ガス除去ユニットを使用する場合に前記空気調和装置の運転を停止または車室内循環させる制御を行う制御部と、
を備える、請求項1〜6のいずれか1つに記載の車両。
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