JP6728305B2 - 高速炉デブリベッド冷却の解析方法及び解析プログラム - Google Patents
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Description
図1に示すように、原子炉容器100の下部プレナムには、炉心損傷事象に伴い発生した燃料デブリを受け止めるコアキャッチャー101が設けられている。炉心損傷事象に伴い発生した溶融燃料は、炉心領域外に排出され、冷却材との相互作用により分散・微粒化する。そして、溶融燃料は、最終的にはコアキャッチャー101にベッド状に堆積したデブリベッド102となる。
続いて、解析装置1の構成について説明する。図4は、第1実施形態に係る解析装置1の構成を示す図である。
解析装置1は、入力部11と、表示部12と、通信部13と、記憶部14と、制御部15とを備える。
表示部12は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等により構成される。表示部12は、制御部15の制御に応じて各種情報を表示する。
通信部13は、例えば、解析装置1が他の装置と通信するための通信インタフェースである。
例えば、まず、第2データセット生成部154は、データセットを、第1の個数よりも多い第2の個数生成する。第2データセット生成部154は、複数のデータセットに含まれる複数の入力項目のうち、値を変化させる入力項目について、当該入力項目の値が、当該入力項目が取り得る値の範囲において、全ての組み合わせを網羅するように複数のデータセットを生成する。
続いて、従来の手法である非定常熱伝導方程式を解くことによる冷却性の評価結果と、第1実施形態に係る解析モデルによる冷却性の評価結果との比較結果について説明する。図6は、従来の手法による冷却性の評価結果と、第1実施形態に係る解析モデルによる冷却性の評価結果との比較結果を示す図である。
続いて、従来の手法による冷却性の評価結果の算出時間と、第1実施形態に係る解析モデルによる冷却性の評価結果との算出時間とについて説明する。ここで、従来の手法として、第1実施形態に示す解析部152が行う解析手法を用いることとした。同等の性能のコンピュータを用いて同条件にて冷却性の評価を行った場合に、従来の手法において約1分かかる評価を、第1実施形態に係る解析モデルによりマイクロ秒オーダーで評価することができた。したがって、解析モデルを使用することにより、冷却性の評価結果を短時間で得ることが可能になった。この結果、冷却性の評価結果を瞬時に大量に取得することができるため、従来の手法において行われていたような、離散的な計算結果から入力値と結果を推測しながらの繰り返し作業が不要となり、冷却性評価を短時間で容易に検証することが可能となった。
続いて、冷却性の評価結果を可視化した例について説明する。図7は、第1実施形態に係る解析モデルを用いて取得した冷却性の評価結果に基づいて、3つの入力項目と、冷却性の評価結果との関係を示す三次元マップを作成した例を示す図である。図7における領域aは、沸騰することなく冷却できたことを示す領域であり、領域bは、沸騰を伴いながら冷却できたことを示す領域であり、領域cは、冷却できなかった(ドライアウトした)ことを示す領域である。図7に示す3つの入力項目は、上部冷却材温度、下部冷却材温度、及びデブリベッドの高さである。第1実施形態に係る解析モデルを用いることにより、図7に示すように、各入力項目が冷却性にどのように影響するのかを容易に把握することができる。
以上のとおり、第1実施形態に係る解析装置1は、原子炉容器内に設けられたコアキャッチャー101に堆積した粒子状の燃料デブリの冷却性の解析に使用される複数の入力項目のそれぞれの入力データの組み合わせであるデータセットを第1の個数生成し、第1の個数のデータセットのそれぞれに基づいて、燃料デブリの冷却性の解析を行うことにより、燃料デブリの冷却性の評価結果を取得する。解析装置1は、第1の個数のデータセットのそれぞれと、当該データセットに対応する評価結果との組み合わせを教師データとし、当該教師データに基づいて機械学習を行うことにより、データセットの入力に対して評価結果を出力する解析モデルを生成する。そして、解析装置1は、任意のデータセットを解析モデルに入力し、当該データセットに対応する評価結果を解析モデルから取得する。
[境界領域に対応するデータセット及び解析結果に基づいて解析結果を修正する]
続いて、第2実施形態に係る解析装置1について説明する。解析モデルの生成にあたり、重要な教師データは、判定結果が変化する境界付近のデータである。このため、当該境界付近の教師データを重点的に生成することにより、解析モデルの精度を向上させることができる。そこで、第2実施形態に係る解析装置1は、境界領域に対応するデータセット及び解析結果に基づいて解析モデルを修正する点で第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態に係る解析装置1について説明する。なお、第1実施形態と同じ部分については適宜説明を省略する。
以上のとおり、第2実施形態に係る解析装置1は、境界付近の教師データにより解析モデルを修正するので、解析モデルの精度を高めることができる。そして、解析装置1は、第2の個数のデータセットのそれぞれを修正後の解析モデルに入力し、当該データセットに対応する評価結果を解析モデルから取得するので、冷却性の評価を精度良く行うことができる。
[第1の個数のデータセットの解析結果に基づいて境界領域を特定する]
続いて、第3実施形態に係る解析装置1について説明する。第2実施形態に係る解析装置1が、評価結果取得部155が取得した燃料デブリの冷却性の評価結果に基づいて境界領域を特定したのに対して、第3実施形態に係る解析装置1は、第1の個数のデータセットの解析結果に基づいて境界領域を特定する点で第2実施形態と異なる。
以上のとおり、第3実施形態に係る解析装置1は、境界領域付近の教師データに基づいて機械学習を行うことにより学習が強化された解析モデルを生成することができるので、第1実施形態に係る解析モデルに比べて精度を向上させることができる。また、第3実施形態に係る解析装置1は、第2実施形態に係る解析装置1のように、解析モデルを修正する処理を行わないので、第2実施形態に比べて短い時間で解析モデルを作成することができる。
Claims (7)
- コンピュータが実行する、
高速炉において、原子炉容器内に設けられたコアキャッチャーに堆積した粒子状の燃料デブリの冷却性の解析に使用される複数の入力項目のそれぞれの入力データの組み合わせであるデータセットを第1の個数生成する第1データセット生成ステップと、
前記第1の個数の前記データセットのそれぞれに基づいて、前記第1の個数の解析条件を設定し、設定した前記第1の個数の前記解析条件のそれぞれに対応して非定常熱伝導方程式を解き、前記燃料デブリの冷却性の解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の評価結果を取得する解析ステップと、
前記第1の個数の前記データセットのそれぞれと、当該データセットに対応する前記評価結果との組み合わせを教師データとし、当該教師データに基づいて機械学習を行うことにより、前記データセットの入力に対して前記評価結果を出力する解析モデルを生成するモデル生成ステップと、
任意の前記データセットを前記解析モデルに入力し、当該データセットに対応する前記評価結果を前記解析モデルから取得する評価結果取得ステップと、
を有し、
前記解析ステップにおいて、前記コンピュータは、前記燃料デブリを分割して所定サイズの複数のメッシュを生成し、生成した前記複数のメッシュのそれぞれにおいて、前記燃料デブリの未沸騰領域における等価熱伝導度と、前記燃料デブリの沸騰領域における等価熱伝導度よりも大きい、前記沸騰領域における模擬的な等価熱伝導度とを用いて、各時間における前記非定常熱伝導方程式を解き、前記燃料デブリの前記未沸騰領域の温度及び前記沸騰領域の範囲の過渡解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の解析を行う、
高速炉デブリベッド冷却の解析方法。 - 前記データセットを前記第1の個数よりも多い第2の個数生成する第2データセット生成ステップをさらに有し、
前記評価結果取得ステップにおいて、前記第2の個数の前記データセットのそれぞれを前記解析モデルに入力し、当該データセットに対応する前記評価結果を前記解析モデルから取得する、
請求項1に記載の高速炉デブリベッド冷却の解析方法。 - 第1データセット生成ステップにおいて、前記複数のデータセットに含まれる前記入力項目の値が、当該入力項目が取り得る値の範囲において、一様分布となるように前記複数のデータセットを生成する、
請求項1又は2に記載の高速炉デブリベッド冷却の解析方法。 - 前記評価結果取得ステップにおいて取得された前記燃料デブリの冷却性の評価結果に基づいて、異なる評価結果となる境界を含む境界領域を特定する境界領域特定ステップと、
特定された前記境界領域において、前記第1データセット生成ステップにおけるデータセットの生成密度よりも高い密度でデータセットを生成する第3データセット生成ステップと、
をさらに有し、
前記解析ステップにおいて、前記第3データセット生成ステップにおいて生成された前記データセットに基づいて、前記燃料デブリの冷却性の解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の評価結果を取得し、
前記モデル生成ステップにおいて、前記第3データセット生成ステップにおいて生成されたデータセットと、当該データセットに対応する前記評価結果との組み合わせを教師データとし、当該教師データに基づいて機械学習を行うことにより前記解析モデルを修正し、
前記評価結果取得ステップにおいて、前記第1の個数よりも多い第2の個数の前記データセットのそれぞれを修正後の前記解析モデルに入力し、当該データセットに対応する前記評価結果を前記解析モデルから取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の高速炉デブリベッド冷却の解析方法。 - 前記解析モデルは、所定の層数及びノード数のニューラルネットワークに基づいて生成されるモデルであり、
前記評価結果取得ステップにおいて取得された前記燃料デブリの冷却性の評価結果に基づいて、異なる評価結果となる境界を含む境界領域を特定する境界領域特定ステップと、
特定された前記境界領域において、前記第1データセット生成ステップにおけるデータセットの生成密度よりも高い密度でデータセットを生成する第3データセット生成ステップと、
をさらに有し、
前記解析ステップにおいて、前記第3データセット生成ステップにおいて生成された前記データセットに基づいて、前記燃料デブリの冷却性の解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の評価結果を取得し、
前記モデル生成ステップにおいて、前記第3データセット生成ステップにおいて生成されたデータセットと、当該データセットに対応する前記評価結果との組み合わせを教師データとし、当該教師データに基づいて前記解析モデルよりも前記ニューラルネットワークにおける層数及びノード数の少なくともいずれかを多くした機械学習を行うことにより第2解析モデルを生成し、
前記評価結果取得ステップにおいて、前記第1の個数よりも多い第2の個数の前記データセットのそれぞれを前記第2解析モデルに入力し、当該データセットに対応する前記評価結果を前記解析モデルから取得する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の高速炉デブリベッド冷却の解析方法。 - 前記解析ステップにおいて取得された前記燃料デブリの冷却性の評価結果に基づいて、異なる評価結果となる境界を含む境界領域を特定する境界領域特定ステップと、
特定された前記境界領域において、前記第1データセット生成ステップにおけるデータセットの生成密度よりも高い密度でデータセットを生成する第3データセット生成ステップと、
をさらに有し、
前記解析ステップにおいて、前記第3データセット生成ステップにおいて生成された前記データセットに基づいて、前記燃料デブリの冷却性の解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の評価結果を取得し、
前記モデル生成ステップにおいて、前記第1の個数の前記データセットのそれぞれと、当該データセットに対応する前記評価結果との組み合わせを教師データとするとともに、前記第3データセット生成ステップにおいて生成されたデータセットと、当該データセットに対応する前記評価結果との組み合わせを教師データとし、当該教師データに基づいて機械学習を行うことにより前記解析モデルを生成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の高速炉デブリベッド冷却の解析方法。 - コンピュータを、
高速炉において、原子炉容器内に設けられたコアキャッチャーに堆積した粒子状の燃料デブリの冷却性の解析に使用される複数の入力項目のそれぞれの入力データの組み合わせであるデータセットを第1の個数生成する第1データセット生成部、
前記第1の個数の前記データセットのそれぞれに基づいて、前記第1の個数の解析条件を設定し、設定した前記第1の個数の前記解析条件のそれぞれに対応して非定常熱伝導方程式を解き、前記燃料デブリの冷却性の解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の評価結果を取得する解析部、
前記第1の個数の前記データセットのそれぞれと、当該データセットに対応する前記評価結果との組み合わせを教師データとし、当該教師データに基づいて機械学習を行うことにより、前記データセットの入力に対して前記評価結果を出力する解析モデルを生成するモデル生成部、及び、
任意の前記データセットを前記解析モデルに入力し、当該データセットに対応する前記評価結果を前記解析モデルから取得する評価結果取得部、
として機能させ、
前記解析部は、前記燃料デブリを分割して所定サイズの複数のメッシュを生成し、生成した前記複数のメッシュのそれぞれにおいて、前記燃料デブリの未沸騰領域における等価熱伝導度と、前記燃料デブリの沸騰領域における等価熱伝導度よりも大きい、前記沸騰領域における模擬的な等価熱伝導度とを用いて、各時間における前記非定常熱伝導方程式を解き、前記燃料デブリの前記未沸騰領域の温度及び前記沸騰領域の範囲の過渡解析を行うことにより、前記燃料デブリの冷却性の解析を行う、
高速炉デブリベッド冷却の解析プログラム。
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