JP6726467B2 - 偏光解消素子 - Google Patents

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Description

本発明は、基板の表層部に光の波長以下のピッチをもって形成された微細構造を有し、光の偏光方向を変更して透過させる複数の偏光方向変更領域を備えた偏光解消素子に関するものである。
偏光解消素子は、レーザプリンタなどで問題となる偏光を解消させるための光学部品として用いられたり、光学露光装置や光学測定機などの光学機器の光学系のスペックルの発生を低減させるスペックル低減素子として用いられたりしている。
レーザからの光をマイクロレンズアレイやフライアイレンズを通すことによってひとつの光束を複数の光束に分割する際、分割された光は偏光方向が同一方向に揃っており、光学系の中で特定の条件が整うと、分割された光がそれぞれ干渉発生の原因となって光学系の途中で光が強めあう点(スペックル)が生じる場合がある。スペックルは、レーザ光を使用するいろいろな光学系で発生することが知られており、これを解消する方法が種々提案されているが、有効な解決策は確立されていない。
スペックルを解消する方法のひとつとして、光の偏光状態が様々になったいわゆるランダム偏光状態にすることが挙げられる。偏光が不揃いであると、指向性の低い自然光の状態に近づくために光の干渉が起こりにくいからである。
偏光解消素子として、サブ波長構造(Sub-Wavelength Structures;SWS)を備えたものが知られている(例えば特許文献1を参照。)。サブ波長構造は、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された溝の周期構造である。
光の波長より短いピッチをもつ溝の周期構造は、周期をもつ方向ともたない方向で互いに異なる有効屈折率nTE,nTMをもち、あたかも複屈折材料であるかのように振舞う(いわゆる構造複屈折構造である)。この有効屈折率の差によって各偏波方向の光の伝播速度に差ができるため、サブ波長構造を通過する光の偏光状態が変化する。サブ波長構造は、構造の設計によって複屈折やそれらの分散を自由に制御できる。サブ波長構造のこの特性を利用して、偏光板、波長板、波長分離素子など、様々な製品が展開されている。
サブ波長構造を利用した偏光解消素子は、光を透過させる部分が複数の領域に分割され、それらの各領域に種々の光学軸方向をもったサブ波長構造が形成されている。以下、サブ波長構造が形成されている領域を偏光方向変更領域と称する。光学軸方向とは、サブ波長構造の溝の配列方向である。偏光解消素子は、各光学軸変更領域を光が走査するように平面的に駆動される。これにより、該偏光解消素子を透過する光の偏光方向が時間によって種々の方向に変更され、それらを合成した光は種々の偏光方向をもった光となる。偏光解消素子を透過した光が種々の偏光方向をもつことにより、同じ偏光方向をもった光の干渉によるスペックルが緩和される。
特開2004−341453号公報 特開2008−298869号公報
サブ波長構造を利用した偏光解消素子は、光を透過させる部分全体に偏光方向変更領域が形成され、さらに種々の光学軸方向をもつサブ波長構造の形成された偏光方向変更領域が隣接して配置されていたため、隣接する偏光方向変更領域の境界部分(光学軸方向が変化する部分)では、光学軸方向が急激に変化するために光の散乱や回折が生じ、光透過率を低下させる要因となっていた。
これに対し、例えば、偏光方向変更領域の配列を光学軸方向に規則性のないランダムな配置にするなど、偏光方向変更領域の配置を工夫することで、光学軸方向の異なる偏光方 変更領域の境界部分での光の散乱や回折を抑制することは可能であるが、その効果にも限界があり、パターン設計も容易でない。
そこで、本発明は、偏光解消素子のパターンの設計及び加工を容易にしながら光透過率を向上させることを目的とするものである。
本発明に係る偏光解消素子は、基板の表層部に光の波長以下のピッチをもって形成された微細構造を有し、光の偏光方向を変更して透過させる複数の偏光方向変更領域と、前記基板の表層部における互いに隣り合う前記偏光方向変更領域の間に設けられ、光の偏光方向を変更することなく透過させる偏光方向無変更領域と、を備えたものである。
ここで、「偏光方向無変更領域」とは、光の偏光方向を変更するような微細構造が形成されていない領域、すなわちサブ波長構造が形成されていない領域を意味するのであって、サブ波長構造が形成されているがその配列方向が光の偏光方向を変更しない方向であるために、出射光の偏光方向が入射光の偏光方向と同じである領域は含まれない。
入射光と同じ光学軸方向をもつ微細構造、すなわち出射光の偏光方向が入射光と同じ 方向であるような微細構造は、入射光の偏光方向を変更するものではないため実質的に光学的な機能を有さず、微細構造が設けられていないのと同じである。換言すれば、光の 偏光方向を変更するような微細構造をもたない領域を設ければ、その領域において入射光の偏光方向を変更することなく、入射光と同じ偏光方向の光を出射させることができるため、入射光と同じ偏光方向をもつ微細構造を有する領域を設ける必要がない。
前記偏光方向無変更領域は、前記微細構造の凸部と同一高さの平坦面を有するものとすることができる。かかる偏光方向無変更領域は、例えば偏光方向変更領域の微細構造の凹部を形成するためのエッチングの際に、偏光方向無変更領域となる領域全体にマスクを施してその領域全体がエッチングされないようにすることで形成されるものである。
また、前記偏光方向無変更領域は前記微細構造の凹部と同一高さの平坦面を有するものとしてもよい。かかる偏光方向無変更領域は、例えば偏光方向変更領域の微細構造の凹部を形成するためのエッチングの際に、偏光方向無変更領域となる領域にマスクを施さないことによってその領域全体にエッチングがなされることで形成されるものである。
前記偏光方向無変更領域に反射防止膜が形成されていることが好ましい。そうすれば、 偏光方向無変更領域における光透過率を向上させることができ、当該偏光解消素子の光透過率を向上させることができる。偏光方向無変更領域をもたない偏光解消素子でも、予め基板に反射防止膜を形成しておいてから微細構造形成用のエッチングを施す等の方法により、微細構造の凸部の上面に反射防止膜を残存させることは可能であるが、微細構造であるため光透過率を向上させるという効果は限定的である。これに対し、偏光方向無変更領域は平坦面であるから、反射防止膜を形成することによって光透過率をより大きく向上させることができる。
また、上記反射防止膜の代わりに、前記偏光方向無変更領域に反射防止構造が形成されていても、同様の効果を得ることができる。
前記偏光方向変更領域として、同一平面内において互いに異なる光学軸方向をもつ複数の偏光方向変更領域を有し、同じ光学軸方向をもつ前記偏光方向変更領域の合計面積は各光学軸方向間において略同一であり、前記偏光方向無変更領域の合計面積も各光学軸方向の前記偏光方向変更領域の合計面積と略同一であることが好ましい。上述のように、偏光 方向無変更領域は入射光の偏光方向と同じ光学軸方向のサブ波長構造を有する領域としての光学的機能を有するのであるから、各光学軸方向の偏光方向変更領域のそれぞれの合計面積と偏光方向無変更領域の合計面積とが同じ面積をもつことによって、それらの領域を走査される光は、偏光方向の時間分割が均等に行なわれるようになり、より自然光に近い光を作り出すことができる。
ここで、上記の「略同一」とは、各光学軸方向の偏光方向変更領域のそれぞれの合計面積、及び偏光方向無変更領域の合計面積が全く同一である場合だけでなく、各光学軸方向の偏光方向変更領域及び偏光方向無変更領域の合計面積の間にバラツキが存在するが、各領域を透過した光の合成光の各偏光方向成分のバラツキが目視レベルで感じられない程度(例えば20%程度)である場合も含む。
本発明に係る偏光解消素子は、互いに隣り合う偏光方向変更領域の間に、光の偏光方向を変更することなく透過させる偏光方向無変更領域が設けられているので、互いに異なる光学軸方向をもつ微細構造が隣接せず、光の散乱や回折を生じる微細構造の境界部分が存在しない。これにより、光透過率が向上する。
上述のように、偏光方向無変更領域が入射光の偏光方向と同じ特定の光学軸方向をもつ微細構造を有する領域としての機能を有するため、入射光の偏光方向と同じ特定の光学軸方向をもつ領域を設ける必要がなくなり、他の光学軸方向をもつ微細構造をもつ偏光方向変更領域を設けるスペースを確保することができる。これにより、光の偏光方向を時間分割するための微細構造のパターン数を増加させることができ、スペックルの解消効果を向上させることができる。
従来のように、微細構造を有する偏光方向変更領域を隣接して配置すると、隣接する 光方向変更領域間の境界部分は、偏光方向変更領域を微細化して配列すればするほど増加することになる。隣接する偏光方向変更領域間の境界部分が増加すると、その部分での散乱光や回折光が増加し、光透過率が低下する。したがって、従来の偏光解消素子では、 光方向変更領域の微細化に限界があった。
これに対し、本発明では、互いに隣り合う偏光方向変更領域の間にサブ波長構造をもたない偏光方向無変更領域が存在するため、光の散乱や回折を生じる微細構造の境界部分が存在せず、偏光方向変更領域を微細化しても散乱光や回折光が増加しない。したがって、 偏光方向変更領域の微細化が可能となり、光の偏光方向を時間分割するための微細構造のパターン数をさらに増加させることができ、スペックルの解消効果を向上させることができる。
また、互いに隣り合う偏光方向変更領域の境界部分にサブ波長構造を形成しないため、設計及び加工が容易になる。さらに、光学軸方向の異なるサブ波長構造どうしが隣接しないため、熱膨張によるパターンの歪みや倒れも発生せず、歩留まりが向上する。
偏光解消素子の一実施例を概略的に示す平面図である。 同偏光解消素子が駆動されることによって光の走査方向を示す図である。 同偏光解消素子による光の偏光方向の時間分割機能を説明するための概念図である。 偏光解消素子の構造の一例を示す断面図である。 偏光解消素子の構造の他の例を示す断面図である。 偏光解消素子の構造のさらに他の例を示す断面図である。 図6の構造を有する偏光解消素子の製造工程の一例をその順に示す工程断面図である。 図7の続きを示す工程断面図である。 偏光解消素子の構造のさらに他の例を示す断面図である。 偏光解消素子の構造のさらに他の例を示す断面図である。 偏光方向変更領域と偏光方向無変更領域の配置の一例を説明するための概念図である。 偏光方向変更領域と偏光方向無変更領域の配置の他の例を説明するための概念図である。 偏光方向変更領域と偏光方向無変更領域の配置のさらに他の例を説明するための概念図である。 偏光方向変更領域と偏光方向無変更領域の配置のさらに他の例を説明するための概念図である。 偏光方向変更領域と偏光方向無変更領域の配置のさらに他の例を説明するための概念図である。 偏光方向変更領域と偏光方向無変更領域の配置のさらに他の例を説明するための概念図である。
以下、本発明に係る偏光解消素子の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は偏光解消素子の一実施例を模式的に示す平面図である。
この実施例の偏光解消素子1は、使用する光の波長よりも短い周期で繰り返して配列された凹凸形状からなるサブ波長構造(微細構造)を有する複数の偏光方向変更領域4と、各偏光方向変更領域4の周囲を取り囲むように設けられた偏光方向無変更領域6を備えている。偏光方向変更領域4の微細構造は、その領域を透過する光に位相差を与えることによってその光の偏光方向を変更するように形成されたものである。他方、偏光方向無変更領域6は、透過する光の偏光方向を変更するような微細構造をもたない。すなわち、偏光 方向無変更領域6は、その領域に入射した光の偏光方向を変更することなくそのまま透過させる領域である。
この実施例の偏光方向変更領域4には4種類の微細構造のうちのいずれかが形成されており、各偏光方向変更領域4を光が走査することによって光の偏光方向が種々の方向へ変更されるようになっている。偏光方向変更領域4に形成されている微細構造は、入射光の 偏光方向を図における上下方向((A)の方向とする)とすると、入射光の偏光方向(A)を45°回転させた(B)の方向に変更する微細構造、入射光の偏光方向(A)を90°回転させた方向(C)に変更する微細構造、入射光の偏光方向(A)を135°回転させた方向(D)に変更する微細構造、又は直線偏光である入射光を楕円偏光にする微細構造のいずれかである。
偏光解消素子に4種類の微細構造を形成する場合、合成された透過光に360°方向に対して均等な偏光方向成分が存在するように、45°(180°÷4)間隔でずれた方向性(0°、45°、90°135°)をもった微細構造を配置することが一般的である。以下、偏光解消素子に形成される微細構造の種類の数をパターンレベルと称する。このような4パターンレベルの偏光解消素子は、光の偏光方向を4つの方向に時間分割することができる。
これに対し、この実施例の偏光解消素子1は入射光の偏光方向(A)と同一の光学軸方向の微細構造を有する偏光方向変更領域4は存在しない。既述のように、光の偏光方向を変更する微細構造をもたない偏光方向無変更領域6は入射光の偏光方向(A)と同一の光学軸方向の微細構造を有する偏光方向変更領域と同じ光学的機能を有するものであるから、この偏光解消素子1は、入射光の偏光方向が(A)の方向となるように使用することで、4種類の偏光方向変更領域4と偏光方向無変更領域とで、光の偏光方向を(A)−(E)の5方向へ時間分割する5パターンレベルの偏光解消素子として機能するのである。
さらに、この実施例の偏光解消素子1では、偏光方向無変更領域6が設けられているというだけでなく、互いに隣り合う偏光方向偏光領域4の間に必ず偏光方向無変更領域6が存在するようになっていることにより、以下の効果を得ることができる。
まず、図2の太線矢印の経路で光が走査するように偏光解消素子1を駆動したとすると、図3に示されているように、偏光解消素子1を透過した光は(B)−(A)−(C)−(A)−(D)−(A)−(E)−(A)−(C)−(A)−(B)−(A)−(E)−(A)−(D)−(A)−(E)―・・・というように光の偏光方向が常に方向(A)を挟みながら変化していき、偏光方向の時間分解がより細かく行なわれるようになる。これにより、スペックルの解消効果が向上する。
また、偏光方向変更領域4が隣接しないため、隣り合う偏光方向変更領域の境界部分が存在しないこととなる。異なる光学軸方向をもつ微細構造が隣接して配置されていると、その境界領域でパターンの配列方向の急激な変化によって光の散乱や回折が生じ、光透過率が低下するが、そのような境界部分のない偏光解消素子1は境界部分での光の散乱や回折がなく、光透過率が向上する。
さらに、偏光方向変更領域を隣接して配置した場合、偏光方向変更領域を微細すればするほど、全体としてその境界部分が増加することになり、光の散乱や回折が増加する。これに対し、隣り合う偏光方向変更領域4の境界部分が存在しないため、従来よりも偏光 方向変更領域4の微細化が可能となり、光透過率を低下させることなく、光の偏光方向の時間分解機能を向上させることができる。
光学軸方向の異なる微細構造を隣接して配置しないため、隣接して配置する場合に比べてその設計と加工が容易であるとともに、全体として微細構造が形成されている領域の面積が低下するため、歩留まりが向上し、製造コストの低減を図ることができる。
偏光解消素子1の断面構造としては、図4に示されているように、偏光方向無変更領域6が偏光方向変更領域4に形成されている微細構造の凸部と同じ高さを有する平面となっている構造が挙げられる。この構造は、例えば、石英材料等からなる基板2における微細構造の凸部及び偏光方向無変更領域6となる部分にCr膜を配置し、Cr膜をマスクとして基板2の面に垂直な方向にドライエッチングを行なうことで得られる。
図4の構造では、図6に示されているように、偏光方向無変更領域6の表面に反射防止膜8を形成することができる。これにより、偏光方向無変更領域6の光透過率をさらに向上させることができる。
偏光方向無変更領域6に反射防止膜8が形成された偏光解消素子1の製造方法の一例について図7及び図8を用いて説明する。
まず、石英ガラス等からなる基板2を用意し(図7(a))、その基板2の表面に蒸着法によって多層膜からなる反射防止膜8を形成する(図7(b))。その反射防止膜8上にスパッタ法によりCr膜10を形成する(図7(c))。そのCr膜10上に電子線描画用のレジスト12を塗布しプリベークした後、描画、現像及びリンスの工程により、微細構造の凸部及び偏光方向無変更領域6となる部分にのみレジスト12を残存させる(図7(d))。レジスト12をマスクとしてCr膜10のドライエッチングを行なうことにより(図7(e))、微細構造の凸部及び偏光方向無変更領域6となる部分上にCr膜10からなるマスクが形成される。その後、レジスト12を剥離する(図7(f))。
Cr膜10をマスクとして反射防止膜8及び基板2のドライエッチングを行なう(図8(g))。基板2にバイアスをかけることにより、基板2の表面に対して垂直な方向にエッチングを進行させる(図8(h))。Cr膜10を所定の剥離処理により除去する(図8(i))。これにより、偏光方向無変更領域6の表面に反射防止膜8を残存させつつ 光方向変更領域4の微細構造を形成することができる。
また、偏光解消素子1の断面構造としては、図5に示されているように、偏光方向無変更領域6が偏光方向変更領域4に形成されている微細構造の溝の底面と同じ高さを有する平面となっている構造であってもよい。この構造は、例えば、石英材料等からなる基板2における微細構造の凸部となる部分にのみCr膜を配置し、Cr膜をマスクとして基板2の面に垂直な方向にドライエッチングを行なうことで得られる。
図5のように、偏光方向無変更領域6が微細構造の溝の底面と同じ高さを有する平面である場合であっても、図9に示されているように、偏光方向無変更領域6に反射防止膜8を形成して、光透過率の向上を図ることができる。この構造は、例えば、ドライエッチングにより偏光方向変更領域4の微細構造及び偏光方向無変更領域6を形成した後、反射防止膜8を斜め蒸着(入射角度20°程度)することにより実現することができる。
なお、微細構造の形成方法としては、上記の方法に限られず、ナノインプリント法を用いて形成することも可能である。ナノインプリント法を用いた形成方法の一例は、石英基板上にシリコン層を形成し、そのシリコン層上にインプリント法を用いてマスクパターンを形成した後、そのマスクパターンをマスクにしてドライエッチングによりシリコン層をパターニングし、微細な凹凸構造をもつシリコンパターンを形成する。マスクパターンを除去した後、シリコンパターンに対して熱酸化処理を施すことにより、石英基板上にシリコンが熱酸化されて形成された二酸化ケイ素からなる微細構造が得られる。
また、図10に示されているように、偏光方向無変更領域6に立体的な反射防止構造9を形成することもできる。この反射防止構造9の形成方法の一例は次のとおりである。予め結晶面を規制したシリコン基板にパターニングを行なった後、シリコン基板に対してアルカリ・ウェットエッチングを行ない、シリコン基板の表面に反射防止構造となる微細な切妻凹凸形状を形成する。このシリコン基板を金型として使用する。そして、基板2の一表面全体に光硬化樹脂を塗布した後、金型を押し当てた状態で基板2の表面の樹脂を硬化させることにより、金型の微細な切妻凹凸形状を樹脂に転写する。その後、ドライエッチングにより樹脂の微細形状を基板2に転写する。表面に微細形状が転写された基板2をスタート基板として、Cr膜等のマスクを用いたドライエッチングによる方法や、ナノインプリント法を用いた方法により、偏光方向無変更領域6に反射防止構造9を残存させながら、偏光方向変更領域4に微細構造を形成することができる。反射防止構造9の凹凸形状は高さが非常に低いため、Cr膜等のマスクを用いたドライエッチングによる方法や、ナノインプリント法を用いた方法のプロセスに影響を与えない。なお、この方法では、偏光 方向変更領域4の微細構造の凸部にも反射防止構造の凹凸形状が残ることとなるが、図10ではその図示は省略されている。
なお、この実施例では、偏光方向変更領域4の微細構造が基板2の表面をドライエッチングすることによって形成されているが、基板2の表面に基板2とは異なる材質の誘電体薄膜層が形成され、その誘電体薄膜層がドライエッチングされることによって微細構造が形成されていてもよい。
本発明において、互いに隣り合う偏光方向変更領域4の間に偏光方向無変更領域6が存在することが最低限度の要件であり、その配置方法については自由に設計することができる。しかし、偏光解消素子1を透過した光をより自然光に近い光とするために、合成された透過光に各光学軸方向成分が均等に存在していることが望ましい。そのためには、偏光解消素子1の光を透過させる面における各光学軸方向のそれぞれの偏光方向偏光領域4の合計面積が略同一であり、かつそれらの合計面積と偏光方向無変更領域6の合計面積が略同一であるということが必要となる。「略同一」とは、完全に同一である場合だけでなく、ある程度均一化されているものの目視レベルでそれを認識することができない程度のバラツキ(例えば20%程度)がある場合も含む。
例えば、偏光解消素子1が図1の実施例のように(A)−(E)の5パターンレベルを有する場合には、透過光が(A)方向の光となる偏光方向無変更領域6の合計面積、及び(B)−(E)の各光学軸方向をもつそれぞれの偏光方向変更領域4の合計面積がすべて同一である必要がある。各光学軸方向の偏光方向変更領域4の合計面積をすべて同一とするためには、各偏光方向変更領域4の面積をすべて同一にし、同じ光学軸方向をもつ偏光 方向更領域4の個数を同一にすればよい。その上で、偏光方向無変更領域6の合計面積が各光学軸方向の偏光方向変更領域4のそれぞれの合計面積と同一になるように設計すればよい。
そのような設計を容易にするために、以下、偏光方向変更領域4及び偏光方向無変更領域6の配置についての設計方法の一例を説明する。
図11に示されているように、偏光解消素子1の光を透過させる面を複数の均等な領域3(以下、分割領域3と称する)に分割し、各分割領域3に1つの偏光方向変更領域4が内包されている。図11の例では、分割領域3の形状は正方形であり、偏光方向変更領域4の形状も正方形であるが、分割領域3及び偏光方向変更領域4の形状に特に制限はない。
図11の例では、パターンレベル数が5であるから、偏光方向変更領域4に形成されている微細構造の光学軸方向の種類数は4である。したがって、各光学軸方向の偏光方向変更領域4の個数を同一にするとして、同一光学軸方向をもつ偏光方向変更領域4の合計面積と偏光方向無変更領域6の合計面積とを同一にするためには、次式(1)を満たすように、分割領域3の1辺の長さAと、偏光方向変更領域4の一辺の長さaを設定すればよい。
(A−a)×4=a
=0.8A (1)
すなわち、分割領域3及び偏光方向変更領域4の形状がともに正方形である場合、パターンレベル数をnとすれば、
(A−a)×(n−1)=a (2)
の関係を満たすようにAとaを設定することで、同一光学軸方向をもつ偏光方向変更領域4の合計面積と偏光方向無変更領域6の合計面積とを同一にすることができる。
図12に示されているようにパターンレベル数を4にした場合は、偏光方向変更領域4に45°間隔でずれた光学軸方向をもつ微細構造を形成する。この場合、
(A−a)×3=a (3)
すなわち、a=0.8660Aを満たすようにAとaを設定することで、同一光学軸方向をもつ偏光方向変更領域4の合計面積と偏光方向無変更領域6の合計面積とを同一にすることができる。
図13に示されているようにパターンレベル数を8にした場合は、偏光方向変更領域4に22.5°間隔でずれた光学軸方向をもつ微細構造を形成する。この場合、
(A−a)×7=a (4)
すなわち、a=0.9354Aを満たすようにAとaを設定することで、同一光学軸方向をもつ偏光方向変更領域4の合計面積と偏光方向無変更領域6の合計面積とを同一にすることができる。
図14に示されているようにパターンレベル数を12にした場合は、偏光方向変更領域4に15°間隔でずれた光学軸方向をもつ微細構造を形成する。この場合、
(A−a)×11=a (5)
すなわち、a=0.9574Aを満たすようにAとaを設定することで、同一光学軸方向をもつ偏光方向変更領域4の合計面積と偏光方向無変更領域6の合計面積とを同一にすることができる。
図15に示されているように、分割領域3を正方形とし、偏光方向変更領域4を円形とすることも可能である。この場合、分割領域3の一辺の長さをA、偏光方向変更領域4の半径をrとすると、1つの分割領域3内における偏光方向無変更領域6の面積は、
−πr (6)
であるから、パターンレベル数がnのときは、
(A−πr)×(n−1)=πr (7)
を満たすようにAとrを設定すればよい。ただし、r<A/2を満たす範囲でなければならない。r=A/2となると偏光方向変更領域4同士が接してしまい、R>A/2となると偏光方向変更領域4同士が重なってしまうからである。
図16に示されているように、分割領域3を正六角形とし、偏光方向変更領域4を円形とすることもできる。この場合、六角形の一辺の長さをL、偏光方向変更領域4の半径をrとすると、1つの分割領域3の面積は、
6×(L/2)tan60°=2.598L (8)
である。したがって、パターンレベル数がnのときは、
[(2.598L)−(πr)]×(n−1)=πr (9)
を満たすようにLとrを設定すればよい。
ただし、一辺の長さがLの正六角形に内接する円の半径rMAXは、
MAX=(L/2)tan60°=0.8660L (10)
であるから、r<0.8660Lを満たす範囲でなければならない。r≧0.8660Lとなると、偏光方向変更領域4が接したり重なったりするからである。
1 偏光解消素子
2 基板
3 分割領域
偏光方向変更領域
偏光方向無変更領域
8 反射防止膜
9 反射防止構造
10 Cr膜
12 レジスト

Claims (3)

  1. 主面において光を走査させることにより前記光の偏光方向を複数方向へ変更する偏光解消素子であって、
    基板の前記主面の表層部に光の波長以下のピッチをもって形成された微細構造を有し、光の偏光方向を変更して透過させる複数の偏光方向変更領域と、
    前記主面の表層部に設けられ、光の偏光方向を変更することなく透過させる偏光方向無変更領域と、を備え
    前記光の走査経路に沿って前記偏光方向変更領域と前記偏光方向無変更領域とが交互に配列されるように、前記偏光方向無変更領域が互いに隣り合うすべての前記偏光方向変更領域の間に設けられており、すべての前記偏光方向無変更領域は同じ高さの平坦面である、偏光解消素子。
  2. 少なくとも前記偏光方向無変更領域に反射防止構造が形成されている請求項1に記載の偏光解消素子。
  3. 前記偏光方向変更領域として、同一平面内において互いに異なる光学軸方向をもつ複数の偏光方向変更領域を有し、
    同じ光学軸方向をもつ前記偏光方向変更領域の合計面積は各光学軸方向間において略同一であり、
    前記偏光方向無変更領域の合計面積は各光学軸方向の前記偏光方向変更領域の合計面積と略同一である請求項1又は2に記載の偏光解消素子。
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