JP6725777B1 - ホイール付きバットを用いたアップライト型ピアノアクション機構 - Google Patents

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Abstract

既存アップライトピアノには、キーを介したハンマー運動制御性能から見て、そのシングルエスケープメント機構が原因で2つの問題点があり、ハンマー戻し力発生機構の不合理が原因で、3つの問題点がある。このため既存グランドピアノに比べて、既存アップライトピアノは音楽演奏性能が低い。本発明のアップライト型ピアノアクション機構では、ハンマーバットの被突き上げ部を回転自在のバットホイールに変更し、ジャックスプリングのバネ力を強化することで、シングルエスケープメント機構でありながら、ダブルエスケープメント機能を提供し、また、ブライドルテープを廃止し、打弦後のハンマー戻し力発生機構を1本の強化されたハンマー戻しバネのみとすることで、既存グランドピアノと同等以上の高速なハンマー戻り加速度が、打弦状況によらず常に提供される。これにより、より単純化された構成で上記5つの問題点が全て解決され、既存グランドピアノと同等以上の「キーを介したハンマー運動制御性能」を持つアップライト型ピアノアクション機構が提供される。

Description

本発明は、アップライト型ピアノアクション機構に係るものである。
鉄製弦をハンマーで打弦し発音する楽器であるピアノは、現在グランドピアノ(以下GP)と、アップライトピアノ(以下UP)と、が広く用いられている。
GPは、音楽表現性能が高く、コンサート場面で使われるピアノは、ほぼ全てGPと言って良い。しかし、GPは、大重量で占有面積が大きく、かつ非常に高価であるため使用環境等に制限がある。
他方、UPは、「GPと比較して、音量・音質の制約やハンマー操作性が劣るという特性があるが、小型軽量で比較的安価である」と言う特徴が広く認められている。
このUPの特徴から、ピアノ演奏人口の大多数を占める一般ユーザーは、UPを選択し、演奏性能の低さに不満を持ちつつも甘受している実情がある。
これまでも、ピアノ製作者は、UPの性能改善に向けて努力を重ねており、年々UPの性能は良くなってきている。しかし、UPの音量・音質に関しては、その寸法制限から、改善効果は限界に近づいている。
他方、キーを介したハンマー操作性能についても、発音機構(アクション)の改善努力がなされてきている。
近年、例えば特許文献1に示されるように、ハンマー操作性能の一定の改善効果がみられるUPのアクション機構も、発明・実用化されている。
しかし、特許文献1に示されるUPのアクション機構は、既存UPのアクション機構の欠陥構造をそのまま使いつつ、複雑な多数の付加部品によって、高速同音連打性能の向上が得られただけであり、GPの持つ「ハンマーから指先への忠実度の高い慣性力伝達感触」は得られていない。
一方、特許文献2に示されるように、GPにおいては、「ホイールを用いることで、シングルエスケープメント機構※でありながら、ダブルエスケープメント機能※を発揮するアクション機構」が、最近発明された。
しかし、UPにおいては、類似の技術はいまだ知られていない。
なお、ここで用いた用語※については、段落「0017」を参照されたい。
特許第4489140号公報 特許第6606313号公報
ここで、図3〜図6を用いて、標準的な既存UPの動作様態を記述し、その中で解決すべき課題を指摘する。
図3に標準的な既存UPのアクション機構の概念図を示す。以下、図3に基づいて、既存UPの動作を、打弦行程、ハンマー戻し行程、ジャックの打弦準備行程の3つに分けて記述する。
なお、機構を説明する上で、軸方向に関して次のように定める。ピアノの前後軸において、奏者側を前方、奏者から遠い方を後方とする。
(1)打弦行程
(1−1)通常奏法での打弦行程(エスケープメント機構を使う奏法):
エスケープメント機構を使う通常の奏法では、奏者は、キーを最下部まで押し切って発音させる。
ここで、奏者がキー前端付近を押し下げると、キー後端に設けられたキャプスタンが上昇する。
次に、キャプスタンの上昇により、ウィッペンが押し上げられる。
次に、ウィッペンの上昇により、ウィッペン上にピン留めされているジャックが上昇する。
この際、ジャック頂部は、ハンマーバット下部にあるハンマーバットフェルトに当たっているため、ウィッペンが左回旋しつつ上昇するのに対し、ジャック頂部は回旋せず、ほぼ垂直に上昇する。
ハンマーシャンクは、休止時にはハンマーレストに当たって停止しており、ハンマーバット被突き上げ部は、ジャック頂部と0.1〜0.2mm程度の隙間を開けて休止している。
ジャックが上昇を開始し、0.2mmほどの空隙を進んだ時、ジャック突き上げ面がハンマーバット被突き上げ部下面に接触して、ハンマーバットを押し上げる。
この既存UPのシングルエスケープメント機構に付随して生じる、ジャック・ハンマーバット間の間隙が原因で、「キー操作行為とハンマーヘッドの反応との間にタイムラグが生じる」点は、演奏者に「演奏しづらさ=キーを介したハンマー運動制御性能の悪さ」を感じさせる(問題点1)。
上述したハンマーバットの上昇の後、奏者が更にキーを押し下げることで、ウィッペン上のダンパースプーンが左回旋する。これにより、ダンパーヘッドが弦から浮き、弦が自由に振動可能になる。
また、このキーの押し下げに伴うジャックの上昇により、ハンマーバットが左回旋し、ハンマーヘッドが弦に近づく。
ここで、更にジャックが上昇すると、固定されているレギュレーティングボタンにジャックテールが当り、停止する。
また、更にキーの押し下げが続くと、ジャックが右回旋しつつ上昇する。
そして、このジャックの右回旋と同時に、ジャック突き上げ面がハンマーバット被突き上げ部下面から外れ、ハンマーはジャックから自由になる。
即ち、「ジャックによるハンマー突き放し」現象が起こる。
(用語の解説)
上述の突き放し機能をレットオフと呼び、この機構をエスケープメント機構と呼ぶ。
既存UPは、ジャックによる「1つのエスケープメント機構のみを持つ」ため、この機構をシングルエスケープメント機構と呼んでいる。
他方、既存GPは、ジャックによるエスケープメント機構の他に、レペティションレバーが類似の突き放し動作を行うエスケープメント機構を持つため、既存GPのアクション機構は「ダブルエスケープメント機構」と呼ばれる。(図6参照)
そして、ダブルエスケープメント機構は、「押し切ったキーをわずかに戻すだけで、ジャック突き上げ部が常に円滑に、ハンマーシャンクローラーという名の被突き上げ部材の下面に潜りこみ、直ちに同音再打弦の準備が完了する」と言う機能をもっている。
この機能を「ダブルエスケープメント機能」と言う。
この突き放し動作の時点でハンマーヘッドが十分な速度を得ている場合、ハンマーヘッドは慣性運動を続け、打弦し、所定の音階が発音される。
ハーフタッチ奏法での打弦行程(エスケープメント機構を使わない奏法):(図4参照)
(1−2)キーを極浅い押し下げ範囲で打鍵するハーフタッチ奏法の打弦行程:
キーの極浅い位置での押し下げによりハンマーを十分に加速させ、その後、キーの押し下げを直ぐにやめる場合、未だジャックのレットオフは発生していないが、ハンマーバットは、ジャック頂部を離れ、ハンマーの慣性運動を開始させることができる。
これはハーフタッチと呼ばれる演奏方法の一つの形態であり、ダンパーペダルを併用して弦を自由にすることにより、既存GPのアクション機構においては利用可能である。
しかし、既存UPのアクション機構のおいては、この時点では、ウィッペンはまだ低い位置にあり、ウィッペン上に繋がれたブライドルテープが、ハンマー(直接にはキャッチャー)の自由慣性運動の範囲を制限することで、ハンマーヘッドによる打弦を阻止し、発音できない。
即ち、既存UPのブライドルテープは、「浅いキー押し下げ位置でのハーフタッチ奏法を不可能にする」という問題がある(問題点2)。
(1−3)キーを深い押し下げ範囲で打鍵するハーフタッチ奏法の打弦行程:
キーをやや深い位置(=レットオフ発生の直前の位置)まで押し下げ、その後、キーの押し下げをレットオフ発生の直前に止めると、ハンマーの慣性運動を開始させることができる(ハーフタッチ奏法の別の一形態である)。
この場合には、ウィッペン上のブライドルワイヤーが大きく上昇しているため、ブライドルテープがハンマーの慣性運動を邪魔しないので(あるいは、わずかしか邪魔しないので)、ハンマーヘッドの速度が十分ならハンマーヘッドは打弦する。このとき、この深いキーの押し下げ位置では、ダンパーヘッドがすでに浮き上がって弦が自由であるから、打弦・発音が可能である。
(2)ハンマー戻り行程
既存UPにおけるハンマーの戻り力の発生源は、「打弦時の弦の反発力、弱いバネ力のバットスプリング及びブライドルテープの引っ張り力」の3つで構成される。
対比目的で、参考までに既存GPにおけるハンマー戻り行程を記載する。(図6参照)
既存GPにおけるハンマーの戻り力の発生源は、「打弦時の弦の反発力及びハンマーヘッドに掛かる重力」の2つで構成されている。
従って、既存GPにあっては、弦の反発力が例え0g重のときでも、ハンマーが自由になった瞬間に重力加速度と同程度の加速度で、ハンマーヘッドの戻り動作が開始・継続する。
即ち、既存GPにあっては、どんなにかすかな弱打弦の後でも、ハンマーの戻り加速度は最低でも重力加速度と同程度であり、安定的な高速戻り動作が保証されている。
(2−1−1)通常奏法での強打弦後のハンマー戻り行程:
この条件の場合、弦の反発力が大きいため、打弦後にハンマーは高速で戻る。
また、このとき、通常奏法ではキーは最下部まで押し下げられることで、レットオフ動作が終わっており、ウィッペンが大きく上昇すると共に、バックチェックがせり上がった状態にある。
そして、キーの押し下げを維持していると、高速で戻ったキャッチャーをバックチェックが挟んで、ハンマーの動作を停止させる。
(2−1−2−1)通常奏法での弱打弦後、キーを押し下げ続ける場合のハンマー戻り行程:
この条件の場合、弦の反発力は非常に弱く、かつ既存UPの戻しバネ(=バットスプリング)は、バネ力が非常に弱い構造なので、ハンマーヘッドは重力加速度と比べはるかに小さい加速度でゆっくりと引き戻され、続いて、ゆっくりと引き戻されたキャッチャーは、せり上がった状態のバックチェックに接触又は挟まれて、停止する。
なお、この工程は、通常奏法で、弱音を伸ばす場合に相当する。
参考までに、ハンマーヘッドの戻り力の実測値を、既存UPと既存GPとで比較する。
既存GPのハンマーヘッドで、弦反発力=0g重の場合に働くハンマーの戻り力は、実測10g重程度であり、ハンマーヘッドの戻り加速度は、ほぼ重力加速度に近い。
他方、既存UPで、弦反発力=0g重、かつブライドルテープが作用しない状況下で、ハンマーヘッド位置で計測したハンマーの戻り力は、実測3g重程度であり、ハンマーヘッドの戻り加速度は、重力加速度と比べはるかに小さい。
(2−1−2−2)通常奏法での弱打弦後、高速で同音・強打弦の準備をする場合のハンマー戻り行程:
この条件の場合、弱打弦後、当初はハンマーがゆっくりと戻る。
続いて、高速で同音の強打弦を行うためには、キーを急速に大きく戻す必要がある。
ここで、キーを急速に戻し続けると、連動してウィッペン及びその上に乗るジャックが、ほぼ重力加速度と同程度の大きさの加速度で下降する。
このウィッペン上のブライドルワイヤーに繋がれているブライドルテープは、ある時点からキャッチャーを突然、衝撃的に引っ張り、引き戻す。
この後、ブライドルテープに引かれたキャッチャーとウィッペンは、一緒に下降する。
(2−1−2−3)通常奏法での弱打弦後、高速で同音・弱打弦の準備をする場合のハンマー戻り行程:
この条件の場合も、弱打弦後、当初はハンマーがゆっくりと戻る。
続いて、高速で同音の弱打弦を行うためには、次のハンマーヘッドの打弦速度を小さくする必要があるため、「キーを大きく戻すことなく、直ちに再度キーを押し下げる」必要がある。
一方で、キーの押し切り位置からの戻り量が小さい範囲では、ウィッペンの戻り量が小さいため、ブライドルテープの引っ張り力が発生せず、従ってハンマーヘッドの戻り加速度は重力加速度に比べはるかに小さく、ハンマーの戻りに長時間を要する。
このことから、通常奏法において、弱音での高速同音連打を試みる場合、「ハンマーの戻りに長時間を要するため、高速連打が成立し得ない」と言える。
別の視点で言うと、「既存UPのバットスプリングとブライドルテープとによるハンマー戻し力機構」では、弱打弦後のハンマーヘッドを「急速に引き戻す」ためには、大きくキーを引き戻すことが必要であり、従って次の打弦を急いで行うとハンマーヘッドの打弦速度が必ず大きくなる。
即ち、既存UPのハンマー戻し力機構では、「通常奏法で高速同音連打をすると、必然的に大音量となり、弱音での高速同音連打ができない」と言える(問題点3)。
(2−1−2−4)通常奏法での弱打弦後、その音の演奏を直ちに停止する場合のハンマー戻り行程:
この条件の場合、「(2−1−2−2)通常奏法での弱打弦後、高速で同音・強打弦の準備をする場合」と同じで、キーを完全に戻してダンパーを弦に圧着させる必要から、キーを押し切った後直ちに、キーを大きく戻す必要があり、これに伴いウィッペンが、ブライドルテープを介して高速でハンマーを引き戻す。
ハーフタッチ奏法で打弦後のハンマー戻り行程:
(2−2)ハーフタッチ奏法でキーを極浅い押し下げ範囲で打鍵後のハンマー戻り行程:
上述したように、この条件の場合では発音せず、ウィッペンにより高速で引き戻される。
(2−3−1)ハーフタッチ奏法で、キーを深い押し下げ範囲で強打弦後のハンマー戻り行程:
ハーフタッチ奏法ではハンマー加速距離が短いため、強打弦は不可能であり、この状況は生じない。
(2−3−2)ハーフタッチ奏法で、キーを深い押し下げ範囲で弱打弦後のハンマー戻り行程:
上述(1−3)のように、この条件の場合では、ブライドルテープがほぼ邪魔しないため、ハンマーヘッドの速度が適切なら、ハンマーヘッドは打弦し、弱音を発音可能である。
また、この場合、ハンマーの戻り力は、極弱い弦の反発力及び弱いバットスプリングのバネ力によって生じ、ブライドルテープの引っ張り力は作用しない。
従って、ハンマーヘッドの戻り加速度は、重力加速度に比べはるかに小さく、ゆっくりと戻ることになる。
このことから、既存UPでは、「ハンマー戻し力機構が原因で、ハーフタッチ奏法での弱音同音連打は高速にできず、必ず低速になる」と言える(問題点4)。
(3)ジャックの打弦準備行程
キーの操作でハンマーヘッドによる打弦をするためには、ジャック突き上げ面がハンマーバット被突き上げ部下面に位置するように、ジャックの打弦準備を行うことが必要である。
直前のハンマーの動作次第でジャックの打弦準備動作が異なるため、以下に詳述する。
(3−1)通常奏法での打弦後、同音連打をする場合のジャックの打弦準備行程:
エスケープメント機構を使う通常奏法の打弦では、上述のように、打弦後にハンマーが戻り、キャッチャーがバックチェックに接触し又は挟まれることで、停止する。
ここで、キーを戻し始めると、連動してウィッペンが下降し始め、バックチェックがキャッチャーから離れる。
このとき、ジャック頂部は上昇し、レギュレーティングボタンにより右回旋させられ、かつ、その可動範囲内で最も高い位置に配置させられている。(図5参照)
他方、ハンマーバット被突き上げ部は、ジャック頂部より下方に位置し、ハンマーバット側面がジャック頂部に対面した状態にある。
次の打弦準備のためキーを戻して行くと、連動するウィッペン下降に伴い、ジャック頂部は、ジャックテール頂点を支点として左回旋し、ハンマーバット側面に当たる。
既存UPのジャックスプリングは弱いので(段落「0043」参照)、この時点でハンマーバットを押しのけることができず、ジャックの左回旋は停止する。
即ち、この時点では、まだジャック頂部はハンマーバット下面に潜ることができない。
更にキーを戻すと、ジャック頂部はハンマーバット側面に当たったままハンマーバットと一緒に下降し、ジャックテールがレギュレーティングボタンから離れても両者は一緒に下降を続ける。
続いてハンマーシャンクがハンマーレストに当たり、ハンマーバットの下降が止まる。
引き続くキー戻しで、ジャック頂部が下降し、ハンマーバット下面との間に空隙が発生した時点で、ようやくジャック頂部はハンマーバット下面に潜ることになる。
この状態では、キーはほぼ完全に休止位置に戻っている。
以上から、「既存UPでは、通常奏法で打弦後には、キーをほぼ完全に戻さないと、ジャックの次の打弦準備が完了しない」という欠点がある(問題点5)。
これは、よく知られた「シングルエスケープメント機構の重要な欠点」の1つである。
仮に、キーをこの位置まで戻さず、浅い戻し位置で再度キーを押し下げた場合、ジャック頂部がハンマーバット側面に対面しているため、ジャック頂部はハンマーバット側面に沿って上昇してしまい、ハンマーバットを押し上げることができず、空打ち状態になる。
また、同時にウィッペン上のバックチェックが上昇し、キャッチャーが挟まれて停止し、突然に「キャッチャー、ハンマーバット、ウィッペン、キャプスタン及びキー」が一斉にロックされ、押し下げ不能になるという不快な現象が発生する。
ここで参考までに、既存UPのジャック頂部の戻り力の実測値を示す。
ジャック頂部が、ジャックスプリングの作用によりハンマーバットの側面を押す力(=ジャック戻し力)は、実測で5g重程度である。
他方、ジャック頂部がハンマーバット側面を押しのけるために要する力は、実測で60〜90g重程度である。
このように、ハンマーバット側面の押し戻しに大きな力を要する要因は、ハンマーバット側面へのジャック頂部の作用点とハンマーバットセンターピンとの距離が、ハンマーヘッドとハンマーバットセンターピンとの距離に比べて約1/10と、極めて小さいことにある。
(3−2)ハーフタッチ奏法で、キーを極浅い押し下げ範囲で打鍵後のジャック打準備行程:
上述(1−2)のように、この条件でのハーフタッチ奏法は、既存UPでは発音が不可能である。
しかし、打鍵操作後、ハンマーはブライドルテープで急速に引き戻され、ハンマーバット下面はジャック突き上げ面の上に戻り、次の打弦準備は完了する。
(3−3)ハーフタッチ奏法で、キーを深い押し下げ範囲で打弦後のジャック打弦準備行程:
上述のように((1−3)、(2−3−2)参照)、この条件では、ブライドルテープがほぼ邪魔しないので、ハンマーヘッド速度が適切なら打弦・発音できる。
この際、ジャックのレットオフが生じないので、ジャック頂部は常にハンマーバット下面に位置している。
従って、ハンマーヘッドが戻り、ハンマーバットが戻ってくると同時に、再打弦の準備が完了する。
ただし、既存UPでハーフタッチ奏法を行うための指操作には、非常に正確で微細なコントロールが要求される。
即ち、「ハンマーの慣性運動がブライドルテープで邪魔されないように、レットオフ位置付近のやや深いキー押し下げ深さ、かつレットオフしない範囲のキー押し下げ量であって、更にハンマーヘッドの打弦に必要なハンマーヘッド速度を与えるようなキー押し下げ速度を与える」という困難なキー操作が求められる。
これを高速で繰り返す「ハーフタッチ奏法による同音高速連打」は、演奏技術上の難易度が高く、現実の演奏では、「ハーフタッチ奏法による同音高速連打」の演奏中に、キーを押し過ぎることでレットオフ機能が作動してしまう事態が頻繁に起こる。
一旦レットオフが発生すると、「通常奏法で打弦した後」と同じ状況となり、同音連打のためのジャックの打弦準備は、キーをほぼ完全に大きく戻さなければ完了しない。
もし、直前までの「ハーフタッチ同音連打」の指操作をしてしまうと、ハンマーバット下面にジャック頂部が来ておらず、外れているため、キーは空打ちとなってしまう。
以上から、「ハーフタッチ奏法で同音高速連打を長く継続すること」は、既存UPのシングルエスケープメント機構においては、現実的には不可能である」と言える。
この問題点は、上述の「シングルエスケープメント機構の欠点」(問題点5)に帰着する。
他方、既存GPの「ダブルエスケープメント機構」(図6参照)にあっては、ハーフタッチ奏法中に誤ってレットオフが生じても、ジャックテールがレギュレーティングボタンから離れるまでキーを引き戻せば、直前にレペティションレバーがハンマーシャンクローラーを支え上げてくれるため、ジャック頂部は常にシャンクローラー下方に入り込むことができ、ジャックが直ちにハンマーシャンクローラーを突き上げることができる。
即ち、既存GPでは、キーを少し戻すだけで直ちに再度の打弦が可能となり、上述した既存UPでのような「空打ち現象」の発生頻度ははるかに低く、高速での同音連打がし易いと言える。
ここで、上述した問題点1〜5を整理し、以下に再掲する。
(問題点1)
既存UPのジャック打弦準備行程を支える機構(シングルエスケープメント機構)上、休止時点でジャック突き上げ面とハンマーバット下面との間に間隙があることが原因で生じる、「キー押し下げ運動開始とハンマーヘッド加速反応開始の間にタイムラグが生じるため、演奏しづらい」と感じられる問題。
(問題点2)
既存UPでのハンマーの戻り力発生が目的のブライドルテープが、ハンマーヘッドの自由慣性運動を制限することが原因で生じる、「浅いキー押し下げ位置でのハーフタッチ奏法を不可能にする」という問題。
(問題点3)
既存UPでは、ハンマーヘッドを高速で戻すためにはキーを大きく戻さなければならないことが原因で生じる、「通常奏法で高速同音連打をすると、必然的に大音量となり、弱音で高速同音連打ができない」という問題。
(問題点4)
既存UPのハンマー戻し力機構では、弱打弦後にハンマー戻り速度が遅いことが原因で生じる、「ハーフタッチ奏法での弱音同音連打が高速にできず、必ず低速になる」という問題。
(問題点5)
既存UPがシングルエスケープメント機構を使っていることが原因で生じる、「レットオフを使う通常奏法での打弦後には、キーをほぼ完全に戻さないと次の打弦準備が完了しない」という欠点。
本発明は上記のような実状に鑑みてなされたものであり、既存UPの製造技術を継承しつつ、機構を複雑化すること無く、逆により単純化された構造で、既存UPが持つ「キーを介したハンマー運動制御性能の悪さ」を解消し、既存GPと同等以上の「キーを介したハンマー運動制御性能」を与えることを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は、キーの打鍵操作に応じて弦を振動させる、アップライト型ピアノアクション機構であって、
前記キーが設けられたキーアセンブリと、前記弦を打つハンマーヘッドが設けられたハンマーアセンブリと、前記キーに付与された打鍵力を前記ハンマーヘッドの揺動力として伝達するウィッペンアセンブリと、を備え、
前記ウィッペンアセンブリは、ジャックと、前記打鍵力により後方側端部を支点に回転するウィッペンと、前記ジャックを、その下端部で回転自在に支持するジャックフレンジと、前記ジャックを後方に向かって付勢するジャックスプリングと、レギュレーティングボタンと、を有し、
前記ハンマーアセンブリは、前記ハンマーヘッドが設けられたハンマー本体と、前記ハンマー本体を、その下端部で回転自在に支持するバットフレンジと、前記ハンマー本体を前方に向かって付勢するハンマー戻しバネと、を有し、
前記ハンマー本体は、前記バットフレンジが連結されるハンマーバットと、前記ハンマーバットに連接され、前記ハンマーヘッドに向かって延びるハンマーシャンクと、を含み、
前記ハンマーバットには、前記ハンマーヘッドの打弦動作前において、前記ジャックの頂部を支持するジャック受け面と、前記ジャックの突き上げ力を受ける位置に配置された車輪状のバットホイールと、が設けられ、
前記バットホイールは、その中心を軸として回転自在に、かつその円周面で前記ジャックの頂部に接触可能に設けられ、
前記ジャックと前記バットホイールとは、同一面内で回転するように配置され、
前記レギュレーティングボタンは、前記ジャックと接触することにより前記ジャックを前記バットホイールから離脱させる。
(図1、図2(a)参照)
このような構成とすることで、既存UPにおけるハンマーバット被突き上げ部及びハンマーバット側面に相当する部分が、回転自在なバットホイールとなり、打弦後におけるジャックの打弦準備行程において、(ジャックスプリングの戻し力が必要充分に大きい条件の基で、)バットホイールの斜め下方に接触したジャックの頂部が、バットホイールの回転を利用して、常に滑らかにハンマーバットを押し戻し、バットホイール下方にジャック頂部が潜ることになる。
従って、キーをわずかに戻し、ジャックテールがレギュレーティングボタンから離れると、必ず同時に次の打弦準備が完了する。
これにより、既存UPがシングルエスケープメント機構を使っていることが原因で生じる、「レットオフを使う通常奏法での打弦後には、キーをほぼ完全に戻さないと次の打弦準備が完了しない」という欠点(問題点5)を解消することができ、シングルエスケープメント機構でありながら「既存GPのダブルエスケープメント機能」と同じ機能を提供することができる。
本発明においては、前記ジャックスプリングのバネ力は、前記ハンマーヘッドの打弦動作後における前記バットホイールと前記ジャックとの接触動作において、前記ハンマー戻しバネの付勢に基づく前記バットホイールの押し付け力に抗して、前記ジャックが、前記バットホイールにより前方に押し戻されず、前記バットホイールをその位置で保持する、または前記バットホイールを後方に押し戻すに足る大きさに設定されていることが好ましい。
このような構成とすることで、「ジャック打弦準備行程において、キーの引き戻しに伴い、ジャック頂部が左回旋し、バットホイール下方へと確実に潜り込むために必要なジャックスプリングのバネ力の条件」が整う。
本発明においては、前記ハンマーシャンクの前方であって、前記ハンマーシャンクと接触可能に設けられたハンマーレストを備え、
前記ハンマーレストは、前記ハンマーヘッドの打弦動作前において、前記ハンマーシャンクと離間して設けられていることが好ましい。
本発明では、ジャックの動きが、上述のように「既存GPのダブルエスケープメント機能」と同じ機能をするため、既存UPのようにジャック頂部とバット被突き上げ部との間に隙間を作る必要が無い。
このため、ハンマーレストを上述のような関係に配置すれば、ジャック頂部とバットホイールは、打弦のための突き放し動作期間中を除き、常に接触を維持するようになる。これによって、キーの動きが直接的にハンマーヘッドの動きと連携することになる。
従って、既存UPの「キー押し下げ運動開始とハンマーヘッド加速反応開始の間にタイムラグが生じるため、演奏しづらい」と感じられるという(問題点1)が解消される。
本発明においては、前記ジャックは、その頂部に、柔軟性を有するジャッククッション部を含み、前記ジャッククッション部は、前記バットホイールとこのバットホイールの円周面で接触可能に設けられていることが好ましい。
このような構成とすることで、打弦動作時のジャック突き上げに伴うバットホイール下面との衝撃や、打弦準備行程におけるジャックとバットホイール側面との接触時の衝撃を緩和することが可能となる。
本発明においては、前記ハンマー戻しバネは、前記バットフレンジから前記ハンマーシャンクに向かって延び、
前記ハンマー戻しバネの下端部は、前記バットフレンジに固定され、
前記ハンマー戻しバネの上端部は、前記ハンマーシャンクに接触可能に設けられていることが好ましい。
このような構成とすることで、本発明のアクション機構では、ハンマー戻し力の発生要素が、打弦による弦の反発力と1本のハンマー戻しバネのみで構成することができる。
従って、本発明のアクション機構では、ハンマー戻し機構にブライドルテープが存在しない構成とすることができ、「ブライドルテープがハンマーの慣性運動を邪魔してハーフタッチ奏法の一部ができない」と言う(問題点2)が解消される。
本発明においては、前記ハンマー戻しバネのバネ力は、前記ハンマーヘッドの打弦動作後において、前記ハンマー戻しバネの付勢に基づく前記ハンマーヘッドの戻り動作の加速度が重力加速度と同等以上となる大きさに設定されていることが好ましい。
このような構成とすることで、直前の打弦状況によらず、常に既存GPと同等以上のハンマー戻り加速度が得られるため、既存UPでは、ハンマーヘッドを高速で戻すためにはキーを大きく戻さなければならないことが原因で生じる、「通常奏法で高速同音連打をすると、必然的に大音量となり、弱音で高速同音連打ができない」という(問題点3)が解消される。
また、既存UPのハンマー戻し力機構では、弱打弦後にハンマー戻り速度が遅いことが原因で生じる、「ハーフタッチ奏法での弱音同音連打が高速にできず、必ず低速になる」という(問題点4)が解消される。
本発明によれば、既存UPにあった「キーを介するハンマー運動制御性能を阻害する5つの問題点」を、機構を複雑化する事無く、逆に単純化した構成で全て解決し、既存GPと同等以上のハンマー運動制御性能を実現することができる。また、これにより「小型のアップライト型でありながら高い演奏性能を提供するピアノ」を求める一般ユーザーの強い要望に応えることができる。
本発明の実施形態に係るアクション機構を示す、休止時の縦断面図である。 本発明の実施形態に係るアクション機構の部分図である。(a)では休止時での、ホイールの位置関係が示され、(b)ではキー押し切り時点での、ホイールとジャックとの位置関係が示されている。(c)はジャックスプリングの変更例を示す部分断面図である。 既存UPのアクション機構を示す、休止時の縦断面図である。 既存UPのアクション機構で、ブライドルテープによるハンマーの慣性運動制限を示す図である。 既存UPのアクション機構で、通常奏法でハンマーが戻った直後の図である。 既存GPのアクション機構を示す、休止時の縦断面図である。
以下、図1及び図2を用いて、本発明の実施形態に係るUPのアクション機構について説明する。
なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではない。
また、これらの図において、ハッチングが施された部材は、キーの整列方向に伸びる梁状の部材であり、ハッチングが施されていない部材は、各キーに個別で設けられている部材である。
本実施形態の構成:
まず、図1を用いて、本実施形態に係るUPのアクション機構の構成の概要について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るUPのアクション機構は、ウィッペンアッセンブリ1と、ハンマーアッセンブリ2と、ダンパーアセンブリ3と、キーアセンブリ4と、弦5と、を備えている。
なお、ダンパーアセンブリ3、キーアセンブリ4及び弦5は、既存UPのアクション機構と同様の構成であるため、その説明を省略する。
ウィッペンアッセンブリ1は、ウィッペン11と、上端部がダンパーレバー31の下端部に接触しているダンパースプーン12と、ウィッペン11から上方に向かって突出して設けられたバックチェック13と、センターレール14と、ウィッペンを支持するウィッペンフレンジ15と、ジャックを支持するジャックフレンジ16と、ジャックスプリング17と、レギュレーティングボタン18と、ジャックAと、を有している。
ウィッペン11は、その左端が、ウィッペンフレンジピンp1を介して、センターレール14に固定されたウィッペンフレンジ15に連結されることで、断面内で回転自在に構成されている。
また、ウィッペン11は、その中央やや右寄りから下方に向かって突出するウィッペンヒール11aを含み、キャプスタン42の上端と接触している。
レギュレーティングボタン18は、センターレール14から延びる支持部材(図示せず)により、後述するジャックテールA2の上方に固定されている。
ジャックAは、上下方向に伸びるジャック本体A1と、ジャック本体A1の下部から右方に伸びるジャックテールA2と、ジャック本体A1頂部に貼り付けた円筒状の、柔軟性を有するジャッククッション部A3と、を含む。このジャッククッション部A3は、既存GPのシャンクローラーで代用することも可能で、こうすることで製造や部品交換が容易になる。(図6参照)
また、ジャックAは、ジャック本体A1下部が、ジャックフレンジピンp2を介して、ウィッペン11の中央やや右寄りから上方に向かって突出するジャックフレンジ16と連結されることで、断面内で回転自在に構成されている。
さらに、ジャックAは、ジャックテールA2底部が、ジャックフレンジ16の右方に設けられたジャックスプリング17と連結されることで、常時左回りに圧迫されている。
ジャックスプリング17のバネ力の詳細説明:
打弦後に戻ったハンマーバット21dのバットホイールCは、次の打弦準備のためにキー41を戻し始めると、バックチェック13がキャッチャー21fを離すので、一旦ハンマー戻しバネBのバネ力で下降し、バットホイールCの側面がジャック本体A1頂部(ジャッククッション部A3)と接触する。(図2(b)参照)
このとき、ジャックスプリング17のバネ力が小さ過ぎると、ジャック本体A1頂部はバットホイールCに押されて逃げて行き、ジャックAをバットホイールC下方に戻すことが不可能になる。
このため、ジャックスプリング17は、バットホイールCによる押し付け力に抗して、ジャックAがバットホイールCを支え、保持するに足る大きさのバネ力を有することが必要である(参考:概略で、既存UPにおけるジャックスプリングのバネ力の10倍程度必要と推定される)
ジャックスプリング17の形状の別案:
ジャックスプリング17の形状は、既存UPのジャックスプリングと同じでも正常に機能するが、既存UPのジャックスプリングはコイルばねであるため、バネ力の方向が不安定で外れる危険があり、また、メンテナンス時にバネ力の調整が困難である。
このため、ジャックスプリング17は、捩じりバネ(17´と表示)に変更することが望ましい(図2(c)参照)。このようにすることで、ジャックスプリング17´による反発力の方向が安定し、かつ、メンテナンス時における手でのバネ力の調整を容易に行うことが可能となる。
この場合のジャックスプリング17´は、ジャック本体A1に設けられた挿通孔に挿通されており、ループ部に、ジャックフレンジピンp2が挿通されている。また、ジャックスプリング17´の下端部は、ジャックフレンジ16に当たり、上端部は、ジャックAの上端近くに接触して設けられている。
なお、ジャックスプリング17´は、その下端部が捩じりも含めて固定された場合には、捩じりバネでなく、例えばハンマー戻しバネBのような湾曲した板バネであっても良い。
キー押し切り時点でのジャック位置の調整:
打弦後戻ったバットホイールCとキー41の押し切り状態でのジャック本体A1頂部との位置関係は、ジャックA打弦準備行程において重要である。
キー41押し切り時点でのジャック本体A1頂部は、打弦後に戻ってきたバットホイールCと、水平から角θだけ斜め下方で接する。(図2(b)参照)
この角θは、キャプスタン42を回す事で調整可能であり、角θを45度前後に設定することが望ましい。こうすることで、ジャックテールA2がレギュレーティングボタン18から離れると同時に、必ずジャック本体A1頂部が滑らかにバットホイールC下に潜りこめるようになる。
即ち、ジャックスプリング17によるバットホイールCの支持・押し戻しが円滑になり、高速でのスムーズな同音連打が可能になる。
角θが大きくなり90度に近づくと、レットオフ開始からキー41押し切りまでの間のウィッペン11の移動量が小さく、従ってその間のバックチェック13の移動量が小さい。
即ち、ハンマー本体21にブレーキをかける装置のON/OFF変化量が小さくなり、キャッチャー21fとバックチェック13との連係がうまく機能しなくなり、一度戻ったハンマー本体21が跳ね返る2度打ち現象が生じる恐れがある。
ただし、同じθ角度でも、バットホイールCの半径、またはジャッククッション部A3の半径を大きくすると、レットオフ開始からキー41押し切りまでのバックチェック13移動量を大きくすることが可能である。
逆に角θが小さくなり0度に近づくと、ジャック本体A1頂部がバットホイールCを押し上げることが困難となり、ダブルエスケープメント機能を発揮できなくなる。
上述のウィッペンアッセンブリ1に関する説明や図1に示すように、本実施形態に係るウィッペンアッセンブリ1は、既存UPのアクション機構におけるウィッペンアッセンブリが有するブライドルテープ及びブライドルワイヤーを有していないという特徴がある。
ハンマーアッセンブリ2は、ハンマー本体21と、バットフレンジ22と、ハンマーバットセンターピン23と、ハンマー戻しバネBと、を有している。(図1参照)
ハンマー本体21は、打弦するハンマーヘッド21aと、ハンマーヘッド21aに連結されたハンマーウッド21bと、ハンマーウッド21bに連結されたハンマーシャンク21cと、ハンマーシャンク21cに連結されたハンマーバット21dと、ハンマーバット21dに連結されたキャッチャーシャンク21eと、キャッチャーシャンク21eに連結されたキャッチャー21fと、から構成される。
ハンマーヘッド21aは、レットオフ後に十分な速度で慣性運動を続け打弦・発音するに足る運動量を持つように、必要十分な大きさの質量が与えられている。
ハンマーバット21dは、バット本体21d1と、バットホイールCと、ホイールピンCpと、を含む。(図2(a)参照)
バット本体21d1は、その下部が、ハンマーバットセンターピン23を介してバットフレンジ22と連結されることで、断面内で回転自在に構成されている。
また、バット本体21d1は、ジャッククッション部A3と接触するジャック受け面rと、バットホイールCの収まるホイール溝wと、を含む。
バットホイールCは、ジャック受け面rとキャッチャーシャンク21eとの間に、ジャッククッション部A3と円周面で接触可能に設けられている。
また、バットホイールCは、ホイールピンCpを介して、バット本体21d1に設けられたホイール溝w(図2(a)参照)内部に、摩擦なく、バット本体21d1の回転面と同一面内で回転自在に設けられている。
ホイールピンCpの位置の詳細説明:(図2(a):バットホイール部分図・休止時点参照)
ホイールピンCpの中心は、休止時点でのジャック中心線(=ジャックフレンジピンp2・ジャック本体A1頂部間を結ぶ線)に対してキャッチャー21f側に少しずれて設置され、ジャックAのレットオフ開始時点までは、ホイールピンCpの位置が常にジャック中心線に対してキャッチャー21f側にあるように設置される。
こうすることで、バットホイールCからジャックAが受ける力の分力が、ジャック本体A1頂部をバット本体21d1のジャック受け面rに押し付けるように作用し、突き上げ動作中にジャック本体A1頂部がレギュレーティングボタン18側に逃げることを防止する。これによって、ジャック突き上げ動作が安定する。
ハンマー戻しバネBは、センターレール14からハンマーシャンク21cに向かって伸びる長尺の湾曲した一本の板バネである。(図1参照)
ハンマー戻しバネBの下部は、略L字状に屈曲形成され、バットフレンジ22とセンターレール14とで挟持されるような態様で、センターレール14に固定されている。また、ハンマー戻しバネBの最下端部は直角に屈曲して、センターレール14に設けられたバネ穴g1に挿通され、ハンマー戻しバネBにかかる左右方向のモーメントに対抗する。
ハンマー戻しバネBの上端部は、ハンマーシャンク21cに設けられたハンマー戻しバネ溝g2に嵌め合わされる。
ハンマー戻しバネBは、上述した構成により、ハンマーシャンク21cを常時右回りに圧迫するように設けられている。
ハンマー戻しバネBの特性に関しては、そのバネ定数を小さくし、ハンマー戻しバネBにより発生するハンマーヘッドの戻り加速度が、ハンマー本体21の偏位によらず概ね一定になるように設定することが望ましい。
また、ハンマー戻しバネBのバネ力は、ハンマー戻しバネB単独での戻りの場合であっても、ハンマーヘッド21aの戻り加速度が重力加速度と同等以上になる大きさに設定する。
なお、参考値として、このバネ力は、概ね既存UPにおけるバットスプリングのバネ力の5倍程度の大きさに相当すると推定される。
本実施形態の動作:
次に、図1及び図2(a)、(b)を用いて、本実施形態に係るUPのアクション機構の動作態様について説明する。
なお、上述の通り、既存UPの動作態様については既に説明しているため、以下ではそれと対比する形で、動作態様が変更されている部分のみ記述する。また、本実施形態における動作時の各種条件項目は、比較のため、上記既存UPの動作説明での各項目番号と対応させてある。
図2(a)では、ハンマーバット21d及びバットフレンジ22を、図2(c)では、ジャックA、ウィッペン11及びジャックフレンジ16を断面で示している。また、図2(b)では、ハンマー戻しバネBを省略している。
(1)打弦行程
(1−1)通常奏法での打弦行程(エスケープメント機構を使う奏法):
奏者がキー41を押し下げると、ウィッペン11上にピン留めされているジャックAが上昇する。
本実施形態では、休止時のハンマーシャンク21cはハンマーレストRに乗らず、離れている。(図1参照)
他方、休止時にバットホイールCがジャック本体A1頂部に接して乗っており、ジャック本体A1頂部が、ハンマーの戻り力に対抗して、バットホイールCを支え、停止させている。(図1、図2(a)休止時部分図参照)
このとき、既存UPと同様、ジャック本体A1頂部は、ハンマーバット21d下部にあるジャック受け面r(既存UPにおけるハンマーバットフェルトに相当)に当たっているため、キー押し下げに連れてウィッペン11が左回旋しつつ上昇するのに対し、ジャック本体A1頂部は回旋せず、ほぼ垂直に上昇する。
ここで、バットホイールCはジャック本体A1頂部と隙間なく接触しているので、既存UPの「キー押し下げ運動開始とハンマーヘッド加速反応開始の間にタイムラグが生じるため、演奏しづらい」と感じられるという(問題点1)は、解消されている。
引き続くジャックAの上昇により、ハンマー本体21が左回旋し、ハンマーヘッド21aが弦5に近づく。
更にジャックAが上昇すると、ジャックテールA2がレギュレーティングボタン18に当たり、停止する。
更にキー41の押し下げが続くと、ジャックAは右回旋しつつ上昇することになる。
本実施形態では、このジャックAの右回旋と同時に、ジャック本体A1頂部がバットホイールC下方から外れる。
また、本実施形態のハンマー本体21は、ハンマー戻しバネBにより常時ほぼ一定の戻り力を受け続けるが、このジャックテールA2が停止した時点でハンマー本体21が十分な回転速度を得ている場合には、ハンマー戻しバネBによる減速を受けつつも慣性運動を続け、ハンマーヘッド21aは打弦することができる。
なお、この動作態様は、既存GPにおいて、ハンマーが重力加速度により上昇速度を減少しつつも慣性運動で打弦する動作態様と同様である。
ハーフタッチ奏法での打弦行程(エスケープメント機構を使わない奏法):
(1−2)キーを極浅い押し下げ範囲で打鍵するハーフタッチ奏法の打弦行程:
休止位置から、極浅い位置までキー41を押し、ハンマー本体21を必要十分に加速させ、その後、キー41の押し下げを止めるとき、本実施形態では、慣性運動を邪魔するブライドルテープが存在せず、ハンマー本体21がハンマー戻しバネBにより減速しつつも慣性運動を続け、打弦可能であり、ダンパーが上がっていれば発音可能である。
(1−3)キーを深い押し下げ範囲で打鍵するハーフタッチ奏法の打弦行程:
上記、浅い押し下げ範囲でのハーフタッチ奏法での条件の場合と同様に、ハンマー本体21は慣性運動をし、そのキー深さではダンパーがすでに浮いているので打弦・発音可能である。
以上から、既存UPのブライドルテープが原因で生じる、「浅いキー押し下げ位置でのハーフタッチ奏法を不可能にする」という(問題点2)は、解消されている。なお、本実施形態でのこの動作態様は、既存GPにおけるハーフタッチ奏法の動作態様と同様である。
(2)ハンマー戻り行程:
(2−1−1)通常奏法での強打弦後のハンマー戻り行程:
この場合、本実施形態ではハンマー戻しバネ力が強く、かつ打弦時の弦反発力も強いので、高速でハンマーが戻る。
(2−1−2−1)通常奏法での弱打弦後、キーを押し下げ続ける場合のハンマー戻り行程:
この条件の場合、弦5の反発力は非常に弱いが、本実施形態では、バネ力の大きいハンマー戻しバネBにより、重力加速度と同等以上の戻り加速度でハンマーヘッド21aは急速に引き戻される。
高速で戻ったキャッチャー21fは、せり上がった状態のバックチェック13に挟まれて停止する。
(2−1−2−2)通常奏法での弱打弦後、高速で同音・強打弦の準備をする場合のハンマー戻り行程:
(2−1−2−3)通常奏法での弱打弦後、高速で同音・弱打弦の準備をする場合のハンマー戻り行程:
(2−1−2−4)通常奏法で弱打弦後、直ぐその音を止める場合のハンマー戻り行程:
これらの3つのいずれの条件でも、上述の「(2−1−2−1)通常奏法で弱打弦後、キーを押し下げ続ける場合」と同様、ハンマー本体21は急速に戻り、キャッチャー21fは、せり上がった状態のバックチェック13に挟まれて停止する。
即ち、通常奏法の弱打弦後でも、ハンマーは常に高速で戻るため、浅いキー戻り量(=弱音高速連打に向けた準備を意味する)でも直ぐに次の打弦準備に入ることができる。
以上から、既存UPでの、ハンマーを高速で戻すためにキーを大きく戻す必要がある点が原因で生じる、「通常奏法で高速同音連打をすると、必然的に大音量となり、弱音で高速同音連打ができない」という(問題点3)は、解消されている。
ハーフタッチ奏法で打弦後のハンマー戻り行程:
(2−2)ハーフタッチ奏法でキーを極浅い押し下げ範囲で打鍵後のハンマー戻り行程:
この条件の場合、本実施形態では、ブライドルテープによる“ハンマーの自由慣性運動の制限”が無いため、ハンマー本体21が自由に慣性運動を続け、打弦することができる。
また、打弦後、ハンマー戻しバネBによりハンマー本体21は常に高速で戻る。
(2−3−1)ハーフタッチ奏法で、キーを深い押し下げ範囲で強打弦後のハンマー戻り行程:
ハーフタッチ奏法ではハンマー加速距離が短いため強打弦は不可能であり、この状況は生じない。
(2−3−2)ハーフタッチ奏法で、キーを深い押し下げ範囲で弱打弦後のハンマー戻り行程:
この条件の場合、「(2−2)ハーフタッチ奏法でキーを極浅い押し下げ範囲で打鍵する場合」と同様、本実施形態ではハンマー本体21は自由慣性運動を続け、打弦後、ハンマー戻しバネ力が大きいので、ハンマー本体21が常に高速で戻る。
以上から、既存UPでの、ハンマー戻り速度が小さいことが原因で生じる、「ハーフタッチ奏法での弱音同音連打が高速にできず、必ず低速になる」という(問題点4)は、解消されている。
(3)ジャック打弦準備行程:
(3−1)通常奏法での打弦後、同音連打をする場合のジャックの打弦準備行程:
通常奏法で打弦後、キー41をわずかに戻し始めると、連動してウィッペン11が下降し始め、バックチェック13がキャッチャー21fから離れる。同時に、ハンマー戻しバネBの作用で、バット本体21d1が右回旋する。(図2(b)参照)
このとき、ジャック本体A1頂部は、レギュレーティングボタン18により右回旋させられ、かつ、その可動範囲内で最も高い位置にあり、他方、バットホイールCの下面はジャック本体A1頂部より下方に位置し、バットホイールCの側面がジャック本体A1頂部と対面した状態にある。従って、右回旋したバット本体21d1上にあるバットホイールCの側面が、ジャック本体A1頂部に当たることになる。
このとき、本実施形態におけるジャックスプリング17はバネ力が充分大きいので、ジャック本体A1頂部は、ハンマー戻しバネBによるバットホイールCの押し付け力に抗して、バットホイールCをその位置で保持する。
そして、キー41の更なる戻り動作に連動して、ジャックAが左回旋し、ジャック本体A1頂部がバットホイールCを押し戻しながら滑らかにバットホイールC下方に潜る。
この時点から後、更にキーを引き戻してゆくと、ジャックテールA2がレギュレーティングボタン18から離れることになる。
なお、この時点でのキー41の戻り量は、キー41の最大の押し切り深さの2〜3割程度である。
そして、更にキー41を引き戻すと、バットホイールCは、ジャック本体A1頂部に接したままジャックAと一緒に下降して行く。
ここで、キー41の引き戻しを反転して押し下げると、再打弦の行程に移る。
以上から、「レットオフを使う通常奏法での打弦後には、キーをほぼ完全に戻さないと次の打弦準備が完了しない」という、既存UPにおける「シングルエスケープメント機構の重要な1つの欠点」(問題点5)が、解消されており、本実施形態に係るUPのアクション機構は、シングルエスケープメント機構でありながら「既存GPのダブルエスケープメント機能」と同じ機能を提供することになる。
(3−2)ハーフタッチ奏法でキーを極浅い押し下げ範囲で打鍵後のジャック打準備行程:
(3−3)ハーフタッチ奏法で、キーを深い押し下げ範囲で打弦後のジャック打弦準備行程:
上述のように、この2つの条件とも、本実施形態ではハンマーヘッドが打弦可能であり、かつまた、ジャックAのレットオフが生じないので、ジャック本体A1頂部は、常にバットホイールC下方に位置している。
従って、ハンマー本体21が戻り、ハンマーバット21dの下面が戻ってくると同時に再打弦の準備は完了している。
ハーフタッチ奏法中に誤ってレットオフが生じても、上述のように、本実施形態に係るUPのアクション機構では、ダブルエスケープメント機能が提供されているため、ジャックテールA2がレギュレーティングボタン18から離れると同時に、再打弦の準備が完了する。
以上から、本実施形態のUPアクションでは、既存UPで見られた「ハーフタッチ奏法での高速連打を継続する際に頻発する空打ち現象」の頻度が大幅に減少し、ハーフタッチ奏法が、既存GPと同等に安定して、継続演奏可能になる。
なお、上述の実施形態において示した各構成部材の諸形状や寸法等は一例であって、設計要求等に基づき種々変更可能である。
ここで、以下に、本実施形態におけるウィッペンアセンブリ1及びハンマーアセンブリ2の構成部材を、符号と共に一覧で示した表を示す。
Figure 0006725777
Figure 0006725777

Claims (8)

  1. キーの打鍵操作に応じて弦を振動させる、アップライト型ピアノアクション機構であって、
    前記キーが設けられたキーアセンブリと、前記弦を打つハンマーヘッドが設けられたハンマーアセンブリと、前記キーに付与された打鍵力を前記ハンマーヘッドの揺動力として伝達するウィッペンアセンブリと、を備え、
    前記ウィッペンアセンブリは、ジャックと、前記打鍵力により後方側端部を支点に回転するウィッペンと、前記ジャックを、その下端部で回転自在に支持するジャックフレンジと、前記ジャックを後方に向かって付勢するジャックスプリングと、レギュレーティングボタンと、を有し、
    前記ハンマーアセンブリは、前記ハンマーヘッドが設けられたハンマー本体と、前記ハンマー本体を、その下端部で回転自在に支持するバットフレンジと、前記ハンマー本体を前方に向かって付勢するハンマー戻しバネと、を有し、
    前記ハンマー本体は、前記バットフレンジが連結されるハンマーバットと、前記ハンマーバットに連接され、前記ハンマーヘッドに向かって延びるハンマーシャンクと、を含み、
    前記ハンマーバットには、前記ハンマーヘッドの打弦動作前において、前記ジャックの頂部を支持するジャック受け面と、前記ジャックの突き上げ力を受ける位置に配置された車輪状のバットホイールと、が設けられ、
    前記バットホイールは、その中心を軸として回転自在に、かつその円周面で前記ジャックの頂部に接触可能に設けられ、
    前記ジャックと前記バットホイールとは、同一面内で回転するように配置され、
    前記レギュレーティングボタンは、前記ジャックのジャックテールと接触することにより前記ジャックの頂部を前記バットホイールから回転摩擦で相対変位しつつ離脱させ
    前記ジャックスプリングは、前記ハンマーヘッドの打弦動作後において、前記ジャックの頂部を後方に向かって付勢し、ハンマー戻しバネにより前方に付勢された前記バットホイールに斜め下から接触させることで、前記ジャック頂部が前記バットホイールを回転摩擦しながら押上げ、前記ジャックテールが前記レギュレーティングボタンから離れると同時に、前記ジャック頂部を前記バットホイール下方に配置させるアップライト型ピアノアクション機構。
  2. 前記キーを押し切った時点でのジャックの頂部と打弦後に前記ハンマー戻しバネにより前方に戻された前記バットホイールとが接した時点において、前記バットホイールの中心から前記ジャック頂部に向かう線分の水平線となす角度が下方に略45度である、請求項1に記載のアップライト型ピアノアクション機構。
  3. 前記バットホイールの中心は、前記キーの打鍵操作開始前からレットオフ動作開始直前までの間において、前記ジャックの回転軸と前記ジャックの頂部とを結ぶ線に対して、前方側に配置されている、請求項1又は2に記載のアップライト型ピアノアクション機構。
  4. 前記ジャックスプリングのバネ力は、前記ハンマーヘッドの打弦動作後における前記バットホイールと前記ジャックとの接触動作において、前記ハンマー戻しバネの付勢に基づく前記バットホイールの押し付け力に抗して、前記ジャックが、前記バットホイールにより前方に押し戻されず、前記バットホイールをその位置で保持する、または前記バットホイールを後方に押し戻すに足る大きさに設定されている、請求項1〜3の何れかに記載のアップライト型ピアノアクション機構。
  5. 前記ハンマーシャンクの前方であって、前記ハンマーシャンクと接触可能に設けられたハンマーレストを備え、
    前記ハンマーレストは、前記ハンマーヘッドの打弦動作前において、前記ハンマーシャンクと離間して設けられている、請求項1〜4の何れかに記載のアップライト型ピアノアクション機構。
  6. 前記ジャックは、その頂部に、柔軟性を有するジャッククッション部を含み、
    前記ジャッククッション部は、前記バットホイールとこのバットホイールの円周面で接触可能に設けられている、請求項1〜5の何れかに記載のアップライト型ピアノアクション機構。
  7. 前記ハンマー戻しバネは、前記バットフレンジから前記ハンマーシャンクに向かって延び、
    前記ハンマー戻しバネの下端部は、前記バットフレンジに固定され、
    前記ハンマー戻しバネの上端部は、前記ハンマーシャンクに接触可能に設けられている、請求項1〜6の何れかに記載のアップライト型ピアノアクション機構。
  8. 前記ハンマー戻しバネのバネ力は、前記ハンマーヘッドの打弦動作後において、前記ハンマー戻しバネの付勢に基づく前記ハンマーヘッドの戻り動作の加速度が重力加速度と同等以上となる大きさに設定されている、請求項1〜7の何れかに記載のアップライト型ピアノアクション機構。
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