JP6724979B2 - 接合体 - Google Patents
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Description
伝熱部が第1部材だけでなく第2部材とも接していると、第1部材側で発生した熱が伝熱部を介して第2部材側へスムーズに伝わるため、さらに効率良く放熱することができる。
この場合、貫通孔内に存在する接合部によって第1部材を固定できるため、第1部材と接している面積が同じで形状が板状である伝熱部を設ける場合と比べて、第1部材と接合部との接合を強固にすることができる。
この場合、複数の伝熱部間に存在する接合部によって第1部材を固定できるため、第1部材と接している面積が同じで形状が板状である伝熱部を設ける場合と比べて、第1部材と接合部との接合を強固にすることができる。
Cu−Ni合金又はCu−Mn合金は第1金属と速やかに反応して金属間化合物を形成するため、接合強度を高くすることができる。
本発明の接合体は、半導体チップをダイボンドするタイプの半導体装置等の電子機器の構成として特に適している。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
図1に示す接合体1は、第1部材(例えば電極)11と第2部材(例えば電極)12とが接合部10を介して接合されてなる。第1部材11と第2部材12との間には伝熱部20が存在し、第1部材11は、接合部10及び伝熱部20の両方と接している。
図2に示す接合体2は、第1部材11と接している伝熱部20が第2部材12とも接している以外は、図1に示す接合体1と同じ構成を有している。
金属間化合物は、融点以上まで加熱されて溶融した第1金属が第2金属と反応することにより生成する。後述するように、接合部は、例えば、第1金属ペーストと第2金属部材とを反応させることにより形成することができる。
上記表記において、例えば、「Sn−3Ag−0.5Cu」は、Agを3重量%、Cuを0.5重量%含有し、残部をSnとする合金であることを示している。
Cu−Ni合金は、Niの割合が5重量%以上30重量%以下であるCu−Ni合金が好ましく、例えば、Cu−5Ni、Cu−10Ni、Cu−15Ni、Cu−20Ni、Cu−25Ni、又は、Cu−30Niが挙げられる。Cu−Ni合金には、Cu−Ni−Co合金、Cu−Ni−Fe合金等のように第3成分を含む合金も含まれる。
Cu−Mn合金は、Mnの割合が5重量%以上30重量%以下であるCu−Mn合金が好ましく、例えば、Cu−5Mn、Cu−10Mn、Cu−15Mn、Cu−20Mn、Cu−25Mn、又は、Cu−30Mnが挙げられる。
Cu−Al合金は、Alの割合が5重量%以上10重量%以下であるCu−Al合金が好ましく、例えば、Cu−5Al、又は、Cu−10Alが挙げられる。
Cu−Cr合金は、Crの割合が5重量%以上10重量%以下であるCu−Cr合金が好ましく、例えば、Cu−5Cr、又は、Cu−10Crが挙げられる。
なお、第2金属は、Cu−Mn−Ni等のようにMn及びNiを同時に含んでいてもよく、また、P等の第3成分を含んでいてもよい。
上記表記において、例えば、「Cu−5Ni」は、Niを5重量%含有し、残部をCuとする合金であることを示している。Mnについても同様である。
後述するように、伝熱部は、例えば、接合部を形成する際に用いる第2金属を第1金属と反応させずに残存させることにより形成することができる。そのため、伝熱部を構成する第2金属は、接合部を構成する金属間化合物に含まれる第2金属と同じ金属元素を含むことが好ましい。
伝熱部が貫通孔及び/又は切り欠き部を有していると、貫通孔内及び/又は切り欠き部に接合部が存在することになる。したがって、貫通孔内及び又は切り欠き部に存在する接合部によって第1部材を固定できるため、第1部材と接している面積が同じで形状が板状である伝熱部を設ける場合と比べて、第1部材と接合部との接合を強固にすることができる。
本発明の接合体は、半導体チップをダイボンドするタイプの半導体装置等の電子機器の構成として特に適している。なお、第2部材は電極箔であってもよい。
図3に示す電子機器30では、半導体チップ等の電子部品31が、金属間化合物を含む接合部10を介して基板32にダイボンドされている。電子部品31と基板32との間には伝熱部20が存在し、電子部品31は、接合部10及び伝熱部20の両方と接している。さらに、電子部品31は、樹脂33によってモールドされている。なお、図3には示していないが、電子部品31は、ワイヤボンディング等によって基板32の端子と接続されていることが好ましい。
同様に、第2部材である基板上の電極の表面には、Au、Ag、Ni、Pd、Cu又はこれらの金属を含む合金からなるめっき層が形成されていてもよい。Ni/Auめっき層、Ni/Pd/Auめっき層等の複数層からなるめっき層が形成されていてもよい。第2部材である基板上の電極の表面に上記めっき層が形成されている場合、めっき層を構成する金属を含有する金属間化合物が基板と接合部との界面に形成される可能性があるが、接合体の特性に影響するものではない。
また、第2部材である基板上の電極の表面には、Sn又はSn合金からなるめっき層が形成されていてもよい。めっき層を構成するSn又はSn合金は、金属間化合物の形成に寄与するものの、通常、めっき層の厚みは接合部の厚みに比べて非常に小さいため、めっき層が接合体の特性に与える影響は小さい。一方、第1部材である電子部品の電極の表面には、Sn又はSn合金からなるめっき層が形成されていないことが好ましい。
なお、第1部材が電子部品の電極、第2部材が基板上の電極である場合に限らず、第1部材及び第2部材の表面には、上述のめっき層がそれぞれ形成されていてもよい。
図4A〜図4Dは、本発明の接合体の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。図4A〜図4Dは、図1に示す接合体1を製造する方法の一例であり、第1部材11及び第2部材12として板状体を使用している。
第1金属ペーストは、第1金属とフラックスとを含み、例えば、市販のソルダペーストを用いることができる。塗布方法としては、例えば、スクリーン印刷、ディスペンサーによる塗布等の方法が挙げられる。
後述するように、第1部材11の底面を第1金属ペースト1A及び第2金属部材2Aの両方と接触させるため、第1部材と接触する部分の第2金属部材の面積は、第1部材の底面の面積よりも小さい。
図5A〜図5Dに示す方法では、図4A〜図4Dに示す方法で用いたものよりも厚い第2金属部材2Aを第1金属ペースト1A上に載置し(図5B参照)、第2金属部材2Aが第1部材11及び第2部材12の両方と接した状態で加熱する(図5C及び図5D参照)。加熱は、第1部材及び第2部材を加圧した状態で行うことが好ましい。未反応の第2金属が伝熱部20となって残存し、第1部材の底面及び第2部材の上面の両方と接することになる。以上により、接合体2を製造することができる。
第2金属部材の平面視形状は特に限定されず、図6(a)に示す第2金属部材2Aのような四角形をはじめとする多角形であってもよいし、図6(b)に示す第2金属部材2Bのような円形であってもよい。また、図6(c)に示す第2金属部材2C、図6(d)に示す第2金属部材2D及び図6(e)に示す第2金属部材2Eのように、1又は複数の貫通孔を有する形状であってもよい。貫通孔に代えて、あるいは、貫通孔に加えて、1又は複数の切り欠き部を有する形状であってもよい。さらに、図6(f)に示す第2金属部材2Fのように、複数の部材からなってもよい。これらの中では、第2金属部材の平面視形状は、1又は複数の貫通孔及び/又は切り欠き部を有する形状であることが好ましく、1又は複数の貫通孔を有する形状であることがより好ましい。また、複数の部材からなることも好ましい。いずれの形状であっても、第1部材と接合部との接合を強固にすることができるだけでなく、第1金属と第2金属との反応箇所が多くなるため、第1金属の残留率を低くすることができる。
(実施例1)
(1)ソルダペーストの印刷
第2部材としてのCu板(厚み200μm)上に、市販のソルダペースト(SAC305:Sn−3Ag−0.5Cu)をスクリーン印刷により塗布した。印刷サイズは5mm角とし、メタル版厚み0.1mmで印刷した。
Cu合金板として、長さ4.5mm×幅4.5mm×厚み0.1mmのCu−10Ni板をソルダペーストの中央部に実装した。
第1部材として、厚み300μm、5mm角のSiチップをソルダペーストの中央部に実装した。なお、Siチップの接合部分にはAuめっき処理を施した。
窒素雰囲気にて、260℃で5分間、10MPaで加圧して加熱した。以上により、実施例1の接合体を得た。
Cu−10Ni板の厚みを0.1mmに固定し、長さ及び幅を表1に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に接合体を作製し、実施例2〜実施例5、比較例1及び比較例2の接合体を得た。なお、実施例5、比較例1及び比較例2では、板中央部に1mm×1mmサイズの貫通孔を有するCu−10Ni板を用いた。
(接合体の断面観察)
得られた接合体の断面を金属顕微鏡を用いて観察し、接合部及び伝熱部の成分を特定した。表1に、接合部及び伝熱部の成分を示す。表1中、IMCは金属間化合物を意味する。
図7に示す実施例1の接合体では、第1部材であるSiチップと第2部材であるCu板との間に、金属間化合物(IMC)を含む接合部と、Cu−Ni合金を含む伝熱部とが確認できる。一方、図8に示す比較例1の接合体では、第1部材であるSiチップと第2部材であるCu板との間に、金属間化合物(IMC)を含む接合部のみが確認できる。
得られた接合体のシアー強度を、ボンディングテスタを用いて測定し、接合強度を評価した。シアー強度の測定は、横押し速度:0.1mm・s−1、室温の条件下で行った。
シアー強度が5N以上のものを○(良)、5N未満のものを×(不可)と評価した。表1に、接合強度の値と評価結果を示す。
得られた接合体を室温の実験台に置き、さらに、Siチップの上に、予め180℃に加温したSUS板(10mm角×1mm厚)を載せて、3分間放置した。その後、加温したSUS板を取り除き、30秒間放冷した。放冷後、Siチップ上部の表面温度を表面温度計で計測した。表面温度が低いほど放熱性に優れるため、熱伝導性に優れると言える。
Siチップ上部の表面温度が130℃以下のものを○(良)、130℃を超えるものを×(不可)と評価した。表1に、表面温度の値と評価結果を示す。
接合強度及び熱伝導性の評価結果がすべて○のものを○(良)、1つでも×があるものを×(不可)とした。表1に、総合判定の結果を示す。
これに対し、Cu合金板のサイズが小さい比較例1及び比較例2の接合体では、Cu合金を含む伝熱部が形成されず、熱伝導性が充分でないことが確認された。なお、比較例2の接合体では、Snが残留しているため、耐熱性も充分でないと考えられる。
Cu−10Ni板の長さを4.0mm、幅を3.5mmに固定し、厚みを表2に示す値に変更した以外は、実施例1と同様に接合体を作製し、実施例6〜実施例8及び比較例3の接合体を得た。
得られた接合体について、上記と同じ方法で評価した。表2に、各評価結果を示す。
一方、Cu合金板の厚みが小さい比較例3の接合体では、Cu合金を含む伝熱部が形成されず、比較例2の接合体と同様、熱伝導性が充分でないことが確認された。また、Snが残留しているため、耐熱性も充分でないと考えられる。
1A 第1金属ペースト
2A,2B,2C,2D,2E,2F 第2金属部材
10 接合部(金属間化合物を含む接合部)
20 伝熱部(第2金属を含む伝熱部)
11 第1部材(電極)
12 第2部材(電極)
30 電子機器
31 電子部品(半導体チップ)
32 基板
33 樹脂
Claims (6)
- 第1部材と第2部材とが接合部を介して接合された接合体であって、
前記第1部材が電子部品の電極、前記第2部材が基板上の電極であり、
前記接合部は、第1金属と、前記第1金属よりも融点の高い第2金属との金属間化合物を含み、
前記第1金属は、Sn又はSn合金であり、
前記第2金属は、Cu合金であり、
前記第1部材と前記第2部材との間には、前記第2金属を含む伝熱部が存在し、
前記第1部材は、前記接合部及び前記伝熱部と接していることを特徴とする接合体。 - 前記第1部材と接している前記伝熱部は、前記第2部材とも接している請求項1に記載の接合体。
- 前記第1部材は、貫通孔を有する伝熱部と接しており、前記貫通孔内に存在する接合部とも接している請求項1又は2に記載の接合体。
- 前記第1部材は、複数の伝熱部と接しており、複数の伝熱部間に存在する接合部とも接している請求項1〜3のいずれか1項に記載の接合体。
- 前記第2金属は、Cu−Ni合金又はCu−Mn合金である請求項1〜4のいずれか1項に記載の接合体。
- 前記電子部品は、半導体チップである請求項1〜5のいずれか1項に記載の接合体。
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