JP6724557B2 - 皮膚貼付用粘着剤、皮膚用貼付剤、および剥離用シート状部材付き皮膚用貼付剤の製造方法 - Google Patents

皮膚貼付用粘着剤、皮膚用貼付剤、および剥離用シート状部材付き皮膚用貼付剤の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、経皮吸収性薬剤を含む皮膚貼付用粘着剤、該粘着剤を用いた皮膚用貼付剤、および剥離用シート状部材付き皮膚用貼付剤の製造方法に関する。
従来、皮膚の創傷被覆や医療用具を皮膚に固定するために、各種皮膚貼付用粘着剤が用いられている。また、皮膚を通して経皮吸収性薬剤を生体内に投与するための経皮吸収製剤として、膏体や、粘着剤を用いたパップ剤や経皮吸収性粘着シートなどの経皮吸収型の外用貼付剤が開発されている。そのなかでも、投与作業が比較的容易で投与量を制御できることから、粘着剤中に経皮吸収性薬剤を含有させた経皮吸収性粘着シートが注目されている。
このような経皮吸収性粘着シートは、経皮吸収用薬剤を含有する粘着剤層を皮膚面に貼付して使用されるため、皮膚面への接着性(密着性)が求められる。また、より確実な治療効果を上げるために、長時間患部に持続的に薬剤を投与できる経皮吸収型貼付剤の開発が期待されている。そのため、粘着剤の薬剤溶解性の向上や、粘着剤中からの薬剤放出性の向上が求められている。
このような要求に応えるため、皮膚貼付用粘着剤として数多くの設計方法が研究されてきた。
例えば、特許文献1は、カルボキシル基もしくはヒドロキシル基を含有する単量体と、(メタ)アクリル酸エステルを必須成分として共重合してなる共重合体と、側鎖に塩構造を有さない窒素原子を有する単量体と、(メタ)アクリル酸エステルとを必須成分として共重合してなる共重合体とを用いてなる経皮吸収製剤を開示する。
特許文献2は、N−ビニル−2−ピロリドンを構成成分とする水不溶性の共重合体及び無水マレイン酸のモノアルキルエステルを構成成分とする重合体からなることを特徴とする粘着剤組成物を開示する。
また、特許文献3および特許文献4では、ポリエーテルウレタン系の粘着剤が開示されており、皮膚粘着力に優れていることが示唆されている。
さらに、特許文献5〜6では、ポリエチレングリコール(以下、PEGと略すことがある)やポリプロピレングリコール(以下、PPGと略すことがある)を原料とするポリウレタン樹脂を、経皮投薬用貼付剤に用いる発明が開示されている。
また、特許文献7には、支持層と表面層とを有する経皮薬貼付用基材が記載されている。前記支持層が親油性のポリウレタンゲルの場合は親水性のポリウレタンゲルを表面層とし、前記支持層が親水性のポリウレタンゲルの場合は親油性のポリウレタンゲルを表面層とする旨記載される。そして、親油性または親水性のポリウレタンゲルは、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのランダム共重合体(ポリオール)と、同様の共重合体(ポリイソシアネート)とを反応させて得ること、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのモル比によって親油性、親水性を制御する旨記載されている。
特開2000−44904号公報 特開平9−176604号公報 特開平11−290444号公報 特開2004−10804号公報 特開昭63−146812号公報 特開平02−229876号公報 特開2007−31310号公報
特許文献1および2のようなアクリル系粘着剤は、粘着剤の凝集力を確保するため、カルボキシル基や水酸基を有するモノマーが共重合されるが、使用する薬剤によっては、これら官能基の影響を受けて、薬剤放出量が低下する課題があった。
特許文献3および4には、薬剤の溶解性や放出性に関する記載は一切ない。
特許文献5および6では、室温付近に融点を有する結晶性の粘着剤を使用しているため、皮膚粘着力が不安定になる課題があった。
特許文献7では、多官能ポリオールと多官能イソシアネートの2液組成物を架橋させたポリウレタンゲルを使用しており、実施例によると支持層の形成には65℃でのエージング工程が必要である。
また、経皮薬の含有量を有効量に近づけ減らすために、経皮薬貼付用基材中の表面層に経皮薬を浸透させる。
いずれの工程も工業的生産性はあまり良くない。さらに、後者、即ち、経皮薬を表面層に浸透させる方法は、安定的に一定量の薬剤を再現性よく表面層に担持させることは非常に困難である。
上記事情に鑑み、本発明は、皮膚面への粘着性、薬剤の溶解性、粘着剤中からの薬剤放出性に優れ、さらに、凝集力に優れ架橋工程が不要であり、生産性に優れた皮膚貼付用粘着剤を提供することを目的とする。
一般に、薬剤との相溶性を改善するために、ポリマーの親水性を上げるためには、カルボキシル基や水酸基のような高極性基を導入する方法が知られているが、薬剤と強く相互作用してしまい、薬剤放出性の点では適切ではない。
そこで、本発明者らは前記の課題を解決するため鋭意検討の結果、親水性であるエチレンオキサイド部と疎水性である他のアルキレンオキサイド部をランダムにウレタン樹脂に組み込むことにより、薬剤溶解性と薬剤放出性の両立に成功した。また、ウレア結合とウレタン結合を有するポリウレタンポリウレア樹脂を用いることで、架橋をせずとも十分な凝集力を付与できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、下記条件(1)〜(7)の条件の全てを満たすポリウレタンポリウレア樹脂(A)と、経皮吸収性薬剤(B)とを含む、皮膚貼付用粘着剤に関する。
(1)前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)が、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とポリアミン成分と、単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分との反応生成物である。
(2)前記ポリオール成分が、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部とを有し、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部がエーテル結合で結合しているポリオールaを含む。
(3)前記ポリオールa中のエチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部との質量比が20:80〜90:10である。
(4)前記ポリオールaが、25℃で液状を呈し、数平均分子量が1000〜10000である。
(5)前記ポリオール成分が、前記ポリオールa以外に、他のポリオールを更に含み得る。
(6)前記ポリオール成分100質量%中、前記ポリオールaは30〜100質量%含まれる。
(7)前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)100質量%中、エチレンオキサイド部を20〜80質量%含む。
(8)前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)中のウレア結合の濃度が0.02〜0.8mmol/gであり、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)中のウレタン結合の濃度が0.15〜2mmol/gである。
た、前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の質量平均分子量は40000〜1000000であることが好ましい。
また、前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のガラス転移温度は−50〜−10℃であることが好ましい。
また、本発明は、シート状基材と前記の皮膚貼付用粘着剤から形成された粘着剤層とを有する皮膚用貼付剤に関する。
さらにまた、本発明は、前記皮膚貼付用粘着剤と液状媒体とを含む粘着剤塗液を、シート状基材に、または剥離用シート状部材に、塗布し、前記液状媒体を除去し、前記シート状基材または前記剥離用シート状部材上に経皮吸収性薬剤を含有する皮膚貼付用粘着剤層を形成し、前記粘着剤層に剥離用シート状部材またはシート状基材を積層する、剥離用シート状部材付き皮膚用貼付剤の製造方法に関する。
ウレア結合とウレタン結合を有し、かつ、一定量のエチレンオキサイド部を有するポリウレタンポリウレア樹脂を用いることにより、皮膚面への粘着性、薬剤の溶解性、粘着剤中からの薬剤放出性に優れ、さらに、凝集力に優れ、架橋工程が不要であり生産性に優れた皮膚貼付用粘着剤を提供することができた。
<ポリウレタンポリウレア樹脂(A)>
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂(A)は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とポリアミン成分と、単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分との反応生成物である。
[ポリオール成分]
前記ポリオール成分は、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部とを有し、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部がエーテル結合で結合しているポリオールaを含む。ポリオールaは、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部とを有するランダムポリオールと言うことができる。
前記ポリオールaは、ポリオールa中のエチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部との質量比が20:80〜90:10であり、25:75〜88:12であることが好ましい。エチレンオキサイド部の割合が20%以上のものを用いることにより、薬剤溶解性の良好なポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得ることができる。一方、エチレンオキサイド部の割合が90%以下のものを用いることにより、エチレンオキサイド部間の相互作用を低下させ、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の結晶化を抑制し、皮膚への粘着性が良好な粘着剤を得ることができる。
また、前記ポリオールaは、25℃で液状の化合物であり、数平均分子量が1000〜10000である。数平均分子量が1000以上のものを用いることにより、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のウレタン結合濃度を適度に小さくでき、皮膚への濡れ性が良好となり、皮膚への粘着性が良好な粘着剤を得ることができる。一方、数平均分子量が10000以下のものを用いることにより、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のウレタン結合濃度を適度に高め、凝集力を高め、皮膚への粘着性が良好な粘着剤を得ることができる。また、25℃で液状のポリオールを用いることにより、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の結晶化を抑制し、皮膚への粘着性が良好な粘着剤を得ることができる。
前記ポリオールaとしては、具体的にはダウケミカル社製のUCON60−H−760、UCON60−H−1100、UCON60−H−1600、UCON60−H−2300、UCON60−H−5300、UCON75−H−1400、UCON75−H−9500、UCON SYNALOX50−50B、UCON SYNALOX50−70B、UCON SYNALOX50−100B、UCON SYNALOX40−D150、UCON SYNALOX40−D220、UCON SYNALOX40−D220、ADEKA製のPR−3005、PR−3007、PR5007等が挙げられる。
前記ポリオール成分は、前記ポリオールa以外に、他のポリオールを更に含み得る。
他のポリオールは特に限定されるものではないが、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ブチルエチルペンタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等のグリコール類や、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール またはポリエーテルポリオールとポリイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオール、多価アルコールのポリエーテル付加物等が挙げられる。
前記ジオール成分100質量%中、前記ジオールaは30〜100質量%含まれ、40〜100質量%含まれることが好ましい。30質量%以上とすることにより、薬剤溶解性が良好となる。
[ポリイソシアネート成分]
ポリイソシアネート成分としては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、芳香脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート等を挙げることができる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等を挙げることができる。
芳香脂肪族ポリイソシアネートとしては、ω,ω’−ジイソシアネート−1,3−ジメチルベンゼン、ω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジメチルベンゼンω,ω’−ジイソシアネート−1,4−ジエチルベンゼン、1,4−テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,3−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。
脂環族ポリイソシアネートとしては、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−メチレンビス( シクロヘキシルイソシアネート)、1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス( イソシアネートメチル)シクロヘキサン等を挙げることができる。
また、上記ポリイソシアネートにトリメチロールプロパンのような3 官能のアルコールを付加してなるいわゆるアダクト体、上記ポリイソシアネートと水とが反応したビュウレット体、上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート環を形成してなる三量体等も併用することができる。前述の多価アルコールポリエーテル付加物とジイソシアネートとの反応物もポリイソシアネート成分として使用することができる。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得る際に用いられるポリイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート) 等が好ましい。
[ポリアミン成分]
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得る際に用いられるポリアミン成分としては、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、トリレンジアミン、ヒドラジン、ピペラジン、ヘキサメチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジシクロヘキシルメタン−4,4−ジアミン、2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ−2−ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等のジアミンを挙げることができる。イソホロンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンは、反応の制御が容易で衛生性に優れていることから好ましい。
ポリアミン成分を用いることにより、ウレタン結合よりも凝集力の高いウレア結合が形成されるので、凝集力の大きな粘着剤を得ることができる。
[単官能の水酸基成分]
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得る際に末端停止剤の1つとして用いられる単官能の水酸基成分としては特に限定はなく、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール等が挙げられ、これらの群から選ばれた1種または2種以上の使用ができる。貼付剤中に残留したとしても、皮膚刺激性が低いという点でエタノールが好ましい。
[単官能のアミン成分]
単官能の水酸基成分と同様に末端停止剤の1つとして用いられる単官能のアミン成分としては特に限定はなく、ヘキシルアミン、オクチルアミン、ジエチルアミン、ドデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、シクロヘキシルアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミンなどを挙げることができる。
これら単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を末端封止剤として用いることで、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の経時安定性を向上させることが出来る。
本発明においてポリウレタンポリウレア樹脂(A)の調製は、必須成分であるポリオール成分とポリイソシアネート成分とポリアミン成分と、単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分の全ての成分を同時に反応させてもよいし(ワンショット法)、逐次的に反応させてもよい。所望のポリウレタンポリウレア樹脂(A)を主たる生成物として確実に生成させるために、少なくともこれらの成分のいずれかを逐次的に反応させる逐次反応が好ましい。逐次反応によってポリウレタンポリウレア樹脂(A)を調製する場合、例えば、次の方法を適用することが出来る。
ポリオール成分とポリイソシアネート成分とをポリイソシアネート成分過剰の条件下に反応させて、末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーを得る工程、次いで上記ウレタンプレポリマーとポリアミン成分とを反応させて、末端がイソシアネート基であるポリウレタンポリウレアを得る工程、最後に、残るイソシアネート基と単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分を反応させる工程を含む方法。
なお、逐次反応の進め方は、先に例示した方法に限定されるものではない。
本発明のポリウレタンポリウレア樹脂(A)は、原料を無溶剤下で反応させて製造しても、有機溶剤中で反応させて製造しても良い。
有機溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系化合物、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、酢酸メトキシエチル等のエステル系化合物、ジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系化合物、トルエン、キシレン等の芳香族化合物、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族化合物、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素化合物などの各種溶剤を使用することができる。
また、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の合成時には、必要に応じて触媒を添加することができ、たとえばジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジマレート等金属系触媒;1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)ノネン−5、6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7等の3級アミン;トリエタノールアミンのような反応性3級アミン等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を併用してもよい。
イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーは、上記ポリオール成分 とポリイソシアネート成分とを、有機溶剤中で触媒の存在下に120℃ 以下で反応させて得ることが好ましく、70〜110℃ で1〜20時間反応させることがより好ましい。110℃よりも高温にすると反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するウレタンプレポリマーが得にくくなる。
イソシアネート基とポリアミン成分との反応は、有機溶剤中で60℃以下で行うことが好ましい。それより高温だと反応速度の制御が困難になり、所定の分子量と構造を有するポリウレタンポリウレア樹脂が得にくくなる。
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂(A)中のエチレンオキサイド部位は20〜80質量%であり、30〜75質量%であることが好ましい。エチレンオキシド部位が上記範囲内にあることにより薬剤溶解性と薬剤放出性のバランスを良好にすることができる。
本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂(A)のウレア結合濃度(ポリウレタンポリウレア樹脂(A)1g当たりのウレア結合の当量を示す。)は0.02〜0.8mmol/gであることが好ましく、0.03〜0.6mmol/gであることがさらに好ましい。
また、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のウレタン結合濃度(ポリウレタンポリウレア樹脂(A)1g当たりのウレタン結合の当量を示す。)は0.15〜2mmol/gであることが好ましく、0.2〜1.5mmol/gであることがさらに好ましい。
皮膚への粘着力を高めるためにポリウレタンポリウレア樹脂(A)の凝集力を適度に抑制するという点から、ウレア結合濃度を0.8mmol/g以下としたり、ウレタン結合濃度を2mmol/g以下としたりすることが好ましい。また、粘着剤を剥がす際に粘着剤が皮膚に残りにくくするように、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の凝集力を適度に高めるという点から、ウレア結合濃度を0.02mmol/g以上としたり、ウレタン結合濃度を0.15mmol/g以上としたりすることが好ましい。
また、本発明におけるポリウレタンポリウレア樹脂(A)の質量平均分子量は40000〜1000000であることが好ましく、50000〜800000であることがより好ましいい。粘着剤を剥がず際の糊残り抑制のためにポリウレタンポリウレア樹脂(A)は適度に大きな凝集力を有すことが好ましく、その点から質量平均分子量は40000以上であることが好ましい。一方、後述する粘着剤溶液をシート状基材や剥離用シート状部材に塗布する際の塗布性向上の点から、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の質量平均分子量は1000000以下であることが好ましい。
また、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のガラス転移温度は−50〜−10℃であることが好ましく、−40〜−15℃であることがさらに好ましい。ガラス転移温度が−50℃以上で凝集力のあるポリウレタンポリウレア樹脂(A)を用いることにより、粘着剤を皮膚から剥がす際の糊残りが発生を抑制できる。また、ガラス転移温度を−10℃以下のポリウレタンポリウレア樹脂(A)を用いることにより、粘着剤の皮膚への濡れ性が向上し、粘着力が増す。
ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のウレア結合濃度、ウレタン結合濃度、質量平均分子量、またはガラス転移温度をそれぞれ上記範囲に設計することで、シート状基材等に粘着剤塗液を塗布後、樹脂を架橋させずとも十分な凝集力をもち、良好な皮膚密着力を有する粘着剤を提供できる。
<経皮吸収性薬剤(B)>
本発明において添加することができる薬剤としては、特に限定はなく、例えば、全身麻酔剤、睡眠剤、鎮痛剤、消炎鎮痛剤、ステロイドホルモン剤、興奮・覚醒剤、精神神経用剤、局所麻酔剤、骨格筋弛緩剤、自立神経用剤、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、血管拡張剤、カルシウム拮抗剤、抗殺菌剤、寄生性皮膚疾患用剤、皮膚軟化剤、抗生物質、解毒剤、鎮咳剤、鎮痒剤、催眠剤、精神活力剤、ぜんそく剤、ホルモン分泌促進剤、抗潰瘍剤、制癌剤、ビタミン剤、美肌成分等の美白効果があるもの等が挙げられる。
また、本発明の皮膚用貼付剤の用途が局所作用型貼付剤である場合、この貼付剤に含まれる薬剤として、例えば、インドメタシン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ロキソプロフェン、ロキソプロフェンナトリウム、ピロキシカム、メロキシカム、ケトロラック、フェルビナク、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム等の消炎鎮痛剤が挙げられる。薬剤の含有量は、特に限定されないが、通常、粘着層全体に対して0.1〜20質量%程度であってよい。創傷治療用、局所投与用、または全身投与用等いずれの薬剤を添加しても良い。具体的には、消炎鎮痛剤、ステロイド系抗炎症剤、血管拡張剤、降圧利尿剤、麻酔剤、抗ヒスタミン剤、抗腫瘍剤、抗高血圧・不整脈用剤、抗うつ・抗不安剤、局所麻酔剤、ホルモン剤、喘息・鼻アレルギー治療剤、抗凝血剤、鎮痙剤、脂溶性ビタミンなどがあげられる。
薬剤の配合量は、薬剤の種類、貼付剤の使用目的により異なるが、皮膚貼付用粘着剤の総質量に対して0.1質量%〜30質量%の範囲で通常は用いられる。
<粘着付与剤>
本発明の皮膚貼付用粘着剤に添加することができる粘着付与剤としては、例えば、ロジン、水素添加ロジン、ロジンエステル、テルペン樹脂、変性テルペン樹脂、水素添加テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂環族飽和炭化水素樹脂等が挙げられる。
これらの粘着付与剤を配合させた場合、タック、粘着力及び保持力の調整が容易となる。また、これらは1種または2種以上を併用して用いることもできる。粘着付与剤の配合量は、その種類および極性等により異なるが、通常は皮膚貼付用粘着剤の総質量に対して1質量%〜50質量%の範囲で用いられる。
<経皮吸収促進剤>
本発明では、粘着剤層内での薬剤の溶解性や拡散性をよくするために、さらに経皮吸収促進剤を添加することができる。
経皮吸収促進剤としては、具体的には、ジメチルポリシロキサンなどのシリコーン類、オリーブ油などの動植物油、乳酸などのカルボン酸類、流動パラフィン、ワックス等の炭化水素類、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール等の高級アルコール類、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル等の一価アルコール脂肪酸エステル、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、グリセリンなどのアルコール、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、脂肪酸グリセリンエステル、脂肪酸ポリエチレングリコール、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等の液状樹脂、レチノール、パルミチン酸レチノール、トコフェノール、酢酸トコフェノール等の油性ビタミンが挙げられる。
これらの経皮吸収促進剤を配合させた場合、皮膚貼付用粘着剤層の粘度を調節することができる。また、特に、ミリスチン酸イソプロピルなどの疎水性の高い化合物とグリセリンなどの多価アルコールとを併用するとき、薬剤の経皮吸収を促進する効果もある。経皮吸収促進剤の配合量は、その種類および極性、粘着剤の種類、極性および分子量などにより異なるが、通常は皮膚貼付用粘着剤の総質量に対して0.5質量%〜50質量%の範囲で用いられる。
さらに本発明の皮膚貼付用粘着剤は、目的を損なわない範囲で任意成分としてさらに、増粘剤、酸化防止剤、保湿剤、pH調整剤等の添加剤も適宜使用することができる。特に、皮膚貼付用粘着剤用途で直接肌に接するような用途に使用する場合は、保湿剤を併用するのが好ましい。
本発明の皮膚用貼付剤は、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)と、経皮吸収性薬剤(B)とを含む粘着剤層を、シート状基材に直接あるいは間接に積層して得ることができる。
たとえば、シート状基材上に、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)と経皮吸収性薬剤(B)とを含む皮膚貼付用粘着剤と、液状媒体とを含む粘着剤塗液を塗布・乾燥して粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に、剥離用シート状部材(ライナーともいう)をラミネートすることにより、剥離用シート部材付きの皮膚用貼付剤を得ることができる。あるいは、剥離用シート状部材上に粘着剤塗液を塗布・乾燥して粘着剤層を形成し、該粘着剤層上に、シート状基材をラミネートすることにより、剥離用シート部材付きの皮膚用貼付剤を得ることができる。
本発明に用いられるシート状基材としては、通常皮膚貼付剤に用いられる柔軟な基材を使用することができ、特に限定されない。具体的には例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、またはセルロースエステル等のポリマーフィルム;ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエステル、ポリウレタン、またはポリアミド等からなる織物・編物・不織布;または紙などを使用することができる。これらの支持体の厚みは、貼付剤の種類にもよるが基材の場合、通常50μm〜300μm、好ましくは、70μm〜200μmに設定される。
シート状基材のうち、不織布のように目が粗く多孔なものは、液状媒体に溶解したものを支持体に塗布する方法では、溶解物が抜け落ちる恐れがあり、また、抜け落ちないまでも内部にまで浸透することから溶解物を余分に消費することにもなり、前述したあらかじめ別の基材上に粘着剤塗液を塗布・乾燥して形成した粘着剤層をラミネートする製造方法が好ましい。
剥離用シート部材としては特に制限されず、公知の剥離フィルムを使用することができる。例えば、粘着剤層との接触面にシリコーン樹脂、フッ素樹脂等を塗布することによって剥離処理が施された、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート等のフィルム類、上質紙、グラシン紙等の紙類、あるいは上質紙又はグラシン紙等と、ポリオレフィンとのラミネートフィルム等が用いられる。剥離フィルムの厚みは、通常10〜200μm、好ましくは25〜100μmである。
以下の実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、以下の実施例は本発明の権利範囲を何ら制限するものではない。なお、実施例における、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」をそれぞれ表し、Mwは質量平均分子量、Tgはガラス転移温度を意味する。
<数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)の測定方法>
MnおよびMwの測定は昭和電工社製GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)「GPC−101」を用いた。GPCは溶媒(THF;テトラヒドロフラン)に溶解した物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。本発明における測定は、カラムに「KF−805L」(昭和電工社製:GPCカラム:8mmID×300mmサイズ)を直列に2本接続して用い、試料濃度1wt%、流量1.0ml/分、圧力3.8MPa、カラム温度40℃の条件で行い、MnおよびMwの決定はポリスチレン換算で行った。データ解析はメーカー内蔵ソフトを使用して検量線および分子量、ピーク面積を算出し、保持時間15〜30分の範囲を分析対象として質量平均分子量を求めた。
<ポリオールaの水酸基価>(OHV、単位:KOHmg/g)
JISK−1557記載の方法により測定した。
<ポリオールa中のエチレンオキサイド部位と他のアルキレンオキサイド部位の含有量(単位:質量%)>
ポリオールaを重水素化したアセトンに溶解し、13C−NMR測定によって、エチレンオキサイド部位のメチレン基やプロピレンオキサイド部位のメチル基のシグナルを測定し、その割合からエチレンオキサイド部位量、およびその他のアルキレンオキサイド部位量を求めた。
<ガラス転移温度の測定方法>
溶剤を乾燥除去した樹脂について、メトラー・トレド社製「DSC−1」を使用し、サンプル量約5mgをアルミニウム製標準容器に秤量し、温度変調振幅±1℃、温度変調周期60秒、昇温速度2℃/分の条件にて、−80〜100℃まで測定し、可逆成分の示差熱曲線からガラス転移温度を求めた。
<ポリオールaの合成>
[合成例1]
窒素雰囲気下、プロピレングリコール1モルに対して、1.2×10-2モルのホスファゼンベースP<t/4>−t−Oct(シグマアルドリッチ社製、分子量:689.82)を加え、窒素置換を行った後、105℃に昇温し、同温度にて、窒素を液相中に導入しながら、1.33kPa以下の条件で、3時間の加熱減圧処理を行った。
次いで、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドとが質量比で70:30になるようにした気液混合体を気化させた混合ガスを入れ、OHVが56.1KOHmg/gになるまで、プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの混合エポキサイドの付加重合反応を行い、粗製ポリオキシアルキレンポリオールを得た。
次いで、窒素雰囲気下、80℃ に調整した該粗製ポリオキシアルキレンポリオールに対して、イオン交換水を5質量% 、及び、キョーワード700PEL(協和化学工業社製)を1質量%加え、同温度にて、1時間吸着反応を行った。次いで、該ポリオールに対して、800ppmの酸化防止剤を添加後、110℃ 、850Paの条件で、3時間の加熱減圧脱水処理を行った。窒素を用いて大気圧まで加圧した後、ろ紙を用いて減圧ろ過を行うことでポリオキシアルキレンポリオールa1を得た。ポリオールa1のOHVは56.1KOHmg/g、数平均分子量は2000であった。
[合成例2〜15]、[比較合成例1〜4]
合成例1と同様の方法で、表1の組成および仕込み質量部に従って合成を行い、ポリオールa2〜a15等を得た。その特性値を表1に示す。
<ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の合成>
[実施例1]
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、導入管、温度計を備えた4口フラスコに、合成例1で得たポリオールa1:200部、ポリイソシアネート成分としてヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIという)20.5部を仕込み、窒素気流下、撹拌しながら60℃まで昇温し、均一に溶解させた。続いて、これに触媒としてジブチル錫ジラウレート0.002部を投入し、110℃で3時間反応させた。
その後、温度を40℃に低下し、ポリアミン成分としてイソホロンジアミン:2.2部を2時間かけて滴下し、鎖延長反応を行った。
最後に末端停止剤としてエタノールを1.3部加え、60℃で3時間反応させることで、質量平均分子量50700、ウレア結合濃度0.12mmol/g、ウレタン結合濃度0.97mmol/g、ガラス転移温度−19℃のポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得た。
[実施例2〜36]、[比較例1〜4]
実施例1と同様の方法で、表2〜4の組成および仕込み質量部に従って合成を行い、ポリウレタンウレア樹脂(A)を得た。質量平均分子量、ウレア結合濃度、ウレタン結合濃度、ガラス転移温度、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)等中のエチレンオキサイド部位の濃度を各表に示す。
また、後述する方法に従って粘着力、糊残り、薬剤溶解性、薬剤透過性を評価し、その結果を各表に示す。
[実施例37]
ポリオール成分として、合成例11で得られたポリオールa11:200部の他に、1,4−ブタンジオールを6部用いた以外は、表5に示す組成に従って、実施例1と同様にポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得た。
[実施例38〜39]
ポリオール成分として、合成例6で得られたポリオールa6:200部の他に、ポリプロピレングリコールであるPTG2000、ポリエステルポリオールであるP2010をそれぞれ133.3部用いた以外は、表5に示す組成に従って、実施例1と同様にポリウレタンポリウレア樹脂(A)を得た。
[比較例5]
ポリオール成分として、各合成例で得られたポリオールを用いず、代わりに前述のPTG2000(ポリプロピレングリコール)とP2010(ポリエステルポリオール)とを1:1(質量比)で混合したものを200部用いた以外は、表6に示す組成に従って、実施例1と同様にポリウレタンポリウレア樹脂を得た。
[比較例6]
ポリアミン成分を用いなかった以外は、表6に示す組成に従って、実施例1と同様にポリウレタン樹脂を得た。
Figure 0006724557
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表2〜6中、記号は以下の通り。
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート
IPDA:イソホロンジアミン
EtOH:エタノール
D400:三井化学ファイン社製、ポリプロピレンジアミン(数平均分子量400)
BuAmi:1,4−ブタンジアミン
1,4−BuOH:1,4−ブタンジオール
PTG2000:保土谷化学社製、ポリプロピレングリコール(数平均分子量2000)
P2010:クラレ社製、ポリエステルポリオール(数平均分子量2000)
IPDI:イソホロンジイソシアネート
TDI:トリエンジイソシアネート
<評価>
(1)粘着力
実施例および比較例で合成したポリウレタンポリウレア樹脂を酢酸エチル溶媒で固形分濃度が30%になるように溶解し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターで乾燥塗膜30μmになるように塗工し、100℃で2分乾燥した。次に剥離処理された別のポリエチレンテレフタレートフィルムを粘着剤層側にラミネートし、粘着剤シートを作製した。
この粘着剤シートを幅25mm、長さ75mmに切断後、剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを除去し、ベークライト板に23℃、65%RHの条件で貼付した。JISに準じてロール圧着し20分静置させた後、23℃、65%RHの環境下、300mm/minの速度で180度方向に剥離し、25mm幅の剥離力を測定した。
〇:12N<粘着強度
△:8N<粘着強度≦12N
×:粘着強度≦8N
(2)糊残り
上記(1)で粘着力を測定したのと同様の試料を用い、拇指テストにより粘着剤の触感を評価した。指を離した後に、指上に粘着剤が残留するかについて目視で評価した。
〇:指上への糊移行の全くないもの
×:指上への糊移行のあるもの
(3)薬剤溶解性
実施例および比較例で合成したポリウレタンポリウレア樹脂を酢酸エチル溶媒で固形分濃度が30%になるように溶解し、そこに前記樹脂固形分100部に対し、経皮吸収性薬剤としてロキソプロフェンナトリウムを一定量ずつ(1部、2部、3部、4部、5部、6部、7部、9部)添加し溶解させた後、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーターで乾燥塗膜30μmになるように塗工し、100℃で2分乾燥した。
次に剥離処理された別のポリエチレンテレフタレートフィルムを粘着剤層側にラミネートし、貼付剤を作製した。
この貼付剤を25℃−60%の恒温恒湿器に1ヶ月間保存した後、粘着剤層中の薬剤の結晶析出の有無を目視で観察し、評価した。結晶が生成しなかった最大の薬剤添加量をその粘着剤の最大薬剤溶解量とし、以下の基準で判断した。
◎:9部≦最大薬剤溶解量
〇:5部≦最大薬剤溶解量<9部
△:3部≦最大薬剤溶解量<5部
×:最大薬剤溶解量<3部
(4)薬剤放出性
実施例および比較例で合成したポリウレタンポリウレア樹脂を酢酸エチル溶媒で固形分濃度が30%になるように溶解し、そこに前記樹脂固形分100部に対し、経皮吸収性薬剤としてロキソプロフェンナトリウムを3部、経皮吸収促進剤として乳酸を1部添加し溶解させた後、上記(3)と同様にしてポリエチレンテレフタレート/粘着剤層/剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムからなる積層構成の貼付剤を作製し、直径2cmの円形(=3.14cm2)の大きさに切り出した。
ヌードマウスの背部剥離皮膚をフランツ型拡散セルにセットし、この皮膚に、上記貼付剤から剥離処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムを剥がし、露出した粘着剤層を貼り付け、皮膚透過性を調べた。
レセプター液としては、リン酸緩衝液(pH7.2)を用い、貼付剤から皮膚を通じてレセプター液に移行したロキソプロフェンナトリウムの量を24時間後にHPLCで測定した。ロキソプロフェンナトリウムの皮膚透過率は、24時間後のレセプター液中のロキソプロフェンナトリウムの量を、貼付剤中のロキソプロフェンナトリウムの量で除算した後、100倍して求めた。
〇:6[%]≦皮膚透過率
△:3[%]≦皮膚透過率<6[%]
×:皮膚透過率<3[%]
表2〜6をみてわかるように、比較例1に用いたポリウレタンポリウレア樹脂は、エチレンオキサイド部位の含有率が低いため、薬剤溶解性が不足した。比較例2では、エチレンオキサイド部位の含有率が高く、樹脂が結晶化してしまったため、粘着力が低い。比較例3で用いたポリウレタンポリウレア樹脂は、数平均分子量の小さいポリオールを用いて形成したものであり、ウレタン結合濃度が高く、またガラス転移点が高いため、粘着剤の濡れ性が悪く粘着力が低い。比較例4で用いたポリウレタンポリウレア樹脂は、数平均分子量の大きいポリオールを用いて形成したものであり、ウレタン結合濃度が低いため、樹脂の凝集力が低下し、糊残りが発生してしまった。
比較例5で使用したポリウレタンポリウレア樹脂は、ポリプロピレングリコールとポリエステルポリオールとを併用したものなので、エチレンオキサイド部とプロピレンオキサイド部とがエーテル結合でランダムに結合しているものではなく、ポリエチレンオキサイドブロックとポリプロピレンオキサイドブロックとがウレタン結合で結合している。ポリエチレンオキサイドブロックは結晶性に富むので、比較例5は粘着力が低い。
比較例6で用いたポリウレタン樹脂は、所定のポリオールaを使用したものだが、ポリアミン成分を使用せずウレア化していないため、凝集力が低下し、糊残りが発生した。
一方、実施例に用いたポリウレタンポリウレア樹脂は、すべての物性においてバランスよく良好な結果が得られた。

Claims (6)

  1. 下記条件(1)〜()の条件の全てを満たすポリウレタンポリウレア樹脂(A)と、経皮吸収性薬剤(B)とを含む、皮膚貼付用粘着剤。
    (1)前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)が、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とポリアミン成分と、単官能の水酸基成分および/または単官能のアミン成分との反応生成物である。
    (2)前記ポリオール成分が、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部とを有し、エチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部がエーテル結合で結合しているポリオールaを含む。
    (3)前記ポリオールa中のエチレンオキサイド部と他のアルキレンオキサイド部との質量比が20:80〜90:10である。
    (4)前記ポリオールaが、25℃で液状を呈し、数平均分子量が1000〜10000である。
    (5)前記ポリオール成分が、前記ポリオールa以外に、他のポリオールを更に含み得る。
    (6)前記ポリオール成分100質量%中、前記ポリオールaは30〜100質量%含まれる。
    (7)前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)100質量%中、エチレンオキサイド部を20〜80質量%含む。
    (8)前記ポリウレタンポリウレア樹脂(A)中のウレア結合の濃度が0.02〜0.8mmol/gであり、ポリウレタンポリウレア樹脂(A)中のウレタン結合の濃度が0.15〜2mmol/gである。
  2. ポリウレタンポリウレア樹脂(A)の質量平均分子量が40000〜1000000である請求項に記載の皮膚貼付用粘着剤。
  3. ポリウレタンポリウレア樹脂(A)のガラス転移温度が−50〜−10℃である請求項1または2に記載の皮膚貼付用粘着剤。
  4. シート状基材と、請求項1〜いずれか1項に記載の皮膚貼付用粘着剤から形成された粘着剤層とを有する、皮膚用貼付剤。
  5. 請求項1〜いずれか1項に記載の皮膚貼付用粘着剤と液状媒体とを含む粘着剤塗液を、シート状基材に、塗布し、前記液状媒体を除去し、前記シート状基材上に経皮吸収性薬剤を含有する粘着剤層を形成し、前記粘着剤層に、剥離用シート状部材を積層する、剥離用シート状部材付き皮膚用貼付剤の製造方法。
  6. 請求項1〜いずれか1項に記載の皮膚貼付用粘着剤と液状媒体とを含む粘着剤塗液を、剥離用シート状部材に、塗布し、前記液状媒体を除去し、前記剥離用シート状部材上に経皮吸収性薬剤を含有する粘着剤層を形成し、前記粘着剤層にシート状基材を積層する、剥離用シート状部材付き皮膚用貼付剤の製造方法。
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