JP6724407B2 - メタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニット - Google Patents

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Description

本発明は、メタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットに関する。
蒸着法を用いて製造される表示デバイスの1つとして有機ELディスプレイが知られている。有機ELディスプレイが備える有機層は、蒸着工程において昇華された有機分子の堆積物である。蒸着工程にて用いられるメタルマスクの有するマスク孔は、昇華された有機分子が通る通路であって、有機ELディスプレイにおける画素の形状に応じた形状を有している(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−95411号公報
ところで、表示デバイスの高精細化が進むことに伴って、上述した有機ELディスプレイ、ひいては、画素のサイズを定めるメタルマスクにおいては、メタルマスクを用いた成膜に対して高精細化が望まれている。
メタルマスクを用いた成膜を高精細化するためには、メタルマスクが有するマスク孔の密度を高めることが必要とされる。メタルマスクが有するマスク孔は、通常、メタルマスク用基材のエッチングによって形成される。メタルマスク用基材が厚いほど、マスク孔のうち、マスク孔の延びる方向と直交する幅が広がるようにエッチングされる量も大きくなるため、メタルマスクのマスク孔を高密度に形成する上では、メタルマスク用基材を薄くすることが好ましい。
しかしながら、メタルマスク用基材を薄くすると、メタルマスク用基材を用いて形成されたメタルマスクの強度が小さくなる場合がある。それゆえに、メタルマスクを用いた成膜の高精細化と、メタルマスクの強度の低下を抑えることとを両立することのできるメタルマスクが求められている。
なお、こうした事項は、有機ELディスプレイを含む表示デバイスの製造に用いられる蒸着用メタルマスクに限らず、各種のデバイスが備える配線の形成や、各種のデバイスが備える機能層などの蒸着に用いられる蒸着用メタルマスクにも共通している。
本発明は、蒸着用メタルマスクを用いた成膜を高精細化しつつ、蒸着用メタルマスクにおける強度の低下を抑えることを可能にしたメタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためのメタルマスク用基材は、各々が複数の画素を有する複数のパネル用の蒸着を一括して行うためのマスク領域と、蒸着用メタルマスクにおいて前記マスク領域以外の領域である周辺領域とを備える蒸着用メタルマスクを形成するための金属製の単一のシート状を有したメタルマスク用基材である。前記メタルマスク用基材は、表面と、前記表面とは反対側の面である裏面と、を備え、前記表面において区画されたn個(nは1以上の整数)の前記マスク領域と、前記表面において前記マスク領域以外の領域であるn個の前記周辺領域と、を備える。前記マスク領域の厚さは、前記周辺領域の厚さよりも薄く、前記マスク領域は、前記裏面から前記表面に向けた高さ位置が前記周辺領域よりも低い領域である。
上記課題を解決するための蒸着用メタルマスクは、各々が複数の画素を有する複数のパネル用の蒸着を一括して行うためのマスク領域と、蒸着用メタルマスクにおいて前記マスク領域以外の領域である周辺領域とを備える金属製の単一のシート状を有した蒸着用メタルマスクである。前記蒸着用メタルマスクは、表面と、前記表面とは反対側の面である裏面と、を備え、前記マスク領域は前記表面において区画され、厚さ方向に沿って前記マスク領域を貫通する複数のマスク孔を有し、前記周辺領域は、前記表面において前記マスク領域以外の領域である。前記マスク領域の厚さは、前記周辺領域の厚さよりも薄く、前記マスク領域は、前記裏面から前記表面に向けた高さ位置が前記周辺領域よりも低い領域である。
上記構成によれば、一様な厚さを有するメタルマスク用基材と比べて、周辺領域によって蒸着用メタルマスクにおける強度の低下を抑えることができ、かつ、マスク領域に対して開口を高密度に形成することができる。そのため、蒸着用メタルマスクを用いた成膜を高精細化しつつ、蒸着用メタルマスクの強度の低下を抑えることができる。
上記メタルマスク用基材において、前記メタルマスク用基材の延びる方向が第1方向であり、前記第1方向と直交する方向が第2方向である。前記マスク領域は、前記第1方向および前記第2方向の各々に沿って所定の間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素から構成され、前記周辺領域は、前記表面において格子状を有することが好ましい。
上記構成によれば、各マスク領域の周りが周辺領域によって囲まれるため、蒸着用メタルマスクの強度がマスク領域の周方向において高められる。
上記メタルマスク用基材において、前記メタルマスク用基材の延びる方向が第1方向であり、前記第1方向と直交する方向が第2方向である。前記マスク領域は、前記第2方向に沿って延びるとともに、前記第1方向において間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素から構成され、前記周辺領域は、前記第2方向に沿って延びるとともに、前記第1方向において間隔を空けて並ぶ複数の周辺領域要素から構成され、前記マスク領域要素と前記周辺領域要素とは、前記第1方向において交互に並んでいることが好ましい。
上記構成によれば、周辺領域要素が第2方向に沿って延びるため、蒸着用メタルマスクの製造においてメタルマスク用基材が巻芯に巻き取られるとき、巻芯の周方向において各周辺領域要素が他の周辺領域要素に重なりにくく、巻芯に対するメタルマスク用基材の巻きずれを抑えることができる。
上記メタルマスク用基材において、前記周辺領域の中で、前記マスク領域に繋がる部分は、前記マスク領域に近い部位ほど厚さが薄い傾斜領域であることが好ましい。
上記構成によれば、マスク領域と周辺領域との間の段差において、周辺領域の厚さがマスク領域の厚さに向けて徐々に小さくなる。そのため、蒸着用メタルマスクの製造に際して、メタルマスク用基材のエッチングにドライフィルムレジストが用いられても、マスク領域と周辺領域との段差において、ドライフィルムレジストとメタルマスク用基材との間に隙間が生じることが抑えられる。それゆえに、メタルマスク用基材がエッチングされる間に、ドライフィルムレジストの一部がメタルマスク用基材から剥がれることが抑えられる。
上記メタルマスク用基材において、前記マスク領域は、前記表面から前記裏面に向けた高さ位置が前記周辺領域よりも低い領域であってもよい。
上記構成によれば、メタルマスク用基材の表面および裏面の両方が段差面であるため、メタルマスク用基材においてエッチングの対象となる面を誤ることによって、メタルマスク用基材が所望の形状にエッチングされないことを抑えることが可能である。それゆえに、蒸着用メタルマスクの製造における歩留まりが低くなることを抑えることができる。
上記メタルマスク用基材において、前記メタルマスク用基材の形成材料は、インバーであってもよい。
上記構成によれば、蒸着用メタルマスクを用いた成膜における成膜対象がガラス基板であるとき、他の金属や合金で形成された蒸着用メタルマスクと比べて、蒸着用メタルマスクとガラス基板との間における熱膨張係数の差が小さくなる。そのため、蒸着用メタルマスクを用いた成膜に際して、蒸着用メタルマスクが加熱されても、蒸着用メタルマスクとガラス基板との間にずれが生じにくくなり、結果として、ガラス基板に対する成膜の精度が高く保たれる。
上記課題を解決するためのメタルマスクユニットは、各々が複数の画素を有する複数のパネル用の蒸着を一括して行うためのマスク領域と、蒸着用メタルマスクにおいて前記マスク領域以外の領域である周辺領域とを備える金属製の単一のシート状を有した蒸着用メタルマスクを備える。前記蒸着用メタルマスクは、表面と、前記表面とは反対側の面である裏面と、を備え、前記マスク領域は前記表面において区画され、厚さ方向に沿って前記マスク領域を貫通する複数のマスク孔を有し、前記周辺領域は、前記表面において前記マスク領域以外の領域であり、前記表面の縁における少なくとも一部に位置する縁部分であって、厚さ方向に沿って前記縁部分を貫通する複数のマスク側貫通孔を有した前記縁部分を含む。前記マスク領域の厚さは、前記周辺領域の厚さよりも薄く、前記マスク領域は、前記裏面から前記表面に向けた高さ位置が周辺領域よりも低い領域である。前記メタルマスクユニットは、前記表面と対向する平面視において、前記縁部分と重なることによって前記蒸着用メタルマスクを支持するとともに、前記各マスク側貫通孔と1つずつ重なるように位置する複数の支持側貫通孔を有する支持部材と、前記マスク側貫通孔と前記支持側貫通孔とを通り、前記蒸着用メタルマスクと前記支持部材とを締結する締結部材と、を備える。
上記構成によれば、蒸着用メタルマスクと支持部材とを締結するための締結部材が通る貫通孔を蒸着用メタルマスクが縁部分に有するため、蒸着用メタルマスクに対して締結用の貫通孔が形成されることによって、蒸着用メタルマスクの強度が低くなることが抑えられる。
本発明によれば、蒸着用メタルマスクを用いた成膜を高精細化しつつ、蒸着用メタルマスクにおける強度の低下を抑えることができる。
本発明のメタルマスク用基材を具体化した第1実施形態におけるメタルマスク用基材の一部平面構造を示す部分平面図。 図1におけるI−I線に沿う断面構造を示す断面図。 本発明の蒸着用メタルマスクを具体化した第1実施形態における蒸着用メタルマスクの平面構造を示す平面図。 蒸着用メタルマスクの平面構造の一部を示す部分平面図。 本発明のメタルマスクユニットを具体化した第1実施形態におけるメタルマスクユニットの平面構造を示す平面図。 図5におけるII−II線に沿う断面構造を示す断面図。 メタルマスク用基材の製造方法における金属シートを準備する工程を示す工程図。 メタルマスク用基材の製造方法における第1ドライフィルムレジストを露光する工程を示す工程図。 メタルマスク用基材の製造方法における第1ドライフィルムレジストを現像する工程を示す工程図。 メタルマスク用基材の製造方法における金属シートをエッチングする工程を示す工程図。 蒸着用メタルマスクの製造方法における第2ドライフィルムレジストを露光する工程を示す工程図。 蒸着用メタルマスクの製造方法における第2ドライフィルムレジストを現像する工程を示す工程図。 蒸着用メタルマスクの製造方法におけるメタルマスク用基材をエッチングする工程を示す工程図。 変形例におけるメタルマスク用基材の断面構造を示す断面図。 変形例におけるメタルマスク用基材の一部平面構造を示す部分平面図。 変形例におけるメタルマスク用基材の一部平面構造を示す部分平面図。 変形例におけるメタルマスク用基材の一部平面構造を示す部分平面図。 変形例におけるメタルマスク用基材の一部平面構造を示す部分平面図。 本発明のメタルマスク用基材を具体化した第2実施形態におけるメタルマスク用基材の一部断面構造を示す部分断面図。 メタルマスク用基材の製造方法における第3ドライフィルムレジストを露光する工程を示す工程図。 金属シートの表面と対向する平面視における第3マスクの平面構造を示す平面図。 メタルマスク用基材の製造方法における第3ドライフィルムレジストを現像する工程を示す工程図。 変形例におけるメタルマスク用基材の一部断面構造を示す部分断面図。 変形例におけるメタルマスク用基材の一部断面構造を示す部分断面図。
[第1実施形態]
図1から図13を参照して、本発明のメタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットを具体化した第1実施形態を説明する。以下では、メタルマスク用基材の構成、蒸着用メタルマスクの構成、メタルマスクユニットの構成、および、メタルマスク用基材の製造方法を含む蒸着用メタルマスクの製造方法を説明する。
なお、第1実施形態では、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットの一例として、有機ELディスプレイが備えるパネルに対して有機層を形成するときに用いられる蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットを説明する。
[メタルマスク用基材の構成]
図1および図2を参照して、メタルマスク用基材の構成を説明する。
図1が示すように、メタルマスク用基材10は金属製であり、マスク領域と、マスク領域以外の領域である周辺領域とを備える蒸着用メタルマスクを形成するための単一のシート基材である。蒸着用メタルマスクにおいて、マスク領域は、複数のパネル用の蒸着を一括して行うための領域であり、各パネルは複数の画素を有する。
メタルマスク用基材10は、表面10Sと、表面10Sとは反対側の面である裏面を備え、表面10Sにおいて段差によって区画されたn個のマスク領域11と、表面10Sにおいてマスク領域11以外の領域であるn個の周辺領域12とを備えている。なお、nは1以上の整数である。
各マスク領域11は、メタルマスク用基材10が複数の蒸着用メタルマスクに加工されるとき、メタルマスク用基材10の厚さ方向に沿ってマスク領域11を貫通する複数のマスク孔が形成される領域である。各マスク孔は、蒸着用メタルマスクを用いて有機層を形成するときに、蒸着源から放出された有機材料を成膜対象に向けて通す孔である。
有機層が形成されるとき、マスク領域11は、複数のパネル用の蒸着を一括して行うことが可能である。マスク領域11は、複数のパネルを形成するための1つの成膜対象に対向する状態で用いられてもよいし、各々が1つのパネルに対応する複数の成膜対象に対向する状態で用いられてもよい。
これに対して、周辺領域12は、メタルマスク用基材10の中でマスク領域11以外の領域、すなわち、蒸着用メタルマスクの備える複数のマスク孔が形成されない領域である。
メタルマスク用基材10の延びる方向が第1方向D1であり、第1方向D1と直交する方向が第2方向D2である。メタルマスク用基材10において、n個の周辺領域12は、第1方向D1に沿って連なっている。メタルマスク用基材10において、1つのマスク領域11と1つの周辺領域12とから構成される領域が、1つの蒸着用メタルマスクに相当する。
蒸着用メタルマスクの製造には、製造装置としてロールツーロール装置が用いられる。第1方向D1は、メタルマスク用基材10が複数の蒸着用メタルマスクに加工されるときに、メタルマスク用基材10がロールツーロール装置において搬送される搬送方向に平行な方向である。
メタルマスク用基材10は、第1方向D1に沿って延び、第2方向D2に沿って所定の幅を有するシート状を有している。メタルマスク用基材10において、第1方向D1に沿う長さは、第2方向D2に沿う幅に比べて大幅に大きい。
表面10Sにおいて、マスク領域11は、第1方向D1および第2方向D2の各々に沿って所定の間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素11aから構成され、周辺領域12は、表面10Sにおいて格子状を有している。
各マスク領域11は、例えば6つのマスク領域要素11aから構成されている。表面10Sと対向する平面視において、各マスク領域要素11aは四角形状を有し、X方向およびY方向に沿って等しい間隔を空けて並んでいる。複数のマスク領域要素11aは、表面10Sの縁よりも内側であって、縁から所定の間隔だけ離れた部分に位置している。
周辺領域12は、表面10Sのうち、マスク領域11以外の部分を埋める四方格子状を有し、周辺領域12は、各マスク領域要素11aにおける周方向の全体を囲んでいる。
図2が示すように、各マスク領域要素11aでの厚さは、周辺領域12での厚さよりも薄く、各マスク領域要素11aは、裏面10Rから表面10S向けた高さ位置が周辺領域12よりも低い領域である。
こうしたメタルマスク用基材10によれば、一様な厚さを有するメタルマスク用基材と比べて、周辺領域12によって蒸着用メタルマスクにおける強度の低下を抑えることができ、かつ、マスク領域11に対してマスク孔を高密度に形成することができる。そのため、蒸着用メタルマスクを用いた成膜を高精細化しつつ、蒸着用メタルマスクの強度の低下を抑えることができる。
メタルマスク用基材10に対するマスク孔の形成は、ウェットエッチングによって行われる。ウェットエッチングはメタルマスク用基材10において等方的に進行するエッチングであるため、メタルマスク用基材10の厚さが厚いほど、メタルマスク用基材10を貫通するためのエッチング量が大きい。それゆえに、マスク孔が延びる方向と直交する方向において、マスク孔が有する最小幅を所定の大きさとする前提では、最小幅以外の幅がマスク孔において大きくなる。
この点で、メタルマスク用基材10によれば、マスク領域11における厚さが周辺領域12における厚さよりも薄い。そのため、メタルマスク用基材10の全体が周辺領域12と同じ厚さを有する構成と比べて、最小幅以外の幅が小さく、マスク孔を高密度に形成することができる。
一方で、メタルマスク用基材10では、メタルマスク用基材10が薄いほど、メタルマスク用基材10の強度、ひいては、メタルマスク用基材10を用いて形成された蒸着用メタルマスクの強度が低くなる。
この点で、メタルマスク用基材10によれば、周辺領域12における厚さがマスク領域11における厚さよりも厚いため、メタルマスク用基材10の全体がマスク領域11と同じ厚さを有する構成と比べて、蒸着用メタルマスクの強度が低下することを抑えられる。
上述したように、表面10Sと対向する平面視において、周辺領域12は格子状を有している。そのため、各マスク領域11の周りが周辺領域12によって囲まれることによって、蒸着用メタルマスクの強度がマスク領域11の周方向において高められる。
メタルマスク用基材10において、マスク領域11の厚さT1は、例えば10μm以上35μm以下であることが好ましく、周辺領域12の厚さT2は、例えば15μm以上40μm以下であることが好ましい。そして、マスク領域11の厚さT1と周辺領域12の厚さT2との差が段差(T2−T1)であり、段差(T2−T1)は、例えば2μm以上5μm以下であることが好ましい。
マスク領域11の厚さT1が10μm以上35μm以下であれば、250ppi以上700ppi以下の有機ELディスプレイに対応する有機層を形成することが可能な蒸着用メタルマスクを形成することができる。
周辺領域12の厚さT2は、周辺領域12の全体においてほぼ一定であり、各マスク領域11の厚さT1は、各マスク領域11の全体においてほぼ一定である。
メタルマスク用基材10の形成材料は、インバーであることが好ましい。インバーはニッケル鉄合金であって、36質量%のニッケルを含む。インバーの熱膨張係数、すなわちメタルマスク用基材10の熱膨張係数は、1.2×10−6/℃程度である。
蒸着用メタルマスクを用いて有機層を形成するときには、成膜対象に対する成膜の精度を高める上で、成膜対象の熱膨張係数と、蒸着用メタルマスクの熱膨張係数との差が小さいことが好ましい。
蒸着用メタルマスクを用いた成膜における成膜対象がガラス基板であれば、メタルマスク用基材10の形成材料がインバーであることによって、他の金属や合金で形成された蒸着用メタルマスクと比べて、蒸着用メタルマスクとガラス基板との間における熱膨張係数の差が小さくなる。そのため、蒸着用メタルマスクを用いた成膜に際して、蒸着用メタルマスクおよびガラス基板が加熱されても、蒸着用メタルマスクとガラス基板との間にずれが生じにくくなり、結果として、ガラス基板に対する成膜の精度が高く保たれる。
[蒸着用メタルマスクの構成]
図3および図4を参照して、蒸着用メタルマスクの構成を説明する。なお、図3では、蒸着用メタルマスクが有する複数のマスク孔を図示する便宜上から、蒸着用メタルマスクにおけるマスク領域にドットが付されている。
図3が示すように、蒸着用メタルマスク20は金属製であり、表面20Sと、表面20Sとは反対側の面である裏面とを備えている。蒸着用メタルマスク20は、表面20Sにおいて段差によって区画されたマスク領域21と、表面20Sにおいて、マスク領域21以外の領域である周辺領域22とを備えている。各マスク領域21は、厚さ方向に沿って蒸着用メタルマスク20を貫通する複数のマスク孔を有している。マスク領域21は、複数のマスク領域要素21aから構成されている。
蒸着用メタルマスク20において、表面20Sがメタルマスク用基材10の表面10Sにおける一部に相当し、各マスク領域21が、メタルマスク用基材10の中の1つのマスク領域11に相当し、各マスク領域要素21aが、メタルマスク用基材10のうち、1つのマスク領域要素11aに相当する。周辺領域22が、1つの周辺領域12に相当する。
蒸着用メタルマスク20において、マスク領域21での厚さは、周辺領域22での厚さよりも薄く、マスク領域21は、裏面から表面20Sに向けた高さ位置が周辺領域22よりも低い領域である。
こうした蒸着用メタルマスク20によれば、蒸着用メタルマスク20がマスク領域21と周辺領域22とを備えるため、蒸着用メタルマスク20を用いた成膜を高精細化しつつ、蒸着用メタルマスク20の強度が低下することが抑えられる。
図4は、各マスク領域要素21aを裏面から見た平面構造を示している。
図4が示すように、各マスク領域要素21aは、複数のマスク孔23を有している。蒸着用メタルマスク20の裏面20Rと対向する平面視において、各マスク孔23は、第1方向D1に沿って延びる矩形状の領域を区画している。
複数のマスク孔23は、裏面20Rにおいて千鳥状に並んでいる。すなわち、第1方向D1に沿って並ぶ複数のマスク孔23が1つの列を構成し、第1方向D1において、複数のマスク孔23は、所定のピッチで並んでいる。そして、各列を構成する複数のマスク孔23において、第1方向D1における位置が1列おきに互いに重なる。
一方で、第2方向D2において互いに隣り合う列では、一方の列を構成する複数のマスク孔23における第1方向D1での位置に対して、他方の列を構成する複数のマスク孔23における第1方向D1での位置が、1/2ピッチ程度ずれている。
[メタルマスクユニットの構成]
図5および図6を参照して、メタルマスクユニットの構成を説明する。なお、図5では、蒸着用メタルマスクが有する複数のマスク孔を図示する便宜上から、蒸着用メタルマスクにおけるマスク領域にドットが付されている。また、図6では、図示の便宜状から、複数のマスク孔の図示が省略されている。
図5が示すように、メタルマスクユニット30は、蒸着用メタルマスク20、支持部材31、および、締結部材32を備えている。
蒸着用メタルマスク20は、上述した蒸着用メタルマスク20であり、表面20Sにおいて、マスク領域21と、マスク領域21以外の領域である周辺領域22とを備えている。周辺領域22は、表面20Sの縁に位置する縁部分22aを含み、縁部分22aは、表面20Sの縁における全体に位置している。
図6が示すように、縁部分22aは、厚さ方向に沿って縁部分22aを貫通する複数のマスク側貫通孔22bを有している。複数のマスク側貫通孔22bは、縁部分22aのうち、第1方向D1に沿って延びる部分に、所定の間隔を空けて並んでいる。
支持部材31は、表面20Sと対向する平面視において、縁部分22aと重なることによって蒸着用メタルマスク20を支持している。支持部材31は、各マスク側貫通孔22bと1つずつ重なるように位置する複数の支持側貫通孔31aを有している。
支持部材31は金属製であり、表面20Sと対向する平面視において矩形枠状を有している。蒸着用メタルマスク20がインバー製であるとき、支持部材31もインバー製であることが好ましい。支持部材31の厚さは例えば100μmであり、支持部材31が100μmの厚さを有することによって、支持部材31が蒸着用メタルマスク20を支持する上で、支持部材31の強度が好ましい大きさになる。
支持部材31の縁は、表面20Sの周方向の全体にわたって、表面20Sの縁よりも外側に位置している。支持部材31は開口31bを有し、表面20Sと対向する平面視において、開口31bは、全てのマスク領域要素21aと重なっている。複数の支持側貫通孔31aは、表面20Sと対向する平面視において、開口31bの周りのうち、第1方向D1に沿って延びる部分に沿って所定の間隔を空けて並んでいる。
各締結部材32は、1つのマスク側貫通孔22bと、表面20Sと対向する平面視において、そのマスク側貫通孔22bと重なる支持側貫通孔31aとを通り、蒸着用メタルマスク20と支持部材31とを締結している。
各締結部材32は、マスク側貫通孔22bと支持側貫通孔31aとを通ることによって、蒸着用メタルマスク20と支持部材31とを締結するように構成された部材であればよい。マスク側貫通孔22bおよび支持側貫通孔31aの各々は、支持部材31に対して蒸着用メタルマスク20を位置決めするための孔である。
蒸着用メタルマスク20が、蒸着用メタルマスク20と支持部材31とを締結するための締結部材32が通るマスク側貫通孔22bを縁部分22aに有するため、蒸着用メタルマスク20に対して締結用の貫通孔が形成されることによって、蒸着用メタルマスク20の強度が低くなることが抑えられる。
なお、メタルマスクユニット30が複数のパネル用の蒸着に用いられるとき、蒸着用メタルマスク20の裏面20Rが成膜対象と対向する状態で、メタルマスクユニット30が用いられる。
[蒸着用メタルマスクの製造方法]
図7から図13を参照して、蒸着用メタルマスク20の製造方法を説明する。なお、以下では、図7から図10を参照して、蒸着用メタルマスク20の製造に用いられるメタルマスク用基材10の製造方法を説明した後、図11から図13を参照して、メタルマスク用基材10を用いた蒸着用メタルマスク20の製造方法を説明する。また、図8および図9は、図7におけるIII−III線に沿う断面に対応する工程図であり、図11から図13は、図10における領域Aに対応する工程図である。
図7が示すように、メタルマスク用基材10を製造するときには、まず、金属シート40を準備する。金属シート40はインバー製の金属シート40であることが好ましい。金属シート40は、例えば金属製の母材を圧延することによって、所定の厚さを有するように形成された金属圧延シートである。金属シート40の厚さは、例えば15μm以上40μm以下である。
金属シート40は表面40Sを有し、表面40Sにおいて仮想的に区画された複数のマスク区画41と、マスク区画41以外の領域である周辺区画42とを備えている。各マスク区画41は、メタルマスク用基材10における1つのマスク領域要素11aに対応し、周辺区画42は、メタルマスク用基材10におけるn個の周辺領域12に対応している。
図8が示すように、金属シート40の表面40Sにおける全体に、第1ドライフィルムレジストDR1を貼り付け、第1ドライフィルムレジストDR1のうち、金属シート40に接する面とは反対側の面に、第1マスクM1を載せる。そして、第1マスクM1を用いて、第1ドライフィルムレジストDR1を露光する。
第1ドライフィルムレジストDR1の形成材料は、例えばネガ型のレジスト材料である。第1マスクM1は、金属シート40の表面40Sと対向する平面視において、複数の遮蔽部M1aと、遮蔽部M1a以外の部分である透過部M1bとを備えている。遮蔽部M1aは、第1ドライフィルムレジストDR1に対する露光光を遮蔽し、透過部M1bは露光光を透過する。
金属シート40の表面40Sと対向する平面視において、金属シート40のうち、各遮蔽部M1aと重なる部分にマスク区画41が位置し、透過部M1bと重なる位置に周辺区画42が位置している。
図9が示すように、露光後の第1ドライフィルムレジストDR1を現像し、第1レジストパターンRP1を形成する。金属シート40の表面40Sと対向する平面視において、金属シート40のうち、第1レジストパターンRP1に重なる部分が周辺区画42である。
図10が示すように、第1レジストパターンRP1を用いて金属シート40をエッチングする。金属シート40がインバー製であるとき、金属シート40のエッチングには、例えば塩化第二鉄水溶液などを用いる。
これにより、表面10Sを有するメタルマスク用基材10であって、表面10Sにおいて段差によって区画されたn個のマスク領域11と、n個の周辺領域12とを備えるメタルマスク用基材10を得ることができる。
図11が示すように、メタルマスク用基材10を用いて蒸着用メタルマスク20を製造するときには、まず、メタルマスク用基材10の表面10Sに、第2ドライフィルムレジストDR2を貼り付ける。そして、第2ドライフィルムレジストDR2のうち、メタルマスク用基材10に接する面とは反対側の面に、第2マスクM2を載せ、第2マスクM2を用いて第2ドライフィルムレジストDR2を露光する。第2ドライフィルムレジストDR2の形成材料は、第1ドライフィルムレジストDR1と同様、例えばネガ型のレジスト材料である。
第2マスクM2は、複数の遮蔽部M2aと、遮蔽部M2a以外の部分である透過部M2bとを備えている。遮蔽部M2aは、第2ドライフィルムレジストDR2の露光光を遮蔽し、透過部M2bは露光光を透過する。
第2マスクM2とメタルマスク用基材10とが重なる方向において、メタルマスク用基材10のうち、各遮蔽部M2aと重なる位置にメタルマスク用基材10を貫通する貫通孔が位置する。
上述したように、マスク領域11と周辺領域12との段差(T2−T1)は、2μm以上5μm以下であることが好ましい。段差(T2−T1)がこうした範囲に含まれることにより、メタルマスク用基材10の表面10Sが段差面であっても、段差において、第2ドライフィルムレジストDR2とメタルマスク用基材10の表面10Sとの間の隙間が、過度に大きくなることが抑えられる。
第2ドライフィルムレジストDR2の厚さは、例えば5μm以上20μm以下であることが好ましい。
第2ドライフィルムレジストDR2がメタルマスク用基材10に貼り付けられるとき、第2ドライフィルムレジストDR2は、ロールによってメタルマスク用基材10に押し付けられる。このとき、第2ドライフィルムレジストDR2が有する柔軟性によって、メタルマスク用基材10における段差(T2−T1)が吸収される。そのため、第2ドライフィルムレジストDR2のうち、メタルマスク用基材10に接する面とは反対側の面がほぼ平坦になる。それゆえに、第2ドライフィルムレジストDR2に第2マスクM2を密着させた状態で、第2ドライフィルムレジストDR2の露光を行うことができる。
図12が示すように、露光後の第2ドライフィルムレジストDR2を現像し、第2レジストパターンRP2を形成する。マスク領域11のうち、第2レジストパターンRP2の開口RP2aと重なる位置に貫通孔が形成される。
図13が示すように、第2レジストパターンRP2を用いてメタルマスク用基材10をエッチングする。メタルマスク用基材10がインバー製であるとき、メタルマスク用基材10のエッチングには、例えば塩化第二鉄水溶液などを用いる。
これにより、メタルマスク用基材10の厚さ方向に沿って、メタルマスク用基材10を貫通する複数の貫通孔13が形成される。貫通孔13では、第2方向D2に沿う幅が、裏面10Rにおいて最も小さく、かつ、裏面10Rから表面10Sに向かう方向に沿って次第に大きくなる。
そして、メタルマスク用基材10から第2レジストパターンRP2を除去し、メタルマスク用基材10の一部を所定の形状を有するように、メタルマスク用基材10から第2方向D2に沿って切り離すことによって、図3を用いて先に説明した蒸着用メタルマスク20を得ることができる。
以上説明したように、メタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットの第1実施形態によれば、以下に列挙する効果を得ることができる。
(1)一様な厚さを有するメタルマスク用基材10と比べて、周辺領域12によって蒸着用メタルマスク20における強度の低下を抑えることができ、かつ、マスク領域11に対してマスク孔23を高密度に形成することができる。そのため、蒸着用メタルマスク20を用いた成膜を高精細化しつつ、蒸着用メタルマスク20の強度の低下を抑えることができる。
(2)各マスク領域要素11aの周りが周辺領域12によって囲まれるため、蒸着用メタルマスク20の強度が各マスク領域要素11aの周方向において高められる。
(3)メタルマスク用基材10がインバー製であれば、ガラス基板に対する成膜の精度が高く保たれる。
(4)蒸着用メタルマスク20と支持部材31とを締結するための締結部材32が通るマスク側貫通孔22bを蒸着用メタルマスク20が縁部分22aに有するため、蒸着用メタルマスク20に対して締結用の貫通孔が形成されることによって、蒸着用メタルマスク20の強度が低くなることが抑えられる。
[第1実施形態の変形例]
なお、上述した第1実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・金属シート40の形成材料、ひいては、メタルマスク用基材10および蒸着用メタルマスク20の形成材料は、インバー以外の金属であってもよく、例えば、ニッケル鉄合金であって、インバーとは異なる割合でニッケルと鉄とを含む合金であってもよい。あるいは、金属シート40の形成材料は、ニッケルおよび鉄以外の金属であってもよいし、ニッケルおよび鉄以外の2種類以上の金属を含む合金であってもよい。
・図14が示すように、メタルマスク用基材50において、マスク領域51は、裏面50Rから表面50Sに向けた高さ位置に加えて、表面50Sから裏面50Rに向けた高さ位置が周辺領域52よりも低い領域であってもよい。すなわち、各マスク領域要素51aは、裏面50Rから表面50Sに向けた高さ位置に加えて、表面50Sから裏面50Rに向けた高さ位置が周辺領域52よりも低い領域であってもよい。
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(5)メタルマスク用基材50の表面50Sおよび裏面50Rの両方が段差面であるため、メタルマスク用基材50においてエッチングの対象となる面を誤ることによって、メタルマスク用基材50が所望の形状にエッチングされないことを抑えることが可能である。それゆえに、蒸着用メタルマスク20の製造における歩留まりが低くなることを抑えることができる。
(6)メタルマスク用基材50の表面50Sおよび裏面50Rの両方をエッチングすることによって、メタルマスク用基材50の厚さをより薄くすることが可能になり、結果として、メタルマスク用基材50を用いた蒸着用メタルマスクをより高精細化することが可能にもなる。
・各マスク領域要素11aは、表面10Sと対向する平面視において、四角形状以外の多角形形状や円形状を有してもよい。また、第1方向D1におけるマスク領域要素11a間の距離、および、第2方向D2におけるマスク領域要素11a間の距離の少なくとも一方には、互いに異なる2つ以上の値が含まれてもよい。こうした構成であっても、メタルマスク用基材10が、マスク領域11と周辺領域12とを備える以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
・図15が示すように、メタルマスク用基材60の表面60Sにおいて、マスク領域61は、第2方向D2に沿って延びるとともに、第1方向D1において間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素61aから構成されてもよい。周辺領域62は、第2方向D2に沿って延びるとともに、第1方向D1において間隔を空けて並ぶ複数の周辺領域要素62aから構成されてもよい。そして、マスク領域要素61aと周辺領域要素62aとは、第1方向D1において交互に並んでいてもよい。すなわち、メタルマスク用基材60を用いて形成された蒸着用メタルマスクにおいて、表面の縁の一部のみに周辺領域要素が位置してもよい。
表面60Sと対向する平面視において、マスク領域要素61aは、矩形状を有して第1方向D1において等間隔で並び、全てのマスク領域要素61aにおいて、第1方向D1に沿う長さが等しい。1つのマスク領域61は、例えば2つのマスク領域要素61aから構成され、かつ、1つの周辺領域62は、例えば3つの周辺領域要素62aから構成されている。
マスク領域61のうち、有機層が形成されるときに1つのパネルに対応する部分が仮想的な領域であるパネル領域61pであり、各マスク領域要素61aは、3つのパネル領域61pを含んでいる。なお、各マスク領域要素61aは、3以外の複数のパネル領域61pを含んでもよい。
金属シートを用いたメタルマスク用基材60の製造や、メタルマスク用基材60を用いた蒸着用メタルマスクの製造には、上述したように、ロールツーロール装置が用いられる。メタルマスク用基材60は、メタルマスク用基材60が完成した直後や、メタルマスク用基材60を用いて蒸着用メタルマスクを製造する複数の工程間において、巻芯に巻き取られることがある。
メタルマスク用基材60が巻芯に巻き取られるときには、メタルマスク用基材60が巻芯に巻き取られるに従って、巻芯とメタルマスク用基材60とを含む柱状体の直径が大きくなる。そのため、各周辺領域要素62aが、メタルマスク用基材60の延びる方向である第1方向D1と直交する第2方向D2に沿って延びていれば、巻芯の周方向において、各周辺領域要素62aが他の周辺領域要素62aと重なりにくくなる。
こうした構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(7)周辺領域要素62aが第2方向D2に沿って延びるため、蒸着用メタルマスクの製造においてメタルマスク用基材60が巻芯に巻き取られるとき、巻芯の周方向において各周辺領域要素62aが他の周辺領域要素62aに重なりにくく、それゆえに、巻芯に対するメタルマスク用基材60の巻きずれを抑えることができる。ひいては、巻きずれによってメタルマスク用基材60が損傷することが抑えられる。
・図15を用いて先に説明したメタルマスク用基材60において、第1方向D1におけるマスク領域要素61a間の距離には、互いに異なる2つ以上の距離が含まれてもよく、言い換えれば、第1方向D1に沿う周辺領域要素62aの長さには、互いに異なる2つ以上の距離が含まれてもよい。また、複数のマスク領域要素61aには、第1方向D1に沿う長さが互いに異なる2種以上のマスク領域要素61aが含まれてもよい。こうした構成であっても、各周辺領域要素62aが第2方向D2に沿って延びる以上は、上述した(7)と同等の効果を得ることはできる。
・図16が示すように、メタルマスク用基材70の表面70Sにおいて、マスク領域71は、第1方向D1に沿って延びるとともに、第2方向D2において間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素71aから構成されてもよい。そして、周辺領域72は、第1方向D1に沿って延びるとともに、第2方向D2において間隔を空けて並ぶ複数の周辺領域要素72aから構成され、第2方向D2において、マスク領域要素71aと周辺領域要素72aとが交互に並んでいてもよい。すなわち、メタルマスク用基材70を用いて形成された蒸着用メタルマスクにおいて、表面の縁の一部のみに周辺領域要素が位置してもよい。
表面70Sにおいて、複数のマスク領域要素71aは、矩形状を有して第2方向D2に沿って等間隔で並び、全てのマスク領域要素71aにおいて、第2方向D2に沿う幅が等しい。また、表面70Sにおいて、複数の周辺領域要素72aも、矩形状を有して第2方向D2に沿って等間隔で並び、全ての周辺領域要素72aにおいて、第2方向D2に沿う長さが等しい。
各マスク領域要素71aは、仮想的な領域である2つのパネル領域71pを含んでいるが、2以外の複数のパネル領域71pを含んでもよい。
こうした構成であっても、メタルマスク用基材70が周辺領域72を有する以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。ただし、メタルマスク用基材70が巻芯に巻き取られるときには、巻芯の回転軸が延びる方向において、各周辺領域要素72aの位置が固定される。そのため、巻芯の回転軸が延びる方向において、柱状体のうち、周辺領域要素72aを含む部分における直径が、マスク領域要素71aを含む部分における直径よりも大きくなる。
それゆえに、巻芯に巻かれたメタルマスク用基材70に対して、巻芯の回転軸が延びる方向に沿う力が作用すると、巻芯に対するメタルマスク用基材70の巻きずれが生じる場合がある。
図15を用いて先に説明したメタルマスク用基材60によれば、上述したように、こうした巻芯に対するメタルマスク用基材60の巻きずれが抑えられる点で、メタルマスク用基材70よりも好ましい。
・図16を用いて先に説明したメタルマスク用基材70において、第2方向D2におけるマスク領域要素71a間の距離には、互いに異なる2つ以上の距離が含まれていてもよい。言い換えれば、複数の周辺領域要素72aには、第2方向D2に沿う長さが互いに異なる2種類以上の周辺領域要素72aが含まれてもよい。また、複数のマスク領域要素71aには、第2方向D2に沿う長さが互いに異なる2種以上のマスク領域要素71aが含まれてもよい。
・第1実施形態におけるメタルマスク用基材10、図15を用いて先に説明したメタルマスク用基材60、および、図16を用いて先に説明したメタルマスク用基材70では、第1方向D1および第2方向D2の両方に沿って、メタルマスク用基材から蒸着用メタルマスクを切り離してもよい。
言い換えれば、第1実施形態におけるメタルマスク用基材10において、例えば、第1方向D1に沿って一列に並ぶ複数のマスク領域要素11aが1つのマスク領域11として設定されてもよい。そして、表面10Sと対向する平面視において、各マスク領域要素11aを囲む領域であって、第1方向D1に沿って延びるはしご状を有する部分が周辺領域12として設定されてもよい。
また、図15を用いて先に説明したメタルマスク用基材60において、例えば、第1方向D1に沿って一列に並ぶ複数のマスク領域要素61aが1つのマスク領域61として設定されてもよい。そして、第1方向D1においてマスク領域61を挟む2つの周辺領域要素62aが周辺領域として設定されてもよい。
さらにまた、図16を用いて先に説明したメタルマスク用基材70において、例えば、第1方向D1に沿って並ぶ複数のパネル領域71pを含む1つのマスク領域要素71aが1つのマスク領域71として設定されてもよい。そして、第2方向D2においてマスク領域71を挟む周辺領域要素72aが、周辺領域72として設定されてもよい。
こうした構成のいずれであっても、メタルマスク用基材がマスク領域と周辺領域とを備える以上は、上述した(1)と同等の効果を得ることはできる。
・図17が示すように、メタルマスク用基材80は、第1方向D1に沿って並ぶn個のマスク領域81と、各マスク領域81の周りを囲むn個の周辺領域82とを備えてもよい。
表面80Sと対向する平面視において、各マスク領域81は矩形状を有し、第1方向D1に沿って等しい間隔を空けて並んでいる。周辺領域82は、表面80Sと対向する平面視において、矩形環状を有している。各マスク領域81は、仮想的な領域である例えば6つのパネル領域81pを含んでいるが、6以外の複数のパネル領域81pを含んでもよい。
こうした構成によっても、上述した(1)および(2)と同等の効果を得ることはできる。
・図18が示すように、メタルマスク用基材10は、複数のセンサーマーク14を表面10Sに有してもよい。各センサーマーク14は、例えば、表面10Sにおける他の部分と比べて、表面粗さを大きくした部分である。
周辺領域12のうち、表面10Sの縁に位置する部分が縁部分12aであり、複数のセンサーマーク14は、縁部分12aにおいて、第1方向D1に沿って等しい間隔を空けて並んでいる。第1方向D1において、複数のセンサーマーク14の並ぶピッチがマークピッチPである。
蒸着用メタルマスク20を製造するためのロールツーロール装置は、センサーマーク14を検出する検出部と、第2ドライフィルムレジストDR2に対して露光光を照射する露光部とを備えている。
第2ドライフィルムレジストDR2を露光する工程において、露光部は、1回の露光によって、第1方向D1における所定の長さに含まれる第2ドライフィルムレジストDR2にのみ露光光を照射することができる。マークピッチPは、第1方向D1において、1回の露光によって光を照射することが可能な長さに等しい。
検出部は、蒸着用メタルマスクに対して光を当てる照射部と、蒸着用メタルマスクから射出された光を受ける受光部とを備えている。検出部において、照射部と受光部とは同軸上に位置してもよく、照射部と受光部とが位置する軸は、メタルマスク用基材10の表面10Sと所定の角度を形成している。または、照射部の位置する軸と、受光部の位置する軸とは、メタルマスク用基材10の表面10Sと形成する角度が互いに異なってもよく、この場合には、受光部は、照射部がメタルマスク用基材10に向けて照射した光の正反射方向に重ならないように位置する必要がある。
照射部と受光部とが同軸上に位置する構成では、照射部が、メタルマスク用基材10のうち、センサーマーク14以外の部分に光を当てたときには、メタルマスク用基材10に当たった光はほぼ正反射するため、受光部は、メタルマスク用基材10の射出した光のほとんどを受けることができない。これに対して、照射部がセンサーマークに光を当てたときには、センサーマーク14に当たった光が散乱するため、受光部が受ける光の光量が、照射部がセンサーマーク以外の部分に光を当てたときよりも大きくなる。検出部は、こうした光量の違いに基づき、センサーマーク14を検出することができる。
ロールツーロール装置は、第2ドライフィルムレジストDR2を露光する工程において、露光部に対して、マークピッチPごとにメタルマスク用基材10を搬送する。これにより、露光部は、第1方向D1に沿って隙間が形成されないように第2ドライフィルムレジストDR2に対して露光光を照射することができる。
・複数のマスク孔23は、第1方向D1および第2方向D2の各々に沿って等間隔で並んでいてもよい。
・各マスク領域要素21aにおいて、蒸着用メタルマスク20における他の部分よりも厚さの薄い領域における縁が、マスク領域要素21aの縁である。マスク領域要素21aの縁と、そのマスク領域要素21a内に位置するマスク孔23との間の距離は、マスク孔23の繰り返される距離であるピッチよりも大きいことが好ましい。また、マスク領域要素21aの縁と、そのマスク領域要素21a内に位置するマスク孔23との間の距離は、マスク孔23の繰り返される距離であるピッチの2倍よりも大きいことが好ましい。
ここで、マスク領域要素11aの縁やその周辺は、上述したように、ドライフィルムレジストの剥がれや、マスク領域要素11aと周辺領域12との段差に追従したドライフィルムレジストの折れなどが生じやすい部位であり、マスク領域要素11aの中央などと比べて、そこにおける加工の精度も低くなりやすい。
この点で、マスク領域要素21aの縁と、そのマスク領域要素21a内に位置するマスク孔23との間の距離が、マスク孔23の繰り返される距離であるピッチよりも大きい、さらには、ピッチの2倍よりも大きい構成であれば、マスク孔23における加工精度の低下を抑えることが可能ともなる。
・複数のマスク側貫通孔22bは、蒸着用メタルマスク20の縁における周方向の全体に位置してもよい。あるいは、複数のマスク側貫通孔22bは、蒸着用メタルマスク20の縁のうち、表面20Sと対向する平面視において、第2方向D2において向かい合う部分のみに位置してもよい。
こうした構成においても、複数のマスク側貫通孔22bが縁部分22aに位置する以上は、上述した(4)と同等の効果を得ることはできる。
・支持部材31は、矩形枠状を有する構成に限らず、例えば、第1方向D1に沿って並ぶ2つの部材から構成されてもよいし、第2方向D2に沿って並ぶ2つの部材から構成されてもよい。あるいは、支持部材31は、第1方向D1と交差する方向に沿って並ぶ2つの部材によって構成されてもよい。
・金属シート40は、圧延によって所定の厚さを有するように引き延ばされたシートに限らず、他の方法、例えばウェットエッチングによって所定の厚さを有するようにエッチングされた金属シートであってもよい。また、金属シート40は、電気鋳造製の金属シートであってもよいし、電解めっき製の金属シートであってもよい。
・メタルマスク用基材10をエッチングするときには、マスク領域要素11aごとに1枚のドライフィルムレジストを貼り付けてもよい。こうした構成であれば、ドライフィルムレジストの厚さが、上述した段差(T2−T1)以下であることによって、ドライフィルムレジストが貼り付けられた後において、メタルマスク用基材10の表面10Sにおける段差を小さくすることができる。
なお、マスク領域要素11aごとにドライフィルムレジストを貼り付ける場合であれば、段差(T2−T1)は、5μm以上15μm以下の範囲であってもよい。こうした場合でも、ドライフィルムレジストが貼り付けられたメタルマスク用基材10において、メタルマスク用基材10の表面10Sの一部とドライフィルムレジストとによって構成される面をほぼ平坦な面とすることが可能になる。そのため、ドライフィルムレジストとマスクとを密着させた状態で、ドライフィルムレジストを露光することが可能にもなる。
・第1ドライフィルムレジストDR1の形成材料、および、第2ドライフィルムレジストDR2の形成材料は、ポジ型のレジスト材料であってもよい。また、金属シート40およびメタルマスク用基材10の各々のエッチングに用いられるレジストは、ドライフィルムレジストに限らず、金属シート40の表面40S、および、メタルマスク用基材10の表面10Sに対して、レジスト材料を含む塗液が塗布されることによって形成されてもよい。
[第2実施形態]
図19から図22を参照して、本発明のメタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットの第2実施形態を説明する。なお、第2実施形態は、第1実施形態と比べて、メタルマスク用基材におけるマスク領域と周辺領域との境界の形状が異なり、ひいては、蒸着用メタルマスクにおけるマスク領域と周辺領域との境界の形状が異なっている。
そのため、以下では、こうした相違点を詳しく説明し、メタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットの各々におけるそれ以外の部分の説明を省略する。また、蒸着用メタルマスクにおけるマスク領域と周辺領域との境界の形状は、メタルマスク用基材におけるマスク領域と周辺領域との境界の形状に相当するため、以下では、メタルマスク用基材の構成と、メタルマスク用基材の製造方法とのみを詳しく説明する。
[メタルマスク用基材の構成]
図19を参照してメタルマスク用基材の構成を説明する。
図19が示すように、メタルマスク用基材90は、第1実施形態のメタルマスク用基材10と同様、表面90Sにおいて段差によって区画されたn個のマスク領域91と、n個の周辺領域92を備えている。
各マスク領域91は、裏面90Rから表面90Sに向けた高さ位置が周辺領域92よりも低い領域である。周辺領域92の中で、マスク領域91に繋がる部分は傾斜領域92aであり、傾斜領域92aにおいて、マスク領域91に近い部位ほど厚さが薄い。周辺領域92の中で、傾斜領域92a以外の領域が平坦領域92bであり、平坦領域92bの厚さは、平坦領域92bの全体においてほぼ等しい。
メタルマスク用基材90では、マスク領域91と周辺領域92との間の段差において、周辺領域92の厚さがマスク領域91の厚さに向けて徐々に小さくなる。そのため、蒸着用メタルマスクの製造に際して、メタルマスク用基材90をエッチングするときにドライフィルムレジストを用いても、マスク領域91と周辺領域92との段差において、ドライフィルムレジストとメタルマスク用基材90との間に隙間が生じることが抑えられる。それゆえに、メタルマスク用基材90がエッチングされる間に、ドライフィルムレジストの一部がメタルマスク用基材90から剥がれることが抑えられる。
傾斜領域92aにおける厚さの変化量は、傾斜領域92aのうち、マスク領域91に近い部位ほど大きい。そのため、傾斜領域92aにおける厚さの変化量が、傾斜領域92aのうち、平坦領域92bに近い部位ほど大きい構成と比べて、周辺領域92からマスク領域91に向かう方向において、平坦領域92bと傾斜領域92aとの境界において、傾斜領域92aの厚さが急激に変わりにくい。それゆえに、マスク領域91と周辺領域92との段差において、ドライフィルムレジストとメタルマスク用基材90との間に隙間がより形成されにくくなる。
[メタルマスク用基材の製造方法]
図20および図22を参照して、メタルマスク用基材90の製造方法を説明する。以下では、メタルマスク用基材の製造方法のうち、ドライフィルムレジストを露光する工程と、ドライフィルムレジストを現像する工程とを説明する。
図20が示すように、メタルマスク用基材90を製造する際には、まず、金属シート100を準備し、金属シート100の表面100Sに第3ドライフィルムレジストDR3を貼り付ける。第3ドライフィルムレジストDR3の形成材料は、第1ドライフィルムレジストと同様、ネガ型のレジスト材料である。そして、第3ドライフィルムレジストDR3のうち、金属シート100に接する面とは反対側の面に第3マスクM3を載せる。
第3マスクM3は、複数の遮蔽部M3a、複数の網点部M3b、および、透過部M3cを備えている。金属シート100の表面100Sと対向する平面視において、金属シート100のうち、第3マスクM3の遮蔽部M3aと重なる部分がマスク区画101であり、網点部M3bと重なる部分が傾斜区画102であり、透過部M3cと重なる部分が平坦区画103である。
図21には、金属シート100の表面100Sと対向する平面視における第3マスクM3の平面構造が示されている。なお、図21では、第3マスクM3の各部分における光の透過度合いの違いを図示する便宜上から、第3マスクM3の一部にドットが付されている。
図21が示すように、第3マスクM3は、複数の遮蔽部M3a、複数の網点部M3b、および、透過部M3cを有している。金属シート100の表面100Sと対向する平面視において、複数の遮蔽部M3aは、第1方向D1および第2方向D2の各々に沿って等間隔で並び、各網点部M3bは、他の全ての網点部M3bとは異なる1つの遮蔽部M3aの周りを囲んでいる。第3マスクM3において、遮蔽部M3aおよび網点部M3b以外の部分が透過部M3cである。
網点部M3bは、金属シート100の表面100Sと対向する平面視において、複数の遮蔽部分と、複数の遮蔽部分以外の透過部分とを備えている。各遮蔽部分と透過部分とは第3マスクM3の厚さ方向の全体にわたって位置している。網点部M3bにおいて、遮蔽部M3aに近い部位ほど、網点部M3bに占める遮蔽部分の密度が高い。
第3マスクM3を用いて第3ドライフィルムレジストDR3を露光すると、金属シート100の表面100Sと対向する平面視において、第3ドライフィルムレジストDR3のうち、網点部M3bと重なる部分では、遮蔽部M3aと重なる部分に近い部位ほど、単位面積当たりの光の照射量が小さくなる。
図22が示すように、第3ドライフィルムレジストDR3を現像すると、第3レジストパターンRP3が形成される。第3レジストパターンRP3は、第3マスクM3の網点部M3bを介して露光された部分である網点レジスト部RP3aと、第3マスクM3の透過部M3cを介して露光された部分であるレジスト部RP3bとを備えている。
網点レジスト部RP3aでは、レジスト部RP3bに近い部位ほど、金属シート100の表面100Sと対向する平面視において、単位面積当たりにおけるレジスト材料の占める面積が大きい。
そのため、こうした第3レジストパターンRP3を用いて金属シート100をエッチングすることによって、図19を用いて先に説明したメタルマスク用基材90、すなわち、傾斜領域92aを含む周辺領域92を有したメタルマスク用基材90を形成することができる。
また、こうしたメタルマスク用基材90を用いて蒸着用メタルマスクを製造することによって、周辺領域の中で、マスク領域に繋がる部分に傾斜領域を有した蒸着用メタルマスクを製造することができる。
以上説明したように、メタルマスク用基材、蒸着用メタルマスク、および、メタルマスクユニットの第2実施形態によれば、上述した第1実施形態の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(8)マスク領域91と周辺領域92との段差において、ドライフィルムレジストとメタルマスク用基材90との間に隙間が生じることが抑えられるため、メタルマスク用基材90がエッチングされる間に、ドライフィルムレジストの一部がメタルマスク用基材90から剥がれることが抑えられる。
[第2実施形態の変形例]
なお、上述した第2実施形態は、以下のように適宜変更して実施することもできる。
・図23が示すように、メタルマスク用基材110の備える周辺領域112のうち、マスク領域111に繋がる傾斜領域112aは、以下の構成であってもよい。すなわち、傾斜領域112aにおいて、マスク領域111に近い部位ほど厚さが薄く、かつ、平坦領域112bに近い部位ほど、厚さの変化量が大きい構成であってもよい。
こうした構成であっても、メタルマスク用基材110が傾斜領域112aを有する以上は、上述した(8)と同等の効果を得ることはできる。ただし、上述したように、マスク領域と周辺領域との段差において、ドライフィルムレジストの剥がれを抑える上では、傾斜領域において、平坦領域に近い部位ほど、厚さの変化量が小さいことが好ましい。
・図24が示すように、メタルマスク用基材120の備える周辺領域122のうち、マスク領域121に繋がる傾斜領域122aは、以下の構成であってもよい。すなわち、傾斜領域122aにおいて、マスク領域121に近い部位ほど厚さが薄く、かつ、平坦領域122bに繋がる部分からマスク領域121に繋がる部分までにわたって、厚さの変化量が一定であってもよい。こうした構成であっても、メタルマスク用基材10が傾斜領域122aを有する以上は、上述した(8)と同等の効果を得ることはできる。
・メタルマスク用基材は、傾斜領域として、第2実施形態にて説明した傾斜領域、図23を用いて先に説明した傾斜領域、および、図24を用いて先に説明した傾斜領域のうちの2つ以上を備えてもよい。こうした構成であっても、メタルマスク用基材が傾斜領域を有する以上は、上述した(8)と同等の効果を得ることはできる。
・第2実施形態におけるメタルマスク用基材90、図23を用いて先に説明したメタルマスク用基材110、および、図24を用いて先に説明したメタルマスク用基材120の各々では、傾斜領域と傾斜領域に繋がるマスク領域要素との境界が、マスク領域要素の縁である。そして、メタルマスク用基材90,110,120を用いて形成された蒸着用メタルマスクにおいても、第1実施形態の蒸着用メタルマスク20と同様、マスク領域要素の縁と、そのマスク領域要素内に位置するマスク孔との間の距離は、マスク孔の繰り返される距離であるピッチよりも大きいことが好ましい。また、マスク領域要素の縁と、そのマスク領域要素内に位置するマスク孔との間の距離は、マスク孔の繰り返される距離であるピッチの2倍よりも大きいことが好ましい。
・第3ドライフィルムレジストDR3の形成材料は、ポジ型のレジスト材料であってもよい。また、メタルマスク用基材90のエッチングに用いられるレジストは、ドライフィルムレジストに限らず、メタルマスク用基材90に対して、レジスト材料を含む塗液が塗布されることによって形成されてもよい。
・第2実施形態の構成、および、第2実施形態の変形例の構成の各々は、第1実施形態の変形例の構成と適宜組み合わせて実施することもできる。
10,50,60,70,80,90,110,120…メタルマスク用基材、10S,20S,40S,50S,60S,70S,80S,90S,100S…表面、10R,20R,50R,90R…裏面、11,21,51,61,71,81,91,111,121…マスク領域、11a,21a,51a,61a,71a…マスク領域要素、12,22,52,62,72,82,92,112,122…周辺領域、12a,22a…縁部分、13…貫通孔、14…センサーマーク、20…蒸着用メタルマスク、22b…マスク側貫通孔、23…マスク孔、30…メタルマスクユニット、31…支持部材、31a…支持側貫通孔、31b,RP2a…開口、32…締結部材、40,100…金属シート、41,101…マスク区画、42…周辺区画、61p,71p,81p…パネル領域、62a,72a…周辺領域要素、92a,112a,122a…傾斜領域、92b,112b,122b…平坦領域、102…傾斜区画、103…平坦区画、DR1…第1ドライフィルムレジスト、DR2…第2ドライフィルムレジスト、DR3…第3ドライフィルムレジスト、M1…第1マスク、M2…第2マスク、M3…第3マスク、M1a,M2a,M3a…遮蔽部、M1b,M2b,M3c…透過部、M3b…網点部、RP1…第1レジストパターン、RP2…第2レジストパターン、RP3…第3レジストパターン、RP3a…網点レジスト部、RP3b…レジスト部。

Claims (8)

  1. 各々が複数の画素を有する複数のパネル用の蒸着を一括して行うためのマスク領域と、蒸着用メタルマスクにおいて前記マスク領域以外の領域である周辺領域とを備える蒸着用メタルマスクを形成するための金属製の単一のシート状を有したメタルマスク用基材であって、
    表面と、前記表面とは反対側の面である裏面と、を備え、
    前記表面において区画されたn個(nは1以上の整数)の前記マスク領域と、
    前記表面において前記マスク領域以外の領域であるn個の前記周辺領域と、を備え、
    前記マスク領域の厚さは、前記周辺領域の厚さよりも薄く、
    前記マスク領域は、前記複数の画素を形成するための複数のマスク孔を有さず、かつ、前記裏面から前記表面に向けた高さ位置が前記周辺領域よりも低い領域である
    メタルマスク用基材。
  2. 前記メタルマスク用基材の延びる方向が第1方向であり、
    前記第1方向と直交する方向が第2方向であり、
    前記マスク領域は、前記第1方向および前記第2方向の各々に沿って所定の間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素から構成され、
    前記周辺領域は、前記表面において格子状を有する
    請求項1に記載のメタルマスク用基材。
  3. 前記メタルマスク用基材の延びる方向が第1方向であり、
    前記第1方向と直交する方向が第2方向であり、
    前記マスク領域は、前記第2方向に沿って延びるとともに、前記第1方向において間隔を空けて並ぶ複数のマスク領域要素から構成され、
    前記周辺領域は、前記第2方向に沿って延びるとともに、前記第1方向において間隔を空けて並ぶ複数の周辺領域要素から構成され、
    前記マスク領域要素と前記周辺領域要素とは、前記第1方向において交互に並んでいる
    請求項1に記載のメタルマスク用基材。
  4. 前記周辺領域の中で、前記マスク領域に繋がる部分は、前記マスク領域に近い部位ほど
    厚さが薄い傾斜領域である
    請求項1から3のいずれか一項に記載のメタルマスク用基材。
  5. 前記マスク領域は、前記表面から前記裏面に向けた高さ位置が前記周辺領域より低い領域である
    請求項1から4のいずれか一項に記載のメタルマスク用基材。
  6. 前記メタルマスク用基材の形成材料は、インバーである
    請求項1から5のいずれか一項に記載のメタルマスク用基材。
  7. 各々が複数の画素を有する複数のパネル用の蒸着を一括して行うためのマスク領域と、蒸着用メタルマスクにおいて前記マスク領域以外の領域である周辺領域と
    を備える金属製の単一のシート状を有した蒸着用メタルマスクであって、
    表面と、前記表面とは反対側の面である裏面と、を備え、
    前記マスク領域は前記表面において区画され、厚さ方向に沿って前記マスク領域を貫通する複数のマスク孔を有し、
    前記周辺領域は、前記表面において前記マスク領域以外の領域であり、
    前記マスク領域の厚さは、前記周辺領域の厚さよりも薄く、
    前記マスク領域は、前記裏面から前記表面に向けた高さ位置が前記周辺領域よりも低い領域であり、
    前記表面は、前記マスク領域のなかで前記複数のマスク孔が形成された部分よりも外側の部分と、前記周辺領域との間において段差を有する
    蒸着用メタルマスク。
  8. 各々が複数の画素を有する複数のパネル用の蒸着を一括して行うためのマスク領域と、蒸着用メタルマスクにおいて前記マスク領域以外の領域である周辺領域と
    を備える金属製の単一のシート状を有した蒸着用メタルマスクであって、
    表面と、前記表面とは反対側の面である裏面と、を備え、
    前記マスク領域は前記表面において区画され、厚さ方向に沿って前記マスク領域を貫通する複数のマスク孔を有し、
    前記周辺領域は、前記表面において前記マスク領域以外の領域であり、前記表面の縁における少なくとも一部に位置する縁部分であって、厚さ方向に沿って前記縁部分を貫通する複数のマスク側貫通孔を有した前記縁部分を含み、
    前記マスク領域の厚さは、前記周辺領域の厚さよりも薄く、前記マスク領域は、前記裏面から前記表面に向けた高さ位置が前記周辺領域よりも低い領域である前記蒸着用メタルマスクと、
    前記表面と対向する平面視において、前記縁部分と重なることによって前記蒸着用メタルマスクを支持するとともに、前記各マスク側貫通孔と1つずつ重なるように位置する複数の支持側貫通孔を有する支持部材と、
    前記マスク側貫通孔と前記支持側貫通孔とを通り、前記蒸着用メタルマスクと前記支持部材とを締結する締結部材と、を備え
    前記表面は、前記マスク領域のなかで前記複数のマスク孔が形成された部分よりも外側の部分と、前記周辺領域との間において段差を有する
    メタルマスクユニット。
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