以下、実施形態の画像センサ、危機管理システム、検知方法及び危機管理方法を、図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の危機管理システム100の概略を示す図である。危機管理システム100の管理対象は、有毒ガスが発生する可能性のある研究所等の建物であり、このような建物には通常のビル機器(例えば、照明設備や空調設備等)に加えて、有毒ガスを検知するガス検知器や、有毒ガスの発生による注意喚起や避難指示を行うための警報器等の機器が設置される。例えば、図1に示されるフロアAは、危機管理システム100の管理対象となる建物内の空間の一例であり、その天井には、画像センサ1−1及び1−2、空調設備21−1及び21−2、照明設備22−1及び22−2、ガス検知器3−1及び3−2、警報器4−1及び4−2が設置されている。以下、特に区別する必要が無い限り、画像センサ1−1及び1−2を画像センサ1、空調設備21−1及び21−2を空調設備21、照明設備22−1及び22−2を照明設備22、ガス検知器3−1及び3−2をガス検知器3、警報器4−1及び4−2を警報器4とそれぞれ記載する。
画像センサ1は、撮像対象の空間(以下「対象空間」という。)を撮像することにより、対象空間の画像データを取得する。画像センサ1は、取得した画像データに基づいて、対象空間に関する種々の事象を示す空間情報を取得する。例えば、図1の例では、画像センサ1−1の対象空間としてA1が、画像センサ1−2の対象空間としてA2が示されている。画像センサ1は、取得した画像データや空間情報を、図示しない機器制御装置や危機管理装置に送信する。
機器制御装置は、照明設備や空調設備等の通常のビル機器を制御する装置である。例えば、機器制御装置は、BEMS(Building Energy Management System:ビルエネルギー管理システム)やBAS(Building Automation System:ビル監視システム)等のシステムによって実現されてもよい。機器制御装置は、画像センサ1から取得される空間情報に基づいて各対象空間が所望の状態に維持されるように各種ビル機器を制御する。
危機管理装置は、建物内の危機管理を支援する種々の情報(以下「危機管理情報」という。)の生成や表示等の処理を行う装置である。危機管理装置は、画像センサ1から取得される空間情報に基づいて危機管理情報を生成する。例えば、危機管理装置は、生成した危機管理情報を、建物の監視員等が操作する監視端末や警報器4等の装置に送信する。このような危機管理情報の送信により、例えば、監視員は監視端末に表示された危機管理情報を確認することにより、建物における危機管理の状態を把握することができる。また、危機管理情報は、監視員に対して提供されるだけでなく、建物内の避難者に対して提供されてもよい。例えば、建物内の人は警報器4によって報知される情報によって、建物における危機管理の状態を把握することができる。警報器4は、音声によって危機管理情報を報知するものであってもよいし、ディスプレイ等への表示によって危機管理情報を報知するものであってもよい。
ガス検知器3は、有毒ガスを検知するセンサである。ガス検知器3は、有毒ガスを検知すると、有毒ガスが検知されたことを示すガス検知通報を各画像センサ1及び危機管理装置に送信する。なお、ガス検知器3は、人体に悪影響をもたらす可能性のあるガスに関する事象を検知するものであれば、有毒ガスを検知するものに限定されない。例えば、ガス検知器3は、人体に必要な酸素の濃度が所定値以下に低下していることを検知するものであってもよい。この場合、ガス検知器3は、上記のガス検知通報を、酸素濃度の低下を示す通報として送信してもよい。
警報器4は、危機管理装置から危機管理情報を受信し、受信した危機管理情報によって示される各種情報を周囲に報知する動作を行う。例えば、警報器4は、情報を音声によって報知してもよいし、ランプの点消灯や表示装置を用いた表示等によって情報の報知を行ってもよい。
図2は、第1の実施形態の危機管理システム100のシステム構成の具体例を示す図である。危機管理システム100は、一以上の画像センサ1、ビル機器2、ガス検知器3及び警報器4と、機器制御装置20、危機管理装置30(危機管理部)及び監視端末40と、を備える。ビル機器2は、空調設備21や照明設備22等の通常のビル機器を表す。画像センサ1、ビル機器2、ガス検知器3、警報器4、機器制御装置20、危機管理装置30及び監視端末40はネットワーク50に接続され、ネットワーク50を介して互いに通信可能である。図2には、一以上の画像センサ1、ビル機器2、ガス検知器3及び警報器4の一例として、画像センサ1−1〜1−K、ビル機器2−1〜2−L、ガス検知器3−1〜3−M、警報器4−1〜4−Nが示されている。ここで、K、L、M及びNはそれぞれ一以上の整数である。
図3は、第1の実施形態の画像センサ1の機能構成の具体例を示すブロック図である。画像センサ1は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、画像センサプログラムを実行する。画像センサ1は、画像センサプログラムの実行によって通信部101、撮像部102、記憶部103、空間情報取得部104、センサ情報送信部105及び設定変更部106を備える装置として機能する。なお、画像センサ1の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。画像センサプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。画像センサプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部101は、自装置をネットワーク50に接続するための通信インターフェースを用いて構成される。通信部101は、ネットワーク50を介して、危機管理システム100を構成する各種装置と通信する。
撮像部102は、カメラ等の撮像装置を用いて構成される。撮像部102は、対象空間が撮像可能な位置及び向きに設置され、設置位置での撮像動作により、対象空間が撮像された画像データを取得する。撮像部102は、取得した画像データを記憶部103に記憶させる。
記憶部103は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部103は撮像部102によって取得された画像データを記憶する。
空間情報取得部104は、撮像部102によって取得された対象空間の画像データに基づいて対象空間に関する空間情報を取得する。具体的には、空間情報取得部104は、人物情報取得部111及び環境情報取得部112を備える。人物情報取得部111は、対象空間の画像データに基づいて人物情報を取得する。人物情報は、対象空間における人物に関する情報である。例えば、人物情報は、対象空間における人の在又は不在、活動量、人数、混雑度、移動方向等を示す情報である。環境情報取得部112は、対象空間の画像データに基づいて環境情報を取得する。環境情報は、対象空間における人物以外に関する情報である。例えば、環境情報は、対象空間の明るさやレイアウト等を示す情報である。空間情報取得部104は、人物情報取得部111によって取得される人物情報と、環境情報取得部112によって取得される環境情報と、を空間情報として取得し、取得した空間情報をセンサ情報送信部105に出力する。
センサ情報送信部105は、撮像部102によって取得された画像データ又は空間情報取得部104によって取得された空間情報を、自装置のセンサ情報として機器制御装置20及び危機管理装置30に送信する。
設定変更部106は、通信部101を介してガス検知通報を受信可能であり、ガス検知通報の受信に応じて、センサ情報の取得又は送信に関する設定を変更する。具体的には、設定変更部106は、撮像部102、空間情報取得部104又はセンサ情報送信部105の動作に関する設定を変更する。例えば、設定変更部106は、撮像部102の動作に関する設定として、フレームレートやゲイン、シャッタースピード、ダイナミックレンジ等のカメラパラメータを変更可能に構成される。また、例えば、設定変更部106は、撮像部102の電源状態(ON又はOFF)を変更可能に構成されてもよい。
また、例えば、設定変更部106は、空間情報取得部104の動作に関する設定として、空間情報の取得に用いる画像の範囲や、空間情報を取得する処理の感度(以下「処理感度」という。)、空間情報として取得すべき情報の種別等の設定を変更可能に構成される。ここでいう処理感度とは、空間情報として取得される情報の粒度や範囲等を定める設定値である。例えば、画像のフレーム間差分に基づいて被写体の動きを検出する場合、処理感度は動きの有無の判定結果を分ける差分量の閾値となる。
また、例えば、設定変更部106は、センサ情報送信部105の動作に関する設定として、センサ情報として送信されるべき情報の種別や、センサ情報を送信するか否か等の設定を変更可能に構成される。例えば、設定変更部106は、ガス検知通報が受信された場合には、危機管理情報の生成に必要な空間情報がセンサ情報として送信されるような設定(第二の設定の一例)に変更してもよいし、目視確認のための画像データがセンサ情報として送信されるような設定(第二の設定の一例)に変更してもよい。一方、設定変更部106は、ガス検知通報が受信されていない場合には、これらの情報が送信されないような設定(第一の設定の一例)に変更してもよい。例えば、設定変更部106は、ガス検知通報が受信されていない場合には、照明や空調等の省エネルギー化を実現するために必要な空間情報のみが送信されるような設定(第一の設定の一例)に設定を変更してもよい。
以下、第1の実施形態の危機管理システム100において取得される空間情報の具体例について説明する。第1の実施形態における画像センサ1の空間情報取得部104は、建物内において有毒ガスが検知されたことに応じて、画像データに基づいて、対象空間における人に関する情報を空間情報として取得する。より具体的には、空間情報取得部104は、少なくとも逃げ遅れ情報、倒れ情報及び混雑度の一部又は全部を空間情報として取得する。
(1)逃げ遅れ情報
逃げ遅れ情報は、対象空間内において逃げ遅れている人の有無を示す情報である。具体的には、空間情報取得部104は、対象空間における人の動きの有無によって、逃げ遅れている人の有無を検知する。この場合、対象空間における人の動きの有無は人物情報取得部111によって検出される。例えば、人物情報取得部111は、連続して取得された画像データのフレーム間差分によって人の動きの有無を検出する。人物情報取得部111は、対象空間における人の動きが検出された場合には逃げ遅れている人が存在すると判定し、人の動きが検出されなかった場合には逃げ遅れている人は存在しないと判定する。
(2)倒れ情報
倒れ情報は、対象空間内において倒れている人の有無を示す情報である。具体的には、空間情報取得部104は、対象空間における静止している人物(以下「静止人物」という。)の有無によって、倒れている人の有無を検知する。この場合、対象空間における静止人物の有無は人物情報取得部111によって検出される。例えば、人物情報取得部111は、連続して取得された画像データ間における背景差分の変化やエッジ分布の変化に基づいて静止人物の有無を検出する。具体的には、人物情報取得部111は、背景差分やエッジ分布の変化が大きい領域を、静止人物が撮像された領域として検出する。人物情報取得部111は、対象空間における静止人物が検出された場合には倒れた人が存在すると判定し、静止人物が検出されなかった場合には倒れた人が存在しないと判定する。
このような、背景差分やエッジ分布の変化に基づく静止人物の検出では、他に物体が存在しない場所において倒れた人物をより効果的に検出することができる。そのため、人物情報取得部111は、通路等の輝度変化が小さい領域のみを対象として静止人物を検出してもよい。例えば、この場合、人物情報取得部111は、人物以外で輝度変化が大きい机上等の領域をフロアレイアウトなどの情報に基づいて識別し、それらの領域の輝度変化が人物の輝度変化として検出されないように、それらの領域にマスク処理を施してもよい。
また、例えば、人物情報取得部111は、対象空間において倒れている人を、画像データのパターン認識によって検出してもよい。この場合、人物情報取得部111は、倒れている人の画像の特徴量を予め学習しておき、検出対象の画像の特徴量を、学習されている画像の特徴量と比較することによって、検出対象の画像から倒れている人を検出する。画像から抽出される特徴量には、累積差分等の輝度変化に関する特徴量が用いられてもよいし、CoHOG(Co-occurrence Histograms of Oriented Gradients)等の輝度分布に関する特徴量が用いられてもよい。また、特徴量に基づいて人を識別する手法には、ニューラルネットワークやSVM(Support Vector Machine)、k近傍識別器、ベイズ分類等の手法が用いられてもよい。
(3)混雑度
混雑度は、対象空間における人の混み具合を示す情報である。具体的には、空間情報取得部104は、対象空間において検出された人の動きの分布に基づいて対象空間の混雑度を推定する。この場合、対象空間の混雑度は人物情報取得部111によって推定される。例えば、人物情報取得部111は、逃げ遅れ情報の取得と同様の方法で対象空間の画像データから人の動きを検出する。人物情報取得部111は、人の動きが検出された領域の分布に基づいて対象空間の混雑度を推定する。
図4は、第1の実施形態の機器制御装置20の機能構成の具体例を示すブロック図である。機器制御装置20は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。機器制御装置20は、プログラムの実行によって通信部201、記憶部202、センサ情報取得部203及び機器制御部204を備える装置として機能する。なお、機器制御装置20の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部201は、自装置をネットワーク50に接続するための通信インターフェースを用いて構成される。通信部201は、ネットワーク50を介して、危機管理システム100を構成する各種装置と通信する。
記憶部202は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部202は、センサ情報を記憶する。具体的には、センサ情報は、画像センサ1から取得される画像データ及び空間情報である。記憶部202は、取得されたセンサ情報を、そのセンサ情報を取得した画像センサ1と対応づけて記憶する。
センサ情報取得部203は、各画像センサ1からセンサ情報を取得する。センサ情報取得部203は、取得したセンサ情報を記憶部202に記憶させる。
機器制御部204は、各画像センサ1から取得された空間情報に基づいて各種ビル機器2を制御する。例えば、機器制御部204は、人物情報が対象空間A1に人が存在しないことを示す場合に空調設備21−1を消灯する制御を行ってもよいし、環境情報が対象空間A2の明るさが目標値よりも高いことを示す場合に照明設備22−2の明るさを低減させる制御を行ってもよい。機器制御部204は、上記の制御例に限らず、空間情報に基づいて制御値を決定することができればどのような制御を行ってもよい。また、機器制御部204は、空調設備21及び照明設備22に限らず、空間情報に基づいて制御可能な機器であればどのような機器を制御対象としてもよい。
図5は、第1の実施形態の危機管理装置30の機能構成の具体例を示すブロック図である。危機管理装置30は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、プログラムを実行する。危機管理装置30は、プログラムの実行によって通信部301、記憶部302、センサ情報取得部303、ガス検知通報受信部304及び危機管理処理部305を備える装置として機能する。なお、危機管理装置30の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されてもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
通信部301は、自装置をネットワーク50に接続するための通信インターフェースを用いて構成される。通信部301は、ネットワーク50を介して、危機管理システム100を構成する各種装置と通信する。
記憶部302は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成される。記憶部302はセンサ情報及び対応情報を記憶する。対応情報は、各画像センサ1と警報器4との対応関係を示す情報である。記憶部202は、対応情報を予め記憶している。
センサ情報取得部303は、各画像センサ1からセンサ情報を取得する。センサ情報取得部303は、取得したセンサ情報を記憶部302に記憶させる。
ガス検知通報受信部304は、ガス検知器3からガス検知通報を受信する。ガス検知通報受信部304は、ガス検知通報が受信されたことを危機管理処理部305に通知する。
危機管理処理部305は、ガス検知通報が受信されたことの通知に応じて、建物内の危機管理に関連する処理(以下「危機管理処理」という。)を実行する。具体的には、危機管理処理部305は、対応情報に基づいて有毒ガスを検知したガス検知器3に応じた画像センサ1を識別し、識別された画像センサ1によって取得された画像データ又は空間情報に基づいて危機管理情報を生成する。危機管理処理部305は、生成した危機管理情報に基づいて種々の危機管理処理を実行する。また、危機管理処理部305は、監視端末40等の情報の表示が可能な表示装置に対して、生成した危機管理情報を所定の態様で表示させるための画面情報を生成して送信する。
図6は、第1の実施形態における対応情報の具体例を示す図である。例えば、対応情報は、図6に示される対応テーブル310として記憶部302に記憶される。対応テーブル310は、検知器IDごとの対応レコードを有する。対応レコードは、検知器ID、警報器ID、制御グループID、画像センサID及び照明IDの各値を有する。検知器IDはガス検知器3の識別情報である。警報器IDは警報器4の識別情報である。制御グループIDは制御グループの識別情報である。制御グループは、複数のビル機器2の制御に関して定義されたビル機器2のグループである。例えば、制御グループは、機器制御装置20又は危機管理装置30が複数のビル機器2を制御する際の制御単位として用いられる。画像センサIDは画像センサ1の識別情報である。照明IDは照明設備22の識別情報である。例えば、図6の対応テーブル310は、“D1”で識別されるガス検知器3が“G1”で識別される制御グループに所属し、その制御グループには“A1”で識別される警報器4と、“S1”で識別される画像センサ1と、“L1”で識別される照明設備22と、が所属することを表している。なお、図6の対応テーブル310として保持される対応情報は、各機器の位置情報と組み合わせることで次の図7に示すような地図の態様で保持されてもよい。
図7は、地図の態様で保持される対応情報(以下「地図情報」という。)の具体例を示す図である。図7は、隣接する4つの照明設備22で構成される4つの制御グループに対して、それぞれ1つずつの画像センサ1、ガス検知器3及び警報器4が対応づけられた地図情報を示している。地図情報には、画像センサ1やビル機器2、ガス検知器3、警報器4等の各機器の位置情報のほか、フロアの各種レイアウトを示す位置情報が含まれてもよい。例えば、図7の例のように、地図情報には有毒ガスが検知された場合の避難口の位置情報が含まれてもよい。
図8は、第1の実施形態の危機管理装置30によって実行される危機管理処理の具体例を示すシーケンス図である。まず、各画像センサ1が、それぞれの設置位置に対応する対象空間の画像データを取得する(ステップS101)。各画像センサ1は、取得した画像データに基づいて対象空間の空間情報を取得する(ステップS102)。各画像センサ1は、取得した画像データ及び空間情報を危機管理装置30に送信する(ステップS103)。
危機管理装置30は、各画像センサ1から送信された画像データ及び空間情報を受信する。危機管理装置30は、各画像センサ1から取得された画像データ及び空間情報のそれぞれを、取得元の画像センサ1に対応づけて記憶する(ステップS104)。
なお、ここでは、紙面の都合上、ステップS101〜S104を1ステップのみ記載しているが、実際には各画像センサ1は、ステップS101〜S103の処理を所定の周期で繰り返し実行し、危機管理装置30は、各画像センサ1によるステップS103の実行に応じてステップS104を繰り返し実行する。
一方で、ガス検知器3によって有毒ガスが検知されると、警報器4はガス検知通報を危機管理装置30に送信する(ステップS105)。このガス検知通報には、通報を送信した警報器4の警報器IDが含まれる。危機管理装置30の危機管理処理部305は、受信されたガス検知通報に含まれる警報器IDに基づいて有毒ガスの発生場所(以下「発生場所」という。)を識別する(ステップS106)。以下、危機管理装置30は、識別された発生場所と、各画像センサ1から取得された画像データ又は空間情報とに基づいて種々の危機管理処理を実行する。
まず、危機管理処理部305は、建物内の混雑度を示す危機管理情報を生成する。具体的には、危機管理処理部305は、各画像センサ1からそれぞれの対象空間の混雑度を示す空間情報を取得する。危機管理処理部305は、各対象空間の混雑度と対応情報とに基づいて、建物内全体の混雑度を示す情報(以下「混雑度情報」という。)を生成する(ステップS107)。危機管理処理部305は、このように生成した混雑度情報を危機管理情報として監視端末40に配信する(ステップS108)。このような危機管理情報が、有毒ガスが検知されたことに応じて監視端末40に配信されることにより、監視員は建物内の人に対して迅速に注意喚起や避難指示を行うことができる。
続いて、危機管理処理部305は、識別された発生場所付近の画像データ及び空間情報を取得する記憶部302から取得する(ステップS109)。このとき、危機管理処理部305は、記憶部302から取得すべき画像データ及び空間情報を取得した画像センサ1を、有毒ガスを検知したガス検知器3の警報器IDと対応情報とに基づいて識別する。
危機管理処理部305は、取得した発生場所付近の画像データ及び空間情報を危機管理情報として監視端末40に配信する(ステップS110)。このような危機管理情報が監視端末40に配信されることにより、監視員は、有毒ガスが検知されたことに応じて、迅速に発生場所付近の状況を確認することが可能となる。以下、このように、有毒ガスが検知されたことに応じて、まず発生場所付近の危機管理情報が送信されることを「特定配信」という。
続いて、危機管理処理部305は、危機管理情報の配信を特定配信から巡回配信に移行するか否かを判定する(ステップS111)。巡回配信は、ステップS110における危機管理情報の配信が、発生場所付近の画像センサ1によって取得された画像データ及び空間情報であったのに対し、より広い範囲に存在する画像センサ1の画像データを巡回的に配信するものである。すなわち、画像データが特定配信によって配信されることによって、例えば、監視員は発生場所付近で倒れている人の発見を優先的に行うことができる。また、画像データが巡回配信によって配信されることによって、監視員はより広い範囲で現場の避難状況を確認することができ、発生場所から逃げ遅れている人の発見を優先的に行うことができる。
なお、巡回配信に移行するか否かの判定は、どのような条件に基づいて判定されてもよいが、一般には、発生場所付近の確認が十分なされた後に移行されるのが望ましい。ここで、発生場所付近の確認が十分なされたことは、例えば、監視員等のユーザによる入力に基づいて判定されてもよい。この場合、危機管理処理部305は、配信方法の切り替え指示が入力されたことに応じて、危機管理情報の配信を巡回配信に移行させるように構成されてもよい。また、発生場所付近の確認が十分なされたことは、特定配信が開始された後の経過時間に基づいて判定されてもよい。この場合、危機管理処理部305は、特定配信を開始した後の経過時間を計時し、経過時間が所定の閾値時間を超過した場合に危機管理情報の配信を巡回配信に移行させるように構成されてもよい。
巡回配信への移行条件が満たされていないと判定された場合(ステップS111−NO)、危機管理処理部305は、移行条件が満たされるまでステップS111を繰り返し実行する。一方、巡回配信への移行条件が満たされたと判定された場合(ステップS111−YES)、危機管理処理部305は、特定配信よりも広い範囲に存在する画像センサ1によって取得された画像データ及び空間情報を記憶部302から取得する(ステップS112)。危機管理処理部305は、取得した画像データ及び空間情報を危機管理情報として、各対象空間を巡回するように危機管理情報を配信する(ステップS113)。
なお、画像センサ1が取得する空間情報は、必ずしも常に危機管理に関する事象(例えば、逃げ遅れや倒れ、混雑度など)を示す情報(第二の空間情報)でなくてもよい。画像センサ1は、有毒ガスが検知されていない状況においては危機管理に関する事象以外の事象を示す情報(第一の空間情報)を空間情報として取得してもよい。例えば、画像センサ1は、有毒ガスが検知されていない状況においては、建物内の各種機器(例えば照明設備や空調設備など)の制御に関する事象(例えば明るさや温度など)を示す情報を空間情報として取得してもよい。この場合、画像センサ1は、有毒ガスが検知されたことに応じて、取得する空間情報を第一の空間情報から第二の空間情報に切り替えるように構成されてもよい。また、画像センサ1は、第二の空間情報の取得においては、建物内の避難状況に応じて、取得する情報を切り替えるように構成されても良い。例えば、画像センサ1は、有毒ガスが検知された直後には混雑度を取得し、避難開始後には逃げ遅れ情報を取得するように構成されてもよい。また、画像センサ1は、避難がある程度進行した状況では倒れ情報を取得するように構成されてもよい。
さらに、画像センサ1は、第二の空間情報として取得すべき情報の種別や優先度を、建物内の各地点における危険度の変化に応じて変更するように構成されてもよい。この場合、例えば、危機管理装置30の危機管理処理部305は各画像センサ1から取得される画像データ又は空間情報に基づいて各地点の危険度を判定する。危機管理処理部305は、各地点のそれぞれについて判定された危険度を、各危険度が判定された地点付近の画像センサ1に通知する。例えば、危険度は各地点における有毒ガスの濃度に基づいて判定される。この場合、各地点における有毒ガスの濃度はガス検知器3の検知周期に合わせて取得されてもよいし、ガス拡散速度に基づいて推定されてもよい。危機管理処理部305は、各地点における有毒ガスの濃度に加えて、避難する人物間の距離や移動速度、避難に使用されるエレベータの位置や移動速度等を考慮に入れた危険度を判定してもよい。
この場合、画像センサ1は、発生場所からの避難を優先するため、例えば自装置付近の危険度が高い場合には混雑度を優先的に取得するように構成されてもよい。また、画像センサ1は、逃げ遅れた人の発見を優先するため、例えば危険度が中程度の場合には逃げ遅れ情報を優先的に取得するように構成されてもよい。また、画像センサ1は、倒れた人の発見を優先するため、例えば危険度が低い場合には倒れ情報を優先的に取得するように構成されてもよい。さらに、画像センサ1は、各情報の取得頻度や取得周期を危険度に応じて変更してもよい。
このように構成された第1の実施形態の危機管理システム100は、有毒ガスの発生に応じて、優先順位に応じた危機管理情報の配信を行うことができる。具体的には、危機管理システム100は、有毒ガスの発生直後においては、発生現場からの避難を最優先事項として建物内の混雑度を示す危機管理情報を配信する。続いて、危機管理システム100は、ガス漏れ発生現場付近の画像データ又は空間情報を危機管理情報として監視端末40に配信する(特定配信)。この特定配信により、監視員はガス漏れの影響を直接的に受けてしまい現場付近に倒れてしまった人を迅速かつ重点的に発見することが可能となる。さらに、危機管理システム100は、特定配信を行った後、危機管理情報の配信方法を巡回配信に切り替える。この巡回配信により、監視員はより広い範囲の避難状況を把握し、ガス漏れ発生現場から逃げ遅れている人の発見を重点的に行うことができる。このような構成を備えることにより、危機管理システム100は、複数の画像センサ1で取得される対象空間の画像に基づいて、有毒ガス発生の際における人の避難状況を、監視員がより適切に把握するために必要な情報を避難状況に応じた適切なタイミングで提供することができる。
(第2の実施形態)
図9は、第2の実施形態の危機管理装置30aの機能構成の具体例を示すブロック図である。危機管理装置30aは、危機管理処理部305に代えて危機管理処理部305aを備える点で第1の実施形態の危機管理装置30と異なる。以下の説明では、危機管理装置30aが備える機能部のうち、第1の実施形態の危機管理装置30と同様の機能部には図5と同じ符号を付すことにより説明を省略する。
危機管理処理部305aは、第1の実施形態における危機管理処理部305が備える機能に加えて、以下の各機能をさらに備える。
[1.倒れ検出機能]
危機管理処理部305aは、隣接する複数の画像センサ1から取得された空間情報に基づいて、建物内において倒れている人を検出する。危機管理処理部305aが建物内において倒れている人を検出する具体的な方法の一例を次の図10に示す。
図10は、第2の実施形態における建物内において倒れている人を検出する方法の具体例を示す図である。図10(A)、図10(B)及び図10(C)は、発生場所付近の複数の画像センサ1によって取得された人物情報(人の在又は不在を示す情報)を対象空間の位置関係に従って配置した図である。図10(A)、図10(B)及び図10(C)の例では、隣接する9つの対象空間401−1〜401−9についての人物情報が示されている。図10(A)及び図10(B)に示される人物情報は図10(A)、図10(B)の順に取得されたものであり、いずれの対象空間においても倒れている人が検出されない場合の人物情報の例を示すものである。また、図10(A)及び図10(C)に示される人物情報は図10(A)、図10(C)の順に取得されたものであり、対象空間401−5において倒れている人が検出される場合の人物情報の例を示すものである。
図10(A)、図10(B)及び図10(C)において、網掛けされている対象空間は人の動きが検出された対象空間(以下「在エリア」という。)を表し、網掛けされていない対象空間は人の動きが検出されていない対象空間(以下「不在エリア」という。)を表している。図10(A)は避難中の(動きがある)人Aが対象空間401−5において検出されたことを表し、図10(B)は避難中の人Aが対象空間401−4において検出されたことを表している。一方、図10(C)は避難中の人がいずれの対象空間においても検出されていないことを表している。
例えば、図10(A)に示される人物情報に続けて図10(B)に示される人物情報が取得された場合、すなわち、在エリアから不在エリアに変化した対象空間401−5の周辺に在エリアが存在する場合、危機管理処理部305aは、人Aが対象空間401−5から対象空間401−4に移動したとみなし、いずれの対象空間にも倒れている人はいないと判定する。
一方、図10(A)に示される人物情報に続けて図10(C)に示される人物情報が取得された場合、すなわち、在エリアから不在エリアに変化した対象空間401−5の周辺に在エリアが存在しない場合、危機管理処理部305aは、人Aが対象空間401−5において倒れたとみなし、対象空間401−5に人Aが倒れていると判定する。
なお、図10の例では、複数の画像センサ1によって取得された画像に基づいて倒れている人を検出する方法について説明したが、危機管理処理部305aは一台の画像センサ1によって取得された画像に基づいて、上記と同様の方法で対象空間に倒れている人を検出してもよい。例えば、危機管理処理部305aは、図10の対象空間401−1〜401−9のような複数の領域を一つの画像内に設定し、設定した各領域における人の人物情報に基づいて各領域に倒れている人を検出してもよい。また、このように一つの画像に基づく倒れ検出機能は、危機管理装置3ではなく各画像センサ1に備えられてもよい。この場合、各画像センサ1は、倒れている人の検出結果を人物情報として危機管理装置3に送信してもよい。また、ここでの領域は一台の画像センサによって撮像される画像の一つの画素(ピクセル)も含む。さらに、ここでの領域が多重に設定されていてもよいし、領域の位置や大きさは固定でなくとも人物の位置や大きさに伴って可変してもよい。
また、上記の検出方法では、倒れている人を誤検出する可能性がある。例えば、建物内の避難口周辺で検出された人物が、その後避難口から建物外に退出する状況を想定した場合、その人物が検出された対象空間は在エリアから不在エリアに変化するが、その周辺の対象空間は不在エリアのままであるという状況が発生しうる。この場合、検出された人物は建物外に避難したにも関わらず、避難口周辺で倒れたと判定される可能性がある。そのため、危機管理処理部305aは、各対象空間に対応づけられている属性に応じて、検出結果の有効性を判定し、有効と判定された検出結果のみを出力するように構成されてもよい。例えば、各対象空間がそれぞれの位置情報に対応づけられている場合、危機管理処理部305aは、避難口周辺の対象空間については倒れている人の検出対象から除外するように構成されてもよい。このように構成されることにより、危機管理処理部305aはより精度良く倒れている人を検出することが可能となる。
[2.避難経路を選択する機能]
危機管理処理部305aは、複数の画像センサ1から取得された空間情報に基づいて、発生場所から避難口までの避難経路を選択する。具体的には、危機管理処理部305aは、各画像センサ1から取得される混雑度の分布に基づいて避難経路を選択する。危機管理処理部305aは、選択された避難経路を示す危機管理情報を生成し、生成した危機管理情報を監視端末40に配信してもよい。
図11は、第2の実施形態における発生場所から避難口までの避難経路を選択する方法の具体例を示す図である。図11(A)は混雑度を示す危機管理情報の表示例を示し、図11(B)は避難経路を示す危機管理情報の表示例を示す。図11(A)の表示例は、各画像センサ1によって取得された混雑度を、各画像センサの対象空間に対応づけて表示させることによって得られる。危機管理処理部305aは、このように表示される混雑度の分布に基づいて、混雑度が低い領域を選択することにより避難経路を選択する。例えば、図11(A)に示されるような混雑度の分布が得られた場合、危機管理処理部305aは、各混雑度の表示によって示される避難者群B1〜B3に対して、いずれかの避難口までの避難経路R1〜R3をそれぞれ選択する。なお、危機管理処理部305aは、各地点について取得された危険度に基づいて、危険度が低い地点を選択することにより避難経路を決定してもよい。
[3.危機管理に応じたビル機器の制御を行う機能]
危機管理処理部305aは、有毒ガスが検知されたことに応じて、各ビル機器2が有毒ガスの発生に伴う危機管理を支援する動作を行うよう各ビル機器2の動作を制御する。例えば、危機管理処理部305aは、有毒ガスが検知されたことに応じて照明設備22を制御することにより、画像センサ1が画像データ又は空間情報をより精度良く取得することができるように対象空間の明るさを調整する。
例えば、危機管理処理部305aは、画像データから人の動きや人物を検出する処理や、画像の目視確認等の作業が実行されている間には全ての照明設備22を点灯させることで対象空間の明るさを確保するような制御を行ってもよい。また、危機管理処理部305aは、それらの各処理や目視確認等の作業の終了後には照明設備22を減光する制御を行ってもよい。
また、例えば、危機管理処理部305aは、建物内において注意を要すると判断された領域(以下「要注意領域」という。)の明るさが確保されるように照明設備22を制御してもよい。例えば、要注意領域は、有毒ガスの発生場所付近の領域であってもよいし、危険な状態にある避難経路上の領域であってもよい。危機管理処理部305aは、このような要注意領域の明るさが増すように照明設備22を制御してもよいし、要注意領域であることを避難者に報知する動作を行うように照明設備22を制御してもよい。例えば、要注意領域であることの報知は、照明色の変更や照明の点滅等によって実現されてもよい。また、この場合、危機管理処理部305aは、要注意領域から遠い領域ほど暗くなるように照明設備22の明るさを制御してもよい。
また、例えば、危機管理処理部305aは、選択された避難経路に応じて照明設備22を制御してもよい。例えば、危機管理処理部305aは、避難経路において、発生場所から避難口に向かうにつれて明るくなるように照明設備22の明るさを制御してもよい。また、危機管理処理部305aは、照明設備22を安全度に応じた色で調色するような制御を行ってもよい。例えば、危機管理処理部305aは、発生場所付近の照明設備22を赤色で調色するような制御を行ってもよいし、避難経路に沿った照明設備22を緑色で調色するような制御を行ってもよい。また、照明設備22が多数存在する場合には、危機管理処理部305aは、避難経路が複数の照明設備22の点灯状態によって示されるように各照明設備22の点灯状態を制御してもよい。例えば、危機管理処理部305aは、避難経路を示す矢印が描かれるように複数の照明設備22の点灯状態を制御してもよい。
図12は、第2の実施形態における避難経路に応じて照明設備22を制御する方法の具体例を示す図である。図12の例では、危機管理処理部305aは、発生場所付近の照明設備22を発生場所に近いものほどより危険を想起させる色(例えば赤色)に調色するとともに、避難口付近の照明設備22を避難口に近いものほどより明るい色に調色している。なお、避難経路に応じた照明設備22の制御は、調色のほか、調光や点消灯、点滅等、照明設備22が可能などのような動作によって実現されてもよい。
また、例えば、危機管理処理部305aは、有毒ガスが検知されたことに応じて、建物内における有毒ガスの濃度が低下するように空調設備21を制御してもよい。例えば、危機管理処理部305aが行う空調設備21の制御は、有毒ガスの拡散を抑制する制御であってもよいし、換気によって有毒ガス濃度の低下を促進する制御であってもよい。
また、例えば、危機管理処理部305aは、監視員等のユーザが視覚によって知覚することが容易な態様の危機管理情報を生成してもよい。例えば、危機管理処理部305aは、各種情報が一覧表示される危機管理情報を生成してもよいし、各種情報が建物内の地図上に重畳して表示される危機管理情報を生成してもよい。また、例えば、危機管理処理部305aは、発生場所からの距離に応じて異なる態様で表示される危機管理情報を生成してもよいし。例えば、危機管理処理部305aは、発生場所からの距離に応じたサイズや色で表示される危機管理情報を生成してもよい。
このように構成された第2の実施形態の危機管理システム100は、倒れ検出機能、避難経路を選択する機能、及び危機管理に応じたビル機器2の制御を行う機能を有する危機管理処理部305aを備える。このような構成を備えることにより、第2の実施形態の危機管理システム100は、有毒ガス発生時においてより効果的な危機管理が実現されることを支援することができる。
以下、上記危機管理システム100の変形例について説明する。
設定変更部106は、画像センサ1に備えられる代わりに危機管理装置30に備えられてもよい。この場合、危機管理装置30に設けられる設定変更部は、ガス検知通報の受信に応じて、各画像センサ1に対してセンサ情報の取得又は送信に関する設定の変更を指示する。
上記の実施形態では、画像センサ1がカメラ等の一般的な撮像装置と同様のカラー画像を取得する装置である場合を想定した危機管理システム100について説明したが、危機管理システム100が備える画像センサ1は、カラー画像として撮像される光とは異なる波長の光を可視化する装置であってもよい。例えば、画像センサ1は、赤外光を可視化した画像を取得するものであってもよいし、他の波長の光を可視化した画像を取得するものであってもよい。また、画像センサ1は、ミリ波や磁場等の光以外の物理的事象を可視化した画像を取得するものであってもよい。例えば、画像センサ1は、MRI(Magnetic Resonance Imaging)等の可視化装置によって実現されてもよい。
また、上記の実施形態では、有毒ガスによってもたらされる危機を管理対象とする危機管理システム100について説明したが、危機管理システム100の管理対象となる危機は必ずしも有毒ガスによってもたらされるものに限定されない。例えば、危機管理システム100の管理対象となる危機は、人にとって有害となる可能性のあるガス(有害ガス)によってもたらされるものであってもよい。また、例えば、危機管理システム100の管理対象となる危機は、臭いや化学物質、放射能等によってもたらされるものであってもよい。この場合、危機管理システム100は、ガス検知器3に代えて、臭いや化学物質、放射能等を計測可能な種々の検知器に置き換えられてもよい。このような検知器は、測定値が所定の閾値を越えた、又は下回ったことを検知するものであってもよいし、所定の条件を満たす測定値が継続していることを検知するものであってもよい。
危機管理システム100によって提供される危機管理情報は、有毒ガスの発生に伴う危機管理を支援する情報であれば、避難者の避難を支援する情報以外の情報であってもよいし。例えば、危機管理情報は、ガスマスク等の安全装置の所在を示す情報であってもよい。この場合、危機管理処理部305は、有毒ガスの発生場所から離れる方向において最も近い位置に存在するガスマスクの位置を示す危機管理情報を生成してもよい。この場合、さらに、危機管理処理部305は、各画像センサ1から通知される混雑度に基づいてガスマスクの必要数を推定し、ガスマスクが存在する複数の地点に適切な数の避難者が誘導されるような危機管理情報を生成してもよい。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、実施形態の画像センサ1が、有毒ガスを検知するガス検知器3によって有毒ガスが検知されたことに応じて、画像データに基づいて、対象空間における人に関する情報を上記空間情報として取得する空間情報取得部104を持つことにより、監視員が現場の状況をより正確に把握することができるような情報を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。