JP6721377B2 - 潤滑油組成物 - Google Patents

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本発明は、潤滑油組成物に関する。
産業用発電の分野において、コンバインドサイクルの活用など、発電効率の向上が年々強く求められるようになっている。発電効率の向上の有効な方法として、高温下で燃料を燃焼させる手法がある。そのためガスタービン入口燃焼ガス温度は上昇の一途をたどっている。
1300℃級コンバインドサイクル発電(ACC(Advanced Combined Cycle)発電)、1500℃級MACC(More ACC)発電、1600℃級MACC2発電のように燃焼ガス温度が上昇し、装置の過酷度が上がるにつれ、タービン油への負荷も確実に高くなってきている。このような過酷な環境で使用可能な従来よりも長寿命、高酸化安定性、低スラッジのタービン油が望まれるため、従来からタービン油には、その酸化安定性の向上検討がなされてきた。それに加えて、タービン油中には、水分が混入する機会が多いため、高い錆止め性能が求められる。またタービン油に水が混入した場合に、潤滑油の性能を低下させないためには、速やかに水層と油層が分離し、乳化させない抗乳化性能を有することが求められている。
こうしたことから、従来もさび止め性能を配合したタービン油が提案されているが、錆び止め剤の含有量と抗乳化性能は相反する関係にあり、錆び止め剤の含有量を多くすると抗乳化性が悪くなるとの特徴から、高度なさび止め性能と良好な抗乳化性能を実現することが難しかった。
特開2008−45111号公報
本発明は、従来処方では両立が不可能であった、優れたさび止め性能と抗乳化性を両立した、潤滑油組成物を提供することを目的とするものである。特に産業向けガスタービンあるいはコンバインドサイクルでの使用に好適に用いられる潤滑油組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題について鋭意研究した結果、所定の基油に、特定の2種類のさび止め剤および特定の2種類の酸化防止剤を組み合わせ、かつそれらを極めて狭い範囲内の特定量を含有させた場合に、その目的を達成できることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、本発明は、鉱油及び合成油から選ばれる炭化水素系基油に、組成物全量基準で、(A)サルコシン酸誘導体0.008〜0.04質量%、(B)アルケニルコハク酸エステル0.01〜0.07質量%、(C)アミン系酸化防止剤0.1〜3.0質量%、および(D)フェノール系酸化防止剤0.1〜3.0質量%を含有することを特徴とする潤滑油組成物である。
本発明によれば、さび止め性能と抗乳化性能の双方を高水準で達成することができ、従来よりも長期使用環境下で優れた特性を発揮する潤滑油組成物が実現される。
以下、本発明について詳述する。
本発明の潤滑油組成物は、潤滑油基油として、鉱油及び合成油から選ばれる炭化水素系基油が用いられる。
鉱油としては、原油を常圧蒸留および減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理などの1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系またはナフテン系などの鉱油系基油等が例示できる。
鉱油の芳香族含有量は10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下がより好ましい。なお、ここでいう芳香族含有量とは、ASTM D 2549−81に規定された方法で測定される値である。
また、%Cが50以上が好ましく、60以上がより好ましく、70以上がさらに好ましい。
合成油としては、例えば、ポリα−オレフィン(エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー、およびこれらの水素化物等)、モノエステル(ブチルステアレート、オクチルラウレート)、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセパケート等)、ポリエステル(トリメリット酸エステル等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、リン酸エステル、含フッ素化合物(パーフルオロポリエーテル、フッ素化ポリオレフィン等)、シリコーン油、FT反応などの合成ワックスおよび/または石油精製工程から得られるワックス(好ましくは溶剤脱ロウ工程で得られるスラックワックス)を異性化、水素化して得られる高性能炭化水素基油、テルペン類のような天然由来の不飽和炭化水素を水添して得られる炭化水素基油等が例示できる。
本発明に係る潤滑油基油としては、上記した基油を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。
本発明において用いる潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、その40℃での動粘度は、好ましくは18〜46mm/s、より好ましくは24〜40mm/s、特に好ましくは28〜36mm/sに調整してなることが望ましい。潤滑油基油の40℃での動粘度が46mm/sを超える場合は、粘性抵抗のため機械効率が悪化し、一方、その動粘度が18mm/s未満の場合は、潤滑箇所での油膜形成が不十分であるため潤滑性に劣り、また潤滑油基油の蒸発損失が大きくなるため、それぞれ好ましくない。
使用される潤滑油基油の粘度指数については格別の限定はないが、100以上であることが好ましく、より好ましくは110以上、さらに好ましくは120以上であり、通常200以下、好ましくは180以下、さらに好ましくは160以下である。粘度指数を100以上とすることによって、低温から高温にわたり良好な粘度特性を示す組成物を得ることができる。一方、粘度指数が高すぎると低温時の粘度が高くなる傾向があり好ましくない。
また、本発明において用いる潤滑油基油の硫黄含有量に特に制限はないが、0.1質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以下であることがより好ましく、0.03質量%以下であることがさらに好ましく、0.01質量%以下であることが特に好ましく、0.005質量%以下であることが非常に好ましく、実質的に0であることが最も好ましい。潤滑油基油の硫黄含有量を低減することで酸化安定性により優れた組成物を得ることができる。
本発明に用いる基油としては、硫黄を含まない基材が好ましいことから、水素化分解鉱油系基油、石油系あるいはフィッシャートロピッシュ合成油等のワックスを50質量%以上含む原料を異性化して得られるワックス異性化基油、ポリα−オレフィンなどの合成油系基油などが特に好ましい。
本発明の潤滑油組成物における潤滑油基油の含有量は、95質量%以上であることが好ましく、97質量%以上がより好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、(A)成分として、サルコシン酸誘導体を含有する。
サルコシン酸誘導体は、下記一般式(1)で表されるグリシンの誘導体である。
Figure 0006721377
上記一般式(1)中、Rは、炭素数6〜24のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示し、好ましくは炭素数10〜20の直鎖アルケニル基である。
一般式(1)で示されるサルコシン酸誘導体の具体例としては、例えば下記で示されるN−メチル−N−(1−オキソ−9−オクタデセニル)グリシンなどが挙げられる。
Figure 0006721377
本発明の潤滑油組成物におけるサルコシン酸誘導体の含有量は、防錆能力の観点から、潤滑油組成物全量基準で、0.008質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.012質量%以上であり、さらに好ましくは0.015質量%以上である。一方、サルコシン酸誘導体の含有量は、潤滑油組成物の抗乳化性を維持するとの観点から、潤滑油組成物全量基準で、0.04質量%以下であり、好ましくは0.035質量%以下、より好ましくは0.03質量%以下であり、さらに好ましくは0.02質量%以下である。
サルコシン酸誘導体の含有量が、0.008質量%未満であると防錆能力が劣るため好ましくない。また含有量が0.04質量%を超えると抗乳化性が劣るため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物は、(B)成分として、アルケニルコハク酸エステルを含有する。
本発明で用いるアルケニルコハク酸エステルは、下記一般式(2)で示される化合物であり、アルケニルコハク酸と炭素数2〜30の2価アルコールとのエステルである。エステルは完全エステルでも部分エステルでも良い。また2量体から数量体程度のポリエステルであっても良い。
Figure 0006721377
上記一般式(2)中、ZおよびZは、それぞれ個別に、水素又は炭素数2〜30、好ましくは2〜20のヒドロキシアルキル基を示し、少なくとも一方はヒドロキシアルキル基である。好ましくはZおよびZの一方がヒドロキシアルキル基で、他方が水素である部分エステルが挙げられる。またR〜Rは、それぞれ個別に、水素、炭素数1〜30、好ましくは3〜24、より好ましくは10〜20のアルキル基またはアルケニル基を示し、少なくとも一つはアルケニル基である。またR〜Rのうち一つがアルケニル基であり、その他は水素またはアルキル基であることが好ましく、水素であることがより好ましい。
2価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
本発明の潤滑油組成物におけるアルケニルコハク酸エステルの含有量は、防錆能力の観点から、潤滑油組成物全量基準で、0.01質量%以上であることが必要であり、好ましくは0.015質量%以上であり、より好ましくは0.02質量%以上である。一方、アルケニルコハク酸エステルの含有量は、潤滑油組成物の抗乳化性を維持するとの観点から、潤滑油組成物全量基準で、0.07質量%以下であり、好ましくは0.06質量%以下であり、より好ましくは0.04質量%以下である。
アルケニルコハク酸エステルの含有量が0.01質量%未満であると錆び止め性能が劣るため好ましくない。また含有量が0.07質量%を超えると抗乳化性が劣るため好まない。
本発明の潤滑油組成物は、(C)成分として、アミン系酸化防止剤を含有する。
アミン系酸化防止剤としては、ジアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤および/またはアルキルフェニル−α−ナフチルアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
ジアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤としては、例えば下記一般式(3)で表されるp,p’−ジアルキルジフェニルアミン化合物などが挙げられる。
Figure 0006721377
上記一般式(3)中、RおよびRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子または炭素数1〜16、好ましくは4〜8のアルキル基を示す。ただし同時に水素原子となることはない。
炭素数1〜16のアルキル基としては、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基などが挙げられる。これらは直鎖でも分枝状でもよい。
炭素数1〜16のアルキル基としては、特に制限はないが、プロピレンやブチレンのオリゴマーから誘導される分枝アルキル基が特に好ましい。
アルキルフェニル−α−ナフチルアミン系酸化防止剤としては、例えば下記一般式(4)で表されるN−p−アルキルフェニル−α−ナフチルアミン化合物などが挙げられる。
Figure 0006721377
上記一般式(4)中、Rは炭素数1〜16、好ましくは4〜12、より好ましくは8〜12のアルキル基を示す。
炭素数1〜16のアルキル基としては、より具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基などが挙げられる。これらは直鎖でも分枝状でもよい。
炭素数1〜16のアルキル基としては、特に制限はないが、プロピレンやブチレンのオリゴマーから誘導される分枝アルキル基が特に好ましい。
アミン系酸化防止剤としては、ジアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤およびアルキルフェニル−α−ナフチルアミン系酸化防止剤を併用することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物におけるアミン系酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、0.1質量%以上であり、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。一方、アミン系酸化防止剤の含有量は3.0質量%以下であり、2.5質量%以下が好ましく、1.5質量%以下がより好ましい。
アミン系酸化防止剤の含有量が0.1質量%未満だと潤滑油組成物の長期酸化寿命が不十分となり、3.0質量%を超えると低スラッジ性を確保できなくなる。
本発明の潤滑油組成物は、(D)成分として、フェノール系酸化防止剤を含有する。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル置換脂肪酸エステル類等を好ましい例として挙げることができる。これらは二種以上を混合して使用してもよい。
これらの中でも、ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)が好ましい。
フェノール系酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量基準で、0.1質量%以上であり、0.2質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましい。一方、フェノール系酸化防止剤の含有量は3.0質量%以下であり、2.5質量%以下が好ましく、2.0質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下が特に好ましい。
含有量が0.1質量%未満だと潤滑油組成物の長期酸価寿命および抗乳化性が不十分となり、3.0質量%を超えると低スラッジ性を確保できなくなると同時に抗乳化性が悪化するため好ましくない。
本発明の潤滑油組成物においては、酸化防止剤として、(C)アミン系酸化防止剤と共に(D)フェノール系酸化防止剤を併用することが、本発明の目的を達成するために必要である。アミン系酸化防止剤のみを使用し、フェノール系酸化防止剤を併用しないときは、さび止め性能が不十分となる。
本発明の潤滑油組成物においては、酸化防止剤としてリン系酸化防止剤を含有しないことが好ましい。すなわち、本発明の潤滑油組成物は、上述した特定の範囲内の量のアミン系酸化防止剤とフェノール系酸化防止剤を組み合わせて含有させることで高い性能を発揮するものであるため、リン系酸化防止剤を配合してもその添加量に見合うだけの効果に乏しいばかりか、経済的コストおよび環境リスクの面でも不利である。その観点から、リン系添加剤を含有しないことが好ましく、含有する場合でも、その含有量は0.05質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、実質的に0質量%であることが特に好ましい。
なお、ここでリン系酸化防止剤とは、潤滑油組成物に通常使用されるものを意味する。より具体的には例えば、亜リン酸エステルなどが挙げられる。
本発明の潤滑油組成物は、さらに、腐食防止剤、流動点降下剤および消泡剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することが好ましい。
腐食防止剤としては、潤滑油用の腐食防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、イミダゾール系化合物等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を含有させることができるが、含有する場合の含有量は、通常、潤滑油組成物全量基準で0.01〜3質量%である。
流動点降下剤としては、例えば、使用する潤滑油基油に適合するポリメタクリレート系のポリマー等が使用でき、含有する場合の含有量は、通常、潤滑油組成物全量基準で0.0005〜0.01質量%である。
消泡剤としては、潤滑油用の消泡剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ジメチルシリコーン、フルオロシリコーン等のシリコーン類、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリチレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール等が挙げられる。これらの中から任意に選ばれた1種類あるいは2種類以上の化合物は、任意の量を含有させることができるが、含有する場合の含有量は、通常、潤滑油組成物全量基準で0.001〜0.05質量%である。
本発明の潤滑油組成物の用途は特に制限されるものではないが、圧縮機及び増速歯車装置を備えるタービン装置の潤滑油として特に好ましく使用される。タービン装置には、水力タービン、蒸気タービン、ガスタービン等があるが、本発明の潤滑油組成物は特に増速歯車装置を備えるガスタービン装置に用いた場合に優れた効果を発揮する。このようなガスタービン装置の出力数に特に制限はない。
また、本発明の潤滑油組成物は、その優れた特性から、上記用途の他にも、油圧作動油、工業用ギヤ油、軸受油、圧縮機油等の用途においても好ましく使用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜17および比較例1〜12)
表1〜2に示す組成の潤滑油組成物を調製した。表1〜2において、潤滑油基油および各添加剤の添加量の割合(質量%)は組成物全量基準である。各潤滑油組成物の性状について下記の試験で評価し表1〜2に併記した。
(さび止め性能評価試験)
JIS―K2510―1998に規定される潤滑油−さび止め性能試験方法に準拠して、さび止め性能試験を行った。試験開始から24時間後の試験片の外観を観察して、「さびなし」と「さびあり」を判断した。「さびあり」では試験片のさびの発生状態を下の基準で評価した。
(a):試験片の表面に直径1mm以下のさびのはん点が6個以下の場合を「さびあり(軽微)」
(b):(a)を超え、試験片表面の5%以下にさびが認められる場合を「さびあり(中度)」
(c):試験片の表面の5%を超えるさびがあった場合を「さびあり(高度)」
(抗乳化性能評価試験)
JIS K2250に規定される抗乳化性能試験に準拠して、油層・乳化層・水層のうち乳化層が全量基準で80ml中3ml以下となるまでに要した時間で評価した。
Figure 0006721377
Figure 0006721377
表1から明らかなように、実施例1〜17の本発明の潤滑油組成物は、高度なさび止め性能を維持しつつ、良好な抗乳化性を実現しており、タービン用潤滑油として好適であることが分かる。
これに対し、表2に示すように、アルケニルコハク酸エステルを含有しない比較例1〜3および5はさび止め性に劣ることが分かる。またアルケニルコハク酸エステルの含有量が0.07質量%より多いと抗乳化性に劣る。
また、サルコシン酸誘導体の含有量が0.008質量%未満の比較例4〜7および10も、さび止め性に劣ることが分かる。一方、サルコシン酸誘導体の含有量が0.04質量%より多い比較例9および11は、さび止め性に優れるものの抗乳化性に劣る。
また、酸化防止剤として、アミン系酸化防止剤のみを含有し、フェノール系酸化防止剤を含有しない比較例8および10は抗乳化性に劣ることが分かる。
本発明の潤滑油組成物は、優れたさび止め性能と抗乳化性を両立した潤滑油組成物であり、特に産業向けガスタービンあるいはコンバインドサイクルでの使用に好適に用いられる。

Claims (6)

  1. 鉱油及び合成油から選ばれる炭化水素系基油に、組成物全量基準で、(A)サルコシン酸誘導体0.012〜0.04質量%、(B)アルケニルコハク酸エステル0.01〜0.03質量%、(C)アミン系酸化防止剤0.1〜3.0質量%、および(D)フェノール系酸化防止剤0.1〜3.0質量%を含有し、前記(A)サルコシン酸誘導体が、下記一般式(1)で表される化合物であり、及び前記(B)アルケニルコハク酸エステルが、下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする潤滑油組成物。
    Figure 0006721377
    (式(1)中、R は、炭素数6〜24のアルキル基、アルケニル基又はアリール基を示す。)
    Figure 0006721377
    (式(2)中、Z およびZ は、水素又は炭素数2〜30のヒドロキシアルキル基を示し、少なくとも一方はヒドロキシアルキル基である。またR 〜R は、それぞれ個別に水素、炭素数1〜30のアルキル基またはアルケニル基を示し、少なくとも一方はアルケニル基である。)
  2. 前記炭化水素系基油が、芳香族含有量10質量%以下の鉱油系基油および/または芳香族環を含有しない合成油系基油であり、%Cが50以上であることを特徴とする請求項1に記載の潤滑油組成物。
  3. 前記(C)アミン系酸化防止剤が、ジアルキルジフェニルアミン系酸化防止剤および/またはアルキルフェニル―α―ナフチルアミン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑油組成物。
  4. 前記(D)フェノール系酸化防止剤が、ジ−tert−ブチル−p−クレゾールであることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  5. 前記(D)フェノール系酸化防止剤0.1〜2.0質量%を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
  6. さらに、腐食防止剤、流動点降下剤および消泡剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の潤滑油組成物。
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