JP6719111B2 - 渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法及びその測定装置 - Google Patents
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Description
このように鉄道軌道のレールは、毎日少しずつ摩耗している。安全の観点から、そのレールの摩耗程度を定期的に数値で管理し効果的に維持、補修することが必要である。レールの摩耗が大きく進行すると、レールを交換する必要がある。
レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil1)と、
該レール変位センサ(2)のコイル2(Co2)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil2)と、を加算した電圧V12=Vo(Coil1)+Vo(Coil2)を、数1、数2と数3の数式を用いて変位補正及び直線化して直線化電圧VTを求め、
摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)を用いて、前記レール(R)の摩耗量(La)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil3)を、数4の数式を用いて変位補正及び直線化し、数5の数式を用いて反転電圧VRを求め、
前記直線化電圧VTと、前記反転電圧VRに定数αを掛け算したものとの差分(電圧VT−α*電圧VR)をとり摩耗検出電圧VLaを得て、この摩耗検出電圧VLaから前記レール(R)の摩耗の有無を判別する、ことを特徴とする。
前記レール(R)の変位を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル1(Co1)とコイル2(Co2)から成るレール変位センサ(2)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)に隣接する位置に備えられた、前記レール(R)の摩耗を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル3(Co3)から成る摩耗センサ(3)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、前記コイル3(Co3)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、
前記コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の出力信号と、前記コイル3(Co3)の出力信号を演算処理する変換器(22)と、を備え、
前記変換器(22)により、前記コイル1(Co1)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil1)と、
前記コイル2(Co2)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil2)と、を加算した電圧V12=Vo(Coil1)+Vo(Coil2)を、数1、数2と数3の数式を用いて変位補正及び直線化して直線化電圧VTを求め、
前記コイル3(Co3)を用いて、前記レール(R)の摩耗量(La)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil3)を、数4の数式を用いて変位補正及び直線化し、数5の数式を用いて反転電圧VRを求め、
前記直線化電圧VTと、前記反転電圧VRに定数αを掛け算したものとの差分(電圧VT−α*電圧VR)をとり摩耗検出電圧VLaを得て、この摩耗検出電圧VLaから前記レール(R)の摩耗の有無を判別するように構成された、ことを特徴とする。
前記摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)は、長方形状のコイルである。
これらの出力された信号を増幅して出力信号として取り出す。この信号を演算処理(レール(R)とコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)間の高さ補正・リニアライズ)することにより、レール(R)の中心(RC)に対するコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の横変位(×)に対してリニアな出力信号として取り出すことによりレール(R)の変位(ズレ)を検出することができる。
更に、レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)に関する電圧VTと、摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)に関する電圧VRの差分(電圧VT−α*電圧VR(αは定数))をとり摩耗検出電圧VLaを得る。この摩耗検出電圧VLaからレール(R)の摩耗の有無を判別することができる。
本発明のレール摩耗検出装置は、軌道検測車に搭載することにより走行中にレール変位とレール摩耗を併せて測定することができる。
<レール摩耗測定方法の構成>
図1は実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略正面図である。図2は実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略平面図である。図3は実施例1の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法を説明するレールの概略側面図である。図4はレール変位センサのコイル1及びコイル2により摩耗有りのレールを測定する状態を示す説明図であり、(a)はコイル1で測定する状態、(b)はコイル2で測定する状態である。
本発明の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法には、レール変位センサ2と摩耗センサ3とから成る渦電流形センサ1を用いる。レール変位センサ2によるレール変位を測定するコイルの他に、摩耗を測定する摩耗センサ3のコイルを併せて用い、その測定結果を演算処理してレール変位とレール摩耗を迅速にかつ正確に測定する方法である。この渦電流形センサ1は軌道検測車に搭載して走行しながらレール変位とレール摩耗を測定する。
これらの出力された信号を増幅して出力信号として取り出す。この信号を演算処理(レールRとレール変位センサ2間の高さ補正・リニアライズ)する。
なお、図示例では1個の摩耗センサ3に構成したコイル3(Co3)は、この1個に限定されない。レール変位センサ2を挟むように2個配置することも可能である。測定精度を高めるために3個以上配置することも可能である。
図5はレール変位センサを構成するコイル1の出力回路の一例を示す回路図である。
レール変位センサ2のコイル1(Co1)は、例えば図5に示すような構成のものを用いる。センサ部にコイル1(Co1)が組み込まれ、同軸ケーブル11、整流回路で構成される。コイル1(Co1)はインダクタンスLs及び、抵抗Rsの直列回路である。同軸ケーブル11は、インダクタンスLca(H)、及び、抵抗Rca(Ω)、及び静電容量Cca(F)からなる系とする。レール変位センサ2には、発振器から励磁角周波数ω(rad/s)の高周波励磁電圧Vi(V)、電流Ic(A)がある付加インピーダンスZa(=1/(ωC1))(Ω)を通して供給される。
これ以外のコイル2(Co2)又は摩耗センサ3のコイル3(Co3)も同様な構成である。
図6は本発明の摩耗検出方法を示すフローチャートである。
図6に示す摩耗検出方法のフローチャートでは変位x、リフトオフz及び摩耗量Laに依存するコイルの抵抗をRs,インダクタンスをLsとしている。電源からはEE10Vppの電圧を印加した。また、コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の三角形状のコイルの励振周波数はf=450kHz、コイル3(Co3)の長方形状のコイルはf=600kHzとした。レール変位センサ2の出力電圧VoはコンデンサC4の電圧を測定した値である。
図6に示すように、レール変位センサ2(コイル1(Co1)及びコイル2(Co2))について出力電圧(Vo)を測定する。次に、この測定結果について変位補正Vo’を行い、直線化電圧VTを得る。
一方、摩耗センサ3(コイル3(Co3))について出力電圧(Vo)Vo’を測定する。次に、この測定結果について変位補正Vo’を行い、直線化電圧VTと反転電圧VRを得る。
図7は本発明のレール変位センサで測定したレールの出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの場合、(b)は摩耗有りのレールの場合である。
図7(a)に、本発明のレール変位センサ2の三角形状のコイル(コイル1(Co1)とコイル2(Co2))を用いた場合の摩耗無しのレールRに対向したレール変位センサ2の出力電圧特性を示す。
コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力電圧Voは変位x=0mmにおいて1%以下で一致した。なお、出力電圧Voはレール変位x=−30−30mm、リフトオフz=22−28mmの範囲で測定した。
出力電圧Vo(コイル1)+Vo(コイル2)は変位xに対して三角関数的な変化を示した。図7に対して、三角関数を含んだ数1と数2の数式を用いて変位補正をした。
ここに、Vo(コイル1):コイル1の出力電圧実測値(V)、
Vo(コイル2):コイル2の出力電圧実測値(V)、
x:変位(mm)、
c,d,e:任意の定数を示す。
なお,定数c,d,eについては表1の値を用いた。
図10(a)に示すように、リフトオフz−変位補正した出力電圧Vo’特性に対して2次関数近似し、直線化電圧VTを求めると数3の数式のようになった。
図11は摩耗センサのコイル3で測定したレールの出力電圧特性を示すグラフであり、(a)は摩耗無しのレールの場合、(b)は摩耗有りのレールの場合である。
図11(a)に、摩耗センサ3の長方形状のコイルを用いた場合の摩耗無しレールRに対向した摩耗センサ3の出力電圧特性を示す。なお,出力電圧はレール変位x=−30−30mm,リフトオフz=22−28mmの範囲で測定した。
図11(b)に、長方形状のコイルを用いた場合の摩耗有りレールに対向した摩耗センサ3の出力電圧特性を示した。長方形状のコイルを用いた摩耗センサ3の出力電圧の変位補正式は数4の数式のようになる。なお,定数c,d,eについては表1の値を用いた。
図13(a)に示すように,変位補正後出力電圧Vo’−リフトオフz特性に対して2次関数近似すると、数5の数式のようになる。同式を用いて変位補正後出力電圧Vo’の反転電圧VRを求めた。
Vo’−z特性の傾きが反転したことが示されている。
図14は摩耗量Laに依存する摩耗検出電圧VLa−摩耗量La特性を示すグラフである。
摩耗検出電圧VLaは数6の数式を用いて計算した。摩耗有りレールにおいて、リフトオフz及び変位xに依存するばらつきが大きく、最大29.9%のばらつきがあった。これは、変位補正時に生じたばらつきが原因であると考えられる。摩耗無しにおける出力電圧と摩耗有りにおける出力電圧との差は3.8Vあり、摩耗の有無の判定は可能であると考えられる。
レール変位センサ2のコイル1(Co1)とコイル2(Co2)を用いて出力電圧を測定した場合、コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力電圧の和は三角関数的に変化した。三角関数を含んだ変位補正式によってコイル1(Co1)とコイル2(Co2)を用いた変位補正電圧が得られた。
摩耗センサ3のコイル3(Co3)を用いて出力電圧を測定した場合,その特性は三角関数的に変化した。三角関数を含んだ変位補正式によって,コイル3(Co3)を用いた変位補正電圧が得られた。
図15は摩耗検出電圧VLaと摩耗量La特性を示すグラフである。
摩耗検出電圧と摩耗量との関係は、図15に示すように、摩耗量Laの増大に応じて摩耗検出電圧VLaが比例して増大した。なお,リフトオフzを25mmで測定した。
図16は渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置の概略構成図である。
実施例2はレール摩耗測定方法によるレール摩耗検出装置である。レール摩耗測定方法を用いてレールRの変位と摩耗について、軌道検測車に装備して走行しながら非接触で測定することで、迅速かつ正確に測定と検出が可能になる。そこで、実施例2では、上述したような機能を有するレール変位センサ2と摩耗センサ3から成る渦電流形センサ1を筐体21に収納し、これを2個1組で軌道検測車の底面からレールRに対向するように取り付ける。このときレール変位センサ2と摩耗センサ3はレールRに向ける。非接触で測定するためである。この渦電流形センサ1は同軸ケーブル11で軌道検測車内にある変換器22と接続する。
2 レール変位センサ
3 摩耗センサ
21 筐体
22 変換器
23 増幅器
Co1 コイル1
Co2 コイル2
Co3 コイル3
R レール
x レールの変位
z レールのリフトオフ
La レールの摩耗量
Claims (4)
- コイルに電流を流してレール(R)に渦電流を発生させ、該レール(R)の変位と摩耗を測定する渦電流形センサ(1)を用いたレール摩耗測定方法であって、
レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil1)と、
該レール変位センサ(2)のコイル2(Co2)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil2)と、を加算した電圧V12=Vo(Coil1)+Vo(Coil2)を、数1、数2と数3の数式を用いて変位補正及び直線化して直線化電圧VTを求め、
摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)を用いて、前記レール(R)の摩耗量(La)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil3)を、数4の数式を用いて変位補正及び直線化し、数5の数式を用いて反転電圧VRを求め、
前記直線化電圧VTと、前記反転電圧VRに定数αを掛け算したものとの差分(電圧VT−α*電圧VR)をとり摩耗検出電圧VLaを得て、この摩耗検出電圧VLaから前記レール(R)の摩耗の有無を判別する、ことを特徴とする渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法。
- 前記レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)及びコイル2(Co2)は、前記レール(R)の長手方向に対してそれぞれ横変位方向に互いに対向配置して測定する、ことを特徴とする請求項1に記載の渦電流形センサを用いたレール摩耗測定方法。
- レール(R)の変位と摩耗について、軌道検測車に装備して走行しながら非接触で測定する渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置であって、
前記レール(R)の変位を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル1(Co1)とコイル2(Co2)から成るレール変位センサ(2)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)に隣接する位置に備えられた、前記レール(R)の摩耗を測定するための、該レール(R)に高周波電流を流して、高周波磁界を発生させるコイル3(Co3)から成る摩耗センサ(3)と、
前記コイル1(Co1)とコイル2(Co2)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、前記コイル3(Co3)の出力信号を増幅する増幅器(23)と、
前記コイル1(Co1)及びコイル2(Co2)の出力信号と、前記コイル3(Co3)の出力信号を演算処理する変換器(22)と、を備え、
前記変換器(22)により、前記コイル1(Co1)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil1)と、
前記コイル2(Co2)を用いてレール(R)の変位(x)及びリフトオフ(z)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil2)と、を加算した電圧V12=Vo(Coil1)+Vo(Coil2)を、数1、数2と数3の数式を用いて変位補正及び直線化して直線化電圧VTを求め、
前記コイル3(Co3)を用いて、前記レール(R)の摩耗量(La)に依拠して変化するインピーダンス変化を出力させた出力電圧Vo(Coil3)を、数4の数式を用いて変位補正及び直線化し、数5の数式を用いて反転電圧VRを求め、
前記直線化電圧VTと、前記反転電圧VRに定数αを掛け算したものとの差分(電圧VT−α*電圧VR)をとり摩耗検出電圧VLaを得て、この摩耗検出電圧VLaから前記レール(R)の摩耗の有無を判別するように構成された、ことを特徴とする渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置。
- 前記レール変位センサ(2)のコイル1(Co1)とコイル2(Co2)は、三角形状のコイルであり、
前記摩耗センサ(3)のコイル3(Co3)は、長方形状のコイルである、ことを特徴とする請求項3に記載の渦電流形センサを用いたレール摩耗検出装置。
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