JP6717097B2 - 鍵盤装置 - Google Patents
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Description
本発明は、鍵盤装置に関する。
アコースティックピアノにおいては、アクション機構の動作により、鍵を通して演奏者の指に所定の感覚(以下、タッチ感という)を与える。アコースティックピアノにおいては、ハンマでの打弦のためにアクション機構を必要とする。一方、電子鍵盤楽器においては、センサにより押鍵を検出するため、アコースティックピアノのようなアクション機構を有しなくても発音が可能である。アクション機構を用いない電子鍵盤楽器および簡易的なアクション機構を用いた電子鍵盤楽器のタッチ感は、アコースティックピアノのタッチ感に対して大きく変わってしまう。そこで、電子鍵盤楽器において、少しでもアコースティックピアノに近いタッチ感を得るために、アコースティックピアノにおけるハンマに相当する機構を設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1)。この技術によれば、鍵の動きをハンマに伝達する部分において、互いに摺動する機構が用いられる。
上記技術の摺動機構においては、対向する2つの板部が鍵側に設けられ、2つの板部の間に挿入されて摺動する当接部がハンマ側に設けられている。このような構造である場合、板部間の距離と当接部の大きさとの関係が設計値からずれてしまうと、摺動時の抵抗力が大きく変化する。その結果として、タッチ感(特に、押鍵に対する負荷の大きさ)が変化してしまうため、各部材のサイズは厳密に制御される必要がある。
本発明の目的の一つは、電子鍵盤楽器におけるタッチ感の予期しない変化を少なくすることにある。
本発明の実施形態によると、フレームに対して回動可能に配置された鍵と、前記鍵の回動に応じて、回動可能に配置されたハンマアセンブリと、第1部材と、前記鍵の回動に応じて前記ハンマアセンブリが回動するときに前記第1部材と摺動して、当該第1部材上を移動するように配置された第2部材と、前記第1部材と接続して前記第2部材が前記第1部材から所定距離以上離れないようにガイドする第3部材であって、前記第1部材と前記第2部材とが接触するときの第1接触面積より、前記第2部材と前記第3部材とが接触するときの第2接触面積が小さくなる形状を有する第3部材と、を備えることを特徴とする鍵盤装置が提供される。
前記第2部材は、前記第3部材側において前記第2部材の移動方向に沿った線状の突出部を含んでもよい。
前記第2部材は、複数の前記突出部を含んでもよい。
前記第3部材は、前記第2部材側において前記第2部材の移動方向に沿った線状の突出部を含んでもよい。
前記第3部材は、複数の前記突出部を含んでもよい。
前記第3部材は、前記鍵の回動に応じて前記ハンマアセンブリが回動するときに前記第2部材と摺動してもよい。
前記第1部材および前記第2部材はいずれか一方が前記鍵に、他方が前記ハンマに接続されていてもよい。
本発明によれば、電子鍵盤楽器におけるタッチ感の予期しない変化を少なくすることができる。
以下、本発明の一実施形態における鍵盤装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率(各構成間の比率、縦横高さ方向の比率等)は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
<第1実施形態>
[鍵盤装置の構成]
図1は、第1実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を備えていなくてもよい。
[鍵盤装置の構成]
図1は、第1実施形態における鍵盤装置の構成を示す図である。鍵盤装置1は、この例では、電子ピアノなどユーザ(演奏者)の押鍵に応じて発音する電子鍵盤楽器である。なお、鍵盤装置1は、外部の音源装置を制御するための制御データ(例えば、MIDI)を、押鍵に応じて出力する鍵盤型のコントローラであってもよい。この場合には、鍵盤装置1は、音源装置を備えていなくてもよい。
鍵盤装置1は、鍵盤アセンブリ10を備える。鍵盤アセンブリ10は、白鍵100wおよび黒鍵100bを含む。複数の白鍵100wと黒鍵100bとが並んで配列されている。鍵100の数は、N個であり、この例では88個である。この配列された方向をスケール方向という。白鍵100wおよび黒鍵100bを特に区別せずに説明できる場合には、鍵100という場合がある。以下の説明においても、符号の最後に「w」を付した場合には、白鍵に対応する構成であることを意味している。また、符号の最後に「b」を付した場合には、黒鍵に対応する構成であることを意味している。
鍵盤アセンブリ10の一部は、筐体90の内部に存在している。鍵盤装置1を上方から見た場合において、鍵盤アセンブリ10のうち筐体90に覆われている部分を非外観部NVといい、筐体90から露出してユーザから視認できる部分を外観部PVという。すなわち、外観部PVは、鍵100の一部であって、ユーザによって演奏操作が可能な領域を示す。以下、鍵100のうち外観部PVによって露出されている部分を鍵本体部という場合がある。
筐体90内部には、音源装置70およびスピーカ80が配置されている。音源装置70は、鍵100の押下に伴って音波形信号を生成する。スピーカ80は、音源装置70において生成された音波形信号を外部の空間に出力する。なお、鍵盤装置1は、音量をコントロールするためのスライダ、音色を切り替えるためのスイッチ、様々な情報を表示するディスプレイなどが備えられていてもよい。
なお、本明細書における説明において、上、下、左、右、手前および奥などの方向は、演奏するときの演奏者から鍵盤装置1を見た場合の方向を示している。そのため、例えば、非外観部NVは、外観部PVよりも奥側に位置している、と表現することができる。また、鍵前端側(鍵前方側)、鍵後端側(鍵後方側)のように、鍵100を基準として方向を示す場合もある。この場合、鍵前端側は鍵100に対して演奏者から見た手前側を示す。鍵後端側は鍵100に対して演奏者から見た奥側を示す。この定義によれば、黒鍵100bのうち、黒鍵100bの鍵本体部の前端から後端までが、白鍵100wよりも上方に突出した部分である、と表現することができる。
図2は、第1実施形態における音源装置の構成を示すブロック図である。音源装置70は、信号変換部710、音源部730および出力部750を備える。センサ300は、各鍵100に対応して設けられ、鍵の操作を検出し、検出した内容に応じた信号を出力する。この例では、センサ300は、3段階の押鍵量に応じて信号を出力する。この信号の間隔に応じて押鍵速度が検出可能である。
信号変換部710は、センサ300(88の鍵100に対応したセンサ300−1、300−2、・・・、300−88)の出力信号を取得し、各鍵100における操作状態に応じた操作信号を生成して出力する。この例では、操作信号はMIDI形式の信号である。そのため、押鍵操作に応じて、信号変換部710はノートオンを出力する。このとき、88個の鍵100のいずれが操作されたかを示すキーナンバ、および押鍵速度に対応するベロシティについてもノートオンに対応付けて出力される。一方、離鍵操作に応じて、信号変換部710はキーナンバとノートオフとを対応付けて出力する。信号変換部710には、ペダル等の他の操作に応じた信号が入力され、操作信号に反映されてもよい。
音源部730は、信号変換部710から出力された操作信号に基づいて、音波形信号を生成する。出力部750は、音源部730によって生成された音波形信号を出力する。この音波形信号は、例えば、スピーカ80または音波形信号出力端子などに出力される。
[鍵盤アセンブリの構成]
図3は、第1実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。図3に示すように、筐体90の内部において、鍵盤アセンブリ10およびスピーカ80が配置されている。すなわち、筐体90は、少なくとも、鍵盤アセンブリ10の一部(接続部180およびフレーム500)およびスピーカ80を覆っている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体90の上方および下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体90の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体90の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける鍵100の隣接間の隙間または鍵100と筐体90との隙間から外部に進む。なお、鍵盤アセンブリ10の内部の空間、すなわち鍵100(鍵本体部)の下方側の空間に到達する、スピーカ80からの音の経路は、経路SRとして例示されている。
図3は、第1実施形態における筐体内部の構成を側面から見た場合の説明図である。図3に示すように、筐体90の内部において、鍵盤アセンブリ10およびスピーカ80が配置されている。すなわち、筐体90は、少なくとも、鍵盤アセンブリ10の一部(接続部180およびフレーム500)およびスピーカ80を覆っている。スピーカ80は、鍵盤アセンブリ10の奥側に配置されている。このスピーカ80は、押鍵に応じた音を筐体90の上方および下方に向けて出力するように配置されている。下方に出力される音は、筐体90の下面側から外部に進む。一方、上方に出力される音は筐体90の内部から鍵盤アセンブリ10の内部の空間を通過して、外観部PVにおける鍵100の隣接間の隙間または鍵100と筐体90との隙間から外部に進む。なお、鍵盤アセンブリ10の内部の空間、すなわち鍵100(鍵本体部)の下方側の空間に到達する、スピーカ80からの音の経路は、経路SRとして例示されている。
鍵盤アセンブリ10の構成について、図3を用いて説明する。鍵盤アセンブリ10は、上述した鍵100の他にも、接続部180、ハンマアセンブリ200およびフレーム500を含む。鍵盤アセンブリ10は、ほとんどの構成が射出成形などによって製造された樹脂製の構造体である。フレーム500は、筐体90に固定されている。接続部180は、フレーム500に対して回動可能に鍵100を接続する。接続部180は、板状可撓性部材181、鍵側支持部183および棒状可撓性部材185を備える。板状可撓性部材181は、鍵100の後端から延在している。鍵側支持部183は、板状可撓性部材181の後端から延在している。棒状可撓性部材185が、鍵側支持部183およびフレーム500のフレーム側支持部585によって支持されている。すなわち、鍵100とフレーム500との間に、棒状可撓性部材185が配置されている。棒状可撓性部材185が曲がることによって、鍵100がフレーム500に対して回動することができる。棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585とに対して、着脱可能に構成されている。なお、棒状可撓性部材185は、鍵側支持部183とフレーム側支持部585と一体となって、または接着等により、着脱できない構成であってもよい。
鍵100は、前端鍵ガイド151および側面鍵ガイド153を備える。前端鍵ガイド151は、フレーム500の前端フレームガイド511を覆った状態で摺動可能に接触している。前端鍵ガイド151は、その上部と下部のスケール方向の両側において、前端フレームガイド511と接触している。側面鍵ガイド153は、スケール方向の両側において側面フレームガイド513と摺動可能に接触している。この例では、側面鍵ガイド153は、鍵100の側面のうち非外観部NVに対応する領域に配置され、接続部180(板状可撓性部材181)よりも鍵前端側に存在するが、外観部PVに対応する領域に配置されてもよい。
また、鍵100は、外観部PVの下方において鍵側負荷部120が接続されている。鍵側負荷部120は、鍵100が回動するときに、ハンマアセンブリ200を回動させるように、ハンマアセンブリ200に接続される。
ハンマアセンブリ200は、鍵100の下方側の空間に配置され、フレーム500に対して回動可能に取り付けられている。ハンマアセンブリ200は、錘部230およびハンマ本体部250を備える。ハンマ本体部250には、フレーム500の回動軸520の軸受となる軸支持部220が配置されている。軸支持部220とフレーム500の回動軸520とは少なくとも3点で摺動可能に接触する。
ハンマ側負荷部210は、ハンマ本体部250の前端部に接続されている。ハンマ側負荷部210は、鍵側負荷部120の内部において概ね前後方向に摺動可能に接触する部分(後述する移動部材211;図4参照)を備える。この接触部分にはグリース等の潤滑剤が配置されていてもよい。ハンマ側負荷部210および鍵側負荷部120(以下の説明において、これらをまとめて「負荷発生部」という場合がある)とは、互いに摺動することで押鍵時の負荷の一部を発生する。負荷発生部は、この例では外観部PV(鍵本体部の後端よりも前方)における鍵100の下方に位置する。負荷発生部の詳細の構造については後述する。
錘部230は、金属製の錘を含み、ハンマ本体部250の後端部(回動軸よりも奥側)に接続されている。通常時(押鍵していないとき)には、錘部230が下側ストッパ410に載置された状態になる。これによって、鍵100はレスト位置で安定する。押鍵されると、錘部230が上方に移動し、上側ストッパ430に衝突する。これによって鍵100の最大押鍵量となるエンド位置が規定される。この錘部230によっても、押鍵に対して負荷を与える。下側ストッパ410および上側ストッパ430は、緩衝材等(不織布、弾性体等)で形成されている。
負荷発生部の下方において、フレーム500にセンサ300が取り付けられている。押鍵によりハンマ側負荷部210の下面側でセンサ300が押しつぶされると、センサ300は検出信号を出力する。センサ300は、上述したように、各鍵100に対応して設けられている。
[負荷発生部の概要]
図4は、第1実施形態における負荷発生部(鍵側負荷部およびハンマ側負荷部)の説明図である。ハンマ側負荷部210は、移動部材211(第2部材)、リブ部213およびセンサ駆動部215(板状部材)を備える。これらの各構成はいずれも、ハンマ本体部250とも接続されている。移動部材211は、この例では略円柱形状であり、その軸がスケール方向に延びている。リブ部213は、移動部材211の下方に接続されたリブであって、この例では、その表面の法線方向がスケール方向に沿っている。センサ駆動部215は、リブ部213の下方に接続され、スケール方向に対して垂直な方向の法線の表面を有する板状部材である。すなわち、センサ駆動部215とリブ部213とは垂直の関係にある。ここで、リブ部213は、押鍵によって移動する方向を面内に含む。そのため、押鍵時の移動方向に対して、移動部材211およびセンサ駆動部215の強度を補強する効果を有する。ここでは、移動部材211に対しては、リブ部213およびセンサ駆動部215が補強材として機能する。センサ駆動部215に対しては、移動部材211およびリブ部213が補強材として機能する。これによって、単にリブを設けるよりも、互いに補強し合って全体として強固にすることもできる。
図4は、第1実施形態における負荷発生部(鍵側負荷部およびハンマ側負荷部)の説明図である。ハンマ側負荷部210は、移動部材211(第2部材)、リブ部213およびセンサ駆動部215(板状部材)を備える。これらの各構成はいずれも、ハンマ本体部250とも接続されている。移動部材211は、この例では略円柱形状であり、その軸がスケール方向に延びている。リブ部213は、移動部材211の下方に接続されたリブであって、この例では、その表面の法線方向がスケール方向に沿っている。センサ駆動部215は、リブ部213の下方に接続され、スケール方向に対して垂直な方向の法線の表面を有する板状部材である。すなわち、センサ駆動部215とリブ部213とは垂直の関係にある。ここで、リブ部213は、押鍵によって移動する方向を面内に含む。そのため、押鍵時の移動方向に対して、移動部材211およびセンサ駆動部215の強度を補強する効果を有する。ここでは、移動部材211に対しては、リブ部213およびセンサ駆動部215が補強材として機能する。センサ駆動部215に対しては、移動部材211およびリブ部213が補強材として機能する。これによって、単にリブを設けるよりも、互いに補強し合って全体として強固にすることもできる。
鍵側負荷部120は、摺動面形成部121を含む。この例では、摺動面形成部121は、内部に移動部材211が移動可能な空間SPを形成する。空間SPの上方において摺動面FSが形成され、空間SPの下方においてガイド面GSが形成される。この例では、少なくとも摺動面FSが形成される領域は、ゴム等の弾性体で形成されている。すなわち、この弾性体が露出されている。この例では、摺動面形成部121の全体が弾性体で形成されている。この弾性体は粘弾性を有すること、すなわち粘弾性体であることが望ましい。摺動面形成部121は、弾性体であるため、より変形しにくい材料、例えば剛性の高い樹脂などの剛性体に囲まれている。これによって摺動面形成部121の外面の形状が維持されるように支持されている。この外面は、摺動面形成部121における摺動面FSの反対側の面を含む。なお、摺動面FSから外面側の剛性体に至るまでの間は、徐々に剛性が高くなるように変化してもよい。また、この間においては、摺動面FSよりも弾性変形がしやすい部材(剛性の低い部材)が含まれないことが望ましい。
図4においては、鍵100がレスト位置にある場合の移動部材211の位置を示している。押鍵されると、移動部材211は、摺動面FSと接触しつつ、空間SPを矢印D1の方向(以下、進行方向D1という場合がある)に移動する。すなわち、移動部材211は摺動面FSと摺動する。移動部材211が摺動面FSに接触しながら移動することから、摺動面FSは間欠摺動側、移動部材211は連続摺動側という場合がある。移動部材211もわずかに回転して接触面が移動することから、厳密には連続摺動ではないが、ほぼ連続摺動であるといえる。いずれにしても、押鍵に伴って摺動面FSと移動部材211とが摺動する範囲において、摺動面FSのうち移動部材211によって接触可能な全範囲は、移動部材211のうち摺動面FSによって接触可能な全範囲よりも大きな面積となる。
このとき、負荷発生部全体としては、押鍵に伴い下方に移動し、センサ駆動部215がセンサ300を押しつぶす。この例では、摺動面FSのうち、鍵100がレスト位置からエンド位置に回動することによって移動部材211が移動する範囲に、段差部1231が配置されている。すなわち、段差部1231は、初期位置(鍵100がレスト位置にあるときの移動部材211の位置)から移動する移動部材211によって乗り越えられる。また、ガイド面GSのうち段差部1231に対向する部分には、凹部1233が形成されている。凹部1233の存在により、移動部材211が段差部1231を乗り越えて移動しやすくなる。続いて、摺動面形成部121の構成について詳述する。
[摺動面形成部の構成]
図5は、第1実施形態における摺動面形成部の構造を説明する図である。図5(A)は、上述した図4において説明した摺動面形成部121をより詳細に説明する図であって、その内部の構造を破線で示している。図5(B)は、摺動面形成部121を後方(鍵後端側)から見た場合の図である。図5(C)は、摺動面形成部121を上面側から見た場合の図である。図5(D)は、摺動面形成部121を下面側からみた見た場合の図である。図5(E)は、摺動面形成部121を前方(鍵前端側)から見た場合の図である。なお、移動部材211およびリブ部213が存在する領域を二点鎖線で示している。
図5は、第1実施形態における摺動面形成部の構造を説明する図である。図5(A)は、上述した図4において説明した摺動面形成部121をより詳細に説明する図であって、その内部の構造を破線で示している。図5(B)は、摺動面形成部121を後方(鍵後端側)から見た場合の図である。図5(C)は、摺動面形成部121を上面側から見た場合の図である。図5(D)は、摺動面形成部121を下面側からみた見た場合の図である。図5(E)は、摺動面形成部121を前方(鍵前端側)から見た場合の図である。なお、移動部材211およびリブ部213が存在する領域を二点鎖線で示している。
摺動面形成部121は、上部材1211(第1部材)、下部材1213(第3部材)および側部材1215を備える。上部材1211と下部材1213とは側部材1215を介して接続されている。上述した空間SPは、上部材1211、下部材1213および側部材1215によって囲まれている空間を示している。上部材1211の空間SP側の面は摺動面FSである。摺動面FSには、上述したように段差部1231が配置されている。下部材1213の空間SP側の面はガイド面GSである。ガイド面GSには、上述したように凹部1233が配置されている。ガイド面GSは、移動部材211が上部材1211(摺動面FS)から所定距離以上に離れないように、移動部材211をガイドする。
下部材1213には、スリット125が配置されている。スリット125は、移動部材211とともに移動するリブ部213を通過させる。図5においては省略しているが、図4に示したように、リブ部213には、移動部材211とは反対側においてセンサ駆動部215が接続されている。したがって、下部材1213は、移動部材211とセンサ駆動部215との間に挟まれる位置関係となる。
下部材1213のガイド面GSは、スリット125に近づくほど、摺動面FSに近づくように傾斜している。すなわち、下部材1213は、スリット125に沿って(移動部211の進行方向D1に沿って)突出する線状の突出部1235を備えている。このような突出部1235によれば、移動部材211が摺動面FSに接触するときの面積より、ガイド面GSに接触するときの面積が小さくなる。この例では、移動部材211は、摺動面FSに接触しているときにはガイド面GSから離れ、ガイド面GSに接触しているときには摺動面FSから離れている。なお、移動部材211は、移動範囲の少なくとも一部において、摺動面FSとガイド面GSとの双方に接触して摺動するようになっていてもよい。また、この例では、スリット125の両側に突出部1235が設けられていたが、いずれか一方側に設けられていてもよい。
押鍵のときには、摺動面FSから移動部材211に対して力が加えられる。移動部材211に伝達された力は、錘部230を上方に移動させるようにハンマアセンブリ200を回動させる。このとき、移動部材211は摺動面FSに押しつけられる。一方、離鍵のときには、錘部230が落下することによりハンマアセンブリ200が回動し、その結果、移動部材211から摺動面FSに対して力が加えられる。ここで、移動部材211は、摺動面FSを形成する弾性体と比べて弾性変形しにくい部材(例えば、剛性の高い樹脂等)で形成されている。そのため、摺動面FSは、移動部材211が押しつけられることで弾性変形する。この結果、移動部材211は、押しつけられる力に応じて移動に対する様々な抵抗力を受ける。この抵抗力について、図6および図7を用いて説明する。
図6は、第1実施形態における弾性体の弾性変形(強打時)を説明する図である。図7は、第1実施形態における弾性体の弾性変形(弱打時)を説明する図である。押鍵により、移動部材211が進行方向D1に移動する。このとき、移動部材211は、上部材1211の摺動面FSに押しつけられるため、弾性体で形成された上部材1211は、弾性変形によって摺動面FSが凹むように変形する。
移動部材211の表面のうち進行方向D1側(以下、移動部材211の前方側という場合がある)の点C1においては、上部材1211との摩擦力Ff1のほか、上部材1211から押し返される反発力Fr1が進行方向D1に対する抵抗力となる。また、移動部材211の表面のうち、進行方向D1とは反対側(以下、移動部材211の後方側という場合がある)の点C2においては、押鍵が弱いとき(弱打時)では上部材1211と接触する(図7)一方、押鍵が強いとき(強打時)では上部材1211と接触しない(図6)。
上部材1211は、移動部材211によって弾性変形し、移動部材211が通過した後は形状が復元することになる。強打時には、復元するよりも早く移動部材211が移動していく。そのため、移動部材211の後方側において、移動部材211と上部材1211とが接触しない領域が増加する。上部材1211の粘性の大きいほど、移動部材211の速さが同じでも接触しない領域が増加する。
なお、弱打時と強打時との違い、すなわち押鍵力の強さの違いは弾性変形の大きさに影響を与える。一方、移動部材211と上部材1211とが接触しない領域の大きさについては弱打時と強打時との違いは、詳細には移動部材211の移動速度が直接的な要因となる。すなわち、押鍵の力が弱くてもすでに押鍵速度が速くなっている状態であれば、移動部材211と上部材1211とが接触しない領域が増加することになる。例えば、手を振り下ろしながら押鍵するときには、押鍵の最初に大きな力が加わるものの、すぐに力が少なくなって弾性変形の量は少なくなり、移動部材211が等速運動に近づく。一方、移動部材211の移動速度は速いままであるため、上部材1211の粘性の影響により移動部材211の後方側からの力を受けにくく、前方側からの反発力Fr1の影響を大きく受けて、押鍵に対する抵抗力が得られる。
移動部材211の後方側において上部材1211と接触する場合には、移動部材211は、摩擦力Ff2のほか、反発力Fr2を受ける。摩擦力Ff2については、進行方向D1に対する抵抗力となる。一方、反発力Fr2は、進行方向D1に対しては推進力となる。また、弱打時であるほど、上部材1211の弾性変形の量が少ないため、反発力Fr1の大きさも少なく、全体としては移動部材211と上部材1211との接触面積も少なくなり摩擦力の大きさも低下する。このように、図6の状況と図7の状況とでは、摩擦力の違いだけでなく、反発力による影響も異なる。したがって、これらの構成によれば、押鍵の強さおよび速さによって、移動部材211が進行方向D1に対して受ける抵抗力を複雑に変化させることができる。移動部材211が受けた抵抗力は、押鍵に対して与える抵抗力ともなる。これによって、アコースティックピアノにおける押鍵の強さおよび速さに応じた、押鍵への抵抗力の変化を再現することができる。また、上部材1211において、加速度(押鍵力)の影響を大きく受ける弾性および速度(押鍵速度)の影響を大きく受ける粘性を調整した材質を用いることにより、押鍵への抵抗力を様々に設計することもできる。
なお、押鍵の強さによっては、鍵100がエンド位置に達したときに、移動部材211が摺動面FSにバウンドしてガイド面GSに衝突する場合がある。このとき、ガイド面GSの突出部1235が移動部材211によって押しつぶされるように弾性変形してもよい。突出部1235の存在によって、移動部材211とガイド面GSとの接触面積(第2接触面積)は、移動部材211と摺動面FSとの接触面積(第1接触面積)よりも小さい。接触面積が小さいために摺動面FSよりもガイド面GSの方が、同じ力が加わっても弾性変形しやすく、移動部材211がガイド面GSに衝突したとしても、移動部材211が摺動面FSに衝突するときよりは、衝突音の発生が抑えられる。
[鍵盤アセンブリの動作]
図8は、第1実施形態における鍵(白鍵)を押下したときの鍵アセンブリの動作を説明する図である。図8(A)は、鍵100がレスト位置(押鍵していない状態)にある場合の図である。図8(B)は、鍵100がエンド位置(最後まで押鍵した状態)にある場合の図である。鍵100が押下されると、棒状可撓性部材185が回動中心となって曲がる。このとき、棒状可撓性部材185は、鍵の前方(手前方向)への曲げ変形が生じているが、側面鍵ガイド153による前後方向の移動の規制によって、鍵100は前方に移動するのではなくピッチ方向に回動するようになる。そして、鍵側負荷部120がハンマ側負荷部210を押し下げることで、ハンマアセンブリ200が回動軸520を中心に回動する。なお、図8の説明において、鍵側負荷部120における摺動面形成部121の各構成については、図4、5が参照される。
図8は、第1実施形態における鍵(白鍵)を押下したときの鍵アセンブリの動作を説明する図である。図8(A)は、鍵100がレスト位置(押鍵していない状態)にある場合の図である。図8(B)は、鍵100がエンド位置(最後まで押鍵した状態)にある場合の図である。鍵100が押下されると、棒状可撓性部材185が回動中心となって曲がる。このとき、棒状可撓性部材185は、鍵の前方(手前方向)への曲げ変形が生じているが、側面鍵ガイド153による前後方向の移動の規制によって、鍵100は前方に移動するのではなくピッチ方向に回動するようになる。そして、鍵側負荷部120がハンマ側負荷部210を押し下げることで、ハンマアセンブリ200が回動軸520を中心に回動する。なお、図8の説明において、鍵側負荷部120における摺動面形成部121の各構成については、図4、5が参照される。
このとき、錘部230が上方に移動するため、錘部230の重さが鍵100をレスト位置に戻す方向(上方)に移動させるように力を与える。また、負荷発生部(鍵側負荷部120およびハンマ側負荷部210)において、移動部材211は、摺動面FSと接触しつつ移動するときに上部材1211を弾性変形させることによって、押鍵の方法に応じた様々な抵抗力を受けることになる。この抵抗力と錘部230の重さは、押鍵に対する負荷として現れる。また、移動部材211が段差部1231を乗り越えることで、クリック感が鍵100に伝達される。ここでいうクリック感とは、アコースティックピアノにおけるエスケープメント機構の動作によって演奏者の指に押鍵速度に応じた衝突感とその後の抜け感を与えるタッチ感を示す。
錘部230が上側ストッパ430に衝突することによって、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がエンド位置に達する。このとき、ハンマアセンブリ200の回動による慣性力により、移動部材211が慣性力により移動し続けて、ガイド面GSに衝突する場合がある。この場合でも、移動部材211とガイド面GS(突出部1235)との接触面積が小さく弾性変形しやすいため、衝突音およびがたつき感を抑えることができる。また、センサ300がハンマ駆動部215によって押しつぶされると、センサ300は、押しつぶされた量(押鍵量)に応じた複数の段階で、検出信号を出力する。
一方、離鍵すると、錘部230が下方に移動することによって、ハンマアセンブリ200が回動する。ハンマアセンブリ200の回動に伴い、負荷発生部を介して鍵100が上方に回動する。錘部230が下側ストッパ410に接触することで、ハンマアセンブリ200の回動が止まり、鍵100がレスト位置に戻る。このとき、移動部材211は、初期位置に戻る。また、移動部材211が摺動面FSにおいてバウンドし、ガイド面GSに衝突する場合がある。この場合でも、移動部材211とガイド面GS(突出部1235)との接触面積が小さく弾性変形しやすいため衝撃を効率的に吸収し、衝突音およびがたつき感を抑えることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態では、下部材1213に設けられる突出部1235について、第1実施形態とは異なる形状について、複数の例を用いて説明する。
第2実施形態では、下部材1213に設けられる突出部1235について、第1実施形態とは異なる形状について、複数の例を用いて説明する。
図9は、第2実施形態における下部材に設けられた突出部の形状の例を説明する図である。図9は、第1実施形態において説明された図5(B)に対応して示されている。なお、図5と同様に、移動部材211およびリブ部213が存在する領域を二点鎖線で示している。
図9(A)に示す第1の例では、下部材1213Aのガイド面GSは、突出部1235A以外の部分に摺動面FSと平行な面を含む。突出部1235Aをスリット125が延びる方向に見た場合(移動部材211の進行方向D1に沿って見た場合:図9に示す状態、以下同じ)においては、突出部1235Aの形状が、摺動面FSに最も近い部分において頂点を備える三角形になっている。また、第1実施形態では、突出部1235の一側面がスリット125の一側面と共通化されていたが、この例では、スリット125と突出部1235Aとの間においても、摺動面FSに平行な平面が含まれている。
図9(B)に示す第2の例では、下部材1213Bのガイド面GSは、突出部1235B以外の部分に摺動面FSと平行な面を含む。突出部1235Bをスリット125が延びる方向に見た場合においては、突出部1235Bの形状が、摺動面FSに最も近い部分において摺動面FSと平行な台形になっている。
図9(C)に示す第3の例では、下部材1213Cのガイド面GSは、突出部1235C以外の部分に摺動面FSと平行な面を含む。突出部1235Cをスリット125が延びる方向に見た場合においては、突出部1235Cの形状が、円弧形になっている。この円弧の中心は、ガイド面GSまたはさらに下側(摺動面FSとは反対側)に存在することが望ましい。
図9(D)に示す第4の例では、下部材1213Dのガイド面GSに対して、溝形状の窪み部1236Dがスリットに沿って形成されている。窪み部1236Dをスリット125が延びる方向に見た場合においては、窪み部1236Dの形状が、摺動面FSから最も遠い部分において頂点を備える三角形になっている。この窪み部1236Dによっても移動部材211とガイド面GSとの接触面積が、移動部211と摺動面FSとの接触面積よりも小さくなるようにすることができる。
図9(E)に示す第5の例では、下部材1231Eにおいてスリット125が形成されていない。突出部1235Eは、移動部材211の進行方向D1に沿って見た場合に下部材1231Eの中心部分(スリットが形成されていた位置)において突出している。突出部を移動部材211の進行方向D1に見た場合においては、突出部1235Eの形状は、摺動面FSに最も近い部分において頂点を備える三角形になっている。
なお、以上の例の他にも、突出部は様々な形状を取り得る。例えば、突出部は、移動部材211の進行方向D1に沿って形成されている直線状に限らず、例えば、波状などの曲線を含むものであってもよい。また、移動部材211の移動範囲の全てにおいて突出部が存在する場合に限らず、一部のみに存在してもよい。一部のみに存在する場合には、移動部材211がガイド面GSと接触しやすい領域に配置してもよい。この領域は、例えば、移動部材211の移動範囲の両端部(鍵100がレスト位置およびエンド位置にあるときの移動部材211の位置)である。
さらに、移動部材211の進行方向D1に沿って見た場合に、突出部は、移動部材211の中心(リブ部213の位置)に対して対称に配置されていてもよいし、非対称に配置されていてもよい。また、突出部の数は、図9(E)に示すように1つであってもよいし、図9(A)から図9(D)に示すように2つであってもよいし、さらに多くてもよい。突出部が複数存在するときにおいて、いずれか一つの突出部の形状が他の突出部の形状とは異なっていてもよい。
<第3実施形態>
第3実施形態では、突出部1235が下部材1213から突出しているのではなく、突出部が移動部材211から突出している場合について、複数の例について説明する。
第3実施形態では、突出部1235が下部材1213から突出しているのではなく、突出部が移動部材211から突出している場合について、複数の例について説明する。
図10は、第3実施形態における移動部材に設けられた突出部の形状の第1の例を説明する図である。図10(A)は、第1実施形態において説明された図5(B)に対応した向きから見た場合の図、すなわち、移動部材の進行方向D1に沿って見た場合の図である。一方、図10(B)は、移動部材をスケール方向に沿った方向に見た場合の図である。なお、摺動面形成部121F(上部材1211、下部材1213Fおよび側部材1215)が存在する領域を二点鎖線で示している。この例では、第1実施形態におけるリブ部213およびスリット125に相当する構成は存在しない。後述する図11についても、同様である。
移動部材211Fは、円柱形状であり、ガイド面GS側において突出する突出部2113Fを備えている。突出部2113Fは、進行方向D1に沿って移動部材211Fから線状に突出している。この例では、移動部材211Fを図10(A)に示す方向に見た場合に、突出部2113Fの形状は、下部材1213Fに最も近い部分において頂点を備える三角形になっている。また、図10(B)に示すように、この例では、移動部材211Fに対する突出部2113Fの突出量は、円の径方向によって突出量が異なっている。なお、突出部2113Fの形状は、第2実施形態で示した例と同様に、様々に取り得る。
このように、移動部材211Fの突出部2113Fによっても、下部材1213Fとの接触面積を少なくすることができる。一方、上述した実施形態とは異なり、突出部2113Fが弾性変形をするのではなく、下部材1213Fが弾性変形をする。したがって、突出部2113Fの存在によって下部材1213Fの一部に集中的に力が加わることによって弾性変形の程度が大きくなって、衝撃を効率的に吸収することができる。
図11は、第3実施形態における移動部材に設けられた突出部の形状の第2の例を説明する図である。摺動面形成部121Fについては、図10に示す例と同様である。移動部材211Gは、円柱形状から突出部2113Gを残して一部を除去した形状である。すなわち、移動部材211Gと突出部2113Gを合わせた外周部分が円柱の側面形状になっている。
図12は、第3実施形態における移動部材に設けられた突出部の形状の第3の例を説明する図である。この例では、移動部材211Hにリブ部213Hが接続されている構成である。したがって、摺動面形成部121Hにおける下部材1213Hには、スリット125が存在する。突出部2113Hは、移動部材211Hからガイド面GS側に突出しているが、リブ部213Hにも接続されている。なお、突出部2113Hは、リブ部213Hにのみ接続され、移動部材211Hには直接接触しない形状であってもよい。また、突出部2113Hは、移動部材211Hにのみ接続され、リブ部213Hには直接接触しない形状であってもよい。
なお、以上の例の他にも、突出部は様々な形状を取り得る。例えば、突出部は、移動部材211の進行方向D1に沿って形成されている直線状に限らず、例えば、波状などの曲線を含むものであってもよい。さらに、移動部材211の進行方向D1に沿って見た場合に、突出部は、移動部材211の中心(リブ部213の位置)に対して対称に配置されていてもよいし、非対称に配置されていてもよい。また、突出部の数は、図10および図11に示すように1つであってもよいし、図12に示すように2つであってもよいし、さらに多くてもよい。突出部が複数存在するときにおいて、いずれか一つの突出部の形状が他の突出部の形状とは異なっていてもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態では、ガイド面GSのうち突出部と摺動面FSとの双方に移動部材が接触する場合の例について説明する。
第4実施形態では、ガイド面GSのうち突出部と摺動面FSとの双方に移動部材が接触する場合の例について説明する。
図13は、第4実施形態における下部材に設けられた突出部と移動部材との関係を説明する図である。図13(A)は、第2実施形態において説明した図9(E)に対応する図である。一方、図13(B)は、図13(A)における構成において、移動部材211が、摺動面FSと接触するだけでなく、常時、ガイド面GSのうち突出部1235Eに接触する場合の例を示している。このとき、図13(B)に示すように移動部材211は、ガイド面GSのうち、摺動面FSを平行な面には接触せず、突出部1235Eのみと接触する。この場合、突出部1235Eは、移動部211によって弾性変形している。また、移動部材211は、ガイド面GSの方向に力を受けたとしても、突出部1235Eの弾性力によってガイド面GSの全体とは接触しないようにすることが望ましい。
このような場合には、製造上の都合等により予期せず移動部材211の大きさが変化してしまうと突出部1235Eの弾性変形の量が異なってしまうが、接触面積が小さいため、移動部材211の移動に対する抵抗力への影響をできるだけ抑えることができる。
<第5実施形態>
第5実施形態では、移動部材が摺動面FSに接触しつつ、移動部材の突出部がガイド面GSに接触する場合の例について説明する。
第5実施形態では、移動部材が摺動面FSに接触しつつ、移動部材の突出部がガイド面GSに接触する場合の例について説明する。
図14は、第5実施形態における移動部材に設けられた突出部と下部材との関係を説明する図である。図14(A)は、第3実施形態において説明した図11(A)に対応する図である。一方、図14(B)は、図14(A)における構成において、移動部材211Gが、摺動面FSと接触するだけでなく、常時、移動部材211Gの突出部2113Gがガイド面GSに接触する場合の例を示している。このとき、図14(B)に示すように移動部材211Gは、ガイド面GSに対しては、突出部2113Gのみが接触し、その他の部分は接触しない。この場合、ガイド面GSは、突出部2113Gによって弾性変形している。また、移動部材211Gは、ガイド面GSの方向に力を受けたとしても、突出部2113Gに対するガイド面GSからの弾性力によって突出部2113G以外がガイド面GSに接触しないようにすることが望ましい。
このような場合には、製造上の都合等により予期せず移動部材211の大きさが変化してしまうと突出部2113Gがガイド面GSを弾性変形させる量が異なってしまうが、接触面積が小さいため、移動部材211Gの移動に対する抵抗力への影響をできるだけ抑えることができる。
<第6実施形態>
第6実施形態は、鍵100と鍵側負荷部120とが間接的に接続されている構成である。
第6実施形態は、鍵100と鍵側負荷部120とが間接的に接続されている構成である。
図15は、第6実施形態における鍵盤アセンブリの鍵とハンマとの接続関係を模式的に説明する図である。図15においては、鍵、錘および負荷発生部の関係を模式的に表している。図15(A)は鍵100Jがレスト位置(押鍵前)にあるときの図である。図15(B)は、鍵100Jがエンド位置(押鍵後)にあるときの図である。
鍵100Jは、CF1を中心に回動する。CF1は、上述の実施形態によれば、例えば、棒状可撓性部材185に対応する。鍵側負荷部120Jと鍵100Jとは、構造体1201Jを介して接続されている。構造体1201Jは、CF3を中心に回動する。構造体1201Jの一端は、鍵100Jとリンク機構CK1を介して回転可能に接続されている。構造体1201Jの他端は、鍵側負荷部120Jと接続されている。ハンマ本体部250Eは、CF2を中心に回動する。CF2は、上述の実施形態によれば、回動軸520に対応する。錘部230Jは、CF2とハンマ側負荷部210Jとの間に配置されている。
これによって、押鍵すると鍵側負荷部120Jがハンマ側負荷部210Jの内部で移動しながら、錘部230Jを上側ストッパ430Jに衝突するまで上昇させる。すなわち、図15(A)に示す状態から図15(B)に示す状態まで変化する。一方、離鍵すると錘部230Jは下降して下側ストッパ410Jに衝突するまで、鍵100Jを押し上げる。すなわち、図15(B)に示す状態から図15(A)に示す状態まで変化する。このように、鍵からハンマアセンブリまでの力の伝達経路に、負荷発生部が存在する構成であれば、鍵およびハンマアセンブリの少なくとも一方が負荷発生部に直接的に接続されていても、間接的に接続されていてもよく、様々な構成が取り得る。
<変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は以下のように、様々な態様で実施可能である。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は以下のように、様々な態様で実施可能である。
(1)上述した実施形態においては、移動部材211にはリブ部213を介してセンサ駆動部215が接続されていたが、リブ部213が存在しなくてもよい。この場合には、移動部材211およびセンサ駆動部215はハンマ本体部250に接続されていればよい。また、この場合には、下部材1213にスリット125が形成されていなくてもよい。
(2)上述した実施形態においては、摺動面形成部121の全体が弾性体で形成されていたが、この場合に限られない。例えば、摺動面FSが形成されている領域全体において弾性体が配置されてもよい。また、ガイド面GSに形成された突出部のみが弾性体で形成されていてもよい。第1実施形態において説明した押鍵に対する抵抗力を得るためには、鍵100の可動範囲内の全てにおいて、移動部材211が接触可能な摺動面FSの範囲が、少なくとも弾性体で形成されていることが望ましい。なお、摺動面形成部において突出部が弾性体で形成されていなくても、移動部材との接触面積が小さくなることで、衝突音の低減効果はある。また、移動部材に突出部が存在する場合には、この突出部が弾性体で形成されていてもよい。
(3)上述した実施形態においては、鍵100に摺動面FSを含む鍵側負荷部120が接続され、ハンマアセンブリ200に移動部材211を含むハンマ側負荷部210が接続されているが、この関係は逆であってもよい。逆の関係にすると具体的には、ハンマ側負荷部210において摺動面FSを形成し、鍵側負荷部120において移動部材211を備えることになる。すなわち、移動部材211および摺動面FSは、いずれか一方が鍵100に接続され、他方がハンマアセンブリ200に接続されていればよい。
(4)下部材1213(ガイド面GS)は、一部の領域または全てが存在しなくてもよい。一部の領域を残す場合には、移動部材211がガイド面GSに衝突しやすい領域にガイド面GSを残すようにすればよい。例えば、鍵100をエンド位置まで押下した直後では、ハンマアセンブリ200が慣性力で回転を続け、移動部材211が摺動面FSから離れやすくなる。また、鍵100がレスト位置に戻った直後では、ハンマアセンブリ200が慣性力で回転を続けた結果、移動部材211が摺動面FSに衝突して跳ね返る場合がある。これらの状況において、ガイド面GSに移動部材211が接触しやすくなる。すなわち、ガイド面GSは、少なくとも移動部材211の移動範囲の両端部において配置されていることが望ましい。この場合には、突出部1235はガイド面GSが配置された場所に形成されていればよい。
(5)摺動面FSにおいて、段差部1231が存在しなくてもよい。この場合にはクリック感を別の方法を用いて発生させることが望ましい。少なくとも負荷発生部においては、クリック感を発生させなくてもよい。クリック感を生じさせなくても、負荷発生部において摺動面FSの弾性変形を用いて押鍵に対する抵抗力を与えることは可能である。
1…鍵盤装置、10…鍵盤アセンブリ、70…音源装置、80…スピーカ、90…筐体、100,100J…鍵、100w…白鍵、100b…黒鍵、120,120J…鍵側負荷部、1201J…構造体、121…摺動面形成部、1211…上部材、1213,1213A,1213B,1213C,1213D,1213E…下部材、1215…側部材、1231…段差部、1233…凹部、1235,1235A,1235B,1235C,1235E…突出部、1236D…窪み部、125…スリット、151…前端鍵ガイド、153…側面鍵ガイド、180…接続部、181…板状可撓性部材、183…鍵側支持部、185…棒状可撓性部材、200…ハンマアセンブリ、210,210J…ハンマ側負荷部、211…移動部材、213…リブ部、215…センサ駆動部、220…軸支持部、230,230J…錘部、250,250J…ハンマ本体部、300…センサ、410,410J…下側ストッパ、430,430J…上側ストッパ、500…フレーム、511…前端フレームガイド、513…側面フレームガイド、520…回動軸、585…フレーム側支持部、710…信号変換部、730…音源部、750…出力部
Claims (7)
- フレームに対して回動可能に配置された鍵と、
前記鍵の回動に応じて、回動可能に配置されたハンマアセンブリと、
第1部材と、
前記鍵の回動に応じて前記ハンマアセンブリが回動するときに前記第1部材と摺動して、当該第1部材上を移動するように配置された第2部材と、
前記第1部材と接続して前記第2部材が前記第1部材から所定距離以上離れないようにガイドする第3部材であって、前記第1部材と前記第2部材とが接触するときの第1接触面積より、前記第2部材と前記第3部材とが接触するときの第2接触面積が小さくなる形状を有する第3部材と、
を備えることを特徴とする鍵盤装置。 - 前記第2部材は、前記第3部材側において前記第2部材の移動方向に沿った線状の突出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
- 前記第2部材は、複数の前記突出部を含むことを特徴とする請求項2に記載の鍵盤装置。
- 前記第3部材は、前記第2部材側において前記第2部材の移動方向に沿った線状の突出部を含むことを特徴とする請求項1に記載の鍵盤装置。
- 前記第3部材は、複数の前記突出部を含むことを特徴とする請求項4に記載の鍵盤装置。
- 前記第3部材は、前記鍵の回動に応じて前記ハンマアセンブリが回動するときに前記第2部材と摺動することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の鍵盤装置。
- 前記第1部材および前記第2部材はいずれか一方が前記鍵に、他方が前記ハンマアセンブリに接続されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の鍵盤装置。
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