以下の実施形態は、一般に可動子及びこれを用いた接点装置に関し、より詳細には複数の板ばねを重ねることで形成された可動子及びこれを用いた接点装置に関する。
(実施形態)
本発明の実施形態に係る電磁継電器100について、図1A,1B〜図8A,8Bを用いて説明する。
電磁継電器100は、図2〜図4に示すように、固定接点13と、可動接点14と、可動子15と、コイル2と、接極子6と、伝達ばね8とを備えている。可動接点14は、固定接点13に接触する閉位置と、固定接点13から離れた開位置との間を移動する(図3A,3B参照)。可動子15は、一方向の第1端部153に可動接点14が設けられ、第1端とは反対側の第2端部154を支点として可動接点14を閉位置と開位置との間で移動させる。接極子6は、コイル2の通電で生じる磁束により、可動子15を駆動する。
伝達ばね8は、接極子6と可動子15との間に設けられ、接極子6と可動子15との間で力を伝達する。
以下、本実施形態に係る電磁継電器100について詳細に説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
また、以下では、図2において、固定接点13と可動接点14とが並ぶ方向を上下方向とし、固定接点13から見て可動接点14側を上方、その逆を下方として説明する。また、以下では、図2において、第1端子板11及び第2端子板12(後述する)が並ぶ方向を左右方向とし、第1端子板11から見て第2端子板12側を右方、その逆を左方として説明する。
なお、図2、図4には、これらの方向(上、下、左、右)を表す矢印を示すが、この矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、上記の方向の規定は、本実施形態の電磁継電器100の使用形態を限定する趣旨ではない。
本実施形態では、電磁継電器100がアイドリングストップ機能を有する自動車に搭載されている場合を例とする。そして、本実施形態では、電磁継電器100が、走行用のバッテリから負荷(たとえば、LEDランプやインバータ)への直流電力の供給路に接点装置A1(後述する)を挿入するように接続されて用いられる場合を例とする。このため、本実施形態の電磁継電器100では、接点装置A1を開閉することで、バッテリから負荷への直流電力の供給状態を切り替えることができる。
本実施形態の電磁継電器100は、いわゆるヒンジ型リレーである。本実施形態の電磁継電器100は、図2、図4に示すように、接点装置A1と、駆動装置B1と、ケースC1とを備えている。
接点装置A1は、図2、図4に示すように、一対の端子板1と、一対の固定接点13と、一対の可動接点14と、可動子15とを備えている。以下では、一対の端子板1のうち左側の端子板1を「第1端子板11」、右側の端子板1を「第2端子板12」という。ここで、第2端子板12が、可動子15が取り付けられる端子板に相当する。
第1端子板11は、導電性材料(たとえば、銅(Cu))から左右方向に長い平板状に形成されている。第1端子板11の長尺方向(左右方向)の中間部には、図4に示すように、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の取付孔111が設けられている。一対の取付孔111には、それぞれ一対の固定接点13の有する軸部131が挿入される。そして、各軸部131が第1端子板11にかしめられることにより、一対の固定接点13が第1端子板11に取り付けられている。なお、一対の固定接点13は、第1端子板11と一体に構成されていてもよい。
第2端子板12は、導電性材料(たとえば、銅(Cu))から左右方向に長い平板状に形成されている。第2端子板12の長尺方向(左右方向)の中間部には、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の固定孔121が設けられている。一対の固定孔121は、可動子15を第2端子板12に固定するために用いられる。
第1端子板11及び第2端子板12は、それぞれ第1端子部112及び第2端子部122を有している。第1端子部112は、矩形板状に形成されており、第1端子板11の長尺方向の一端(左端)から上方に突出している。第2端子部122は、矩形板状に形成されており、第2端子板12の長尺方向の一端(右端)から上方に突出している。第1端子部112及び第2端子部122には、それぞれねじ等が挿入される第1端子孔113及び第2端子孔123が設けられている。第1端子部112及び第2端子部122は、たとえばねじ止めにより、バッテリと負荷とを繋ぐ電路に電気的に接続される。
可動子15は、導電性材料から左右方向に長い板状に形成されている。本実施形態では、可動子15は、複数(ここでは、3枚)の板ばねを上下方向に沿って重ね合わせて構成されている(図1B参照)。可動子15の長尺方向の第1端部153(左端)には、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の取付孔152が設けられている(図1A、図1B参照)。一対の取付孔152には、それぞれ一対の可動接点14の有する軸部141が挿入される。そして、各軸部141が可動子15にかしめられることにより、一対の可動接点14が可動子15に取り付けられている(図1A参照)。つまり、可動子15の一方向(長尺方向)の第1端部153(左端)に、一対の可動接点14が設けられている。なお、一対の可動接点14は、可動子15と一体に構成されていてもよい。
可動子15の長尺方向の第2端部154(右端)には、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の固定孔151が設けられている(図1A、図1B参照)。可動子15の第2端部154は、第2端子板12に固定されている(図1A参照)。具体的には、可動子15の一対の固定孔151を第2端子板12の一対の固定孔121に重ね合わせて、これら固定孔151,121に固定ピン124を挿入してかしめることにより、可動子15が第2端子板12に固定される(図1A参照)。
可動子15は、長尺方向の第2端部154(右端)側で折り曲げられることにより、長尺方向の第1端部153(左端)が第1端子板11と上下方向において間隔を空けて対向するように構成されている。したがって、可動子15の一対の可動接点14は、上下方向において第1端子板11の一対の固定接点13と対向している。
可動子15は、駆動装置B1によって駆動されることにより、第1端部153(左端)とは反対側の第2端部154(右端)を支点として、一対の可動接点14を閉位置と開位置との間で移動させる。ここで、閉位置は、一対の可動接点14が一対の固定接点13に接触する位置である(図3A参照)。また、開位置は、一対の可動接点14が一対の固定接点13から離れた位置である(図3B参照)。
一対の可動接点14が閉位置にあるとき、つまり接点装置A1のオン状態では、第1端子板11と第2端子板12とが可動子15を介して短絡する。したがって、接点装置A1のオン状態では、第1端子板11と第2端子板12との間が導通し、バッテリから負荷へ直流電力が供給される。一対の可動接点14が開位置にあるとき、つまり接点装置A1のオフ状態では、第1端子板11と第2端子板12との間が開放されるので、バッテリから負荷へ直流電力が供給されない。
駆動装置B1は、図2、図4に示すように、コイル2と、ボビン3と、固定子4と、継鉄5と、接極子6と、復帰ばね7と、伝達ばね8とを備えている。また、固定子4と、継鉄5と、接極子6とは、いずれも磁性材料により形成されている。
コイル2は、ボビン3の外周面に電線(たとえば、銅線)を巻き付けることで構成されている。コイル2は、電線の第1端部と第2端部とがそれぞれ電気的に接続される一対のコイル端子21を有している。コイル2は、一対のコイル端子21を介して電流を供給されることで通電し、磁束を発生する。ボビン3は、たとえば合成樹脂材料などの電気絶縁性を有する材料により円筒状に形成されている。ボビン3は、その軸方向が左右方向と一致するように配置されている。
固定子4は、左右方向に長い円柱状に形成された鉄心である。固定子4は、その長尺方向(左右方向)の両端をボビン3から露出させる形で、ボビン3の中空部31に挿入されている。固定子4の長尺方向の第1端部(右端)は、中間部よりも径寸法が大きくなっており、接極子6と対向している。以下では、固定子4の第1端部を「吸引部41」という。また、固定子4の長尺方向の第2端部(左端)は、中間部よりも径寸法が小さくなっており、継鉄5の第1板51(後述する)に固定されている。
継鉄5は、固定子4及び接極子6と共に、コイル2の通電時に生じる磁束が通る磁路を形成する。継鉄5は、左右方向に長い矩形状の板の中間部が折り曲げられることで、その断面がL字状となるように形成されている。継鉄5は、第1板51と、第2板52とを有している。第1板51及び第2板52は、いずれも矩形板状に形成されている。第1板51は、コイル2の軸方向(左右方向)の一端側(左側)に設けられている。第1板51には、厚さ方向(左右方向)に貫通する挿入孔511が設けられている。挿入孔511には、固定子4の第2端部が挿入されている。第2板52は、コイル2の下側に設けられている。
接極子6は、左右方向に長い矩形状の板の中間部63が折り曲げられることで、その断面がL字状となるように形成されている。接極子6は、第1板61と、第2板62とを有している。第1板61及び第2板62は、いずれも矩形板状に形成されている。また、第1板61の幅方向の寸法は、第2板62の幅方向の寸法よりも小さくなっている。ここで、幅方向とは、上下方向及び左右方向のいずれとも略直交する方向である。
接極子6の第1板61は、図2に示すように、突部611を備えている。突部611は、第1板61における可動子15と対向する一面(下面)から下向きに突出している。また、突部611は、第1板61と一体に形成されている。突部611の可動子15と対向する一面は、球面状に形成されている。
接極子6は、その中間部63を支点として、第2板62が固定子4の吸引部41に接触する第1位置と、第2板62が固定子4の吸引部41から離れる第2位置との間で回転可能に構成されている。接極子6が第1位置にあるとき、接極子6の第1板61は、伝達ばね8を介して可動子15を押している。また、接極子6が第2位置にあるとき、接極子6の第1板61は、伝達ばね8を介して可動子15から押されている。
復帰ばね7は、金属製の板ばねから断面がL字状となるように形成されている。復帰ばね7は、一対の第1片71と、第2片72とを一体に形成して構成されている。一対の第1片71は、いずれも継鉄5の第2板52に固定されている。第2片72は、接極子6の第2板62に固定されている。復帰ばね7は、接極子6が第1位置にあるときに撓むように構成されている。そして、復帰ばね7は、元の状態に復帰しようとすることで、接極子6を第1位置から第2位置へと移動させる向きの力を、接極子6に作用させる。
つまり、復帰ばね7は、弾性力により、接極子6を第1位置から第2位置へと移動させる向きの力を接極子6に作用させるように構成されている。
伝達ばね8は、接極子6と可動子15との間に設けられ、接極子6と可動子15との間で力を伝達する。つまり、本実施形態では、接極子6から伝達ばね8を介して可動子15に力が伝達され、可動子15から伝達ばね8を介して接極子6に力が伝達される。
伝達ばね8は、図1Bに示すように、たとえばステンレス銅(SUS)等の金属製の板ばねから平面視でU字状に形成されている。伝達ばね8は、一対の取付片81と、連結片82とを一体に形成して構成される。一対の取付片81及び連結片82は、いずれも矩形状に形成されている。
一対の取付片81には、それぞれ厚さ方向(上下方向)に貫通する孔811が設けられている。本実施形態では、これらの孔811にそれぞれ一対の可動接点14の軸部141を挿入し、かしめることにより、一対の取付片81が可動子15に取り付けられている。なお、一対の取付片81は、一対の可動接点14と共に取り付けられていなくてもよい。つまり、伝達ばね8は、可動子15において、一対の可動接点14が取り付けられる部位とは異なる部位に取り付けられていてもよい。
連結片82は、一対の取付片81の各々の長尺方向の端を連結している。ここで、連結片82は、一対の取付片81の各々との連結部位83に沿って上向きに折り曲げられている。したがって、連結片82は、連結部位83を支点として撓み可能となっている。また、連結片82は、一対の取付片81が可動子15に取り付けられた状態で、接極子6の第1板61と対向している。そして、連結片82は、接極子6の突部611に接触している。
ケースC1は、たとえばセラミック、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料やステンレス鋼(SUS)により形成されている。ケースC1は、ベースC11と、カバーC12とを、たとえば溶接やろう付け、熱硬化型樹脂の接着剤等で結合することにより構成されている。ケースC1は、接点装置A1及び駆動装置B1を収納する。なお、図2に示すように、接点装置A1のうち第1端子板11の第1端子部112と、第2端子板12の第2端子部122とは、ケースC1から露出している。また、図2に示すように、駆動装置B1のうち一対のコイル端子21の各々の一部は、ケースC1から露出している。
ここで、本実施形態の電磁継電器100の動作について図3A、図3Bを用いて説明する。なお、以下の説明では、接点装置A1のオフ状態における可動子15の状態を「元の状態」という。接点装置A1のオフ状態において、コイル2が通電すると、コイル2が磁束を発生する。すると、接極子6の第2板62と固定子4の吸引部41との間に磁気吸引力が生じることで、復帰ばね7の弾性力に抗して第2板62が吸引部41に引き寄せられる。これにより、接極子6が反時計回りに回転し、第2位置から第1位置に移動する。
接極子6の第1位置への移動に伴って、接極子6の第1板61(ここでは、突部611)が伝達ばね8の連結片82を押す。すると、伝達ばね8は、接極子6から可動子15へと力を伝達する。可動子15は、伝達ばね8からの力を受けて下向きに押されることにより、第2端部154(右端)を支点として反時計回りに回転する。そして、一対の可動接点14は、一対の固定接点13に接触する閉位置へと移動する(図3A参照)。よって、接点装置A1がオン状態となり、第1端子板11と第2端子板12との間が導通する。
次に、コイル2の通電を解除すると、コイル2は磁束を発生しなくなる。すると、接極子6の第2板62と、固定子4の吸引部41との間の磁気吸引力も失われる。そして、接極子6は、復帰ばね7の弾性力によって時計回りに回転し、第1位置から第2位置に移動する。
接極子6の第2位置への移動に伴って、接極子6の第1板61が伝達ばね8を介して可動子15を押す力が弱まる。このため、可動子15は、自身の弾性力により、第2端部154(右端)を支点として時計回りに回転する。そして、一対の可動接点14は、一対の固定接点13から離れた開位置へと移動する(図3B参照)。
次に、可動子15の詳細な構成について説明する。
可動子15は、図1Bに示すように、複数の板ばね(ここでは、3つの板ばね)で形成されている。本実施形態では、最下位の板ばねを第1板ばね15aと、第1板ばね15aと上側で隣り合う板ばねを第2板ばね15b、第2板ばね15bと上側で隣り合い、最上位の板ばねを第3板ばね15cとする。可動子15を複数の板ばねで形成することで、大電流を流すために、ばねを固くすることなく断面積を確保することができる。
第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cのそれぞれは、第1端部153において、厚さ方向に貫通する2つの取付孔152を有している。2つの可動接点14の軸部141を、それぞれ対応する取付孔152及び伝達ばね8に挿通し、第1板ばね15a、第2板ばね15b、第3板ばね15c及び伝達ばね8にかしめる。これにより、可動接点14が可動子15及び伝達ばね8に固定される(図1A参照)。
第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cのそれぞれは、第2端部154において、厚さ方向に貫通する2つの固定孔151を有している。第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cの固定孔151に、対応する固定ピン124を挿通し、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cにかしめる。これにより、可動子15が第2端子板12に固定される(図1A参照)。ここで、固定ピン124は、第2端子板12の固定孔121に挿入されている。なお、可動子15が閉位置と開位置との間で移動する際の支点が、第2端部154において固定ピン124で固定された部位となる。
第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cのそれぞれは、第2端部154に、厚さ方向に貫通する貫通孔155を有している。貫通孔155は、領域D1,D2とは異なる領域D3に設けられることが好ましい(図5参照)。ここで、領域D1,D2は、可動接点14と、第2端子板12との通電路となる領域であって可動接点14と固定孔151との経路が最短となる領域である。たとえば、領域D1は、可動子15における一方の可動接点14と一方の固定孔151aとの間の長方形状の領域となる。領域D2は、可動子15における他方の可動接点14と他方の固定孔151bとの間の長方形状の領域となる。これにより、通電路となる領域D1,D2に、貫通孔155が設けられることがないので、接点装置A1は、バッテリから負荷への直流電力の供給を阻害することはない。
また、第1板ばね15aは、第1板ばね15aの貫通孔155において、長尺方向(左右方向)に延びる2つの結合片156,157を有している。
結合片156,157は、折り曲げられた状態で他の板ばね(ここでは、第2板ばね15b及び第3板ばね15c)を挟み込む。
ここで、結合片156,157が、第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込む手順について説明する。まず、第1板ばね15aの上位に第2板ばね15b、第3板ばね15cを順次重ね合わせる(図6A,B参照)。このとき、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cの各々の貫通孔155が、厚さ方向(上下方向)において重なり合っている。次に、結合片156,157を第1板ばね15aの短尺方向に沿って、略90度に折り曲げる(図6C,D参照)。略90度に折り曲げ後、結合片156,157のそれぞれの先端部158,159を第1板ばね15aの短尺方向に沿って、略90度に折り曲げる(図6E,F参照)。結果、結合片156,157は、第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込むことができる。第2板ばね15b及び第3板ばね15cが、結合片156,157で挟み込まれている状態において、結合片156,157の先端部158,159は、第3板ばね15cに接することとなる(図6E,F参照)。
結合片156,157で第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込んだ後、可動子15の一端(たとえば、第1端部153)を可動接点14でかしめた場合であっても、図7に示すように第1板ばね15aと第2板ばね15bとの間には空間15dが存在する。また、第2板ばね15bと第3板ばね15cとの間にも空間15dが存在する。そのため、隣り合う板ばね(たとえば、第1板ばね15aと第2板ばね15b)は、互いに干渉しない。したがって、可動子15は、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cが長尺方向にずれ、これら板ばねが不揃いになる可能性を低くすることができる。
上述したように、第3板ばね15cは、第1板ばね15aの結合片156,157が折り曲げられた状態で結合片156,157の先端部158,159と接しており、第2板ばね15bは、第1板ばね15aと第3板ばね15cとの間に配置されている。このとき、第3板ばね15cの貫通孔155の径d1は、第2板ばね15bの貫通孔155の径d2よりも大きいことが好ましい(図6B参照)。たとえば、第3板ばね15cの貫通孔155の径d1は、第2板ばね15bの貫通孔155の径d2よりも0.2mm大きい。なお、この数値は一例であり、この数値に限定する趣旨ではない。ここで、本実施形態において、貫通孔155の径とは、貫通孔155において可動子15の長尺方向に沿った長さである。これにより、可動子15は、結合片156,157が折り曲げられた状態で、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cにおける長尺方向のばらつきを吸収することができる。なお、結合片156,157が折り曲げられた状態とは、図6Fの状態、つまり結合片156,157が第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込むように、折り曲げられた状態をいう。
本実施形態の可動子15は、一端をかしめる前に、第1板ばね15aに設けられた結合片156,157を折り曲げて、第2板ばね15b及び第3板ばね15cを結合片156,157で挟み込むことで、仮止めを行っている。そのため、可動子15の一端をかしめても、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cが不揃いになる可能性を低くすることができる。たとえば、可動子15の第1端部153を可動接点14でかしめた場合であっても、可動子15の第2端部154において、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cが不揃いになる可能性は低い。したがって、可動子15は、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cで組み立てられた後、3つの板ばねが不揃いであることが原因で、結合不良(カジリ、削れ等)が発生する可能性を低くすることができる。
なお、本実施形態では、結合片156,157は、第1板ばね15aの貫通孔155に設けられた構成としたが、この構成に限定されない。結合片156,157は、他の板ばねに設けられてもよい。たとえば、本実施形態において、第3板ばね15cに結合片156,157が設けられてもよい。この場合、第3板ばね15cに設けられた結合片156,157が第1板ばね15a、第2板ばね15bを挟み込むように、第3板ばね15cに設けられた結合片156,157を折り曲げる。または、第2板ばね15bに結合片156,157が設けられてもよい。この場合、たとえば第2板ばね15bの結合片156が第1板ばね15aを、第2板ばね15bの結合片157が第3板ばね15cをそれぞれ挟み込むように、第2板ばね15bに設けられた結合片156,157を折り曲げる。または、第1板ばね15aに1つの結合片(第1結合片)及び第3板ばね15cに1つの結合片(第2結合片)が設けられてもよい。この場合、第1結合片が第2板ばね15b及び第3板ばね15cを、第2結合片が第1板ばね15a及び第2板ばね15bを、それぞれ挟み込むように、第1結合片及び第2結合片を折り曲げる。つまり、可動子15は、結合片156,157を有する板ばね以外の残りの板ばねを当該結合片156,157で挟み込む構成であればよい。
本実施形態の可動子15では、結合片156,157を第1板ばね15aの貫通孔155に設ける構成としたが、この構成に限定されない。たとえば、第1板ばね15aの少なくとも一端を延長し、延長部位を結合片とし、第1板ばね15aの延長部位(結合片)を折り曲げた状態で第2板ばね15b及び第3板ばね15cの外側から第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込んでもよい。または、第3板ばね15cの少なくとも一端を延長し、延長部位を結合片とし、第3板ばね15cの延長部位(結合片)を折り曲げた状態で第1板ばね15a及び第2板ばね15bの外側から第1板ばね15a及び第2板ばね15bを挟み込んでもよい。または、第2板ばね15bの両端を延長し、延長部位をそれぞれ結合片(第1結合片、第2結合片)としてもよい。この場合、第1結合片を折り曲げた状態で第1板ばね15aの外側から第1板ばね15aを挟み込み、第2結合片を折り曲げた状態で第3板ばね15cの外側から第3板ばね15cを挟み込む。つまり、可動子15は、複数の板ばねのうち一端又は両端に結合片を有する板ばね以外の残りの板ばねを当該結合片で挟み込む構成であればよい。
本実施形態の結合片156,157は、貫通孔155の長尺方向に突出するように設ける構成としたが、この構成に限定されない。結合片156,157は、貫通孔155の短尺方向に突出するように設ける構成であってもよい。この場合、貫通孔155の短尺方向に突出するように設けられた結合片156,157は、長尺方向に沿って折り曲げられることで、第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込む。この場合、第3板ばね15cの貫通孔155の短尺方向における長さ(本変形の第3板ばね15cの貫通孔155の径)は、第2板ばね15bの貫通孔の短尺方向における長さ(本変形の第2板ばね15bの貫通孔155の径)よりも大きいことが好ましい。径の長さを変えることで、可動子15は、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cにおける短尺方向のばらつきを吸収することができる。
ここで、本実施形態の第2端子板12において、図8Aに示すように、固定孔121間であって、貫通孔155と重なり合う領域に、厚さ方向に貫通する貫通孔125を設けてもよい。この場合、可動子15の貫通孔155と、第2端子板12の貫通孔125とに、パイロットピン126を挿入することで、可動子15を第2端子板12に固定する際の可動子15の位置決めを容易にすることができる(図8B参照)。
本実施形態では、貫通孔155は、2つの結合片156,157を有する構成としたが、この構成に限定されない。貫通孔155は、少なくとも1つの結合片を有していればよい。
ここで、本実施形態の電磁継電器100では、接点装置A1は、一対の固定接点13と、一対の可動接点14とを備えているが、他の構成であってもよい。たとえば、接点装置A1は、1つの固定接点13と、1つの可動接点14とを備えていてもよい。また、接点装置A1は、3つ以上の固定接点13と、3つ以上の可動接点14とを備えていてもよい。
また、本実施形態の電磁継電器100は、a接点リレー、b接点リレー、c接点リレーのいずれにも用いることができる。たとえば電磁継電器100をc接点リレーとして用いる場合は、固定接点13とは別に、可動接点14が開位置にあるときに接触する固定接点を設ければよい。この構成では、コイル2の通電・非通電に応じて、可動接点14が閉位置で接触する固定接点13に接続される電路と、可動接点14が開位置で接触する固定接点に接続される電路とを切り替えることができる。
以上説明したように、本実施形態の可動子15は、厚さ方向に重ねられた複数の板ばね(ここでは、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15c)で形成されている。第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cのうち少なくとも1つの板ばね(第1板ばね15a)は、複数の板ばねのうち残りの板ばね(第2板ばね15b及び第3板ばね15c)を折り曲げられた状態で挟み込む結合片156,157を有する。
この構成によると、結合片156,157で第2板ばね15b及び第3板ばね15cが挟み込まれた状態で可動子15の一端をかしめても、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cが不揃いになる可能性を低くすることができる。したがって、可動子15は、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cで組み立てられた後、3つの板ばねが不揃いであることが原因で、結合不良(カジリ、削れ等)が発生する可能性が低くなる。
ここで、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cの第2端部154には、厚さ方向に貫通する貫通孔155が設けられている。結合片156,157は、貫通孔155の一部の縁に沿って折り曲げられるように構成されている。この構成によると、可動子15の一端をかしめても、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cが長尺方向又は短尺方向に不揃いになる可能性を低くすることができる。
ここで、第3板ばね15cの貫通孔155の径d1は、第2板ばね15cの貫通孔155の径d2よりも大きい。この構成によると、第1板ばね15aの結合片156,157で第2板ばね15b及び第3板ばね15cを挟み込んだ際に、第3板ばね15cが長尺方向に若干移動することを許容している。これにより、可動子15は、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cにおける長尺方向のばらつきを吸収することができる。
ここで、支点は、第2端部154において固定ピン124で固定された部位である。
複数の板ばねの貫通孔155は、可動子15における可動接点14と固定ピン124との最短経路となる領域D1,D2とは異なる領域D3に設けられている。この構成によると、可動子15は、通電路となる領域D1,D2に、貫通孔155が設けられることがないので、電流の流れを阻害することはない。
ここで、複数の板ばねは、一方向が長尺な形状である。結合片156,157は、複数の板ばねの短尺方向に沿って折り曲げられている。この構成によると、可動子15の一端をかしめても、第1板ばね15a、第2板ばね15b及び第3板ばね15cが長尺方向に不揃いになる可能性を低くすることができる。
また、本実施形態の接点装置A1は、可動子15と、固定接点13と、可動接点14と、端子板(第2端子板12)とを備える。可動接点14は、可動子15の第1端部153に接続され。端子板には、可動子15の第2端部154が取り付けられる。
この構成によると、可動子15において3つの板ばねが不揃いであることが原因で、結合不良(カジリ、削れ等)が発生といった可能性が低くなる。そのため、接点装置A1は、結合不良により誤動作が発生する可能性を低くすることができる。
ここで、端子板(第2端子板12)において、厚さ方向に貫通し、可動子15を取り付ける際に貫通孔155と重なり合う領域に貫通孔125が設けられている。
この構成によると、貫通孔155、貫通孔125にパイロットピン126を挿入することで、可動子15を第2端子板12に固定する際の可動子15の位置決めを容易にすることができる。