本発明の実施形態に係る電磁継電器100は、図1〜図3に示すように、固定接点13と、可動接点14と、可動子15と、コイル2と、接極子6と、伝達ばね8とを備えている。可動接点14は、固定接点13に接触する閉位置と、固定接点13から離れた開位置との間を移動する。可動子15は、一方向の第1端153に可動接点14が設けられ、第1端153とは反対側の第2端154を支点として可動接点14を閉位置と開位置との間で移動させる。接極子6は、コイル2の通電で生じる磁束により、可動子15を駆動する。
伝達ばね8は、接極子6と可動子15との間に設けられ、接極子6と可動子15との間で力を伝達する。そして、伝達ばね8は、可動接点14が開位置にある状態において、弾性変形した状態で接極子6と接触する。
以下、本実施形態に係る電磁継電器100について詳細に説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
また、以下では、図1において、固定接点13と可動接点14とが並ぶ方向を上下方向とし、固定接点13から見て可動接点14側を上方、その逆を下方として説明する。また、以下では、図1において、第1端子板11及び第2端子板12(後述する)が並ぶ方向を左右方向とし、第1端子板11から見て第2端子板12側を右方、その逆を左方として説明する。
なお、図1、図3には、これらの方向(上、下、左、右)を表す矢印を示すが、この矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。また、上記の方向の規定は、本実施形態の電磁継電器100の使用形態を限定する趣旨ではない。
本実施形態では、電磁継電器100がアイドリングストップ機能を有する自動車に搭載されている場合を例とする。そして、本実施形態では、電磁継電器100が、走行用のバッテリから負荷(たとえば、LEDランプやインバータ)への直流電力の供給路に接点装置A1(後述する)を挿入するように接続されて用いられる場合を例とする。このため、本実施形態の電磁継電器100では、接点装置A1を開閉することで、バッテリから負荷への直流電力の供給状態を切り替えることができる。
本実施形態の電磁継電器100は、いわゆるヒンジ型リレーである。本実施形態の電磁継電器100は、図1、図3に示すように、接点装置A1と、駆動装置B1と、ケースC1とを備えている。
接点装置A1は、図1、図3に示すように、一対の端子板1と、一対の固定接点13と、一対の可動接点14と、可動子15とを備えている。以下では、一対の端子板1のうち左側の端子板1を「第1端子板11」、右側の端子板1を「第2端子板12」という。
第1端子板11は、導電性材料(たとえば、銅(Cu))から左右方向に長い平板状に形成されている。第1端子板11の長手方向(左右方向)の中間部には、図3に示すように、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の取付孔111が設けられている。一対の取付孔111には、それぞれ一対の固定接点13の有する軸部131が挿入される。そして、各軸部131が第1端子板11にかしめられることにより、一対の固定接点13が第1端子板11に取り付けられている。なお、一対の固定接点13は、第1端子板11と一体に構成されていてもよい。
第2端子板12は、導電性材料(たとえば、銅(Cu))から左右方向に長い平板状に形成されている。第2端子板12の長手方向(左右方向)の中間部には、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の固定孔121が設けられている。一対の固定孔121は、可動子15を第2端子板12に固定するために用いられる。
第1端子板11及び第2端子板12は、それぞれ第1端子部112及び第2端子部122を有している。第1端子部112は、矩形板状に形成されており、第1端子板11の長手方向の一端(左端)から上方に突出している。第2端子部122は、矩形板状に形成されており、第2端子板12の長手方向の一端(右端)から上方に突出している。第1端子部112及び第2端子部122には、それぞれねじ等が挿入される第1端子孔113及び第2端子孔123が設けられている。第1端子部112及び第2端子部122は、たとえばねじ止めにより、バッテリと負荷とを繋ぐ電路に電気的に接続される。
可動子15は、導電性材料から左右方向に長い板状に形成されている。本実施形態では、可動子15は、複数(ここでは、3枚)の板ばねを上下方向に沿って重ね合わせて構成されている。可動子15の長手方向の第1端(左端)153には、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の取付孔152が設けられている。一対の取付孔152には、それぞれ一対の可動接点14の有する軸部141が挿入される。そして、各軸部141が可動子15にかしめられることにより、一対の可動接点14が可動子15に取り付けられている。つまり、可動子15の一方向(長手方向)の第1端(左端)153に、一対の可動接点14が設けられている。なお、一対の可動接点14は、可動子15と一体に構成されていてもよい。
可動子15の長手方向の第2端(右端)154には、厚さ方向(上下方向)に貫通する一対の固定孔151が設けられている。可動子15の第2端154は、第2端子板12に固定されている。具体的には、可動子15の一対の固定孔151を第2端子板12の一対の固定孔121に重ね合わせて、これら固定孔151,121にピンを挿入してかしめることにより、可動子15が第2端子板12に固定される。
可動子15は、長手方向の第2端(右端)154側で折り曲げられることにより、長手方向の第1端(左端)153が第1端子板11と上下方向において間隔を空けて対向するように構成されている。したがって、可動子15の一対の可動接点14は、上下方向において第1端子板11の一対の固定接点13と対向している。
可動子15は、駆動装置B1によって駆動されることにより、第1端(左端)153とは反対側の第2端(右端)154を支点として、一対の可動接点14を閉位置と開位置との間で移動させる。ここで、閉位置は、一対の可動接点14が一対の固定接点13に接触する位置である(図2A参照)。また、開位置は、一対の可動接点14が一対の固定接点13から離れた位置である(図2B参照)。
一対の可動接点14が閉位置にあるとき、つまり接点装置A1のオン状態では、第1端子板11と第2端子板12とが可動子15を介して短絡する。したがって、接点装置A1のオン状態では、第1端子板11と第2端子板12との間が導通し、バッテリから負荷へ直流電力が供給される。一対の可動接点14が開位置にあるとき、つまり接点装置A1のオフ状態では、第1端子板11と第2端子板12との間が開放されるので、バッテリから負荷へ直流電力が供給されない。
駆動装置B1は、図1、図3に示すように、コイル2と、ボビン3と、固定子4と、継鉄5と、接極子6と、復帰ばね7と、伝達ばね8とを備えている。また、固定子4と、継鉄5と、接極子6とは、いずれも磁性材料により形成されている。
コイル2は、ボビン3の外周面に電線(たとえば、銅線)を巻き付けることで構成されている。コイル2は、電線の第1端と第2端とがそれぞれ電気的に接続される一対のコイル端子21を有している。コイル2は、一対のコイル端子21を介して電流を供給されることで通電し、磁束を発生する。ボビン3は、たとえば合成樹脂材料などの電気絶縁性を有する材料により円筒状に形成されている。ボビン3は、その軸方向が左右方向と一致するように配置されている。
固定子4は、左右方向に長い円柱状に形成された鉄心である。固定子4は、その長手方向(左右方向)の両端をボビン3から露出させる形で、ボビン3の中空部31に挿入されている。固定子4の長手方向の第1端(右端)は、中間部よりも径寸法が大きくなっており、接極子6と対向している。以下では、固定子4の第1端を「吸引部41」という。また、固定子4の長手方向の第2端(左端)は、中間部よりも径寸法が小さくなっており、継鉄5の第1板51(後述する)に固定されている。
継鉄5は、固定子4及び接極子6と共に、コイル2の通電時に生じる磁束が通る磁路を形成する。継鉄5は、左右方向に長い矩形状の板の中間部が折り曲げられることで、その断面がL字状となるように形成されている。継鉄5は、第1板51と、第2板52とを有している。第1板51及び第2板52は、いずれも矩形板状に形成されている。第1板51は、コイル2の軸方向(左右方向)の一端側(左側)に設けられている。第1板51には、厚さ方向(左右方向)に貫通する挿入孔511が設けられている。挿入孔511には、固定子4の第2端が挿入されている。第2板52は、コイル2の下側に設けられている。
接極子6は、左右方向に長い矩形状の板の中間部63が折り曲げられることで、その断面がL字状となるように形成されている。接極子6は、第1板61と、第2板62とを有している。第1板61及び第2板62は、いずれも矩形板状に形成されている。また、第1板61の幅方向の寸法は、第2板62の幅方向の寸法よりも小さくなっている。ここで、幅方向とは、上下方向及び左右方向のいずれとも略直交する方向である。
接極子6の第1板61は、図1、図4に示すように、突部611を備えている。突部611は、第1板61における可動子15と対向する一面(下面)から下向きに突出している。また、突部611は、第1板61と一体に形成されている。突部611の可動子15と対向する一面は、球面状に形成されている。
接極子6は、その中間部63を支点として、第2板62が固定子4の吸引部41に接触する第1位置と、第2板62が固定子4の吸引部41から離れる第2位置との間で回転可能に構成されている。接極子6が第1位置にあるとき、接極子6の第1板61は、伝達ばね8を介して可動子15を押している。また、接極子6が第2位置にあるとき、接極子6の第1板61は、伝達ばね8を介して可動子15から押されている。つまり、接極子6は、可動子15を閉位置にする第1状態と、可動子15を開位置にする第2状態との間で回転可能に構成されているともいえる。
復帰ばね7は、金属製の板ばねから断面がL字状となるように形成されている。復帰ばね7は、一対の第1片71と、第2片72とを一体に形成して構成されている。一対の第1片71は、いずれも継鉄5の第2板52に固定されている。第2片72は、接極子6の第2板62に固定されている。復帰ばね7は、接極子6が第1位置にあるときに撓むように構成されている。そして、復帰ばね7は、元の状態に復帰しようとすることで、接極子6を第1位置から第2位置へと移動させる向きの力を、接極子6に作用させる。
つまり、復帰ばね7は、弾性力により、接極子6を第1位置から第2位置へと移動させる向きの力を接極子6に作用させるように構成されている。言い換えれば、復帰ばね7は、弾性力により、第1状態から第2状態へと接極子6を移動させる向きの力を、接極子6に作用させるように構成されている。
伝達ばね8は、接極子6と可動子15との間に設けられ、接極子6と可動子15との間で力を伝達する。つまり、本実施形態では、接極子6から伝達ばね8を介して可動子15に力が伝達され、可動子15から伝達ばね8を介して接極子6に力が伝達される。
伝達ばね8は、図5A、図5Bに示すように、たとえばステンレス鋼(SUS)等の金属製の板ばねから平面視でU字状に形成されている。伝達ばね8は、一対の取付片81と、連結片82とを一体に形成して構成されている。一対の取付片81及び連結片82は、いずれも矩形状に形成されている。
一対の取付片81には、それぞれ厚さ方向(上下方向)に貫通する孔811が設けられている。本実施形態では、これらの孔811にそれぞれ一対の可動接点14の軸部141を挿入し、かしめることにより、一対の取付片81が可動子15に取り付けられている。なお、一対の取付片81は、一対の可動接点14と共に取り付けられていなくてもよい。つまり、伝達ばね8は、可動子15において、一対の可動接点14が取り付けられる部位とは異なる部位に取り付けられていてもよい。
連結片82は、一対の取付片81の各々の長手方向の端を連結している。ここで、連結片82は、一対の取付片81の各々との連結部位83に沿って上向きに折り曲げられている。したがって、連結片82は、連結部位83を支点として撓み可能となっている。また、連結片82は、一対の取付片81が可動子15に取り付けられた状態で、接極子6の第1板61と対向している。そして、連結片82は、接極子6の突部611に接触している。
ケースC1は、たとえばセラミック、合成樹脂などの電気絶縁性を有する材料やステンレス鋼(SUS)により形成されている。ケースC1は、ベースC11と、カバーC12とを、たとえば溶接やろう付け、熱硬化型樹脂の接着剤を用いた接着等で結合することにより構成されている。ケースC1は、接点装置A1及び駆動装置B1を収納する。なお、図1に示すように、接点装置A1のうち第1端子板11の第1端子部112と、第2端子板12の第2端子部122とは、ケースC1から露出している。また、図1に示すように、駆動装置B1のうち一対のコイル端子21の各々の一部は、ケースC1から露出している。
以下、本実施形態の電磁継電器100の動作について図2A、図2Bを用いて説明する。なお、以下の説明では、接点装置A1のオフ状態における可動子15の状態を「元の状態」という。接点装置A1のオフ状態において、コイル2が通電すると、コイル2が磁束を発生する。すると、接極子6の第2板62と固定子4の吸引部41との間に磁気吸引力が生じることで、復帰ばね7の弾性力に抗して第2板62が吸引部41に引き寄せられる。これにより、接極子6が反時計回りに回転し、第2位置から第1位置に移動する。
接極子6の第1位置への移動に伴って、接極子6の第1板61(ここでは、突部611)が伝達ばね8の連結片82を押す。すると、伝達ばね8は、接極子6から可動子15へと力を伝達する。可動子15は、伝達ばね8からの力を受けて下向きに押されることにより、第2端(右端)154を支点として反時計回りに回転する。そして、一対の可動接点14は、一対の固定接点13に接触する閉位置へと移動する(図2A参照)。よって、接点装置A1がオン状態となり、第1端子板11と第2端子板12との間が導通する。
次に、コイル2の通電を解除すると、コイル2は磁束を発生しなくなる。すると、接極子6の第2板62と、固定子4の吸引部41との間の磁気吸引力も失われる。そして、接極子6は、復帰ばね7の弾性力によって時計回りに回転し、第1位置から第2位置に移動する。
接極子6の第2位置への移動に伴って、接極子6の第1板61が伝達ばね8を介して可動子15を押す力が弱まる。このため、可動子15は、自身の弾性力により、第2端(右端)154を支点として時計回りに回転する。そして、一対の可動接点14は、一対の固定接点13から離れた開位置へと移動する(図2B参照)。
接極子6が第2位置に復帰して接極子6の移動が完了すると、接極子6が第2位置で固定される。このため、伝達ばね8の連結片82は、接極子6の第1板61と可動子15とで挟まれることにより、弾性変形する。つまり、伝達ばね8は、一対の可動接点14が開位置にある状態において、弾性変形した状態で接極子6(ここでは、突部611)に接触する。
すると、伝達ばね8の連結片82が元の状態に復帰しようとする弾性力が、可動子15に作用することにより、可動子15が減速する。このため、可動子15の振動が伝達ばね8により抑えられて収束し、可動子15の移動が完了する。
上述のように、本実施形態の電磁継電器100は、接極子6と可動子15との間に設けられ、接極子6と可動子15との間で力を伝達する伝達ばね8を備えている。そして、伝達ばね8は、一対の可動接点14が開位置にある状態において、弾性変形した状態で接極子6と接触している。つまり、本実施形態の電磁継電器100は、接点装置A1がオン状態からオフ状態に移行するときに、伝達ばね8がダンパとして機能することで、可動子15を減速させて可動子15の振動を抑えることができる。このため、本実施形態の電磁継電器100は、接点装置A1がオン状態からオフ状態に移行するときに、可動子15の振動を早期に収束させることができる。その結果、本実施形態の電磁継電器100は、可動子15の振動により発生し得る異音(残響)を抑制することができる。
また、本実施形態の電磁継電器100では、伝達ばね8により、接極子6と可動子15との相対的な位置関係が安定し易い。このため、本実施形態の電磁継電器100は、伝達ばね8を備えない構成と比較して、接点装置A1の振動や衝撃に対する耐性を向上させることができ、接点装置A1の動作特性の安定化を図ることができる。さらに、本実施形態の電磁継電器100は、たとえば電気自動車に搭載される場合、伝達ばね8により、電気自動車の走行時の振動が接極子6及び可動子15に伝わり難いことから、接極子6及び可動子15が振動することによる異音が発生し難い。
本実施形態の電磁継電器100では、伝達ばね8は、可動子15に取り付けられている。また、伝達ばね8は、可動子15ではなく接極子6に取り付けられていてもよい。この場合、伝達ばね8の連結片82が接極子6の第1板61に取り付けられる。また、伝達ばね8は、可動子15及び接極子6のいずれにも取り付けられていてもよい。この場合、伝達ばね8の一対の取付片81が可動子15に取り付けられると共に、連結片82が接極子6の第1板61に取り付けられる。
また、本実施形態の電磁継電器100では、伝達ばね8は、可動子15の第1端(左端)153に取り付けられている。つまり、伝達ばね8は、第2端(右端)154を支点として回転する可動子15のうち、最も振れ幅の大きくなる第1端(左端)153に取り付けられている。この構成では、可動子15の第1端153の振動を抑えることができるので、可動子15の中間に伝達ばね8を取り付ける場合と比較して、より効果的に可動子15の振動を早期に収束させることができる。とくに、伝達ばね8は、可動子15の第1端153のうち、先端と可動接点14が取り付けられている部位との間の領域に取り付けられるのが好ましい。なお、上記構成を採用するか否かは任意である。
ここで、本実施形態の電磁継電器100は、一対の可動接点14が開位置にある状態において可動子15の振動を抑える構成の他に、接極子6が第2位置(第2状態)にあるときに接極子6の振動を抑える構成をさらに備えている。以下、接極子6の振動を抑える構成について説明する。
接極子6の振動を抑える構成として、復帰ばね7は、図6A、図6Bに示すように、延長片73と、突部74とを備えている。延長片73は、第2片72と一体に形成されており、第2片72の長手方向(上下方向)の一端から上向きに突出している。突部74は、延長片73から右向きに突出している。また、突部74は、延長片73と一体に形成されている。
また、接極子6の振動を抑える構成として、ボビン3は、図6A、図6Bに示すように、制限壁32を備えている。制限壁32は、ボビン3と一体に形成されており、ボビン3の長手方向の一端(右端)から右向きに突出している。制限壁32は、復帰ばね7の延長片73を覆うように形成されている。また、制限壁32の内壁321には、復帰ばね7の突部74が対向している。突部74における内壁321と対向する一面は、球面状に形成されている。
以下、本実施形態の電磁継電器100の動作について図6A、図6Bを用いて説明する。接点装置A1のオン状態では、接極子6は、第1位置(第1状態)にある。また、接点装置A1のオン状態では、復帰ばね7の第2片72は、接極子6の第2板62と共に固定子4の吸引部41に引き寄せられている。したがって、第2片72と一体に形成されている延長片73は、図6Aに示すように、制限壁32の内壁321から離れた位置にある。
次に、コイル2の通電を解除すると、接点装置A1は、オン状態からオフ状態に移行する。そして、接極子6は、第1位置(第1状態)から第2位置(第2状態)へと移動する。このとき、復帰ばね7の第2片72は、接極子6の第2板62と共に時計回りに回転する。したがって、第2片72と一体に形成されている延長片73も、時計回りに回転する。そして、図6Bに示すように、突部74が制限壁32の内壁321に接触することにより、延長片73が弾性変形する。つまり、復帰ばね7(ここでは、延長片73)は、接極子6が第2位置(第2状態)にあるとき、弾性変形した状態で制限壁32(ここでは、内壁321)に接触する。
すると、復帰ばね7(延長片73)が元の状態に復帰しようとする弾性力が、接極子6に作用することにより、接極子6が減速する。このため、接極子6の振動が復帰ばね7により抑えられて収束し、接極子6の移動が完了する。
このように、本実施形態の電磁継電器100は、コイル2を構成する電線が巻き回されるボビン3と、接極子6に取り付けられる復帰ばね7とをさらに備えている。復帰ばね7は、弾性力により、接極子6が可動子15を閉位置にする第1状態から接極子6が可動子15を開位置にする第2状態へと接極子6を移動させる向きの力を、接極子6に作用させるように構成されている。そして、ボビン3は、接極子6が第2状態にあるとき、復帰ばね7が弾性変形した状態で接触する制限壁32をさらに備えている。
このため、本実施形態の電磁継電器100は、接点装置A1がオン状態からオフ状態に移行するときに、復帰ばね7がダンパとして機能することで、接極子6を減速させて接極子6の振動を抑えることができる。このため、本実施形態の電磁継電器100は、接点装置A1がオン状態からオフ状態に移行するときに、接極子6の振動を早期に収束させることができる。その結果、本実施形態の電磁継電器100は、接極子6の振動により発生し得る異音(残響)を抑制することができる。また、本実施形態の電磁継電器100では、制限壁32はボビン3と一体に形成されているため、接極子6の振動を抑制するために新たな部品を追加する必要が無い。
本実施形態では、制限壁32は、復帰ばね7の一端(延長片73)を覆うように形成されているが、他の形状であってもよい。つまり、制限壁32は、少なくとも接極子6が第2状態にあるときに、復帰ばね7が弾性変形した状態で接触する形状であればよい。なお、上記構成を採用するか否かは任意である。
ここで、制限壁32が削れるのを抑制するために、延長片73の先端は、制限壁32に接触しないのが好ましい。この構成を実現するために、制限壁32の内側の空間を広げることも考えられるが、制限壁32が大型化してしまう。そこで、本実施形態において、制限壁32の延長片73の先端側には、延長片73の先端が制限壁32に接触しないように、開口322が設けられている。このため、本実施形態の電磁継電器100は、制限壁32の大型化を回避しつつ、延長片73の先端が制限壁32に接触するのを回避することができる。なお、当該構成を採用するか否かは任意である。
ところで、本実施形態では、一対の可動接点14が開位置にある状態において、伝達ばね8の接極子6と接触する部位(連結片82)は、可動子15との間に隙間を有しているが、この隙間はなくてもよい。つまり、一対の可動接点14が開位置にある状態において、伝達ばね8の連結片82は、可動子15に接していてもよい。
また、本実施形態では、接極子6の突部611は、伝達ばね8と接触する面が球面状に形成されている。この構成では、伝達ばね8が接極子6に接触することによって接極子6が削れるのを抑制することができる。なお、突部611の伝達ばね8と接触する面の形状は、球面状に限定されず、他の形状であってもよい。また、本実施形態では、突部611が伝達ばね8と接触しているが、伝達ばね8は、直接、接極子6に接触する構成であってもよい。この場合、接極子6の突部611は不要である。
また、本実施形態では、復帰ばね7の突部74は、制限壁32と接触する面が球面状に形成されている。この構成では、復帰ばね7が制限壁32に接触することによって制限壁32が削れるのを抑制することができる。なお、突部74の制限壁32と接触する面の形状は、球面状に限定されず、他の形状であってもよい。また、本実施形態では、突部74が制限壁32と接触しているが、復帰ばね7の延長片73が、直接、制限壁32に接触する構成であってもよい。この場合、復帰ばね7の突部74は不要である。
また、本実施形態の電磁継電器100では、接点装置A1は、一対の固定接点13と、一対の可動接点14とを備えているが、他の構成であってもよい。たとえば、接点装置A1は、1つの固定接点13と、1つの可動接点14とを備えていてもよい。また、接点装置A1は、3つ以上の固定接点13と、3つ以上の可動接点14とを備えていてもよい。
また、本実施形態の電磁継電器100は、a接点リレー、b接点リレー、c接点リレーのいずれにも用いることができる。たとえば電磁継電器100をc接点リレーとして用いる場合は、固定接点13とは別に、可動接点14が開位置にあるときに接触する固定接点を設ければよい。この構成では、コイル2の通電・非通電に応じて、可動接点14が閉位置で接触する固定接点13に接続される電路と、可動接点14が開位置で接触する固定接点に接続される電路とを切り替えることができる。