JP6715023B2 - チタン酸バリウム粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明はチタン酸バリウム粒子の製造方法に関し、詳しくは、チタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法に関する。
近年、種々の電子機器の小型化、高性能化及び軽量化に伴い、これらを構成する素子や、また、それらを製造するための出発原料について、特性の改善が強く求められている。
なかでも、積層セラミックコンデンサ(MLCC)は電子回路の基本素子として広く用いられており、そのMLCCにおいて高誘電率誘電体として用いられているチタン酸バリウムについては、近年のMLCCの薄層化に対応して、物性、特に、粒子径や形状の改善が求められている。
そこで、チタン酸バリウム粒子について、近年、直方体状乃至立方体状の粒子や、その製造方法が幾つか提案されている。従来、広く用いられている球状のチタン酸バリウム粒子は、最密充填した場合であっても、その充填率は74%であるが、立方体状の粒子の場合は、最密充填すれば、その充填率を100%とすることができることから、これを例えば、上述したMLCCにおける誘電体として用いることによって、MLCCの性能や機能に新たな改善が期待できるからである。
例えば、四塩化チタンのようなチタン原料の水溶液にクエン酸のようなキレート剤を加え、これに酢酸バリウムのようなバリウム塩を加えて、チタン/クエン酸/バリウムゲルのスラリーを得、これを乾燥させ、焼成して、チタン酸バリウムの直方体状の粒子を得る方法が提案されている(特許文献1)。
しかし、この方法は焼成工程を含むので、均一な粒子を得ることが困難であるうえに、粒子の凝集も強く、微粒子状の結晶、特に、粒子径100nm以下のチタン酸バリウム粒子を得ることができない。
そこで、水酸化バリウムと水溶性の乳酸チタン錯体と水酸化ナトリウムとt−ブチルアミンとオレイン酸を含む水溶液を水熱反応させて、1辺の長さが15nmの立方体状のチタン酸バリウムの粒子を得る方法が提案されている(特許文献2参照)。
この方法によれば、チタン酸バリウムの立方体状の粒子を得ることができるが、乳酸チタン錯体が高価であるので、工業的な製造には採用し難い。
特開2012−211058号公報 特開2012−188334号公報
本発明は、チタン酸バリウムの直方体状乃至立方体状の粒子の製造における上述した問題を解決するためになされたものであって、工業的に入手が容易である原料を用いて、チタン酸バリウムの直方体状の粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水溶液中、pH12以上にて温度50℃以上にて反応させ、その際、バリウム/チタンモル比を1.0〜2.0の範囲とすると共に、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲として、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを得る前段工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーをpH7以上にて180℃以上の温度にて水熱処理し、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を8〜30の範囲とする後段工程を含むチタン酸バリウム粒子の製造方法が提供される。
本発明において、上記第1及び第2の水溶性カルボン酸はそれぞれ独立に酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
本発明によれば、上記前段工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを温度60℃以上にて反応させることが好ましい。
更に、上記前段工程において、バリウム/チタンモル比を1.0〜1.7の範囲とすることが好ましく、また、上記前段工程において、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を3〜16の範囲とすることが好ましい。
特に、本発明によれば、上記前段工程においては、pH13〜14の水溶液中において、水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させることが好ましい。
上記後段工程においては、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーはpHが12以上であることが好ましく、また、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比は13〜28の範囲であることが好ましい。
更に、上記後段工程において、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーの水熱処理は温度180〜350℃の範囲であることが好ましい。
本発明による上述した方法によれば、チタン酸バリウムの微細な直方体状の粒子を得ることができる。
本発明によれば、工業的に入手が容易である原料を用いて、チタン酸バリウムの微細な直方体状の粒子を得ることができる。
このようなチタン酸バリウムの微細な直方体状の粒子は、例えば、MLCCの性能や機能を新たに改善する誘電体として期待される。
本発明に従って得られたチタン酸バリウム粒子の一例(実施例6)の透過型電子顕微鏡写真である。 上記チタン酸バリウム粒子の一例(実施例6)の粉末X線回折パターンである。 本発明に従って得られたチタン酸バリウム粒子の別の一例(実施例7)の透過型電子顕微鏡写真である。 上記チタン酸バリウム粒子の別の一例(実施例7)の粉末X線回折パターンである。 本発明に従って得られたチタン酸バリウム粒子の更なる一例(実施例14)の透過型電子顕微鏡写真である。 上記チタン酸バリウム粒子の更なる一例(実施例14)の粉末X線回折パターンである。 本発明に従って得られたチタン酸バリウム粒子の更なる別の一例(実施例16)の透過型電子顕微鏡写真である。 比較例として得られたチタン酸バリウム粒子の一例(比較例1)の透過型電子顕微鏡写真である。 別の比較例として得られたチタン酸バリウム粒子の一例(比較例2)の透過型電子顕微鏡写真である。
本発明によるチタン酸バリウム粒子の製造方法は、
(A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水溶液中、pH12以上にて温度50℃以上にて反応させ、その際、バリウム/チタンモル比を1.0〜2.0の範囲とすると共に、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲として、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを得る前段工程と、
(B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーをpH7以上にて180℃以上の温度にて水熱処理し、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を8〜30の範囲とする後段工程を含む。
本発明において、上記前段工程において、上記第1の水溶性カルボン酸とその水溶性塩は、通常、そのいずれかを用いればよいが、必要に応じて、併用してもよい。また、上記後段工程においても、上記第2の水溶性カルボン酸とその水溶性塩は、通常、そのいずれかを用いればよいが、必要に応じて、併用してもよい。
このような本発明の方法によれば、チタン酸バリウムの微細な直方体状の粒子を得ることができる。ここに、直方体状の粒子とは、長方形乃至正方形の面がほぼ直角に交わった六面体の形状を有する粒子をいい、直方体の頂点の部分が幾分、丸みを帯びている形状の粒子をも含むものとする。
本発明において、上記第1及び第2の水溶性カルボン酸は、好ましくは、酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種である。上記第1及び第2の水溶性カルボン酸はその水溶性塩であってもよい。水溶性塩としては、好ましくは、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩のようなアルカリ金属塩が用いられるが、バリウム塩も用いることができる。従って、上記第1の水溶性カルボン酸の水溶性塩の代表例としては、例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸バリウム、プロピオン酸カリウム、酪酸カリウム等を挙げることができる。
本発明において、上記前段工程における第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、水酸化チタンと水酸化バリウムを含む水溶液中において、水酸化チタンに由来するチタンに対するモル比を2〜18の範囲とするために、上記水溶液中に存在する水溶性カルボン酸又はその水溶性塩をいう。
本発明において、上記後段工程における第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、同様に、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーにおいて、チタン酸バリウム前駆体に由来するチタンに対するモル比を8〜30の範囲とするために、上記水スラリー中に存在する水溶性カルボン酸又はその水溶性塩をいう。
本発明によれば、上記前段工程において、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩、例えば、酢酸の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水溶液中、pH12以上にて温度50℃以上にて反応させるには、例えば、水酸化バリウム八水和物と適宜の塩基性物質、例えば、水酸化ナトリウムを水に溶解し、適宜濃度の水溶液とし、一方、水酸化チタンの水スラリーと酢酸を混合し、適宜濃度のスラリーとし、これらを共に50℃以上の温度として、両者を混合すればよい。
別の方法として、水酸化バリウム八水和物と酢酸と水酸化ナトリウムを水に溶解し、適宜濃度の水溶液とし、一方、水酸化チタンの水スラリーを適宜濃度とし、これらを共に50℃以上の温度として、両者を混合すればよい。
更に別の方法として、水酸化バリウム八水和物と酢酸を水に溶解し、適宜濃度の水溶液とし、一方、水酸化ナトリウムを加えた水酸化チタンの水スラリーを適宜濃度とし、これらを共に50℃以上の温度として、両者を混合すればよい。いずれの方法においても、上記反応は常圧下に行われる。
しかし、第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水溶液中、pH12以上にて温度50℃以上にて反応させる方法は、上述した例示に限定されるものではない。
本発明において、前段工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを含む水溶液に12以上のpH値を有せしめるために、通常、塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましく用いられるが、しかし、上記塩基性物質は上記アルカリ金属水酸化物に限定されるものではない。
本発明によれば、前段工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムをpH12以上の水溶液中において反応させる。上記水溶液のpHが12よりも小さいときは、水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムが生成し難い。水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させる上記水溶液のpHは、好ましくは、13〜14の範囲である。
上述したようにして、水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、その反応温度が50℃よりも低いときも、水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムが生成し難い。上記反応温度は、好ましくは、60℃以上である。
前段工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、水酸化バリウムに由来するバリウムの水酸化チタンに由来するチタンに対する仕込みのモル比は1.0〜2.0の範囲、好ましくは、1.0〜1.7の範囲、より好ましくは、1.0〜1.2の範囲であり、最も好ましくは、1.0〜1.1の範囲である。水酸化チタンに対して水酸化バリウムを余りに過剰に用いても、製造費用を徒に高めることになる。
前段工程において、上記水溶液中にて水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、反応濃度、即ち、水酸化チタンと水酸化バリウムとの反応によって得られるチタン酸バリウム換算の濃度は、特に限定されるものではないが、通常、0.1〜0.6モル/Lの範囲である。反応濃度が余りに高いときは、反応混合物が高粘度となり、反応が不均一に進行して、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることが困難となる。しかし、反応濃度が余りに低いときは、生産性が低く、チタン酸バリウムの工業的生産に適さない。
更に、本発明によれば、前段工程において、上記水溶液中にて水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させるに際して、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の水酸化チタンに由来するチタンに対するモル比は2〜18の範囲である。上記モル比が2よりも小さいときは、得られるチタン酸バリウム前駆体を後段工程において水熱処理しても、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることができない。しかし、モル比が18よりも大きいときは、水酸化チタンと水酸化バリウムの反応性が低く、チタン酸バリウムの生成が阻害される。
このようにして、前段工程においてチタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーが得られる。この前駆体は、その粉末X線回折によって、チタン酸バリウムであることが確認されるが、ほぼ球状の粒子であって、直方体状の粒子ではない。
そこで、本発明によれば、後段工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えて、又は新たに加えずして、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比8〜30の範囲でpH7以上にて水熱処理を施して、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得る。
本発明において、前段工程で得られたチタン酸バリウム前駆体の水スラリーは、例えば、洗浄した後、後段工程において用いてもよいが、通常は、そのまま、後段工程において用いられる。このような場合、前段工程で用いられた第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、そのまま、後段工程におけるチタン酸バリウム前駆体の水スラリーに含まれるので、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、前段工程で用いられる第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含む。
従って、後段工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。
しかし、後段工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えたときは、結果として、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに存在することになる第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は、成分組成において、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じであってもよく、また、相違していてもよい。
また、後段工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えたときは、後段工程における第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量は、前段工程において用いた第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と後段工程においてチタン酸バリウム前駆体の水スラリーに新たに加えた水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の量の合計量である。
後段工程において、チタン酸バリウム前駆体の水スラリーは、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩のチタン酸バリウム前駆体に由来するチタンに対するモル比を8〜30の範囲、好ましくは、13〜28の範囲として、水熱処理が施される。
後段工程において、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比が8よりも小さいときは、得られるチタン酸バリウムは、直方体状ではあるが、粒子径が数百nmにも達する。上記モル比が30を超えるとき、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることができるが、上記モル比が30を超えることによる付加的な利点が特にないので、製造費用を徒に高めることとなる。
前段工程で得られたチタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーがpH7以上を有していても、前段工程に由来する第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を含めて、チタンに対するモル比が合計にて8〜30の範囲で含むように、上記水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えるとき、水スラリーのpHが7よりも低くなることが往々にしてある。
このような場合、本発明によれば、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに塩基性物質を加えて、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHを7以上とする必要があり、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHは、好ましくは、12〜14の範囲である。後段工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHが7よりも低いときは、チタン酸バリウム前駆体からバリウムイオンが溶出し、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得ることができない。
本発明において、後段工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに所定のpH値を有せしめるためには、通常、塩基性物質としては、アルカリ金属水酸化物、好ましくは、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が好ましく用いられるが、しかし、上記塩基性物質は上記アルカリ金属水酸化物に限定されるものではない。
本発明によれば、前段工程において求められる水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比は2〜18の範囲であるから、水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比が8よりも小さい条件で前段工程を行った場合には、後段工程において、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えて、チタン酸バリウム前駆体に由来するチタンに対する第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩のモル比を8〜30の範囲とする必要がある。
一方、後段工程を開始するに際して、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーが既に7以上のpHを有すると共に、前段工程に由来する水溶性カルボン酸又はその水溶性塩のチタン酸バリウム前駆体に由来するチタンに対するモル比が後段工程において求められるモル比の条件を満たしているときは、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を新たに加える必要はなく、また、新たに塩基性物質を加える必要もない。
このように、後段工程を開始するに際して、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーに新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。
しかし、一方において、後段工程を開始するに際して、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーが既に7以上のpHを有すると共に、前段工程に由来する水溶性カルボン酸又はその水溶性塩をチタンに対するモル比が後段工程において求められるモル比の条件を満たしていても、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHを高くし、及び/又は新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよいことは勿論である。
このようにして、後段工程においては、第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を8〜30の範囲として、pH7以上にて、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを水熱処理して、目的とするチタン酸バリウムの直方体状の粒子を得る。
本発明によれば、上記水熱処理の温度は180℃以上であり、好ましくは、180〜350℃の範囲である。水熱処理の温度が180℃よりも低いときは、目的とする微細な直方体状のチタン酸バリウム粒子を得ることができない。しかし、350℃を超える水熱処理は、反応装置の劣化が激しく、実用的ではない。
本発明によって得られるチタン酸バリウムは、立方体に近い直方体状の粒子であり、しかも、微細であって、粒子径は100nm以下、好ましくは、約10〜80nm程度である。
更に、本発明によって得られるチタン酸バリウム粒子は結晶粒子である。即ち、粉末X線回折によれば、本発明によって得られるチタン酸バリウムの直方体状の粒子は、チタン酸バリウムの回折ピークのみを示す。
本発明の方法によれば、前段工程で得られたほぼ球状のチタン酸バリウム前駆体は、後段工程において、前記カルボン酸又はその水溶性塩の存在下に直方体状乃至立方体状の粒子に成長する。そのメカニズムは明確でなく、また、本発明はそのようなメカニズムによって何ら制約を受けるものではないが、前記カルボン酸又はその水溶性塩はチタン酸バリウムの(100)面、(010)面及び(001)面の結晶成長を抑制するように作用し、そして、上記3つの面はほぼ等価であるので、後段工程で得られるチタン酸バリウム粒子は立方体状に近い直方体状を有する。
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって限定されるものではない。
以下において、得られたチタン酸バリウム粉末の比表面積Sは、全自動比表面積測定装置((株)マウンテック製HM model−1220)を用いて、205℃で30分脱気した後、BET1点法で測定した。
得られたチタン酸バリウムの粒子径、即ち、比表面積立方体相当径D(nm)は、粒子の上記比表面積S(m2/g)とチタン酸バリウムの密度ρ(g/cm)から次式によって求めた。
D=(6/(S×ρ))×1000
但し、ρは6.0g/cmとした。
得られたチタン酸バリウム粉末の透過型電子顕微鏡写真は、粉末をマイクログリッドに載せて、透過型電子顕微鏡(日本電子(株)JEM−2100F)を用いて撮影した。また、得られたチタン酸バリウム粉末の形状の判別は、上記透過型電子顕微鏡観察によった。
得られたチタン酸バリウム粉末の粉末X線回折パターンは、粉末X線回折装置((株)リガク製RINT−TTRIII、線源CuKα)を用いて得た。
実施例1
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物(堺化学工業(株)製、以下、同じ)68.6gと酢酸(和光純薬工業(株)製特級、以下、同じ)52.25gを入れ、純水で全量245mLに調整した。この水溶液を反応液Aとする。
四塩化チタン水溶液((株)大阪チタニウムテクノロジーズ製)を水酸化ナトリウム水溶液でpHを2.0に調整しながら同時中和して、水酸化チタンの水スラリーを得た。以下において、水酸化チタンの水スラリーの調製方法は同じである。
TiO2として16.6g(Ba/Tiモル比1.05)の上記水酸化チタンの水スラリーに水酸化ナトリウム(和光純薬工業(株)製特級、以下、同じ)33.26gを加え、純水で全量170mLに調整した。この水溶液を反応液Bとする。
上記反応液Aを温度60℃に保ちながら、これに温度60℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度60℃で10分反応させて、BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.7であった。また、水酸化バリウム水溶液に水酸化チタンの水スラリーを加え終わった時点におけるBa/Tiモル比は1.05であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー80mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加えて、pH14に調整した。このスラリーをオートクレーブに入れ、200℃で12時間水熱処理した。この後、オートクレーブの内容物を室温まで放冷した。オートクレーブの内容物のpHは13.9であった。得られた水スラリーを濾過、水洗した後、130℃で乾燥して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例2
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6g、酢酸52.25g及び水酸化ナトリウム33.26gを入れ、純水で全量245mLに調整して反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーTiO2として16.6gを純水で全量170mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度60℃に保ちながら、これに温度を60℃とした上記反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度60℃で10分反応させて、チタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.7であった。
上記チタン酸バリウム前駆体水スラリー80mLに酢酸43.84gと水酸化ナトリウム31.52gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉末を得た。
実施例3
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム33.26gを入れ、純水で全量245mLに調整して反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーTiO2として16.6gと酢酸52.25gを純水で全量170mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度60℃に保ちながら、これに温度を60℃とした反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度60℃で60分反応させて、チタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.7であった。
上記チタン酸バリウム前駆体水スラリー80mLに酢酸43.84gと水酸化ナトリウム31.52gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉末を得た。
実施例4
実施例3で得られたチタン酸バリウム前駆体水スラリー80mL、水酸化ナトリウム34.67g及び酢酸48.71gをオートクレーブに入れ、上記水スラリーのpHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉末を得た。
実施例5
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム33.26gを入れ、純水で全量185mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーTiO2として16.6gと酢酸52.25gを純水で全量160mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを50℃に保ちながら、これに温度を50℃とした反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度50℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー67mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加えて、pHを14に調整して、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉末を得た。
実施例6
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム33.26gを入れ、純水で全量185mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gと酢酸52.25gを純水で全量160mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度70℃に保ちながら、これに温度を70℃とした反応液Bを加え、温度70℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.9であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー67mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図1に示し、粉末X線回折パターンを図2に示す。
実施例7
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム66.51gを入れ、純水で全量145mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gと酢酸100gを純水で全量200mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度70℃に保ちながら、これに温度を70℃とした反応液Bを加え、温度70℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー67mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図3に示し、粉末X線回折パターンを図4に示す。
実施例8
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム33.26gを入れ、純水で全量185mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gと酢酸52.25gを純水で全量160mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度を80℃とした反応液Bを加え、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.6であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー67mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例9
実施例8で得られたチタン酸バリウム前駆体水スラリー67mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加え、pHを14とした。このスラリーをオートクレーブに入れ、180℃で12時間水熱処理した。この後、実施例1と同様に処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例10
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム66.51gを入れ、純水で全量145mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gとプロピオン酸(和光純薬工業(株)製特級、以下、同じ)123.3gを純水で全量200mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度を80℃とした反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー67mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例11
実施例10で得られたチタン酸バリウム前駆体水スラリー50mL、水酸化ナトリウム11.76g及び酢酸16.36gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例12
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
水酸化チタンの水スラリーをTiO2として10.4gとプロピオン酸123.3gを純水で全量200mLに調整して、反応液Bを調製した。実施例10の反応液Aを温度100℃に保ちながら、これに反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度100℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.38モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.5であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.38モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー50mLに水酸化ナトリウム12.94gと酢酸16.36gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例13
実施例12で得られたチタン酸バリウム前駆体水スラリー50mLに水酸化ナトリウム11.76gとプロピオン酸20.18gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例14
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと酢酸179.5gを入れ、純水で全量215mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gに水酸化ナトリウム166.3gを入れ、純水で全量200mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度を80℃とした反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度80℃で10分反応させて、BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーをオートクレーブに入れ、200℃で12時間水熱処理した後、オートクレーブの内容物を室温まで放冷した。オートクレーブの内容物のpHは13.9であった。得られた水スラリーを濾過、水洗した後、130℃で乾燥して、チタン酸バリウム粉体を得た。得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図5に示し、粉末X線回折パターンを図6に示す。
実施例15
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gと水酸化ナトリウム33.26gを入れ、純水で全量145mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gと酪酸73.3gを純水で全量200mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度80℃に保ちながら、これに温度を80℃とした反応液Bを加え、温度80℃で60分反応させて、BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは13.3であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.6モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー50mLに水酸化ナトリウム11.76gと酢酸16.36gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。
実施例16
実施例15で得られたチタン酸バリウム前駆体水スラリー50mLに水酸化ナトリウム11.76gとプロピオン酸20.18gを加え、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図7に示す。
比較例1
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの調製)
2L容量の反応容器に水酸化バリウム八水和物68.6gを入れ、純水で全量245mLに調整して、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として16.6gに水酸化ナトリウム33.26gを加え、純水で全量170mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度60℃に保ちながら、これに温度60℃とした反応液Bを0.5時間かけて加えた後、温度60℃で10分反応させて、BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.5モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリー80mLに水酸化ナトリウム31.52gと酢酸43.84gを加えて、pHを14として、実施例1と同様に水熱処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図8に示す。
比較例2
5L容量の反応容器に純水567mLと水酸化バリウム八水和物959gを入れて、反応液Aを調製した。水酸化チタンの水スラリーをTiO2として106gを純水で全量950mLに調整して、反応液Bを調製した。
上記反応液Aを温度100℃に保ちながら、これに温度を100℃とした反応液Bを1時間かけて加えた後、温度100℃で2時間反応させて、BaTiO3換算で0.66モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーを得た。反応時のpHは14であった。
(チタン酸バリウム前駆体水スラリーの水熱処理)
上記BaTiO3換算で0.66モル/L濃度のチタン酸バリウム前駆体水スラリーをオートクレーブに入れ、180℃で20時間水熱処理した。以下、実施例1と同様に処理して、チタン酸バリウム粉体を得た。得られたチタン酸バリウム粉体の透過型電子顕微鏡写真を図9に示す。
上記実施例及び比較例における前段工程の反応条件を表1に示す。また、上記実施例及び比較例における後段工程の反応条件と得られたチタン酸バリウム粒子の粒子形状、比表面積及び粒子径を表2に示す。

Claims (9)

  1. (A)第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、水酸化チタンと水酸化バリウムを水溶液中、pH12以上にて温度50〜100℃の範囲にて反応させ、その際、バリウム/チタンモル比を1.0〜2.0の範囲とすると共に、上記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を2〜18の範囲として、チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを得る前段工程と、
    (B)第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩の存在下、上記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーをpH7以上にて180℃以上の温度にて水熱処理し、その際、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を8〜30の範囲とする後段工程を含む直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法(但し、後段工程においては、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えてもよく、加えなくもよく、新たに水溶性カルボン酸又はその水溶性塩を加えないときは、上記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩は第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩と同じである。)
  2. 前記第1及び第2の水溶性カルボン酸がそれぞれ独立に酢酸、プロピオン酸及び酪酸から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  3. 前記前段工程において、水酸化チタンと水酸化バリウムを温度60℃以上にて反応させる請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  4. 前記前段工程において、バリウム/チタンモル比を1.0〜1.7の範囲とする請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  5. 前記前段工程において、前記第1の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を3〜16の範囲とする請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  6. 前記前段工程において、pH13〜14の水溶液中において、水酸化チタンと水酸化バリウムを反応させる請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  7. 前記後段工程において、前記第2の水溶性カルボン酸又はその水溶性塩/チタンモル比を13〜28の範囲とする請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  8. 前記後段工程において、前記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーのpHを12以上とする請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
  9. 前記後段工程において、前記チタン酸バリウム前駆体を含む水スラリーを180〜350℃の範囲にて水熱処理する請求項1に記載の直方体状のチタン酸バリウム粒子の製造方法。
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